【俺の妹】伏見つかさエロパロ20【十三番目のねこシス】at EROPARO
【俺の妹】伏見つかさエロパロ20【十三番目のねこシス】 - 暇つぶし2ch200:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 18:50:28.65 d7p5bqwz
京介が何気に女殺し
こんなならあやせも惚れてまうやろ

GJ!!

201:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 18:53:10.90 ki2PDj5G
なんだこの天使…可愛すぎてつらい
そして京介のタラシっぷりw

202:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:01:03.11 gaHlN31w
ほらな。やっぱりあやせなんだって

203:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:14:43.96 OsbqYPr8
最近あやせ続くな乙

204:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:38:14.17 TZwaXB8n
ここにきてあやせフィーバー
桐乃とは一体なんだったのか

205:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:40:15.94 9EHf7rM1
>>196>>170の訂正?

乙です!

206:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:52:28.52 t0vQuume
エロネタですら使えない黒猫は間違いなくただの舞台装置

207:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:56:01.85 TZwaXB8n
ああ?黒猫はエロネタに使う必要がないほどそれだけで価値があんだよ

208:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 20:00:08.01 7rWwSpLv
SLディスったりキャラディスったり忙しいな糞が

209:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 20:01:54.03 TZwaXB8n
加奈子が一番かわいい

210:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 20:14:50.39 OsbqYPr8
ブリジットもカワイイ

211:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 20:46:12.12 sXOKaOzA
みんなかわいい

212:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 21:09:08.15 DJwiG0X7
加奈子は男前

213:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 22:08:22.79 JS4kcvXZ
乙!
後編を期待してるよー
ちゅーぐらい期待してしまうのだがw

214:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 23:12:39.24 GDIyd/en
ラッキースケベでアナルセックス期待

215:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 23:18:13.53 wmSyW8tL
>>214
どんなラッキーだよw

216:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 23:57:52.60 uU6wB43o
>>195
GJ!
後編楽しみにしてるよー

217:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 00:01:18.14 YYRNS3fQ
>>195
あやせたん最高!
後編も楽しみにしています

218:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 02:48:23.84 aEQ7dO34
>>195 雰囲気がいいな。長くてもダレないし、続きが凄~く楽しみ。

219:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 03:01:55.49 Ndg3kB8D
桐乃に足を舐めさせたい

220:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 07:54:31.88 h0I4Ojry
URLリンク(fsm.vip2ch.com)

221:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 08:10:12.91 U8h55NVM
>>215
オリ主が風呂場で滑ったら一緒に入浴していたタバサの尻穴にズブリ!


という超展開を見せたゼロ魔二次SSがあったなw

222:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 16:17:19.89 KxG9KPdJ
>>220
これなんて漫画?

223:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:31:32.89 5GMgwUVC
SLさんなんで来ないの
このスレ見捨てられちゃったのかな・・・

224:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:32:17.44 aOh0HEJe
あやせかわいいのう

225:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:33:05.56 NEYmA7JW
確かにあやせはかわいい
だが加奈子もかわいい

226:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:44:50.94 7efzGgzu
久しぶりに来たらブリジットネタが無い……
仕方ないから小ネタ自給自足するか




「あの…マネージャーさん、この後ちょっといいですか?」
イベントが終わり、控室に戻ってきたブリジットが声を掛けてきた。
「ああ、お前を送ったらどこかで飯食って帰るだけだ。…そうだ、よかったら一緒に夕飯どうだ?バイト代も出たし奢るぜ」
「お…奢ってもらうなんてとんでもありません!ちゃんと自分の分はお金出します。それでよかったらご一緒させて下さい!」
ブリジットは慌てたようにパタパタと手を振りながら言うと、続けて
「私もちょうど、相談したい事があったし……。すぐ着替えてきちゃいますね」
……?なんだろう…。今、一瞬ブリジットの顔が曇ったような…。それに相談て……?

「痴漢!?」
「お、お兄さん声が大きいです!」
あれから、俺達はイベント会場を出ると、ブリジットが住んでいるマンションに程近いファミレスで食事を取る事にした。
食事を済ませ、ドリバーに食後のコーヒーを取りにいこうかと考えていると、ブリジットが神妙な顔で話し掛けてきた。
「お兄さん、ご相談したい事があります…」
その内容を聞いた結果が、さっきの俺のセリフというわけだ。俺は声を潜めながら改めて確認する。
「痴漢てあれだよな、電車とかバスで…」
ブリジットは、顔を赤らめながらコクリと頷く。
「それをブリジットは最近毎日されてる……」
コクコク
顔を俯かせさらに顔を赤くするブリジット。
何てこった…ブリジットがそんな目にあっていたなんて。あのすべすべしたふとももや、柔らかでふにふにしたお尻が痴漢に好き放題にされているなんて!許されざるよ!
「ブリジット行くぞ!」
俺は立ち上がるとレシートを掴み、開いた手でブリジットの手を握るとレジに向かった。
「あの、行くってどこに…」
「こういう話は他の人がいる所では話ずらいだろ。後はお前の部屋で聞かせてもらう!」

この後、俺はブリジットから綿密な事情聴取を行い、情況を再現しつつ対応策をアドバイスした。
その際に
『お…お兄さん……そんな所まで痴漢さんは指を入れたり……ひゃう!?』
『なんでベッドに押し倒すんですか!?電車の中にベッドはありませんよ!!ああっ!そこは今敏感になってるからダメェ…!』
ブリジットから苦情が出たような気がするが、気のせいだと思う。俺は実演を交えつつ、各シチュエーション毎の対応のしかたを教えただけだ。
だからベッドに横たわるブリジットは、実技で疲れ果て眠ってるだけだ。断じてイキ過ぎて失神してるわけじゃないぞ!



翌日、件の痴漢は捕まったとブリジットから聞いた。何でも中学生の尻を触った所を張り込み中の鉄道警察隊に捕まったそうだ。


227:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:52:32.75 7efzGgzu
エロいブリジットは需要ないだろうと直接描写削ったら半端な内容になった気が……orz
やはりエロは必要か
ただ以前にコスプレネタもソープネタもやったから他に思いつかないや
独占欲が肥大化した京介に奴隷調教を受けるブリジットとか誰も見たくないだろうし……

228:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:54:25.85 aOh0HEJe

ただエロは載せとけ

229:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/07/01 00:06:38.17 yiWIaCcD
トンでもなく見たい乙

230:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/07/01 00:40:18.26 kQgPqwW1
          ..:::´::イニ三三三三≧ミ{彧ル'
        イ=ミ^三≫:'^⌒^⌒^⌒^⌒^\
      /{{{麥}ル'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
        ::::::云彳:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::'
      |::::::::{i:i:| ::::: / ::::::::::::::::::::::::::| ::::::::::::::: |::|
      |:::::::::{i:i|:::::::: ‥  l i ノ ̄ ̄`ヽ、―ニ 二
     !::::: {i:i|:::::::i|:::;∴. / ´`ヽ _  三,:三ー二
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       l:::::::八 :::小. :::::::(`ー‐し'ゝL _  
         l::::::::::::\:::∧ ::(--‐‐'´}    ;ー------------
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231:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/07/01 08:42:52.43 NM26srkZ
うらやまけしからん

232:名無しさん@ピンキー
11/07/02 00:22:49.13 EaBcZuhY
これだよ、これ
このスレはこうじゃなくっちゃ

エロは難しいからなあ・・・。
いつもエロ部分で止まってシャドーボクシングを始めてしまう。

233:『似てないふたり』
11/07/02 01:54:21.64 /Izap0qo
登場人物
高坂京介 高坂桐乃 ほか

語り
高坂京介


ゆるいエロしかありませんが、やってみます。

234:『似てないふたり』
11/07/02 01:54:55.38 /Izap0qo
俺・高坂京介は今、総武線に揺られている。都内、正確にはアキバ帰りだ。
また妹のパシリ乙、と思ったそこのあんた。残念だが間違っている。
なぜなら、俺の目の前では我が妹・桐乃も一緒に電車に揺られているからだ。
そう。断じて俺はパシリではない。荷物持ち要員なだけだ。悪いか?

今日の俺は桐乃様の命を請け、渋谷での限定発売アクセサリー、
秋葉原での同じく限定発売フィギュアの買い物に駆り出されたってわけだ。
アクセサリーもフィギュアも嵩張るものではないことに気付いたのは
千葉駅から電車に乗った直後だったということが俺の迂闊さを物語っている。
まったく、桐乃のヤツ、一人で行けっての。

だが‥‥‥アキバ帰りの今、桐乃はスゲー機嫌が悪い。
限定アクセサリーも限定フィギュアも入手できなかったからである。
おまけに電車はメチャ混み。桐乃の不機嫌は頂点に達していた。

「んああああー、ムカつく!」
「オイ、うるせーぞ。大人しくしてろ」
「うっさい! マジムカツク! アクセもフィギュアも買えなかったし、
 電車は混んでるし、アンタのせいだかんね!」
「お、俺のせいかよ!?」

限定アイテムを買い損ねたのは、桐乃が出かけるのに手間取って店に着くのが
遅くなったせいだ。女というのはセットアップに時間がかかるからな。
そして電車が混んでいるのは、混んでいる時間帯だからだ。俺のせいじゃない。
まあ、桐乃の理不尽さは今に始まったことではないから、腹も立たないけどな。
とは言うものの、今日の電車はとても混んでいる。俺にとってもキツイ。
華奢な桐乃は躯を他の乗客に押し潰されそうだ。桐乃が文句を言うのも解る。
仕方ねえ‥‥‥な。



235:『似てないふたり』
11/07/02 01:55:22.81 /Izap0qo
「ちょっ! ナニすんのよ!?」
「うっせ! 黙ってろ!!」

俺は桐乃を車両の隅に押しやり、そして桐乃の前に立ちはだかった。
こうして俺が壁になってやれば、桐乃も少しは楽になるだろう。
‥‥‥のはずだったのだが、他の乗客に押されて、俺と桐乃は完全な密着状態に。

「(な! ナニしてんのよ!? アンタ!)」
「(仕方ねえだろ! 混んでいるんだからな!)」
「(ドサクサに紛れて触る気!? このシスコン!)」
「(いいから黙っとけ! こんな時くらい兄貴の言うことを聞け!)」
「(超かわゆいアタシと地味なアンタが兄妹だなんてね! 全っ然似てないし)」

他の乗客を気にしつつ小声で会話をする俺と桐乃。桐乃の香水の匂いが香しい。
そして、気がつくと俺の左手は何やら温かく柔らかいモノに触れていた。

「(こ、このスケベ!)」

桐乃が物凄い顔で俺を睨む。どうやら俺の左手は桐乃の腰に侵攻していたらしい。
そして右手は‥‥‥? ハ、ハハハハ。桐乃の背中に回っていたよ、オイ。
ん? 指先に感じるこの感触は? ハハハハ。ブラジャーの留め具ですね!
指を動かせば外せるんじゃね?

ぷちっ

そう、こんな具合にな‥‥‥


‥‥‥外しちまったよ!! 必死に言い訳するが、これは事故だからな!
ああ、この辺で桐乃が怖い。きっと悪鬼の形相の筈だと思いつつ桐乃の顔を
見ると真っ赤な顔で震えている。痴漢に遭うとこんな顔になるのだろうか。
電車が揺れる度に俺と桐乃は密着を繰り返し、段々と桐乃の躯が熱くなる。
シスコンの俺が熱くなると言うのなら解るが、何で桐乃が熱くなるんだよ。

そんな桐乃と躯を密着させていると、不埒なことを想像してしまう。
これじゃ俺が痴漢そのものじゃねえか! 畜生、千葉駅まであとどんだけだよ?
体を火照らせて震える桐乃を抱きしめた格好で、千葉駅に辿り着くまでの時間を
ただ黙って過ごすしかなかった。

‥‥‥‥‥‥



236:『似てないふたり』
11/07/02 01:55:48.84 /Izap0qo
「どうしました? 大丈夫ですか?」

俺はその声で、半分意識が飛んでいた状態から正気に戻った。
声の主である凛とした感じの女性が俺の目を見据えてこう言った。

「お手数ですが、ご足労願います」

ご足労って、こんな混んでいる電車で‥‥‥って、いつの間にか空いてるし!
俺の意識が飛んでいる間に電車は千葉駅に滑り込んでいたようだ。
そして俺の目の前には、俺の左手を腰に、俺の右手を背中に回されて
惚けた表情の桐乃が居た。

――さて、客観的に説明しよう。
混雑もしていない総武線の車内の隅に、茶髪の美少女が地味な男に追い詰められ、
両の手で抱きつかれている――
こんな感じになる。文字にすれば痴漢の現場そのものにしか見えない。

「オイ? どうした? しっかりしろ!」
「ふえ?」

桐乃は惚けた表情から復帰せず、俺の呼び掛けにも要領を得ない。
ダメだコイツ、早く何とかしないと。さもないと、とんでも無いことになる!

‥‥‥‥‥‥



237:『似てないふたり』
11/07/02 01:56:11.87 /Izap0qo
とんでも無いことになる――そんな俺の予感は的中した。
凛とした女性に俺と桐乃は千葉駅の鉄道警察隊まで連れて来られた。
桐乃は電車を降りてからここに着くまで、ずっと惚けた表情で俺のシャツの
裾を掴んだまま。おーい、正気に戻れー!
そして警察隊に着くと、俺は男性の隊員に、桐乃は凛とした女性の隊員に
それぞれ話を聞かれる。勿論、痴漢の加害者と被害者という立場でな。
まったく、冗談じゃねえよ!

「君はあの女の子に一体何をしていた?」

俺の親父を彷彿させる屈強そうな男性隊員が俺を問い詰める。
いや、元々は超満員電車でしたよ? 妹を守った結果がこうなのであって。

「大丈夫よ。何があったのか話してちょうだい」

相変わらず惚けた表情の桐乃は、凛とした女性隊員に問いかけられる。
何か嫌な予感がする。あの表情はエロゲでヘブン状態の時と似ているからだ。
もし桐乃が訳も解らず俺のことを痴漢だと証言したら一体どうなるのか?
桐乃! 嘘は言うなよ! ありもしないことを言うなよ!

