11/06/29 16:22:09.94 +shN39gM
>>191の最後も欠けてました
たびたびすみません……
丸ごと訂正
入場時に預けていた荷物(あやせの金魚袋やハンドバッグ)を受け取り、
ベンチに腰掛けたところで、あやせはようやく俺の右腕を解放してくれた。
「少しは気分が落ち着いたか」
あやせは手のひらで涙を拭い、鼻を啜って、コクリと頷く。
流石にここで「お前ビビりすぎだろ」と笑う勇気は無かったさ。
のっぺらぼうくんの二の舞を演じるのはご免だしな。
「人間誰でも、これだけは絶対に無理、ってモンが一つや二つあるもんだ。
それにな、お化けを全然怖がらないような女は可愛げがねえし、
怖がってる演技をするような女はもっとつまらねえ、と俺は思う」
「……慰めてくれてるんですか?」
「まあな。
でもよ、いくら怖かったからといって、お化けに暴力を働くのは反則だぜ。
あやせがぶっ飛ばしたのっぺらぼう役の人には、後で一緒に謝りに行こうな」
あやせは悄げた様子で肯き、こんなことを訊いてきた。
「お兄さんは、お化けが怖くないんですか?」
「怖いに決まってるだろ」
「後ろからお兄さんのことを見てましたけど……全然、そんな風に見えませんでした」
「ああ、言い方を間違えたな。
怖くて、驚かされて、同時にそれが楽しいんだよ」
「お兄さんが言うと、変態っぽく聞こえます」
お前がいつもの調子を取り戻してきてくれたようでお兄さん嬉しいよ。
「お化け屋敷に入るのは、端から恐怖体験が目的だろ。
それを言うなら、お前はお化けが苦手なのに、どうしてお化け屋敷に行きたがったんだよ?」
「……小さな頃からの夢だったんです。
このお祭りのお化け屋敷を踏破することが」