【俺の妹】伏見つかさエロパロ20【十三番目のねこシス】at EROPARO
【俺の妹】伏見つかさエロパロ20【十三番目のねこシス】 - 暇つぶし2ch150:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/28 12:13:39.05 8xofa6dN
そもそもSSの投下が無ければ一日に数レス進むくらいが普通なわけで
週1ペースでも書き手が投下してくれれば十分だよ

151:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/28 15:54:07.17 6scBnsoL
俺にとってはこの流れの方が好き
もちろん、職人さんが居てのエロパロ板だが

152:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/28 16:36:59.19 3SaX7dky
キチガイが住み着いてるスレに職人来るわけねえだろw
ましてや平和なvipやキャラスレがあんのに

153:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/28 16:53:14.24 86bTOZZq
キチガイ=ID:AnoWWUcD ID:pVI3chW7 ID:Uexkm7Ao

「糞スレ」と「SL」っていう上がってもいない話題を一生懸命振りまいてスレを荒らそうとするやつのことかww

154:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/28 20:39:52.25 foOKnk+8
キチクn長編てもう書き手いなくなっちまったっすか(T_T)

155:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/28 23:33:46.70 uXSmE+Vy
SL66氏

156:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 00:31:28.83 gaHlN31w
あやせかわいい

157:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 03:24:46.68 Z15O9Z4o
なんでSL氏に根強いアンチがついてるのか、なんとなく分かった。

「氏が書く作品は、表現や文章のレベルが高すぎる」

中高生が読む(のがメインの)ラノベ二次創作で、これは致命的
そりゃ、反発出るわ

158:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 08:02:24.59 9EHf7rM1
語彙、表現、原作再現度、話の面白さ
全てにおいて上の書き手は存在する
残念だけど

159:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 08:02:45.05 Nv56Ruzs
なんでこのスレに粘着荒らしがついてるのか、なんとなく分かった。

「このスレの作品は、表現や文章のレベルが高すぎる」

自宅警備員が読む(のがメインの)エロパロ板で、これは致命的
そりゃ、反発出るわ

160:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 08:38:38.06 OsbqYPr8
致命的か?

161:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 08:47:45.84 fW6++OLg
頭がね

いかん、カレを擁護するスレが自演にしかみえない
ちょっと偏見すぎるかな 

162:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 08:51:52.80 gye8Oqap
加奈子はDV男にはまりそう

163:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 09:06:36.67 9Sf/0C7J
S!L! S!L!

164:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 11:28:12.20 +rbvLcSp
>>161
自演ではないと思うけど、明らかに荒らしの愉快犯ではある

普通ならこんなのに付きまとわれたら書き手本人も迷惑するだろうし、そうでなくとも、あからさまに他の書き手を見下したり
「原作を越えた!」とか言ってるレスには、本人が嗜めるような書き込みをすれば、このスレも(彼自身の評価も)多少は違うんだろうけど
彼は自分を嗜めるレスに対しては荒らし認定して噛み付くくせに、こういうのは野放しにするんだよな

迷惑どころか、ヨイショされて本気でいい気分になってるのかも知れない
ぶっちゃけ場をかき乱したいだけの愉快犯なんだから、心の底ではSLのことだって鼻で笑っているのは明白なのにな

165:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 13:04:18.12 UH/v8ogN
こっちで消えろって言われてSL専でまた叩かれてまたこっちに戻ってきた
ただの子供

166:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 14:09:57.32 fW6++OLg
おかえり('・ω・`)

167:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:16:51.54 +shN39gM
・仮題「夏祭り」
・非エロ
・あやせ×京介
・30レス程度

前後編のうちの前編になります
投下してもおkでしょうか?

168:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:22:39.10 nKtbemAK
問題ない
こちらはいつでも全裸待機で準備は万端だ

169:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:28:30.71 +shN39gM
それは例えるなら、夜空にきらめく綺羅星の一。
赫赫たる輝きは仰いだ者の目を惹きつけてやまず、
されど所有欲を懐いた者には冷ややかな一瞥を投げかける。
見渡せば、夢破れた者たちの屍の群れ。

「あやせ、今まで何人にナンパされた」
「覚えてません。
 お兄さんがいけないんですよ、わたしを30分も待たせるなんて」
「桐乃を説得するのに手間取っててな」
「それで、あの子は……?」
「電話で話したとおり、家で休ませてる。
 俺も残って看病するって言っても、
 あたしの分まで楽しんで来て、の一点張りでよ」
「わたしも同じです。
 桐乃がいないと意味ないよ、ってメールを送ったら、
 あたしの代わりに花火の写真を撮ってきて、って逆に宿題を出されちゃいました」

困り顔で目を細め、たおやかな所作で腰を上げるあやせ。
ラブリーマイエンジェルの愛らしさを表現したところで何を今更と笑われそうだが、
今夜の彼女は、持てるボキャブラリーの粋を尽くして誉めちぎらずにはいられない。
長い黒髪は後ろで一つに結わえられ、
覗く項は健康的な白、身に纏うは黒地に朝顔をあしらった湯帷子、
下駄は歩みに合わせて幽玄の音を奏で、鼻緒の赤は大人びた雰囲気に一抹の幼さを残している。
要するに何が言いたいかというとだな。

「あやせたんすげー可愛い。鼻血出そう」

170:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:29:05.14 +shN39gM
「今何か言いました?」
「浴衣、似合ってるって言ったんだよ」
「そ、そうですか?
 お兄さんなんかに誉められても全然嬉しくないですけど、
 一応は、誉め言葉として受け取っておきます」

あやせはフイと顔を背け、

「今日お兄さんと一緒に出かけるのは、桐乃に頼まれて、仕方なくですから。
 その点だけは勘違いしないで下さいね」
「へいへい」

俺のことは精々、ナンパ避けにでも使ってくれ。
お前の美貌には到底釣り合わない地味顔だが、それくらいの役には立つぞ。

「わたしはお兄さんのことが嫌いです。
 でも、卑屈なお兄さんはもっと嫌いです。
 わたしの隣を歩くなら、せめて、堂々と胸を張って下さい」

そ、そそ、それってつまり……。

「今日一日限りなら、お前の彼氏を名乗ってもいいってことか!?」

171:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:29:38.46 +shN39gM
「じゃあ、もし誰かに俺たちの関係を聞かれたら、何て答えればいい?」
「そうですね……」

あやせは人差し指の腹を唇に当て、可愛らしく小首を傾げると、

「兄妹ということにしておきましょうか」

兄妹、ねえ。

「知り合いに会った時はどうするよ?」

例えば加奈子とか麻奈実とか。
確率は極々低いと思うが、一応な。

「その時は即刻どこかに隠れて下さい。
 もしもお兄さんが隠れるのが間に合わなかった時は、
 少々面倒ですが、時間をかけて事情を説明しますから」

やれやれ、どうあっても誤解される事態は避けたいと見える。
俺との仲を色眼鏡で見られるのがそんなに嫌かよ?
俺は大歓迎なんだがな……。

「絶っ対に嫌です」

ですよねー。

172:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:30:15.14 +shN39gM
肩を竦める俺を余所に、あやせは

「もうすぐ電車が来ます」

と踵を返し、駅構内へと歩き出した。
ナンパに失敗した男どもの怨嗟の視線を背中に浴びつつ、浴衣姿の後を追う。

さて、ここらで俺とあやせがデートするに至った経緯を説明しておくか。
事の発端は数日前。
桐乃が隣町のお祭りに行きたいと言い出したことがそもそもの始まりだった。
暇を持て余していた俺は一も二もなく承諾し、経つこと数日、
俺たちの予定を聞きつけたあやせが突然の参加を意志表明、
本人曰く、前々からそのお祭りに興味があった、というのは桐乃向けの建前で、
俺が桐乃の浴衣姿に欲情して間違いを犯さないよう監視するのが真の目的なのだとか。
んなことするわけねーだろ、と力説しても馬耳東風、
あまりの信用のなさに慨嘆に暮れていた俺を蚊帳の外にして、
桐乃とあやせは仲睦まじく、祭りに着ていく用の浴衣を選んでいたっけな。
そして迎えた祭りの当日、桐乃は馬鹿みたいな高熱を出して寝込んじまった。
即日快復の見込みは薄く、祭りは生憎の一晩限り。
どうするべきか、と悩んだ俺に桐乃がかけてくれた言葉は、冒頭であやせに受け売ったとおりである。
説明終わり。

電車に揺られること十数分。
駅から出た俺たちは、しばし言葉を失った。

「大賑わいだな」
「この辺りでは、有名なお祭りですからね」

173:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:31:01.29 +shN39gM
耳を澄ませば、祭り囃子の清音が聞こえる。
遠くに見えるのは御神輿だろうか。
お面を付けた子供が「まだ帰りたくない」と泣きながら、親の手に引かれていた。

「あやせは今まで、このお祭りに来たことはあるのか?」
「小さい頃に、両親に連れられて何度か。
 でも、ここ数年は遠慮してました。
 暴走族の集会に使われたり、スリや置き引きが増えたりと、悪い噂ばかり聞くようになったので」
「一日限りになったのもそれが原因らしいな」

晩飯の席で、親父(現職の警官)が喋っていたことを思い出す。
何年か前までは、祭りは二日間に渡って開催されていた。
が、軽犯罪の温床と化すにつれて、自治体は期間の縮小を決定し、
警察は気合いを入れたパトロールを実施する運びとなったらしい。

「今日だって、お母さんを説得するのにすごく苦労したんですよ。
 悪い人に絡まれたらどうするの、ってうるさくって」
「あやせママは心配性か」
「というよりは、過保護の方が正しいですね。
 今でもわたしのことを子供扱いするんですよ?
 もう十五歳なのに……」

軽く頬を膨らませるあやせ。可愛い。

174:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:31:32.38 +shN39gM
「結局、あやせはどうやってお袋さんを説得したんだ?」
「友達のお兄さんも一緒だと言ったら、渋々納得してくれました。
 もっとも、もしお母さんがお兄さんの素性を知っていたら、
 絶対に認めてくれなかったでしょうけど」

冷ややかな目つき。たまりませんなあ。
ちなみにあやせが言った俺の素性とは、近親相姦上等の変態鬼畜兄貴のことである。
今更それを訂正する意志も元気もないとは言え、

「一応、俺はあやせのお袋さんに、保護者役を期待されているわけだよな?」
「まあ、そうとも言えますね」
「そこで、だ。
 お前の護衛を万全なものにするために、一つ俺に提案があるんだが」
「何ですか?」

俺は爽やかな笑顔で言った。

「手を繋ごう」

あやせも華やぐ笑みでこう答えた。

「嫌です。穢らわしい」

例によって例の如く、台詞と表情の不一致甚だしいなオイ。

175:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:32:18.75 +shN39gM
まあいい。

「お前が嫌なら無理強いしないが、はぐれないようにしろよ」

この歳で迷子になったら笑い者だぜ。

「お、お兄さんまでわたしを子供扱いしないで下さい。
 お互いがお互いを見失わないよう、意識していれば大丈夫です」
「心配になったら、いつでもお兄さんの腕に抱きついてこいよ。
 俺はいつでもウェルカムだ」
「わたしはいつでもノーサンキューです」

そいつは残念。
俺は誰からも必要とされない右手をポケットに仕舞いつつ、
道なりに連なる屋台骨と、それを縁取るネオンの光を眺めた。
さてと……俺たちもそろそろ、露店巡りに繰り出すとしますかね。

駅前を離れ、大通りを歩き始めることを数分。
右手からカランカランと鐘の音が鳴り響いたので振り向くと、

「やったぁ、一等賞だっ!」

と小さな男の子がはしゃいでいるのが見て取れた。
手渡された最新型の携帯ゲーム機を誇らしげに掲げ、周りの友達に自慢している。

176:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:33:35.56 +shN39gM
あやせが言った。

「へえ……きちんと当たりクジも用意されているんですね。
 三等以上の景品なんて、所詮は人目を引くための飾りだと思ってました」
「実際、ほとんどのクジ屋はハズレクジしか用意してないんだろうさ。
 けどガキの頃なんて疑うことを知らねえから、馬鹿みたいに小遣いを注ぎ込んだよな」
「仲間を見るような目でこっちを見ないで下さい」
「隠すなって、誰もが通る道だろ?
 百円玉数枚で豪華景品を手に入れる夢を見るのは」
「わたしは三回ほど挑戦したところで、無垢な子供を食い物にする仕組みに気づきましたから」

あやせ様は幼少期より素晴らしい炯眼をお持ちで。
しかし真の賢者とは最初からクジ屋に金を落とさないヤツのことで、
クジを引いちまった時点で俺とあやせは五十歩百歩の距離にあるんじゃないか、と言えば睨まれるのは自明の理、

「どうだ、試しに俺たちも引いてみないか。
 さっきの騒ぎが仕込みじゃなけりゃ、あのクジ屋は世にも珍しい優良店みたいだぜ」
「仕込み?あの男の子がサクラかもしれないと疑ってるんですか?」
「可能性はあるだろ」
「お兄さんは捻くれすぎです。
 あんなに可愛い男の子が、そんな悪事に荷担するわけがないじゃないですか」
「分かった分かった、汚れてるのは俺の心の方だ。で、どうするよ?」

あやせはしばし迷った末に、ハンドバッグから財布を取り出して言った。

「それじゃあ、一回だけ」

177:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:34:20.64 +shN39gM
列の最後尾に並び、クジ箱の前に着く頃には、
背後には先の一等賞獲得の噂を聞きつけたのか、長蛇の列が出来ていた。
クジ箱には『一回:三百円、二回:五百円』の文字。
気のよさそうな店主の「二回の方がお得だよ」の言葉を半笑いで聞き流し、
俺とあやせはそれぞれ三百円を手渡した。
まずは俺から。
箱に手を突っ込み、勘とセンスで一枚の紙片を掴み取る。
最初から当たる期待なんかしてないっての、
というようなクールな風体を装いつつ、内心では八百万の神様に祈りを捧げる。
あのう、二等の音楽プレイヤーが欲しいんですけどなんとかならないですかね?
今持ってるプレイヤーの調子がすこぶる悪いんです。
ここで当たれば新しいのを買わずに済むんです。

「ほい、兄ちゃん。残念賞だ」

クラッカー単品を拝領する。
ハハ……これで誰かの誕生日を祝ってやれるぜ。
三百円には到底釣り合わないが、夢と希望を買ったと思えば慰めにもなる。

「さあさ、次は嬢ちゃんの番だよ」
「……行きます」

あやせが袂を捲り、箱に手を差し入れる。
指先に全神経を集中させるためか、目は瞑られ、呼吸さえも止まっているように見えた。
やがて俺の倍ほどの時間をかけて、あやせは紙片を選び出した。
手渡された紙片を、店主が慣れた手つきで検める。
果たしてその結果や如何に?

178:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:37:10.45 +shN39gM
クジの中身を確認した店主の手が、ミニクラッカーの寄せ集めに伸び……その隣のハンドベルを鳴らした。
カランカラーン。

「おめでとう、特別賞だ!」

おいおいマジかよ。
特別賞なんてあったのか。
けど、展示されてる中に特別賞の札付きの景品なくね?

「ちょっと待っててくれるかい。景品は別のところに置いてあるんだ」

と言って、店主が屋台の裏手に消える。
あやせが譫言のように呟く。

「当たった……信じられない……」
「すげえな。特別賞だぜ、特別賞」

茫然自失としていたあやせも、徐々に実感が込み上げてきたのか、

「お兄さん、わたしやりました!」
「おう、やったな!」

極々自然なハイタッチを交わす。
あやせは慌てて手を引っ込めて何か言いかけ、戻ってきた店主を見て絶句した。
無理もないと思ったね。
店主が脇に抱えていたのは、星くずうぃっち☆メルルの等身大ぬいぐるみだったんだからな。

179:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:38:48.57 +shN39gM
「はいよ。大切にしてやんな」
「あ、ありがとうございます」
「ハッ、桐乃への土産を買う手間が省けてよかったじゃねえか」

と俺が言うと、あやせは困惑気味の表情になって、

「確かにあの子は大喜びするでしょうけど、
 これを持ったまま歩くのは流石に恥ずかしいので……お兄さんに預けておきますね」
「おう……」

って自然に受けとっちまったが、なんで俺?

「だって、お兄さんなら"そういう趣味の人"と思われても問題ないじゃないですか。
 むしろ白い目線が心地良いんじゃないですか?……変態」

ハイ今日の初「変態」頂きました。
って、問題あるし心地よくもないわボケ!
しかしこの縫いぐるみ、妙にディティールに凝ってるな。
遠目からだとマジに俺が児童誘拐してるように見えないこともなさそうで怖いんだが……。

「ママー、あたしもメルルのぬいぐるみほしい」

と後ろで小さな女の子が、母親に駄々をこねている。
譲ってやりたい気持ちは山々だが、
悪いな、俺の家にも一人、メルルの大きなお友達がいるんだよ。
それから俺は試行錯誤を重ね、ぬいぐるみを肩車する方法が、
一番負担がかからず、両手も自由になるという結論に達した。
道行く人の冷たい視線?知ったこっちゃねえや。
だがあやせ、お前まで俺から微妙に距離を取るのはやめてくれ。

180:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:40:21.62 +shN39gM
さて、次に俺たちが足を止めたのは、夏祭りの露店といえばコレをおいて他にない、金魚すくいの屋台である。
といってもあやせは通り過ぎる気まんまんだったようで、

「急に立ち止まってどうしたんですか?」
「金魚すくいやろうぜ」
「構いませんけど、やるならお兄さん一人でどうぞ」
「寂しいこと言うなよ。やりたくない理由は何だ?」
「大人気ないじゃないですか。あんな小さな子供たちに交じって金魚すくいだなんて……」

待ち合わせ場所で顔を合わせた時から思っていたが、
どうもあやせはまだ、祭りの雰囲気に乗り切れていない感じだな。
矜持は捨てて童心に還る、これ縁日の鉄則だぜ?

「イヤなものはイヤです」

強情だな。
しゃーねえ、諸刃ならぬ逆刃の剣になりかねんが、一丁挑発してみるか。

「お前さぁ、もしかして金魚すくいできねえの?」
「は、はぁ?」
「一匹もすくえなくて、惨めな思いをするのがイヤだから渋ってんだろ?」
「なっ、なんでそうなるんですか!?
 馬鹿なこと言わないでください。
 金魚すくいは得意……じゃありませんけど、お兄さんよりたくさんすくえる自信はあります」
「口では何とでも言えるよな」

181:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:41:45.16 +shN39gM
「くっ……分かりました。
 実際に証明すればいいんでしょう、実際に証明すれば」

おー釣れた釣れた。

「ただの勝負じゃつまらねえし、そうだな、
 多くすくえた方が、後で何か食べ物を奢るってのはどうだ?」
「の、望むところです」

硬貨を支払い、ポイと椀を受け取って、水槽の前に陣取る。
チビッ子たちよ、俺の肩に乗ったメルルに興味津々なのはいいが、
どうか俺とあやせの神聖な戦いの邪魔だけはしないでくれよな。

「それじゃ、始めるか」
「……はい」

意気込みとは裏腹のなんとも緩慢なかけ声で、火蓋は切って落とされた。
ポイを握るのは久しぶりだが、やっぱり体が覚えてるモンなんだな、

「おらよっと。一匹目」

幸先の良いスタートを切り、その後もテンポ良く二匹目三匹目をすくい入れる。
東に高坂京介ありと謳われた実力を遺憾なく発揮し、
十匹目をすくい入れたところで椀の中はいっぱいに。

182:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:42:48.19 +shN39gM
「兄ちゃんすごいな」と店主。
「わぁっ、どうしてそんなに上手いのー?」と背後の子供たち。

へっ、これも一重に練習の賜さ。
新しい椀を店主から受け取り、恐らくは数で俺に負けているあやせを煽ってやろう、と隣を見ると、

「……………」

あぁ……。まぁ、その、なんだ。

「久しぶりだもんな、初めから調子が出ねえのは仕方ねえよ」

あやせは空の椀と破れたポイを見つめて言った。

「……なんです」
「ん?」
「昔から、下手なんです。何度やっても、一匹もすくえたことがなくて。
 今のわたしになら簡単かと思ったんですけど……やっぱり、ダメでした」

微かに湿った双眸、噛み締められた下唇。
やれやれ、俺は知らず、あやせのプライドをいたく傷つけていたらしい。

「おっちゃん、ポイもう一つ」
「あいよ」

受け取ったポイを、そのままあやせに握らせる。

183:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:43:50.02 +shN39gM
「何度やったって、同じです」
「やってみなくちゃ分からねえだろ。
 それにな、物事には何でもコツがあるんだよ。金魚すくいだって例外じゃない」

あやせの右手に自分の手を添える。
あやせはぴくりと肩を震わせ、しかし、我慢してくれた。
他意がないことを直感的に悟ってくれたのかもしれねえな。

「ポイを水につけるときは、ゆっくりじゃなくて、思い切りよくだ。
 あとは金魚は追いかけるな。寄ってきてくれるのをじっと待て」
「………」
「いい位置に金魚が来たら、ポイの面の端っこですくいあげる。
 金魚が暴れないうちにな。ちゃんと聞いてるか?」
「……は、はい……」

こっちは真面目に教えてるのに、そんなに艶っぽい声を出されても困るんだが。
触れあった右手が妙に熱い。
つーか、教えるために無意識にとった体勢だが、
このあやせの背中から覆い被さるような格好、かなりヤバくね?

「あっ、お兄さん……!」
「おっ、来た来た」

タイミングよく金魚が寄ってきて、俺はあやせの右手をアシストする。
ぽちゃんと水音。椀の中には、形、色ともに良しの金魚が一匹。

184:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:45:22.44 +shN39gM
「出来たじゃねえか」
「……こんなに簡単なことだったんですね」
「だろ?さ、次は自分一人の力でやってみな」

数分後。
屋台から離れたあやせの手には、水草模様が描かれた金魚袋があった。

「酷いです。わたしを置いてきぼりにするなんて」
「他の利用客にスペースを空けてやろうと思ってな。
 で、何匹すくえたんだ?」
「四匹です。お兄さんと一緒にとったのも入れて。
 お兄さんには遠く及びませんね。
 ……そういえば、お兄さんの金魚はどこですか?」
「周りの子どもたちの椀に、一匹ずつプレゼントしてやったよ。
 どうせ持って帰っても、おふくろに『池に返してこい』って言われるのがオチだからな」

というわけで俺の成果はゼロ、この勝負はお前の勝ちってことで。

「そ、そんなの反則ですっ」

自分が不利になる反則を咎められるとはこれいかに。

「だって、お兄さんにコツを教えてもらうまで、わたしは一匹もすくえなかったんですよ?」

俺はあやせを遮り、

「勝者には豪華賞品、フランクフルトが送られます」

185:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:46:17.44 +shN39gM
「……先に屋台を離れたのは、これを買うために?」
「まあな」
「いくらしたんですか?」
「聞くな。俺だって初心者相手に賭け試合吹っ掛けたことに、罪悪感を感じてんだ」

その罪滅ぼしがコレだ。さあ、遠慮なく食え。
あやせはしばしフランクフルトを眺め、
やがて熱さを確かめるように唇を付け、あむ、と先端に齧り付いた。

「どうだ、美味いか」
「はい、とっても……あ、お兄さんも」

無垢な笑顔で俺にフランクフルトを差し出しかけ、慌てて引っ込めるあやせ。

「な、何でもありません」
「はいはい、分かってるよ」

お前も優しさも照れ性もな。
とても美味しい、という感想は本当だったようで、あやせは気持ちの良い頬張りっぷりを見せてくれる。
いやあ、実に健全な光景ですなあ。
眼福眼福。

「……お兄さん?」

おっと、考えが顔に出ていたらしい。

186:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:47:03.72 +shN39gM
「目がすっごくいやらしいです」
「気のせいだろ」
「いかがわしい妄想をしているようなら、即刻ブチ殺しますよ」
「失敬な。次にどこに行こうか考えてたんだよ」

というのはもちろん嘘で、あやせもそれを承知しているんだろうが、
右手に金魚袋、左手にハンドバッグの状態では万全の殺害ができないと判断したらしく、

「お化け屋敷……はどうですか?」

と俺の話題転換に乗ってくれた。
つーか、この祭りに来てから初めてだよな。あやせが行き先を指定したのって。

「このお祭りのお化け屋敷は、その怖さで有名なんです。
 入ったうちの二組に一組は、ゴールできずに、入り口まで引き返してくるそうです」
「詳しいな。入ったことがあるのか?」
「子どもの頃、お父さんと一緒に二回ほど」
「ゴール出来たことは?」
「……ありません」と俯き気味に白状するあやせ。

親父さんが怖じ気づいたとは思えねえし、
お化け怖さに泣きじゃくるあやせを、親父さんが肩車して引き返したんじゃないか、と想像する。

「よし、行ってみるか」

187:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:48:19.22 +shN39gM
というわけでお化け屋敷である。
見た目は打ち捨てられて久しい蒼然の廃屋、奏でるは物寂しい和楽の調べ。
一日限りの興行の割りにはえらく意匠が凝らされた造りだな。

「前の方がゴールされるまでしばらくお待ち下さいね」

と受付の女性に言われ待つこと数分、
わんわん泣き喚く小さな男の子と、その母親と思しき人が入り口から現れた。

「今年も相当怖そうですね」とあやせ。
「入る前から怖じ気づいててどうするよ」
「お、怖じ気づいてなんか……!
 わたしがゴールできなかったのは、小学校に入る前の話ですよ?」
「今はもう怖くないと?」
「当たり前じゃないですか。
 中に人が入っているお化けなんか、ちっとも怖くありません」

ほう、そいつは頼もしい。
ところでさっきから気になってたんだが、どうしてあやせは俺の背後に立ちたがるんだ?
入り口は俺たちが横に並んでも余裕がある広さだぜ?

「うるさいですね。早く進んでください」
「分かったから押すな」

俺としては隣でお化けにびくつくあやせたんを鑑賞したかったんだがな。

188:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:49:55.66 +shN39gM
消沈しつつ入り口の垂れ幕をくぐると、ひんやりとした冷気に出迎えられた。
中は狭い通路が延々と続く構造になっているようで、
等間隔に配置された蝋燭の光が、唯一の光源として正しい行く手を教えてくれる。

「なかなか良い雰囲気だな」
「…………」

進むこと数歩、最初の角を曲がってすぐのところでファーストコンタクト。
右手に包丁、ぼろぼろの服を身に纏い、ざんばら髪で顔を覆った女が、

「きひひっ」

と不気味な笑い声を響かせながら、通路の先へ走っていく。
ああ、こりゃ怖ぇわ。
ガキなら小便漏らすのを必死に我慢して、一目散に引き返しても仕方ないレベル。
だが、その怖さが夏には丁度良い。
俺はさらに歩を進め、通路の天井からだらりと垂れるろくろ首や、
壁から突き出す無数の手、右手のガラス窓にへばり付く口裂け女を華麗にスルーしていった。
そういやあやせ、お前さっきから口数が少ないが大丈夫か?