「えっと‥‥‥電車の隅に押し込まれて‥‥‥腰と背中に手を回されて‥‥‥
 ブラのホックを外されて‥‥‥」

本当のことも言うな! 二人の隊員が俺を睨み付ける。最悪だ!
もしここで桐乃が「こんな人知らない」とか「逮捕して下さい」なんて
言いやがったら、俺の人生は終了するだろう。
どうせ終了するなら、いっそあやせの手で‥‥‥なんて発想が出てしまうのは、
俺の頭が混乱している証左に違いない。落ち着け俺。冷静になれ俺。

‥‥‥‥‥‥



238:『似てないふたり』
11/07/02 01:57:01.71 /Izap0qo
そうか‥‥‥冷静に考えれば俺たちって兄妹じゃないか。似てないけどな。
疚しいことなんて何も無い。正直に兄妹だと言えば大丈夫だろう。
うん、冷静になっているな、俺!

「じ、実は俺たちは――」

本当のことを言えば大丈夫。
そんな高を括っていた俺が発した言葉に、さっきまで惚けた表情だった桐乃が
突拍子もない言葉を続けた。

「恋人同士なんです!」

うぇっ!? 今、何と!? 恋人同士? 俺と桐乃が? またその展開?
困惑した俺は桐乃の真意を問おうと、桐乃の目を見た‥‥‥が、
惚けた表情から完全復帰した桐乃が俺を睨む。そして、
『アンタ、黙ってなさいよ! 殺すよ?』という声が視覚を通して聞こえてきた。
まるで蛇に睨まれた蛙のように俺の動きは完全に封じられてしまった。

「本当? 脅かされているんじゃないの? 大丈夫よ。本当のことを話して」

この凛とした女性隊員は、俺をとんでも無い鬼畜野郎だと見ているらしい。
いや、脅されているのは俺ですから!

「本当に恋人同士です! 証拠だってあります!!」
「証拠って、オマエ?」
「京介ぇ~? もしかしてぇ、まだ三回目のデートだからって照れてんのぉ?」

桐乃が悪戯っぽい表情で俺を見つめながら、甘ったるい声で話す。
うへええええぇ、キモチわりー!
それにしても三回目のデート‥‥‥だと? 偽デートの他にもあったか?



239:『似てないふたり』
11/07/02 01:57:24.29 /Izap0qo
「フヒヒ、しょうがないなあ。ほら、アレを見せてあげようよ!」
「アレ?」
「ほら、コレ♪」

そう言うと桐乃はバッグから携帯を取り出した。勿論、“あの”携帯だ。
ああ、そういうことか。仕方ねえ‥‥‥な。
俺は、これから展開されるであろう恥を忍んで“あの”携帯をポケットから出し、
桐乃の携帯と並べて机の上に置く。共に“裏返し”でな。
男性隊員と凛とした女性隊員は『俺と桐乃のらぶらぶツーショットプリクラ』が
貼られた二つの携帯を見比べると、俺たちを恋人同士だと認めてくれた。
二人の隊員がニヤニヤしているように見えたのは気のせいじゃあるまい。
チクショー! 恥ずかしいぜ! これだけでもひどい羞恥プレイ状態なのに、
桐乃のヤツは、

「見て下さい!」

と言って待ち受け画面まで披露しやがった。しかも――

「さあ、アンタも見せなって!」

やめて! 死にたくなる!! お揃いプリクラの携帯という時点でアウトなのに、
妹の、いや『恋人の水着写真』を待ち受けにしているなんて見られたら、
千葉駅にはもう近づけなくなるぞ。警察24時モノで撮影されたら、
モザイクとボイスチェンジで処理されて放送されるに違いない。
バカップルなんて視聴者の興味を惹くには最高のネタだろうしな!

だが、そんな俺の心の抵抗も虚しく、俺の待ち受けが披露されてしまった。
ああ、俺の尊厳が‥‥‥

‥‥‥‥‥‥



240:『似てないふたり』 ◆ACPRLbMxAk
11/07/02 01:59:37.40 /Izap0qo
「よかったね~♪ あのプリクラと待ち受けのお陰で助かったし」
「ああ、そうだな」

電車の中での破廉恥行為を窘められただけで“恋人同士”の俺たちは放免された。
あのプリクラが決定打になったのは否めない。感謝したいくらいだ。でも――

「なんで、『恋人同士』なんだよ? 兄妹って言えば良かったじゃないか」
「だって、似てないアタシたちが兄妹と言ったって信じてもらえないし」
「ますます怪しまれる、か?」
「そう! 似てないんだから、恋人同士の方が通りが良いでしょ? ふふん」

妙に桐乃のテンションが高い。限定のアクセサリーとフィギュアを
買えなかったことでの不機嫌は、どこかに飛んでしまったようだ。

「オマエ、機嫌直ったのか?」
「ムカついてんに決まってるでしょ! 電車の中でアタシにあんなことして!」
「へ!?」
「『へ!?』じゃないっての! 超かわゆいアタシを抱きしめて、
 そして、アタシのブ、ブ‥‥‥ブラを外すなんて!!」
「あ、あれは事故だ!」
「ふーん、否定しないんだ。へへーん、この変態♪」

このクソアマ、俺の弱みにつけ込んで調子に乗りやがって。

「‥‥‥ナニ、ボサッとしてんの? さっさと腕を出して!」

何だよいきなり? と言いたかったが、警察隊の真ん前で揉め事はマズイし、
何よりも桐乃が不機嫌になることを恐れた俺が素直に出した右腕に
桐乃は自らの腕を絡ませる。

「オイ、何だよ!?」
「だって、アタシたち“恋人同士”じゃん? こうしないと変に思われるでしょ?」

俺は警察隊の中の人を横目に、抗うこともなく桐乃の行動を素直に受け入れた。
“あの”携帯を人前で披露し、恥ずかしいなんて感情は吹っ飛んでいたからな。
決してシスコンだから、ではないぞ!

「アンタに似てないアタシに感謝しなさいよね」
「はぁ?」
「似てないから、恋人同士って言い逃れが出来たんだから」
「へいへい。こんな地味な俺と似てなくて良かったなぁ」

俺はカドが立つ寸前ギリギリの悪感情を込めて言い放ってやった。

「ホント‥‥‥似てなくて‥‥‥良かった」

桐乃はそう言うと、俺の右腕を強く抱きしめた。


『似てないふたり』 【了】


241:名無しさん@ピンキー
11/07/02 02:24:13.03 8WJzJ4M8
桐乃かわいい
おつ

242:名無しさん@ピンキー
11/07/02 02:25:40.85 P3BN8LUd
>>240
前半に比べて落ちが単調すぎないか?会話もなんか事務的に読める・


243:名無しさん@ピンキー
11/07/02 02:58:20.81 fcPA4cgZ
SLさんがいないスレなんて精々こんなもんだろうな。
ま、よく頑張ったほうだと思うよ。

244:名無しさん@ピンキー
11/07/02 03:16:12.06 8WJzJ4M8
あやせかわいい

245:名無しさん@ピンキー
11/07/02 03:17:28.09 wHS/GfKy
眼鏡外したバジーナさんかわいい

246:名無しさん@ピンキー
11/07/02 03:19:09.42 wHS/GfKy
カズさんと食事に行ったら「結局はあやせだよな」って言ってた。
俺は違うと思うけど(笑)

247:名無しさん@ピンキー
11/07/02 04:34:12.32 h5q3WooV
>>240
前から楽しく読んでたけど、最近クオリティ落ちてるぞ
もう少し真面目に書け

2点

248:名無しさん@ピンキー
11/07/02 05:23:48.19 it9nkGkw
なんだ2点って? 3点満点か?

249:名無しさん@ピンキー
11/07/02 05:45:07.15 WOvDue3r
>>247
おいおい
本当のことを言うなよ
バカな作者が意地になって、もっとつまんないの投下したら洒落にならんwww

250:名無しさん@ピンキー
11/07/02 06:35:12.18 LD/Hs/3m
>>233-240
GJ! 桐乃かわいいw
あと、荒らしはスルーで。

251:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:09:48.90 ouR+YdIa
荒らしはスルーしろ!

252:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:17:54.05 zuNs2pbQ
>>240
桐乃かわいい!

253:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:20:50.00 wHS/GfKy
あやせェ

254:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:20:51.71 RFsu0RP3
乙おつ
面白かったよー

255:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:37:17.12 reR0ga+V
おつ乙
桐乃蕩けるなw

荒らしは無視な

256:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:45:13.36 wHS/GfKy
作者も俺妹くらい当てりゃ今後の生活に困らないんだろうな
羨ましい

257:名無しさん@ピンキー
11/07/02 10:34:07.02 X5sACPor
ぐっじょぶ

258: 忍法帖【Lv=7,xxxP】
11/07/02 10:38:47.51 SMVbNa35
乙!
恋人として見られて上機嫌の桐乃可愛いよ

259:名無しさん@ピンキー
11/07/02 11:07:58.66 4mCCS2wm
桐乃かわえぇ

260:名無しさん@ピンキー
11/07/02 11:19:19.52 lUlzk87w
>>247
○「自分の嗜好に合わないSSなら黙ってスルーすること」


261:名無しさん@ピンキー
11/07/02 11:21:49.69 4mCCS2wm
>>260
○荒らし、煽りは勿論スルー


262:名無しさん@ピンキー
11/07/02 11:34:22.14 NEU+bUDM
なんか自演くさい単発レスが増えるんだよな
この作者の旗色が悪くなるとwww

263:名無しさん@ピンキー
11/07/02 12:27:59.58 wHS/GfKy
格闘技やってる自演乙も俺妹とか見てんのかな

264:名無しさん@ピンキー
11/07/02 13:10:13.84 E1jWBgq0
>>262
その作者はそもそも専用スレがあるのでここでは話題にしないで

265:名無しさん@ピンキー
11/07/02 13:59:19.54 NEU+bUDM
>>264
お前、読解力皆無のバカだろ?

266:名無しさん@ピンキー
11/07/02 14:34:46.03 lrTq25mL
SLさん、他の作者を貶めるのはやめてください

267:名無しさん@ピンキー
11/07/02 14:42:23.88 wHS/GfKy
つまりあやせが一番かわいいって事だよな

268:名無しさん@ピンキー
11/07/02 14:44:49.17 KVCipSDH
あやせとエロの親和性は異常

269:名無しさん@ピンキー
11/07/02 15:36:51.96 hr6vI6PH
原作中では一番遠ざけているのに…いやだからこそか

270:名無しさん@ピンキー
11/07/02 16:00:25.22 LD/Hs/3m
ハマると抜け出せない性癖だと自覚しているからこそ、エロに対して過剰に警戒するんだよ

271:名無しさん@ピンキー
11/07/02 17:10:19.26 X5sACPor
ごり押し対象のキャラがあやせじゃなくて心底助かった

272:名無しさん@ピンキー
11/07/02 18:46:04.51 efjr40xS
・「あやせと京介の夏祭り」
>>195の後編
・言うまでもなくあやせ×京介
・非エロ
・30レス程度

投下してもおkでしょうか?

273:名無しさん@ピンキー
11/07/02 18:52:48.45 BFB3YxHe
おk

274:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:04:13.02 lUlzk87w
>>261
>>247は荒しだったのか。
了解した。

275:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:06:50.47 efjr40xS
【後編】

はぐれちまった―その事実を噛み締めた次の瞬間には、
俺は携帯のメモリからあやせの連絡先を呼び出し、通話ボタンを押していた。
無機質な電子音が反復し、

「もしもし、あやせか?」
「お兄さん?今どこにいるんですか?」
「俺はあやせとはぐれた場所から動いてない。
 あやせの方こそどこにいるんだ?」
「分かりません。周りに見えるものも、似たような露店ばかりで、特徴がなくて……」

か細い声を聞きながらも、俺は安堵していた。
携帯で情報を共有しながら探せばすぐに発見できると、高をくくっていたのだ。

「とりあえず、何でもいいから目に着いたものを、」
「お兄さん?何を言ってるんですか?」

脈絡の無い遮り方から、最悪の事態を予想するのに、そう時間はかからなかった。
まさか―。

「俺の声が聞こえてないのか?」
「お兄さん、わたし、携帯の充電が……」
「あやせ、とりあえずそこから動くな。
 両方が好き勝手動いたら、入れ違いになることがあるかもしれない」

276:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:07:34.75 efjr40xS
ふつりと通話の線が途切れる。
俺の言葉が届いたかどうかは分からず終いで、
どちらかと言えば聞こえていなかった公算が大きい。
ああ、クソ。
俺を置いて勝手に歩調を早めたあやせに、
折悪しく二人の間に割って入った御神輿に、
そしてあやせとはぐれる可能性に思い至らず、暢気に携帯を弄っていた自分に腹が立つ。
俺は地理に暗い頭をフル回転させて、
おそらくはあやせが『俺とはぐれたことに気づいた場所』に赴き、

「朝顔模様の黒い浴衣を見た、俺と同い歳くらいの女の子を見ませんでしたか」

と聞き込み作業を開始した。
が、色好い反応は梨の礫、誰もが迷惑そうな顔をして、首を振るか、無視するか。
人波は休みなく流れ、時々刻々とあやせの目撃情報は失われていく。
巡回中の警官にあやせの人相と俺の電話番号を伝え、
見つけたら連絡してもらうようにお願いしたが、
往来にあふれかえる浴衣姿の女の数を考えると、とても期待できそうにない。

どうして、はぐれた時のために待ち合わせ場所を設定しておかなかった。
どうして、無理矢理にでも手を繋いでおかなかった。

後悔の濁流が逆を巻く。
俺の主観を抜きにしてもあやせは美人だ。
そんなあやせが一人、不安げな顔をして彷徨っていたら、悪漢の良い標的である。

277:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:08:18.73 efjr40xS
「絶対見つけてやるからな」

