11/09/14 21:04:15.71 vSWDsZZJ
>>506
暫く世紀末な草むらをドラゴンクエストの様に歩いていく男鹿。
「こんなくだらねー行事サッサ済ませてゲームしてぇ」
「アウー?」
適当に歩き回っていると、人影が見えた。背は標準の成人男性程度だろう。なんとなく男鹿は声をかけてみた。
「おーいそこの人、何か昆虫見なかったか?」
するとその人影は一瞬だけビクン!と体を震わせ、そこから猛然と走り去っていった。
「あっ、待ちやがれ!」「ダブー!」
雌畜に違いない。
そう確信した男鹿は、草むらを猛然とかき分け、倒れている雌畜を踏んだりガキを蹴飛ばしたりしながら脱兎の
ごとく先刻の人影を追いかけた。
よく考えてみたら、さっきの人影はみょうになめらかな体のシルエットをしていた。
敵もなかなかに足が速く、1分もたたぬ間に男鹿の前から姿ははやばやと消していた。
(クソ…どこに行きやがった…ほかの奴らを呼ぶか?)
一瞬迷って腰に手を伸ばす男鹿。しかしそこではたと彼は気が付いた。
(隠れる場所なら腐るほどあるじゃねーか!)
男鹿は肩に担いでいたベル坊を引きはがし、抱っこの状態から前方にライオンキングのように突き出して、叫んだ。
「行けベル坊! 前方の下草に電撃だ!!」
刹那。
ビュゴウ、という鋭い音とともに、男鹿の前方5mほどの藪から、テニスボールほどの大きさの石が飛んでくる!
「チッ!」
小さく叫んで、男鹿は後ろに向かい足に力を貯めた。
次の瞬間、石が男鹿の頭に命中した!!
「・・・・とでも思ったのかよ、昆虫さんよ!」
「何っ!」
後ろに跳ぶふりをして石を左手の一撃で払いのけた男鹿は、突き出した右手で、しっかりと女の手首を掴んでいた。
「障害物を投げつけ、それに相手が注意を払った隙に本気の一撃を叩き込む…悪くはないぜ」
胸元からおへそにかけてざっくりと露出した緑色のハイレグワンピースを着たその女…『イナゴ』の手首が、ミシィ
と鈍い音を立てた。
小さく悲鳴を上げる美女の腹部に右手を当て、男鹿は最後の言葉をプレゼントした。
「ただ惜しむらくは、依然俺に同じ技を試した奴がいたことだ」