ファルコムでエロ小説PartⅦat EROPARO
ファルコムでエロ小説PartⅦ - 暇つぶし2ch47:名無しさん@ピンキー
11/04/19 01:11:01.23 arHgJB9t
           /   , -――‐-、\
          /   ./          \ヽ
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          |,...、 ./  "´__`    ´ _`'}
           | i^.ヽ|   ノ 〇ゝ  .; { .ノ.◎ヽ',   
          '、.( .||.     ̄ ノ   '、  ̄  |   
          \__ィ  ::::::  , -(_c、,ィ.)、 :::::|
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    ,,-''´`"'-、\ .\     ` ―-´    \

48:名無しさん@ピンキー
11/04/19 01:13:20.60 lLvKbz0m
AAはキモイのに長期放置されても勝手に保守してくれてるようなもんだから実害0ってのが泣けるな…

49:名無しさん@ピンキー
11/04/20 00:08:09.87 CV0QBV1/
>>17の書き込みした者です
Kメンテ氏、GJ&ごちそうさまでしたー


こちらも投下します

50:ほーむけあ?【1】
11/04/20 00:09:04.84 CV0QBV1/
「おーい、ロイド。大丈夫かー?」
 ランディからの呼びかけに、自室のベッドで寝ていたロイドが上体を起こして、そのままよろめく。
「おいおい、病人が無理すんなよ」
 ランディは慌ててロイドを支えると、そのままベッドへ押し戻した。
 ベッドのスプリングが弾み、疲労と熱で精気の抜けたロイドの顔が枕の上にのっかる。
「すまないランディ……」
 ランディが、脇に転がっていた氷嚢をロイドの額へ載せると、か細い声が返ってきた。
「ティオやエリィは1日で治ったのに……」
「今年の流行り風邪は男が好きなんだろ」
 しょぼくれるロイドに、ランディは軽い調子でフォローを入れる。
「ならランディも危ないんじゃないか……? 俺は今日を入れて3日目も寝込んでいるから……」
「お誘いを受けたいのは山々だけど、ウルスラ間道の手配魔獣倒しにいったついでに、病院で予防注
射ってのを受けてきたからなー」
 ランディは芝居がかった仕草で残念がると、ロイドに向かって瞳を綻ばせた。
「今、下でお嬢が卵雑炊作っているから、それ食って休んでろ。支援要請の方は俺らでちゃんとやっ
とくから」
 ロイドの頭をわしゃわしゃ撫で回して告げると、ランディは一階に戻っていく。
 端末で支援要請の内容をチェックしているティオへ軽く手を振ると、台所の扉を開けた。

51:ほーむけあ?【2】
11/04/20 00:09:51.37 CV0QBV1/
「あ、ランディ!」
 テーブルの方で人数分のサラダを作っていたキーアが、ドアの開く音で顔を持ち上げる。
「ロイドどうだった? 元気でた?」
「相変わらず、熱でふらふらだな」
「そっかー……」
 ランディの報告にキーアが少しだけしゅんとなる。
 一方、コンロの前にいるエリィは、こちらへ振り向く事もせず、コンロにかけた土鍋と向き合い続
けていた。
「……」
 ごとごとごと。コンロの火の上で、土鍋の蓋が音をたててタップダンスを続ける。
「……おい、お嬢。流石にそろそろいいんじゃねーの?」
「え? あ!」
 ランディがエリィの近くに寄って声をかけた途端、エリィが盛大に身動ぎ、反動で手がコンロのス
イッチにぶつかる。
 コンロの火が一瞬だけ膨らみ、土鍋の蓋のタップダンスがブレイクダンスに変わった。
「キャーッ」
 べべぼー、という謎の擬音とエリィの悲鳴が響く中、コンロの火が消え、土鍋の蓋が床に落ちる。
 湯気が消えた後には、紫と碧のマーブル模様がとても鮮やかな卵雑炊が土鍋の中に渦巻いていた。
「……何かしら、これ……」
 エリィがひきつった声で呟く横で、ランディが脂汗流して固まる。
「おい、一体何があった?」
 物音を聞いた課長とティオが遅れて駆けつけ、土鍋の中身に息を呑む。
「……これでロイド、元気になる?」
 唯一、いつもと変わらぬ目で土鍋の卵雑炊を見つめていたキーアが、四人の顔を見回して尋ねる。
が、誰からも答えはこなかった。

52:ほーむけあ?【3】
11/04/20 00:10:09.07 CV0QBV1/

 ※※※

 夜も更け、寝静まった街の空気が不思議な静寂を奏でる中……。
「……はぁ」
 エリィが支援課ビルの階段を降りながらため息をつく。
 脳裏を過ぎるはロイドの姿。流行り風邪による高熱で、起きているのも辛そうな彼の姿。
(……私が休まなければ、ロイドがあんなに苦しむ事はなかったのに……)
 ロイドが倒れる前日、エリィはいつもより身体が熱っぽかった。
 すぐに先日ティオがかかった流行り風邪だと気付いて、早目の養生という事で病欠を申請した。
『大丈夫。今日の支援要請は俺達三人でやってくるから。だからエリィはゆっくり休んでてくれ』
 そう言って、エリィの頭を優しく撫でて微笑んでくれたロイド。その笑顔がいつもよりも翳ってい
るように見えたのは、熱による朦朧からきた勘違いではなく、彼もエリィと同じ症状になっていたか
らだろう。
 そして、一日休んだ自分は回復し、休まず無理したロイドは風邪を悪化させて寝込んでしまった。
 数時間後には四日目になる今も、ロイドの熱は下がらず、ひたすら苦しんでいる。
 せめて栄養のあるものを、と思って作った卵雑炊は、予想外の暗黒卵雑炊≪べべぼー≫になってし
まった。
(ロイドでなく、私が風邪で倒れていれば良かった……!)
 エリィは唇を噛みつつ、一階に着く。
 台所にて氷嚢を造り、それを持ってロイドの部屋へ戻ろうとしたその時、食事やミーティング等で
使っているテーブルに雑誌が置かれているのに気が付いた。
「ランディったら、キーアちゃんも見る場所にこんな物を置いて……」
 紐のような水着を着た女性が扇情的なポーズをとっている表紙にエリィが顔をしかめる。が、表紙
の一角に書かれた文字が目に留まるや、その表情が一変した。
「『疑問100人に聞きました! 風邪の時に効いたホームケア』……?」

53:ほーむけあ?【4】
11/04/20 00:14:30.05 CV0QBV1/

 ※※※

 ふいに意識が浮上する。
 続けてきたのは、全身を炙る熱の感覚。
(まだ下がらないか……)
 眠る前と変わらぬ体調に、ロイドは力なく息を零した。
 こまめに水分をとっているのに身体は汗一つかかず、皮膚はぱさぱさに乾いたまま。意識や視界に
ヴェールが被さっているような曖昧な感覚は、嫌な疲労感を与えてくる。
(早く治さないと……)
 これ以上、皆に―エリィに心配をかけさせないようにしないと……。
 ロイドはもう一度息を零すと、頭から外れている氷嚢を拾おうとして、はたと気付く。
(そっか、エリィが新しいのに取り替えるって持っていったままだったんだ……)
 枕の脇にもサイドチェストにも置いてないのを見ると、まだ戻ってきてないのだろう。
 せめて彼女が帰ってくるまでは起きていようとロイドが決めていたら、扉が開いた。
 ネグリジェに身を包んだエリィが、湯気のたつ桶を抱えて入ってくる。ピンクのシルク生地に白い
レースとリボンをふんだんにあしらったデザインのネグリジェが、動きに合わせてゆったりと揺らぐ
様子は、天使か妖精が羽ばたいているように思えた。

54:ほーむけあ?【5】
11/04/20 00:15:44.65 CV0QBV1/
「ロイド、遅くなってごめんなさい……」
「いや、俺も今まで寝てたから大丈夫だよ」
 申し訳なさそうに目を伏せるエリィに、ロイドは出来る限りの笑顔を浮かべて返すと、彼女の抱え
ている桶を指さした。
「ところで……それは?」
「ロイド、もう三日も身体を洗えてないでしょう? だから……せめて、お湯で濡らしたタオルで身
体を拭いてあげようと思って……」
 ロイドの問いに、エリィがテーブルに桶を置きながら妙に緊張した声で答えてくる。
「え? いやでも……」
 そんな事しなくても大丈夫だよと言いかけ、ロイドは迷う。自分では解らないけど、三日もシャ
ワーを浴びてないのだから臭っているのかもしれない。何より、わざわざ用意してくれた好意を無下
にするのも失礼だ。
「解った……それじゃあ、有り難く使わせて貰うよ」
 ロイドは上体をゆっくりと起こすと、エリィからタオルを受け取ろうと手を差し出す。が、その手
はすれ違い、タオルを持つエリィの手がロイドの頬に触れてきた。
「え、エリィ……?」
 少し焦るロイドを無視して、エリィがお湯で濡らしたタオルでロイドの身体を拭いていく。
 最初は顔。次に首。それから一端タオルをお湯に浸して絞り直すと、上着をめくって腕と胸。彼女
の手が身体の上を優しく滑っていく度、ロイドの中にこそばゆい気持ち良さが広がっていく。
 パールグレーの髪も本人の手の動きに合わせてロイドの身体を優しく撫で回しつつ、シャンプーの
香りを撒いていく。
 ネグリジェで覆われた豊かな胸元も、動きに合わせてゆっさゆっさ揺れていた。

55:ほーむけあ?【6】
11/04/20 00:16:16.72 CV0QBV1/
(まだ風邪のままで良かった……)
 もし体調が回復していたら、速攻で理性が吹き飛んで節操無しに押し倒していた。
 背中まで拭ってくれた後にまた桶へ戻ってタオルをお湯に浸し直しているエリィの後ろ姿を眺めな
がら、ロイドは、風邪と高熱のお陰で元気のない下半身に安堵する。
 ポタポタッ……ポタポタッ……。タオルから絞られたお湯が桶に落ちていく水音が数度響いた後、
エリィが踵を返して戻ってきた。
 掛け布団に彼女の手が触れる。
「……さ、先に……ズボン、脱がしても…………良い?」
 顔を真っ赤にしたエリィの申し出に、ロイドは驚き、思わず生唾を呑み込む。それが頷いている風
に見えたのか、エリィがタオルを脇に置いて掛け布団をめくってきた。
「あ、その……」
 自分で脱げるよと言う暇もなく、エリィの手がロイドのズボンを下げてくる。
(これは、今更自分でやると言うのも失礼だよな……)
 ならせめてエリィの作業が楽になるようにと、ロイドは両手で腰を浮かせた。
 ずりずりっ、ずりずりっと、ズボンが外れ、下半身がトランクス一枚になる。
 エリィは、脱がしたズボンを丁寧に畳んでロイドの足下へ置くと、タオルをとってロイドの両足を
拭き始めた。
 足首から膝、膝から太股。それを左右均等に行うと、エリィは再び桶の方へ戻っていく。
 ちゃぷん、と、タオルがお湯の中へ落ちる水音が響く。
「ありがとう、エリィ。かなりさっぱり出来たよ」
 ロイドはエリィの背中へ向かって礼を述べると、ズボンをはき直そうと足下へ目を向ける。その時、
ポタポタッ……と、タオルを絞る水音が聞こえてきた。

56:ほーむけあ?【7】
11/04/20 00:16:40.26 CV0QBV1/
「え?」
 ロイドがズボンをとるのを中止して振り向くのに合わせて、エリィが絞ったタオルを手に戻ってく
る。
「え、エリィ……?」
 戸惑うロイドにエリィは何も答えず、視線すら合わさない。ただ、その顔は高熱の出ているロイド
よりも赤く染まって、表情も異様に緊張していた。
(ま、まさか……)
 ロイドの頬がひきつるのと同時に、トランクスの裾からタオルを持ったエリィの手が入っていく。
 トランクスが大きく盛り上がったかと思うと、高熱でへたれている男根に濡れタオルが触れてきた。
「……!」
 タオル越しからでも解るエリィの手の心地よさに、ロイドは思わず息を止める。男根も僅かに反応
するが、すぐにまたへたれてくれたのが幸いだった。
 ……と安堵するのは早かった。
 タオルを持ったエリィの手が、睾丸の下から肛門に続く凹み―俗に言う蟻の門渡り。男の肉体の
中でも特に敏感な箇所―へ回り、つつぅっ……と、中指でなぞっていく。
「っ……!」
 痺れにも似た気持ち良さが一瞬で全身を駈け巡り、ロイドはたまらず声を漏らす。
 一方、タオルを持つエリィの手は肛門とお尻の方へ回って、丹念に丁寧に拭ってくる。
「!」
 タオル越しにとはいえエリィの指が尻の合間に潜り込んできた途端、悪寒にも似たくすぐったさが
尾骨から背骨を駆け上がり、一瞬だけ男根が起きかけた。
「え、エリィ……!」
 風邪でなく恥ずかしさで熱が出てきたロイドがたまらず声をあげると、今まで俯いていたエリィが
顔をあげてくる。
 真っ赤に染まった顔は緊張でガチガチに強ばり、緑耀石色の瞳に満ちる心細そうな光は今にも涙に
変わりそう。
「ロイド……やっぱり嫌……?」
 形の良い桜色の唇を震わせながら問われると、ロイドはもう何も言えなかった。

57:ほーむけあ?【8】
11/04/20 00:17:45.38 CV0QBV1/
 タオルを持つエリィの手がトランクスから抜け出る。ロイドにとって今まで一番長く感じた時間が
終わる。
(こ、これで今度こそ終わった……んだよな……)
 助かったと思う気持ちと、こんな恥ずかしい事をさせて申し訳ないという気持ちと、もっと続けて
欲しかった……という欲求。それらが高熱で弱っている頭の中でしっちゃかめっちゃかに混ざり合っ
て、ロイドの頭はパニックを起こしていた。
「大丈夫、ロイド……?」
 ベッドに引っ繰り返って目を回していたロイドに、エリィの声がかかる。
 それで少しだけ我に返ったロイドが声のした方へ顔を向けると、白百合のように滑らかな肌と、珊
瑚色した小さな乳首が視界に飛び込んできた。
 ワンテンポ遅れて、全体の映像―生まれたままの姿になったエリィが、恥ずかしそうに顔を赤く
してベッドに膝を付いて乗っている様子―が脳に届く。
「? !??!!?」
 再びパニックに陥るロイド。気が付けば、着ていた上着もトランクスも脱がされていて、ベッドの
片隅に畳まれていた。
「ロイド、もし嫌ならいって……すぐに止めるから」
 顔を真っ赤に染めたエリィが、今にも消え入りそうな声で告げてくる。
「な……」
 何を? と、ロイドが問うより先に、エリィが顔を落とした。
 パールグレーの髪の毛が揺らぎ、ロイドの腰の周りに流れ落ちていく。
 高熱で未だへたれ続けている男根に吐息がかかったかと思うと、エリィの桜色の唇が触れた。

