パワポケでエロパロ22at EROPARO
パワポケでエロパロ22 - 暇つぶし2ch450:13@有名大学に通う19歳
11/07/16 14:16:27.17 wfenB8+b
>>431の続き
小波「なんかくせえええええええええええええええええええ?」
鼻が曲がるほどの臭いの先に糞をもらしたさらがいた
小波「もうがまんできねえええええええええええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
さらに抱きつきアナルにチンポを入れる

続く

451:名無しさん@ピンキー
11/07/16 14:18:19.73 wfenB8+b
GJ!!
ダイレクトな表現がたまらないな
臭さがこっちにまで伝わってきそうだったぞ

452:名無しさん@ピンキー
11/07/16 14:18:50.25 wfenB8+b
おっと……珍しいなID被りなんて


453:名無しさん@ピンキー
11/07/16 15:11:48.16 1y+Yu16G
ここまで堂々とした自演を久しぶりに見た

454:名無しさん@ピンキー
11/07/16 15:39:30.18 OaGSBD4d
>>453
さわっちゃダメよ

誕生日が判明してるキャラって誰がいたっけ?

455:名無しさん@ピンキー
11/07/16 16:32:31.40 1y+Yu16G
たしかさらは10月18日だった気が…
あれ?違ったかな?
ならばナオも同じだよな…あれ?
うろ覚えでスマン

456:名無しさん@ピンキー
11/07/16 17:14:39.19 y9DA4/FM
明日香:9/14
瑠璃花:9/25
桜空奈桜:10/18
天本さん:10/25
維織さん:10/29

秋生:9月1週
ミキ:9月2週

俺が記憶してる限りではこれぐらいかなあ

457:名無しさん@ピンキー
11/07/17 01:13:13.73 mKg3SQka
見事なまでに秋ばっかw

458:名無しさん@ピンキー
11/07/17 04:19:54.18 Su1QYak8
誕生日を主人公に聞かれて考えるのが面倒くさくて主人公と同じだって言っちゃってなにが欲しい?って聞かれて冗談で子供って言ったらじゃあそうしようってことになって親子全員の誕生日が同じになっちゃう真央のSSを誰か書いて下さい

459:名無しさん@ピンキー
11/07/17 12:02:08.56 qKN/QWHe
裏サクセスものって少ないんだな。色々出来そうで面白そうなのに。
表では彼女同士の絡みが少ない事も多いから、そこもクリア出来るし。
七夕の人の続編期待してるぜ。

460:名無しさん@ピンキー
11/07/17 12:04:52.46 qKN/QWHe
主人公の誕生日イベントは大体あるけど、二年目のは好感度足りなくて起きない事も多いよな。
逆に彼女のは大体一回しかない。

461:名無しさん@ピンキー
11/07/17 21:28:55.97 PBibu66W
7裏の作品が未だ0だったのにワロタ
登場女性キャラは確か秋生に智美、鈴音さん、詩乃、タマちゃん、ようこ先生
仲間以外なら美咲とか綾華さんとかいた気がする
悪いメンバーじゃないのに、なんで書かれないんだろうな

462:名無しさん@ピンキー
11/07/17 21:34:40.34 stDe17KM
お前が書くの待ってんだよ言わせんな恥ずかしい

463:名無しさん@ピンキー
11/07/17 22:16:24.25 qopEwR2E
7裏がサクセス的にあまり評判よくないから、やりこんだ人間が少ないのかも知れない。
それに大正、昭和って、微妙にリアリティがあるから、話の背景にちょっと気を使ってしまう。

464:名無しさん@ピンキー
11/07/17 23:12:56.16 2MuA4HmA
>>459
同じキャラでも表と性格変わってる奴も結構いるし、
いざ書こうとするとそこらへんのギャップで思うように筆が進まんのよね

465:名無しさん@ピンキー
11/07/18 03:16:17.67 Er1TDFq1
天本さんとイルとかが特にだな
逆にレンなんかは割と書きやすかったりするけど

466:名無しさん@ピンキー
11/07/18 09:55:54.29 3X/zscJM
イルはイルで結構貴重なキャラだった

467:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:19:21.85 Gv1NuE3Y
他にキャラが違うというと…大神?エリとかもキャラ付けが足されてるな。
まぁでも性格に大きな変化があるのはイルくらいな気も。

好きなSSを一人一個挙げていかないか?
まとめスレももうかなり膨大な数あるから、全部見るのはきついものがあるし
気付かなかった名作があるなら知りたい。

468:名無しさん@ピンキー
11/07/18 15:41:22.71 lencgAMh
>>467
最近来たさらの「信じること」ってのがいいかも。
非エロだけども、バッドエンドをグッドエンドにするあたりGJだと思う。


469:名無しさん@ピンキー
11/07/18 16:29:24.48 Er1TDFq1
あのバットはバットで味のある物だけどね
下手すりゃトラウマ物だが

470:13@有名大学に通う19歳
11/07/18 16:34:25.13 /p0sWMKs
>>450の続き
さら「あっあ~~ん」
残っている糞が気持ちいいぜ!
グッチュグッチュズチュズチュズッポ~ン
俺は必死にピストンを続けた!
さら「あ~ん、あ~ん」
小波「」うう・・・でるううううううううううううううううううううううううううううう!

471:13@有名大学に通う19歳
11/07/18 17:16:16.43 /p0sWMKs
小波「ふぅ・・・最高だったぜえええええええええええええええええええええええ!?」
ウンコまみれのペニスを引き抜いたが
さら「もっとして~ん」
ブピピッ!!
残り糞が俺の体に降り注ぐ
小波「よし、いくぜーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
こうして夜は更けていった

エンド


472:13@有名大学に通う19歳
11/07/18 17:18:52.72 /p0sWMKs
OMAKE

さらのウンコの臭いについて
とにかく臭い
そして量も多い
極太一本糞を毎日ひりだしているのでアナルも頑丈になってしまった
しかしアナルセックスばかりしているのでゆるくなりよく漏らしてしまう

何か書いてて興奮してきた

473:13@有名大学に通う19歳
11/07/18 17:49:31.67 /p0sWMKs
GJまだー?

474:名無しさん@ピンキー
11/07/18 18:38:17.26 X3VUnKNx
>>467
イルは性格もだけどSS書く側としては口調コピーが超難しい
性格把握できてもあの独特の口調がコピーできる気がしない、関西弁馴染み無い他地域の人間だから余計にな


お気に入りは一個限定か、色々あるけどあえて絞るなら天本さん「平穏な日々」
SS書くようになった大きな要因が平穏な日々だったから思い入れがある、要因は他にもあるけどね

475:名無しさん@ピンキー
11/07/18 20:16:48.75 s7Q8QQuD
お気に入りねぇ
武美の「夏の夜」って作品はたまに読み返してる。おかげで大体内容覚えたけど

エロいながらもストーリーが感動できる話だったよ。
俺もそんな話をいつか書いてみたいわ

476:名無しさん@ピンキー
11/07/18 23:36:42.73 Gv1NuE3Y
レスありがとう。

芳槻さら「信じること」
広川武美「夏の夜」

か。確かにどっちも名作だ。
管理人さんの武美物は全部面白いよな。
「たけみのはろうぃーん」とかも良い感じの長さで、オチもあって好きだ。エロは言わずもがな。

477:名無しさん@ピンキー
11/07/18 23:48:14.20 RKzrHTuc
そろそろ夏をテーマにした作品なんて来てほしいなあ

478:名無しさん@ピンキー
11/07/18 23:53:20.91 8uUq1YsP
どの作品も優劣つけがたい
そういえばもう3、400作品位あるのかすごい量だな

479:名無しさん@ピンキー
11/07/19 00:20:08.59 uDiOtJl6
例年新作はいつ頃発表だっけ
パワポケの為に3DS買ったんだぜ

480:名無しさん@ピンキー
11/07/19 00:24:50.98 2a2JH+sr
>>479
10月くらいだったはず
個人的に14はまだDSで出すと思うけど

481:名無しさん@ピンキー
11/07/19 00:26:34.91 pNC+Ndv7
白瀬の「子供は好きか?」はノンエロだけど一番のお気に入りだな。
明日香の「Re:heating」も好きだ。

482:名無しさん@ピンキー
11/07/19 00:53:31.92 m16/LrAG
エンゼルの「小説は事実よりも奇ならず」はかなり好き。
エロはあっさりしてるが、エンゼルの心情描写が上手い。
維織の「それでも私は寝ている」も設定が好きだ。短くまとまってるのも良い。
非エロだけど桜姉妹の「貴方と出会うまで」シリーズもゲームで明かされた部分を上手くまとめてて良いね。

483:名無しさん@ピンキー
11/07/19 01:18:22.32 oVgSJXx8
このスレは職人に恵まれてるからねえ
俺もいろいろあるけど「バ漣タインデー」がイチオシかな、漣がエロくてたまらん
あと奈桜の20:324-329もいい、奈桜かわいい

しかし最近投下が少ないから、何かしら投下がほしいなあ

484:名無しさん@ピンキー
11/07/19 11:42:56.55 m16/LrAG
バ漣タインデー良いね。ベタと言えばベタだけど発想の勝利だわ。
投下が少ないからこそ過去作を再読というのは良い流れだと思う。

485:名無しさん@ピンキー
11/07/19 12:27:16.88 oVgSJXx8
新たなネタの発展に繋がるかもだしね

486:13@有名大学に通う19歳
11/07/19 19:15:57.41 Wu1z4KrA
◆EqHQZWqzBの作品が出てこなくて◆EqHQZWqzB憤死wwwwwwwwwwwwwwwww
ざまぁwwwwwwwwwwwwww

487:名無しさん@ピンキー
11/07/19 19:40:24.82 TDzZ23Y/
>>477
夏は海水浴とか花火大会とか、四季の中でもネタが豊富なイメージ
最近は保管庫で涼しくなれるような作品読み漁ってるよ

488:名無しさん@ピンキー
11/07/20 00:02:46.45 fhu4BxtP
よーし考えてみよう
みんな、夏といえば?

489:名無しさん@ピンキー
11/07/20 00:07:36.02 tUFoIiUJ
やっぱり海と夏祭りでしょ。アイスネタも捨てがたい
過ぎてしまったけど梅雨ネタで互いにびしょ濡れになって雨宿りとか
夏だから夏菜か夏海で一作書いてみたいな

490:名無しさん@ピンキー
11/07/20 04:09:52.02 bEMpWrPT
以前投稿した七夕SSの続編(というか番外編)まとめスレに掲載しました。
海洋冒険編SSもっと流行るといいなぁ。

491:名無しさん@ピンキー
11/07/20 04:12:47.97 bEMpWrPT
>>489
『夏』目准「………………」

492:名無しさん@ピンキー
11/07/20 08:11:49.83 tUFoIiUJ
>>491
orz
うわー、忘れてた
そういえばそうだった
>>490
GJ
女の戦いは恐ろしいなw

493:13@東京の有名大学に通う19歳
11/07/20 15:53:45.68 tqmgie26
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494:13@東京の有名大学に通う19歳
11/07/20 15:53:51.49 tqmgie26
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495:13@東京の有名大学に通う19歳
11/07/20 15:53:55.75 tqmgie26
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496:13@東京の有名大学に通う19歳
11/07/20 15:56:45.52 tqmgie26
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497:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:06:41.66 zn3AjNGQ
>>490
GJ!
エンゼルかわいいよ
13裏は修羅場になりやすいよね

498:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:31:33.06 O6VRL+Kq
>>490
GJ!13裏はカズやらレンやら武美やら人気彼女が多いから作品も増えていくといいな

武美の作品見るたびに思うけど、やっぱり「スタイルいまいち派」と「スタイル抜群派」に分かれてる気がする
どちらでもウェルカムだけどね。

499:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:56:19.56 Tdi6NzQU
>>497
13裏だけでなくここ3作やばすぎだろw

特に12裏は二人行くところまで行き着いてるのが・・・

500:名無しさん@ピンキー
11/07/20 19:25:15.29 VcRS25ch
個人的には11裏と13裏は鈍感主人公がまんべんなくフラグを立てまくった(そして鈍感ゆえに折る)
12裏は行き着くところまでいった感じだな

501:名無しさん@ピンキー
11/07/21 00:31:50.88 8pGd8ktU
>>490
GJ!
さぁ早く、緊縛お仕置きシーンを書くんだ。ページ抜けは感心しないぞ?

502:名無しさん@ピンキー
11/07/21 00:56:37.35 OzKDxueP
12裏主とアマルダさんとイーベルにトモも加えて4Pか…。

え、このベッド三人用?

503:> 是非五十鈴編も見てみたい>>539 GJ! 夏海さんエロイよ夏海さん夏らしいSSで良いなあ これからどんどん投下が来てほしいね



504: 忍法帖【Lv=11,xxxPT】
11/07/24 21:25:53.50 GZdTsNkq
超GJじゃないですか!

505:名無しさん@ピンキー
11/07/24 23:52:04.47 sr1j7uGS
OH……これすごく萌えるんですけど

506:プラゴミ
11/07/25 17:54:04.76 OdumqF8W
久しぶりだねDT諸君!
まあこの世界の神たる僕の崇高なる作品達で
心行くまでめいいっぱい抜きたまえ(笑)

507:名無しさん@ピンキー
11/07/25 19:17:45.99 0fA3NtDf
夏はやっぱり海の作品だな、見てて涼しくなる

さあ次は夏菜か准の作品を待つばかりだな

508:プラゴミ
11/07/25 19:25:15.58 1lDG2v8s
>>554
帰れ偽者


509:名無しさん@ピンキー
11/07/25 20:14:45.94 AnUUcmas
そういえば海ネタの話は多いけど
夏祭りネタの話ってあまり書かれてない気がするなあ


510:名無しさん@ピンキー
11/07/25 20:20:34.78 yHJ0euHz
>>557
夏祭りからどうやってそういうシーンに持っていくかが難しくて…

511:名無しさん@ピンキー
11/07/25 20:29:58.31 y9xVando
>>558
そこで浴衣で青姦ですよ

512:名無しさん@ピンキー
11/07/25 20:33:27.19 AnUUcmas
>>559
13主ならすげえありそうだなw
甲子園終わるのってたぶん8月20日くらいだから
甲子園から帰った後に夏祭りに行くとかありそう

513:名無しさん@ピンキー
11/07/25 21:00:35.22 yHJ0euHz
夏祭りって7月じゃないの?