独りごち、駆けだした。
焦燥と熱気で既に全身は汗みずく、顎先から汗が滴り落ちたが、今は拭っている時間も惜しい。
唯一の救いは進路を邪魔するヤツが誰もいないことだった。
ハッ、女児向けアニメのヒロインを脇に抱えた汗まみれの男が全力疾走してきたら、そりゃあ誰でも道を譲るわな。
涼やかな眉宇。玉石のように濡れ光る両の瞳。
高い鼻梁。薄紅色の唇。処女雪の如き白い肌。
あやせの顔を脳裏に描きながら、大通りを何度も往復する。
……いない。
御輿の通り道になっている、脇道も探してみた。
喧噪を嫌う家族連れや老人と、寂れた屋台しか目に着かなかった。
どこか、見落としている場所でもあるのか。
まさか、あやせはもう……。
最悪の可能性が脳裏を過ぎり、背筋を冷たいものが滑り落ちた。
その時だった。

「イヤですっ!」
「そうは言ってもよぉ、嬢ちゃん。
 いい加減に折れてくれねえと、俺たちも困るんだわ」
「な、ちいっとばかし、車に乗るだけだからよ」

高く澄んだ拒絶の声と、低く野太い猫なで声。
視線を向ければ、路傍に小さな人集りが出来ていた。
屈強な男たちが人壁を造り、その近くには黒塗りのライトバンがアイドリング状態で停止している。

278:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:08:50.76 efjr40xS
思考が働くよりも先に、足が動いていた。
顔を見るよりも前に、名前を呼んでいた。

「あやせっ!」

ラッセルの要領で人壁をかき分け、輪の中心に躍り出る。
いた。やっと見つけた。

「お兄さんっ!」

憂いを帯びていた表情に、ぱっと大輪の花が咲く。
矩形の御影石に腰掛けていたあやせが、立ち上がりかけ、姿勢を崩す。
俺は駆け寄り、体を支えてやりながら、

「大丈夫か?何もされてないか?」

あやせはふるふると首を横に動かし、

「でも、転んで、足を挫いてしまったんです。
 お兄さんを探して走っているときに、下駄の鼻緒が切れてしまって……」

浴衣の裾から覗いた右足首は、確かに、少し腫れているように見えた。
怪我を庇いながら歩くことはできても、走って逃げることは難しそうだ。

279:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:09:41.21 efjr40xS
しゃーねえ、ここは一丁腹を括るか。
俺はあやせを一人で立たせ、居並ぶ悪漢どもをギロリと見据えた。
どいつもこいつも鋳型で作ったみたいに、豪腕、巨体、極道面の三拍子揃ってやがる。
土下座して見逃してくださいと懇願しても、たぶん、一顧だにしてくれないだろう。
無論、そんな情けねえマネをする気は端からないがな。
だって、あやせが見てるんだぜ?
それにさ、マンガの主人公みてえなセリフ、一度言ってみたかったんだよな。
『逃げろあやせ、こいつらの相手は俺がする!』ってな感じのセリフをよ。
俺は見よう見まねのファイティングポーズを取り、

「逃げろあやせ、こいつらの相手は―」
「遅かったじゃねえか兄ちゃん、こっちはアンタのことずっと待ってたんだぜ」
「へ?」

朗らかな笑みを浮かべた男どもに、べしべしと肩を叩かれる。
痛い、あの、マジ痛いっす、いやホントマジ痛いんで勘弁してください。
クスクス笑いに気づいて振り返れば、
おいおい、俺の決死の呼びかけが聞こえなかったのか?
あやせはその場から微動だにしちゃいなかった。

「ふふっ、おかしい」

おかしいって何が?

「お兄さんは勘違いをしています。
 その人たちは、お祭りの運営をしている方々ですよ?」

……マジで?

280:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:10:19.38 efjr40xS
「襲われてたんじゃなかったのか?」
「まさか。逆です。
 わたしが足を挫いて動けなくなっているところを、助けて頂いたんです」

愕然としたね。
人聞きの悪いこと言うでねえ、と呵々大笑する男たち。
年配の方が言った。

「足は見た感じ大事なさそうだが、こんなところでジッとしてるよりは、
 応急医のいる休憩所で、看てもらったほうがいいと思ってなあ。
 歩かせるのも酷だと思うて、車を手配したんじゃが、
 嬢ちゃん、絶対あんたが迎えに来てくれる言うて、テコでも動かなかったんじゃ」

手配した車とは、あのライトバンのことだろう。
冷静になって見返せば、男たちは全員、同じ町章入りのシャツを着ていた。
拉致寸前の状況は、完全な俺の脳内妄想だったらしい。
安堵と同時に、顔から火が出そうなほどの羞恥に見舞われた。
身を隠せる穴はどこにもなく、掘ろうにも悲しいかな、アスファルトの固さは如何ともし難い。

「さて嬢ちゃん、いい加減、休憩所に行かねえか。
 望みどおり兄ちゃんと合流できたんだ、一緒に乗りゃあいい」
「いえ、本当にお気遣いなく。
 ゆっくり歩く分には問題ありませんし、
 何より、休憩所で時間を潰していたら、
 せっかくお祭りに来た意味がなくなっちゃいますから」

281:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:11:40.01 efjr40xS
「……そうか。
 それじゃあ俺たちは見回りに戻るからの、後は任せたぞ、兄ちゃん」
「う、ういっす……痛てて」

最後に馬鹿力で俺の肩を叩き、男衆は散っていった。
はぁ、と深い溜息を吐いて、御影石に座り込む。
傍らにはブルーハワイのかき氷があった。
誰のだ、と尋ねると、

「さっきの方たちが、わざわざ買ってきてくれたんです」

至れり尽くせりだなオイ。

「これ、ちょっと食べてもいいか」
「か、構いませんけど……」

返事を訊くや、俺は一気にかき氷をかきこんだ。
うめー。冷てー。喉の裏側の痛みがたまんねー。
走り通しで疲弊しきった体に、水気と甘味の染みること染みること。
あやせは唖然たる面持ちで俺の食べっぷりを眺めていたが、やがて切なげに目を細めると、

「……すみませんでした」
「なんでお前が謝る?」
「あのとき、わたしがお兄さんから離れなければ、こんなことにはなっていなかったでしょう?」
「そもそも俺が余計なことを言ってなけりゃ、お前が俺から離れようともしてなかったはずだぜ」
「それを言うなら、お兄さんのセクハラ発言を軽く聞き流せなかったわたしに原因があります」
「いいや、調子に乗りすぎた俺が悪かった」
「いいえ、悪いのはお兄さんを調子づかせたわたしです」
「あやせに責任はねえよ。聞いて驚け。
 俺はお前が近くにいるだけで自然にテンションが上がってくる、特異体質の持ち主なんだ」

282:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:12:44.27 efjr40xS
議論は果てなく平行線を描くかに思えた。
が、あやせの一言が終止符を打った。

「じゃあ、言い方を変えます。
 迎えに来てくれて……ありがとうございました」
「お、おう」

謝罪の言葉は受け取れなくても、感謝の言葉なら受け取れる。
あやせはそっぽを向きつつ、

「一人になってからも、鼻緒が切れて身動きが取れなくなってからも、わたしは心細くありませんでした。
 お兄さんなら絶対にわたしを見つけてくれるって、信じてましたから」
「あやせ……」
「だって、前に言ってたじゃないですか?
 わたしの匂いなら1キロ先からでも分かる、とか。
 神経を研ぎ澄ませればわたしの心が読める、とか……」

わ、我ながらキモイな。
けど、そこまで言ったことあったっけ?
セクハラの限度は弁えてるつもりだが、ハッキリと否定できないのが俺が俺たる由縁である。

「まぁ、真面目な話……お前が危ない目に遭ってなくてよかったよ」
「お兄さんは、わたしがあの人たちに連れ去られかけていると思っていたんですよね?」
「恥ずかしながらな」

283:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:13:20.09 efjr40xS
「もし本当にお兄さんの想像どおりだったら、どうしていたんですか?」
「どうしていたも何も、そりゃあ、お前を助けようと頑張ってたんじゃねえの。
 つーか、あの輪の中に飛び込んだ時点で、逃げ場はどこにも無かったんだ。
 最初から覚悟は出来てたさ」
「お兄さんには勝てる自信が?」
「いいや、からっきし。
 俺の親父は警官で、しかも柔道の有段者でさ。
 ガキの頃に基礎だけしっかり叩き込まれたんだが、今じゃ全然思い出せねえ。
 喧嘩に関しちゃ、俺は素人だよ」
「じゃあ覚悟というのは、ぼこぼこにされる覚悟……?」
「多勢に無勢でも、時間稼ぎくらいできるだろ。
 その間にお前が逃げられたらいいな……って、そんなのは今だから言えることだよな。
 あの時は何も考えちゃいなかった。無心の行動ってヤツだ」
「はぁ。お兄さんって、本当に馬鹿ですね」

お前な、ここは普通「お兄さんカッコイイ!素敵!」って言う場面じゃねえの?

「いいえ、馬鹿です。
 相手が相手なら、大怪我を負わされていたかもしれないんですよ?
 周りの誰かに応援を求めないで、一人で突っ込んでくるなんて……。
 ふふっ、大馬鹿以外の何者でもありません」

バカバカうるせぇな。
しかし辛辣な言葉とは裏腹に、あやせは妙にご機嫌である。
俺を罵倒できるのがそんなに嬉しいのかね。
お兄さんちょっと複雑な気分だわ。
というわけで(?)、俺はついさっき気づいた衝撃の事実に、
いささかセンセーショナルな脚色を加えて披露することにした

284:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:13:56.25 efjr40xS
「ところでこのかき氷、あやせの食べ残しだよな?」
「急に何を言い出すんですか?」
「食べ残しだよな?」
「そうですけど、それが何か?」

それが何か?それが何か、だと?
俺があやせの食べ残しを食べている。
それが意味するところは一つ。

「……間接キスだ」

ふははは。今まで失念していたのだろう。
ついうっかり、俺にかき氷を食べる権利を与えてしまったのだろう。
が、後悔しても時既に遅し!

「そうですね。お兄さんの言うとおりです」
「え?」
「それで、間接キスだから、どうかしたんですか?」

オー、ジーザス。俺は夢を見ているのか?
でなければ現代に起こった奇跡を目の当たりにしているか、だ。
あやせが俺との間接キスを認めている?
まさか。いやいや、有り得ない。
怒りで顔を真っ赤にしたあやせに、「変態!」「死ね!」とエッジの効いた暴言と暴力で虐げられるのが、
俺の描いていた未来予想図(的中率97%)だったというのに……いったい何がどうなってやがる?

285:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:14:46.23 efjr40xS
「少しは、多めに見ることにしたんです」

あやせは顔を怒りで真っ赤にする代わりに、ほんのりと頬を桃色に染めて、

「金魚すくいのコツを教わったり、お化け屋敷に付き合ってもらったり、
 はぐれて身動きの取れないわたしを探しにきてもらったり……。
 今日一日で、お兄さんにはたくさん借りが出来てしまいました。
 ですから、少々の変態的行為には目を瞑ろうかと。
 あくまで今日一日だけ、ですけど」

あーハイハイ、そういうことね。
つーか、何でもないことのように言っておきながら、
やっぱりあやせの中では、間接キスは変態的行為に属してるのな。
俺はかき氷の空容器を近場のゴミ箱に放りつつ立ち上がり、

「どこまでセーフで、どこからアウトなんだ?」
「そうですね……」

あやせは人差し指を唇に添えて思案のポーズになり、

「お兄さんからわたしに触れるのはNGで、わたしからお兄さんに触れるのはOKです」

なんだそりゃ。
意味を理解できないでいると、早速あやせは宣言を実行に移してきた。
右腕が手繰り寄せられる。
お化け屋敷の終盤、暗闇の中でしていたように、
しかしあの時よりも締める力は優しく、あやせは俺と腕を組んだ。

286:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:15:18.86 efjr40xS
「か、勘違いしないで下さいね」
「挫いた足首に負担をかけないようにするため、だろ?」
「……物わかりが良くて助かります」

正鵠を得ていたにも関わらず、あやせの唇はツンと尖っている。
やはり詮無い理由があるとはいえ、俺の腕を借りることには、忸怩たる思いがあるんだろう。
柔らかな感触に諸手を挙げて大喜びしたいところだが、
今は余計な刺激を控え、寡黙な杖役に徹するのが得策か。
可惜身命、触らぬ神に祟りなし。

「……ところで、足首はどのくらい痛むんだ?」
「ほんの少しです。お兄さんを支えにしていれば、ほとんど痛みは感じません」
「それでも、痛みは歴とした体の危険サインだぜ。
 当て所なく練り歩くのは、やめといた方がよさげだな」

ぬいぐるみの位置を整え、腕時計を見る。
九時三十分前、か。
ちょいと気が早いかもしれないが、

「花火が見える場所に移動しないか?」

早く行けば見晴らしの良い場所が取れるかもしれないし、
あやせが座って休めるようなベンチが見つかるかもしれないぜ。

「……実は、さっきの方々が教えてくれたんですけど……」

とあやせは耳許に囁いてきた。

287:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:15:56.93 efjr40xS
「な、なんだ?」

耳たぶに触れる吐息がこそばゆい。

「地元の方も知らない、秘密の見晴台があるそうです。
 お兄さんを待っている間に、地図を書いて頂きました」

あやせはハンドバッグから半紙を取り出し、見せてくれた。
限りなく抽象化された街の縮図を読み解く。

「ここから、そう遠くないみたいだな」

街路の混雑、あやせに配慮した徒歩を加味しても、20分ぐらいで着けそうだ。
しっかし……本当にそんな場所があるのかね。

「あの人たちは、嘘を吐くような人たちじゃありません」
「嘘だとは思っちゃいねえが、ただ、なんとなくイメージが出来なくてな」
「何でも、一見すると入るのを遠慮したくなるような建物らしいですよ」

どんな建物だよ。魔窟か?
あやせはクスリと笑んで言った。

「とりあえず行ってみませんか。一件は百聞に如かずとも言いますし」

さて、そんなこんなで歩くことしばらく、
人気のすっかり希薄な脇道をさらに逸れ、
街灯の明かりさえ乏しい小径を突き進み、
野良猫の寝床と化した隘路をそろりそろりと通り抜けた俺たちの目前に現れたのは、
想像していた魔窟よりもずっと現実的かつ退廃的な建物であった。

288:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:16:31.60 efjr40xS
「廃ビル、ですね」
「廃ビル、だな」

かれこれ十数年は放置されている感じだな、この廃れ具合は。
入り口は当然のことながら閉鎖されていて、
駄目元で裏手に回ると、搬入口の扉の鍵が開いていた。
中は暗く、埃っぽかった。
採光窓から差し込む月明かりが、唯一の光源だった。

「どうする?」
「どうするって、ここまで来たのに引き返すんですか?」
「や、お前が心配で聞いてんだよ。あやせは怖くねえのか?
 雰囲気的に、マジモンのお化けが出てもおかしくないような場所だぜ、ここ」
「ふふっ、わたし、気づいちゃったんです。
 どんなに怖いお化けでも、触れられるなら、暴力でなんとかなるってことに」
「お前はもう二度とお化け屋敷に入るな」

調度の類が何もない一階を見回る。
当然のことながらエレベータの電源は落ちていてた。

「屋上に出るには、階段を使うしかなさそうですね」
「でも、それじゃあお前の足がもたないだろ」

平素の徒歩と階段の上り下りじゃ、かかる負担も段違いだ。

289:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:17:22.06 efjr40xS
「どうしましょうか」

俺の腕を掴むあやせの手に、力が籠もる。

「方法はふたつある」
「ふ、ふたつもあるんですか?」
「まあな。知りたいか?」
「知りたいです。それで本当に、屋上に上がれるなら」

俺はもったい付けて言ってやった。

「あやせ、俺にお姫様だっこされるのと、おんぶされるのと、どっちが良い?」

「どっちもイヤ」―予想していた返事はいつまでも聞こえずに、

「……おんぶの方が、まだマシです」

声の震えから、相当、苦渋の決断であったことが伺える。
俺は組んだ腕を解き、あやせの前に進み出て、身を屈めた。

「言っとくけど、下心はねえからな」
「嘘つき」

見破られるの早ッ!

290:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:18:07.40 efjr40xS
見破られるの早ッ!
取り繕っても仕方ないと判断し、開き直ることにする。

「……ああ、嘘だ。
 けどな、女の子を心の底から荷物扱いできる野郎なんていねえっての」

相手がお前なら、なおさらな。

「ほら、さっさと乗れ。花火が始まっちまうぞ」

刻限を知らせたことが上手く作用したのだろうか、
あやせは怖々といった様子で俺の肩に触れ、徐々に体を預けてきた。
後ろに手を回し、薄い浴衣の生地に包まれた太股を支える。
豊満な果実が二つ、背中で潰れるような感覚があった。
あやせは何も言わなかった。
俺も何も言わなかった。
実際に階段を昇り始めると、あやせの感触を味わう余裕が無きに等しかった、というのもある。
とにかく一歩一歩が辛い。苦しい。
おっと、別にあやせの体重にケチを付けているわけじゃねえぞ。
俺は自分の体力不足を嘆いているだけだ。

「……大きいですね、お兄さんの背中」

と不意にあやせが言った。

「そりゃあ、女のお前と比べると大きいだろうよ」
「そういう意味で言ったんじゃありません」

じゃあどういう意味で言ったんだ、と尋ねようとしたとき、強烈な既視感が脳裏を掠めた。
この状況、この会話。
全てに共通する出来事があったはずだ……。

291:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:19:16.13 efjr40xS
「ああ」

思い出した。

「桐乃だ」
「桐乃がどうかしたんですか?」
「昔々に、家族で祭りに出かけたことがあったんだ。
 どこの祭りかは忘れちまったが……とにかくすごい混雑で、
 気づけば、隣にいるはずの親父とお袋がいなくなってた。
 手を繋いでたおかげで、俺と桐乃ははぐれずにすんだ」
「それから、お兄さんと桐乃は?」
「必死に親父たちを探したよ。
 けど、あの頃の俺はガキで、桐乃はまだ小学生にもなってなくてな、
 死ぬほど心細くて、俺が泣きそうになったとき……桐乃に先を越された。
 道ばたに座り込んで、わんわん泣いてたっけ、あいつ。
 それを見てたら、『俺がなんとかしねえと』って気持ちが沸いてきてさ、
 俺は桐乃をおぶって、迷子センターを目指したんだ」

道中、桐乃は言った。

『お兄ちゃんのせなか、おおきいねぇ』

俺はこう答えた。

『桐乃の背中にくらべたら、大きいに決まってるだろ』

すると桐乃は、俺の背中をぽかぽかと叩いてこう言った。

『そういうイミで言ったんじゃないもん。
 お兄ちゃんにおんぶしてもらったら、あんしんするってイミだもんっ』

292:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:20:00.21 efjr40xS
言葉の意図が同じだとすると、もしかしてあやせも、
あの時の桐乃と同じ感想を懐いてくれているのだろうか。
はは、まさかな。
そいつは希望的観測が過ぎるぜ、京介。

「……羨ましい」
「何か言ったか?」
「じ、時間が惜しい、と言ったんですっ。
 お兄さんは階段を昇ることに専念してください」

ほらな。
やっぱりあやせは、一刻も早いおんぶからの解放を望んでいるんだよ。
俺は気合いを入れ直すべく、あやせを抱え直した。

「きゃっ……」

艶やかな声が漏れた。
俺の手は計らずとも、あやせの水蜜桃の如きお尻をわしづかみにしていた。
いや、マジでわざとじゃないって。
揉みしだきたい欲求と格闘すること数秒、

「お兄さん?」

冷えた声が耳朶を刺す。
ああ、分かってる。聞き苦しい言い訳をする気はねえよ。
疑わしきは被告の"不利"なり。
情状酌量の余地はなし。
新垣大法廷の判決は、今日も今日とて事もなし。

293:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:21:28.62 efjr40xS
「……本当に展望台みたい」
「……最高の見晴らしだな」

屋上に通ずる扉を開くと、二人して思わず息が漏れた。
痛む後頭部を撫でさすりつつ(原因が何かは言わずもがな)錆びた鉄柵に歩み寄れば、
眼下には祭りの賑わいが、彼方には夜空を写し取ったかのような、河川の暗い輝きが見えた。
高さ、距離ともに、望楼としては申し分ない。
それから、夜風を浴びて待つこと数分、

「あっ」

と傍らのあやせが喉を鳴らした。
黒洞々とした満天に、色鮮やかな花が咲く。
遠雷のように低い音が、わずかに遅れて鳴り響く。
綺麗だな、と感心する一方で、桐乃も見たかっただろうな、と家で寝込んでいる妹のことを思った。
眺めている間は腕組みをする必要がないと思ったのか、あやせの腕から力が抜ける。
一抹の寂しさが去来し、次の瞬間には、戸惑いが胸中を占拠していた。
手の甲に触れるあやせの手。
反射的に握ると、ややあって、あやせも握りかえしてくる。

「わたしは―ときどき分からなくなるんです。
 お兄さんが、悪いお兄さんなのか、良いお兄さんなのか」
「今のところ、俺はあやせにどう思われてるんだ?」
「教えません。教えたら、お兄さん、きっと調子に乗っちゃいますから」

その言い方だと、答えを言ってるも同じだぜ。
まあ、ちっとは見直してくれたってことか。

294:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:25:29.23 efjr40xS
あやせは言った。

「お兄さんはどうして……最初に会った頃のお兄さんを演じ続けなかったんですか?」
「最初に会った頃のお兄さん?」
「ですから、その……常識的な妹想いで、気持ち悪いことを言わない……普通のお兄さんです」

裏を返せば、今の俺は倒錯的なシスコンで、
口を開けばセクハラ発現をする変態兄貴だと思われている、ということだ。
所詮は自分で蒔いた種、望み通りの結果だがな。
俺は言った。

「良い部分と悪い部分、全部ひっくるめて俺なんだよ」
「悪い部分を、わたしの前で隠すことはできるじゃないですか。
 そうすればわたしも……わたしだって……」
「あやせは誰かに嘘を吐かれるのが、何よりもイヤなんじゃなかったのかよ」
「それは、そうですけど」
「俺が常に良いお兄さんでありつづけるのは、俺がお前に嘘を吐き続けるのと同じだぜ」
「…………」

黙りこくるあやせ。
俺はこれからも、妹と愛の証を収集する変態として、臆面もなくセクハラ発言する畜生として生きていく。
桐乃とあやせの関係を繋ぐための、必要不可欠な人柱として。
数秒の沈黙をおいて、あやせは花火の音圧に潰されそうなほど、小さな声で呟いた。

「……ひとつ、お兄さんにお願いがあります」
「なんだ?」
「今から花火が終わるまでの記憶を……後で必ず忘れると、約束してもらえますか」

そいつは無理な相談だな、と思いつつも、
切実な眼差しを向けられて、俺は首を縦に振ってしまう。

295:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:27:49.22 efjr40xS
双眸に目もあやな夜空の光を浮かべながら、あやせは言った。

「……わたしは、お兄さんみたいなお兄さんが欲しかった。
 困っているときに、いつも助けてくれる……そんなお兄さんがいる桐乃が、羨ましかった」

冗談はよせよ、俺なんかを兄に持てば、度の過ぎた愛情を注がれた挙げ句、
近親相姦モノの薄い本を一緒に集めるハメになるんだぜ―そう言いかけて、改める。

「お前が桐乃の親友でいてくれる限りは、お前も俺の妹みたいなモンだ」
「それだけ、ですか?」
「どういう意味だ?」
「お兄さんにとってわたしは、それだけの存在でしかないんですか?」

おかしいな。
俺の自惚れじゃなけりゃ、あやせがそれ以上の関係を望んでいるように聞こえるんだが。

「わたしのことを愛してる、とか……わたしと結婚したい、とか……全て、冗談だったんですか?」
「そ、それはだな……」
「桐乃を性的な目で見ているお兄さんが本当のお兄さんなら、
 その言葉も本心から出たもの、ということになりますよね」
「う……」

痛いところを突いてきやがる。
一方の命題を真と言えば、他方の命題もまた同様に真と認めることになる。
自分が言った嘘に、自分自身が縛られる……まるっきり狼少年の末路じゃねえか。
答えに窮する俺に、あやせは静かに言葉を重ねた。

296:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:30:06.69 efjr40xS
「わたしは嘘が嫌いです。大嫌いです。
 でも、自分のために吐く嘘じゃなくて、誰かのために吐く優しい嘘になら……騙されても構いません」

あやせは暗にこう言っていた。
二つの命題のうち、一つは確実な偽であることを知っています、と。
何の因果か俺は今、妹を性的な目で見ているという体面を保ったまま、
あやせに告白してオーケーをもらえるかもしれない状況に立っていた。
なのに。

「…………」

好きだ、の一言が出てこない。
馬鹿野郎、さっさと言え。
愛している、結婚しよう、と軽々しく求愛していたのはどこのどいつだ。
不意に空気の震えが止まり、痛いほどの静寂が辺りを満たす。
時間切れ、か?

「……お兄さんの意気地なし」

落ち着いた非難の声が、胸に深く突き刺さる。
俺は恐る恐る隣を見て……次の瞬間に、かつん、と前歯に何かがぶつかる音を聞いていた。
ふっくらとした感触と、湿った体温を俺の唇に残して、あやせはそっと体を離す。
俺が嘘つきなら、お前は天の邪鬼だ。
華やぐ笑みで「死ね」と言い、蔑みながらキスをする。

297:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:34:10.86 efjr40xS
「……っ……はぁ……」
「おま……花火はとっくに終わって……」
「いいえ……まだ、終わってません……」

ひゅるるるる、と甲高い音が空を裂き、あやせの言葉を証明する。
無数の火花が描いたのは、祭りの終わりを締めくくる『Fin』の文字。
あやせは半ば惚けた表情で言った。

「……約束、守ってくださいね」

記憶を任意に消去できるほど、人間の脳味噌は便利に出来ちゃいない。

「もし桐乃に話したりしたら……」

きらり、とあやせの目が光る。
俺は慌てて言った。

「言わねえっての。
 言ったらお前よりも先に、桐乃本人から殺されそうだ」

全ては、真夏の夜の白昼夢。
それを否定する材料は、今や唇に残った感触のみで、それさえも時間が経てば消えてしまう。
その前に、と俺は言った。

「好きだぞ、あやせ」

今更ですか、とあやせは答えた。

「知ってますよ、お兄さん」

機を逸した愛の言葉は、至極あっさりと聞き流された。
それでも、その時あやせが浮かべた笑顔を―俺は一生、忘れないだろう。

298:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:35:38.06 efjr40xS
さて、この話にはオチがある。

それから俺たちは睦言を語り合い、
口づけを交わす間に生まれたままの姿になり、屋上の一角で情事に耽る……こともなく、
風上から運ばれてきた、火薬の臭いに追われるようにして、屋上を離れた。
あやせに腕を貸しつつ駅に辿り着き、
家からの最寄り駅で、迎えの車にあやせを預け、
自転車を漕ぎ漕ぎ自宅に到着、シャワーで汗を流して今に至る。
コンコン。

「……誰?」
「俺だ。さっき帰ってきた」
「いいよ、入って」

許可を得て部屋に入ると、
桐乃は俺が出かけた時と同じように、ベッドで横になっていた。

「お祭り、楽しかった?……てか、後ろに持ってるの、何?」

俺は最初の質問には答えず、桐乃へのお土産を披露する。

「ウソ……メルルの縫いぐるみじゃん……しかも超おっきいし……どこで手に入れたのっ!?」
「体に障るから興奮すんな。
 あやせがクジ屋で当てたんだ。お前へのプレゼントに、だってよ。
 今度会ったらお礼言っとけ」
「うん、分かった。分かったから、早く貸して!」

299:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:36:12.44 efjr40xS
病人とは思えねえ喜びぶりだな、オイ。
病は気から、って言葉もあるし、メルルが特効薬になれば言うことはないんだが……。

「…………」

どうした、いきなり黙り込んで。
桐乃は何を思ったか、メルルの股間に顔を押しつけると、俺とメルルを交互に見比べ、

「なんで兄貴の……」

と言いかけ、慌てて

「この子、超臭いんですケド」

と言い直した。
ああ、それにはちゃんとした訳がある。

「歩いてる間はずっとそいつを肩車してたからな」
「じゃあこの子に染みついてるのは、兄貴の汗ってコト?」

肯くと、桐乃は思い切り顔をしかめて、

「しっ、信じらんない!
 なんで袋に入れるとか、どこかに預けとくとか考えなかったワケ!?」
「うるせーな、洗えば済む話だろうが。
 こっちに寄越せ、潔癖症。
 明日、お袋が出かけてる間にでも洗っておいてやるからよ」
「いい」

はぁ?

300:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:36:57.58 efjr40xS
「洗ったりしたら、この子の形が崩れちゃうかもしれないじゃん」
「じゃあ、クリーニング屋に持って行ってやる。
 洗濯のプロなら上手く洗ってくれるだろ」
「じ、自分で持ってく」
「外出できないくらい熱があるくせに、何言ってんだ。
 俺が持って行ってやる。
 お前が寝てる間に、メルルは綺麗になって戻ってくる、それでいいだろ」
「うっ、うるさい!もうあんたは出てって!」

八重歯を剥いて威嚇する桐乃。
さっきまで臭いと言っていたぬいぐるみを、今は俺から守るようにして抱いている。
やはり高熱で譫妄状態にあるのかもしれん。
ここは大人しく退散したほうが良さそうだ。

「じゃあな。ゆっくり休めよ」
「うん……」

俺は最後に額を合わせて熱を測り、以前よりも温度が上がっていることを確認して、部屋を出た。
このまま熱が引かなければ、朝一で病院に連れて行くことも考えないとな。
自室に戻り、ベッドに横になったところで、電話がかかってくる。
発信者の名前を見てから、通話ボタンを押した。

「赤城か?どうした?」
「おう高坂、今お化け屋敷のバイトが終わったところだ」
「そっか、そいつはご苦労さん」

で?

「で、じゃねえだろ。
 お前俺のメール読んでなかったのか?」

301:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:37:50.09 efjr40xS
ああ、そういや俺とあやせの関係を問い質すメールが届いていたっけな。

「あんな可愛い子と、どこで知り合ったんだ?」
「妹の友達だ。初めて会ったのは、一年くらい前だな」
「お前の妹って、確か瀬菜ちゃんの一つ下だろ?
 あの顔と体で中三って……お前の妹といい、その子といい、後輩の子といい、
 どうしてお前の周りにだけ反則級の美人が集まってくるんだ?
 あ、いや、もちろん田村さんも含めてな」

知るか。あと麻奈実をとってつけたように扱うんじゃねえ。
赤城は急に真面目な声になって訊いてきた。

「お前とその子は、いつから付き合ってるんだ?結構長いのか?」
「なあ、赤城」
「なんだよ。もったい付けるなって」
「俺はあやせ―その子の名前な―とは付き合ってない。
 今日は妹とあやせと俺の三人で祭りに行くつもりだったんだけどな、
 妹が熱出して行けなくなったから、二人で行くことになった、それだけだ」

「なんだよ、高坂に先越されたかとビビっちまったじゃねえか」と赤城は安堵の笑いを響かせることもなく、

「おい水臭ぇぞ、高坂。
 俺とお前は、秋葉のエロショップを一緒に巡った仲なんじゃなかったのかよ?」
「は?何言ってんだお前」
「しらばっくれても無駄だぜ。いいから本当のことを言えよ」
「いや、付き合ってねえものは付き合ってねえし」
「残念だ、高坂。
 お前のことは、何でも話せる、気のおけねえ親友だと思ってたんだがな……」

ふつりと通話が途絶える。
最後の方が涙声になっていたのは気のせいか?

302:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:40:23.31 efjr40xS
ふつりと通話が途絶える。
最後の方が涙声になっていたのは気のせいか?
腑に落ちない点はあるものの、考えても仕方ないと思い、ベッドに横になる。
目を瞑ると、廃ビルの屋上での記憶が再生された。
あやせとキスをした今となっても、あやせと付き合うことは、上手く想像できない。
あやせは俺に好意を懐いてくれていて、一方で桐乃を脅かす存在として敵意を懐いている。
しかし俺が桐乃を性的な目で見ているというのは、
あやせと桐乃の仲を取り持つための、いわば自分を犠牲にする嘘であり、
あやせはその嘘を看破していることを、言外に臭わせていた。

つまり、何が言いたいかと言うとだな。

桐乃がオタク趣味から足を洗うか、
あやせが桐乃のオタク趣味を完全に認めるまで、
俺が嫌われ役、あやせが桐乃の守護者役のスタンスは崩れない、ということである。
あやせの俺への好意が、桐乃との友情より優先されるほど、強いものかどうかも分からないしな。
例外があるとすれば―屋上であやせが設けたような、『記憶に残さない秘密の時間』くらいだろうよ。

次の再会を夢見ながら、いつしか俺は、本当の眠りに落ちていた。

あやせに腕を貸しながら駅に戻る道中を、
お化け屋敷を片付け中の赤城に、イベント帰りに花火だけ見に来た加奈子とブリジット、
普通に祭りを楽しみに来たゲー研一同および黒猫三姉妹および田村一家に、仕事の息抜きに来た御鏡と藤真社長、
果ては出会いを求めて彷徨っていたフェイトさんに目撃されていたことを、当然、知る由もなく……。


おしまい!

303:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:56:14.76 efjr40xS
一応ですが

>>167~ の「あやせと京介の夏祭り」



>>60~ の「もしも京介が黒猫の告白を断っていたら」

の話と繋がりはありません
つまり京介は浮気してません

304:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:11:13.84 h5q3WooV
>>303
面白かった
ただ、ここはエロパロなのでエロいと尚よし

次はエロも入れるように。

305:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:14:03.12 it9nkGkw
>>303
面白かった

じゅうぶんエロかった。

306: 忍法帖【Lv=7,xxxP】
11/07/02 20:14:55.13 SMVbNa35
>>303
断っていたら~も面白かったけどこれもよかった。乙
キャラがちゃんと把握できてるのがよくわかって自然に読めた

あやせは今の立場のままだとどうしても切ないことになっちゃうからなあ
原作で何かしらの救済があることを願う

307:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:21:30.90 CMsP0KkO
>>303
文句なしに面白かった
だから前にも聞いたがVIPで何書いてたか教えろ

308:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:37:12.69 zuNs2pbQ
>>303
GJ!
あやせ可愛すぎる
てか桐乃がクンカたんにw

309:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:37:45.56 ouR+YdIa
エロほしい

310:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:48:59.40 lUlzk87w
おもしろかった!
良いモノ書いてくれてありがとう♪

311:名無しさん@ピンキー
11/07/02 22:27:17.61 ne2PHgMd
>>303 上手かった。vipのリトルプリンセスとか書いてた人?

312:名無しさん@ピンキー
11/07/02 22:34:02.28 ms3eRWpj
>>303
GJ!!

スレの流れがおかしくなってもココに居続けて良かったわ

313:名無しさん@ピンキー
11/07/02 22:34:37.41 VLs8hzVR
>>303
GJ!
次は他のキャラも書いてほしいなーなんてw


314:名無しさん@ピンキー
11/07/02 22:41:02.62 sgCZNjId
あやせの一歩リード乙!!

それはそうと>>299で、「兄貴の匂いに混じって、女の匂いがする…」
という修羅場を想像した俺は、どうやら心が汚れてるようだ
あやせと二人で行くって分かり切ってるのにorz

315:名無しさん@ピンキー
11/07/02 22:57:57.74 X5sACPor
GJです

316:名無しさん@ピンキー
11/07/02 23:15:43.01 efjr40xS
>>307
VIPでは色々書いてました
最初に書いたのは京介があやせを家庭教師する話

>>313
次は黒猫とのカップリングを書きたいと思ってます
やっぱりエロパロなので今度こそエロ有りで

317:名無しさん@ピンキー
11/07/02 23:43:20.52 zxd1ivZd
>>316
今から読むけど楽しみにしてたわ!
乙!


wikiで何個か作品が削除されてるけど大丈夫かね

318:名無しさん@ピンキー
11/07/02 23:44:07.91 ms3eRWpj
>>316
あぁ、やはり貴方だったのか…
VIPでの偽9巻の続き、今でも待ってますよ~w

319:名無しさん@ピンキー
11/07/02 23:46:42.56 PLT9HFJf
>>303
おつかれさまー
あやせと京介がお互いギリギリのところを探りながら会話するのが良いね。
二人きりになれるシチュエーションが必要なのは分かるけど、廃ビルってのは・・・。
あと、いろんな人に目撃されてたってんなら後日談とかあればもっと良かったのに。
次回作も期待してます。

320:名無しさん@ピンキー
11/07/03 00:00:53.13 HOA4p7ip
>>316
このスレのSS全部読み飛ばしてたけど、まさか偽シリーズの人だとは!!
今からスレ遡って全部読んでくる!

321:名無しさん@ピンキー
11/07/03 00:14:00.38 GGBHtVYA
>>316

せっかく過去作で良い伏線作ってんだからそれをもっと全面に出して欲しい。
契約に縛られて右往左往する人々が、その上で関係を構築するために四苦八苦するドタバタが読みたい

322:名無しさん@ピンキー
11/07/03 02:09:56.63 YROuazp8
アンチSL氏の荒らしが酷いな…
何この自演レスの山は

323:名無しさん@ピンキー
11/07/03 02:17:18.11 Hu5RYi+S
久々にその名前聞いたわw
この書き手さんSLよりよっぽどうめぇから

324:名無しさん@ピンキー
11/07/03 02:37:36.78 l5Ka83gk
もういいだろその話題は
専用スレでやってくれよ

325:名無しさん@ピンキー
11/07/03 02:56:13.25 YavOvgbS
この作品みてると今日も一日頑張れる気がする

ていうかあやせいればなんでもおk



326:名無しさん@ピンキー
11/07/03 04:57:05.30 JrCwrkxM
ちなみに>>316さんの過去作
URLリンク(morikinoko.com)

今まで色んなSS見てきたけど、個人的にSS書き手の中で↓書いた人と316さんのふたりが最強だと思う

キョン「かまいたちの夜?」
古泉「またバイトwwうぜぇwwおらっw」ハルヒ「はうぅ…」
古泉「涼w宮wハwルwヒwのw反w転w」長門「おー!」
朝比奈「キョン君…だめ…だめえ……」
アカギ「『希望』の船、か。ククク、悪い冗談だ」
アカギ「いいだろう…渡ってみせよう、その鉄骨」
インデックス「ご飯くれるとうれしいな」一方通行「あァ?」
インデックス「お腹がすいたんだよ」一方通行「そォか」
インデックス「行こ!あくせられーた!!」一方通行「…おォ」
上条(悪)

327:名無しさん@ピンキー
11/07/03 06:05:31.67 nnzOWEhW
>>316
今更ながらGJ!
死亡フラグガンガン建っててワロタw

328:名無しさん@ピンキー
11/07/03 07:15:08.95 qTeqOiZM
SL氏GJ!

329:名無しさん@ピンキー
11/07/03 09:22:17.73 mLMgl1l+
>>316
偽シリーズの人が来たと聞いて飛んできた。
原作よりちょっとウェットな感じが魅力的。

9巻(偽)第二章ってまだ欠番だよね?
首長くして待ってるよ。

330:名無しさん@ピンキー
11/07/03 12:12:00.63 jb5EBUD8
要はあやせかわいいってことだな

331:名無しさん@ピンキー
11/07/03 13:45:24.50 965S52t+
ちょろせだしな、SS書きやすいキャラではある

332:名無しさん@ピンキー
11/07/03 15:44:34.18 YbULJ/Mz
ぐじょぐじょ甘甘な作品がないあやせたんの不思議

333:名無しさん@ピンキー
11/07/03 17:10:19.97 3vAwZCah
あやせの魅力はスリルだからな

334:名無しさん@ピンキー
11/07/03 20:40:45.45 eFEbckry
>>333
スリルのサビが脳内再生された

335:名無しさん@ピンキー
11/07/03 20:52:37.18 W3/cFdQb
あやせと加奈子の3Pが読みたいんだーぜ

336:名無しさん@ピンキー
11/07/03 22:25:57.39 h2h3DuIX
あやせはスリル(瞳孔)・ショック(着信拒否)・サイエンス(ライター)

337:名無しさん@ピンキー
11/07/03 23:13:51.10 9BEhsyqN
>>335
黒猫とあやせの3Pだろjk
黒髪での髪コキとか好きだろ?

338:名無しさん@ピンキー
11/07/04 01:08:36.78 Q265n1lc
既に黒猫じゃあ需要無いよ

339:名無しさん@ピンキー
11/07/04 01:15:57.05 WB5FDi53
今まで色んなSS見てきたけど、個人的に全SS書き手の中でSLさんが最強だと思う

340:名無しさん@ピンキー
11/07/04 02:32:21.28 9JKqPGlG
>>316 あやせに家庭教師する話大好きです。vipにある作品の中では一番に。次回作も楽しみにしています。あやせがヒロインなら尚嬉しい。

341:名無しさん@ピンキー
11/07/04 15:17:28.61 C1EN5wB3
まさか偽の人が帰ってきていたとは。
本編を脅かしかねんほどの実力の人だから正直嬉しい。
あやせ可愛すぎるわ。


342:名無しさん@ピンキー
11/07/04 15:39:06.29 bCJiYyQX
本編ってまだ続くの?

