パワポケでエロパロ22at EROPARO
パワポケでエロパロ22 - 暇つぶし2ch744:秋:The name of...
11/08/16 16:21:59.92 FjO6963G
維織さんは、謎多き人だった。
自分は鎖につながれた小鳥だと、その鎖を引きちぎる術を知らない囚われの鳥だと語った。
なのに、肝心斜めである鎖の元を教えてくれない。
維織さんが俺に隠す『用事』や、無尽蔵とすら思われるお金の出所も、きっと鎖に関係あるのだ。
もどかしく、掴めない微妙な不和を抱えたまま、俺達は今日に至っている。
おもむろに、維織さんが口を開いた。
「……曲を、作ったの」
「曲?維織さんが?」
こくり。平らな表情で維織さんが頷く。
「その曲を聴いてほしい。だから、運んでもらった」
両手を膝に添えて、維織さんは静かに佇む。
こうしてみると、維織さんも年齢相応に淑女らしく見えるから、女性というのは不思議だ。
「わかったよ維織さん。聴かせて、維織さんの曲を」
「……うん。じゃあ、ベッドにでも座っていて……」
言われたとおりにベッドに腰かけると、上等なスプリングが程よく弾む。
柔らかなシーツに沈み込み、それだけで眠りに落ちてしまいそうだ。
クラシックだったら不味いかな……、なんて思っていたら、ぺこり。維織さんは俺の方を向いて、小さくお辞儀をした。
ぱちぱちぱち。反射的に手を打ち鳴らす。
小さな小さなコンサートが、幕を開けた。


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