514:名無しさん@ピンキー
11/07/25 21:16:36.68 0fA3NtDf
場所にもよるんじゃない?
家の田舎なんかは8月にあったりしたし


515:風見
11/07/25 21:19:22.11 GqB0gGAz
俺の公開オナニーSS見るかい?抜けるぜ!?

516:名無しさん@ピンキー
11/07/25 22:57:38.17 /i2DSI3F
>>560
ならば相手は冴花かね。
真琴も捨てがたいが。

517:夏:夏の海空
11/07/25 23:43:51.96 xIW1II4L
覚えていてくださっている方がいるかわかりませんが、夏、投下させていただきます。


518:夏:夏の海空
11/07/25 23:46:57.61 xIW1II4L
sage忘れ申し訳ありません…

―夏は夜。月のころはさらなり―
窓辺から、闇夜を照らす街灯を見つめ、何の一節だったか、と首を捻る。
きっとこの詩の生まれ故郷の遠い昔の夜は、静寂に包まれた趣深いものだったのだろう。
だが、今は違う。元々は星月の独壇場だったはずの闇を、我が物顔で闊歩するネオンサイン。ギラつくカーライトに支配される都会の町並み。
わずかとなった、光の届かない淵では、文字通りの怪物達が闘いを繰り広げている。それほどまでに、今日の『夜』は狂乱で凶悪だった。
最早、『夜』は夏の代名詞の座には相応しくないのかもしれない。かといって、じゃあ代わりにひとつあげろと言われても困るのだが。
「あの」
「……ん?どうした?」
暗色にまみれた俺の思考とは対照的な、明るく、甘く、かわいらしく、そして幼い声に振り返る。
風呂上がりの小さな体が、首をかしげて俺を見つめていた。


519:夏:夏の海空
11/07/25 23:49:37.42 xIW1II4L
「どうしたんですか?そんなに外ばっかり見つめて」
「ああ、ちょっと昔のこと思い出してた」
「また、ですか」
ため息混じりの口調に苦笑する。俺だって一昔前の主戦場は闇の側だった。
サイボーグやアンドロイドと言った、ヒトあらざるモノ達相手に立ち回る日々。
それなりに充実していたし、仕事に疑問を持ったこともなかった。そうとも、確かに『なかった』んだ。
数年前の、あの任務までは―
こうして、俺はよく過去を振り返る。我ながら年寄りじみているとは思うが、それは何もよっぽどの未練があるとかそんな訳じゃない。
ただ、闇に融けるエージェントから光の渦中のプロ野球選手へと。あまりにも変わってしまった自分が、時たまかつての俺を……、
この子の言うところの、『仮面を被っていた』頃の自分を思い起こさせる。それだけだ。だから、今の生活を手離そうなんて気はさらさらない。
今の俺には、野球の無い暮らしなんて想像できない。


520:夏:夏の海空
11/07/25 23:51:56.74 xIW1II4L
それと、もう一つ。
「もう。せっかく久しぶりの二人きりなのに。あのですね、後ろを見返すのはいいですけど、前もしっかり見つめてくださいよ。
今この時に、目の前に居るわたしを」
この子だ。子どもっぽさたっぷりにぷっくり頬を膨らまして、俺を睨み付けているこの子の存在。
依存しきっていた。拠り所だった。野球と同じか、それ以上に。
「あはは、ごめんごめん。子どもみたいに拗ねるなよ」
「あーっ、またバカにして!別に拗ねてなんか無いです!」
うそつけ。
そっぽを向いて口を尖らせちゃって、どこからどう見てもいじけた子どもそのものじゃないか。
「悪かったよ」
溢れる笑いを噛み殺しながら、明後日の方向を向いてしまったこの子の肩を、後ろから優しく抱きかかえる。
心地よいシャンプーの風と共に薫る、この子自身の、柔らかくちょっと甘ったるいミルクみたいな香り。
「あぅ……」
俺のお気に入りの、この子の魅力を一番堪能できるポジション。
向こうも満更でもないのか、気持ち良さそうに俺に体を預けてくれる。
癒しの一時だった。どちらかと言うと、恋人同士と言うより父と娘のような雰囲気だが。
「……なんだか、またバカにしてません?子どもみたいだって」
「へっ?いや、そんなこと無いぞ」

521:夏:夏の海空
11/07/25 23:55:14.94 xIW1II4L
ズバンと図星を撃ち抜かれた。こう見えても(これまた失礼かもしれないが)この子は、時たま妙な鋭さを発揮する。
いつぞやは、白瀬の業務連絡を聞き咎められて、咄嗟に友人の妹だと言って取り繕ったこともあった。
……白瀬、か。
一応、俺と白瀬の関係は途絶えてはいない。
情報処理が専門の彼女は、オオガミの動向を逐一知らせてくれる。頼れる『友人』だ。
だから、たまには飯を一緒に食ったりする。
何だかんだで付き合いも長く、気心知れた仲だ。俺としても、できるだけこの関係は維持したい。
とはいえ、未だに会う度第一声が、『そろそろ別れた?』なのには辟易するが。
「あぁもう、またぼーっとして。なんですか、わたしがそんなに魅力ゼロですか。どうでもいいんですかぁ!」
ああ、折角直した機嫌をまた損ねてしまった。
「そんなこと無いって。どうでもいいわけ無いじゃないか」
「むぅぅ」
「そんなに怒るなよ。ん、じゃあさ、今度は二人で考えようか」
「何をですか?」
「休みの予定。もうすぐオールスターだろ」
「あ、今年も出られるんですか!?あれ、でも……」
「うん、今年の成績じゃ無理かな」
「う、やっぱりそうなんですか。残念です」


522:夏:夏の海空
11/07/25 23:58:19.68 xIW1II4L
「でもその代わりにさ、もう前半戦最後の登板終わったし、しばらくオフが続くんだよ。たまにはどこかにお出掛けしようか」
「あは、良いですねソレ。そうだなぁ、何がいいですかねぇ……」
遠足前の小学生のように、興奮に体を震わすこの子が何とも微笑ましい。
しかし、あのオールスターからもう一年、なのか。
―去年。22勝2敗と圧倒的な数字を残した年。
前半戦だけで12勝を挙げていた俺は、名だたる投手たちと肩を並べ、オールスターに出場を果たした。
大歓声の中、マウンドに立った俺に、この子の声が聞こえた気がした。
あの熱狂的なスタジアムで、4万分の1を聞き分けられるはずがないのだが、その声に導かれるように首を向けると……。
いた、のだ。小さな体を精一杯乗り出して、俺を応援してくれていたこの子が。
感激のあまり無双状態に入った俺は、3回を投げて奪三振7と圧巻の投球で、MVPを手にした。
祝福の壇上でインタビューされた俺は、嬉々として言い放った覚えがある。
「応援してくださった野球ファンの皆さんと、そして何より大切な人のおかげです。」と。
そうして、高揚を湛えたままベンチに帰った俺は、当然のように『彼女教えやがれ』
と同じチームの面々に詰め寄られたわけで。


523:夏:夏の海空
11/07/26 00:00:59.58 xIW1II4L
しぶしぶだが写真を見せてしまったことを、自分の軽率さを、すぐに後悔した。俺だって、初対面の時は中学生くらいだと勘違いしたんだ。
よく考えれば、周りの反応も予想するにやすかった筈なのに。……次第に、写真を取り囲む仲間たちの、不穏な空気を肌で感じた。
背中をつうと汗水が伝う。エージェント時代の危機察知能力は告げていた。

ヤバい、早く逃げろ。

しかし、時すでに遅し。いや、写真を渡した時点で結末は不可避だったのだろう。
結局俺は、何度この子は成人だと説明しても全く聞き入れてもらえず、犯罪者だのロリコンだの好き勝手レッテルを貼られ、
非難半分、妬み半分の拳に轟沈した。その時たった一人だけ、俺の味方をしてくれたクローザーの先輩が居たのだが、
その人も今年から違うリーグに移籍してしまった。
今期は新天地で、どうも思うような投球が出来ていないみたいだが―
「……ですからね、やっぱり夏は花火だと思うんですよ。打ち上げ花火の豪快さも、線香花火の儚さも、どちらもいとをかし、なんですよ」
「へっ?あ、ああ。確かに花火は良いな」
「……次はないですよ」
じと目が痛い。仏の顔も三度まで。しかし、花火か。確かに悪くはないが。


524:夏:夏の海空
11/07/26 00:04:43.95 opL9SV1A
―夏は花火。月の頃はさらなり―

語呂が悪い。何かこう、もっとしっくり来るような二文字のものはないか。ぐるりと首を回し、部屋を見回すと、テレビに繋いだままのゲーム機が目に入った。
こないだチームメイトと遊んだカートリッジが刺さったまんまだ。
何故だかウチのチームで流行しているそのゲームは、相手を爆弾で焼き尽くすという物騒なものだが、
その燃えまくる姿はウチの中継ぎを微妙に揶揄しているかのようで……。

その時、ぱあん、と頭の中で、爆弾が弾けた。

まるでゲームみたいに、弾けとんだ障害物の外郭から、一つのアイテムが浮かび上がってくる。
それは、蒼く、冷涼な、まさに夏にうってつけの……
「海だ。」
「ふぇ?」

―夏は海。月の頃はさらなり―

語呂もぴったり、良いじゃないか。
「海だよ。海に行こう。夏は海だ。」
「……どうしても、ですか?」
「うん。どうしても。」


525:夏:夏の海空
11/07/26 00:06:51.30 opL9SV1A
語呂もぴったり、良いじゃないか。
「海だよ。海に行こう。夏は海だ。」
「……どうしても、ですか?」
「うん。どうしても。」
まったく、何で思い付かなかったのか。夏と言えば海、当然じゃないか。
「やーです……。それだけは勘弁してくださぁい。」
「何でだよ。暑い夏には冷たい海、最高じゃないか。」
「わたし、カナヅチなんですよ……。」
初耳だ。成る程、そりゃ渋るのも無理はない。床にぺったり座り込み、ぶぅぶぅ不満を溢す姿は何とも父性を刺激するもので、
いつもの俺なら光の早さで前言撤回してあげるのだが、今回ばかりはそうはいかない。
「浮き輪があるよ。浮き輪」
「いやです。みっともないじゃないですか」
「そんなこと言わずに」
「いくら頼まれても、ダメなものはダメなんです」
「お願いだ」
「無理です」
「頼むから」
「イヤったらイヤです」
「うっわー」
「……」
食い下がる俺に、撥ね付ける相手。押し問答。元々頑固なこの子だ。真っ向からぶつかってもまず折れないだろう。
「とにかく!海なんてダメです。絶対ダメなんです。さあ、この話は終わりにしましょう!」
駄目だ、埒が明かん。そもそも大人と子どもが口で張り合って勝てるわけがなかったんだ。
グーにはパー、対左には左、子ども相手には……

526:夏:夏の海空
11/07/26 00:09:01.97 opL9SV1A
「かき氷だ」
「!」
「海の家でかき氷を買ってあげよう。どうだ?」
「そ、そんなのに釣られるわけないじゃないですか、子供じゃあるまいし」
「そうかぁ。じゃあ焼きそばも付けたげようと思ったけど、いらないか」
「!!!」
たらした餌は、思いの外効果的だったようだ。
目はぐるぐる、あー、とかうー、とか声にならない音を発して悩んでいて、正直、見てるだけで充分面白い。
後は、しばし待つだけ。この子の天秤が傾くのを。
「……し」
し?
「仕方ありませんね!今回だけ付き合ってあげますよ!」
「おお、ありがとう」
釣れた。さぞかし今の俺は、ひねこびた笑いを浮かべているだろう。
「あー!なんですかその顔は!?べ、別に食べ物の魅力に負けて釣られた訳じゃないんですからね!」
「はいはい」
「本当ですよ!わたしは大人のカンヨウリョクで」
「はいはい」
「だから本当なんですってば!その見透かしたような返事をやめてください!」
「はいはい」
「ぐむむ!わかりましたよ、もういいです、そんなこと言うんでしたら……!?」
チュッ。
小さな唇に、そっと寄せる。
危なかった。少しからかいすぎた。
また拗ねられたら面倒だ。
そのまま、動きの止まったこの子を抱えあげて、ベッドにダイブ。

527:夏:夏の海空
11/07/26 00:11:14.22 opL9SV1A
「ぁ……?」
突然のことに、目を白黒させているこの子に、優しく告げる。
「そんなにカッカするなよ。わかってるよ、俺は。君のことなら、ちゃあんと理解してる。だから、今日はもう寝ようか」
ぱちん。小気味良い音がして、部屋も夜になった。薄い布団に潜り込む。俺とこの子の、二人だけの根城。
どちらともなく向かい合い、交わす二度目の口づけ。
「んん……、ほんとーに、わかってるんですかぁ?わたしの、こと」
「ああ、あたりまえじゃないか」
「じゃ、じゃあ.今からわたしが望むことも、とーぜん、わかってますよね?」
「勿論だ」
会話もそこそこに、柔らかい唇を狙った、三度目の正直の獰猛なキス。狂おしいようにお互いを貪り合う、情熱の儀式。
そうして、理性を捨てた美少女と野獣は、宵の闇に沈んでいった。