「えっ……あ、はい……大丈夫です……」

瞬きが多い。呼吸も肩でしているような感じがする。
パニックの前兆じゃあるまいな、と訝った矢先、あやせの背後に誰かが立った。
トントン、とそいつがあやせの肩を叩く。
元々振り向いていた俺には、そいつの顔―のっぺらぼう―が丸見えで、
普段なら大いに驚かせてやれと口を噤んでいるところなのだが、その時ばかりは流石に止めた。
否、止めようとした。

189:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:50:49.17 +shN39gM
「ばぁっ!」
「いやぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!」

誰何もなく、躊躇いもなく。
あやせは下手人に渾身の平手打ちを叩き込んだ。

「ぶべらっ!?」

のっぺらぼうの面が派手に吹き飛び、中の人がもんどり打って倒れる。
俺はなおも追撃にかかろうとするあやせを羽交い締めにし、

「お、落ち着け!」
「離して!離してくださいっ!
 お兄さんが邪魔で、そいつを殺せませんっ!」
「物騒なこと言ってんじゃねえよ!
 お化けが怖いからって、お化けに暴力ふるってどうする!?」
「そんなこと言ったって―きゃっ」
「わっ」

後ろに倒れ込んだところで、何かの仕掛けが作動したらしい、
通路を照らしていた蝋燭の光が一斉に消え、視界が暗幕に包まれる。
ジェットコースター的展開に、さらにあやせのパニックは悪化するかに思えたが、

「…………」

身動きが止まる。

190:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:52:35.64 +shN39gM
が、ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、

「……っ……」
「ちょ、おま……もしかして泣いてんのか?」
「泣いてなんか……いませんっ……」

強がる言葉は湿っていて、耳を傾ければ、微かな嗚咽が漏れ聞こえる。
羽交い締めにしたあやせの体は、固く強張り、震えていた。

「立てるか?」

真っ暗闇の中で、首を横に振る気配がする。
俺がゆっくり立ち上がると、手を差し伸べるまでもなく、あやせは腕にしがみついてきた。
ふにふにとした柔らかい感触に狂喜乱舞するのは後回しにして、
今はこの場所から抜け出すことをが最優先だ。
亀の歩みもかくやの遅々としたスピードで、いずことも知れない出口を目指す。
恐怖音が聞こえる度、また何かに蹴躓く度、
骨が砕けるんじゃないかと思うくらいの力で腕を抱き締められたが、そこは無言でこらえたさ。
やっとの思いで出口に辿り着くと、スタッフの女性が迎えてくれた。

「お疲れさまでした」
「はは、どうも」

スタッフの女性は俺の右隣に視線を移し、生暖かい笑顔を浮かべて、

「今年は少し怖くしすぎたのかもしれませんね。
 例年に比べて、出口まで辿り着かれる方が極端に少ないんです。
 どうぞ、そちらに休憩スペースがあるので、お連れ様が落ち着かれるまでお休みください」

191:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:53:52.67 +shN39gM
入場時に預けていた荷物(あやせの金魚袋やハンドバッグ)を受け取り、
ベンチに腰掛けたところで、あやせはようやく俺の右腕を解放してくれた。

「少しは気分が落ち着いたか」

あやせは手のひらで涙を拭い、鼻を啜って、コクリと頷く。
流石にここで「お前ビビりすぎだろ」と笑う勇気は無かったさ。
のっぺらぼうくんの二の舞を演じるのはご免だしな。

「人間誰でも、これだけは絶対に無理、ってモンが一つや二つあるもんだ。
 それにな、お化けを全然怖がらないような女は可愛げがねえし、
 怖がってる演技をするような女はもっとつまらねえ、と俺は思う」
「……慰めてくれてるんですか?」
「まあな。
 でもよ、いくら怖かったからといって、お化けに暴力を働くのは反則だぜ。
 あやせがぶっ飛ばしたのっぺらぼう役の人には、後で一緒に謝りに行こうな」

あやせは悄げた様子で肯き、こんなことを訊いてきた。

「お兄さんは、お化けが怖くないんですか?」
「怖いに決まってるだろ」
「後ろからお兄さんのことを見てましたけど……全然、そんな風に見えませんでした」
「ああ、言い方を間違えたな。
 怖くて、驚かされて、同時にそれが楽しいんだよ」
「お兄さんが言うと、変態っぽく聞こえます」

お前がいつもの調子を取り戻してきてくれたようでお兄さん嬉しいよ。

192:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:54:43.67 +shN39gM
何もそんなことを夢にせんでもよかろうに。
と俺が呆れたその時、

「おーい」

と誰かが話しかけてきた。
視線を上げれば、見知った学友の顔がそこにあり、

「赤城?……って何だよその格好」
「おいおい、見て分からねえか?」

ぼろぼろの浴衣に乱れた髪、頭の後ろにかけたお面……。

「お前……まさか、さっきののっぺらぼうか?」
「ああ」
「なんでお前がお化け屋敷でお化けやってんだよ?」
「割の良いバイト探してたら、この街に住んでるヤツに紹介されてさ。
 ……なあ、このアニメキャラのぬいぐるみ、高坂のだろ?」

暴れるあやせを取り押さえたときに、肩から落っこちてたみたいだな。

「ああ、確かに俺のだ。拾ってくれてサンキューな」
「えーっと、星くずなんとかマルルだっけか?」
「違ぇよ。星くずうぃっち☆メルルだ」

193:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:55:37.55 +shN39gM
語気を強くして訂正すると、

「そ、そっか。
 とにかく、持ち主が見つかって良かったよ。俺は仕事に戻るわ」

と赤城は引き気味の笑顔で立ち去りかけ、

「待ってくださいっ!」

俺が何か言うより先に、あやせが赤城を引き留めていた。

「わたし、あなたに酷いことをしました。
 あの……、お怪我はありませんか?」

顔を近づけるあやせに、赤城は大袈裟に飛び退いて、

「心配ご無用。男の体は丈夫に出来てんだ。
 これくらい痛くも痒くもねえって」
「それでも、ごめんなさい。
 わたし、何とお詫びすればいいか……」

深々と頭を下げるあやせ。すると赤城は愉快げに笑い、

「君が俺に襲い掛かったのは、それだけ俺を怖がってくれてたってことだろ?
 お化け役冥利に尽きる、ってもんさ。
 これからはこいつを勲章だと思って仕事に励むよ」

ほっぺたの紅葉をかきながら、お化け屋敷に戻っていった。

194:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:56:12.09 +shN39gM
「気持ちのいい方ですね。
 お兄さんの友達だというのが信じられないくらい」
「二言目が余計だ。
 でもまあ、あいつは本当にイイ奴だよ。
 一目惚れしたなら紹介してやろうか」
「………わたしはそんなに軽い女じゃありません」

あやせは急に立ち上がり、往来に向かって歩き出す。
隣に並んで表情を伺えば、打って変わったむくれ顔。
いったい何があやせの機嫌を損ねたんだろうね、と訝しみつつ、
俺は自然な流れで、右腕を差し出した。

「何ですか、それ」
「いや、ほら、お前が腕を組みやすいようにな」
「余計なお世話です」
「さっきはあんなに力強くしがみついてきてくれたのにな?」

俺は痺れた右腕を軽く振って見せてやる。

「あっ、あれは足に力が入らなくて、仕方なくですから!」
「じゃあもう一回お化け屋敷に入るか」
「絶対イヤです。……お兄さんは、そんなにわたしと腕が組みたいんですか?」
「ああ。もう一度あの感触を味わいたい」
「感触?」

195:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 15:57:48.59 +shN39gM
あやせは頭の上にクエスチョンマークを浮かべ、
やがて合点がいったのか顔を林檎のように赤くすると、

「もうっ、どうしてお兄さんの頭の中は、いつもいかがわしいことで一杯なんですか!?」
「相手が他の女ならこうはならない。
 あやせ、俺がお前のことを愛しているからだ」
「よく臆面もなくそんな恥ずかしいことが言えますね!
 愛を穢らわしい欲望の言い訳に使わないで下さい!
 どうせその言葉も嘘のくせにっ!」

変態っ!死ねっ!と盛大に俺を扱き下ろし、
あやせは俺を引き離さんと、ずんずん歩調を上げていく。
ちょいと調子に乗りすぎたか。お兄さん反省。
あやせを追いかけようとしたその時、携帯が鳴った。
受信メール一件。差出人は赤城。

『高坂、あの子とはいつから付き合ってるんだ?
 田村さんは知ってるのか?
 またバイトが終わったら電話する』

赤城よ、お前の勘違いが現実だったらどれだけ幸せか。
俺は苦笑して携帯のフラップを閉じ、顔を上げた。

「あやせ?」

声は、俄に大きくなった囃子の音にかき消された。
御神輿が大量の担ぎ手と奏者を伴い、行く手の十字路を横断していく。
往来が元の混雑に戻ったとき―、あやせの姿はどこにも見えなくなっていた。


夏祭り(前)おしまい! 続くよ~

196:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 16:13:03.72 +shN39gM
>>171
最後の部分が欠けてました……
丸ごと訂正


「あやせたんすげー可愛い。鼻血出そう」
「今何か言いました?」
「浴衣、似合ってるって言ったんだよ」
「そ、そうですか?
 お兄さんなんかに誉められても全然嬉しくないですけど、
 一応は、誉め言葉として受け取っておきます」

あやせはフイと顔を背け、

「今日お兄さんと一緒に出かけるのは、桐乃に頼まれて、仕方なくですから。
 その点だけは勘違いしないで下さいね」
「へいへい」

俺のことは精々、ナンパ避けにでも使ってくれ。
お前の美貌には到底釣り合わない地味顔だが、それくらいの役には立つぞ。

「わたしはお兄さんのことが嫌いです。
 でも、卑屈なお兄さんはもっと嫌いです。
 わたしの隣を歩くなら、せめて、堂々と胸を張って下さい」

そ、そそ、それってつまり……。

「今日一日限りなら、お前の彼氏を名乗ってもいいってことか!?」
「もうっ、またそうやってすぐに調子に乗る……!
 お兄さんがわたしの彼氏?
 あ、有り得ないですから。妄想は大概にして下さいね」

これくらいの暴言は慣れたモンだ。

197:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 16:22:09.94 +shN39gM
>>191の最後も欠けてました
たびたびすみません……
丸ごと訂正


入場時に預けていた荷物(あやせの金魚袋やハンドバッグ)を受け取り、
ベンチに腰掛けたところで、あやせはようやく俺の右腕を解放してくれた。

「少しは気分が落ち着いたか」

あやせは手のひらで涙を拭い、鼻を啜って、コクリと頷く。
流石にここで「お前ビビりすぎだろ」と笑う勇気は無かったさ。
のっぺらぼうくんの二の舞を演じるのはご免だしな。

「人間誰でも、これだけは絶対に無理、ってモンが一つや二つあるもんだ。
 それにな、お化けを全然怖がらないような女は可愛げがねえし、
 怖がってる演技をするような女はもっとつまらねえ、と俺は思う」
「……慰めてくれてるんですか?」
「まあな。
 でもよ、いくら怖かったからといって、お化けに暴力を働くのは反則だぜ。
 あやせがぶっ飛ばしたのっぺらぼう役の人には、後で一緒に謝りに行こうな」

あやせは悄げた様子で肯き、こんなことを訊いてきた。

「お兄さんは、お化けが怖くないんですか?」
「怖いに決まってるだろ」
「後ろからお兄さんのことを見てましたけど……全然、そんな風に見えませんでした」
「ああ、言い方を間違えたな。
 怖くて、驚かされて、同時にそれが楽しいんだよ」
「お兄さんが言うと、変態っぽく聞こえます」

お前がいつもの調子を取り戻してきてくれたようでお兄さん嬉しいよ。

「お化け屋敷に入るのは、端から恐怖体験が目的だろ。
 それを言うなら、お前はお化けが苦手なのに、どうしてお化け屋敷に行きたがったんだよ?」
「……小さな頃からの夢だったんです。
 このお祭りのお化け屋敷を踏破することが」

198:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 17:56:51.78 I7f7Y0JP

やっぱりあやせは可愛いな
続きが楽しみだ

199:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 18:43:04.78 TPPmMqwg
>>197
GJ!
続きが楽しみ

200:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 18:50:28.65 d7p5bqwz
京介が何気に女殺し
こんなならあやせも惚れてまうやろ

GJ!!

201:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 18:53:10.90 ki2PDj5G
なんだこの天使…可愛すぎてつらい
そして京介のタラシっぷりw

202:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:01:03.11 gaHlN31w
ほらな。やっぱりあやせなんだって

203:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:14:43.96 OsbqYPr8
最近あやせ続くな乙

204:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:38:14.17 TZwaXB8n
ここにきてあやせフィーバー
桐乃とは一体なんだったのか

205:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:40:15.94 9EHf7rM1
>>196>>170の訂正?

乙です!

206:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:52:28.52 t0vQuume
エロネタですら使えない黒猫は間違いなくただの舞台装置

207:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 19:56:01.85 TZwaXB8n
ああ?黒猫はエロネタに使う必要がないほどそれだけで価値があんだよ

208:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 20:00:08.01 7rWwSpLv
SLディスったりキャラディスったり忙しいな糞が

209:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 20:01:54.03 TZwaXB8n
加奈子が一番かわいい

210:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 20:14:50.39 OsbqYPr8
ブリジットもカワイイ

211:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 20:46:12.12 sXOKaOzA
みんなかわいい

212:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 21:09:08.15 DJwiG0X7
加奈子は男前

213:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 22:08:22.79 JS4kcvXZ
乙!
後編を期待してるよー
ちゅーぐらい期待してしまうのだがw

214:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 23:12:39.24 GDIyd/en
ラッキースケベでアナルセックス期待

215:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 23:18:13.53 wmSyW8tL
>>214
どんなラッキーだよw

216:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 23:57:52.60 uU6wB43o
>>195
GJ!
後編楽しみにしてるよー

217:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 00:01:18.14 YYRNS3fQ
>>195
あやせたん最高!
後編も楽しみにしています

218:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 02:48:23.84 aEQ7dO34
>>195 雰囲気がいいな。長くてもダレないし、続きが凄~く楽しみ。

219:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 03:01:55.49 Ndg3kB8D
桐乃に足を舐めさせたい

220:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 07:54:31.88 h0I4Ojry
URLリンク(fsm.vip2ch.com)

221:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 08:10:12.91 U8h55NVM
>>215
オリ主が風呂場で滑ったら一緒に入浴していたタバサの尻穴にズブリ!


という超展開を見せたゼロ魔二次SSがあったなw

222:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 16:17:19.89 KxG9KPdJ
>>220
これなんて漫画?

223:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:31:32.89 5GMgwUVC
SLさんなんで来ないの
このスレ見捨てられちゃったのかな・・・

224:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:32:17.44 aOh0HEJe
あやせかわいいのう

225:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:33:05.56 NEYmA7JW
確かにあやせはかわいい
だが加奈子もかわいい

226:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:44:50.94 7efzGgzu
久しぶりに来たらブリジットネタが無い……
仕方ないから小ネタ自給自足するか




「あの…マネージャーさん、この後ちょっといいですか?」
イベントが終わり、控室に戻ってきたブリジットが声を掛けてきた。
「ああ、お前を送ったらどこかで飯食って帰るだけだ。…そうだ、よかったら一緒に夕飯どうだ?バイト代も出たし奢るぜ」
「お…奢ってもらうなんてとんでもありません!ちゃんと自分の分はお金出します。それでよかったらご一緒させて下さい!」
ブリジットは慌てたようにパタパタと手を振りながら言うと、続けて
「私もちょうど、相談したい事があったし……。すぐ着替えてきちゃいますね」
……?なんだろう…。今、一瞬ブリジットの顔が曇ったような…。それに相談て……?

「痴漢!?」
「お、お兄さん声が大きいです!」
あれから、俺達はイベント会場を出ると、ブリジットが住んでいるマンションに程近いファミレスで食事を取る事にした。
食事を済ませ、ドリバーに食後のコーヒーを取りにいこうかと考えていると、ブリジットが神妙な顔で話し掛けてきた。
「お兄さん、ご相談したい事があります…」
その内容を聞いた結果が、さっきの俺のセリフというわけだ。俺は声を潜めながら改めて確認する。
「痴漢てあれだよな、電車とかバスで…」
ブリジットは、顔を赤らめながらコクリと頷く。
「それをブリジットは最近毎日されてる……」
コクコク
顔を俯かせさらに顔を赤くするブリジット。
何てこった…ブリジットがそんな目にあっていたなんて。あのすべすべしたふとももや、柔らかでふにふにしたお尻が痴漢に好き放題にされているなんて!許されざるよ!
「ブリジット行くぞ!」
俺は立ち上がるとレシートを掴み、開いた手でブリジットの手を握るとレジに向かった。
「あの、行くってどこに…」
「こういう話は他の人がいる所では話ずらいだろ。後はお前の部屋で聞かせてもらう!」

この後、俺はブリジットから綿密な事情聴取を行い、情況を再現しつつ対応策をアドバイスした。
その際に
『お…お兄さん……そんな所まで痴漢さんは指を入れたり……ひゃう!?』
『なんでベッドに押し倒すんですか!?電車の中にベッドはありませんよ!!ああっ!そこは今敏感になってるからダメェ…!』
ブリジットから苦情が出たような気がするが、気のせいだと思う。俺は実演を交えつつ、各シチュエーション毎の対応のしかたを教えただけだ。
だからベッドに横たわるブリジットは、実技で疲れ果て眠ってるだけだ。断じてイキ過ぎて失神してるわけじゃないぞ!



翌日、件の痴漢は捕まったとブリジットから聞いた。何でも中学生の尻を触った所を張り込み中の鉄道警察隊に捕まったそうだ。


227:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:52:32.75 7efzGgzu
エロいブリジットは需要ないだろうと直接描写削ったら半端な内容になった気が……orz
やはりエロは必要か
ただ以前にコスプレネタもソープネタもやったから他に思いつかないや
独占欲が肥大化した京介に奴隷調教を受けるブリジットとか誰も見たくないだろうし……

228:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/30 23:54:25.85 aOh0HEJe

ただエロは載せとけ

229:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/07/01 00:06:38.17 yiWIaCcD
トンでもなく見たい乙

230:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/07/01 00:40:18.26 kQgPqwW1
          ..:::´::イニ三三三三≧ミ{彧ル'
        イ=ミ^三≫:'^⌒^⌒^⌒^⌒^\
      /{{{麥}ル'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
        ::::::云彳:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::'
      |::::::::{i:i:| ::::: / ::::::::::::::::::::::::::| ::::::::::::::: |::|
      |:::::::::{i:i|:::::::: ‥  l i ノ ̄ ̄`ヽ、―ニ 二
     !::::: {i:i|:::::::i|:::;∴. / ´`ヽ _  三,:三ー二
.      l::::::: {/|:::::::i|::::::i|:::(--  / ̄ ,   ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.       l::::::::(●)ミ,;∴.(  ...|  /!   
       l:::::::八 :::小. :::::::(`ー‐し'ゝL _  
         l::::::::::::\:::∧ ::(--‐‐'´}    ;ー------------
        |::::::::::::::|:丶:::> `ヾ-‐ーー'"  
        |::::::| :::::| :_{^⌒≧=-  __,,∠L:⊥..、
        |::::::|::::::/ \ ゚^'~、{乃    }:::ヽ
        | ::::j/    ≫=- ._V厶.   }}::::::::.
.      厶≪         {{{麥}》   /{:::::::::}
.      /:::::::::::\        人赱人/´::::::::::::::\
     /:::::::::::丶:::丶、____,/ / ∧ \:::::::∨:::::::::〉
     {:::::::::::::\}:::::::::⌒^⌒::{  / 丶  〉::::::::::::::::/

231:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/07/01 08:42:52.43 NM26srkZ
うらやまけしからん

232:名無しさん@ピンキー
11/07/02 00:22:49.13 EaBcZuhY
これだよ、これ
このスレはこうじゃなくっちゃ

エロは難しいからなあ・・・。
いつもエロ部分で止まってシャドーボクシングを始めてしまう。

233:『似てないふたり』
11/07/02 01:54:21.64 /Izap0qo
登場人物
高坂京介 高坂桐乃 ほか

語り
高坂京介


ゆるいエロしかありませんが、やってみます。

234:『似てないふたり』
11/07/02 01:54:55.38 /Izap0qo
俺・高坂京介は今、総武線に揺られている。都内、正確にはアキバ帰りだ。
また妹のパシリ乙、と思ったそこのあんた。残念だが間違っている。
なぜなら、俺の目の前では我が妹・桐乃も一緒に電車に揺られているからだ。
そう。断じて俺はパシリではない。荷物持ち要員なだけだ。悪いか?

今日の俺は桐乃様の命を請け、渋谷での限定発売アクセサリー、
秋葉原での同じく限定発売フィギュアの買い物に駆り出されたってわけだ。
アクセサリーもフィギュアも嵩張るものではないことに気付いたのは
千葉駅から電車に乗った直後だったということが俺の迂闊さを物語っている。
まったく、桐乃のヤツ、一人で行けっての。

だが‥‥‥アキバ帰りの今、桐乃はスゲー機嫌が悪い。
限定アクセサリーも限定フィギュアも入手できなかったからである。
おまけに電車はメチャ混み。桐乃の不機嫌は頂点に達していた。

「んああああー、ムカつく!」
「オイ、うるせーぞ。大人しくしてろ」
「うっさい! マジムカツク! アクセもフィギュアも買えなかったし、
 電車は混んでるし、アンタのせいだかんね!」
「お、俺のせいかよ!?」

限定アイテムを買い損ねたのは、桐乃が出かけるのに手間取って店に着くのが
遅くなったせいだ。女というのはセットアップに時間がかかるからな。
そして電車が混んでいるのは、混んでいる時間帯だからだ。俺のせいじゃない。
まあ、桐乃の理不尽さは今に始まったことではないから、腹も立たないけどな。
とは言うものの、今日の電車はとても混んでいる。俺にとってもキツイ。
華奢な桐乃は躯を他の乗客に押し潰されそうだ。桐乃が文句を言うのも解る。
仕方ねえ‥‥‥な。



235:『似てないふたり』
11/07/02 01:55:22.81 /Izap0qo
「ちょっ! ナニすんのよ!?」
「うっせ! 黙ってろ!!」

俺は桐乃を車両の隅に押しやり、そして桐乃の前に立ちはだかった。
こうして俺が壁になってやれば、桐乃も少しは楽になるだろう。
‥‥‥のはずだったのだが、他の乗客に押されて、俺と桐乃は完全な密着状態に。

「(な! ナニしてんのよ!? アンタ!)」
「(仕方ねえだろ! 混んでいるんだからな!)」
「(ドサクサに紛れて触る気!? このシスコン!)」
「(いいから黙っとけ! こんな時くらい兄貴の言うことを聞け!)」
「(超かわゆいアタシと地味なアンタが兄妹だなんてね! 全っ然似てないし)」

他の乗客を気にしつつ小声で会話をする俺と桐乃。桐乃の香水の匂いが香しい。
そして、気がつくと俺の左手は何やら温かく柔らかいモノに触れていた。

「(こ、このスケベ!)」

桐乃が物凄い顔で俺を睨む。どうやら俺の左手は桐乃の腰に侵攻していたらしい。
そして右手は‥‥‥? ハ、ハハハハ。桐乃の背中に回っていたよ、オイ。
ん? 指先に感じるこの感触は? ハハハハ。ブラジャーの留め具ですね!
指を動かせば外せるんじゃね?

ぷちっ

そう、こんな具合にな‥‥‥


‥‥‥外しちまったよ!! 必死に言い訳するが、これは事故だからな!
ああ、この辺で桐乃が怖い。きっと悪鬼の形相の筈だと思いつつ桐乃の顔を
見ると真っ赤な顔で震えている。痴漢に遭うとこんな顔になるのだろうか。
電車が揺れる度に俺と桐乃は密着を繰り返し、段々と桐乃の躯が熱くなる。
シスコンの俺が熱くなると言うのなら解るが、何で桐乃が熱くなるんだよ。

そんな桐乃と躯を密着させていると、不埒なことを想像してしまう。
これじゃ俺が痴漢そのものじゃねえか! 畜生、千葉駅まであとどんだけだよ?
体を火照らせて震える桐乃を抱きしめた格好で、千葉駅に辿り着くまでの時間を
ただ黙って過ごすしかなかった。

‥‥‥‥‥‥



236:『似てないふたり』
11/07/02 01:55:48.84 /Izap0qo
「どうしました? 大丈夫ですか?」

俺はその声で、半分意識が飛んでいた状態から正気に戻った。
声の主である凛とした感じの女性が俺の目を見据えてこう言った。

「お手数ですが、ご足労願います」

ご足労って、こんな混んでいる電車で‥‥‥って、いつの間にか空いてるし!
俺の意識が飛んでいる間に電車は千葉駅に滑り込んでいたようだ。
そして俺の目の前には、俺の左手を腰に、俺の右手を背中に回されて
惚けた表情の桐乃が居た。

――さて、客観的に説明しよう。
混雑もしていない総武線の車内の隅に、茶髪の美少女が地味な男に追い詰められ、
両の手で抱きつかれている――
こんな感じになる。文字にすれば痴漢の現場そのものにしか見えない。

「オイ? どうした? しっかりしろ!」
「ふえ?」

桐乃は惚けた表情から復帰せず、俺の呼び掛けにも要領を得ない。
ダメだコイツ、早く何とかしないと。さもないと、とんでも無いことになる!

‥‥‥‥‥‥



237:『似てないふたり』
11/07/02 01:56:11.87 /Izap0qo
とんでも無いことになる――そんな俺の予感は的中した。
凛とした女性に俺と桐乃は千葉駅の鉄道警察隊まで連れて来られた。
桐乃は電車を降りてからここに着くまで、ずっと惚けた表情で俺のシャツの
裾を掴んだまま。おーい、正気に戻れー!
そして警察隊に着くと、俺は男性の隊員に、桐乃は凛とした女性の隊員に
それぞれ話を聞かれる。勿論、痴漢の加害者と被害者という立場でな。
まったく、冗談じゃねえよ!

「君はあの女の子に一体何をしていた?」

俺の親父を彷彿させる屈強そうな男性隊員が俺を問い詰める。
いや、元々は超満員電車でしたよ? 妹を守った結果がこうなのであって。

「大丈夫よ。何があったのか話してちょうだい」

相変わらず惚けた表情の桐乃は、凛とした女性隊員に問いかけられる。
何か嫌な予感がする。あの表情はエロゲでヘブン状態の時と似ているからだ。
もし桐乃が訳も解らず俺のことを痴漢だと証言したら一体どうなるのか?
桐乃! 嘘は言うなよ! ありもしないことを言うなよ!

