11/09/28 22:51:21.71 fqFraUhP
シンジとヒカリの物語 終話 終幕のシ者-12
その嫉妬の心が、アスカと同じ形になってアスカに語り掛けてきた。
〈アンタはシンジの事好きなんでしょ?〉
「なんでアンタがそんな事を!」
〈分かるわよ、アンタはアタシ、アタシはアンタだもの。〉
〈残念だったわね、あの時もう少し、いや、もう1秒早く撃ってたらヒカリを殺せたのに。〉
〈ヒカリを殺してシンジをアンタだけのモノに出来たのに。〉
「そ、そんな事!」
〈そんな事考えた事も無いって言うつもり?だめよ!嘘ついても。〉
〈言ったでしょ?アタシはアンタなんだから。〉
〈ヒカリを殺せないなら、他に方法はひとつ…〉
〈ねえアンタ…もっと勇気を出してそのカラダでシンジを誘惑しなさいよ……〉
〈夜にベッドに忍び込んで、アンタの自慢のそのカラダをアゲればイチコロよ……シンジなんて…〉
「な、何を言うのよ……」
〈アンタ、ばかあっ?そんな事も出来ないの。〉
〈ヒカリは出来たのに?カラダを使ってシンジを落としたのに?〉
〈あの、ガキっぽいカラダを使ってさ……〉
〈意気地無し………〉
「い、イヤ……」
〈そんな事も出来ないなら、アンタはヒカリには勝てないわ!絶対に!〉
〈天下無敵の美少女も地に落ちたわね!〉
「言わないで!!」
〈あはははははははははははははははははははは………………………………〉
「これ以上アタシのココロを犯さないで!!」
〈あはははははははははははははははははははは………………………………〉
「コンチクショ――――っ!!!」
アスカは、やっとの事でトリガーを引いた!
だが、アスカの苦し紛れの反撃は使徒に届かない。
使徒の直前でライフルの放った陽電子の奔流は闇に消えてしまう。
901:冒険中年
11/09/28 22:53:06.52 fqFraUhP
シンジとヒカリの物語 終話 終幕のシ者-13
「陽電子消滅!」
「駄目です!射程外です!!」
「レイは!零号機のライフルはまだなの!!」
日向と青葉の報告にミサトがヒステリックに叫ぶ!
「最終段階です!強制集束機作動中!!」
「地球自転及び動誤差修正0.03!薬室内圧力最大!全て発射位置!!」
青葉のコールにも余裕は全く感じられない。
「いきます!!」
レイは逸る心を押さえて、ゆっくりとトリガーを引く。
ずばああああああああああああっ!!
ポジトロンスナイパーライフルの一条の光が伸びる!虚空に浮かぶ使徒に向かって!!
ぱきいいいいいいいいいいいいいいんん!!
しかし、レイの渾身の一撃も命中はしたものの、使徒の強力なATフィールドに弾かれてしまった。
「駄目です!出力が足りません!!」
「出力は最大だと言うのに…………」
リツコの顔が強張る。
「アスカっ!撤退しなさい!命令よ!!」
ミサトがマイクに、モニターに向かって叫ぶ!!
「いやよ!ここで撤退なんて、死んでもイヤよっ!!」
ミサトの撤退命令も無視してアスカは、その場に留まった。
と、言うより動けなかったのだ。
ココロがイタくて……アタマがイタくて……………
902:冒険中年
11/09/28 22:55:04.08 fqFraUhP
シンジとヒカリの物語 終話 終幕のシ者-14
「何やら面白い事になってきたね。」
苦しむアスカの様子がモニターに映るのを見て、
漆黒のプラグスーツの渚カヲルは、さも嬉しそうに言った。
「何が面白い事なんだよっ!」
「そうよ!ひどいわっ!」
激怒したシンジと激昂したヒカリが、渚カヲルに掴みかからんばかりに迫った。
「父さん!出撃させて!!」
「司令!お願いします!!」
シンジもヒカリも揃ってゲンドウをじっと見る。お揃いのプラグスーツと同じに。
「無駄だよ、アスカさんと同じ目に遭うだけさ。」
「君達はそんな事も分らないの?シンジ君?ヒカリさん?」
渚カヲルは冷笑を浮かべていた。
「やってみなきゃわかんないだろ!」
「そうよ!その通りよ!」
ふたりは、もう一度渚カヲルを睨みつけた。
その時、司令席からの声。
「サード、フォース、それにフィフス、出て失せろ!戦闘の邪魔だ!」
サングラスを外し、そう言い放ったゲンドウの目はシンジとヒカリを交互に見ていた。
何か意味深な視線。
ふたりはスタッフに追い出される様に発令所を出ると、見詰め合った。
もう、渚カヲルの事など眼中に無い。
「ヒカリ、アスカを助けたい。力を貸して!」
「勿論よ、シンジ!」
シンジもヒカリも脇目も振らずに初号機を目指してケージに走った。