528:夏:夏の海空
11/07/26 00:13:52.74 opL9SV1A
青い空。
燦々と輝く太陽。
寄せては返し、流麗な曲を奏でるさざ波。
例のゲームの導き、と言うわけじゃあないが、間違いなくここは海だった。
しかもただの海水浴場じゃない。平日と言えども、夏のかきいれ時に人っこ一人いない、穴場中の穴場だ。
ざざぁ、と海水が足にかかる。透き通るような冷たさが、何とも心地よい。
―久しぶりの休暇だ。久しぶりに、心から楽しめる日が訪れた。思えば、今シーズン前半は苦難の連続だった。
2勝11敗。およそエースらしからぬ惨憺たる成績で迎えた折り返し。
しかし、俺は声を大にして叫びたい。どうして勝てないのか、と。
決して調子が悪いわけではなかった。ここまで完投五、うち完封三。防御率だって2.18と十分責任は果たしている。
なのに。打線の援護が壊滅的で九回二失点で負け、八回一失点で負け、七回無失点でマウンドを降りれば、決まって中継ぎに勝ちを消される。
八回投げきって九十球、エラーのみの自責0で負けなんてのもあったし、
八回までゼロで抑えて、自分でタイムリーを放ち、五点差で後を託してあっさり逆転された時は目を疑った。


529:夏:夏の海空
11/07/26 00:16:38.45 opL9SV1A
「完封したら勝てる」んじゃあない。「完封したら負けない」だけだった。
増えるはずの白星は露と消え、増えないはずの黒星が着々と実をつけていく。
いつかは勝てる。そう思い続けて投げ続けていたが、いつの間にか前半戦が終わってしまった。
勿論、今日の主たる目的はデートだ。久しぶりの遠出を楽しむのが本懐だ。
ただ、気分転換の意味もあった。解放感に浸り、暗黒そのものだった前半戦を忘れ去って、心機一転、後半戦を迎えるために。

(まさかこのまま三勝で終わるってことは……、ないだろ、流石に。)

明るい日光のもと、少し思考が楽観的になった矢先、背中に悪寒が走った。
そういえば、居た。去年、投げれども投げれども勝てず、圧倒的な無援護を誇り、結局三勝十二敗で一年を終えた悲運のルーキーが。

(確か名前が、カミモリ?いや違う。えっと、なんだったか)


530:夏:夏の海空
11/07/26 00:19:33.93 opL9SV1A
「……カロカロ?」
「カロカロって何ですかぁ……?」
思わずこぼれた呟きが、消え入りそうな声に拾われた。か細く、悲痛とさえ思えるその声色。
「いや、なんでもないよ。それより……!?」
何かあったのかと心配して、ふと振り向いて、そして。

―感嘆。

言葉にならない溜め息が、微かに口から漏れた。白を基調に、オレンジ色の水玉やら何やらをあしらった水着。
露出は控えめ、明らかに子供用ぽかったが、その明るい色調も相まってかえってこの子に異常な程マッチしている。
もじもじ恥じらい、しゃがみこんでしまったその姿も、狙ってやってるんじゃないかと勘ぐってしまう程、魅力的で……魅力的?

(いや、違うな)

魅力的。
その形容は、間違ってはいない、が正解でもなかった。
無論、元が美少女なこの子だ。水着姿が様になっていない、と言うわけではないが……。
それでもやはり、表現としては適切ではなかった。
今俺の中に渦巻く熱情は、熟した女性に抱くそれとは似て非なる全くの別物だ。
じゃあ、一体何なのか。この得体の知れない、情欲を焦がし、身震いさせる刺激は何物なのか。
数秒考えて、答えが見つかった。


531:夏:夏の海空
11/07/26 00:21:56.16 opL9SV1A
(ああ、なるほど。……背徳感、か)

百五十に満たない身長。あどけない顔つき。太陽に向かってぴょこんぴょこん跳ねた、鳥の羽毛みたいなオレンジ色の髪の毛。ごくごく緩やかな曲線に形どられた、変化に乏しい腰のライン
。ちょこんとアクセントを加える、かわいらしいおへそ。
そして、何より。
布越しに自己主張するには些か足りない、それ。
この大海原のように、のっぺり平坦な、それ。
良く言えば可愛らしい、悪く言うと貧しい、それ。
だが、薄氷の未発達なそれこそが、この子の特徴を見事に統括していて。結局、この子の魔力は幼さに凝縮されていた。
その『幼艶さ』こそが、俺に、ある種の禁忌的な劣情を感じさせていたのだった。


532:夏:夏の海空
11/07/26 00:24:53.89 opL9SV1A
そ、そんなに凝視しないでくださいよぉ……。」
俯き、しゃがみこんでしまったこの子が、弱々しく呟く。
「ごめんごめん。でもさ、そんなにこそこそして。何がそんなに気になるんだ?」
首だけがもち上がった。突き抜けるような青空とはあまりに不釣り合いな、よどんだ顔色。
未だ熱冷めやらぬ俺とは対照的な、死んだ魚の目が、生気の欠片もない声で答えた。
「……全てが。今この海にいる全てがわたしを嘲ってる気がするんです。思えば、昔からそうでした。小学校、中学校、高校……。
年を追うごとにわたしの仲間は減っていき、残ったのは劣等感だけ。
言われなくてもわかってるのに。わたしがすこーしだけ魅力に乏しいことぐらい。わたしの体はすこーしだけ足りないことぐらい……」
「そんなことないって」
「そうなんです!」
「大丈夫だから。さ、立って。」
縮んだこの子に、手を差しのべる。しぶしぶ繋がれた手をゆっくり引き上げると、驚くほど軽く持ち上がった。
「う……」


533:夏:夏の海空
11/07/26 00:26:55.54 opL9SV1A
よっぽど気になるのか、泣きべそをかいてしまっている。苦笑しながら、繋いだ手をぐっと引き寄せると、そのまま、ぴと、とくっつかれて。胸板に顔を埋められて、ああ、改めて感じる。
乳白の肌のなめらかさは、これ程心地よいものか。
消えてしまいそうな矮小さが、何といとおしいのか。
この密着を許してしまう、あまりに憐れな双実よ。
何てことはない。この子は、足りないことにより完成されていた。
「な、もっと堂々としてたらいいんだよ。」
「……。」
「大丈夫。俺が保証する。美空ちゃんは綺麗だよ。」
ミソラ。それが、この子の名前だ。
ミソラ。声に出すと、より鮮明になる。
あどけない、仮に分類するとしたら「可愛い」類いの名前。
かといって可愛さ一辺倒と言うわけではなく、例えば半月の夜のような、
どこかセンチメンタルな情感の入り込む余地のある名前。
いい名前だと思う。似合っているとも思う。
もっとも、名前が合うかどうかなんて、賭けみたいなものだが、その点においてはこの子は勝利していた。

534:夏:夏の海空
11/07/26 00:29:23.25 opL9SV1A
「……綺麗、ですか。かわいい、じゃなくて」
二つの丸い目が俺を見上げる。期待と、若干の疑惑が合い混じった色を宿して。その目を見据えて、俺は優しい口調で言う。
「そーだ。水着もよく似合ってるし、俺の方が気後れしちゃいそうなくらい、綺麗、だ。」
よほど照れ臭かったのか、固く結ばれた顔が、だんだん赤くなっていく。やがて、一面が朱に染まると、徐々に赤みは引いていった。
そうやって、赤くなって、もどる。
温度計のような流れを三度繰り返し、そろそろ俺がデジカメを持ってこなかったことを後悔し始めたころ、化学反応はようやく止まり、
そして。
「そうですかぁ……、キレイ、ですかぁ……、えへへぇ……」
くしゃっと、綻んだ。破願一笑、心底嬉しそうな表情だった。
「そうだよ。だから、ほら。背筋を伸ばして。」
「えぇと……、こ、こうですかぁ?」
腰に手を当てて、海上にすっくと屹立する姿は、なんとも勇ましい。
見事になだらかな胸丘には、何となくビー玉でも転がしてみたくなる。
きっと一点の引っ掛かりもなく、海へと真っ逆さまに落ちていくだろう。
しかし、褒められてよっぽど感動したのか、端からでも自信に満ち溢れているのがよーくわかる。
その佇まいに満足した俺は、密かに罠を張り、
「どうです?わたし、もっとキレイですか?」

535:夏:夏の海空
11/07/26 00:33:03.28 opL9SV1A
「ああ。堂々としてて、胸を張ってて、最高だ。……まぁ、もっとも」
一旦言葉を切って、
「張る胸は無いけどな。」
一気に突き落とした。
さっきの体勢で固まってしまい、そのまま後ろにひっくり返ってしまいそうなオブジェを見つめると、ふつふつと笑いが沸いてくる。
この子をいじるのは、堪らなく楽しい。

―ざわあ、ざわぁ。

妙に場にそぐう波の声を、二度、三度と聞いた元・オブジェは、ようやく息を吹きかえした。ゆらり、ふらつきながら立ち上がり、
その全身から暗黒のオーラを立ち昇らせて……、
「むがぁ!!」
半分泣きながら、一直線に突進してきた。
が、黙って受け止める体勢に入っていた俺にとって、そしてこの子にとっての誤算が三つ。
一つは、砂浜というのは意外なほど足をとられやすいこと。
一つは、偶然にも波が向かってきていたこと。波打ち際とはいえ、水の抵抗力はなかなかバカにならない。
そして、もう一つは、ちょっとやりすぎたこと。
思ったより傷ついたのか、激情に任せてこの子が突っ込んだ方向に、俺は居なかった。誰もいない、虚空へ向かって走り、途中で足をもつれさせて。
「あ」
べしゃ。
見事に、転んだ。顔から、いった。砂に、埋もれた。
慌てて抱き起こすも、漫画のひとコマのような、余りにシュールな光景にしばし言葉を失う。

536:夏:夏の海空
11/07/26 00:35:14.39 opL9SV1A
えっと……俺のせい、なんだよな、これ。
「あー、美空ちゃん?」
「……」
「その、なんだ、ごめん。」
「むが」
「ちょっと調子に乗りすぎたよ」
「むがむが」
「でも、まさかそんな見事に転ぶとは……」
「むががぁ!むががむがぁ!」「ああごめんごめん!そうです全部俺のせいでございます」
「む」
「ちょっと度が過ぎました。この通り謝ります。ごめんなさい」
「むぅ」
「だからさ、そろそろ機嫌直して、普通にしゃべってほしいなぁ……」
―ざぶん、ざああ、ざああ。消え入りそうな呟きも、波に呑み込まれる。
やっぱりだ。無機質なふりをした、意地悪な波の歌声は、対岸の火事だと言わんばかりにこの非常に居心地の悪い空気を煽ってくる。
……さすがに息苦しくなってきた。
「な、美空ちゃん」
「……追加で」
「ん」
「かき氷、焼きそば、それにフランクフルトを追加で許してあげます。わたしは大人ですから。寛大ですから」
思わずコケそうになる。結局、それでいいのか。

でもそれは、叶わぬ夢なんだよ。

537:夏:夏の海空
11/07/26 00:37:21.11 opL9SV1A
とはとても言えず、代わりに、口を真一文字に結び、ふんぞり返ったこの子を、黙って抱き締めた。
「あ、あの?わかったんならまず返事をしてくださいよ!」
「……」
「そ、それに、ちょっと苦しいです。強すぎます。潰れちゃいます。もっとちっちゃくなっちゃいますよぉ……」
大丈夫。その点は心配する必要ないから。
喉まで出かかったツッコミを、何とか堪える。これ以上意地悪するときっとこの子は拗ねてしまう。
それに、一つ、とても重大かつ残酷な現実を、俺は伝えねばならない。
「あのな美空ちゃん。心して聞いてほしい。」
若干手を緩め、目を見て口を開く。
ただならぬ雰囲気に、自然と静まりかえる空気。
「この海は、穴場だ。今日だって、いくら平日とは言え海水浴シーズン真っ只中なのに、俺達の貸し切りだ。」
「はい」
「もとより、穴場である必要があったんだ。俺は美空ちゃんの水着姿を、どこの馬の骨かも知れんやつらに見せるつもりはなかった。……君は、俺だけの天使だ」
「……はぃ」
ぽっと頬を赤く染めて、微かに頷く。

538:夏:夏の海空
11/07/26 00:40:25.44 opL9SV1A
俺も一つ頷いて、続ける。
「人の出入りが少ない分、砂浜も綺麗だし、気兼ねなく遊べる。なかなか素晴らしいと思ったんだ。ただ、人気がないってことは、つまりだな……」
「つまり……?」
「非常に言いにくいんだが、ここに海の家は、ない。」
ぷちん、ぷちん、ぷちん。
かき氷、焼きそば、フランクフルト。この子を操っていた三つの糸が、呆気なく切れた。
「あ」
ばしゃん。
ささえを失った操り人形は、当然のように、海中に没する。
海が、本日何度目かのちゃちゃを入れていた。

すいません、あと半分強ありますが、予想外に長かったので一旦切らせていただきます。
長い割にgdgdです。
あと、准や夏菜を期待していた方、申し訳ありません。
夏は一番好きなキャラで行かせていただきました。

539:名無しさん@ピンキー
11/07/26 00:42:20.43 9blAbU3t
リアルタイムGJ!
美空はあんまなかったから嬉しいな
続きも期待してる

540:名無しさん@ピンキー
11/07/26 00:46:13.90 uHjuoOVH
これはねぇ
もう思わずGJしちゃうねぇ

541:名無しさん@ピンキー
11/07/26 00:48:41.06 oWA51COl
>>586
おお、GJ
8主と美空の関係がいいね、手玉にとってる感じとかほんわかしててよかった
別に自分の書きたいキャラで書けばいいと思うよ、続きも楽しみにしてます

あと前半部分のネタが凄く濃かったねw
西武流行のボンバーマンや俺達とかコバロリとか武田勝とか加賀とか野球好きにはたまらん

542:名無しさん@ピンキー
11/07/26 01:05:36.18 K20D8XFR
>>586
乙乙。
8主がドSの上にロリコンだww
しかし美空っていいもんだな。

543:名無しさん@ピンキー
11/07/26 01:45:29.08 ZquERP+u

いやあ・・・俺達にロリ様、マケルクーンにカロって本筋以外のネタで笑ってしまってそっちに意識持ってかれるんだがwww

544:名無しさん@ピンキー
11/07/26 02:21:45.66 Fg9aKs6I
投下ラッシュは突然に

545:13@東京の有名大学に通う19歳
11/07/26 13:16:21.05 +aCo6SSH
さらのアナルオナニーを見た小波が発情するという展開でSS書いてもいいでしょうか?
これは傑作になるぞおおおおおおおおおおおお!!