「えっと‥‥‥電車の隅に押し込まれて‥‥‥腰と背中に手を回されて‥‥‥
 ブラのホックを外されて‥‥‥」

本当のことも言うな! 二人の隊員が俺を睨み付ける。最悪だ!
もしここで桐乃が「こんな人知らない」とか「逮捕して下さい」なんて
言いやがったら、俺の人生は終了するだろう。
どうせ終了するなら、いっそあやせの手で‥‥‥なんて発想が出てしまうのは、
俺の頭が混乱している証左に違いない。落ち着け俺。冷静になれ俺。

‥‥‥‥‥‥



238:『似てないふたり』
11/07/02 01:57:01.71 /Izap0qo
そうか‥‥‥冷静に考えれば俺たちって兄妹じゃないか。似てないけどな。
疚しいことなんて何も無い。正直に兄妹だと言えば大丈夫だろう。
うん、冷静になっているな、俺!

「じ、実は俺たちは――」

本当のことを言えば大丈夫。
そんな高を括っていた俺が発した言葉に、さっきまで惚けた表情だった桐乃が
突拍子もない言葉を続けた。

「恋人同士なんです!」

うぇっ!? 今、何と!? 恋人同士? 俺と桐乃が? またその展開?
困惑した俺は桐乃の真意を問おうと、桐乃の目を見た‥‥‥が、
惚けた表情から完全復帰した桐乃が俺を睨む。そして、
『アンタ、黙ってなさいよ! 殺すよ?』という声が視覚を通して聞こえてきた。
まるで蛇に睨まれた蛙のように俺の動きは完全に封じられてしまった。

「本当? 脅かされているんじゃないの? 大丈夫よ。本当のことを話して」

この凛とした女性隊員は、俺をとんでも無い鬼畜野郎だと見ているらしい。
いや、脅されているのは俺ですから!

「本当に恋人同士です! 証拠だってあります!!」
「証拠って、オマエ?」
「京介ぇ~? もしかしてぇ、まだ三回目のデートだからって照れてんのぉ?」

桐乃が悪戯っぽい表情で俺を見つめながら、甘ったるい声で話す。
うへええええぇ、キモチわりー!
それにしても三回目のデート‥‥‥だと? 偽デートの他にもあったか?



239:『似てないふたり』
11/07/02 01:57:24.29 /Izap0qo
「フヒヒ、しょうがないなあ。ほら、アレを見せてあげようよ!」
「アレ?」
「ほら、コレ♪」

そう言うと桐乃はバッグから携帯を取り出した。勿論、“あの”携帯だ。
ああ、そういうことか。仕方ねえ‥‥‥な。
俺は、これから展開されるであろう恥を忍んで“あの”携帯をポケットから出し、
桐乃の携帯と並べて机の上に置く。共に“裏返し”でな。
男性隊員と凛とした女性隊員は『俺と桐乃のらぶらぶツーショットプリクラ』が
貼られた二つの携帯を見比べると、俺たちを恋人同士だと認めてくれた。
二人の隊員がニヤニヤしているように見えたのは気のせいじゃあるまい。
チクショー! 恥ずかしいぜ! これだけでもひどい羞恥プレイ状態なのに、
桐乃のヤツは、

「見て下さい!」

と言って待ち受け画面まで披露しやがった。しかも――

「さあ、アンタも見せなって!」

やめて! 死にたくなる!! お揃いプリクラの携帯という時点でアウトなのに、
妹の、いや『恋人の水着写真』を待ち受けにしているなんて見られたら、
千葉駅にはもう近づけなくなるぞ。警察24時モノで撮影されたら、
モザイクとボイスチェンジで処理されて放送されるに違いない。
バカップルなんて視聴者の興味を惹くには最高のネタだろうしな!

だが、そんな俺の心の抵抗も虚しく、俺の待ち受けが披露されてしまった。
ああ、俺の尊厳が‥‥‥

‥‥‥‥‥‥



240:『似てないふたり』 ◆ACPRLbMxAk
11/07/02 01:59:37.40 /Izap0qo
「よかったね~♪ あのプリクラと待ち受けのお陰で助かったし」
「ああ、そうだな」

電車の中での破廉恥行為を窘められただけで“恋人同士”の俺たちは放免された。
あのプリクラが決定打になったのは否めない。感謝したいくらいだ。でも――

「なんで、『恋人同士』なんだよ? 兄妹って言えば良かったじゃないか」
「だって、似てないアタシたちが兄妹と言ったって信じてもらえないし」
「ますます怪しまれる、か?」
「そう! 似てないんだから、恋人同士の方が通りが良いでしょ? ふふん」

妙に桐乃のテンションが高い。限定のアクセサリーとフィギュアを
買えなかったことでの不機嫌は、どこかに飛んでしまったようだ。

「オマエ、機嫌直ったのか?」
「ムカついてんに決まってるでしょ! 電車の中でアタシにあんなことして!」
「へ!?」
「『へ!?』じゃないっての! 超かわゆいアタシを抱きしめて、
 そして、アタシのブ、ブ‥‥‥ブラを外すなんて!!」
「あ、あれは事故だ!」
「ふーん、否定しないんだ。へへーん、この変態♪」

このクソアマ、俺の弱みにつけ込んで調子に乗りやがって。

「‥‥‥ナニ、ボサッとしてんの? さっさと腕を出して!」

何だよいきなり? と言いたかったが、警察隊の真ん前で揉め事はマズイし、
何よりも桐乃が不機嫌になることを恐れた俺が素直に出した右腕に
桐乃は自らの腕を絡ませる。

「オイ、何だよ!?」
「だって、アタシたち“恋人同士”じゃん? こうしないと変に思われるでしょ?」

俺は警察隊の中の人を横目に、抗うこともなく桐乃の行動を素直に受け入れた。
“あの”携帯を人前で披露し、恥ずかしいなんて感情は吹っ飛んでいたからな。
決してシスコンだから、ではないぞ!

「アンタに似てないアタシに感謝しなさいよね」
「はぁ?」
「似てないから、恋人同士って言い逃れが出来たんだから」
「へいへい。こんな地味な俺と似てなくて良かったなぁ」

俺はカドが立つ寸前ギリギリの悪感情を込めて言い放ってやった。

「ホント‥‥‥似てなくて‥‥‥良かった」

桐乃はそう言うと、俺の右腕を強く抱きしめた。


『似てないふたり』 【了】


241:名無しさん@ピンキー
11/07/02 02:24:13.03 8WJzJ4M8
桐乃かわいい
おつ

242:名無しさん@ピンキー
11/07/02 02:25:40.85 P3BN8LUd
>>240
前半に比べて落ちが単調すぎないか?会話もなんか事務的に読める・


243:名無しさん@ピンキー
11/07/02 02:58:20.81 fcPA4cgZ
SLさんがいないスレなんて精々こんなもんだろうな。
ま、よく頑張ったほうだと思うよ。

244:名無しさん@ピンキー
11/07/02 03:16:12.06 8WJzJ4M8
あやせかわいい

245:名無しさん@ピンキー
11/07/02 03:17:28.09 wHS/GfKy
眼鏡外したバジーナさんかわいい

246:名無しさん@ピンキー
11/07/02 03:19:09.42 wHS/GfKy
カズさんと食事に行ったら「結局はあやせだよな」って言ってた。
俺は違うと思うけど(笑)

247:名無しさん@ピンキー
11/07/02 04:34:12.32 h5q3WooV
>>240
前から楽しく読んでたけど、最近クオリティ落ちてるぞ
もう少し真面目に書け

2点

248:名無しさん@ピンキー
11/07/02 05:23:48.19 it9nkGkw
なんだ2点って? 3点満点か?

249:名無しさん@ピンキー
11/07/02 05:45:07.15 WOvDue3r
>>247
おいおい
本当のことを言うなよ
バカな作者が意地になって、もっとつまんないの投下したら洒落にならんwww

250:名無しさん@ピンキー
11/07/02 06:35:12.18 LD/Hs/3m
>>233-240
GJ! 桐乃かわいいw
あと、荒らしはスルーで。

251:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:09:48.90 ouR+YdIa
荒らしはスルーしろ!

252:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:17:54.05 zuNs2pbQ
>>240
桐乃かわいい!

253:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:20:50.00 wHS/GfKy
あやせェ

254:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:20:51.71 RFsu0RP3
乙おつ
面白かったよー

255:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:37:17.12 reR0ga+V
おつ乙
桐乃蕩けるなw

荒らしは無視な

256:名無しさん@ピンキー
11/07/02 08:45:13.36 wHS/GfKy
作者も俺妹くらい当てりゃ今後の生活に困らないんだろうな
羨ましい

257:名無しさん@ピンキー
11/07/02 10:34:07.02 X5sACPor
ぐっじょぶ

258: 忍法帖【Lv=7,xxxP】
11/07/02 10:38:47.51 SMVbNa35
乙!
恋人として見られて上機嫌の桐乃可愛いよ

259:名無しさん@ピンキー
11/07/02 11:07:58.66 4mCCS2wm
桐乃かわえぇ

260:名無しさん@ピンキー
11/07/02 11:19:19.52 lUlzk87w
>>247
○「自分の嗜好に合わないSSなら黙ってスルーすること」


261:名無しさん@ピンキー
11/07/02 11:21:49.69 4mCCS2wm
>>260
○荒らし、煽りは勿論スルー


262:名無しさん@ピンキー
11/07/02 11:34:22.14 NEU+bUDM
なんか自演くさい単発レスが増えるんだよな
この作者の旗色が悪くなるとwww

263:名無しさん@ピンキー
11/07/02 12:27:59.58 wHS/GfKy
格闘技やってる自演乙も俺妹とか見てんのかな

264:名無しさん@ピンキー
11/07/02 13:10:13.84 E1jWBgq0
>>262
その作者はそもそも専用スレがあるのでここでは話題にしないで

265:名無しさん@ピンキー
11/07/02 13:59:19.54 NEU+bUDM
>>264
お前、読解力皆無のバカだろ?

266:名無しさん@ピンキー
11/07/02 14:34:46.03 lrTq25mL
SLさん、他の作者を貶めるのはやめてください

267:名無しさん@ピンキー
11/07/02 14:42:23.88 wHS/GfKy
つまりあやせが一番かわいいって事だよな

268:名無しさん@ピンキー
11/07/02 14:44:49.17 KVCipSDH
あやせとエロの親和性は異常

269:名無しさん@ピンキー
11/07/02 15:36:51.96 hr6vI6PH
原作中では一番遠ざけているのに…いやだからこそか

270:名無しさん@ピンキー
11/07/02 16:00:25.22 LD/Hs/3m
ハマると抜け出せない性癖だと自覚しているからこそ、エロに対して過剰に警戒するんだよ

271:名無しさん@ピンキー
11/07/02 17:10:19.26 X5sACPor
ごり押し対象のキャラがあやせじゃなくて心底助かった

272:名無しさん@ピンキー
11/07/02 18:46:04.51 efjr40xS
・「あやせと京介の夏祭り」
>>195の後編
・言うまでもなくあやせ×京介
・非エロ
・30レス程度

投下してもおkでしょうか?

273:名無しさん@ピンキー
11/07/02 18:52:48.45 BFB3YxHe
おk

274:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:04:13.02 lUlzk87w
>>261
>>247は荒しだったのか。
了解した。

275:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:06:50.47 efjr40xS
【後編】

はぐれちまった―その事実を噛み締めた次の瞬間には、
俺は携帯のメモリからあやせの連絡先を呼び出し、通話ボタンを押していた。
無機質な電子音が反復し、

「もしもし、あやせか?」
「お兄さん?今どこにいるんですか?」
「俺はあやせとはぐれた場所から動いてない。
 あやせの方こそどこにいるんだ?」
「分かりません。周りに見えるものも、似たような露店ばかりで、特徴がなくて……」

か細い声を聞きながらも、俺は安堵していた。
携帯で情報を共有しながら探せばすぐに発見できると、高をくくっていたのだ。

「とりあえず、何でもいいから目に着いたものを、」
「お兄さん?何を言ってるんですか?」

脈絡の無い遮り方から、最悪の事態を予想するのに、そう時間はかからなかった。
まさか―。

「俺の声が聞こえてないのか?」
「お兄さん、わたし、携帯の充電が……」
「あやせ、とりあえずそこから動くな。
 両方が好き勝手動いたら、入れ違いになることがあるかもしれない」

276:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:07:34.75 efjr40xS
ふつりと通話の線が途切れる。
俺の言葉が届いたかどうかは分からず終いで、
どちらかと言えば聞こえていなかった公算が大きい。
ああ、クソ。
俺を置いて勝手に歩調を早めたあやせに、
折悪しく二人の間に割って入った御神輿に、
そしてあやせとはぐれる可能性に思い至らず、暢気に携帯を弄っていた自分に腹が立つ。
俺は地理に暗い頭をフル回転させて、
おそらくはあやせが『俺とはぐれたことに気づいた場所』に赴き、

「朝顔模様の黒い浴衣を見た、俺と同い歳くらいの女の子を見ませんでしたか」

と聞き込み作業を開始した。
が、色好い反応は梨の礫、誰もが迷惑そうな顔をして、首を振るか、無視するか。
人波は休みなく流れ、時々刻々とあやせの目撃情報は失われていく。
巡回中の警官にあやせの人相と俺の電話番号を伝え、
見つけたら連絡してもらうようにお願いしたが、
往来にあふれかえる浴衣姿の女の数を考えると、とても期待できそうにない。

どうして、はぐれた時のために待ち合わせ場所を設定しておかなかった。
どうして、無理矢理にでも手を繋いでおかなかった。

後悔の濁流が逆を巻く。
俺の主観を抜きにしてもあやせは美人だ。
そんなあやせが一人、不安げな顔をして彷徨っていたら、悪漢の良い標的である。

277:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:08:18.73 efjr40xS
「絶対見つけてやるからな」