343:名無しさん@ピンキー
11/07/04 19:50:53.35 X4xjdQJT
エロカワ先生…
早く帰ってきて…

エロカワ先生での雌奴隷調教される沙織が見たかったのに…

344:名無しさん@ピンキー
11/07/04 19:52:37.17 GN0eNQDm
お前の自演病は死ななきゃ治らねーなSL

345:名無しさん@ピンキー
11/07/04 20:16:16.96 YNNy2n1y
投下します。
前スレの「秘密の関係」の続きで、回想の時系列としては六巻あたりです。
エロ描写無し、下品なネタ多めのギャグです。
計20レス、ほとんど台詞なうえ冗長ですがご了承願います。

346:名無しさん@ピンキー
11/07/04 20:17:37.31 vmV+P0cK
支援

347:秘密の関係 16/35
11/07/04 20:19:02.01 YNNy2n1y

 ……これでわかっていただけたと思う。
俺が黒猫の胸を触りたがった理由も、ついでにわかっていただけたと思う。
 誤解を恐れずに言うが、俺はあやせに指一本触れちゃいない。指一本、触れさせてもらえない。
俺が一晩かけて立ち直り
(妹の罵詈雑言に微かな喜びすら感じる男が、あやせの暴行などで再起不能になったりはしないのだ。
「むしろお得じゃね? 俺ってすっげえ恵まれてんじゃね?」という程度の発想転換は容易い。
男だてらにビッチお兄さんと日向ちゃんに呼ばれてはいないのである……あの年頃の子供って恐ろしく鋭いからなぁ)、
爾来週二三回くらい、桐乃の居ぬ間を見計らって押しかけられるようになったわけだが、
勉強(DVDって実用目的で真剣に観ると全然興奮しねえのな。理性さんまじパネェ)も
深爪(桐乃にあからさまにキモがられ、お袋にはめっちゃにやにやされ、
それから親父が妙に優しくなった。俺ってどんだけ家族になめられてんだよ)も徒労だった。
あやせは俺になにもさせてくれないのである。
毎度毎度「触ったらブチ殺しますよ? にぎりつぶしますよ?」と事前に釘を刺す。
それでもちぢみあがらないのが我ながら不思議なものだ。
あやせの機嫌が悪い日なんか、ベッドに四肢を縛り付けられもした。



348:秘密の関係 17/35
11/07/04 20:20:22.93 YNNy2n1y
 俺がマグロ暮らしに適応して行くにつれ、あやせも俺の扱いに熟達して行った。
「てめーどこでンなテク覚えたんだ」
と俺が嫉妬剥き出しで問うと、少女向けの雑誌に書いてあったという。
『処理』を効率よくするために、勉強したのだという。
その後あやせの持ってきた雑誌を見せてもらったが、
オタクどもが現実の女性をばいた(←なぜか変換できない)と見なし、
二次元の世界に没入する気持ちがわかった気がした。
二次元よりこっちを先に規制すべきじゃないのかとさえ思った。
ようはエロ雑誌顔負けの内容である。気違い読本である。
 恋愛は小説の子であるとはいうものの、
この手のイカれた記事を鵜呑みにするやつはさすがにいないだろうと以前まで俺は思い込んでいた。
ところが世の中にはあやせみたいな思い込みの激しい女の子がいるものだ。
「お兄さんの変態なご趣味に、つきあってあげてるんです」
そうしれっと主張するあやせは、俺を罵ったりじらしたり、名状しがたい画期的な行為をしたりして、
「今気付いたんですけどこれ、いいダイエットになるかもです」
などと、それはそれは楽しそうで、
俺の「いくらなんでも多彩すぎんだろ!」
という突っ込みには耳を貸さない。


349:秘密の関係 18/35
11/07/04 20:22:24.03 YNNy2n1y

 のみならず―
「ところで、加奈子のことなんですが……」
「加奈子? あいつもうオワコンなったの?」
「いえ、そうじゃなくてですね……あの娘と、してみたくないですか?」
「ちょっと待て。何をだ」
「ほら、あの娘ってかわいいから、なんというか、いじめたくなりません? 
桐乃の家で遊ぼうって呼び出して、わたしとお兄さんが二人がかりでしちゃえばって……
あの娘、ああ見えてすっごく初心(うぶ)なところありますし、ちょろいと思うんですよ」
「このレイパー! 通報しますよ!」
 こ、こいつ、友達をなんだと思ってやがる。奴隷? ペット? 3■(ピー)要員?
「いけませんよお兄さん。正しくはレイピストです。受験生なんだから間違っちゃだめですよ」
 レイパーあやせは優等生、末世の観も甚だしい。
「お兄さんにはがっかりです」
「そんなこと言っておまえ、俺をロリコン犯罪者に仕立て上げるつもりだろう」
「いくじなし。…………お兄さんが……じゃ、桐乃も……」
「なんか言ったか?」
「な、なんでもありません! さっさとパンツ脱いでください! 三十秒で支度しなきゃブチ殺しますよ!」
「やめて! タナトス眼鏡はもう嫌だ!」
「せっかくお兄さんのために用意してあげてるのに……どうして嫌がるんですか」
「あやせ様がノリノリすぎるからぁ!」
「気持ち悪っ! あれは演技、そう、演技に決まっているでしょう!」
「それはそれで凹むぜ……そうか、そうかそうか、そうかがっかりだ。あやせはどうせ俺なんかが相手じゃな……。
……どうせ俺は地味面のキモオタさ
……アニメのコスプレしたら『そっくりすぎて逆にキモい』なんてこき下ろされる不気味の谷男さ……
あやせみたいな美少女と釣り合うどころか親友にもマジ顔で
『なあ高坂、お前と妹さんってさぁ、種ちげぇの?』って言われる出来損ないさ……」
「ちょっ、何いきなり泣いてるんですか! しかも愚痴の内容重くなってません? してあげませんよ!」
「ヤリ捨てるなんて超ひどくね? なああやせ。おまえはさ、俺の体をこんなにしちまったんだぞ? 
俺はもうおまえなしじゃ生きていけねーんだよ? 寂しいと死んじゃうんだよ? 
そこんとこ、ちゃんと責任は取ってもらうからな」
「もぉ、調子のいいことばっかり……いたしかたありません。責任、取ってあげます」
「よし、じゃあ結婚しよっか、あやせ」

350:秘密の関係 19/35
11/07/04 20:24:12.75 YNNy2n1y
「それはお断りします」
「愛のこもったプロポーズを一蹴!?」
「どうみてもセクハラです。本当にありがとうございました……ほんと、死ねばいいのに」
「まったまたぁ。そんなこと言って俺がマジで死んじゃったら、おまえ泣いちゃうだろ?」
「ええ泣きますね、きっと。悲嘆にくれる桐乃を慰めながら、涙を流します
……邪魔なお兄さんを消したおかげで、桐乃が永遠にわたしだけの親友になったんだって、嬉し泣きです」
「突っ込みどころもリアリティもありすぎだよオイ! 『を消した』って何? おまえが下手人なの?」
「わたし流の冗談です。お兄さん風にいうとセクハラです」
「俺の冗談はそんなに血生臭くない!」
「ええ、イカ臭いですもんね。よく知ってます。おかげでわたしも大変ですよ。
この前なんかお母さんに
『あやせ、あなたは女の子なんだから、スルメばかり食べてちゃダメよ』
と言われてしまいました。だいたい、お兄さんのが濃すぎるのがいけないんです。
舌について離れないし、喉にひっかかる感じもずっとずっととれないんですよ? 
男の人ってみんなこうなんでしょうか? またお母さんがなんですが
『ねえあやせ。ごっくんしてあげたときはね、後でしっかり歯磨きしなきゃダメなのよ』
って叱られちゃいましたよ。もう! どうしてくれるんですかお兄さん!」
「うぉぉぉおい! お母さん勘付いてんよ! ぜってーお察ししてんよ! 
つかおまえのお母さんなんなの? PTA会長なのに放任しすぎじゃね? 
PTAって何? 娘のアレは許すのになんで二次元のアレは許さねぇの? 
どんだけ二次元憎んでんの? プロなの? 利権なの? 
男女共同参画的なアレなの? 目指す未来はBraveNewWorldなの? 
なんなの? 死ぬの? オタク死ぬの? HENTAIディレッタントは根絶やしにされなきゃなんないの? 
そもそもどうしてこんな流れになってんの? どうして唐突に会話が下(しも)い方面に転がってんの? 
つーかあやせおまえキャラ違ってね? 俺のブレっぷりも大概だけどおまえ純情潔癖キャラじゃなかったの? 
なんでそんなんなっちゃってんの? なんでそんなに汚れちゃったの? いや俺が汚したんだけどさ」

351:秘密の関係 20/35
11/07/04 20:25:40.17 YNNy2n1y
「ちなみにお母さんはこうもおっしゃいました。『その男の子、今度うちに連れてらっしゃいな』と!」
「ハイ死んだ! ハイ俺死んだよ! もうね、青少年健全育成条例第二十条だよコレ。
二年以下の懲役又は百万円以下の罰金キタコレ。
いや待て落ち着くんだ俺、まだグレーゾーンは残っている。思い出せ、例の文句を……
そう! この物語の『主人公』は十八歳以上だから……って余計アウトじゃねーか! 
ギリギリアウトじゃん! ギリギリで手が後ろに回るじゃん! しかも俺の親父ソッチの人だし! 
とっつぁんに手錠かけられるなんて最悪じゃねーか! もはやホームコメディじゃねーよこれホームサスペンスだよ!」
「ふむ。手錠、ですか……」
「なぜ手錠に反応!? 物欲しそうな顔してんじゃねぇ!」
「まあ、これまでの話は冗談ですけども。具体的には『お兄さんにはがっかりです』と言った後からが冗談です」
「なんだほとんどが冗談だったのかハハハ……って、
加奈子を手込めにしようってアレは冗談じゃねーのかよ! 一番ヤバげなとこだけ本気かよ!」
「この件に関しましてはスーパーでフリーに行きましょう、お兄さん」
「一番ヤバげなフレーズきちゃった!?」
「おやおや言葉狩りですかお兄さん? 謝罪と賠償を要求したって無駄ですよ?」
「逆差別差別用語で返した!?」
「違います。逆差別差別差別差別差別差別差別差別用語です」
「オイオイそろそろきわどいってレベルじゃねーぞどぎつすぎんだろ! 今度はその熟語連呼して狩らせるつもりかよ! 
『例のあの人』みたく呼ばせんのかよ! けど奴隷を社員に呼び代えただけでしたみたいなオチがつくのかよ! 
現代社会においても憎しみの連鎖は断ち切らせねぇって腹かよ!」
「わたし思うんです。どのみち桐乃がわたしだけのものにならないというのなら、こんな腐った世界なんて、いっそ……!」
「ちげーから! これセカイ系ちげーから! 兄と妹のハートフルボッコストーリーだから! 
俺の後輩みたいな電波飛ばすんじゃない! 
ていうかまさかあいつの言ってた『ベルフェゴールの呪縛』の真のラスボスって、ま、ま、ままままさかおまえだったのか! あやせェ……!」

352:秘密の関係 21/35
11/07/04 20:27:56.93 YNNy2n1y
「キョーッキョッキョッキョ! よくぞわたしの正体を見破りましたねお兄さん! 
そう! タナトス・エロスなどしょせん現世における仮の姿、
その正体は死と生命とを司る『闇天使』にして、時と空間とを止揚せし『因果律の破戒者』! 
そうしてその真名はぁっ! 殺める世界の世と書いて―『殺世』なのです!」
「あやせじゃねーか! まんまだよオイ! 俺のラブリーマイエンジェルのまま何一つ変わりねーよ!」
「お兄さんのはじめての相手は桐乃ではない! このあやせです!」
「誰しも一度はあこがれるその台詞!? 俺も超言いてえ! 言ってやる! 言ってやるぞ! あやせのはじ―」
「そうそう、断っておきますがわたしはお兄さんがはじめてではありませんので」
「え、なにそれ、真剣に凹むんだけど……つーか泣くよ? 割ったり破ったりするよ? 俺だけじゃなくてみんなもさ」
「生理のときに痛がってしてみせればすぐ信じるんですから、童貞って、ほんとちょろいものですね」
「ラわーん! おまっ、そんなリアル展開みんな望んじゃいねーぞ! 
かの芥川先生も『現実の女は萌えない』って言ってたんだぞ! たぶん!」
「ちなみに三回ほど堕ろしてます」
「それなんてケータイ小説?」
「むろんいずれも合意のアレです。なおかつパパはランダムでした」
「お尻が軽いだけかよ! レイプとかじゃねーのかよ! 悲しいのは過去じゃなくて頭かよ!」
「まあ、これも冗談ですけども」
「はぁ……今度はどっから冗談だよ」
「言葉狩りむにゃむにゃあたりからです」
「ほとんど全部じゃないか」
「そこらへんから早くも色々と後戻りしにくくなりましたからね」
「それ以前も相当あぶないとこあったと思うんだがなぁ。だいたいおまえを描写するのに放送禁止用語用いざるを得ないし」
「指摘されてもとぼけていられればいいんですよ、ついうっかり表現ミスというふうに。それが風刺というものです。
ごめんねおにいさん日本語不自由でごめんね、って陳謝すればネット憲兵さんたちもひそかな優越感を味わいつつ許してくださいます」
「でもなぁ……冗談だっつっても、叩かれるときは叩かれんだぞ? 
文は人だぞ? 叩きたいから叩くんだぞ? 自己表現の権利だぞ?」
「言葉の間違いっておもしろいですよね。
漢字なんて人前で声に出さなきゃ読み間違えていないのと一緒ですし、お手軽権力意識です」

353:名無しさん@ピンキー
11/07/04 20:28:32.49 vmV+P0cK
保守。あやせママひでーw

354:秘密の関係 22/35
11/07/04 20:30:09.42 YNNy2n1y
「だからおまえ、そういう挑発的できわどい言動は慎めって。……いくら読み間違いが民主国家最大の不祥事であってもな……あれ?」
「大丈夫ですって。
今しているみたいにメタっぽい発言を二言三言挿入した後、何事もなかったかのように本題に戻りさえすれば、
形式上はどんな脱線だって見逃していただけます。
まるっとなかったことにできます。自分の言葉に責任を持たなくてよくなるんです。わたしたち子供は大人を真似るんです」
「ごめんねおにいさん日本語不自由でごめんね! 
……で、本題ってなんなの?」
「とうぜん加奈子レイプの件です」
「むしろそっちをなかったことにすべき! 
……ったく、いくら加奈子がチビだからって、おまえにそうそうどうにかされるとは思わないがな。
こないだマネージャーしたおかげで知ったんだけど、あいつ結構すげえやつなんだぜ? 
あの侠気はブリジットちゃんが惚れるのも納得だ」
「フフ、加奈子なんてお兄さんと同じくらいちょろいですよ。
鎖骨と肋骨を同時にくすぐればあっという間に『はにゃ~ん』です。
あの娘ったら涙目でびくびくするんですよ? ほんとかわいいんだから」
「経験者は語る!? ちょ、そういうのもうやめたげて! 
あいつアホなんだから変な世界に目覚めたらどうすんの? あいつアホなんだから! 
それから忘れずに指摘しておくが、お兄さんは決してちょろくはない! ちょろくはないぞ! 
身持ちの堅さは乙女座チックといってもいい! セクハラをするのだって、おまえだけだしな!」
「ふーん……」
「なんだその目は……なぜ俺の頬を凝視する……。―そんなに殴りたいの?」
「はぁ……、今はいいです。
お兄さんのほっぺの件につきましては後日あらためて、じっくりしっぽり伺うことにいたします」
「べ、べつにホッとしてなんかいないんだからね! ……というかさ、何かおかしくないか? 
俺とくろ……。…………おほん。たとえ俺が惚れっぽくてちょろいとしてもさ、それはむしろおまえにとって―」
「で、ですが! 加奈子の頭と胸が残念だという点に関しては同意しましょう!」
「あれれー? 残念リストに付け足しなくない?」
「加奈子ったら
『やぁっ、やめろよぉ! 加奈子アホになるぅ! アホになってしまいますからもうやめてくださいおねがいします』
って散々鳴いてましたもん。あの娘、追い込まれて口調の変わったときが一番かわいいんですよね」


