11/08/28 19:34:52.37 PZDlv+bx
「んぅ…はあっ…ふう…」
唇を離す。2人の口の周りは、すでに唾液で塗りたくられていた。
冴花の顔はすっかり上気していた。
その瞳がさらなる愛を要求しているようにしか見えず、理性を保つのが苦しい。
欲望を少しでも晴らすかのように、祐真は冴花を抱きしめ、ソファに押し倒す。
「冴花…」
官能的なうなじにあてられたかのように、舌を這わせる。
「ひっ、ひゃあん!だ、ダメ…!シャワー…あっ、浴びないと…」
冴花の必死の懇願に、少し理性が戻る。
せっかく風呂も沸かして、準備をしてくれているのだ。ここで冴花を抱いてしまうのは、彼女の一途な気持ちを無下にしてしまうような気持ちに襲われる。
「ああ…そうだな。先に、入っていいか?」
「うん。…その、ベッドで、待ってて」
上目遣いの冴花がどうしようもなく可愛くて、もう一度強く抱きしめた。
2階にある冴花の部屋は、1階同様実に整理整頓が行き届いていた。
机には参考書が何冊か積まれており、枕元には英単語の本も置かれている。
日夜勉強を欠かさず行っているのだろう、祐真にとって冴花の勤勉ぶりには頭が下がる思いである。
シャツとパンツのみという格好で女の子の部屋のベッドに座るというシチュエーションはなかなかないのかもしれない。
そんなことを自嘲気味に考えながら、愛しい人の到来をただ待つことしか今の祐真には出来なかった。
机を見渡していると、奥に写真立てがあることに気付いた。
ナマーズパークに行った時の写真か。
甲子園大会が終わって間もないころに行った、あのデートを思いだす。