58:ほーむけあ?【9】
11/04/20 00:18:09.97 CV0QBV1/
「―?!!!」
 ロイドが大きく息を呑む中、エリィがロイドの男根を咥えてくる。唇の柔らかな感触をくぐったか
と思うと、舌のざらっとした表面が先端から竿の裏筋を舐めてきた。
「ふっ……ん、っ……」
 声を小さく漏らしながら、エリィの口がモゴモゴ動く。口の中がじわあぁっと暖かくなって、男根
に熱い唾が降り注がれていく。それが男根全体に満遍なくまぶされた後に、エリィが顔をひいた。
 男根と舌先の間で唾が糸を引いて垂れる中、エリィがロイドの股の上でうつ伏せになる。そして、
豊かな乳房で男根を挟んで包み込むと、そのまま前後に身体を揺すり始めた。
 凜とした直線を描く胸の谷間が、ロイドの男根の形に沿って幅を広げ形を歪める。
 なすりつけられた唾をローション代わりに、エリィの乳房がロイドの男根を先端から竿の根元まで
丹念に擦っていく。その感触は、手で乳房を揉んだ時よりも優しくて柔らかくて気持ち良くて、男根
と腰と脳髄を繋ぐ神経を直に激しく揺さぶってくる。
(まっ、まさかこれは夢の中か!?)
 ずっと高熱にうなされたせいで、こんな幻影を見ているのか!?
 目の前の光景に……前に一度だけせがんだら思い切り睨まれて却下された行為が起きている状況に、
ロイドの頭は更なるパニックを起こす。
(でっ、でもその割にはリアルすぎて……気持ち良い……!)
 胸の谷間から突き出た鈴口を舌先でちろっと舐められ、ロイドは思わず声を漏らして仰け反る。
「っく……!」
 快楽で腰がびりびり痺れる中、ロイドは願う。
(頼む……夢なら醒めないでくれ)
 下腹部に熱と血が膨らみ、今まで高熱でへたっていた男根が少しずつ起き始めていた。

59:ほーむけあ?【10】
11/04/20 00:20:47.43 CV0QBV1/
 胸で抱き締めたロイドの男根の感触が変わる。
(ロイドの……大きくなってきてる……)
 乳房の中から突き出ては潜る男根に視線を落とし、その先端が膨らみ始めているのを見て取ると、
エリィは恥ずかしさで頭がかーっと熱くなってきた。
(やっぱり……男の人にはこういうのが有効なの……!?)
 一階で見つけたあの雑誌を自室にこっそり持ち帰って、件の記事を読んだ時は、恥ずかしさの余り
悲鳴をあげかけた。
 でも。
 自分のせいでロイドの風邪が悪化したという負い目と、高熱で苦しんでいるロイドに何かしてあげ
たいという想いと、彼の為の卵雑炊を暗黒卵雑炊≪べべぼー≫にしてしまった自責の念が、エリィに
迷わせた。もしかしたら本当にこれが風邪に有効なのかも……と囁いてきた。
 そして。
 長い長い葛藤の果てに、半信半疑……というより九割方疑いながら試した結果、ロイドの肉体が反
応している。長く続く高熱で削げ落ちていた気力が、彼の元へ少しずつ戻ってきている。
 ならば。
 自分が行うべき事は一つ。
(これでロイドが気持ち良くなって、風邪が治るのならば……!)
 医学の知識もないし、卵雑炊を暗黒卵雑炊≪べべぼー≫にしてしまうような自分が出来る事ならば……!
 今すぐ逃げ出したくなる程の恥ずかしさと緊張から必死に耐えつつ、エリィは唇を開くと、胸の谷
間から突き出たロイドの亀頭を優しく呑み込んだ。

60:ほーむけあ?【11】
11/04/20 00:22:46.18 CV0QBV1/
 おそるおそる、ぎこちなく、亀頭と竿の境目にある筋を舌で左右に這わせつつ時折上下へ弾くよう
に舐め上げる。同時に、身体を前後に揺するのを止め、竿へ与える刺激を左右からの圧迫と解放に変
える。
「……、……!」
 頭上から聞こえてくるロイドの呼吸が荒くなるのに合わせて、口と乳房で抱き締めた彼の男根が熱
を増して更に大きくなる。
 亀頭を支える格好で密着している舌の上に先走りの熱い滴が垂れてきたかと思うと、塩気のある苦
味がエリィの口の中に広がってきた。
(ぁ……)
 先走りの滴の熱がエリィの心を包み込む。身体の芯もふわりと軽くなったような気がしたかと思う
と、花弁がピクッとしゃくりあげる。
(やだ……私も、ロイドので感じて……気持ち良くなってる……)
 股にオイルを塗られたような感触―花弁が愛液を垂らし始めた兆候に、エリィは恥ずかしくなっ
て目を伏せる。
 両手で竿を挟み込んでいる乳房もしっとりと汗をかき、珊瑚色の乳首が固く盛り上がってきていた。
「ん……ふっ、ん……っ……」
 鼻から悩ましげな声を漏らしつつエリィは動く。舌を這わせ、乳房で圧し、彼の男根へ惜しみなく
奉仕を続ける。
 心を包む熱は濃度を増し、緊張と恥ずかしさを溶かしていく。
 止まっていた身体が再び前後に揺れ始め、徐々に動きの幅が大きくなっていく。
 ぎこちなかった舌や唇の動きも滑らかにそして大胆になって、じゅぱっ、ぎゅぷっ、と音をたてて
いく。
 乳房を押さえている指の隙間からは、珊瑚色の乳首がぴんと尖って飛び出した。

61:ほーむけあ?【12】
11/04/20 00:23:30.93 CV0QBV1/
「え、エリィ……! だめだ、離れ、て……!」
 パールグレーの髪を振り乱しながら動いていたエリィに、ロイドの切迫した声が届く。
(ロイド……気持ち良い?)
 エリィは身体を揺らしたまま視線をロイドの方へ上げて微笑むと、口に咥えた男根を、ぢぅぅっ…
…! と、音をたてて吸い上げた。
「……!!」
 ロイドが頤を逸らして身体を震わせる様子に、ほんの少し嗜虐心を覚えつつ、エリィは舌先でカリ
の裏筋を舐め回す。同時に、口の中から涎を出すと、男根全体に満遍なくまぶす。
 べっとりと塗られた唾によって、乳房で竿を擦る動きが滑らかになる。
 男根がぴくんっと揺らぎ、竿の表面に血管が幾つも浮き出てくる。
 その変化が嬉しくて面白くて、エリィが我を忘れて夢中になっていると、ロイドが大きく呻いて腰
をひいた。
 ずりゅ! と、エリィの唇からロイドの男根が逃げ出す。
「ぁ……!」
 乳房の中に潜り込んだ男根を追いかけようとエリィが首を伸ばした刹那。胸の谷間の中心、心臓の
すぐ上で、どくどくどくっ! と、大きな脈動が走った。
 地下水が噴き出すかの如く、エリィの胸の谷間から白濁液が迸る。
「―っ!?」
 驚くエリィの頬に、口に、胸元に、熱い欲望の飛沫は容赦なく飛び散って降り注いできた。

62:ほーむけあ?【13】
11/04/20 00:24:22.97 CV0QBV1/
「ご、ごめん……!」
「ううん、いいの。気にしないで」
 汗だくで息も絶え絶えに謝ってくるロイドに、エリィは静かに首を振る。その頬や顎先や髪の毛で
は精液の白い礫が線をひいて伸び、乳房と乳房の間では大量の精液が蜘蛛の巣みたいに張っていた。
「これでロイドが元気になってくれたのなら、私は平気よ」
 それに。
(私もどきどきしちゃったし……)
 いつもはコンドーム一枚隔てて起きる射精を間近に感じて、エリィの身体の芯は否応なく火照る。
花弁も切なそうに引きつけを起こし、愛液をだらしなく垂らす。
(男の人って、こんな風に激しく出すのね……)
 乳房と乳房を糊付けしそうな勢いでねばついている精液をしばし眺めた後、エリィは口元の近くに
ついていた精液を指で拭って舐めた。
 ワンテンポ遅れて、エリィが、あ、と我に返る。
「やだ、私ったら……!」
 急に恥ずかしいという気持ちが返ってきて、エリィは思わず身体を縮めて照れ臭そうに微笑む。
 次の瞬間、ロイドの中で特大の雷鳴と時の結界が砕け散る音が轟き、それに叩き起こされるように
男根が天を仰いだ。

63:ほーむけあ?【10】
11/04/20 00:25:49.61 CV0QBV1/
「あっ……!」
 エリィが口元に手をあてて息を呑む。
「ロイドの……また元気になってる……!?」
 緑耀石色の瞳が嬉しさに輝く。自分がどれだけ強烈なストライクベルを打ち込んだのかとんと知ら
ず、ただただ純粋に、ロイドを元気にさせる事が出来たという喜びで胸を一杯にする。
(やっぱり……こうする事でロイドの風邪も治ってくれるのかしら……?)
 この疑問がエリィの頭を過ぎった丁度その時、まるで応えるかのように男根がぐっと力を増した。
(ぁ……)
 先走りの滴の味を思い出し、エリィの胸が一段と高鳴る。
「……ねぇロイド……」
 身体の火照りが、切なげに揺れて愛液を零す花弁が、エリィの心から躊躇いや羞恥を消していく。
普段だったらとても恥ずかしくて言えない言葉を、唇から紡がせる。
「……今度は……私も一緒に……気持ち良くなっても、いい?」
 上目遣いで問うたエリィに、ロイドが一瞬硬直した後、首がもげそうな勢いで何度も頷いてきた。

64:名無しさん@ピンキー
11/04/20 00:27:07.42 CV0QBV1/
すいません、>>63の番号間違えましたorz
【10】ではなく【14】です

65:ほーむけあ?【15】
11/04/20 00:28:23.97 CV0QBV1/


 ベッドのスプリングがたわみ、枕元に置かれていたコンドームの小箱がこてんと倒れる。
「ふぁあっ……んん……!」
 ベッドに寝転がったロイドの上にエリィが跨り、ゆっくりと腰を落としながら背中を大きく逸らす。
大きく咲き開いた花弁の中へコンドームを被ってそそり立つ男根をゆっくりと受け入れながら、パー
ルグレーの髪と豊かな乳房を悩ましげに揺らす。
 じゅぶっ……じゅぶぶっ……と、結合した隙間から泡立つ水音が響き、垂れた愛液が二人の茂みを
しっとりと濡らしていく。
「ふっ……ん、ぁっ……ふぅっ……!」
 ロイドのを根元まで呑み込み、互いの股を密着させた後、エリィは再び身体を浮かせた。
 が、途中で腰を重力に絡め取られて引きずり下ろされる。竿の途中まで見えていた男根が、ずぶぶ
ぶっ……と、蜜壷の中へ潜り込んでいく。
(動くのって……こんなに大変だったのね……)
 肉壁を駆け上がっていく男根の摩擦に震えながら、エリィは、いつもロイドのリードに身を委ねる
だけだった事を申し訳なく思っていた。
「エリィ……やっぱり俺が動くよ」
 辛そうに身体を上下させるエリィに、ロイドがいたたまれず体勢を変えようとする。
「だめぇ……ロイドは病人なんだから、休んでなきゃ……!」
 エリィがいやいやするように首を振って、手でロイドを抑える。
(その病人に、こういう事をするのはいいのか……?)
 そんな突っ込みがロイドの頭に過ぎったが、すぐに彼女と一つになった気持ち良さで押し流される。
代わりに、右手が自然とエリィの方へ伸びて、愛液の蜜を零しながら上下している花弁を指で勢いよ
く薙いだ。

66:ほーむけあ?【16】
11/04/20 00:30:39.10 CV0QBV1/
「きゃっ―!」
 エリィが短い悲鳴をあげて身体を竦める。豊かな乳房も小刻みに揺れ、そのリズムに合わせて蜜壷
も震える。
「ろい、どぉ……」
 少し怒った風に頬を膨らませながら、エリィがジト目で見つめてくる。
「これ位なら、動いてもいいだろ?」
 ロイドはにこっと笑い返すと、彼女の豊かな乳房へ左手を伸ばした。
 エリィが腰を浮かして逃げるより先に、ロイドの左手が乳房を捕まえ、指で乳首をこね上げる。
「やっ―! あ、ああっ!」
 びくんっ! と、エリィが上体を揺らして嬌声をあげたかと思うと、花弁から愛液が一気に零れ出
てきた。

67:ほーむけあ?【17】
11/04/20 00:30:59.96 CV0QBV1/
 降り注ぐ愛液の雨を浴びて、ロイドの腰が自然と上がる。掴んだ乳首と花弁といじくりながら、ぎ
っし、ぎっし、とベッドを揺らす。
「だ、だ、め……ロイドはやすんでな、きゃっ……あぁっ!」
 エリィがロイドを止めようとするものの、蜜壷と花弁と乳首の三点を同時に責められては、堪えき
れず喘ぎ仰け反るしか出来ない。
「あっ、んっ、っふ、あ、あぁっ……!」
 緑耀石色の瞳は快楽に濡れ、溢れ出た分は目端に涙の粒となって浮かぶ。
 暖かみのある白い肌はじっとりと汗をかき、身体にこびりついていた精液を下へ向かって流し始め
る。
 ロイドの男根を呑み込んだ花弁と蜜壷は絶えず愛液を迸り、彼女の嬌声が大きくなる時に合わせて
振動のような痙攣を起こす。
 そんな彼女の変化をロイドが楽しんでいたら、
「んっ……ぅ、んんっ!」
 何度目かの痙攣と同時に、エリィがロイドの方にしなだれかかってきた。
 ぐっ、と蜜壷の角度が変わる。亀頭が肉壁にめり込むように擦りあげられ、竿がぎゅっと絞られる。
(―! しまっ……!)
 不意討ちの快楽にロイドは慌てて堪えようとする。が、エリィの豊かな乳房が胸にぶつかってきて、
その柔らかさに意識が囚われる。
 結果、抑える所か更なる刺激を貰ったロイドの身体は、本能のままに男根を暴発させた。
「あ……あぁ、あっ……!!」
 お腹の中でびゅくびゅくと脈打つ射精の感覚に、エリィが口端から涎を垂らしながら震える。たわ
わに実った豊かな乳房と、その先端で尖る乳首を、ロイドの身体に擦りつけながら。
 ロイドは乳首をいじくっていた左手をエリィの背中に回すと、間近に迫った桜色の唇に吸い付いた。