355:秘密の関係 23/35
11/07/04 20:33:01.30 YNNy2n1y
「口調が変わるねぇ……あのクソガキもあれでさ、
将来結婚して娘でも出来たら落ち着いて、物腰の柔らかい、いいママさんになるかもなぁ……」
「―加奈子はお嫁になんかいきませんよ」
「あ、あやせ?」
「だってあの娘は、一生、わたしとお兄さんがお世話をしてあげるんですから……」
「やっぱ俺共犯なんすか!?」
「より正確にいうと主犯です。わたしは心神喪失状態にありますのであしからず」
「責任能力捨てちゃった!? 親父の言ってたMD無罪! 悪質ですよあやせさん!」
「まさかとは思いますが、その『あやせ』とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。
もしそうだとすれば、あなた自身が変態鬼畜ロリコン強姦魔であることにほぼ間違いないと思います」
「とうとう俺の妹の親友が透明な存在になっちゃったよ! ……もうさ、おまえの不健全っぷりにはついてけねーわ」
「『ついてけねーわ』……ですか……」
「え? なに急に青ざめて震えてんの? 涙ぐんだ目ぇ伏せるとか。
何気なく放たれた決定的な一言に乙女心が砕け散りましたーみたいな感じになってない? 
いやさっきの本気じゃないからね? ここシリアスパートじゃなくてギャグパートだからね? 
ほんとはついてけるよ? むしろあやせになら一生ついていきたいよ?」
「……ノーサンキューです」
「ですよねー」
「けど先ほどの『もうついてけねーわ』という言葉は、わたしじゃなくて別の女性に言ってあげてください。
たとえば桐乃がいつも嫌いだ嫌いって言っている、あの邪気眼電波女なんかどうでしょうか。
ぜひとも彼女に言ってあげてください。むしろ言え。
それはもう無神経に、無慈悲に、一切の容赦なく、あの女に言い放っちゃいましょう! 
もちろん弁解もフォローも抜きで」
「あーうん。前向きに検討しておく」
「できもしないことの約束が許されるのは幼稚園と国政選挙までですからね? 
それ以外は総括必至です。ブラック研修です。ホームパーティでネットワークビジネスです。
だってテレビでそう言ってましたもん! テレビだから安心なのですっ! たとえ視聴率が低くとも!」
「……もう突っ込めないからな。つーか飛躍しすぎでわけわからん」
「大丈夫ですよ! お兄さんのアレなら絶対にばっちりです! もっと自信持ってください! 
きっと加奈子だっていちころです! 身をもって思い知ったわたしがいうんだから、間違いないです!」


356:秘密の関係 24/35
11/07/04 20:34:23.75 YNNy2n1y
「……いったいナニについて励ましてくれているんだろうね」
「もぉ……お兄さんのえっち……」
「おまえから振ったネタだろうが! ほっぺ押さえて赤らむんじゃねえ! かわいすぎんだろこんちくしょー!」
「やだもうお兄さんたら、かわいいだなんて……
あなたにそんなことを言われたら―気持ち悪いじゃないですかこの変態ッ!」
「ひげぶっ!? ……。ぐっ……こ、ここハイキックするところじゃないよね普通……?」
「お……おおおお兄さん! い、今……す、スカートのなか、見ましたね?」
「わけがわからないよ」
「鼻血出てるじゃないですか! エッチ! 変態!」
「そりゃおまえがカオ蹴っ飛ばしたからだろ!」
「……。もぉ、それならそうと、ちゃんと言ってくださいよ。
鼻血を出すほど興奮したのはわたしに蹴られたからだなんて……
まったく、て、照れちゃうじゃないですか……。ほんと調子いいんだからもう……。
ふ、ふん……どうせお兄さんは、他の女の子にも同じことを言ってるんでしょう?」
「あー、仮にさっきの返答をSM的に解釈したとしてもだ……照れるようなところどこにもなかったよね? 
マゾ暴露は口説き文句とかじゃないよ常識的に考えて」
「あの、お兄さん、わたしに蹴られるのは……もしかして、嫌だったんでしょうか……。
お兄さんが喜ぶと思って、わたし、今までずっと……。
けど、おせっかいだったんでしょうか……ひとりよがりだったんでしょうか……。
お願いします、お兄さん。本当のことを、あなたの本当の気持ちを―教えてください」
「そんな顔で言われたらなぁっ、嫌だなんていえるわきゃねーだろ! 
―俺はッ、あやせに蹴られるのが大ッッ……好きだぁぁぁぁぁ! 
夢に見れば歓声とともに目覚めるくらいっ、超・大・好きだ! 
ハイもローも最高だ! 後ろ回し蹴りなんか丼三杯余裕だぜ! かかと落としでなら死んでもいいね! 
そして桐乃にもらった『しすしす』に誓おう! 
高坂京介は残りの人生を、新垣あやせのサンドバッグを務めるためだけに生きると……!」
「うわぁ……」
「ドン引きかよっ!? 自分から言わせといてドン引きかよ! ほんっとおまえは天使だな!」
「えへへ、どんどん崇拝しちゃってください」

357:名無しさん@ピンキー
11/07/04 20:35:49.44 vmV+P0cK
保守

358:秘密の関係 25/35
11/07/04 20:37:38.99 YNNy2n1y
「今の反語だからね! Ironyだよ? 
積み重ねた言葉で見えないよ君の横顔? こちとらおまえの毒舌で涙目なんだよ!」
「積み重ねた嘘でもう動けなくなってるんですね、お兄さんは。……主に女性関係で」
「ななななにを言っているのかねあやせさん? 
お、お兄さんはべべ別に、ううう嘘なんかつつっ吐いたことありませんよ? 
かかっか、隠し事とかもなっないんだからね? ほんとだよ?」
「……うそつき」
「ぐぬっ……」
「―加奈子の無垢な体を、めちゃくちゃにしたいと思ってるくせに」
「そっちかよ! せっかく話逸れてたのに戻んのかよ!」
「うやむやにしようったってそうは遺憾の意です」
「はぁ……言っておくがなあやせ、俺は断じてロリコンではない。
だからあのクソガキの柔肌なんかには、これっぽっちも興味はない。
ぷにぷににもふにふににもむにもにゅぽっちんぺたりんこにも全然全く反応しない。
本当だ信じてくれ嘘じゃない」
「ではいったい、お兄さんのパソコンにインストールしてあるこれらのゲームはどういうことなの……」
「ちょっ! いつの間に起動しやがった!」
「このなかの妹さんたち、ちっちゃくてかわいい娘ばかりでしたよね。
……まあわたしとしてはりんこりんこそ最萌也と断言しますが」
「ラブタッチの件以来おまえが色々馴染みまくっている点についてはもはや何もいうまい。
だいたいさ、そういうちっちゃい妹どもに欲情するってのは元々俺の趣味じゃなくて桐……箪笥を嫁入り道具にする伝統が廃れつつある
この現代社会における貞操観念と家族制度との相互的瓦解現象に伴う
個人の疏外と自動機械化と形骸化とに対する反動としてみた場合のオタキズムには
その発生の動機からしてある種の純潔崇拝かつ家庭崇拝という
いわばロリな妹萌えが必然的に内包されているのかもしれなくもなくて、
いや待てやっぱそうじゃなくてだ、まあ要するにその、
二次元と三次元は別腹だということであってだな、色々と難しいアレがあってだな、
わかりにくく要約するとつまり現実のババアの肌に向けた拡大鏡は脂ぎった山脈を眼前に躍動せしめるが
二次元のおにゃのこは無限にきめ細かい肌をもつというゼノンのパラドックスがうんたらかんたら……」
「あっ、ちょっとお兄さん! LMAフォルダのパス変わってないじゃないですか!」
「話きけよ」
「こないだ撮ったのなんて、桐乃に見られたらわたし自殺しますよ!」


359:秘密の関係 26/35
11/07/04 20:39:15.54 YNNy2n1y
「いや、その、すまん。ミルキーマイエンジェル眼鏡verが実用的すぎて忘れてた」
「しかもなんですかこの大量のZIPファイルは! 前はありませんでしたよね! 
むろん全てデッリィートです! 根絶やしです!」
「何……だと……? ま、待て……なぜわかった? カモフラージュは完璧だったのに……!」
「『数学課題』や『セキュリティ関連』の、どこが完璧だというんですか。
もちろん『新しいフォルダ』は問答無用でごみ箱行きです。まったくもう。
お兄さんは受験生なんですから、インターネットで時間を無駄にするのはよくありませんよ。
卒業できなくたって知りませんからね? 
その、お兄さんがわたしと一緒に高校に通いたいという気持ちはすごくすごく理解できますが……
けどやっぱりダメだと思うんです、お兄さんとわたしの将来を考えれば。
……親友の兄がダメ人間だと、わたしもダメ人間みたいに思われてしまいますから」
「なんかさ、この頃とみに俺の人権が蹂躙されてるような気がするんだけど気のせいかな」
「わたし言いましたよね? えっちなゲームは許しますし、削除しないでおいてあげます。
けど、お兄さんがセクハラをしていいのはわたしだけなんです。
そこのところ、忘れないで下さいよ。忘れたらどうなるか……わかってますよね? 
…………ふう。さて、色々と捗るようデスクトップはわたしの水着画像を参照して―と、完了しました。
よかったですね、ハードディスクがきれいになって。こまめな整理整頓でごみ箱もすっからかんです。
これでいつ家宅捜索されてもへっちゃらですよ。それはもうどんとこいです」
「ちくしょう……俺のZIPが……。
神様、ごめんなさい……俺は、大切なものを守りきれなかった……ちくしょう、ちくしょう……!」
「謝るのは神様ではなくわたしでしょうに!」
「おまえは俺の嫁か! いくらなんでもひどすぎる!」
「な、なに言ってるんですか変態! 今のセクハラ! セクハラです! 通報しますよ!」
「サーセン失言っしたー!」
「くぅっ……なんて素早い土下座なの。まるで隙がない……!」
「っふ……。俺だってなぁ、成長してんだぜ? 主に桐乃のDVからこの先生きのこるためによ! 
『神土下座の高坂二代目』は伊達じゃないのさ! ご近所限定の二つ名だけどな!」


360:秘密の関係 27/35
11/07/04 20:42:04.73 YNNy2n1y
「情けない格好で情けない台詞を言いながらかっこいい顔しないでください」
「うぉっまぶしっ!? ……あ、あのなぁ、レーザーポインターで眼球狙いはさすがに洒落になんないよ?」
「スタンガンが売ってなかったので、つい」
「ついじゃねーよ! まさか他のやつにもこんな物騒な真似してんじゃないだろうな。マジで通報されんぞ?」
「失礼な! わ、わたしがこんなことできるのは、お兄さんだけですから……」
「もじもじされても嬉しくねー! だいたいおまえは、いちいち凶悪なんだよあらゆる意味でさ。
とにもかくにも没収だ! 危険物はお兄さんがひとまずお預かりします! 
……ところでナイフ隠し持ってたりとかしないよね?」
「ああっ! ひどいですお兄さん! 奪っちゃやです!」
「きょうび一般人が自衛手段を持つのは犯罪なんだぞ? 
ヤツら虫ピン逮捕だってできなくもないんだからな。
護身用と言ったが最後、一発アウトでノルマの足しだ。おかげでウチはメシを食える」
「お兄さんはそうやって……加奈子の貞操も奪うつもりなんですね。権柄尽くに」
「こっからソッチの話題に繋げた!? もうさすがだよおまえ。脱帽だわ。どんだけ粘るんだって話だよ」
「なにを言ってるんですかお兄さん。わたしはなにもしてません。むしろお兄さんがしてるんです。
そう、嫌がって暴れる加奈子を力尽くで組み伏せたいというお兄さんの無意識の願望が、
お兄さんの突っ込みをして加奈子の話題へと幾度となく立ち返らせるんです」
「すごいね無意識! なんでもありじゃん」
「ところでお兄さん―手錠ってどこで買えますかね」
「これまた唐突だが、もう驚いてやらんよ。
そいつで加奈子の自由を奪っていいようにする気だろ? 俺は絶対に加担しないからな」
「違います。加奈子ではなくて、お兄さん用に必要なんです」
「俺かよ!?」
「最近のお兄さんは、隙あらばすぐにわたしの体を触ろうとするじゃないですか。
先週なんか『手じゃねーからセフセフ!』なんてのたまってわたしの全身をくまなくアレでアレしやがりましたし……
そろそろ躾け直さなきゃいけない時期だと思うんですよね。
手錠だけではなくて、荒縄あたりで首をキュっと」
「それ死んじゃうから!」
「ただちに死亡しないので問題ないです。
十数分は猶予がありますので、責任はわたしにあるんじゃなくて、
わたし以外のみなさんこそが背負わなきゃいけないんです」