546:夏:夏の海空
11/07/26 22:18:13.47 opL9SV1A
では、続きを投下させていただきます。

547:夏:夏の海空
11/07/26 22:21:28.87 opL9SV1A
天然のゴンドラに揺られ、この子はけらけら笑う。
つい十分ほど前まで足がつかなくて怖いだの、波に浚われそうだの言って、俺を引っ付かんで放さなかったのが嘘のようだ。
「あー、コホン、あー、うーみーはーひろいーなーおおきーいーなぁ―」
よっぽどご機嫌なのか、懐かしい歌まで聞こえてきた。
……上手い。きっちりと音程を捉えている。それに加えて、この子特有のシャボン玉のようにふわふわした声質は、
満ちゆく癒しの粒子となって俺の体に染み渡っていく。天上の響きだった。ともすれば眠ってしまいそうだった。
「つーきーはのぼるーしー」
永眠してしまう前に、満面の笑みで歌うこの子に、遠い目を向ける。
……あの後、硬直してしまったこの子を立て直すのに相当苦労したものだ。
盆と正月とそれからクリスマスを一片に取り上げられ、完全にグロッキー、何を言っても青菜に塩の鬱状態に陥ったこの子を救ったのは、
やはりと言うか、知ってたと言うべきか。

548:夏:夏の海空
11/07/26 22:24:03.60 opL9SV1A
『帰りに。帰りにこないだのお店のスペシャルパフェを買ってください。それまで我慢しますから』
とかく、女の子と言うのは甘いものに弱いらしい。
(ちなみに、パフェと言うのは女のロマンであり、決して子供っぽくなどはない、とのことだ)
「ひはしーずーむー……もう、また!」
何はともあれ、かくして息を吹き返したお嬢ちゃんは、ついさっきの悲嘆に暮れた闇から一転、光のどけき表情で、
朗々と童謡を紡いでいたのだった。
……分かりやすい。あぁ分かりやすい。
この子は、どこまでも自分の気持ちに正直だ。
楽しければ笑い、悲しければ泣き、腹が立ったら怒り、褒められると照れる。
その素直な心がどうしようもなく子どもっぽいのだが、同時にそれは美徳であり、この子の醍醐味でもあった。
そう、それは干したての布団のように暖かで―
あれ?
「…………」
なぜ、この子は怒っているのだろう。
ぷっくり頬を膨らませ、右手を海に垂らし、きっと睨んで俺をロックオン、しなやかに腕を振り。
「えい!」
「わぶっ!」
海水が、俺の目にダイレクトヒットした。
痛い。かなり痛い。

549:夏:夏の海空
11/07/26 22:27:55.75 opL9SV1A
「ま・た・ぼーっとしてぇ!何なんですかもう!そこまでわたしがどうでもいいと!?
わたしみたいなぬりかべは見てもつまらないってことですかぁ!?」
「ま、待て、誤解だ。今の懸想は美空ちゃんのことを」
「もんどうむよう、もんどーむよーですっ!さっきもぼーっとしてたじゃないですか!
大体何なんですかカロカロって!お友達ですか?ガロのキャラクターですか?
それとも踏んでも踏んでももとに戻る亀の骸骨ですか!?えい!えい!えいっ!」
「ぶわっ!た、タンマ!確かにオトモダチだけど面識はない!」
水飛沫の弾幕が俺を襲う。流石にこれは避けきれない。このままだと俺の残機はゼロだ。仕方ない。学生時代以来だが『アレ』の封印を解くとするか。
急遽戦闘体勢に入った俺は、忍者のごとく素早く海中で印を結び、水弾をチャージする。
エネルギー充填80パーセント……対ショック対閃光防御オン……エネルギー充填120パーセント!
「よし、喰らえ美空ちゃん。
拡散坂田砲、発射!」
びしゃん!
「きゃあ!」
「どうだ、見たか美空ちゃん!」
「ケホッ、な、なんですかその威力!ドゥームズデイですか!?メタルストームですか!?」


550:夏:夏の海空
11/07/26 22:31:00.67 opL9SV1A
「いや、この圧縮水弾砲台の名は『拡散坂田砲』と言う。坂田が開発した、あの発禁水鉄砲『DQT2000』に勝るとも劣らない超弩級の砲台だ!
結局拡散するのか圧縮するのかは知らん!」
「誰ですか坂田って!」
「中学の同級生さ!発射!」
「ひゃああ!?ま、負けませんよ!えい!えい!えい!」
「無駄だ。潜伏!」
美空ちゃんの行動を読んでいた俺は、素早く海中に身を潜めた。
「あ、あれ?どこにいっちゃったんですか!?」
いきなり標的が消え、困惑した美空ちゃんを尻目に、俺はゆっくりじっくりと再びチャージを開始する。
三十秒……一分……二分……よし。
美空ちゃんの死角に回り、限界まで水が装填されたのを確認、満を持して俺は潜伏を解いた。
「ど、どこですか?出てきてくださいよぉ!」
「お望みとあらば!」
ふぁ、とちょっぴり泣きそうな顔でこっちを向いた美空ちゃんに、俺は素早くエイミング。
勘弁しろよ美空ちゃん。これこそが、坂田がとある野球(バラエティ)ゲームを参考に開発したと言う、一子相伝の秘技だ!
「いくぞっ!坂田式潜伏射撃っ!!」
最大限に圧縮された水流は、最早砲弾、と呼ぶことすら生ぬるかった。
狂おしいほどの激流は比類なき威力をもって、一直線に対象へと向かう!


551:夏:夏の海空
11/07/26 22:36:25.09 opL9SV1A
「きゃあああ!?」
ばっしゃーん!
豪快な音を立てて、強烈無比な一撃が突き刺さった。
(ふふん、俺の射撃の腕前もまだまだ現役だな。
しかし、ちょっと大人げなかったか。ああ見えて負けず嫌いだからなぁ)
はっはっは、と暫し勝利の余韻に浸っていた俺だが、次第に不味いと感づき始めた。
なんだか、美空ちゃんの様子がおかしい。
「あ、あれ?大丈夫か?」
深く俯き、肩をぶるぶる震わせる姿はとても痛々しく、しゃくりあげてしまっている。
しまった。やり過ぎたか。
「美空ちゃん」
「……」
「ごめん。年甲斐にもなく熱くなりすぎた」
「……」
「あー、その、こんなことしでかした俺が言うのもなんだが、泣かないで……ぶぁ!?」
突如沸き上がった水柱が、ゼロ距離で俺を捉えた。
「やーいやーい!ひっかかったひっかかったぁ!」
やられた!
「くそ!まさか嘘泣きとは……?」
でも、大きな瞳には今にも溢んばかりに、涙が浮かんでいた。懸命にこしらえたのだろう泣き笑いもすぐにしぼんでしまい、
それでもぱっちり二重を瞬かせて強がっていたが、つぅ、とひとすじ、堪えきれなかった雫が海に落ちた。
なんだ。泣いたふりじゃなくて、泣いてないふりじゃないか。

552:夏:夏の海空
11/07/26 22:38:37.68 opL9SV1A
「悪かったよ。男が女を泣かせちゃあダメだよな」
「……泣いてません」
「俺も調子に乗りすぎたよ」
「いいですか、ひっく、わたしは決して泣いてませんから。子どもじゃあるまいし」
「うん」
「わかればいいんですよ。……まったく、あんな足もつかないところで、急に独りぼっちにするなんて、ぐすっ……、
怖くって、心細くって、わたしは、カナヅチなんですよ……」
「ごめん。反省してるよ」
「ああもう、しばらくこっち向かないでください。さっき海水が目に入ったせいで、目が痛くって、
ひぐっ、な、涙が止まらないんですから」
「……わかった」
「それと、わたしはもう疲れましたから、どこか人気のない場所を見つけて、そこまで連れていってください」
妙な注文に首をかしげながらも、俺は黙って従った。
泣く子と地頭には勝てぬ。昔からそう決まっているのだ。


553:夏:夏の海空
11/07/26 22:41:30.98 opL9SV1A
ざぁー、ざぁー。
穏やかなさざめきに耳を休め、遥か地平線を見つめる。
今日俺達をさんざからかってくれやがった海も、たまにはセンチな気分になるのか、静かな雰囲気を更に深める、そんな波だった。
周りを岩場に囲まれた、人気のない入り江。
切り立った崖が生む日陰に、愛する人と二人っきり。
二人だけの楽園、そんな表現が本来ならば似合う筈、なのだが。
つーん。
空気を切り裂く音が聞こえてきそうなほど、あからさまに俺は遠ざけられていた。
―ざぁーん、ざぁーん。
こうなると、静かなさざ波の音も逆になんだかチクチクして、非常に居心地が悪い。
―ざぁーん、ざぁーん。
もしかしてお前。
―ーざぁーん、ざぁーん。
わざとやってるだろ。それ。
―ざぁーん、ざぁーん。
前言撤回。やっぱり根性悪いな、コイツ。
しかし、どうしたものか。
意地悪な海から目を離し、すがるように空を仰いだ。
ちらっと横目で見ると、流石にもう涙はしまっていたが、未だにぷっくり頬袋を作り、
むすっとした表情でひたすらに海を見つめる女の子が映る。
やっぱり、やり過ぎたよなぁ。普段は多少怒らせても誇張でもなんでもなくあめ玉一つでコロッと笑うこの子だが、
ひとたびこのモードに入ってしまうとちょっとやそっとでは元に戻らなくなってしまう。

554:夏:夏の海空
11/07/26 22:43:37.69 opL9SV1A
最後に見たのは確か半年ほど前、久し振りのデートと白瀬の緊急連絡が被り、土壇場でキャンセルとなった時だったか。
しかも緊急連絡と言うのは白瀬の嘘で、何となく喋りたかったから呼んだのだ、と言われて激怒、
結果俺は一日に二人の女に泣かれると言う憂き目にあったのも記憶に新しい。
……あの時は、俺が何を言ってもしばらく口を利いてくれなかった。
でも、この子も心のどこかでは不可抗力だったと分かっていたのだろうか、単に気持ちの整理がつけられなかっただけだったらしく、
一週間後、この子が涙ながらに俺に謝ってめでたく終戦となった。
果たして今回はどうだろうか。悩む間もなく、答えは出た。
非は完全に俺にある。となると、動かねばならんのは俺だ。じゃあどう動くべきか。
そうして自問を繰り返していると、いつの間に頬袋をもどしたのか、ボソッとした呟きが聞こえた。
「……今度は」
「ん?」
「今度は何をぼんやりしているんですか?」
「うん。美空ちゃんに、どうやって謝ればいいのかなって」
どうやら、意外にも向こうから取っ掛かりをくれそうだ。
「別に、わたしはそんなに怒ってる訳じゃないんですよ。わたしは大人ですから」
語尾を強調して、この子は続ける。

555:夏:夏の海空
11/07/26 22:45:07.47 opL9SV1A
「ただ、せっかく二人でデートに来てるのに、わたしを放ってぼーっとしたり、あまつさえ海のど真ん中でひとりぼっちにしたり。
一人の男性として、れ、れでぃーをえすこーとする役目をほっぽりだすのはどうかなー、と思っただけです。ええ、それだけですとも」
ははぁ。
あからさまに俺を詰る口調は、とある予想を抱かせた。
この子はなんとかして、俺より上に立とうとしてるのだろう。普段俺にからかわれてばっかりだから、その鬱憤を晴らすための下克上と言ったところか。
面白い。お手並み拝見といこう。
「ですから、わたしは別に謝ってほしいわけじゃありませんし、そもそも最初から気にしてません。ただ、ペナルティを受けてもらいます」
「ペナルティ?」
「はい。まぁ要するに、わたしの言うことを一つ聞いてくれればいいです。まさかとは思いますけど、断れませんよね?大人なら」
「……ああ、そうだな」
ふむ、と荒い鼻息をふかし、この子は俺に向き合うように体勢を変えた。
さて、何が来る?
「……じゃあ、言いますよ。わたしがいいと言うまで、決してぼんやりせずに、わたしの目を、体を、わたしだけをじっと見つめていてください」
「……へ?うん、わかった」
なんだ、そんなことか。
思いの外かわいらしい要求に若干拍子抜けする。
何やらぶつぶつ呟くこの子に疑問を抱きつつも、俺は命令通り、この子を見つめた。
この子も、俺の視線に応じて堂々と俺を見つめ返して。

556:夏:夏の海空
11/07/26 22:47:24.26 opL9SV1A
じーっ。
互いの瞳が、見えない糸で結ばれた。
……しかし、綺麗な目だ。
美しい二重瞼と、長い睫毛の台座に座する翡翠色の澄んだガラス玉は、この子の映し鏡のように純な輝きを放っている。
一度目が合うと、ピリリ、と電気的な刺激を持って、俺をキャッチして離さない。
成る程。君の瞳は百万ボルトってのは、あながち嘘でもない。ちょっと古いかな、などとぼんやりしていたら、一瞬、この子の瞳が揺らいで、そして、消えた。
「あれ?」
いきなり結合を解かれた俺の視線は宙を泳ぐ。
しかし、それもつかの間、再度目の前に現れた瞳は、先程より明らかに大きく、してやったりといった色を浮かべ、再び俺の視界を奪い去った。
「んむ!?ん……む……」
「ん……っ、みゅ……」
やられた。ようやく俺は、何が起こったか理解した。
この子は始めから狙っていたのだろう。
俺をじっと見据えて、気が抜けるのを見計らって視線を切る。困惑する俺を尻目に、身軽な体躯を活かして接近、そのまま俺の唇をふさいだワケだ。
不意討ちを喰らった俺にはなすすべがない。あっという間に主導権を握られ、なすがままにされてしまう。
圧倒的優位に立ちこの子も満足したのか、そっと唇を離した。一筋の銀糸が、口と口を繋ぐ。いとおしげにそれをしまったこの子の顔を見て、俺は驚愕した。
潤んだ目は虚ろ、頬はほんのりと上気し、はふぅ、はふぅ、と熱っぽい息を吐いている。
俺を見て舌舐めずり、恍惚の表情を浮かべ、それでも尚捨てきれない幼さも手伝って強烈なフェロモンを発散していた。