68:ほーむけあ?【18】
11/04/20 00:31:50.09 CV0QBV1/
 ちゅぱっ、じゅっ、じゅぶぶっ。蜜壷と男根が奏でていた音色に競うように、唇が淫卑な水音を奏
でていく。
「んっ、あ、あふっ、ん、ふっ、ぅんっ……」
 エリィがうっとりとした表情を浮かべて瞳を閉じ、塞がれた唇の隙間から悩ましげな嬌声を漏らし
て乳房と尻を揺らす。
 そんなエリィへ、ロイドは射精で震える腰をぎゅっと密着させたまま、桜色の唇を啄み吸いつき、
歯を舐め回し、悶えて揺れる舌に己の舌を絡めていく。さりげなく、右手を枕元にあるコンドームの
小箱へそっと伸ばしながら。
 やがて、ロイドの男根が全てを吐き出し終え、一気飲みした後の人間みたいに蜜壷からきゅぽっと
飛び出してくる。
 後を追って花弁から愛液が滴り落ちていく中、ロイドは身体を横転させ、エリィの身体を隣にそっ
と寝かせた。
「はぁっ……はふぅっ……ふぅっ……」
 エリィがベッドの上にうつ伏せになり、深呼吸を繰り返す。少し気怠げな表情を浮かべた顔は赤く
染まり、快楽が燻って輝く瞳は涙をうっすら浮かべていた。
「ろいど……元気に、なった?」
「ああ。ありがとう、エリィ」
 少し不安げな声で伺ってくるエリィに、ロイドは力強く頷く。実際、ここ3日間体内に居座ってい
た熱は今の行為で汗となって全て吹き出て、意識や感覚もクリアになっていた。
「良かった……」
 ロイドの表情に精気が戻ってきたのを見て、エリィが嬉しそうに安堵していた時。
「だから今度は、俺がエリィを気持ちよくさせるよ」
 嫌に爽やかな声と共に、ロイドがエリィの上に乗っかってきた。

69:ほーむけあ?【19】
11/04/20 00:33:12.52 CV0QBV1/
「えっ……!?」
 焦るエリィに構わず、ロイドはうつ伏せになっている彼女の腰を両手で高く持ち上げる。
 卵の表面のように滑らかで形の良いエリィのお尻が、ぷるんっ、と瑞々しく弾んだ。
「ちょ、ちょっと待って……だってまだしたばかりでしょ……!?」
 泡食いながらエリィがロイドの方を振り向くと、いつの間にか新しいコンドームを装着した男根が
元気一杯そそり起っている。
 その上、彼の全身から炎にも似た闘気がうっすらと立ち上がっているようにも見えた。
「エリィ。俺だけ先に気持ち良くなってしまってすまない。今度はちゃんと君も気持ち良くなるまで
頑張るから」
 驚きで顔が青ざめるエリィに、ロイドは燃え上がる心のままに告げると、未だ愛液の止まらない花
弁に亀頭をくつけた。
 花弁が咀嚼するかのように揺れたかと思うと、すぐにロイドの男根を呑み込んでいく。
「あぁっ!!」
 クールダウンしかけていた肉体が再び火照る感触にエリィがたまらず仰け反る中、ロイドは根元ま
で蜜壷へ挿し入れていた。

70:ほーむけあ?【20】
11/04/20 00:33:36.33 CV0QBV1/
 ロイドの腰がぶつかって、エリィのお尻がきゅっと締まる。
 ぱしん、ぱしんっ、と、肉同士の叩き合う音がリズムにのって響き始める。
「あ! あぁっ、ん、ふぅあっ、あ、ああっ!」
 蜜壷を容赦なく抉られ開かれ貫かれ、エリィが全身をわななかせる。目の奥で閃光がチカチカ瞬き、
下腹部には爆ぜるような引きつけが何度もくる。
 ベッドにくつけたままの乳房はロイドの動きのままに前後し、両手はすがるようにシーツを握りし
める。
 高く掲げられたお尻は弾み揺れ、その下、男根を呑み込んだ花弁は壊れた蛇口のように愛液を細く
長く滴らせていた。
「あぅっ、んっ、んんっ! あぁあっ!!」
 嬌声あげて震えるエリィの後ろ姿を眺めながら、ロイドは、右手を彼女のお尻の隙間に滑り込ませ
る。そして、お尻の中心に潜り込むように隠れていたエリィの菊花を親指の腹で軽く揉んだ。
「!」
 エリィが背中を大きく仰け反らせると同時に、色素が少し沈着した小さな蕾が驚いたように縮こま
る。
 男根を咥えた蜜壷も大きく揺らぎ、極上の快楽をロイドの下半身に伝えてきた。
「やっ……だ、だめ、おねがい……」
 涙声で懇願するエリィの耳元へロイドは顔を寄せ、耳の穴をそっと舐め上げる。
「ひゃぅん!」
 エリィが子犬のような悲鳴をあげたかと思うと、上体をがくがくっと揺らして悶えた。
「エリィ、ありがとう。……愛しているよ」
 嬌声あげて悶えるエリィへ優しく囁くと、ロイドは腰を振る動きに力を込める。
 一段と大きく揺れ動くベッドのスプリングが、めきょっ、と、奇妙な音をたてて軋んだ。

71:ほーむけあ?【21】
11/04/20 00:35:12.59 CV0QBV1/

 ※※※

 夜闇を朝焼けの光が追い払っていく。
 窓から差し込む陽光と小鳥たちの囀りが爽やかな雰囲気を広げていく中、一階の共有スペースのあ
ちこちをランディがごそごそ動き回っていた。
「おはよう、ランディ。どうしたんだい?」
「いやー、昨夜うっかりここに雑誌置いたまま寝ちまって……」
 後ろから問いかけてきた声にランディは普通に返した後、はっと振り返る。
「ロイド! もう大丈夫なのか!?」
 驚くランディに、いつものジャンパーとアーミーパンツに身を包んだロイドは笑顔で頷いた。
「ランディさん、朝食当番でもないのに先に降りてどうしたんですか……ってロイドさん!?」
 階段を降りてきたティオもロイドの姿を見て目を丸くする。
「ティオも心配させてすまない。今日からまた頑張らせて貰うよ」
 ロイドの言葉に、ティオがほっと安堵するように表情を和らげた。
「それならいいが……お前、少しやつれてないか?」
「まぁ3日間寝ていたからね。体力も落ちているんだと思うよ」
 じっと顔を見つめてくるランディに、ロイドは当たり障りのない返答を返す。……コンドームのス
トックが無くなるまでエリィとやりまくった疲労からかもとは口が裂けても言えなかった。

72:ほーむけあ?【22】
11/04/20 00:35:50.68 CV0QBV1/
「ところで、ランディはどうしたんだい?」
「いやぁ、昨夜うっかり雑誌をここに忘れたまんま寝ちまってなぁ。キー坊が起きてくるまでに回収
しとかないと、お嬢やティオすけにコールドゲヘナを落とされるかもしれん」
 ランディが少し顔を青ざめる。
「……今までも、キーアの前で何度か読んでいるのに?」
「いや、いつものじゃねぇんだ。もっとこう……過激すぎて購入の際に年齢確認されるレベルのシロ
モンだ」
「……何でそんなのをここに忘れていくんだよ」
 呆れてため息が出るロイド。
「ランディさん。その雑誌をキーアが先に見つけたら、クリムゾンレイもおまけします」
 やり取りを聞いていたティオが冷たい笑顔をランディへ贈ると、朝食を作りに台所へ入っていった。
「ちょ!? そりゃねぇよティオすけ~……」
 パタンッ、と無情に閉まる台所のドアへランディが力なく手を伸ばして嘆く。
「畜生、あんな特集記事を見つけなきゃこんな事には……」
 ぼやくランディに、ロイドが、? と、首を傾げた。
「いやさ、風邪引いたときに効いたホームケアについてのアンケートが載ってたんだよ。……全く参
考にならなかったけどな!」
 ランディが、後半の台詞に思い切り力を込める。
「? 何でまた?」
「そりゃお前、過激すぎる雑誌に載ってるような記事だぞ? エロネタでしかないに決まっているだ
ろーがっ! そんなもん、俺がやれるか!!」
 言い切った後で内容を思い出したのか、ランディがぶるっと身体を震わせた。
「そ、それは確かに勘弁してくれ……」
 ロイドも思わず顔を引きつらせて呻いた瞬間、頭の中で何かがピンと繋がった。

73:ほーむけあ?【23】
11/04/20 00:36:13.34 CV0QBV1/
(あ……)
 男根に、エリィに乳房で包まれた時の感触が蘇ってくる。
(そうか、昨夜のエリィの行動は、ランディが捜している雑誌からきていたのか……)
 頭の一角で燻っていた疑問が氷解していく中、ロイドはそっと唇を綻ばせる。
(ありがとう、エリィ)
 この場にいない彼女へ心の中で礼を述べると、ロイドは雑誌の探索に戻っていたランディに声をか
けた。
「ランディがそこまで捜しているのに見つからないって事はさ、別の場所に忘れたんじゃないか?」
「……んー、そうかもしれんなぁ」
 少し納得いかない表情をしながらも、ランディは捜すのを止めて背伸びする。
「あ、そうだランディ。今まで風邪で休んでたお詫びに、今度の報告書作成は俺がやるよ」
「? お詫びとは随分大げさだな。まぁ俺としちゃ有り難いが」
「そうかな? 俺としては感謝の気持ちを表しただけなんだけど」
 訝るランディにロイドは曖昧に笑い返すと、ティオの手伝いをしに台所へ向かった。

74:保管庫”管理”人様へ、6-404で保管お願いします
11/04/20 00:39:02.81 CV0QBV1/
以上です
皆様の、心のストライクベル&バーニングハートに少しでもなれば幸いです

75:名無しさん@ピンキー
11/04/20 00:40:34.69 ZjfmN/VD
乙々

76:名無しさん@ピンキー
11/04/20 01:09:17.87 OTIZQYkx
GJ

77:名無しさん@ピンキー
11/04/20 03:21:34.15 8fsmHVh1
           /   , -――‐-、\
          /   ./          \ヽ
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          |,...、 ./  "´__`    ´ _`'}
           | i^.ヽ|   ノ 〇ゝ  .; { .ノ.◎ヽ',   
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          \__ィ  ::::::  , -(_c、,ィ.)、 :::::|
            || |   /ィく_ ,. -┴'- 、_>、 /
           .|. '、    ヽヾl工l工lア/./
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    ,,-''´`"'-、\ .\     ` ―-´    \


78:名無しさん@ピンキー
11/04/20 03:23:44.13 8fsmHVh1
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          /   ./          \ヽ
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79:名無しさん@ピンキー
11/04/20 03:28:06.44 8fsmHVh1

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iiiiiiiii《《《《《《《《    《《 \ ̄ ̄/ 》》   |iiiiiiiiiii|   
iiiiiiiiiiii《《《《《《《《《《《 》》   ̄ ̄  《《 》》》》》iiiii|   


80:名無しさん@ピンキー
11/04/20 04:40:00.91 8fsmHVh1
           /   , -――‐-、\
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          '、.( .||.     ̄ ノ   '、  ̄  |   
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           .|. '、    ヽヾl工l工lア/./

81:名無しさん@ピンキー
11/04/20 04:41:47.32 8fsmHVh1
           /   , -――‐-、\
          /   ./          \ヽ
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82:名無しさん@ピンキー
11/04/20 09:05:42.32 kuH6IUIL
GJです。
ロイエリかわいいよロイエリ

83:名無しさん@ピンキー
11/04/20 21:03:11.33 8fsmHVh1
/ , -――‐-、\
/ ./ \ヽ
,' | 'Y
| ./ ,,;;;;;,,, ,,;;;;,,,'、
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| i^.ヽ| ノ◎ ゝ .; { .ノ.-.◎●ヽ',
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|| | /ィく_ ,. -┴'- 、_>、 /
.|. '、 ヽヾl工l工lア/./


84:名無しさん@ピンキー
11/04/20 21:35:22.57 JsNEjPfo
フィーナカワユス

85:名無しさん@ピンキー
11/04/21 13:54:26.96 7EHltYco
イリーシャもロイエリもGJです

86:名無しさん@ピンキー
11/04/21 14:11:59.83 v3yaTk0i
まさかエリィさんのパイズリを見れるとは思わなかった。
エリィさんみたいな人が初初しくパイズリしてるのって良いよね。

87:名無しさん@ピンキー
11/04/21 23:36:34.59 bl8dTE5+
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/ ./ \ヽ
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.|. '、 ヽヾl工l工lア/./


88:名無しさん@ピンキー
11/04/21 23:39:20.41 bl8dTE5+
          /   , -――‐-、\
          /   ./          \ヽ
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           | i^.ヽ|   ノ◎ ゝ  .; { .    ヽ  
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           .|. '、    ヽヾl工l工lア/./


89:名無しさん@ピンキー
11/04/28 17:21:20.85 7/A6o8jm
エリィは89か…

90:名無しさん@ピンキー
11/04/28 18:51:42.78 KQV+c1AW
納得の数値だね。
ノエルは84から86くらいかな

91:名無しさん@ピンキー
11/04/30 15:14:19.10 T/D60pYb
     /    ,  '        }, ‐ ' .i、,, ... ..,,/ |::::://:从
 /「⌒ヘ--‐ '´     _ -‐ '´ |:::::::::::::ト、`'' ─   ノ:::::::ノ丿|
{:|::::::!:::::::::}    ,. - ' ´  ,/:::∥|:::::::::::::ト、`'' ─   ノ:::::::ノ丿|》 '' ‐-、
L|:::::|::::::::/  /      //゛∥人ミヽ、:|、  ,ィ─、 ノ|:::ィ─‐‐、     ヽ
 7:::!::::::厶イ       人 〃 {三ミミ:从   l;;;;;;;;;;;;} ノ{;;;;;;;;;r-、}     |
../::/:::::∧f´         | Y/  |ミミ三三ゝ ヽ;;;;r‐、}从ヽ;;;;;{  \     |
/!:::|::::::{ア        、 !|   |ミミ三三三}  `ー\\彡 ̄ \

92:名無しさん@ピンキー
11/05/01 21:26:39.24 RZl2nDd/
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| ./ ,,;;;;;,,, ,,;;;;,,,'、
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| i^.ヽ| ノ◎ ゝ .; { .◎
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.|. '、 ヽヾl工l工lア/./

93:名無しさん@ピンキー
11/05/01 23:56:40.74 2qyeoB83
>>74の人のロイエリ愛は凄いなと常々感心させられる

94:名無しさん@ピンキー
11/05/02 04:56:27.41 EYOJROJR
PS版(PSPではなく)朱紅を現在再プレイ中。
初プレイ時はアヴィンを貧弱黒魔導師にしてしまって序盤で死にまくったり
あと基本的に女だらけのパーティにしてうまやらしい旅だったな。

いま再プレイで宝石のバイトと城に通してもらって王女の身ぐるみ剥いだところ。

95:名無しさん@ピンキー
11/05/02 09:49:37.93 KT0dx36Y
>>94
同感。
次はア○ルセックスを希望しま(殴

96:名無しさん@ピンキー
11/05/03 10:16:46.98 Jvy8iYmq
>>94
旧・朱紅ってメイン以外のキャラ空気じゃね?
あまり本筋に絡んでこないし。
いや、そのぶん空想の余地があるのか?