361:秘密の関係 28/35
11/07/04 20:44:25.65 YNNy2n1y
「……さすがに俺もそのネタはスルーするよ? 叩かれるの嫌だぞ俺」
「もう、どうしてお兄さんはそんなに説教臭くなっちゃったんですか。
加奈子のうなじをむさぼるように見つめていた去年の頃のお兄さんは―
中立ぶっておきながらわたしを反オタクの悪役に仕立て上げ、
『偏見に立ち向かう俺かっけー』していた右傾キモオタお兄さんは、
いったいどこに行ってしまわれたんです?」
「おまえや桐乃に散々痛めつけられているからな。臆病になっちまったんだよ」
「大人になるってかなしい事なの、とでもほざくおつもりですか。……ぶち殺しますよ」
「なんでそうなるんだよ!」
「だいたいお兄さんがふらふらしてるのがいけないんです! 
ふらふらしないよう、手錠でがっちり固定しなきゃダメなんです!」
「おまえさ、手錠ってキーワードに執着しすぎじゃね?」
「で、お兄さん。その手錠って、どこで買えますかね」
「あー、やっぱ密林とかじゃねーの。あっこなんでも売ってるし」
「いわゆるおもちゃのたぐいでしょう? 安物は安心できません。
お兄さんがいつもあそこで購入しているメンズグッズとは違うんです」
「……め、メンズグッズって、あ、アクセサリーとかのことかな……?」
「いえ、そこの棚に鎮座まします器具等のことです」
「あああああれか?! あ、あれは、うん……パソコン機器だよ? 
パソコン機器をメンズグッズって呼び方するなんて、あやせは変わってるなー」
「スタイリッシュに乾燥中の黒いアレは、たしかそう、フリップホールでしたっけ」
「詳しいなオイ!」
「お兄さんのセクハライフに寛容なわたしだからよかったものの、桐乃に見つかったら大変ですよ? 
捨てられるだけじゃまず済まないでしょうからね。おそらくずたずたに切り刻まれます、お兄さんごと」
「……以後気をつけます。はい」
「ほんと、頼りになりませんね。お兄さんほどの片栗粉マイスターなら手錠にも詳しいと思ったのに」
「オタのジャンルが違うんだよ。俺はただのどこにでもいるシスコンエロゲーマーだっつーの。
……おまえが非オタだからこそついでに言っておくが、オタクだからって何でも知ってるわけじゃねーんだよ? 
妙なところで頼りにされても困るんだよ?」
「お兄さんのド変態知識が役に立たないとなると……
やはりここは有名どころ、S&Wあたりのが無難ということでしょうか」


362:秘密の関係 29/35
11/07/04 20:46:07.42 YNNy2n1y
「無難どころかガチじゃねーか! 拉致監禁でもやらかす気かよ!」
「服ほどじゃありませんが結構割高な価格設定ですね。それに複数入り用ですし。
……使い勝手については、今度おじさまと会ったときにご相談してみます」
「おじさま……だと? おまえもしや、妙な趣味のおっさんに春をばら売りしてるんじゃなかろうな? 
お兄さんは援交なんて言葉使わないぞ? 売淫ってはっきり言うぞ? 
『開放的』という形容の前にはちゃんと『股が』って付け足すぞ?」
「やだなぁお兄さんたら、わたしがそういうことをするのはあなただけだって知ってるくせに……。
おじさまといえば高坂大介氏―お兄さんのお父さんのことじゃないですか」
「なにやってんのウチの親父!? いやたしかに適任だけどさ!」
「いえね、撮影の折にですね、桐乃の見学で出くわすんですけど、
そのたびに『息子と結婚してくれ! ウチの娘になってくれ!』ってしつこいんですよ。誰かさんに似て」
「遺伝!? 血筋なのか!? この身に流れるヤツの血が、俺を狂気へ駆り立てるというのかっ……!」
「やんわりと『通報しますよ』と脅しても
『それは私のおまわりさんだ。何かあったらいつでも頼って来なさい。
不届きな輩がいるのなら、おぢさんが合法的な暴力というものを見せてあげよう』
ですもん! 世も末ですね!」
「かっ、かっけー! さすが親父だ、通報されても何ともないぜ! ちょー輝いてんよ日の丸で! 
マジでダーティなオッサンぶりが、いまこそ初めて誇らしい! あこがれちゃうよ公僕に!」
「それで、あんまりしつこいものだからわたし、おばさまに通報しちゃいました。
お兄さんの、お母さんにです」
「待て、こないだのたわしコロッケ事件はお前が原因か! 
親父の二十四時間耐久土下座達成でお袋もなんとか落ち着いたものの、
あの夜俺と桐乃は朝まで真剣十代生討論しちまったんだよ? 
『お父さんとお母さんが別れるならさ、もう兄妹二人だけで生きていこうよ』とか
『あたしたちはずっといっしょにいようね』とか誓わされたりしちゃったし! 
……まあ結局例のごとくエロゲー大会になだれ込んだわけだが」
「むむっ、またそうやって桐乃を畜生道に引きずり込もうとしたんですか」
「違うんだあやせ! 俺は悪くねぇっ! 
そうだ、桐乃だ! 桐乃がエロゲやろって言い出したんだ!」

363:秘密の関係 30/35
11/07/04 20:47:55.48 YNNy2n1y
「たとえそれが事実だとしても、
えっちなゲームで一緒に遊ぶ兄妹がどこの世界にいるというんですか!
 明らかなアブノーマルです!」
「いやいるよ? わりと結構いるみたいよ? 
俺のクラスメイトはしょっちゅう妹とホモゲーしてるっつって自慢してたし、
部活の後輩なんか実姉調教ものをがんがん姉ちゃんとしてるっぽいよ? 
妹の部屋で妹のパソコンを使って妹にいかがわしいことするゲームをやるなんて、べつに普通じゃん。
うん。みんなやってることじゃん」
「……お兄さんのお知り合いって、みなさん頭おかしいんですね」
「それこそキの字筆頭のおまえがいうな! 最近桐乃が心配してんぞコラ!」
「わ、わたしのどこが頭おかしいんですか! 
仮にわたしがおかしくなったとしても、それはみんなあなたのせいに決まっています! 
ああも毎回毎回失神させられたら、誰だって変になっちゃいますって! 
この底なし! セクシャルモンスター! 退治しますよ!」
「はンッ、やれるもんならやってみろよ、あやせェ……!」
「ふ、ふん……そうやって強がっていられるのも今のうちですよ。
今日のわたしには、心強い味方がついているんですからね」
「もしや加奈子か!? 
そ、それとも、もしかするともしかしてェ……き、桐乃だったりしちゃったりして~、フヒ♪」
「いえ違いますしありえませんけど―と言った拍子になんでちょっと残念そうな顔してんですか! 
その豚鳴きが本気だったら、わたし本気もで泣き出しますよ!?」
「いやね、最近おまえの初々しさが薄れて来ちまったからさ、
ここいらで最高にキモい台詞吐いて恥ずかしがらせようと思ってな」
「恥ずかしいという以前に、そんな発想が出来てしまうあなたの存在そのものが気持ち悪い」
「ひでえ言い草は相変わらずだが、俺はそんなおまえが生理的に大好きなんだ。
……で、さっき言ってた心強い味方ってなんなの? 
こないだ頼んだぐるぐる眼鏡、やっとしてくれる気になったの?」
「先日まで『ぐるぐる眼鏡は眼鏡じゃない!』と公言して憚らなかったお兄さんがどうして急に転向したのかは、
今はまだ、あ・え・て問いません。
ですが、今後わたしがぐるぐる眼鏡をかけることは絶対にありえないとだけは言っておきましょう」
「チッ……じゃーなんなんだよ。また桐乃コスでもすんのか? 
あんなん二度と嫌だぞ俺。だってあれおまえが楽しいだけじゃん」

364:秘密の関係 31/35
11/07/04 20:49:17.78 YNNy2n1y
「ぐるぐる眼鏡が駄目だとわかった途端、がらりと投げやりになりましたね。
執着しすぎです。はぁ、いたしかたありませんね……
えへへ。ではでは、このわたしがヒントを出してあげましょうか! 
フフ、今日の主役はですね、わたしもさっき思いついたんですけど、
なんとお兄さんのよく知っているものでして……」
「んだよ桐乃じゃあるめーし、こんなんでいちいちなぞなぞ当てっこなんかやってられっかよ。
おまえってさァ、ほんっとめんどくせー女だな。かわいいのはツラだけってやつ? 
けっ……クソ、クソ、ちくしょうめ……俺のぐるぐる眼鏡……
あーあ、もうなにもかもがめんどくせぇ……
もう妹とかどうでもいーし、受験とかもどーでもいーし、進路は田村屋で妥協すんわ……」
「今のお兄さん何気にものすごくひどくないですか? 
わたし、けっこう真剣に傷ついているんですけど……
ベッドでごろんごろんしてないで、せめてその、もうすこし盛り上がって行きましょうよ」
「あーわかったわかった。とりあえず疑問符か感嘆符乱発しときゃ格好つくだろ。
あー!!! まじだるいし!!!!?????? 
あやせが!!!!! ぐるぐる眼鏡つけてくれねえっていうから!!!!!!!!! 
俺さぁー!!!? ちょー傷ついちゃったし!!????????? 
ふぁぁ!!!!!! なんか眠くなってきちまったわ!!!!!!!!!!!!!!!」
「うるさいだまれしゃべるなうざいっ!」
「かはっ……!? ぐ……フライングニードロップ……かよ……。
オイコラあやせ、いつかの桐乃とまったく一緒な真似してんじゃねーぞ……
つーかどけ。乗りたきゃ俺を仰向けてから乗れ」

365:秘密の関係 32/35
11/07/04 20:50:21.55 YNNy2n1y
「え? いまわたし、桐乃と同じ事しちゃったんですか? 
それってつまりわたしたち似たもの同士の大親友ってことですかね! 
好きなブランドも好きな音楽も好きな異性のタイプも好きな暴力手段もスリーサ……スリーサイズもみんなお揃いだったなんて! 
スリーサイズみたいにあらゆる点でお揃いだったなんて! 
やっぱりわたしたちは、
わたしがちっちゃいころお母さんに連れて行かれたセミナーで習ったソウルメイ……とちょっと待ってください。
『いつかの桐乃とまったく一緒』ってお兄さん、ようはこれ、桐乃にも同じようにされたって意味ですよね!? 
こんなにむごい仕打ちを受けるなんて、寝床で妹になにやらかしたんです!」


366:秘密の関係 33/35
11/07/04 20:51:41.72 YNNy2n1y
「ぐぉっ、誤解だ……だ、だから首を絞めるな……
それにスリーサイズは見たところおまえが負ぎゅぎぎがげげげぼごごごごご……! 
おえっぷ……お、おまえの想像とはたしかに場所も行為も一緒……
おまえと桐乃のスリーサイズのようにぴったり一致してるけれども……ふぅ……ただひとつ、人物、人物が違う。
桐乃に暴行されたのは俺じゃなくて、黒猫―ある程度は知ってるはずだと思うけど、俺の高校の部活の後輩で、桐乃のアッチ側の親友なんだが―
このベッドでそいつに、桐乃がフライングニードロップかましやがったってわけだ。
おまえがさっきしたのと同じようにさ」
「なぁんだ、桐乃が成敗したのはあの邪気眼電波―あれ、なにかおかしくないですかこれも……。
つまりはその邪気眼電波女がお兄さんのベッドに寝てたって、そういう前提になりません!? 
どうしてよその女がお兄さんの布団にもぐりこんだの……」
「すまんすまん間違えちゃったわ今の無しな! 
あれな、思い出してみたらやっぱこのベッドじゃなくて桐乃の部屋だったわ! 
いやーごめんごめんご勘違いさせちまったみたいで!」
「そうよ、思い出してみれば……わたしとお兄さんが初めて結ばれ……
もとい、初めて『処理』をした日、お兄さん、やけに物怖じしなかったというか、
年下の女の子を部屋に上げるのに慣れていたというか……」
「な、なーあやせぇ! 今日のサプライズはなんなのかそろそろ教えてくれよぉー。
俺ってば毎回毎回楽しみにしてるんだぜ? 
なぁなぁあやせってばぁー。ラブリーマイエンジェルあやせたんってばぁー」
「ほ、ほんとうにお兄さんは変態ですね! ……あんまり期待しないで下さいよ。
わ、わたしだって恥ずか、もう! 恥ずかしいんですから……」
「謙遜すんなよー。さっきのフライングニードロップだってすばらしかったじゃないか」
「桐乃よりもですか」

367:秘密の関係 34/35
11/07/04 20:53:11.02 YNNy2n1y
「……。
俺桐乃のこと嫌いになったわけじゃないから、うまく言えないかもしれないけど……
最高だ、あやせ。桐乃よりずっと良い。
あやせのこのしなやかで鋭い足技にくらべたら、桐乃のなんて物足りないよ。あやせの蹴りは最高だ。
脅しも、罵倒もすごくて、桐乃のじゃ全然むかつくだけだけど、あやせには蔑まれるだけでもうすぐにも首くくりそうだ。
桐乃のあんな毒舌に怯んでいたなんて自分で情けないよ。
あの吸い付くような一撃を食らったら、もう桐乃のブヨブヨとした体なんて触る気もしない。
桐乃なんてエロゲ貸してくれるくらいしか価値のないキモオタだよ。
あやせさえいれば俺は……、あやせぇ、あやせぇぇ」
「死ね! ……なぜか思わず死ねと言いそうになってしまいましたけども、
誠を尽くしたお兄さんの熱意は、たしかに伝わりました死ね」
「いや言ったよね? はっきり『死ね!』って返したよね? しかも語尾にもつけたよね?」
「まあまあ、細かいことはお気になさらず。
ではお兄さん、そろそろいきますよ? 今日のビックリドッキリおしぼりグッズは……じゃじゃーん!」
「……あー、それ」
「そうですとも! お兄さんの夜のお楽しみにして無機なる淫婦! 
在野の汚らしい冒険者どもをして神の穴とまで言わしめた黒き魔筒―ってお兄さん? 
なんですかその『はいはい出オチ出オチ』と言いたげなげんなり顔は! 
フリップホールですよ? 黒フリですよ? はぢめてのおもちゃ遊びですよ? 
もっとこう……ね? あの、わたしから言わせる気ですか?」
「なんとなく予想ついてたし、大して面白くもないし、あと女の子が黒フリとか略すな……
つかぐるぐる眼鏡の後じゃな、やっぱインパクトが足りないんだよ。
せめて『京介氏』呼びくらいはしてくれねえとキカンボーMAXとはいかねえな」



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