独りごち、駆けだした。
焦燥と熱気で既に全身は汗みずく、顎先から汗が滴り落ちたが、今は拭っている時間も惜しい。
唯一の救いは進路を邪魔するヤツが誰もいないことだった。
ハッ、女児向けアニメのヒロインを脇に抱えた汗まみれの男が全力疾走してきたら、そりゃあ誰でも道を譲るわな。
涼やかな眉宇。玉石のように濡れ光る両の瞳。
高い鼻梁。薄紅色の唇。処女雪の如き白い肌。
あやせの顔を脳裏に描きながら、大通りを何度も往復する。
……いない。
御輿の通り道になっている、脇道も探してみた。
喧噪を嫌う家族連れや老人と、寂れた屋台しか目に着かなかった。
どこか、見落としている場所でもあるのか。
まさか、あやせはもう……。
最悪の可能性が脳裏を過ぎり、背筋を冷たいものが滑り落ちた。
その時だった。

「イヤですっ!」
「そうは言ってもよぉ、嬢ちゃん。
 いい加減に折れてくれねえと、俺たちも困るんだわ」
「な、ちいっとばかし、車に乗るだけだからよ」

高く澄んだ拒絶の声と、低く野太い猫なで声。
視線を向ければ、路傍に小さな人集りが出来ていた。
屈強な男たちが人壁を造り、その近くには黒塗りのライトバンがアイドリング状態で停止している。

278:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:08:50.76 efjr40xS
思考が働くよりも先に、足が動いていた。
顔を見るよりも前に、名前を呼んでいた。

「あやせっ!」

ラッセルの要領で人壁をかき分け、輪の中心に躍り出る。
いた。やっと見つけた。

「お兄さんっ!」

憂いを帯びていた表情に、ぱっと大輪の花が咲く。
矩形の御影石に腰掛けていたあやせが、立ち上がりかけ、姿勢を崩す。
俺は駆け寄り、体を支えてやりながら、

「大丈夫か?何もされてないか?」

あやせはふるふると首を横に動かし、

「でも、転んで、足を挫いてしまったんです。
 お兄さんを探して走っているときに、下駄の鼻緒が切れてしまって……」

浴衣の裾から覗いた右足首は、確かに、少し腫れているように見えた。
怪我を庇いながら歩くことはできても、走って逃げることは難しそうだ。

279:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:09:41.21 efjr40xS
しゃーねえ、ここは一丁腹を括るか。
俺はあやせを一人で立たせ、居並ぶ悪漢どもをギロリと見据えた。
どいつもこいつも鋳型で作ったみたいに、豪腕、巨体、極道面の三拍子揃ってやがる。
土下座して見逃してくださいと懇願しても、たぶん、一顧だにしてくれないだろう。
無論、そんな情けねえマネをする気は端からないがな。
だって、あやせが見てるんだぜ?
それにさ、マンガの主人公みてえなセリフ、一度言ってみたかったんだよな。
『逃げろあやせ、こいつらの相手は俺がする!』ってな感じのセリフをよ。
俺は見よう見まねのファイティングポーズを取り、

「逃げろあやせ、こいつらの相手は―」
「遅かったじゃねえか兄ちゃん、こっちはアンタのことずっと待ってたんだぜ」
「へ?」

朗らかな笑みを浮かべた男どもに、べしべしと肩を叩かれる。
痛い、あの、マジ痛いっす、いやホントマジ痛いんで勘弁してください。
クスクス笑いに気づいて振り返れば、
おいおい、俺の決死の呼びかけが聞こえなかったのか?
あやせはその場から微動だにしちゃいなかった。

「ふふっ、おかしい」

おかしいって何が?

「お兄さんは勘違いをしています。
 その人たちは、お祭りの運営をしている方々ですよ?」

……マジで?

280:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:10:19.38 efjr40xS
「襲われてたんじゃなかったのか?」
「まさか。逆です。
 わたしが足を挫いて動けなくなっているところを、助けて頂いたんです」

愕然としたね。
人聞きの悪いこと言うでねえ、と呵々大笑する男たち。
年配の方が言った。

「足は見た感じ大事なさそうだが、こんなところでジッとしてるよりは、
 応急医のいる休憩所で、看てもらったほうがいいと思ってなあ。
 歩かせるのも酷だと思うて、車を手配したんじゃが、
 嬢ちゃん、絶対あんたが迎えに来てくれる言うて、テコでも動かなかったんじゃ」

手配した車とは、あのライトバンのことだろう。
冷静になって見返せば、男たちは全員、同じ町章入りのシャツを着ていた。
拉致寸前の状況は、完全な俺の脳内妄想だったらしい。
安堵と同時に、顔から火が出そうなほどの羞恥に見舞われた。
身を隠せる穴はどこにもなく、掘ろうにも悲しいかな、アスファルトの固さは如何ともし難い。

「さて嬢ちゃん、いい加減、休憩所に行かねえか。
 望みどおり兄ちゃんと合流できたんだ、一緒に乗りゃあいい」
「いえ、本当にお気遣いなく。
 ゆっくり歩く分には問題ありませんし、
 何より、休憩所で時間を潰していたら、
 せっかくお祭りに来た意味がなくなっちゃいますから」

281:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:11:40.01 efjr40xS
「……そうか。
 それじゃあ俺たちは見回りに戻るからの、後は任せたぞ、兄ちゃん」
「う、ういっす……痛てて」

最後に馬鹿力で俺の肩を叩き、男衆は散っていった。
はぁ、と深い溜息を吐いて、御影石に座り込む。
傍らにはブルーハワイのかき氷があった。
誰のだ、と尋ねると、

「さっきの方たちが、わざわざ買ってきてくれたんです」

至れり尽くせりだなオイ。

「これ、ちょっと食べてもいいか」
「か、構いませんけど……」

返事を訊くや、俺は一気にかき氷をかきこんだ。
うめー。冷てー。喉の裏側の痛みがたまんねー。
走り通しで疲弊しきった体に、水気と甘味の染みること染みること。
あやせは唖然たる面持ちで俺の食べっぷりを眺めていたが、やがて切なげに目を細めると、

「……すみませんでした」
「なんでお前が謝る?」
「あのとき、わたしがお兄さんから離れなければ、こんなことにはなっていなかったでしょう?」
「そもそも俺が余計なことを言ってなけりゃ、お前が俺から離れようともしてなかったはずだぜ」
「それを言うなら、お兄さんのセクハラ発言を軽く聞き流せなかったわたしに原因があります」
「いいや、調子に乗りすぎた俺が悪かった」
「いいえ、悪いのはお兄さんを調子づかせたわたしです」
「あやせに責任はねえよ。聞いて驚け。
 俺はお前が近くにいるだけで自然にテンションが上がってくる、特異体質の持ち主なんだ」

282:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:12:44.27 efjr40xS
議論は果てなく平行線を描くかに思えた。
が、あやせの一言が終止符を打った。

「じゃあ、言い方を変えます。
 迎えに来てくれて……ありがとうございました」
「お、おう」

謝罪の言葉は受け取れなくても、感謝の言葉なら受け取れる。
あやせはそっぽを向きつつ、

「一人になってからも、鼻緒が切れて身動きが取れなくなってからも、わたしは心細くありませんでした。
 お兄さんなら絶対にわたしを見つけてくれるって、信じてましたから」
「あやせ……」
「だって、前に言ってたじゃないですか?
 わたしの匂いなら1キロ先からでも分かる、とか。
 神経を研ぎ澄ませればわたしの心が読める、とか……」

わ、我ながらキモイな。
けど、そこまで言ったことあったっけ?
セクハラの限度は弁えてるつもりだが、ハッキリと否定できないのが俺が俺たる由縁である。

「まぁ、真面目な話……お前が危ない目に遭ってなくてよかったよ」
「お兄さんは、わたしがあの人たちに連れ去られかけていると思っていたんですよね?」
「恥ずかしながらな」

283:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:13:20.09 efjr40xS
「もし本当にお兄さんの想像どおりだったら、どうしていたんですか?」
「どうしていたも何も、そりゃあ、お前を助けようと頑張ってたんじゃねえの。
 つーか、あの輪の中に飛び込んだ時点で、逃げ場はどこにも無かったんだ。
 最初から覚悟は出来てたさ」
「お兄さんには勝てる自信が?」
「いいや、からっきし。
 俺の親父は警官で、しかも柔道の有段者でさ。
 ガキの頃に基礎だけしっかり叩き込まれたんだが、今じゃ全然思い出せねえ。
 喧嘩に関しちゃ、俺は素人だよ」
「じゃあ覚悟というのは、ぼこぼこにされる覚悟……?」
「多勢に無勢でも、時間稼ぎくらいできるだろ。
 その間にお前が逃げられたらいいな……って、そんなのは今だから言えることだよな。
 あの時は何も考えちゃいなかった。無心の行動ってヤツだ」
「はぁ。お兄さんって、本当に馬鹿ですね」

お前な、ここは普通「お兄さんカッコイイ!素敵!」って言う場面じゃねえの?

「いいえ、馬鹿です。
 相手が相手なら、大怪我を負わされていたかもしれないんですよ?
 周りの誰かに応援を求めないで、一人で突っ込んでくるなんて……。
 ふふっ、大馬鹿以外の何者でもありません」

バカバカうるせぇな。
しかし辛辣な言葉とは裏腹に、あやせは妙にご機嫌である。
俺を罵倒できるのがそんなに嬉しいのかね。
お兄さんちょっと複雑な気分だわ。
というわけで(?)、俺はついさっき気づいた衝撃の事実に、
いささかセンセーショナルな脚色を加えて披露することにした

284:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:13:56.25 efjr40xS
「ところでこのかき氷、あやせの食べ残しだよな?」
「急に何を言い出すんですか?」
「食べ残しだよな?」
「そうですけど、それが何か?」

それが何か?それが何か、だと?
俺があやせの食べ残しを食べている。
それが意味するところは一つ。

「……間接キスだ」

ふははは。今まで失念していたのだろう。
ついうっかり、俺にかき氷を食べる権利を与えてしまったのだろう。
が、後悔しても時既に遅し!

「そうですね。お兄さんの言うとおりです」
「え?」
「それで、間接キスだから、どうかしたんですか?」

オー、ジーザス。俺は夢を見ているのか?
でなければ現代に起こった奇跡を目の当たりにしているか、だ。
あやせが俺との間接キスを認めている?
まさか。いやいや、有り得ない。
怒りで顔を真っ赤にしたあやせに、「変態!」「死ね!」とエッジの効いた暴言と暴力で虐げられるのが、
俺の描いていた未来予想図(的中率97%)だったというのに……いったい何がどうなってやがる?

285:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:14:46.23 efjr40xS
「少しは、多めに見ることにしたんです」

あやせは顔を怒りで真っ赤にする代わりに、ほんのりと頬を桃色に染めて、

「金魚すくいのコツを教わったり、お化け屋敷に付き合ってもらったり、
 はぐれて身動きの取れないわたしを探しにきてもらったり……。
 今日一日で、お兄さんにはたくさん借りが出来てしまいました。
 ですから、少々の変態的行為には目を瞑ろうかと。
 あくまで今日一日だけ、ですけど」

あーハイハイ、そういうことね。
つーか、何でもないことのように言っておきながら、
やっぱりあやせの中では、間接キスは変態的行為に属してるのな。
俺はかき氷の空容器を近場のゴミ箱に放りつつ立ち上がり、

「どこまでセーフで、どこからアウトなんだ?」
「そうですね……」

あやせは人差し指を唇に添えて思案のポーズになり、

「お兄さんからわたしに触れるのはNGで、わたしからお兄さんに触れるのはOKです」

なんだそりゃ。
意味を理解できないでいると、早速あやせは宣言を実行に移してきた。
右腕が手繰り寄せられる。
お化け屋敷の終盤、暗闇の中でしていたように、
しかしあの時よりも締める力は優しく、あやせは俺と腕を組んだ。

286:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:15:18.86 efjr40xS
「か、勘違いしないで下さいね」
「挫いた足首に負担をかけないようにするため、だろ?」
「……物わかりが良くて助かります」

正鵠を得ていたにも関わらず、あやせの唇はツンと尖っている。
やはり詮無い理由があるとはいえ、俺の腕を借りることには、忸怩たる思いがあるんだろう。
柔らかな感触に諸手を挙げて大喜びしたいところだが、
今は余計な刺激を控え、寡黙な杖役に徹するのが得策か。
可惜身命、触らぬ神に祟りなし。

「……ところで、足首はどのくらい痛むんだ?」
「ほんの少しです。お兄さんを支えにしていれば、ほとんど痛みは感じません」
「それでも、痛みは歴とした体の危険サインだぜ。
 当て所なく練り歩くのは、やめといた方がよさげだな」

ぬいぐるみの位置を整え、腕時計を見る。
九時三十分前、か。
ちょいと気が早いかもしれないが、

「花火が見える場所に移動しないか?」

早く行けば見晴らしの良い場所が取れるかもしれないし、
あやせが座って休めるようなベンチが見つかるかもしれないぜ。

「……実は、さっきの方々が教えてくれたんですけど……」

とあやせは耳許に囁いてきた。

287:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:15:56.93 efjr40xS
「な、なんだ?」

耳たぶに触れる吐息がこそばゆい。

「地元の方も知らない、秘密の見晴台があるそうです。
 お兄さんを待っている間に、地図を書いて頂きました」

あやせはハンドバッグから半紙を取り出し、見せてくれた。
限りなく抽象化された街の縮図を読み解く。

「ここから、そう遠くないみたいだな」

街路の混雑、あやせに配慮した徒歩を加味しても、20分ぐらいで着けそうだ。
しっかし……本当にそんな場所があるのかね。

「あの人たちは、嘘を吐くような人たちじゃありません」
「嘘だとは思っちゃいねえが、ただ、なんとなくイメージが出来なくてな」
「何でも、一見すると入るのを遠慮したくなるような建物らしいですよ」