557:夏:夏の海空
11/07/26 22:48:27.04 opL9SV1A
普段のこの子、夜のこの子。
その両方をよく知る俺から見ても、ここまで性欲に囚われてしまった姿は明らかに異常だ。
これじゃまるで娼婦、いや、発情期の獣そのものじゃないか。
ん、獣……?
―美空、お前は『オオカミ憑き』なんだよ。暗示にかかりやすく、しかもそれが肉体的変質を伴うのさ―
忘れもしない、かつてこの子にニセの幸せを植え付けた元凶、上川達也の嘲笑混じりのセリフが、ふと頭をよぎる。
「あーっ、またぼんやりしてぇ。そんなイケない人にはぁ……、こうですっ!」
「いっ!?つぉ……!」
必死に思索に耽る俺が勘に障ったのか、悔しそうに身を震わせて、この子は俺の想像外の暴挙に出た。
すでに海水パンツの中で天を仰いでいたソレの枷を外し、勃ち上がった剛直を、あろうことか足で挟んだのだ。
むにむに、むにゅむにゅ。
うまいこと緩急をつけ、ぷにぷにの足裏でやんわりと刺激される。
気持ちいい。非常に気持ちいいのだが……
(おかしい。いくらなんでも絶対におかしい)
暗示、特異体質、肉体的変質。頭の中で、三つのピースが行き場を求めふわふわ漂う。
(考えろ!一体この子に何があった?)
カシャリ、カシャリ。記憶のフィルムを巻き戻し、原因を探る。
(確かに泳いでる間はなにもなかったんだ。となると、その後、ここに来てからのはずだ。
二人で海を見つめて、この子に詰られて、こっちを向いてくれと言われて……む?)
そう言えば、俺がこの子を見たとき、この子は何やら呟いていた。
ぶつぶつぶつぶつ、俺に向けて、と言うよりは自分に言い聞かせるように。
(そうだ!あれからこの子は飛びかかってきた。あの呟きは何だ?
仮に俺ならどういう時に自分に語りかける?
先発登板前の一時だ。何のために?
自分を奮い立たせるため、とどのつまり、それは)

558:夏:夏の海空
11/07/26 22:49:47.01 opL9SV1A
―自己暗示。
導きだされた解は、いとも容易く迷える三つのピースを適所へと嵌め込んだ。
間違いない。これで辻褄が合う。
この子は、自分で自分に暗示をかけたのだ。
特異体質にブーストされた自己暗示により、理性のタガを一時的に外したのだろう。
俺に目を見てほしいと言ったのは、過去にそうやって暗示をかけられたことがあるから。
出来るだけ近い状況を再現して、より高い暗示効果を得ようとしたこの子の企みは、見事成功を納めたワケだ。
(まさか、ここまで気にしてたとは思わなかった……、ってのはいじめた方の身勝手な言い分だよなあ。
どうせもうすぐ暗示は切れるだろうし、仕方ない。受け入れるか、この子の『逆襲』)
すると、思い出したかのように激流がやって来た。
思考で誤魔化していた白濁の蠢動が、今にも俺の腹底を突き破ろうとしていた。
……どうやら受け入れようが、受け入れまいが、あまり関係なかったみたいだ。
「ふふふ、あれぇ、なんだかぴくびくしてきましたよぉ?」
「……ああ、そろそろだ」
「いいですよ、思いっきり出しちゃってくださぁい」
爪が甘いなぁ、と思う。相手の望むままに行動させちゃ、せっかく優位に立った意味がない。ま、お言葉に甘えましょう。
どちらにせよ、俺の辛抱も限界なのだから。
「う……、くぁっ……、……ふぅ」
「きゃっ!」
びくんっ!と一際大きく波打ち、苦しげに呻いていた俺のモノは、溜め込んだ弾を発射した。やがて頂点に達し、勢いを失った白濁液は重力に従い落下する。
ぽとぼとぼと。自分の白い肌を汚すそれを、事も無げにこの子は掬い取って、赤ん坊のようにちゅぱちゅぱしゃぶり、押し黙った。
俺もまた、放出の快感に横たわり息をつく。
迎えた一つの区切りに、互いが弛緩していた。

559:夏:夏の海空
11/07/26 22:51:02.21 opL9SV1A
「……どうですか」
「ああ、気持ちよかった」
「そうじゃなくって、わかりましたか?」
「何が」
「いいようにされる側の気持ちですっ!」
ああ、やっぱりそっちか。
実は途中からわざと従ってました―なんて言えるはずもなく 、俺はゴニョゴニョ言葉を濁して、でもな、と続ける。
「俺は決して美空ちゃんを無下にしたことなんてないぞ。
そりゃたまに子どもっぽいなぁって思うことはあれど、本心で君のことをただの子どもと思ったことはない。俺は君のことが、『女性』として大好きなんだ。もはや離れようったって離れられないし、離す気もない。勿論、嫌われたくもないさ」
俺はこの子の目を見る。
この子の焦点はしっかりと俺を追いかけていて、確信した。
もう暗示は切れている。
「そんなことわかってます」
この子は顔を赤く染めて、しかし憮然として言った。
「わたしはとても大切にされてます。わたしは愛されてます。わかってるんです、そんなこと。……子どもっぽいというのは体型以外認めませんが」
体型は自覚あるのか。
「わたしだって大好きです。
離れたくないです。いつだって側にいて、手を繋いでいたいです。だけど、好きだからこそ」
「好きだからこそ?」
「不安にもなりますよ。わたしは自分を省みて、鏡の前の自分を見つめて、本当に恋人なのか、たまーに疑っちゃいます。でも、そんなのは愛の力で吹き飛ばせます」

560:夏:夏の海空
11/07/26 22:52:22.94 opL9SV1A
愛の力。
口に出すのも憚られるほど眩しいフレーズも、この子は息をするようにスッと飛ばす。
「それでも、愛では吹き飛ばせないものだって、それどころか、むくむく膨れ上がる物だってあります。それは、あぁ、また軽くあしらわれちゃってる、って言う悔しさです。ですから!」
すぅぅ。この子は胸一杯に空気を含み、思いっきりふんぞり返った。
「今回のは、言わば仕返しです。逆襲です。下克上です。どうですか、参りましたか!?」
誇らしげに胸を張るこの子。しかし、俺の目が着目したのは、まな板上のふたつのぽっちだった。
起ち上がった二粒の隆起は、貧弱な膨らみの代わりにわずかながらはっきりと水着を押し上げている。
(成る程、これが『肉体的変質』か。……おあえつらむき、だな)俺だってハイ参りましたで終わる気はさらさらなかった。
せっかくこの子の方から仕掛けてきたんだから、不覚は取ったもののカウンターの一発ぐらい入れてやろうと思っていたところだ。
ちょうどいい。にんまり笑い、完全に油断しているこの子を抱き締めた。
「ふむぎゅ、あ、あれ、参ったんじゃなかったんですか!?」「ああ参ったさ。負けて悔しいから、次は俺のリベンジだな」
「そんなのずるい!」
「ずるくなんてないさ。いいか美空ちゃん。敗北と降参は、俺みたいな人間にとっては違うものだ。
前にも言ったと思うけど、俺は必要なら噛みついてでも相手を殺すように訓練されてるんだよ」
「ひっ……」
「……まぁ今のは言葉のあやってヤツだから、そんなに怯えられても困るんだけど、つまり」
慌てふためるこの子の耳元に、息を吹きかける。
「油断大敵」
あまりの展開に目を剥くこの子に、俺は飛びかかった。
さぁ、第二ラウンド開始だ。


561:夏:夏の海空
11/07/26 22:53:40.70 opL9SV1A
「ぷはぁ、美空ちゃんの口の中、すっごく熱いね。とろとろしてる」
「ゃぁあ……、ふ、ふぁ」
「はは、キスだけでこんなになっちゃうか」
「うるさいです……」
第二ラウンドは俺の圧倒的優勢だった。
早々とロープ際に追い詰めてラッシュをかける。
唾液をたっぷり交換して、舌で丹念に蹂躙して。
でも、全てを吸い付くしはしない。
ダウンなんてされたら、テンカウント。そんな猶予をあげる気はなかった。
再び手を伸ばす。今度は胸元、ぴったりフィットの水着の上から、わざと優しく、ふゎっと撫でる。
「ひゃああ、ゃ、あぁ!」
「……ずいぶん気持ち良さそうだな」
「ひぅ……悔しい」
「ん?」
「悔しいんです!何でいっつもいっつも手のひらで転がされるんですかっ!今日こそは上手くいったと思ってたのに……」
「いや、自己暗示ってのは俺も感心したよ?よく考えたと思うけど」
「し、知ってたんですか……」
「うん、途中で気付いた」
ふぐむ、と破裂寸前の擬音と共に、この子は口をつぐんでしまった。
「だからさ、そんなに落ち込まなくて良いんじゃないかな。ただし、リスキーな手段だけどね」
「あ……」
種も仕掛けも、全て把握されてしまったのを知ったのか、肉体の魔術師は硬直した。
その無防備な姿を、文字通り丸裸にしていく。
息を呑む声を聞きながら、俺は嬉々としてセパレートの上パーツを剥きとった。


562:夏:夏の海空
11/07/26 22:55:04.86 opL9SV1A
―ぷるん、には程遠い。ぽよん、ですら過大評価だ。
ぶにゃぶにゃ?いや違う。
「いやぁ……」
「ほら、太陽さんにお披露目だ」
白日のもと、二つの神秘が露になる。
もう何度も目にした、だが見飽きることのない至高の部位。
揉むことはおろか、掴もうとする手すら空を切る、平らな丘。この子の怨嗟と俺の興奮、両方の的。
大人への階段を一段目で踏み外してしまい、それっきり進んでいない。
それがこの子の胸。枕詞はぺったんこ。
「……小さいよな」
「い、言わないでください!」瞳の水瓶に、涙が溜まっていく。
「大丈夫だよ、俺は美空ちゃんのべたんこが大好きだから」
「だからぁ!」
「ごめんごめん泣かないで。お詫びに……はむ」
「ふぁ、あ」
平らな土台に、ピンと屹立する赤の一つを、俺はくわえこんだ。ペロペロ、ペロペロ、舌で転がす。弾く。
充分ねぶった後、今度はそっと手を添えた。
この子の胸は俺の手のひらにすっぽりと収まってしまい、その存在はとても儚いものだ。
しかし、押せば沈む。ぷにぷにと、確かな意地を持って俺に向かってくる。
この子らしい胸をそっと包み、俺は優しく揉みしだいた……もとい、撫で上げた。
次第に大きくなる喘ぎ声。
断続的に吐き出されるこの子の熱は、そのまま俺の悦びに変換される。先程の暗示とはまた違う、
理性と本能の狭間でもがくこの子の表情に誘われて、
明らかに海水ではない液体でびしょ濡れのそこをなぞると、この子が軽く身じろぎした。

563:夏:夏の海空
11/07/26 22:56:42.32 opL9SV1A
水着越しでもはっきりわかる特有の感触に目を細めながら、ゆっくりゆっくり、この子の意識を手繰り寄せていく。決してノックアウトせず、かといって安寧を与えるわけでもなく、なまくら刀でじわじわと。
「んあぁっ!ぁあ!あ、の、わたし、わたしっ!」
しかしながら、『肉体的変質』により異常な感度を得てしまったこの子では、なまくらですら耐えがたかったのか、次第に小刻みに震えはじめた。
どうやら、頂点へと達するためのエネルギーが充填し終わったらしい。
間違いない。今、この子の意識は、股間をまさぐる俺の左手に集中している。
ちょっぴり邪悪な笑みを浮かべて、俺は隠していた右手でこの子の乳首をつまみ上げた。
「ひぁあんっ!ああああああっ!!」
―そう。左はフェイク、本命は右だったんだよ、美空ちゃん。
「お、おっと?大丈夫か?」
「はぁ、はぁ、ふあぁぁ……」死角からの急激な刺激に翻弄され、頂点へとかけ上がったこの子は、腰が砕けたかのようにぺたんと砂浜に座り込んでしまった。
息も絶え絶え、未だ余韻に小さく震えていて、どうやら動けないらしい。
「すごかったな、こんなにおもらししちゃって」
「はぁ……、ぁ、お、おもらしじゃ、ありません」
顔を真っ赤にして反論するこの子。俺は口の端を歪めて笑った。
「本当に?」
「本当にです!」
「じゃあ、何で俺の手はびしょびしょなのかな?」
「う…………」
我ながら意地悪だと思う。知っていても答えられない問いを、答えを知りながら質問するのだから。
恨めしそうに俺を睨むこの子だが、全く怖くない。
「ま、いいか。俺も美空ちゃんの厭らしいトコたっぷり見れたし、そろそろ帰ろっか?」
「えぇ……?」

