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それでも俺は、ささやかなるレジスタンスを試みた。
「でも、三時ですか……」
「高坂さんもわたくしも、午前中は外せない講義がありますから、ちょっと大変でしょうね。その点は申し
訳なく思います」
畜生、憂いを帯びた眼差しでそんなことを言われるなんて、反則だ。
俺は、時間を逆算してみた。午後二時半までに保科さん宅へ到着するとして、午後二時には身支度して
下宿を出なければならない。あやせの身支度にどれだけ掛かるか知れないが、一時間は見ておかないときつ
いだろう。そして、新幹線の中央駅から下宿までが四十分、大学から中央駅までが二十分。
講義が終わったら、速攻で中央駅に向かい、あやせをピックアップして下宿に行き、あやせは和服の着付
け、俺はスーツに着替える。それだけで、十分ほどのビハインドだ。だが、下宿からタクシーを使えば、間
に合うだろう。
「分かりました。それで宜しくお願いいたします」
タイトなスケジュールだが、電車が遅れるとかの突発的なトラブルがなければ、まず大丈夫だろう。