どんな建物だよ。魔窟か?
あやせはクスリと笑んで言った。

「とりあえず行ってみませんか。一件は百聞に如かずとも言いますし」

さて、そんなこんなで歩くことしばらく、
人気のすっかり希薄な脇道をさらに逸れ、
街灯の明かりさえ乏しい小径を突き進み、
野良猫の寝床と化した隘路をそろりそろりと通り抜けた俺たちの目前に現れたのは、
想像していた魔窟よりもずっと現実的かつ退廃的な建物であった。

288:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:16:31.60 efjr40xS
「廃ビル、ですね」
「廃ビル、だな」

かれこれ十数年は放置されている感じだな、この廃れ具合は。
入り口は当然のことながら閉鎖されていて、
駄目元で裏手に回ると、搬入口の扉の鍵が開いていた。
中は暗く、埃っぽかった。
採光窓から差し込む月明かりが、唯一の光源だった。

「どうする?」
「どうするって、ここまで来たのに引き返すんですか?」
「や、お前が心配で聞いてんだよ。あやせは怖くねえのか?
 雰囲気的に、マジモンのお化けが出てもおかしくないような場所だぜ、ここ」
「ふふっ、わたし、気づいちゃったんです。
 どんなに怖いお化けでも、触れられるなら、暴力でなんとかなるってことに」
「お前はもう二度とお化け屋敷に入るな」

調度の類が何もない一階を見回る。
当然のことながらエレベータの電源は落ちていてた。

「屋上に出るには、階段を使うしかなさそうですね」
「でも、それじゃあお前の足がもたないだろ」

平素の徒歩と階段の上り下りじゃ、かかる負担も段違いだ。

289:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:17:22.06 efjr40xS
「どうしましょうか」

俺の腕を掴むあやせの手に、力が籠もる。

「方法はふたつある」
「ふ、ふたつもあるんですか?」
「まあな。知りたいか?」
「知りたいです。それで本当に、屋上に上がれるなら」

俺はもったい付けて言ってやった。

「あやせ、俺にお姫様だっこされるのと、おんぶされるのと、どっちが良い?」

「どっちもイヤ」―予想していた返事はいつまでも聞こえずに、

「……おんぶの方が、まだマシです」

声の震えから、相当、苦渋の決断であったことが伺える。
俺は組んだ腕を解き、あやせの前に進み出て、身を屈めた。

「言っとくけど、下心はねえからな」
「嘘つき」

見破られるの早ッ!

290:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:18:07.40 efjr40xS
見破られるの早ッ!
取り繕っても仕方ないと判断し、開き直ることにする。

「……ああ、嘘だ。
 けどな、女の子を心の底から荷物扱いできる野郎なんていねえっての」

相手がお前なら、なおさらな。

「ほら、さっさと乗れ。花火が始まっちまうぞ」

刻限を知らせたことが上手く作用したのだろうか、
あやせは怖々といった様子で俺の肩に触れ、徐々に体を預けてきた。
後ろに手を回し、薄い浴衣の生地に包まれた太股を支える。
豊満な果実が二つ、背中で潰れるような感覚があった。
あやせは何も言わなかった。
俺も何も言わなかった。
実際に階段を昇り始めると、あやせの感触を味わう余裕が無きに等しかった、というのもある。
とにかく一歩一歩が辛い。苦しい。
おっと、別にあやせの体重にケチを付けているわけじゃねえぞ。
俺は自分の体力不足を嘆いているだけだ。

「……大きいですね、お兄さんの背中」

と不意にあやせが言った。

「そりゃあ、女のお前と比べると大きいだろうよ」
「そういう意味で言ったんじゃありません」

じゃあどういう意味で言ったんだ、と尋ねようとしたとき、強烈な既視感が脳裏を掠めた。
この状況、この会話。
全てに共通する出来事があったはずだ……。

291:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:19:16.13 efjr40xS
「ああ」

思い出した。

「桐乃だ」
「桐乃がどうかしたんですか?」
「昔々に、家族で祭りに出かけたことがあったんだ。
 どこの祭りかは忘れちまったが……とにかくすごい混雑で、
 気づけば、隣にいるはずの親父とお袋がいなくなってた。
 手を繋いでたおかげで、俺と桐乃ははぐれずにすんだ」
「それから、お兄さんと桐乃は?」
「必死に親父たちを探したよ。
 けど、あの頃の俺はガキで、桐乃はまだ小学生にもなってなくてな、
 死ぬほど心細くて、俺が泣きそうになったとき……桐乃に先を越された。
 道ばたに座り込んで、わんわん泣いてたっけ、あいつ。
 それを見てたら、『俺がなんとかしねえと』って気持ちが沸いてきてさ、
 俺は桐乃をおぶって、迷子センターを目指したんだ」

道中、桐乃は言った。

『お兄ちゃんのせなか、おおきいねぇ』

俺はこう答えた。

『桐乃の背中にくらべたら、大きいに決まってるだろ』

すると桐乃は、俺の背中をぽかぽかと叩いてこう言った。

『そういうイミで言ったんじゃないもん。
 お兄ちゃんにおんぶしてもらったら、あんしんするってイミだもんっ』

292:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:20:00.21 efjr40xS
言葉の意図が同じだとすると、もしかしてあやせも、
あの時の桐乃と同じ感想を懐いてくれているのだろうか。
はは、まさかな。
そいつは希望的観測が過ぎるぜ、京介。

「……羨ましい」
「何か言ったか?」
「じ、時間が惜しい、と言ったんですっ。
 お兄さんは階段を昇ることに専念してください」

ほらな。
やっぱりあやせは、一刻も早いおんぶからの解放を望んでいるんだよ。
俺は気合いを入れ直すべく、あやせを抱え直した。

「きゃっ……」

艶やかな声が漏れた。
俺の手は計らずとも、あやせの水蜜桃の如きお尻をわしづかみにしていた。
いや、マジでわざとじゃないって。
揉みしだきたい欲求と格闘すること数秒、

「お兄さん?」

冷えた声が耳朶を刺す。
ああ、分かってる。聞き苦しい言い訳をする気はねえよ。
疑わしきは被告の"不利"なり。
情状酌量の余地はなし。
新垣大法廷の判決は、今日も今日とて事もなし。

293:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:21:28.62 efjr40xS
「……本当に展望台みたい」
「……最高の見晴らしだな」

屋上に通ずる扉を開くと、二人して思わず息が漏れた。
痛む後頭部を撫でさすりつつ(原因が何かは言わずもがな)錆びた鉄柵に歩み寄れば、
眼下には祭りの賑わいが、彼方には夜空を写し取ったかのような、河川の暗い輝きが見えた。
高さ、距離ともに、望楼としては申し分ない。
それから、夜風を浴びて待つこと数分、

「あっ」

と傍らのあやせが喉を鳴らした。
黒洞々とした満天に、色鮮やかな花が咲く。
遠雷のように低い音が、わずかに遅れて鳴り響く。
綺麗だな、と感心する一方で、桐乃も見たかっただろうな、と家で寝込んでいる妹のことを思った。
眺めている間は腕組みをする必要がないと思ったのか、あやせの腕から力が抜ける。
一抹の寂しさが去来し、次の瞬間には、戸惑いが胸中を占拠していた。
手の甲に触れるあやせの手。
反射的に握ると、ややあって、あやせも握りかえしてくる。

「わたしは―ときどき分からなくなるんです。
 お兄さんが、悪いお兄さんなのか、良いお兄さんなのか」
「今のところ、俺はあやせにどう思われてるんだ?」
「教えません。教えたら、お兄さん、きっと調子に乗っちゃいますから」

その言い方だと、答えを言ってるも同じだぜ。
まあ、ちっとは見直してくれたってことか。

294:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:25:29.23 efjr40xS
あやせは言った。

「お兄さんはどうして……最初に会った頃のお兄さんを演じ続けなかったんですか?」
「最初に会った頃のお兄さん?」
「ですから、その……常識的な妹想いで、気持ち悪いことを言わない……普通のお兄さんです」

裏を返せば、今の俺は倒錯的なシスコンで、
口を開けばセクハラ発現をする変態兄貴だと思われている、ということだ。
所詮は自分で蒔いた種、望み通りの結果だがな。
俺は言った。

「良い部分と悪い部分、全部ひっくるめて俺なんだよ」
「悪い部分を、わたしの前で隠すことはできるじゃないですか。
 そうすればわたしも……わたしだって……」
「あやせは誰かに嘘を吐かれるのが、何よりもイヤなんじゃなかったのかよ」
「それは、そうですけど」
「俺が常に良いお兄さんでありつづけるのは、俺がお前に嘘を吐き続けるのと同じだぜ」
「…………」

黙りこくるあやせ。
俺はこれからも、妹と愛の証を収集する変態として、臆面もなくセクハラ発言する畜生として生きていく。
桐乃とあやせの関係を繋ぐための、必要不可欠な人柱として。
数秒の沈黙をおいて、あやせは花火の音圧に潰されそうなほど、小さな声で呟いた。

「……ひとつ、お兄さんにお願いがあります」
「なんだ?」
「今から花火が終わるまでの記憶を……後で必ず忘れると、約束してもらえますか」

そいつは無理な相談だな、と思いつつも、
切実な眼差しを向けられて、俺は首を縦に振ってしまう。

295:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:27:49.22 efjr40xS
双眸に目もあやな夜空の光を浮かべながら、あやせは言った。

「……わたしは、お兄さんみたいなお兄さんが欲しかった。
 困っているときに、いつも助けてくれる……そんなお兄さんがいる桐乃が、羨ましかった」

冗談はよせよ、俺なんかを兄に持てば、度の過ぎた愛情を注がれた挙げ句、
近親相姦モノの薄い本を一緒に集めるハメになるんだぜ―そう言いかけて、改める。

「お前が桐乃の親友でいてくれる限りは、お前も俺の妹みたいなモンだ」
「それだけ、ですか?」
「どういう意味だ?」
「お兄さんにとってわたしは、それだけの存在でしかないんですか?」

おかしいな。
俺の自惚れじゃなけりゃ、あやせがそれ以上の関係を望んでいるように聞こえるんだが。

「わたしのことを愛してる、とか……わたしと結婚したい、とか……全て、冗談だったんですか?」
「そ、それはだな……」
「桐乃を性的な目で見ているお兄さんが本当のお兄さんなら、
 その言葉も本心から出たもの、ということになりますよね」
「う……」

痛いところを突いてきやがる。
一方の命題を真と言えば、他方の命題もまた同様に真と認めることになる。
自分が言った嘘に、自分自身が縛られる……まるっきり狼少年の末路じゃねえか。
答えに窮する俺に、あやせは静かに言葉を重ねた。

296:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:30:06.69 efjr40xS
「わたしは嘘が嫌いです。大嫌いです。
 でも、自分のために吐く嘘じゃなくて、誰かのために吐く優しい嘘になら……騙されても構いません」

あやせは暗にこう言っていた。
二つの命題のうち、一つは確実な偽であることを知っています、と。
何の因果か俺は今、妹を性的な目で見ているという体面を保ったまま、
あやせに告白してオーケーをもらえるかもしれない状況に立っていた。
なのに。

「…………」

好きだ、の一言が出てこない。
馬鹿野郎、さっさと言え。
愛している、結婚しよう、と軽々しく求愛していたのはどこのどいつだ。
不意に空気の震えが止まり、痛いほどの静寂が辺りを満たす。
時間切れ、か?

「……お兄さんの意気地なし」

落ち着いた非難の声が、胸に深く突き刺さる。
俺は恐る恐る隣を見て……次の瞬間に、かつん、と前歯に何かがぶつかる音を聞いていた。
ふっくらとした感触と、湿った体温を俺の唇に残して、あやせはそっと体を離す。
俺が嘘つきなら、お前は天の邪鬼だ。
華やぐ笑みで「死ね」と言い、蔑みながらキスをする。

297:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:34:10.86 efjr40xS
「……っ……はぁ……」
「おま……花火はとっくに終わって……」
「いいえ……まだ、終わってません……」

ひゅるるるる、と甲高い音が空を裂き、あやせの言葉を証明する。
無数の火花が描いたのは、祭りの終わりを締めくくる『Fin』の文字。
あやせは半ば惚けた表情で言った。

「……約束、守ってくださいね」

記憶を任意に消去できるほど、人間の脳味噌は便利に出来ちゃいない。

「もし桐乃に話したりしたら……」

きらり、とあやせの目が光る。
俺は慌てて言った。

「言わねえっての。
 言ったらお前よりも先に、桐乃本人から殺されそうだ」

全ては、真夏の夜の白昼夢。
それを否定する材料は、今や唇に残った感触のみで、それさえも時間が経てば消えてしまう。
その前に、と俺は言った。

「好きだぞ、あやせ」

今更ですか、とあやせは答えた。

「知ってますよ、お兄さん」

機を逸した愛の言葉は、至極あっさりと聞き流された。
それでも、その時あやせが浮かべた笑顔を―俺は一生、忘れないだろう。

298:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:35:38.06 efjr40xS
さて、この話にはオチがある。

それから俺たちは睦言を語り合い、
口づけを交わす間に生まれたままの姿になり、屋上の一角で情事に耽る……こともなく、
風上から運ばれてきた、火薬の臭いに追われるようにして、屋上を離れた。
あやせに腕を貸しつつ駅に辿り着き、
家からの最寄り駅で、迎えの車にあやせを預け、
自転車を漕ぎ漕ぎ自宅に到着、シャワーで汗を流して今に至る。
コンコン。

「……誰?」
「俺だ。さっき帰ってきた」
「いいよ、入って」

許可を得て部屋に入ると、
桐乃は俺が出かけた時と同じように、ベッドで横になっていた。

「お祭り、楽しかった?……てか、後ろに持ってるの、何?」

俺は最初の質問には答えず、桐乃へのお土産を披露する。

「ウソ……メルルの縫いぐるみじゃん……しかも超おっきいし……どこで手に入れたのっ!?」
「体に障るから興奮すんな。
 あやせがクジ屋で当てたんだ。お前へのプレゼントに、だってよ。
 今度会ったらお礼言っとけ」
「うん、分かった。分かったから、早く貸して!」

299:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:36:12.44 efjr40xS
病人とは思えねえ喜びぶりだな、オイ。
病は気から、って言葉もあるし、メルルが特効薬になれば言うことはないんだが……。

「…………」

どうした、いきなり黙り込んで。
桐乃は何を思ったか、メルルの股間に顔を押しつけると、俺とメルルを交互に見比べ、

「なんで兄貴の……」

と言いかけ、慌てて

「この子、超臭いんですケド」

と言い直した。
ああ、それにはちゃんとした訳がある。

「歩いてる間はずっとそいつを肩車してたからな」
「じゃあこの子に染みついてるのは、兄貴の汗ってコト?」

肯くと、桐乃は思い切り顔をしかめて、

「しっ、信じらんない!
 なんで袋に入れるとか、どこかに預けとくとか考えなかったワケ!?」
「うるせーな、洗えば済む話だろうが。
 こっちに寄越せ、潔癖症。
 明日、お袋が出かけてる間にでも洗っておいてやるからよ」
「いい」

はぁ?

300:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:36:57.58 efjr40xS
「洗ったりしたら、この子の形が崩れちゃうかもしれないじゃん」
「じゃあ、クリーニング屋に持って行ってやる。
 洗濯のプロなら上手く洗ってくれるだろ」
「じ、自分で持ってく」
「外出できないくらい熱があるくせに、何言ってんだ。
 俺が持って行ってやる。
 お前が寝てる間に、メルルは綺麗になって戻ってくる、それでいいだろ」
「うっ、うるさい!もうあんたは出てって!」

八重歯を剥いて威嚇する桐乃。
さっきまで臭いと言っていたぬいぐるみを、今は俺から守るようにして抱いている。
やはり高熱で譫妄状態にあるのかもしれん。
ここは大人しく退散したほうが良さそうだ。

「じゃあな。ゆっくり休めよ」
「うん……」

俺は最後に額を合わせて熱を測り、以前よりも温度が上がっていることを確認して、部屋を出た。
このまま熱が引かなければ、朝一で病院に連れて行くことも考えないとな。
自室に戻り、ベッドに横になったところで、電話がかかってくる。
発信者の名前を見てから、通話ボタンを押した。

「赤城か?どうした?」
「おう高坂、今お化け屋敷のバイトが終わったところだ」
「そっか、そいつはご苦労さん」

で?

「で、じゃねえだろ。
 お前俺のメール読んでなかったのか?」

301:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:37:50.09 efjr40xS
ああ、そういや俺とあやせの関係を問い質すメールが届いていたっけな。

「あんな可愛い子と、どこで知り合ったんだ?」
「妹の友達だ。初めて会ったのは、一年くらい前だな」
「お前の妹って、確か瀬菜ちゃんの一つ下だろ?
 あの顔と体で中三って……お前の妹といい、その子といい、後輩の子といい、
 どうしてお前の周りにだけ反則級の美人が集まってくるんだ?
 あ、いや、もちろん田村さんも含めてな」

知るか。あと麻奈実をとってつけたように扱うんじゃねえ。
赤城は急に真面目な声になって訊いてきた。

「お前とその子は、いつから付き合ってるんだ?結構長いのか?」
「なあ、赤城」
「なんだよ。もったい付けるなって」
「俺はあやせ―その子の名前な―とは付き合ってない。
 今日は妹とあやせと俺の三人で祭りに行くつもりだったんだけどな、
 妹が熱出して行けなくなったから、二人で行くことになった、それだけだ」

「なんだよ、高坂に先越されたかとビビっちまったじゃねえか」と赤城は安堵の笑いを響かせることもなく、

「おい水臭ぇぞ、高坂。
 俺とお前は、秋葉のエロショップを一緒に巡った仲なんじゃなかったのかよ?」
「は?何言ってんだお前」
「しらばっくれても無駄だぜ。いいから本当のことを言えよ」
「いや、付き合ってねえものは付き合ってねえし」
「残念だ、高坂。
 お前のことは、何でも話せる、気のおけねえ親友だと思ってたんだがな……」

ふつりと通話が途絶える。
最後の方が涙声になっていたのは気のせいか?

302:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:40:23.31 efjr40xS
ふつりと通話が途絶える。
最後の方が涙声になっていたのは気のせいか?
腑に落ちない点はあるものの、考えても仕方ないと思い、ベッドに横になる。
目を瞑ると、廃ビルの屋上での記憶が再生された。
あやせとキスをした今となっても、あやせと付き合うことは、上手く想像できない。
あやせは俺に好意を懐いてくれていて、一方で桐乃を脅かす存在として敵意を懐いている。
しかし俺が桐乃を性的な目で見ているというのは、
あやせと桐乃の仲を取り持つための、いわば自分を犠牲にする嘘であり、
あやせはその嘘を看破していることを、言外に臭わせていた。

つまり、何が言いたいかと言うとだな。

桐乃がオタク趣味から足を洗うか、
あやせが桐乃のオタク趣味を完全に認めるまで、
俺が嫌われ役、あやせが桐乃の守護者役のスタンスは崩れない、ということである。
あやせの俺への好意が、桐乃との友情より優先されるほど、強いものかどうかも分からないしな。
例外があるとすれば―屋上であやせが設けたような、『記憶に残さない秘密の時間』くらいだろうよ。

次の再会を夢見ながら、いつしか俺は、本当の眠りに落ちていた。

あやせに腕を貸しながら駅に戻る道中を、
お化け屋敷を片付け中の赤城に、イベント帰りに花火だけ見に来た加奈子とブリジット、
普通に祭りを楽しみに来たゲー研一同および黒猫三姉妹および田村一家に、仕事の息抜きに来た御鏡と藤真社長、
果ては出会いを求めて彷徨っていたフェイトさんに目撃されていたことを、当然、知る由もなく……。


おしまい!

303:名無しさん@ピンキー
11/07/02 19:56:14.76 efjr40xS
一応ですが

>>167~ の「あやせと京介の夏祭り」



>>60~ の「もしも京介が黒猫の告白を断っていたら」

の話と繋がりはありません
つまり京介は浮気してません

304:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:11:13.84 h5q3WooV
>>303
面白かった
ただ、ここはエロパロなのでエロいと尚よし

次はエロも入れるように。

305:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:14:03.12 it9nkGkw
>>303
面白かった

じゅうぶんエロかった。

306: 忍法帖【Lv=7,xxxP】
11/07/02 20:14:55.13 SMVbNa35
>>303
断っていたら~も面白かったけどこれもよかった。乙
キャラがちゃんと把握できてるのがよくわかって自然に読めた

あやせは今の立場のままだとどうしても切ないことになっちゃうからなあ
原作で何かしらの救済があることを願う

307:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:21:30.90 CMsP0KkO
>>303
文句なしに面白かった
だから前にも聞いたがVIPで何書いてたか教えろ

308:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:37:12.69 zuNs2pbQ
>>303
GJ!
あやせ可愛すぎる
てか桐乃がクンカたんにw

309:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:37:45.56 ouR+YdIa
エロほしい

310:名無しさん@ピンキー
11/07/02 20:48:59.40 lUlzk87w
おもしろかった!
良いモノ書いてくれてありがとう♪

311:名無しさん@ピンキー
11/07/02 22:27:17.61 ne2PHgMd
>>303 上手かった。vipのリトルプリンセスとか書いてた人?

312:名無しさん@ピンキー
11/07/02 22:34:02.28 ms3eRWpj
>>303
GJ!!

スレの流れがおかしくなってもココに居続けて良かったわ

313:名無しさん@ピンキー
11/07/02 22:34:37.41 VLs8hzVR
>>303
GJ!
次は他のキャラも書いてほしいなーなんてw


314:名無しさん@ピンキー
11/07/02 22:41:02.62 sgCZNjId
あやせの一歩リード乙!!

それはそうと>>299で、「兄貴の匂いに混じって、女の匂いがする…」
という修羅場を想像した俺は、どうやら心が汚れてるようだ
あやせと二人で行くって分かり切ってるのにorz

315:名無しさん@ピンキー
11/07/02 22:57:57.74 X5sACPor
GJです

316:名無しさん@ピンキー
11/07/02 23:15:43.01 efjr40xS
>>307
VIPでは色々書いてました
最初に書いたのは京介があやせを家庭教師する話

>>313
次は黒猫とのカップリングを書きたいと思ってます
やっぱりエロパロなので今度こそエロ有りで

317:名無しさん@ピンキー
11/07/02 23:43:20.52 zxd1ivZd
>>316
今から読むけど楽しみにしてたわ!
乙!


wikiで何個か作品が削除されてるけど大丈夫かね

318:名無しさん@ピンキー
11/07/02 23:44:07.91 ms3eRWpj
>>316
あぁ、やはり貴方だったのか…
VIPでの偽9巻の続き、今でも待ってますよ~w

319:名無しさん@ピンキー
11/07/02 23:46:42.56 PLT9HFJf
>>303
おつかれさまー
あやせと京介がお互いギリギリのところを探りながら会話するのが良いね。
二人きりになれるシチュエーションが必要なのは分かるけど、廃ビルってのは・・・。
あと、いろんな人に目撃されてたってんなら後日談とかあればもっと良かったのに。
次回作も期待してます。

320:名無しさん@ピンキー
11/07/03 00:00:53.13 HOA4p7ip
>>316
このスレのSS全部読み飛ばしてたけど、まさか偽シリーズの人だとは!!
今からスレ遡って全部読んでくる!

321:名無しさん@ピンキー
11/07/03 00:14:00.38 GGBHtVYA
>>316

せっかく過去作で良い伏線作ってんだからそれをもっと全面に出して欲しい。
契約に縛られて右往左往する人々が、その上で関係を構築するために四苦八苦するドタバタが読みたい

322:名無しさん@ピンキー
11/07/03 02:09:56.63 YROuazp8
アンチSL氏の荒らしが酷いな…
何この自演レスの山は

323:名無しさん@ピンキー
11/07/03 02:17:18.11 Hu5RYi+S
久々にその名前聞いたわw
この書き手さんSLよりよっぽどうめぇから

324:名無しさん@ピンキー
11/07/03 02:37:36.78 l5Ka83gk
もういいだろその話題は
専用スレでやってくれよ

325:名無しさん@ピンキー
11/07/03 02:56:13.25 YavOvgbS
この作品みてると今日も一日頑張れる気がする

ていうかあやせいればなんでもおk



326:名無しさん@ピンキー
11/07/03 04:57:05.30 JrCwrkxM
ちなみに>>316さんの過去作
URLリンク(morikinoko.com)

今まで色んなSS見てきたけど、個人的にSS書き手の中で↓書いた人と316さんのふたりが最強だと思う

キョン「かまいたちの夜?」
古泉「またバイトwwうぜぇwwおらっw」ハルヒ「はうぅ…」
古泉「涼w宮wハwルwヒwのw反w転w」長門「おー!」
朝比奈「キョン君…だめ…だめえ……」
アカギ「『希望』の船、か。ククク、悪い冗談だ」
アカギ「いいだろう…渡ってみせよう、その鉄骨」
インデックス「ご飯くれるとうれしいな」一方通行「あァ?」
インデックス「お腹がすいたんだよ」一方通行「そォか」
インデックス「行こ!あくせられーた!!」一方通行「…おォ」
上条(悪)

327:名無しさん@ピンキー
11/07/03 06:05:31.67 nnzOWEhW
>>316
今更ながらGJ!
死亡フラグガンガン建っててワロタw

328:名無しさん@ピンキー
11/07/03 07:15:08.95 qTeqOiZM
SL氏GJ!

329:名無しさん@ピンキー
11/07/03 09:22:17.73 mLMgl1l+
>>316
偽シリーズの人が来たと聞いて飛んできた。
原作よりちょっとウェットな感じが魅力的。

9巻(偽)第二章ってまだ欠番だよね?
首長くして待ってるよ。

330:名無しさん@ピンキー
11/07/03 12:12:00.63 jb5EBUD8
要はあやせかわいいってことだな

331:名無しさん@ピンキー
11/07/03 13:45:24.50 965S52t+
ちょろせだしな、SS書きやすいキャラではある

332:名無しさん@ピンキー
11/07/03 15:44:34.18 YbULJ/Mz
ぐじょぐじょ甘甘な作品がないあやせたんの不思議

333:名無しさん@ピンキー
11/07/03 17:10:19.97 3vAwZCah
あやせの魅力はスリルだからな

334:名無しさん@ピンキー
11/07/03 20:40:45.45 eFEbckry
>>333
スリルのサビが脳内再生された

335:名無しさん@ピンキー
11/07/03 20:52:37.18 W3/cFdQb
あやせと加奈子の3Pが読みたいんだーぜ

336:名無しさん@ピンキー
11/07/03 22:25:57.39 h2h3DuIX
あやせはスリル(瞳孔)・ショック(着信拒否)・サイエンス(ライター)

337:名無しさん@ピンキー
11/07/03 23:13:51.10 9BEhsyqN
>>335
黒猫とあやせの3Pだろjk
黒髪での髪コキとか好きだろ?


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