97:名無しさん@ピンキー
11/05/03 19:37:42.26 24teo5ST
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| i^.ヽ| ノ◎ ゝ .; { .◎
 7:::!::::::厶イ       人 〃 {三ミミ:从   l;;;;;;;;;;;;} ノ{;;;;;;;;;r-、}     |
../::/:::::∧f´ .l゙|._'ノ__◎ノ〉⌒{ ヽ__◎\ヽ_/|/ノi }
 
     .l゙|._'ノ__◎ノ〉⌒{ ヽ__◎\ヽ_/|/ノi }
      .l゙|._'ノ__◎ノ〉⌒{ ヽ__◎\ヽ_/|/ノi }         | Y/  |ミミ三三ゝ ヽ;;;;r‐、}从ヽ;;;;;{  \     |
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.|. '、 ヽヾl工l工lア/./


98:ニ…何も言えない。』 『え、エリィ…。』 「そう、たっぷりとね。たっぷりと…。」 侵入者の笑い声は、夕闇に煙のように四散し、魔都を冠する街に相応しい演出を与えた。 満足そうにイヤホンを外すと、手袋をしめなおし、立ち上がる。 「だから今日も、僕を支えておくれ。愛しいマニーニ。彼の分まで僕が、君を幸せにするから。」 手にしていた懐中電灯を消すと、彼の姿は街並が織り成す黒の凹凸に混じり、消失した。 *** 「こいつはいったいどういうことだ?今日で四日目だぜ。」 「小規模なテロのような件数になってきてますね。しかも、例の噂はもう、街中の話題です。」 「アロネのお嬢さんの件もあるってのに。ったく、こんなツラじゃとうぶん“潤いちゃん”と遊べねえな。」 特務支援課の朝は、いつもと違っていた。深夜に及ぶ仕事が続いたせいか、全員目がくぼみ、黒ずんでいる。 「何でこうも俺達ばっかり引っ掻き回されなきゃならんのかね。とんだとばっちりだぜ。」 「ランディ…。」 「あ…わり。今のナシな。」 「いや、言ってることは間違ってないけどさ…。それについては悪く思ってるよ。原因は俺にあるのは確かなんだし。」 「…。」 日ごと傾き続ける雰囲気に、キーアもいつもの元気はなく、まるで暗がりに押し込まれたように身をすくめている。



99:共に歩みぬく意志
11/05/09 23:50:54.22 1V21ERzO
「まあ仮に、ロイドの悪戯だとしたら、クロスベル一タフな男…タイムズの記事も間違っちゃいないな。警察と怪盗の二役を見事に、ってよ。」
「どういう意味だ?」
「あ?いや、だとしたら不眠不休で、タフな上に役者だろって話で。」
「どこまで本気なんだって聞いてるんだ。」
「おいおい…おいおい!何ムキになってんだ。冗談だよ冗談。」
「冗談でも時と場合を考えてくれよ。笑えないよ。」
「ちょっと待て、そんな時と場合の原因はロイド、お前がひっぱってきたんじゃないのかよ。何イラついてんだよ。」
「大体俺は毎晩キーアと一緒なんだ。仮もなにもないじゃないか。」

男二人の鋭い応酬に、一同が静まり返る。
ただならぬ雰囲気にオロオロするアロネの正面で、キーアがおそるおそる口をひらいた。

「で、でも…。」

キーアがロイドのほうを見上げる。

「どうしました?キーア。」
「ロイド、いつも夜になると、ベッドからおりてどこかにいってたよ…?」

はっと、ロイドが顔を上げる。ランディが鋭利な瞳をロイドに突きつけた。

「聞き捨てならねえな。説明してもらおうか。リーダーさんよ。」
「どういうことなの?ロイド。」
「いや、それは違うんだ。それは…。」
「み、みなさん、どうか落ち着いて。ロイド様があんな姑息で卑劣な事をするはずありませんわ。そうでしょう?」

一触即発の気配を感じ、必死になだめるアロネ。ランディの肩を抑え、彼を座らせると、玄関の扉が開く。

「どうもー。郵便です。」
「あ、ありがとうございます。いつもお疲れ様ですわ。」

アロネが足早に駆け寄ると、静まったテーブルをやや背伸びして眺め、配達員は小声で問う。

「なんかあったんですか?いつもあんなに愉快な皆さんが。」
「いえ、どうかお気になさらないで。」

郵便を受けとると、心配そうにこちらを見返しながら、配達員は去っていった。アロネがテーブルに戻ると、かろうじて仕事の話に戻っている。

「さて今日も退屈な朝礼を聞く代わりに、特大のトラックを一周するわけだ。調査にはいくけどよ、あんまり被害がひどいようなら、考えもんだぜ。」
「この調子なら、いずれ予想外の答えが見つかりそうですね。」
「ああ、好きにしてくれ。俺自身が一番よくわかってるんだ。何も問題なんて無いよ。」

一度濁った雰囲気は、食事が済んでも、そのままだった。アロネは、だんまりと決め込んだエリィと共にその様子を見守る他無かった。
ランディが上着を羽織り、靴紐を直しながらあくびをする。ティオも早々に玄関を出て、背中を向けたまま待機していた。
キーアが不安そうにしがみつくツァイトの尻尾は、ぴくりとも動かず、ロイド達のしかめた顔をじっと見つめている。

「いってらっしゃい。」
「いってきますわ。」
「お留守番、お願いね。」

つぶやくような見送りの声に振り返ったのは、最後尾のアロネとエリィだけだった。
お互いの距離も離れたままに、中央へと向かう階段を上っていく。ついに上りきるまで、誰も口をきかず、目も合わせなかった。

「さて、お好きな方角はどちらですか、リーダー殿。」
「…今回はとうとう傷害に至った所がある。そこに最初に行こう。」

うやうやしくたずねるランディに、顔色一つ変えず、ロイドが手帳を開いた。

100:名無しさん@ピンキー
11/05/09 23:51:53.82 1V21ERzO
ご無沙汰しています。
ずいぶんと長く間を空けてしまい申し訳ありません。
またよろしくしてあげてください。

101:名無しさん@ピンキー
11/05/09 23:59:44.20 NzGu257X
待ってて良かった……GJ!
支援課メンツがギスギスしてきているのは
睡眠不足だけじゃなさそう……と思うのは気のせいか?

続き、楽しみにしてますー!

102:名無しさん@ピンキー
11/05/10 01:50:49.65 ePt39lXk
やべーおもしれー
ロイドが夜中にいなくなる理由なんて一つしかねーじゃんw

103:名無しさん@ピンキー
11/05/10 02:27:13.96 eDzFQBtA
ハァハァ…早く続きを!

104:名無しさん@ピンキー
11/05/10 07:51:04.48 w31HzJuw
全裸で待った甲斐があったぜヤッホゥ!

105:名無しさん@ピンキー
11/05/10 09:37:29.52 tE9FmrsS
>>108
ご無事で何よりです。
続きを楽しみにしています。

追い込まれるエリィさんとその反動で幸せなエリィさんに期待

106:名無しさん@ピンキー
11/05/10 11:53:49.95 W/3Ftve7
仲良し特務支援課がギスギスしてるのは見ててつらいのう
でもロイドさんなら素敵なカタルシスを見せてくれるってあたい信じてる!

107:共に歩みぬく意志
11/05/11 00:22:21.47 DrQ5Hyhe
***

クロスベル警察の会議室には、冷めたコーヒーが二つ並び、椅子に座ったままのけぞるドノバンと、机につっぷしたままいびきを立てるその部下レイモンドが、つかのまの休息をとっていた。

「ったく、こういう肝心なときに一課の連中ときたら、そろいもそろって共和国の観光とはいい気なもんだぜ。」

ドノバンがぼやきながら身体を起こし、たばこをくわえる。

「ん。ん。ん!クソッたれ、安物はすぐこうだ。おい、レイモンド。起きろ。休憩時間終わるぞ。」
「ううーん、あと五分…。」

彼はレイモンドの肩をゆすりながら、鳴った携帯通信機を取り出し応じた。

「はいよ、こちら二課のドノバン…なんだお前か。どうした。ああ。おう。
最近その噂しか聞かねえからな…何?本気かおい、ちょっとまて!くそ、切りやがった。」
「おおお、ゆれる、世界がゆれる…」
「いつまで寝ぼけてんだ、さっさと起きろ!」

椅子を蹴り飛ばされ、レイモンドが跳ね起きる。
しぼんだ目をこすり、だらしなく口を開ける彼に呆れながら、再びドノバンがたばこをくわえた。

「なんか、誰かと話してましたか。ドノバンさん。」
「ああ、セルゲイとな。話すだけ話してさっさと切りやがった。」

ドノバンが何度もライターを鳴らす。空の女神が彫ってあるそれは、血管が硬く浮き出た拳の中、火花だけをむなしく散らした。

「セルゲイさんかー。そういえば言ってましたね。ライターが言うこと聞かない時は、オイル切れ疑う前に、自分の頭冷やせって。」
「ああ?俺が焦れてるってのかよ…。今回の事件といい、あの野郎どういうつもりなんだ。」

とうとう火をあきらめ、ドノバンがたたばこを噛み締め、席を立った。

「いくぞレイモンド。逮捕令状の申請せにゃならん。」
「犯人見つかったんですか?」
「頭にくるぜ、噂に食いつくだけなら、なんのための警察なんだよ。」
「あ、ちょっと、待ってくださいよ!」

二人が上着を手に取り、部屋を出て行く。
廊下を足早にあるくドノバンに、レイモンドは様々に問いかけるが、彼は黙ったままエレベーターの前まで足を運び、止まった。
扉を開けると、レイモンドに向き直る。

「お前は先に出て車を用意しとけ。すぐに出れるようにな。」
「解かりました。あ、でも俺の車今フロントこすられて不細工になってるから、ドノバンさんの車借りたいなあなんてって、ドノバンさん?」

エレベーターの扉が閉まる音とともに、既にドノバンの姿は無い。

「はあ…修理さっさと出しておくんだったなあ。」

受付のレベッカに投げキッスをするも無視され、しかしそれも気にする風もなく肩をすくめると、彼は駐車場へと足を運んだ。
自分の車の正面に立ち、腕を組んで眺める。

「女の子の知り合いに見られなきゃいいんだけどね。」

ほどなく、本署からドノバンが令状を手に出て来ると、正面に止まっていた車のライトが点滅した。
乱暴にドアを開け、身体を放り込むように彼が乗り込むと、車が大きく傾ぐ。

「ドノバンさんもうちょっと優しく乗ってあげてくださいよ。ただでさえ『彼女』、不機嫌なんですから。」
「悪いが俺は上に乗せるほうが好きでな。東通りに行け。」
「はいよ。」

108:共に歩みぬく意志
11/05/11 00:23:01.72 DrQ5Hyhe
ぬける通り全てに、警官がたむろしており、こちらの姿をみると敬礼を送ってきた。
ハンドルを操作しながら、ドノバンの広げる令状を、レイモンドが細かく横目を送る。
大きく綴られた名前が目についた。

「へ?ロイド・バニングス?」
「馬鹿野郎、前みて運転しろ。ほれ、そこにつけろ、降りるぞ。」

車を降り、旧市街に向かうドノバンを追う途中も、レイモンドは信じられないといった表情で何度も額に手をあてていた。
鉄橋を渡り、広場を抜けると、ナインヴァリの前にセルゲイが立っている。

「おう、来たか。」
「ああ。やっこさんは?」

顎で示され、店内に入る。
小さな窓から差す光に塵がきらめき、うなる換気扇の影がはためいた。寿命の近い電灯のせいで薄暗い室内に、淀んだ空気が蔓延している。
そんな中、特務支援課のメンバーは向く方向も様々にたむろしていた。

「お役目ご苦労様です。」
「ロイド…。」

不安そうなエリィの視線を浴びながら、椅子に力なく座っていたロイドが、表から入ってきたドノバン達を見て立ち上がり、敬礼する。
奥で壁と対面していたランディが、砂を噛んだような横顔を見せた。

「敬礼してくる相手に仕事するってのも変な気分だな。」
「…。」
「罪状は窃盗、器物破損、傷害…およびテロ未遂、か。話じゃ爆弾を盗んだらしいな。」
「爆弾!?」

レイモンドが素っ頓狂な声を上げる。
びくりと、エリィに背中を支えられたアロネが肩をすくめた。うつむいた顔はすっかり青ざめている。

「な、なんだってそんなものを?いや、まだキミだって決まったわけじゃ無いけど。」
「なあロイド、本当にお前なのか?俺はどうも腑に…。」
「さっさと連れて行け。」

ドアの脇に背を預けたセルゲイが促した。

「いつからうちの署は現地取調べの形式になったんだ。仕事は素早く、だろう。」
「ああ。そうだな。」

すでにドノバンは逮捕状を受け取る際、副所長から詳細は聞かされていた。その際、キツネの機嫌が良かったのも気のせいではなかっただろう。
彼は大きく肩で息をつき、ロイドの肩を叩くと、レイモンドがおそるおそる出した手錠を、目で制した。

「こいつにはそんなもん要らんだろう。車に乗せろ。」

ロイドが出口をくぐる。一瞥もくれずに、セルゲイはたばこを咥えた。
ドノバンは深く息を吐くと、頭を掻いた。

「冷淡なもんだな。それも班長としての心得の一つってわけか。」
「何がだ。」
「部下パクって何がだは無いだろう。」
「フ…別れを惜しむ女のようにむせび泣いたほうが良かったか?」

109:共に歩みぬく意志
11/05/11 00:23:28.46 DrQ5Hyhe
アロネが面をあげ、きっとセルゲイを睨む。

「あんまりではありませんこと?」
「ん?」
「わたくしあなたの事を誤解していました。素っ気無いそぶりの中に、部下思いの一面を垣間見たのは、幻覚だったようですわね!皆様もよ。仲間なのではなくて?」