564:夏:夏の海空
11/07/26 22:57:56.48 opL9SV1A
これも、意地悪だ。
愛撫だけでこんなにまで乱れてしまう状態のこの子が、前哨戦だけで満足できるはずがない。
その辺の性欲は、この子だっていっちょまえに持っている。
「えぇと、浮き輪、浮き輪と。どうした、まだ立てない?」
「……言わなくてもわかるくせに……」
その通り。だけど俺はわざとらしくかぶりをふって、あたかも残念そうに告げる。
「わからないな。きちんと説明してくれないと」
「うぅっ……その、えっと、わたし、すっごくじんじんして、物足りなくて」
ぼそぼそこの子は呟く。
しかし俺は取り合わない。もうワンステップ、この子が登ってくるのを待つ。
「うん。それで、俺はどうしたらいいんだ?」
「ですから、ですからぁっ!」ぱちぱちぱち。だんだんまばたきが増えて、目は充血し、落涙寸前の様相を呈していくこの子。
流石にかわいそうか。そろそろ勘弁してやるか、と思った矢先、この子は唇を噛みしめ、ほとんど泣きながら叫んだ。
「もう我慢できませんっ!このままお預けなんて無理です!
お願いですっ、わたしの中を、わたしのスキマをぐちゃぐちゃに埋めてくださいっ!」
思わずのけぞってしまった。
こんなに童顔の子に、外見だけなら中学生にすら間違われる子に、俺は不浄の象徴とも言えるモノをねだらせたのだ。
僅かな罪悪感と、それを遥かに上回る興奮がブレンドされて、悪寒と熱気が同時にやって来たような、奇妙な感覚を覚える。
「ひぃ、ひっく」
「よしよし。美空ちゃんの気持ちは痛いほど伝わってきたから、もう大丈夫だ。……ありがとう、そして、いただきます」

565:夏:夏の海空
11/07/26 22:59:24.16 opL9SV1A
砂浜を見渡すと、やや背の低い岩があった。
この子を抱き抱え、その岩までエスコート。
「うん。そうやってかがんで、あ、もう少しお尻をつきだしてね、そうそう」
そうこうしている間にも、この子の股部からは止めどなく密が溢れだす。これ以上待たせるのは酷だと思い、この子を覆う最後の布を、俺はそっと取り外した。
「ううぅ……」
恥ずかしそうにこの子は呻いた。これでもう、生まれたままに剥かれてしまったのだから無理もない。
「美空ちゃんのお尻、可愛いね」
体躯に似合った慎まやしかな膨らみ。溶けてしまいそうな乳白色が、俺の網膜を優しく焼き付ける。むにゅむにゅ。半球を右手でつかむと、確かな弾力を持って押し返してきた。
この子だってやっぱり女だ。脂肪のつくべき場所は合っている。ただ単に総量が極々僅かだっただけらしい。
「でも、胸よりお尻の方が柔らかいな」
「ふむっ!」
思いっきり足を踏みぬかれた。「あいたたた……、悪い悪い。でも、たまには良いかも、この体勢」
「なんで、ですか?」
「美空ちゃんのお尻の穴から、いやらしいとこまで全部丸見えなんだ、こっちから見ると」
「ふむぅっ!」
再び襲いくる足を、今度は避けた。
「下らないこと言ってないで、早くしてくださいよぉ……、ひゃぅ」
とっくに決壊してしまったダムがはしたなく水漏れを続け、岩影に新たな溜め池を作る。
その綻びを修繕する前に、もう一度だけ、じっくりこの子の秘所を観察。

566:夏:夏の海空
11/07/26 23:01:37.13 opL9SV1A
(……出来すぎだよなぁ)
超のつく低身長に始まり、寸銅の腰つき、幼さを存分に残した表情に似合う、ほぼ平らな不変不動の胸。
観光ツアーの最後を飾る秘部は、その名にふさわしく格別に幼少の香りを放っていた。陰毛どころか産毛すら一本も生えておらず、
視覚を遮るものが何もない。僅かに顔を出した性器が儚げに佇む、清らかな聖域。例えるならば極上のシルクでも力不足だろう、この無毛の芸術に初めて触れてからこっち、俺はずっと虜だった。
「美空ちゃんのここ、相変わらずだね。つるつるしてて何もないや」
「……気にしてるんですから、言わないでください。こんなの、まるで子供じゃないですか……、それより、早く……」
「わかったよ。美空ちゃんはせっかちだな」
「しかたないじゃ、ないですかぁ……、ん、うぁ!」
ヒクヒク蠢くこの子の入り口に後ろからあてがって、一気に貫いた。
侵入者を拒むと言うより、逃がさないために収縮する肉壁。
締め付けられ、すぐにでも吐き出してしまいたい欲求を何とか耐えて、ゆっくりゆっくり上下運動を始める。
「あ、あ、……んぁっ、ふぁあ!」
「美空ちゃんの声、すっごく気持ち良さそう、だよ」
「だって、だって、ずっと我慢して……ひあああぁ!」
「やっぱり、美空ちゃんはれっきとした大人だね。そんなやらしい声で鳴く子供はいないや」
「うぁっ、そ、そうですか、なんだか、わたし、恥ずかしいけどちょっとだけうれしいです……」
「そうか。じゃあ、もっと大きな声で鳴いてもらおうかな」
「ふぁあ、あ、ダメです!今日は、それは……んふぅ、んあぁああっ!」
この子の腰回りを掴み、繋がったまま俺は立ち上がった。
比較的大柄な俺と、超のつく小柄なこの子だからこその芸当。少々過激ではあったが、最大限の悦楽を得るには最も手っ取り早く、本能に忠実な行為だった。

567:夏:夏の海空
11/07/26 23:03:29.61 opL9SV1A
「んぁ、ひ、ぁう、あっ!」
掘削機の如く、俺はこの子の内部を掘る。
結合部から跳ねる液体が、求めあう激しさを物語っている。
ピストンを繰り返すうちに、交尾の虜と成り果てたこの子の口からは、最早意味を成す言葉なぞ出てこない。
肉が肉を打つ快楽をひたすら享受して、身悶えるだけだ。
そして。
「あふっ、も、うだめ……、ふぁあっ、あああああぁっ!!」
先に登り詰めたのは、この子の方だった。
追いかけるように俺も行く。
痙攣するこの子に手を繋がれて、はち切れんばかりに膨らんだ白濁の封印を、二人でそっと繙いた。
「いくぞ……、美空ちゃん……!」
「は、はひっ!あついの、いっぱいに、お願いします……!」




「ふう……、はあ、はあ、さ、さすがに疲れました……」
「あぁ、俺もだ。お疲れ様」
濃厚な、やや濃過ぎた感もある交わりを終えて、俺たちは砂浜に座り込んでいた。
全裸のまま、俺にしなだれかかるこの子。
胸板に触れる乳首も今は固さを失っていて、ようやく一連の影響は解除されたようだ。
ほっと一息、目端に映るメレンゲの髪を、さわさわと撫でる。「むー、また髪なんて撫でて、子供扱いして」
「してないって。……なぁ、美空ちゃん」
「何ですかぁ?」
「今日はありがとう。海、付き合ってくれて、俺は楽しかった。……そして、ごめんなさい」
「え?」
「軽口も、過ぎたるはなお、だな。まさか自己暗示までかけて仕返しするほど鬱積してたなんて思わなかった。このとおり、謝る」
「あぁ、なるほど」
ぎゅむ。この子が体を寄せる。
「それなら、全然気にしてません。久しぶりの海は怖かったけど、楽しいこともいっぱいありましたし。それに」

568:夏:夏の海空
11/07/26 23:05:29.45 opL9SV1A
「それに?」
「今日は、キレイだ、って言ってくれましたから。一言多かったですけど、あれ、嘘じゃありませんよね?」
「ああ、勿論だ」
「じゃあ、ぜーんぶ水に流してあげます。……あれは本当に、嬉しかったです」
背中に回された小さな手の感触が、俺の存在を確かめるように、より強くなった。
「でも、なんだか後ろめたさを感じてしまうって言うなら仕方ありません。贖罪の手段を与えましょう」
「おお、教えてくれ」
満足そうに鼻を鳴らし、間をとって、重い声でこの子は告げる。
「パフェに、ドリンクバーをセットでお願いします。これもまた、女のロマンなんです」
「…………」
―ざざぁ。
久々に聞いた波は、俺の代わりにツッコミをかましていた。
曰く、『結局それかい!』と。脱力感に襲われつつも、俺は聞いた。
「いいけど、前に美空ちゃん言ってなかったっけ、『晩御飯の誘いにファミレスなんて、子供じゃあるまいしバカにしないでください』とかなんとか」
「ええ。確かに言いました。しかし、これは晩御飯じゃありませんよ?
小休止にファミレスでリッチなパフェを頂くのは、大人の特権で、たしなみなんです……って、何笑ってんですか」
「いやいや……はは、そうか、たしなみか。知らなかった。
……なぁ、美空ちゃん」
「なんですか?」
「最高だよ。大好きだ」
「知ってます。わたしも、大好きです」
「うん、知ってる」
「愛想悪いですよ」
「そっちもだろ」
二人同時に黙り込む。 しばし、互いを見つめあって。
「「あははははははっ!!」」二人して笑った。今日初めての大笑い。
幸せが、空に吸い込まれていった。

569:夏:夏の海空
11/07/26 23:06:59.31 opL9SV1A
―ブロロロロ
単調なエンジンの駆動に混じる、啜り泣く声。
「……そろそろ泣き止めよ」
「だって……、パフェが……」
「家帰ってから食べにいこう、な?」
「わたしは帰りに食べたかったんです!ぐすっ、どうして……」
帰り際、簡素なシャワー室に向かったこの子がポロポロ涙をこぼしながら、水着のまんま出てきた時は何事かと思った。
『ひっく……、か、替えの服を、持ってくるの……わすれ……、うわああああん!』
泣きわめくこの子車に押し込んだはいいが、最後の最後に取って置きのパンチを食らってしまい、とうとう心の許容量を越えてしまったらしい。
「じゃあ、そのままで食べに行くか?たぶん捕まるぞ?」
俺が、とは言わない。
「そんなこといったってぇ……」
駄目だこりゃ。こうなったら自然治癒を待つ他ない。
諦めて、カーラジオを回す。
確か今日は、うちの先発があのルーキーだったはずだ。
―親切高校出身、ポジションは投手です。目標は新人王を取ることです!
目標、と言うよりかは使命であるかのように、ソイツは語っていた。
聞くと、人を待たせている、その人に新人王を約束した、らしい。
確かにあの天道に投げ勝って甲子園出場、優勝を果たしただけのことはある。球威、球のキレ、スタミナにコントロールと、どれもすでにプロとして及第点で、近頃珍しいアンダースローと言うこともあり話題性も抜群、
正直いけるんじゃないかと思っていた。いたのだが。
『ザザッ……それでは今日のハイライトです』
お、ナイスタイミング。
『今日の西……イオンズ、先発は親切高校卒、幻惑のサブマリン、十田。今日も素晴らしいピッチングでした!』
おお。

570:夏:夏の海空
11/07/26 23:08:38.00 opL9SV1A
『内外角へ丁寧に投げ分け、凡打の山を築きます。打線も今日こそは、と五点の援護を奮闘する新人へ送りました』
珍しい。こりゃ行けたんじゃないか?
『最終回、二連打を浴びノーアウト一・三塁となったところで、ルーキー十田は降板、スタンドからは拍手で迎えられました』
顔がこわばったのを感じた。
五点差、普通なら笑って風呂にでも入る展開だが、俺は既に嫌な予感しかしない。
『最終回、ノーアウトとはいえ五点のリード。誰もが……ザーッ……イオンズの勝利を確信していたでしょう。
しかし、野球というものは本当にわかりません。
代わったクローザー、……ザーッ……本が四死球を挟みなんと六連打を浴び、あっという間に五対五の同点、
慌てて出てきた新外国人グラタンも勢いを止めることはできず、結局終わってみれば六対五の逆転負け、
サブマリン十田の三勝目はまたしても露と消えました。本日も中継ぎ大炎上のライオ』
皆まで言うな、とばかりにラジオを消した。
涙が出そうだった。正直いたたまれなくて、これ以上ラジオを聞いちゃいられなかった。
チーム防御率二位の2・65と、新人王待ったなしのはずだった輝けるルーキー最大の敵が、
まさか味方だとは誰が予想しただろうか。
とにかく打たない。そのくせエラーはする。たまに点を取れば中継ぎ総炎上と、いじめを勘ぐってしまうレベルのひどい有り様だった。

(今度、飯にでも誘ってみるか。先発ローテ定着の熱烈歓迎パーティーだ)

不幸なルーキーに思いを馳せ、俺は海岸線をひた走る。



571:夏:夏の海空
11/07/26 23:10:19.42 opL9SV1A
―ブロロロロ
いつのまにか、啜り泣きが止んでいた。
泣き止んだか、と思って後部座席を除き込むと、こっくり、こっくり、小さな船頭は船を漕いでいた。
(子供店長ならぬ、子供船長……うーん、三十点)
苦笑いしてフロントガラスに向き直ると、夕方の、どこかで見たような色が目の前に広がっていた。
明るく可愛らしく、しかし何となく深い色。
なぜだかとても愛着のある色。オレンジに近いのだが、同じではない。
何だったか、と思ってふと海を見ると、ちょうど波が跳ねていた。
水面には天が入り込んでいて、天地両方に美しい空が……。

ああ。成る程、ね。
疑問が急速に氷解する。
この色は何だ?黄昏時の『美』しい『空』の色じゃないか。
愛着があるって?当たり前だ。この色はこの子のだ。自然のままに、時には朗々と輝き、
時には寂々と佇むこの色は、まさにこの子自身だ。