彼女はランディ、ティオに視線を移した。

「俺もあいつがガキを殴るとは思えねえが…何か隠してるのは確かだ。信用はできねえ。」
「私情は挟めません。」
「そんな…。」

奥から咳払いが聞こえる。暗がりに灯る赤い点を中心に、顔の輪郭が浮かび上がった。店主のアシュリーだ。

「アタシとしても腑に落ちないね。」
「アシュリーさん…。」
「あの坊やが本気でこんなことするとでも思ってるのかい?モノも出てない、裏も取れてない。ずいぶんと手際が良すぎるじゃないか。」
「変わりもんだな。娘を殴った相手の肩を持つのか?」
「この商売はね、剣で肉を切られたときの痛みも、銃で撃たれる熱さもしっとかないとダメなんだよ。
あの子にとっては良い勉強になったろうよ。」

白黒きっちりつけな。彼女の瞳が語っていた。セルゲイは片方の口角を吊り上げ、低く笑う。

「血は争えんな。逮捕されて尚、ここまで女に心配されれば、あいつも本望だろう。火あるか?」

セルゲイが内ポケットをまさぐりながらたずねる。
ドノバンは自分のガスライターを差し出したが、納得の行かない表情もそのままに吐き出す。

「安モンだ。付きが悪い。」

その言葉が終わらないうちに、セルゲイの手の中で一度だけ鳴り、ライターは火を噴いた。
タバコに移し、彼は深く煙を吸い込む。

「仲が悪いようだな。安モンなら貰っても構わんだろう。」

そういい残し、店を後にする。外で様子を覗いていたレイモンドが飛びのいて道をあけると、表に出たドノバンもその後姿を見送った。

「さすがに動揺を隠すのが上手いっすねー。まったく落ち着いてるように見えますよ。」
「いや…。冷静すぎる。」
「へ?」

ドノバンは早々に車に乗り込む。
頭に疑問符を浮かべながら、レイモンドは何度もセルゲイに向き直りながら、後に続いた。

「出せ。」

何か言おうとした彼を制するように、ドノバンは告げた。
エンジンが鳴り、景色が動き出す。ロイドは後部座席の左側に体を預け、窓の外を見ていた。
バックミラーの向こう、ナインヴァリの外に、アロネとエリィの姿を捉える。

沈黙が時間を泥に浸し、車は本部へと向かっていく。
静かに冷たい風が吹く、旧市街を残して。

110:共に歩みぬく意志
11/05/11 00:24:01.36 DrQ5Hyhe
***

「ロイド・バニングス逮捕。」

号外は風に乗り、噂は、動揺、悲嘆、裏切りへの罵倒、あるいは犯人の擁護へと姿を変え街を伝播する。
英雄の住処は、家宅捜索の現場へと姿を変え、多くの捜査官がたむろしていた。

「支援課のメンバーも薄情なもんだな。こんなときに犬の散歩とは。」
「女性二人はどうした?」
「ああ。三階の部屋にいる。」

捜査官同士の会話は、どこか緊張感が欠いている。
クロスベルの警察は、人員不足、そして立て続けの窃盗事件の捜査により、重いスケジュールをこなしてきていた。
それは彼らの、捜査のプロフェッショナルとして、最も重要なものにダメージを与えている。
セルゲイも例外ではない。そのはずだった。

「キーア。」

キーアはソファーに小さく足をたたみ腰掛けていた。セルゲイの声に顔をあげる。

「かちょー、ロイドは?」
「本部に“務めてる”さ。妙な形だが、ヤツの願いは叶ったな。」
「…。」
「フフ、お前もたいしたもんだな。落ち着いている。」
「だって。」

キーアは丸い瞳をぱちりと瞬かせ、セルゲイを見つめる。

「かちょー、いつもどおりだもん。」

「ほんと。まるで何事も無い日常のような振る舞い。信じられませんわ!」

アロネがつぶやく。エリィは手にした銃を丁寧に磨いている。
セルゲイとキーアのやりとりの少し前の事、彼女達は様々な思惑の行きかう街、そしてお互いの懐疑の念から逃れるようにして、エリィの部屋に待機していた。

「ほんとにもう。エリィさん、何とかなりませんの?」
「大丈夫よ、アロネさん。」

手入れを済ませ、エリィは銃を収めた。

「彼なら大丈夫。ロイドなら。」
「…そうね。そうですわ。」

エリィとアロネは、互いの感情を代行し、昇華していた。エリィの慰めはアロネの言葉でもあり、アロネの憤慨はエリィの動揺でもあった。
何がそこまでの同調をもたらしたのかは、語るまでも無い。

「エリィさんは、いつからロイド様の事を?」

エリィの隣に腰掛け、アロネは問いかける。

「その前に、アロネさん。貴女は自分の言葉に責任をもつべきだわ。」
「わたくしの言葉?」
「呼び方、よ。私も貴女の事、気さくに呼びたい。」

あ、と言葉には出さず、アロネは小さく笑うと、言葉を改めた。

「聞かせて、エリィ。」

エリィは微笑み、答えた。

111:共に歩みぬく意志
11/05/11 00:24:30.59 DrQ5Hyhe
「解からないの。」
「え?」
「不思議だけど、私自身、その瞬間も、変化の過程も、これといって無いのよ。自覚したのはつい最近なのかもしれないけど。
知り合ってから、まだそんなに経ってないのに、そのずっと前から、彼のことが好きだった錯角に陥るの。」

恋に恋をする人間は、遥か遠くを見つめるという。恋人の向こうにいる、華々しい世界にいる自分を見るのだ。
しかしエリィの焦点は、机の上におかれたイヤリングに、しっかりと合っていた。
彼女はその一つを手にとり、慈しむ。

「もしかしたら、貴女の真っ直ぐな気持ちを見たから、純粋な気持ちを取り出せたのかもしれない。」
「私の、気持ち?」
「変な話だけど、ちょっぴり感動しちゃった。貴女みたいな素敵な人に、ロイドが好かれているって事に。」

窓から差す夕日が、エリィの背中を照らした。アロネはその眩しさに目を細める
胸を貫く感情は不安からくるものではなく、むしろすがすがしいものだった。

「私も…。」
「ん?」
「いいえ、ありがとうですわ。話してくれて。」

一年前の青年は、アロネにとってまさに英雄だった。その回想が走馬灯のようによぎる。
彼女を現実に戻したのは、乾いたノックの音だった。

「はーい。どなた?」
「郵便です。エリィさんに直接お渡しするようにと。」
「こんなときに、誰からかしら。」

彼女が扉をあけると、配達員が帽子のつばに手をかけ、お辞儀をする。
手には、首からかけられたサポーターに支えられた箱を抱えていた。

「ハンコをお願いできますか?」
「えっと、差出人は誰かしら?」
「ロイド・バニングス様です。」

アロネが思わず顔を上げる。エリィが一瞬気を取られた瞬間、彼女は腕を背中に廻され、その首に果物ナイフを突き当てられていた。

「すいませんね。うら若き乙女の談笑をお邪魔しまして。」
「エリィ!」
「暴れ、騒ぎ立てれば…解かりますね?」

ナイフがきらめく。アロネはすくむ足で立つのがやっとだった。

「な、何者なの…。どうやってここ…まで。」
「お洒落をしてきたんです。その手にかけた銃でどうするというんです?妙な真似をしないほうがいいですよ。
私のもってきた荷物に引火でもしたら、この建物が花火にはや代わりです。」

銃を握るエリィの手が止まる。

「私が何者なのかは、式場で発表しましょう。差出人が来てからね。それまでに準備をしないといけません。
そこのお嬢さん、いえ、アロネお嬢様。エリィさんをガムテープで縛ってください。」
「やっぱり…やっぱり貴方は。」

配達員の顔が、帽子の下から現れる。歯を見せ笑う彼は、部屋を見渡した。
右側面を見るときだけ、同位置の眼球の動きがほんの一瞬遅れる。

「お二人は大事な来賓です。傷つけはしませんよ。全てはあの男次第です。これは式の、お祝いの品として頂きましょう。」

男はエリィの腰の銃に手をかけた。
彼女はとっさに背の部分を掴み抵抗したが、首の締め付けを強められ、奪取されてしまう。

112:共に歩みぬく意志
11/05/11 00:24:58.88 DrQ5Hyhe
「うぅ…。」
「さあ、急いでくださいアロネお嬢様。」
「エリィ…。」
「アロ…ネ…言うとおりに…して…」
「で、でも…」

ナイフが傾き、肉を撫でた。アロネは唇を噛み、ガムテープを手に取る。

(私に出来るのはここまで…ロイド、信じてるから。)

エリィの瞳の一等星は、輝きを失っていなかった。

そしてその輝きは、ソファからセルゲイを見つめるキーアの瞳にもあった。

「信じているのか。」
「うん。」

小さく、幼い彼女の、強い決心だった。セルゲイはキーアの頭を撫で、部屋を見渡す。
その時、彼の捜査官としての勘が、不自然な点を鮮明に掴んでいた。

「おい、お前。その制服は備品だな。」
「ええ。良く分かりましたね。」
「綺麗すぎる。丁寧にアイロンかける几帳面さは俺達には無いからな。」
「先日まではあったんですが、今朝の召集のとき無くなってたんですよ。おおかた誰かが間違えて持ってったと思ってたんですが。」

セルゲイは拳銃に手をかけ、階段を勢い良く駆け上がっていった。途中すれ違う捜査官を押しのけ、三階に登りきると、男は居た。

「どうも。郵便物を届けにあがったもので…」
「そいつらを放せ。逃げ場はないぞ。」

男はテープで縛り上げたエリィを前に立たせ、その背中に銃口を突きつけていた。
そしてアロネを抱え、やはりその首にナイフを突きつけている。
セルゲイが引き金に指をかけた。
彼の大声を聞きつけ、捜査官が三階へ登ってくる。

「貴方達が探しているものは、これですか?」

男は首からさげた箱に手をあてる。セルゲイは銃を構えたまま歯軋りした。

「ロイド・バニングスを呼んで来れ。早いほうが良い。あとの人間は全てこの建物を出払ってもらおう。私は式場で待っているよ。」

男は屋上へと進んでいく。
銃口を向けたまま、セルゲイは無線を手に取った。

***

ロイドは手の中の、警察バッジの深い傷を見つめた。

―チェック。俺の勝ちだな。

チェスの勝負は何度やっても勝てなかった。ある日その理由を問う。

―お前は攻めと守りのバランスが良い。速攻も得意だ。でも局面において相手の状況を見ていない。勝ちたければ俺を理解しろ。

キングを手の中で転がし、「彼」は続けた。

―どんな時でもそうだ。相手を理解しろ。想像じゃない。相手に関する情報全てから、理解し、予測して動け。そのために相手と立場を同じくするのもいい。

「これはちょっと洒落にならないかな、兄貴?」

113:共に歩みぬく意志
11/05/11 00:25:22.75 DrQ5Hyhe
留置所にけたたましい足音が響く。ロイドが顔をあげると、フランが息を切らせていた。

「ろ、ロイドさん!」

悲鳴に似た声に、彼はバッジをポケットに納める。
特務支援課周辺は厳重体制が敷かれ、導力車がひしめき、何人もの警察が配備されていた。
さらに動力車が追加され、助手席から飛び出した青年は、彼らの間を縫うように駆けた。

「課長!」
「ロイド、屋上だ!」

お互いを見つけるや否や、二人は叫んだ。
セルゲイがトンファーを放り投げる。ロイドはそれを両手で受け、ビルへ突入した。

「狙撃手、どうだ。…そうか。引き続き待機しろ。」
「ど、どうですか?」
「だめだ。人質の影に隠れていて狙えんそうだ。犯人はこの周辺の地形を調べ尽くしている。」

ドノバンが無線をしまい、舌打ちをした。

「ロイド…。」

しがみつくキーアを、セルゲイがもう一度撫でる。
龍のように階段を登り、屋上に飛び出したとき、ロイドを迎えたのは遮りのない星空だった。
そして手すりの側に、三人の姿はあった。

「よーうこそ晴れの式場へ!歓迎するよ、君ももちろん祝福してくれるよねぇ!」

ロイドは瞬時に構え、状況を把握した。
アロネを正面に構え、手にはナイフ。そして足元には口も塞がれたエリィが横たえられ、その頭に向けて彼女の銃が照準を合わせられている。

「どうだった、牢獄の生活は!会話の相手は狂人か、亡霊しか居ない。そうだろう。僕は友と引き裂かれ、孤独だったよ。得たものは屈辱だけだ!」
「やはり連続の窃盗の犯人は、あんただったんだな。」
「そうだ。とても楽だったよ。君の姿になれば、誰もが僕を信用した。雰囲気さえ似せればろくに顔も見られなかったよ。そしてそれは同時に、僕の怒りを増幅させた。」
「これは、復讐なのか。俺に対する。」
「そうだ。全ては、復讐だ!何もかもそっくりそのまま返す!君に殺された親友の為にね!」

男は、すでに演技も変装も引き剥がし、その本質を剥き出しにしていた。

「殺した?何の事だ。あんたの親友なんか知らないぞ。」
「しらばっくれるなぁ!君の手で獄中におちた私を、彼は身を挺して助けてくれたんだぞ。その命と引き換えに、愛する彼女を…マニーニを残して!」
「身を挺して?」

ロイドはアロネの話を思い出す。あの時、彼は確かに失っていたものがひとつだけあった。

「まさか…。」
「僕は誓った。必ずや復讐を遂げると。そしてその瞬間、僕は彼女と一つとなり、生涯守り抜くのだよ!」

男は、鼻腔から激しく息を吐き出しながら、荒波だつ呼吸を整えた。

「僕はね、僕は今まで人を殺したことなんて一度もないんだよ。ロイド。わかるかい?高尚なんだよ。それを君は踏みにじった。」
「爆弾を作る身にありながら、そんなことを良く言えるな。」
「しかし事実だよ。僕は組み立てただけだ。スイッチを押したのはどれも僕じゃない。だから、今回も僕の仕業じゃない。君だ。君が招いた状況なんだよ?」

114:共に歩みぬく意志
11/05/11 00:25:52.18 DrQ5Hyhe
おもむろに彼は、首からさげていた箱をつかみ、投げ捨てた。アロネが目を硬く閉じる。
箱は軽い音を立て、転がり、蓋と分かれた。

「クフ、クフフ、クフゥーン。自分の才能が怖いよ。空箱すらも爆弾にしてしまう。」

男はぎょろりと右目を剥いた。

「あの爆弾はある場所に設置してある。僕に何かあれば、即座に爆発する仕掛けだ。上司にも伝えた方が良いんじゃないか!」
「く…。二人を放せ。お前の狙いは俺だろう!」
「条件は一つだ。君の、死!飛び降りろロイド。そこからビルの下にむかってだ!」
「そんな!正気じゃ…ありませんわ、逆恨みではありませんの!」
「クフフフゥ!お嬢様はロイド様を愛しているのでしたな。そしてこの女も。良い、良い良い良い!尚良い!」

ロイドはゆっくりと構えを解いた。

「約束するんだ。俺が落ちたら、二人を解放すると。」
「クフフ、僕には高尚な理念がある。約束するよ。」

エリィは身をよじり、必死に首を振った。

「だめ、だめですわロイド様!こんな男の言い成りになっては!」
「わめくな!さあ、落ちろ!」

ロイドがゆっくりと後ずさる。男の笑い声は最高潮を迎えた。

「そうだ、失え。全てを失え。友を、名誉を。そして命をぉ!」

「誰が、何を失ったって?」

星空に声がこだまする。ロイドは足を止めた。
男が地上に目をやると、赤毛の男が手すりに腰掛けている。

「お前のシナリオじゃ、俺が爆発する役ってトコだな。ま、ゴメンだがよ。」
「ランディさん…!」
「ああー、そうか。君も私達を祝福しにきてくれたんだね。」
「おう。お祝いの品も持参したぜ?」

ランディが足元の包みを広げた。

「じゃーん。これなーんだ。」
「な…!」

それはバラバラにされた発火装置と、ナインヴァリから盗み出された爆薬だった。

「馬鹿な。僕以外、カバーすら外せないはずだ!」
「わるいねー。俺のガキの頃の玩具、積み木のかわりにずっとコレだったもんで。つい。」
「く、ど、どうやって。この広範囲を、この短時間で…。」
「ウチの課は、優秀な耳と鼻もそろってるんだな、これが。」
「部位で紹介しないで下さい。」

ティオとツァイトが、ランディの傍らに姿を現す。

「さすがにこの街全域は無理だったろうけども、どうやらお前の復讐相手はぜーんぶお見通しだったみたいだぜ。」
「何ぃ?!」

目を見開き、男はロイドを睨んだ。

115:共に歩みぬく意志
11/05/11 00:42:14.24 DrQ5Hyhe
「不審火の処理が終わって、警備が手薄になっていた。事件の起きたところに、再び何かあるとは思わないからな。
それにあんたはパスキューブ家に対するそれのように、貴族や議員といった身分に対しコンプレックスと恨みがある。
隣に共和国議員の邸宅があるのも合わせて、他に候補が思い当たらなかったんだ。」
「ぐ、ぐぐう…。嘘だ、君たちは、確かにバラバラに…。」
「バラバラだろうとぐにゃぐにゃだろうとなんでもなるぜ。リーダーの命令ならよ。」
「チームワークが売りですので…。」

男の歯が軋む。

「言っただろう、全部お見通しだってな。盗聴してたことも、覗き見してたことも、マッチでキャンプファイヤーしたのも、配達員に化けてちょくちょく来ては、様子見にきてたのもな。
だから一芝居うったのさ。」
「それを手帳越しにお願いされるとは思いませんでしたけどね。」
「くそっ、あの時の、あの時のか…!」

男の腕の中、アロネが微笑み、ため息をもらした。

「ああ、あああく、くふ、クフフ…。」
「もう逃げ道はないぞ。人質を解放しろ!」
「フフ…ああ、ウフフ…マニーニ、ごめんよ。僕は高尚な、ヒトではいられないよ。」

不気味に男が笑う。ロイドはトンファーをゆっくりと構えた。

「狙撃班!なんとかポイントは定まらないのか!クソッ!」
「ティオすけ、ここからあの二人に絶対障壁、届くか?」
「ダメです。攻撃魔法も、詠唱が終わる前に感づかれます。」
「ちっ、隙を窺うしかねえな。」

男がゆっくりと、ナイフをアロネの首に押し付ける。彼女の緩んだ表情が、再び恐怖に染まった。

「もう、もう僕は獣になるしかない。君の恋人のために。」

男は銃を握り、引き金に指をかけた。エリィがその顔を睨む。

「クフフ、君も素晴らしい女性だ。マニーニには劣るけれども、恋人想いだ。解かってるよ。さっき銃を取るとき、こっそり安全装置をセットしていたね?」

エリィが顔を背ける。装置を外し、男の口がにやりと歪んだ。

「やめろ、銃をおろせ!」
「ロイドォ、最近の新聞を読んだよ!君は稲妻の様に素早く動けるそうじゃないか。でもね、二人だ。
同時に二人守ることは無理だろう!さあ選べ!君の手で救う側、そして殺す側を選べ!」

狂気を孕んだ雄たけびがあがる。ロイドは、エリィを見た。
ウィンクが返ってくる。
ロイドはトンファーを回転させた。

「マニーニの為にいいいい!」

ナイフが高々と振りかぶられる。アロネが目を硬く瞑った。
ごうと風を切り、トンファーが飛翔した。ナイフが宙に舞う。

「クフゥーンヤハハハハハハハ!僕が!君の『初めて』の相手だァ!」

引き金が強く引かれた。

「ブチ込んであげるよォォォ!」

強く、強く引き金は引かれた。しかし銃は沈黙している。

116:共に歩みぬく意志
11/05/11 00:43:09.61 DrQ5Hyhe
「オォォ…あ、あれ?」
「はああ!」

咆哮と共にロイドの全身を巡る血が泡立ち、その体は瞬きの間に男に肉薄する。
同時にエリィが縛られたままでねじり立ち、半身を回転させた。

「マニッ…!」

ロイドのエルボーと、エリィのハイキック。みぞおちと後頭部に流れ星の衝突を受け、鈍い音を立てる。

「…ィ…ニ…!」

ぐらりと崩れ落ち、男はその場に倒れる。
ランディがビルの扉を開き、飛び込む。ティオ、ツァイトも続いた。

「確保だ!」

ドノバンの号令とともに、一斉にビルに捜査官が突入した。
尻餅をついたエリィの拘束を、ロイドが手早く解く。

「ありがとうロイド。前はロープで、今回はテープ。次は鎖かしら?」

ロイドは苦笑し、アロネの側に駆け寄った。エリィは立ち上がり、男の側に落ちていた銃を拾う。

(私の銃の安全装置は、二つあるの。ごめんなさいね。)

撃鉄に挟まったイヤリングが、鈍く星空を映す。

(それに私の初めては、全部…。)

「ロイド様!」

アロネが悲鳴をあげる。エリィもその側に駆け寄り、しゃがみこんだ。顔色が悪く、脂汗を大量にかいている。
例の反動が現れていた。

「ロイド!」
「アロ…ネ…アロネは…?怪我は…?」
「大丈夫です。かすり傷一つありませんわ!」
「そう…か。よかっ…。」

ロイドは深く頭を垂れた。くずれかけるロイドの身体を、エリィがしっかり抱きとめる。

「ロ、ロイド様!?」
「大丈夫、脈もあるし、呼吸もしっかりしてるわ。気絶しただけよ。」
「良かった、無事ですのね…。」

アロネは目じりの涙を拭った。エリィも安堵し、向かい合わせるように抱きしめたその背をさすった。

117:共に歩みぬく意志
11/05/11 00:43:41.79 DrQ5Hyhe
「お嬢!」

屋上に到着するなり、ランディが叫んだ。後ろだ!の声は彼女には聞こえなかった。
振り向くと、浮いたナイフが徐々に大きく膨れ上がっている。
研ぎ澄まされた刃が横に白の線を引き、それがこちらに飛んでくるのだと理解する前に、目の前を影が横切る。

肉を貫くがした。

「お嬢ーー!」

アロネが悲鳴をあげる。鮮血が地面に飛び散った。
エリィの鼻先にナイフの先端がピタリととまり、その刃を伝うのは、貫かれたロイドの掌からあふれ出たものだった。
紅に染まり、彼の腕が落ちる。

「マ…ニー…。」

その向こう側で、渾身の力を出し切った男が、倒れ伏す。

「ロイド!」
「ロイド様!」

ランディが、捜査官達が、男の所へ走っていく。
幾人もの足音の中、ロイドはエリィ、アロネの呼び掛けに、覗き込んだティオとキーアに、静かな寝息で返事をしていた。

118:名無しさん@ピンキー
11/05/11 00:44:31.62 DrQ5Hyhe
以上です。

これまでの作品、Kメンテさんだけではなく、複数の方のものだったのですね。
数多くの方が零の文を書いてくださってとっても俺得です。
どの方のも、新作期待しています。

119:名無しさん@ピンキー
11/05/11 08:57:57.27 B2ZPwNvS
バラバラも一芝居だったとは…
演技してる時絶対腹の中で笑ってたろ。

そしてロイドが心配

120:名無しさん@ピンキー
11/05/11 09:34:30.71 wfNO8K3g
俺は逆に「これ絶対演技だろ」って思ってた。手帳で指示してたのには気がつかなかったけど。


そしてまさかのイヤリングの伏線、お見事GJ。続きも楽しみにしてますー。

121:名無しさん@ピンキー
11/05/26 03:07:08.83 YUQn7BB5


122:名無しさん@ピンキー
11/06/02 00:43:23.13 ZBFW7IM8
>>126の続きを全力で楽しみにしつつ
ランティオSS投下ー。

123:聞かせて、世界で一番優しい音楽【前編・1】
11/06/02 00:44:24.86 ZBFW7IM8


 魔都と呼ばれるクロスベルにも眠る時間はやってくる。
 夜も深まり、窓の外で街路灯が明滅する様子はまるで人々の寝息のよう。
(……もう少ししたら、月明かりも肴に出来そうだな)
 鼠色のパジャマに身を包み、自室のベッドで片膝たてて座って酒を飲んでいたランディは、月光が
窓の上部を染め始めたのを見た後、壁を越えた向こう側にあるロイドの部屋へ意識を向けた。
 普通にしていれば静寂。だけど、猟兵として鍛えてきた感覚を研ぎ澄ませば、ロイドとエリィが愛
し合っている声と気配が微かに聞こえてきた。
「……」
 唇を微かに綻ばせると、ランディはグラスを傾ける。
 盗み聞きなど良い趣味ではないと解っているし、壁一枚隔てた向こうで恋人が愛し合っているのを
聞きながら一人で酒を飲む状況ってどうよ? と自分に突っ込みたくなるが、それでも、ロイドとエ
リィが愛し合う気配を聞きながら酒を傾けるこの時間がランディは妙に好きだった。
(ま、無いものねだりなんだろーなぁ)
 誰かに望まれた訳でもなく、ましてや殺し合いに嫌気がさした訳でもないのに、あの場所から逃げ
出してきた自分には、今ロイドの部屋で起きている事など……誰かを強く愛して愛される事など、決
して得られない。こうして壁の向こう側からこっそり盗み聞きする位しか近づけない。
「……」
 喉の奥が急に辛くなって、ランディが表情を少し歪める。が、諦めた風に笑ってため息つくと、再
びグラスの酒をあおった。
 やがて、グラスの酒が無くなった頃。波が引いていくように、壁を隔てた向こうの気配が―愛し
合う声と物音が収まっていく。
「おー、今日も元気にヤったな、せいしょーねんっ」
 ランディが陽気な声を出して笑うと、壁の向こうへ向かって空のグラスを軽く揺らす。酒も氷も無
くなったグラスに部屋の明かりが入って、砂粒のような煌めきを散らした。
(……さて、今の内に下から氷とツマミを持ってくるか)
 ランディはベッドから降り、グラスをテーブルに置くと、部屋を出た。
 ひんやりした夜の空気が、酒で火照っていた身体を冷やす。
 さっさと戻ってこようとランディが少し大きめに足を踏み出した途端、階段前のスペースにパジャ
マ姿のティオがみっしぃのぬいぐるみを抱えて座り込んでいるのを見つけた。
「―!?」
 酔いが吹っ飛ぶ程驚くランディに、静かに、と、ティオが唇に人差し指をあてて制してくる。
(いや、ちょ、ティオすけ、何でここに!?)
(……別に。いたいだけですよ)
 忍び足で駆け寄って小声で騒ぐランディに、ティオは少し唇を尖らせる。
(それよりランディさん。そんなに浮き足だっていたら、お二人に気付かれてしまいます)
 ロイドの部屋の扉へ視線を向けて責めるティオに、ランディは思わず誰のせいだと怒鳴りたくなる。
が、何とか激情を押さえ込むと、ティオの首根っこを引っ掴んでそのまま自室に飛び込んだ。


124:聞かせて、世界で一番優しい音楽【前編・2】
11/06/02 00:45:18.36 ZBFW7IM8
 マグカップに牛乳とカルヴァトス少量を入れて混ぜ合わせ。それらを威力最弱のファイヤボルトで
暖め、即席のホットミルクにする。
「……で。おにーさんに話してくれる気にはなったかな?」
 ランディはエニグマを仕舞うと、みっしぃのぬいぐるみと並んでベッドに腰掛けているティオの前
へホットミルクの入ったマグカップを差し出した。
 出来たてのホットミルクから立ち上る甘い香りをまとった湯気が、ティオを包み込むように揺らい
で広がっていく。
「……先程答えた通りです」
 マグカップを両手で受け取りながら、ティオは淡々と答えた。
「いや、だから、何でそうしてたんだよ?」
「ロイドさんとエリィさんが愛し合っている声と音を聞きたかったからです」
 ティオは表情を全く変えずに言い放つと、貰ったホットミルクを飲み始める。
(……埒があかねぇなぁ……)
 ランディが困惑しきりの表情で髪の毛を掻いていたら、ティオがマグコップから口を離した。
「恋人達が愛し合う声と音は、世界で一番優しい音楽だ。……あるミュージシャンの言葉です」
 空になったマグカップの中へ吹きかけるように息をつくと、ティオはランディを見上げる。
「いいですよね。世界で一番優しい音楽」
 ティオが笑う、諦観の暗闇に塗り潰された目で嗤う。
「わたしには、人が奏でているのを横でこっそり聞く事でしか縁のないものです……」
 みっしぃのぬいぐるみがこてんと倒れ、隣にいるティオへ寄りかかってきた。
 沈黙が部屋の中に充満し、痺れるような緊張感が肌を刺してくる。
「……おいおい、今からそんな諦めをしてどーすんだよ」
 重くなる雰囲気を、ランディはなんとか軽い調子で笑い飛ばす。
「ティオすけはまだ14だろ? これからいい女になって、俺みたいないい男を手に入れるのが、正
しい順番ってもんだ」
 茶化すように言って、ふざけた感じの表情つくってウインクをする。
「諦めるのは、俺みたいに年くってからにしろ、な?」
 だけど内心は、『人が奏でているのを横でこっそり聞く事でしか縁のない』の言葉に、ついさっき
までの自分を見透かされたような気がして、鼓動は荒れに荒れていた。
「……昔、わたしが教団から試作段階のグノーシスを投与された事は覚えてます?」
 ティオが、ランディの方をしばし見つめた後に問うてくる。
「ん? まぁな」
「完成したグノーシスは経口投与の薬でした。ガルシアさんは注射で強制的に投与されましたが」
 ランディが動揺を少し残したまま頷き返すと、ティオが変わらぬ調子で続けてくる。
「確かに太陽の砦で戦った時にオッサンそう言っていたが……」
 唐突に話題がとんで訝るランディに、ティオは突き放したような声色で告げた。
「わたしも、昔、通常の経口投与との違いを計る実験の為に、注射で強制的に投与されました」
「……」
 ティオの言葉にランディの心がざわめく。嫌な予感を頭をもたげ、服の下に隠れている皮膚が鳥肌
をたてる。
 その変化を感じ取ってか、ティオが少し寂しげに笑って、続けた。
「他にも色んな形で投与されました。……下品な言い方ですが、わたし達女性には、もう一つの口が
ありますから」