疑惑の氷は、澄んだ水へと。
感動の聖杯をそっと満たされた俺は、道端へ車を止めた。
静かに眠る海空の半身を両腕に抱き、広がる世界をじっと見つめる。

海が、空が、この子に染まっていた。

572:夏:夏の海空(みそら)
11/07/26 23:17:41.68 opL9SV1A
二日にわたり失礼しました。これで終わりです。
・怪盗
・調教済み
・超童顔
・貧乳
・子供っぽい
・ちっちゃい
・20才(最重要)
ここまで揃っている美空ちゃんすら影を薄くしてしまう8彼女候補のキャラの濃さ…
でもトゥルールートのラストの名言には惚れた。すこしでも美空ちゃんそ好きになってくれる人が増えてくれれば。
あと、思ったよりプロ野球ネタが通じて良かったです。

べらべら長くすいません。ありがとうございました。

573:名無しさん@ピンキー
11/07/26 23:33:11.86 9blAbU3t
超GJ!
エロイな~

574:名無しさん@ピンキー
11/07/26 23:45:04.60 RMgi6qgL
>>620
坂田ネタが出てくるとは思わなかったwwとか
脈ありの白瀬が気になってしかたない。とか
おねだりのセリフがえろい。とか
森―豊田のリレーを懐かしがってみたり。
いろいろとGJ。

575:名無しさん@ピンキー
11/07/26 23:47:36.63 oWA51COl
>>620
GJ!
8勢はレベル高いよね

576:名無しさん@ピンキー
11/07/26 23:59:42.18 792ygu40
>>593
GJ!
是非頼みます

577:名無しさん@ピンキー
11/07/27 02:35:39.37 1XYus/Pi

オトモダチに偽者グラ者熱烈歓迎wwwwそうか8主は店主で10主がマキタクーンか

美空は周りが悪かったとしか言い様が無い激戦区、あと裏でレッドローズばっかピックアップされるのが不幸というか
目立たないけど

578:名無しさん@ピンキー
11/07/27 02:41:56.40 1XYus/Pi
あ、途中で送信してたすまん

目立たないけど可愛いよねー、もっと評価されてもいいと思うんだけどねー

579:名無しさん@ピンキー
11/07/27 03:32:00.59 pJasEt+2
>>620
GJ!
エロくてたまらんです
マリオの骨亀とか波動砲とか小ネタ豊富で笑ってしまったw

秋も楽しみにしてます

580:名無しさん@ピンキー
11/07/27 18:19:52.53 jD/ZYBxK
「く……奈桜…桜空…」
「ふふふ…小波君のここ…すごく熱いですよ…」
「クスクス…小波君の感じてる顔…すごく可愛いです…」
俺の目の前には異様な光景が広がっていた。
普通、性行為は男女一人ずつでやるはずだ。
しかし、目の前には緑色の髪の二人の美少女がベッドの上で俺の肉棒を対して一生懸命奉仕していた。
「うぁっ…すごく気持ちいい…」
亀頭をチロチロと舐められる上に裏筋を舐められたり、
二人とも側面舐めたりと変化に富んだ行為に、限りの無い快楽が俺に襲ってくる。



的なSSを書こうとしたが、途中で挫折したorz

581:名無しさん@ピンキー
11/07/27 20:17:58.42 q5j6g0cJ
恋愛物やエロは勿論大歓迎なんだが
もっと色んなジャンルのパワポケSSが読みたいものだ。今地味にパワプロSS流行ってるし。
裏での冒険活劇ものとか、ガチの野球ものとかも読んでみたい。
vipで流行らないかなぁ

582:名無しさん@ピンキー
11/07/27 20:29:11.87 pJasEt+2
>>629
まあ、ここはエロパロだからねえ
確かvipでイチローin6裏とか、やる夫シリーズとかがあった

583:名無しさん@ピンキー
11/07/27 20:55:40.63 q5j6g0cJ
>>630
あぁイチローのやつ見てたわw
あぁいうの増えて欲しいなぁ。
パワポケ勢でポケモンやるとかそういうイロモノSSとかも見たいぜ。

584:名無しさん@ピンキー
11/07/27 21:25:47.68 r1FNLhFH
大歓迎も糞もあるかよ……ここはエロパロスレだぞ……

585:名無しさん@ピンキー
11/07/27 21:27:56.67 pJasEt+2
>>631
いや、ここはそういうスレじゃないから
vipでどうぞ

586:名無しさん@ピンキー
11/07/27 22:52:36.96 WCoJY/5p
これはちょっと美空を見なおさねばならないなぁ

587:名無しさん@ピンキー
11/07/28 01:44:37.45 XYwiOH0O
>>628
おい諦めんなよ早く続きを書くんだ

588:名無しさん@ピンキー
11/07/28 09:52:11.62 YmQnc9kf
8のレベルがかなり高いせいで埋もれがちだけど、やっぱり美空はかわいいよなあ
茜と並んで貴重な合法ロリだし、茜と違った子供っぽさもいい

589:名無しさん@ピンキー
11/07/28 10:40:22.62 8ZFYBAr5
茜は高校生、美空は大学生
茜はアウトっちゃアウトだけどな

590:名無しさん@ピンキー
11/07/28 15:16:08.83 6I+sEITA
ところで、一番浴衣が似合うのは誰だと思う?
答えてエロい人

591:名無しさん@ピンキー
11/07/28 16:37:08.62 XYwiOH0O
基本全員似合うと思うが個人的には天本さんを推す、元々和風イメージが強い子だからイメージが一番しやすい

592:名無しさん@ピンキー
11/07/28 17:21:36.67 PSza3Wrg
基本的に誰でも似合うだろうけどね、浴衣って色合い次第だと思うし
個人的には詩乃を推す

593:名無しさん@ピンキー
11/07/28 19:21:07.26 ADMufgXt
活発な子が着るか、落ち着いた子が着るかでも、想像できる風景が変わってくるね
おれはユイさん押しだ
活発だからからんころん下駄音を立てる様子が似合う
ポニテによってうなじが(たぶん)見やすいことも高ポイント
射的とかで熱くなってそうなイメージ

594:名無しさん@ピンキー
11/07/28 19:47:12.14 g0z/J/4H
黒髪のレン

595:名無しさん@ピンキー
11/07/28 19:52:06.93 kwqFPDnW
寺岡さんがいいんじゃないか?

普段が白衣だから、浴衣の新鮮さが際立つ。
いつもと違う格好で、はにかんで見せる表情もグッド。
寺岡さんは寒色系の色合いだから、涼しげな配色の浴衣と合わせやすい。
かき氷とか似合いそうだよね。

596:名無しさん@ピンキー
11/07/28 20:00:34.88 vJbMaKqe
浴衣は貧乳の方が似合うと聞く。後は分かるな?

597:名無しさん@ピンキー
11/07/28 21:02:27.34 TOe5blZ6
個人的には麻美かな、
下駄で走ってこけて足すりむいて13主に背負われるシチュを連想した

598:名無しさん@ピンキー
11/07/28 22:42:26.10 P2W3HmK+
ナオかな
貧乳だし、祭りとかも好きそうだ

599:名無しさん@ピンキー
11/07/29 01:27:24.67 m8fzzCGj
さあみんな、白瀬が浴衣を着た姿を想像してみよう!
雨が降ればなおよし。気弱なうえにぴっちり張り付く浴衣…!
しかもひんny…おっと誰か来たみたいだ、悪いな

600:名無しさん@ピンキー
11/07/29 05:37:19.57 OACEXbr9
>>645が琴線に触れた。
初めての一発書き投稿をやってみる。地の文は面倒なので少なめ。


「いや~凄い賑わいだねっ」

「このへんじゃ一番大きな祭りだからな。暑過ぎない丁度良い天気な事もあるだろうが」

「天気予報では5割雨だったのにね。私の日頃の行いが良いからかな?」

「今日はクーラーの効いた部屋で一日ゴロゴロしてた人が良く言いますね」

「べ、勉強もしてたよ!ちょ、ちょっとだけ休憩多めだっただけで…って何で知ってるのゆらり!?」

「麻美ちゃんの部屋には64個の隠しカメラと盗聴器が仕掛けてありますので」

「私のプライベート丸裸!?絶対60個は無駄だよねそれ!?」

「冗談です。1つずつだけです」

「もーゆらりったら……1つはあるの!?」

「重ねて冗談です。ツッコミが2秒は遅かったですが」

「あぁ確かに間が悪かったな。謝れ、麻美」

「何で!?何で私が謝る流れになるの!?」

601:名無しさん@ピンキー
11/07/29 05:48:32.33 OACEXbr9
「本当は適当に言っただけですが、図星だったみたいですね」

「うぅ…昨日甲子園から戻ったばかりで疲れてたんだから少し位良いじゃん」

「疲れたのは小波君でしょう。麻美ちゃんは私と一緒に見てただけでは?」

「声を枯らして応援してたよっ!」

「応援歌が全部先走り過ぎてワンテンポずれてましたけどね。周りの人達皆舌打ちしてました」

「嘘!?」

「冗談…だといいですね」

「ハハハ、まぁその辺にしてやってくれよ。ズレてても麻美の大声は確かに俺の力になったさ」

「小波君…」ウルウル

「おや惚気ですか。随分と素直になりましたね小波君」

「ま、疲れた体を引き摺ってでも、麻美と夏の思い出を作りたいと思う位にはね」

602:名無しさん@ピンキー
11/07/29 05:59:33.18 OACEXbr9
「それは結構です。からかいがいが無くなるのは残念ですが、麻美ちゃんを倍いじめる事で妥協しましょう」

「あぁ助かるよ」

「そこは妥協しないで!貴方の彼女がいじめられる…と…」ボッ

「ん?どうした麻美」

「自分で『貴方の彼女』とか言って恥ずかしくなっただけでしょう。愛い奴です」ナデナデ

「うぅ…分析しないで」

「しかしですね、小波君。夏の思い出を作るというのなら、何故私も呼んだのです?」

「おいおい寂しい事言うなよ。愛人じゃないか」

「あいじっ…!?」

「質問を変えましょう。どうして麻美ちゃんを呼んだんです?今日は奥さんには内緒のハズです」

「……………………」

「このボケは止めよう。麻美が黙ってしまった」

「『奥さん』の言葉に照れてるのが6割みたいですけどね。本当に愛い奴です」ナデナデナデ

603:名無しさん@ピンキー
11/07/29 06:13:41.11 OACEXbr9
「も~小波君が変にリアルな事言うから…」

「リアルて。俺は親友二人を二股にかけるなんてデンジャーな事は出来ないぞ?」

「小波君って麻美ちゃんに刺されてる絵が似合いそうですよね」

「怖い事言うな!」

「麻美ちゃんにはヤンデレの適正がありますからね。その時には私もひっかき傷位は覚悟しています」

「えらく軽傷だな」

「血まみれの包丁を持った麻美ちゃんを優しく諭して、泣きながら飛び込んで来た麻美ちゃんを抱きとめた時の傷です」

「その血は俺のだよな。諭す前に救急車を呼べ。そしてそれで何で傷を負う?」

「飛び込んで来る時に小波君に躓いて転びかけるので。ちなみにその時に包丁を手から離しますが」

「俺を挟んで会話してたの!?そして下に居る俺に追い打ち!?」

「そして私は泣きじゃくる麻美ちゃんをこんな風に撫でながら、ベッドへとなだれ込んで………。
 質問を変えます。どうして小波君はここに居るんですか?」

「質問を180度転換するんじゃねえ」

604:名無しさん@ピンキー
11/07/29 06:28:33.82 OACEXbr9
「まあ冗談はこれ位にして、一体どうして?」

「その方が楽しいと思っただけだよ。麻美も俺も、な」

「…彼氏と彼女なんですから、二人きりのデートの方が良いでしょうに」

「ま、それはまた追々な。高校最後の夏休みなんだ。二人での思い出と同じ位に、三人での思い出も作りたいんだよ」

「だねっこんな事言わせないでよ、恥ずかしいなぁ」

「言ったのは俺だがな。お前人の台詞を恥ずかしいと言ったか」

「痛たたっグリグリしないで~」

「………全く、二人してお人好しなんですから(ボソッ)」

「ん、何か言ったか?ゆらり」

「いえ、大した事では。
 麻美ちゃんだけでは、若き健康肉体とほとばしる情熱を持て余すというのなら、いつでもお相手しますと言っただけですちらっ」ちらり

「重大情報じゃないか!…お、おぉう」

「ゆ、ゆらり何言ってるの!そして何浴衣の裾をまくってるの!小波君も凝視しない!」

605:名無しさん@ピンキー
11/07/29 06:39:41.54 OACEXbr9
「まぁ、二人がその辺の神社で神をも恐れぬ行為に至りたくなったら、私は察してすぐに消えますのでご心配無く」

「そんな予定は無い。どうせ消えたと言っても真後ろに張り付くつもりだろ」

「バレましたか。でも予定が無いとは失礼ですね。今日の麻美ちゃんは浴衣なんですから魅力3割増しですよ?」

「む、まぁそれを否定する気はないが」

「そ、そうかな?えへへ……」

「ええ。浴衣は日本人の為に作られた衣服ですからね。麻美ちゃんの様な体型には良く似合います」

「そ、そんなに褒めないでよ照れるなぁ。……………ん?」

「ノリツッコミにしても5秒は遅いですね。流石麻美ちゃんです」

「まぁ本人には真意は伝えない方が良いだろ。似合ってるのは確かだし」

「ね、ねぇちょっと二人共!さっきのどういう意味!」

606:名無しさん@ピンキー
11/07/29 07:07:48.20 OACEXbr9
そんなこんなで、俺達は夏祭りを楽しんだ。
金魚すくいにヨーヨー釣りに射的に輪投げといった、ベタなゲームも楽しみ
その全てで麻美は予想の斜め上を行くドジを繰り出してくれた。