125:聞かせて、世界で一番優しい音楽【前編・3】
11/06/02 00:47:00.02 ZBFW7IM8

※※※

『やだ、たすけて! いうこときくから、おろして!!』
 心のどこかでは無駄だと解っていつつも、口から出る悲鳴は止められない。
 ベッドの上で両足を不自然なまでに開かされた上に、両脇にあるあぶみに足を無理矢理乗せられ、
革紐で固定されていく。
 ふくらはぎと太股には革紐の縁に沿って青痣と擦過痕が走り、自由を奪われた今も新しい傷を作っ
ていく。
『おねがい。おうちにかえしてってワガママいわないから、だから……!』
 震え泣きながら請うても、大人達から返ってくるのは冷たくて空っぽな眼差し。
 やがて、青い液体の入ったパックと、ガチョウの口みたいな形をした金属のハサミを載せたワゴン
が目の前に運ばれ、何度か聞いた番号―それがここでの自分を指す名前だった―が読み上げられ
る。
『これよりグノーシスの経膣投与実験を開始する』
 傍にいた大人の一人が、ワゴンからガチョウの口みたいな金属のハサミ―後年調べたら、クスコ
という器具だった―を取り上げると、こちらに迫ってくる。
『ゃ……』
 薄っぺらいワンピースの裾をめくられ、パンツを履いてない股へクスコがあてがわれる。
 震えが止まらない身体へ、ガチョウの口みたいな部位がずぶっと突きたち、その痛みと金属の冷た
さに悲鳴が出る。
『ゃぁああっ! いたぃいたいっ!! はなしてぇ!!』
 ベッドそのものを動かす程に身体を揺すり、抵抗しても、革紐で抑えられた箇所に擦り傷と痣が増
えていくだけ。
 こちらの気持ちとは無関係に、お腹の中につきたったクスコはマイペースに根元まで入ると、ぐっ、
と左右に開いた。
『ひっ……!!』
 足の付け根から裂かれるような痛みは、悲鳴あげる気持ちすら奪う。
 その間に、青い液体の入ったパックから伸びたチューブが、開いたクスコの合間からするする入っ
ていって、やがて、先端がお腹の中にぶつかってきた。
『やっ……!!』
 もっといたいのがくる。
 頭の中が更に冷たくなる。
『いやぁ、いやぁああぁぁっ!』
 涙と涎で顔をベトベトにしながら再び泣き叫ぶ中、お腹にぶつかってきたチューブの先端がぐぐぐ
ぐっ……と、前へ進み、恐れていた激痛が下半身を電流のように駈け巡る。
『被検体の子宮内へのチューブ装着を完了。これより二時間かけてグノーシス液の投与を行う』
 誰かの淡々とした声の後、青い液体の入ったパックが頭上に掲げられる。
 パックからチューブへ青い液体が流れ始める。少し遅れて、お腹の奥へ突っ込まれたチューブの先
端から冷たい水の感触が広がってきた。
 お腹の中の激痛に奇妙なくすぐったさが混じり、頭の中が大混乱を起こす。
『あぁぁあ! やだぁ、たすけて、たすけてぇえ!!』
 自分は今ちゃんと声を出しているのか、泣いているのか。その前に意識がちゃんとあるのか。
 何もかもが解らなくなってくる中、お腹の中に水が流れ込んでくる感覚と、身体の芯から凍り付い
ていくような寒さが、強く印象に残っていた。

126:聞かせて、世界で一番優しい音楽【前編・4】
11/06/02 00:47:53.76 ZBFW7IM8

※※※

「……あの当時は、注射みたいに痛い投与だとしか思っていませんでした」
 空のマグカップをベッドの上に置くと、ティオは自分の臍の下に右手をあてる。
「ただ、初めてあの投与をされた際……両足を開かされた体勢で身体を固定された時に、妙な不安を
感じた事は覚えています」
 今にして思えば、きっと本能的なものだったんでしょう。
 突き放した物言いで告げたティオの顔は、感情がごっそり抜け落ちていた。
 部屋の中が静まり、凍りつく。
 二人の息遣いすらも消えた静寂の中、部屋の窓から見える夜空の中に月が入り込んできた。
 ベッドの上に腰掛けているティオの方へ月光が差し込む。
「……もう諦めるしかないんです、わたしは……」
 どこまでも青白く、まるで悲鳴をあげているかのような月の色が、ティオの姿を照らし出す。
「いくら望んでも、あの音楽を奏でられるだけの資格を、わたしはもう持っていない。女性としての
身体は、とうの昔に汚れてしまったから……」
 臍の下にあてていた右手をぎゅっと握って呟くと、ティオはベッドから降りた。
 残されたみっしぃのぬいぐるみが支えを失い、ベッドの上に引っ繰り返る。
「ホットミルク、ご馳走様でした」
 重く抑揚のない声でティオが述べて、立ち竦むランディの傍を通り抜けようとした時。
「……馬鹿野郎」
の小さな声と共に、ランディの左手が、ティオの身体に回ってきた。


127:聞かせて、世界で一番優しい音楽【前編・5】
11/06/02 00:49:18.41 ZBFW7IM8
 ランディの身体に、ティオが無理矢理寄せられる。彼の肋骨と脇腹の合間あたりに横顔がくっつき、
彼の鼓動がティオの耳を直に揺らしてくる。
「そんな事言うなら、俺だって、ここに居る資格はねぇぞ? 何せ、生まれた時から戦場と人殺しを
日常にしてたんだからな……」
 驚くティオに構わず、ランディは、彼女を抱えた左手に力を込めて告げた。
「でもそれは、わたしのとは違います……!」
「いーや、違わない。違ってなんかいない」
 部屋の壁を見据えたままランディは言い切る。
「拭えない汚点が過去にあるから現在も未来も汚れたまま変えられないってんなら、俺もお前も同じ
だ」
「―!」
 ランディの叱るような物言いに、ティオが顔をしかめて全身を震わせた。
「……キー坊を連れてミシュラムを脱出した時、お前らから怒られて引き止められたの……正直嬉し
かった」
 血と死の匂いにどっぷり浸かった自分の過去に怯えるどころか、躊躇わずに手を伸ばしてきた。伸
ばして、ここにいてくれと言ってくれた。
「なのにティオすけ、俺を引き止めた一人であるお前が、何で過去のせいで望むモンを諦める? 人
を叱っておいて、何でお前は過去に捕まったままなんだ」
 ランディが壁からティオの方へ顔を向けると、それから逃げるようにティオがランディの身体に顔
を埋めてきた。
「……ランディさん、卑怯です……」
 ティオが、震える手でランディのパジャマを掴む。
「そんな事言われたら、わたしの、諦めるという結論が成り立ちません……グノーシスの投与実験で
汚れた身体で、普通に愛を望んでしまいます……!」
 ランディの身体にティオの目元がくっついている箇所が、じわっと暖かくなって、濡れてくる。
「やっと別の希望を持てたのに……ロイドさんとエリィさんが愛し合っている様子を傍で聞くだけで
も充分だって納得できていたのに……!」
 そう責める声が熱湯に放り込まれた氷のように震えてひび割れたかと思うと、嗚咽に変わった。
「……そうだな、俺は卑怯者だ」
 しがみついたまま泣き震えるティオの頭を、ランディはそっと撫でて言う。
「自分は人が奏でてるのを聞いているしか縁がないと諦めているくせに、ティオすけにはそうするな
と叱ってるんだからな」
「!? それは、もっと卑怯です……!」
 涙で濡れた顔を持ち上げて睨んでくるティオに、そうだな、と、ランディは素直に頷く。
「でもそれで、ティオすけが諦めないってんなら、俺は喜んで卑怯者になるぜ」
 惑いなく言い切って笑うランディに、ティオの表情が大きく揺らいだ。
 両目から一気に溢れ出てきた涙を拭うように、ティオがランディの身体へ再び顔を埋めると、さら
に強くしがみついてきた。
 部屋の中に、ティオが静かにしゃくりあげる声が響きだす。
 どこか遠慮がちに涙する彼女を、ランディは窓の外の月から隠すように両手で抱き締めた。


128:聞かせて、世界で一番優しい音楽【前編・6】
11/06/02 00:50:14.68 ZBFW7IM8

※※※

 どんなものにも終わりは来る。
「……すいません、ランディさん……」
 しゃくりあげる声が止まって少しして、ティオがランディの身体から顔を離した。
 それを合図に、ランディも、彼女を抱き締めていた両手をほどいて解放する。今まで顔がくっつい
ていた箇所のパジャマはじっとり濡れて、布地に新しい濃淡を作っていた。
「気にすんなよ、ティオすけ。俺は卑怯者なんだから」
「……それもそうですね」
 ランディの言葉に、ティオも、目元はもとより頬の方まで涙で少し赤く荒れた顔で微笑む。それか
ら、顎を少し持ち上げて、唇を小さく開いた。
 夜空を流れる雲が月を飲み込み、部屋の中が少しだけ暗くなる。
 涙とは違う艶を瞳に浮かべてキスをせがんでくるティオの姿に、ランディが目を丸くし息を呑む。
が、ふっと優しく微笑むと、前へ踏み出した。
 二人の影が一つに重なり、すぐにスルっと二つに戻る。
 え!? と、驚いて振り返るティオを余所に、ランディはベッドに転がっていたマグカップとみっ
しぃのぬいぐるみを回収した。
「ほい、おやすみ」
 朗らかな声で、ランディが、みっしぃのぬいぐるみをティオに渡す。
 次の瞬間、ティオが眦を吊り上げ、渾身の蹴りをランディの向こう脛に叩き込んだ。
「ランディさん、たまに空気読めなさすぎです」
 その場で屈んで悶絶するランディに、ティオがジト目で言い放つ。
「こういう時は黙ってキスして一気に雪崩れ込むのがお約束です。『世界で一番優しい音楽、教えて
やるぜ』とかのクサイ決め台詞もおまけにつけて」
「あのなぁティオすけ……」
 ですよねーと、みっしぃのぬいぐるみへ同意を求めるティオに、ランディは蹴られた向こう脛をさ
すりながら言い返した。
「お前の欲しい音楽は恋人同士が奏でるもんだろ? ここで最後まで雪崩れ込んだら、世界で一番優
しい音楽どころか、『傷心のやけっぱちに一発ヤりました』以外の何モンでもねぇぞ」
「……だめですか?」
「当たり前だ」
 しばしの間を置いて問うたティオに、ランディは声を強めて言い捨てると、立ち上がる。
「第一、アイツらだって一朝一夕で今の関係になった訳じゃねぇよな? ちゃんと順番を経て恋人同
士になってから、俺らの羨む世界で一番優しい音楽を奏でてるだろ?」
 そう言ってロイドの部屋がある方の壁を指さすと、ティオが項垂れるように首を落とした。
(……ちぃと言い過ぎたか……)
 ついさっきまで泣いていた彼女の俯き姿に、ランディの胸が罪悪感でチクリと痛む。そこへ、
「……なら……」
 掠れた声と共に、ティオが顔を持ち上げ尋ねてきた。
「順番を経て、なら、いいのでしょうか……?」


129:聞かせて、世界で一番優しい音楽【前編・7】
11/06/02 00:51:04.89 ZBFW7IM8
 雲の中から月が出る。窓ガラス越しからティオの姿を照らしだす。
 さっきと同じ、どこまでも青白い月の色。なのに放つ雰囲気は真逆で―子守歌のようにどこまで
も優しくて柔らかい。
 その姿は、どんな闇や光よりも澄み切ったティオの瞳は、ランディの心臓をぎゅっと掴んできた。
「……それは……俺と恋人同士になりたいという事か?」
「……駄目ですか?」
 今までと違う、余裕の色が消えた声で問うランディに、ティオが顔を微かに揺らして聞き返す。ラ
イトブルーの髪の毛がさらりと零れ、砂粒のような煌めきを室内に撒き散らす。
 ランディの心臓が、再びぎゅっと掴まれる。
「……」
 綻ばした唇から微かに息を零して笑うと、ランディは持っていたマグカップをベッドへ放り捨てた。
 ぼふっ。と、マグカップが布団に潜り込む。
 ランディはティオの前へ片膝をつき、視線の高さを同じにする。それからティオの右手をとり、指
と指を絡ませるように握ると、指先でティオの右指の股を優しくさすりだした。
 右指の股を通して、ティオの身体の奥がくすぐったくなる。
「ぁ……」
 ティオが思わず目を細めて声を漏らす中、ランディの顔が、唇が、近づいてきた。
 二人の影が重なり、唇が重なる。
 お酒の匂いのする暖かい吐息にティオが軽い目眩を覚える中、唇の隙間から彼の舌が割り込み、歯
の裏や歯茎を舐めてきた。
「んっ……」
 ざらざらした舌の感触は、ティオの身体に震えを起こす。膝が少し曲がり、左手で抱えたみっしぃ
のぬいぐるみがずり下がる。
 その間も、ランディは、指の腹でティオの右手の甲を撫でて這わせ揉みつつ、咀嚼するように唇と
舌を動かす。口の中で縮こまっているティオの舌を自分の舌で掬い上げて、ねっとり絡みつく。
「っ……!」
 ティオの舌から背中にくすぐったい痺れが駆け下りたかと思うと、お腹の中がふわりと浮き上がる。
足の力が勝手に抜けて崩れ落ちそうになったを何とか堪えた所へ、彼の左手が、耳を優しく撫でて揉
んできた。
「んっ……!!」
 ティオのお腹の中に生まれた軽さがさらに強まり、足から立っている感覚が奪われる。
 がくがく揺れる膝と膝がくっつき、左手に持ったみっしぃのぬいぐるみが更に一段ずり下がった。
「っ……」
 ティオはぎゅっと目をつぶると、縮こまっていた舌を思い切って突き出す。彼の舌に自分から触れ
てちょっかいかける。
 ざらざらした舌の表面と暖かな弾力を感じた途端、ティオの首骨にくすぐったい震えが駆け下り、
身体の中から何かが零れ落ちた。