食べ物の屋台もあらかた制覇して、フィナーレの打ち上げ花火を良い位置で見ようと移動している際に、気付く。

「麻美、足どうした?」

「え?な、何の事?なんでもな―あぅ

「鼻緒ずれ、ですね」

「ゆ、ゆらり~」

「やっぱりか。あ~こんなに赤くして、痛かっただろ?」

「ぜ、全然大した事無いよ、ホラ急ご?」

「麻美ちゃん」 ずいっ

「あ、あはは…」

「スミマセン小波君。これは私のミスです。
 麻美ちゃんが家を出る時に、当然の様にいつものスニーカーで出て行こうとしたのを私が止めなければ…」

「あぁ浴衣の着付けもゆらりがやったんだっけ?」

「麻美ちゃんがやると何度やっても死人の着方になりますからね。
 履き慣れた靴でも謎の靴擦れを起こす麻美ちゃんが、草履なんて履いた日にはどうなるかなんて分かり切った事だったのに…。
 痛恨の極みです。ごめんなさい、麻美ちゃん」

「謝るか馬鹿にするかのどちらかにして欲しい」

「気にするなゆらり。気付かなかったのは俺も同じだ。しかし困ったな。それじゃあもう歩けないだろ
 そうだ、絆創膏か何か持ってないか?」

「あ、私バッグに入れてあるよ。ドジで生傷が絶えないから常に常備してい―

「―たのを、私がうっかり家を出る時に抜き取って置いて来てしまいました」

「何で!?」

607:名無しさん@ピンキー
11/07/29 07:22:13.02 OACEXbr9
「いやだからうっかりですよ麻美ちゃん。麻美ちゃんのドジが移ったようです。てへっ☆」

「そんなうっかりがあるか!棒読みで何言ってるの!」

「ちなみに麻美ちゃん。常に常備っていう日本語はおかしいですよ。まぁ実際備えて無かった訳ですが」

「ゆらりの所為でしょ!」

「という訳で小波君。麻美ちゃんは歩けないのでおんぶしてあげて下さい」

「な、なな何言ってるのゆらり!こ、こんな人の多い所で…あ、汗もかいちゃってるし…」

「教室の中で汗をかく事していた人が今更何を。さぁ小波君」

「その発言には引っ掛かるものがあるが、まぁ仕方無いな。ほら乗れ、麻美」

「だ、だから大丈夫だって!ほらもう行くよ!」 クルッ

ブチッ

「………ぶちっ?」

「見事に鼻緒が切れてますね。ほら麻美ちゃん、これで言い逃れは出来ませんよ」

608:名無しさん@ピンキー
11/07/29 07:45:39.94 OACEXbr9
「しかしタイミング良く切れたな」

「むしろ今迄切れなかったのが不思議な位ですね。麻美ちゃんなら家出る一歩目で切りそうなものですけど」

「うぅ…特注の、特別頑丈なものにして貰ったのに…」

「なるほど、そう言う訳ですか。麻美ちゃんの鍛え抜かれた足に傷が出来た理由は」

「鼻緒が強かったから鼻緒ずれ―ってそりゃ本末転倒だろう」

「実際転倒も何度かしかけてましたけどね。というか、わざわざ特注したものを忘れかけるのもどうかと思いますが」

「そ、そうだ!前に行った夏祭りの時もこんな事になって、ゆらりサンダルを用意しててくれたじゃない?
 今回も持ってるんでしょ?」

「いえ、予備を含め三つ程用意はしてたんですが、家を出る時に忘れてしまいました。
 本当に今日の私はうっかりさんです。てへっ☆」

「もーっ!!!」

「ほら、もう良いだろ。大人しく背中に乗れ、麻美」

「う、うん…」

「そうですよ。そしたら私の絆創膏張ってあげますから」スチャ

「持ってるんじゃない!」

「麻美ちゃんのは置いて来ましたが、私が持ってないとは一言も言ってません」

「うー………。ってそうだ!私、今浴衣だからおんぶされたら足が…」

「あ、そうか。丸見えになっちゃうな」

「別に良いじゃないですか。見せつけてあげましょうよ二つの意味で」

「他人の足だと思って!」

「んーじゃあどうしようか。おんぶが駄目となると…」

「お姫様だっこというのはどうでしょう。和服で合うかは分かりませんが、和洋折衷という事で」

「ゆゆゆゆゆらるっ!何言ってるにょっ!?」

「十年来の友人に名前を間違えられました。ショックです」

609:名無しさん@ピンキー
11/07/29 08:10:59.01 OACEXbr9
「噛んだだけっ!そ、そんなの余計に恥ずかしいじゃないっ!」

「…一応俺は、昨日134球を完投してそこそこ肩と腕は悲鳴あげてるんだが」

「大丈夫ですよ。女の子の体は羽の様に軽いという幻想がありますから。ちなみに麻美ちゃんの今の体重はもがっ」

「ゆらり、世の中には言ってはいけない事ってあると思うんだ」

「暑いからってダラダラしてるんだからそうなるんです」

「何も努力しなくても一切スタイルが変わらないゆらりにだけは言われたくない!」

「変わらない事は無いですよ?増量中です。………胸が」ちらり

「………おぉう」

「小波君!!!」


「…って、いつまでもこんな事言ってても仕方ないな。あらよっと」 ひょい

「ひゃっ!あ、あわわわわ。い、いきなり持ち上げないでよ!」

「言ったって抵抗するだろ。大人しくしてろ」

「も、もぅ………」

「フフフ、やっと素直になりましたね麻美ちゃん。全く、ずっと期待していたくせに~」

「期待なんて………少しはしてたけど」

「はいはい。じゃあ消毒と絆創膏を………!!!」

「ん?ど、どうしたゆらり。そんなかつて無い驚きの表情で」

「あ、麻美ちゃん。そ、そうえばさっきからやけに足をもじもじさせてましたけど、あれは一体?」

「え?だ、だってその、今日は浴衣だし…」

「浴衣だから、何ですか?」

「も、もう何を言わせるのゆらり。浴衣だから、下着を、その……」

「………オーケイ、分かりました麻美ちゃん。もう良いです。それ以上言わないで下さい」

「?」

「お、おいゆらり。まさかとは思うが………(ボソッ)」

「そのまさか、です。いや、日本の文化を大切にする事は素晴らしいと思いますが…(ボソッ)」

「………………ガードは任せたぞ(ボソッ)」

「任されました。小波さんと寸分違わぬスピードで横を歩き続けます(ボソッ)」

「?」


その数秒後に打ち上げ花火が上がり、麻美はそれを見て無邪気にはしゃぐのだが
俺とゆらりは別の所に気を取られて、花火どころじゃなかったのだった。

610:名無しさん@ピンキー
11/07/29 08:18:08.86 OACEXbr9
終わり。
いや、考えながらチンタラ書いてたのは確かだけど、ここまでかかるとは…。
自分の遅筆っぷりに茫然。リアルタイム投下って大変だわ。
会話だけの手抜きでこれとは情けない。
オチもやっつけにも程があるという感じだし。

ただ、ゆらりと麻美書くのは楽しかったです。
ゲームでのノリを再現出来たかは分からないけど、思いの外スラスラ楽しく書けました。
キャラが勝手に動くを久々に体験。
どーせなので、後で地の文付けたverをまとめに投下しておきます。

見てくれた人に感謝。今日も一日頑張ろう。

611:名無しさん@ピンキー
11/07/29 08:32:27.88 EiCNaWXL
朝からGJ!

612:名無しさん@ピンキー
11/07/29 21:41:18.53 GoobqrFW
GJ
やっぱり麻美とゆらりのかけあいはこのテンポが良いな

613:名無しさん@ピンキー
11/07/30 00:20:27.77 vMcHD321
GJ!

614:名無しさん@ピンキー
11/07/30 03:20:33.89 Wr0ajWoL
GJ!かなり笑えたぜ。
即興でここまでの掛け合いを書けるとか凄いなw
この三人の関係性が好きだ。

615:名無しさん@ピンキー
11/07/31 16:11:00.15 1mWexKSo
おお、GJ!
最近また投下が少しずつ増えてきたなあ


616:名無しさん@ピンキー
11/07/31 23:13:55.22 NXQxheyv
なんだか急に勢いが落ちた気がするぜ

617:名無しさん@ピンキー
11/08/01 01:14:59.87 LHIHR63B
定期的に過疎るよね。
このスレでは面白い話題提供者も募集しています。

安価で書いて欲しいキャラの募集でもしようかなぁ

618:名無しさん@ピンキー
11/08/01 01:18:34.85 1I6fKbbK
過疎といっても、エロパロ板基準ではかなりの盛況ぶりなんだがなぁ
エロパロ板基準では……

619:名無しさん@ピンキー
11/08/01 01:19:50.32 qXQbT/av
2011でもいいのかな?

620:名無しさん@ピンキー
11/08/01 01:21:48.82 qGb5D6jG
人がいないって訳でもないんだけどね
まあ、まったりといきましょうや


621:名無しさん@ピンキー
11/08/01 01:26:51.77 qGb5D6jG
ネタに困ったらpixivとかパワポケのイラストサイトとか見てるなあ
アイデアがピンと浮かぶときがある

>>667
本家は本家で別でスレがあるので、そっちで投下したらいいよ
スレリンク(eroparo板)

622:名無しさん@ピンキー
11/08/01 01:30:38.17 LHIHR63B
ほぼ丸二日レス無かったのにどこにいたんだお前達w

ネタはいくらでもあるんだが、それを作品にするのは大変なんだよなぁ
3000字位の短編をコンスタントに二時間位で仕上げたい。

623:名無しさん@ピンキー
11/08/01 01:35:00.04 qXQbT/av
>>669
絵からストーリーってのはよくあるパターンだよね

本家もあったのか、いそいそ

624:名無しさん@ピンキー
11/08/01 01:42:33.98 qpVuiMLs
「ダーリン」呼びが似合う彼女って誰だろう。

625:名無しさん@ピンキー
11/08/01 04:08:13.67 Q6TtlpVr
そりゃ紀香が一番(ry

626:名無しさん@ピンキー
11/08/01 05:29:43.44 G/kNpH7i
>>669
一枚絵から思い浮かぶ時ってあるよね、やっぱ絵の力も凄いと思うわ

・・・作った後作者に本当は礼の一つでも言いたいんだけど、R-18SSだと伝えるのが憚られる
全年齢だったらまだ言えるんだけどさ
>>670
そりゃ1人居ればROMがあと30人はry
>>672
素で言いそうなのはヒヨリンとか奈桜、甘ったるい発言を素でしても臆しない性格だと言いそうな気がする
周りの変なものに影響されて一時的に口走りそうなのは恵理とか漣か


627:名無しさん@ピンキー
11/08/01 12:59:05.74 uIUURpGX
>>672 そんなの決まってるだろ。k…あれ、誰か来たみたいだ。

628:名無しさん@ピンキー
11/08/01 16:47:28.34 qGb5D6jG
ダーリンとか言いそうなのは奈桜かなあ
やっぱりバカップルが似合いそうだし

629:名無しさん@ピンキー
11/08/01 21:54:49.59 OsisR2hN
そういや今日はおっぱいの日らしいね

630:名無しさん@ピンキー
11/08/01 22:35:31.97 6mKxeaOo
801の日と聞いたが

631:名無しさん@ピンキー
11/08/01 23:23:25.98 qGb5D6jG
おっぱいと言ったらみなこさんでしょ

632:名無しさん@ピンキー
11/08/01 23:30:41.54 XHgaZLrI
>>679
だけどみなこさんの作品一つしかないんだよなぁ
自分はあいにく1未プレイだからネタすら思いつかん
魅力的な彼女だから誰か書いてくれると嬉しいけど…

633:名無しさん@ピンキー
11/08/02 00:23:25.99 rNnl3hJf
未プレイなのに魅力的ってわかるの?

634:名無しさん@ピンキー
11/08/02 00:31:07.06 utQIiqVq
>>681
知ったような口利いてすまん
スタイルがいいってのを聞いたことがあっただけ
ストーリーがどんなのかは知らないんだけどねぇ

635:名無しさん@ピンキー
11/08/02 00:33:48.81 FlvRedqD
>>682
パワポケ1を買ういいきっかけじゃないか

636:名無しさん@ピンキー
11/08/02 01:03:05.85 CAwap56A
>>672
「ねーねーダ~リン♪」
「・・・・・・・・・」
「ねー返事してよーダーリン♪」
「・・・・・・武美」
「なぁに? だぁーあぁーりん♪」
「・・・さすがにダーリンってのは、その、なんだ。身体がムズムズ痒くなってくるからやめてくれないか?」
「いいじゃない。こういう風に呼び合うのもロマンだよ!あ、ついでにあたしの事もハニーって言ってみてよ!」
「絶対に断る!」

なんかノリがいい彼女とか意外と似合いそう

637:名無しさん@ピンキー
11/08/02 01:09:03.66 DV67ZIjG
みなこさんは1では貴重なお姉さん担当だった。
あと彼女がくれた広角打法も、当時のパワプロ・パワポケでは最も貴重な特殊能力のひとつだった。
経験点でとれちゃうようになったのはいつからだっけ。

638:名無しさん@ピンキー
11/08/02 02:07:32.08 PYrCJxyt
>>684
「ダーリン」と呼ばれるのは男のロマンなんだよ(キリッ

639:名無しさん@ピンキー
11/08/02 02:08:22.85 R3ZbEW/5
最近のパワプロは流し打ちでも普通に打てちゃうからそうでもないけど、パワポケは相変わらず流し打ちが弱いから広角打法はかなり優秀だよな

あとはパワポケならではの能力ってなんだろ 超特殊はともかくとしてヘッスラもパワポケだとかなり強いんだっけ

640:名無しさん@ピンキー
11/08/02 02:16:11.57 rC0nYYOv
帳尻合わせとかホーム○とかバント処理○とかはパワポケだけだったと思う
本家にこんな特殊能力あったっけ?

641:名無しさん@ピンキー
11/08/02 02:21:24.49 +sKuJfYm
なんかまとめのコメントが荒れてるので管理人さん削除して下さい。
各キャラのページにもたまに沸いてるので、その度消した方が良いかと。

あと、昔の作品がトップに来てると紛らわしいから
誤字を少し直した程度の更新は、トップに来ない様にそてほしい。


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