130:聞かせて、世界で一番優しい音楽【前編・8】
11/06/02 00:52:57.65 ZBFW7IM8
 月光が差し込む部屋の中、ぺちゃり、くちゃりと唾の絡む音が響いていく。
 ランディとティオが、お互いに唇で突いて圧して挟んで啄み、たまに歯で下唇を甘噛みして刺激を
与えながらのキスを続けていく。
 赤茶色とライトブルーの髪の毛が、社交ダンスのように揺れて触れて軽く絡んで、それからするっ
と滑って離れて、また近づく。
 深く絡み合った右手の指は、まるでピアノを奏でるかのように、相手の手の甲の上で弾んで震え、
そして縋るように握り合う。
「んっ……ふ、ぅ……んっ……ぅ……」
 ティオの顔がほんのりと赤く染まり、口端から唾が垂れて頬に銀の線をひく。
 両足は今にも崩れ落ちそうな程に揺れ動き、左手に抱えたみっしぃのぬいぐるみは尻尾が床箒と化
している。
「ふっ、ふぅ、んっ……」
 彼の与えてくれる何もかもが優しくて暖かくて、自分の身体が内側から溶けていく。背骨がぞくぞ
く震えて、下腹部と股の所で奇妙な蠢きが回り続けている。
 今まで感じた事のない感覚、経験。
 理解が追いつかなくて、少しだけ、怖い。
 でも―すごく暖かくて……。
(もっと……欲しい、です……)
 強く深く塞がれた口の中でそっと願うと、ティオは舌先で彼の前歯を舐め上げる。お酒の匂いが鼻
腔の奥へ直に飛び込み、その刺激にティオの頭の中がクラッとなる。
 そこへ、ランディの左手が、ティオの耳の輪郭にそって動き、耳穴を指先で軽く掻いてきた。
「―!」
 目の奥でフラッシュがたかれたかと思うと、一際大きな震えがティオの中を駆け抜ける。
 下腹部と股の中に居座っていた蠢きが一気に外へ噴き出すような感覚の後に、身体を支えている両
足の存在が認知できなくなる。
「あぁっ……!」
 唇を離し、切なげな声を漏らしながらその場に崩れ落ちたティオを、ランディがすんでの所で抱き
支えた。
「そんじゃ今日はここまで、っと」
 ランディが軽い調子で告げると、真っ赤な顔で荒い呼吸を繰り返すティオの頭を優しく撫でる。
「俺と恋人同士になりたきゃ、もっと先にいけるよう頑張れよ、ティオすけ♪」
「そうですね……」
 惚けきった瞳と涎で煌めく口元を綻ばせて頷くと、ティオはそのままランディの胸の中に顔を預け
た。
「次、は、もっと……」
 ホットミルクのカルヴァトスと彼の吐息に混じっていたお酒が、今になってティオの意識を眠りの
中へ引きずり込んでいく。
「恋人、っぽく、なり、た……ぃ……」
 最後に残っている記憶は、この宣言がちゃんと声に出せただろうか……という疑問だった。


131:聞かせて、世界で一番優しい音楽【前編・9】
11/06/02 00:53:53.30 ZBFW7IM8

※※※

 嗅ぎ慣れぬ香水と酒の匂いがティオの意識を呼び覚ます。
 瞼を開くと、みっしぃのぬいぐると一緒に彼のベッドに寝かされていた。
 みっしぃのぬいぐるみの向こう側には、ベッドの縁に寄りかかる格好でランディが船を漕いでいる。
「……」
 ランディの後ろ姿を見つめながら、ティオは、自分の唇を指先でそっとなぞる。身体の奥で、ぽっ
と火が灯るような暖かな感触が沸き上がってきた。
(まだ……諦めなくてもいい、という事でしょうか……)
 グノーシス投与の実験などで何度も凍り付いた身体の奥が、キスで暖かくなれたなら。
(世界で一番優しい音楽……まだ、わたしにも奏でられる可能性は残っていると思っていいのでしょ
うか……)
 自分の胸の上に両手を重ね、ティオは嬉しそうに息をつく。その吐息を受けて、みっしぃのぬいぐ
るみも微かに頷いた気がした。
「ん? もう起きたのか?」
 ティオがなるべく音をたてないよう体を起こした途端、ランディが顔を持ち上げ振り向いてくる。
「すいません、起こしてしまったようで……」
「いーっていーって。寝てるとこを叩き起こされるのには慣れてっから」
 ぺこりと頭を下げるティオに、ランディは手をぱたぱた振って笑うと、彼女がベッドから降りても
いいように身を引いた。
(……引き止めないんですね……)
 まだ、恋人になる程の順番は経てないから。
「……」
 ティオは、ちょっと寂しげに唇を綻ばすと、みっしぃのぬいぐるみを持ってベッドから降りる。そ
うして部屋のドアへ足を向けた後、ランディの方へ振り向いた。
「ランディさん……約束して貰えますか?」
 西へだいぶ傾いて窓枠から出かかっている月が、ティオの姿をぼんやり照らす。
「ちゃんと順番を経たその時は……わたしに世界で一番優しい音楽を聞かせてくれると」
「そりゃ勿論。俺も聞いてみたいしな」
 少しだけ怯えの混ざった確認に対する返答は、いつものノリでの笑顔と言葉。
 つられてティオも微笑むと、ランディが、唇をちょんと乗っけるような軽いキスをしてくれた。




132:保管庫”管理”人様へ、6-404で保管お願いします
11/06/02 00:54:47.23 ZBFW7IM8
とりあえず今日はここまで。
中編はまた後日にでも。


>>126
待ってましたー!
描写の緻密さ巧みさとか伏線の鮮やかさとか、色々勉強させて貰ってます。
続き、全力で楽しみに待っています。



133:名無しさん@ピンキー
11/06/02 13:08:32.64 Xd0e6MAY
ランティオktkr。続き楽しみにしています

134:名無しさん@ピンキー
11/06/02 20:05:05.74 XtVJmJUb
ラブラブねっとりディープキス描写が嬉しいですね
ラニキにはティオすけの性感開発にじっくり時間をかけて欲しいです
ティオすけが幸せをたっぷり感じられますように

135:名無しさん@ピンキー
11/06/03 07:05:09.74 YJM/t8Fh
なんというランティオ…素晴らしい。
やはり事に及ぶ時は重厚なテキストが必要なのだと実感します。
参考にさせていただきます。


136:名無しさん@ピンキー
11/06/03 16:16:42.02 bNCZLh1K
性的な知識が皆無な純白エリィの尻穴と尿道口を舌のみで愛して快楽と羞恥を与えたい

137:名無しさん@ピンキー
11/06/03 19:49:03.58 wJFsIp+R
ロイドさんが天然でそう言う行動をしそう

138:名無しさん@ピンキー
11/06/03 20:47:09.37 E8glJTmT
GJ

139:名無しさん@ピンキー
11/06/08 11:08:25.18 JcJzH+Os
ケビンの前でリースがntrれる奴さっさと書けよ低脳屑ども

140:名無しさん@ピンキー
11/06/08 11:24:31.45 JcJzH+Os
アガッさんとヨっきゅんの両腕脚きりおとして達磨になってる目の前で
ティータちゃんとエステルちゃんをボコボコにしながら犯しまくりたい^^
死なない程度にボコりつつ妊娠するまでひたすらやりまくって
赤ちゃん産まれるまで全員虫の息で生存させといて、
やがて出産になったら産まれた赤ちゃん踏み潰してアガッさんとヨっきゅんに美味しく味あわせたい


141:名無しさん@ピンキー
11/06/08 16:05:19.01 JcJzH+Os
零終了後のレンの前でエステルを犯したら面白そうな反応してくれそうww

142:共に歩みぬく意志
11/06/08 23:36:54.79 GLr7oSXO
***

クロスベル警察の会議室には、冷めたコーヒーが二つ並び、椅子に座ったままのけぞるドノバンと、机につっぷしたままいびきを立てるその部下レイモンドが、つかのまの休息をとっていた。

「ったく、こういう肝心なときに一課の連中ときたら、そろいもそろって共和国の観光とはいい気なもんだぜ。」

ドノバンがぼやきながら身体を起こし、たばこをくわえる。

「ん。ん。ん!クソッたれ、安物はすぐこうだ。おい、レイモンド。起きろ。休憩時間終わるぞ。」
「ううーん、あと五分…。」

彼はレイモンドの肩をゆすりながら、鳴った携帯通信機を取り出し応じた。

「はいよ、こちら二課のドノバン…なんだお前か。どうした。ああ。おう。
最近その噂しか聞かねえからな…何?本気かおい、ちょっとまて!くそ、切りやがった。」
「おおお、ゆれる、世界がゆれる…」
「いつまで寝ぼけてんだ、さっさと起きろ!」

椅子を蹴り飛ばされ、レイモンドが跳ね起きる。
しぼんだ目をこすり、だらしなく口を開ける彼に呆れながら、再びドノバンがたばこをくわえた。

「なんか、誰かと話してましたか。ドノバンさん。」
「ああ、セルゲイとな。話すだけ話してさっさと切りやがった。」

ドノバンが何度もライターを鳴らす。空の女神が彫ってあるそれは、血管が硬く浮き出た拳の中、火花だけをむなしく散らした。

「セルゲイさんかー。そういえば言ってましたね。ライターが言うこと聞かない時は、オイル切れ疑う前に、自分の頭冷やせって。」
「ああ?俺が焦れてるってのかよ…。今回の事件といい、あの野郎どういうつもりなんだ。」

とうとう火をあきらめ、ドノバンがたたばこを噛み締め、席を立った。

「いくぞレイモンド。逮捕令状の申請せにゃならん。」
「犯人見つかったんですか?」
「頭にくるぜ、噂に食いつくだけなら、なんのための警察なんだよ。」
「あ、ちょっと、待ってくださいよ!」

二人が上着を手に取り、部屋を出て行く。
廊下を足早にあるくドノバンに、レイモンドは様々に問いかけるが、彼は黙ったままエレベーターの前まで足を運び、止まった。
扉を開けると、レイモンドに向き直る。

「お前は先に出て車を用意しとけ。すぐに出れるようにな。」
「解かりました。あ、でも俺の車今フロントこすられて不細工になってるから、ドノバンさんの車借りたいなあなんてって、ドノバンさん?」

エレベーターの扉が閉まる音とともに、既にドノバンの姿は無い。

「はあ…修理さっさと出しておくんだったなあ。」

受付のレベッカに投げキッスをするも無視され、しかしそれも気にする風もなく肩をすくめると、彼は駐車場へと足を運んだ。
自分の車の正面に立ち、腕を組んで眺める。

「女の子の知り合いに見られなきゃいいんだけどね。」

ほどなく、本署からドノバンが令状を手に出て来ると、正面に止まっていた車のライトが点滅した。
乱暴にドアを開け、身体を放り込むように彼が乗り込むと、車が大きく傾ぐ。

「ドノバンさんもうちょっと優しく乗ってあげてくださいよ。ただでさえ『彼女』、不機嫌なんですから。」
「悪いが俺は上に乗せるほうが好きでな。東通りに行け。」
「はいよ。」

143:共に歩みぬく意志
11/06/08 23:38:03.09 GLr7oSXO
ぬける通り全てに、警官がたむろしており、こちらの姿をみると敬礼を送ってきた。
ハンドルを操作しながら、ドノバンの広げる令状を、レイモンドが細かく横目を送る。
大きく綴られた名前が目についた。

「へ?ロイド・バニングス?」
「馬鹿野郎、前みて運転しろ。ほれ、そこにつけろ、降りるぞ。」

車を降り、旧市街に向かうドノバンを追う途中も、レイモンドは信じられないといった表情で何度も額に手をあてていた。
鉄橋を渡り、広場を抜けると、ナインヴァリの前にセルゲイが立っている。

「おう、来たか。」
「ああ。やっこさんは?」

顎で示され、店内に入る。
小さな窓から差す光に塵がきらめき、うなる換気扇の影がはためいた。寿命の近い電灯のせいで薄暗い室内に、淀んだ空気が蔓延している。
そんな中、特務支援課のメンバーは向く方向も様々にたむろしていた。

「お役目ご苦労様です。」
「ロイド…。」

不安そうなエリィの視線を浴びながら、椅子に力なく座っていたロイドが、表から入ってきたドノバン達を見て立ち上がり、敬礼する。
奥で壁と対面していたランディが、砂を噛んだような横顔を見せた。

「敬礼してくる相手に仕事するってのも変な気分だな。」
「…。」
「罪状は窃盗、器物破損、傷害…およびテロ未遂、か。話じゃ爆弾を盗んだらしいな。」
「爆弾!?」

レイモンドが素っ頓狂な声を上げる。
びくりと、エリィに背中を支えられたアロネが肩をすくめた。うつむいた顔はすっかり青ざめている。

「な、なんだってそんなものを?いや、まだキミだって決まったわけじゃ無いけど。」
「なあロイド、本当にお前なのか?俺はどうも腑に…。」
「さっさと連れて行け。」

ドアの脇に背を預けたセルゲイが促した。

「いつからうちの署は現地取調べの形式になったんだ。仕事は素早く、だろう。」
「ああ。そうだな。」

すでにドノバンは逮捕状を受け取る際、副所長から詳細は聞かされていた。その際、キツネの機嫌が良かったのも気のせいではなかっただろう。
彼は大きく肩で息をつき、ロイドの肩を叩くと、レイモンドがおそるおそる出した手錠を、目で制した。

「こいつにはそんなもん要らんだろう。車に乗せろ。」

ロイドが出口をくぐる。一瞥もくれずに、セルゲイはたばこを咥えた。
ドノバンは深く息を吐くと、頭を掻いた。

「冷淡なもんだな。それも班長としての心得の一つってわけか。」
「何がだ。」
「部下パクって何がだは無いだろう。」
「フ…別れを惜しむ女のようにむせび泣いたほうが良かったか?」


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