11/07/03 11:23:37.72 e3zHdc9J
(膨張色……収縮色……)
ティオが、思考回路をフル回転させる。
(小さいのを更に小さく見せてはいけない……ならば、少しでも大きいように見せられる色とデザイ
ンで、尚かつ予算内の物は……)
情報の海の中へ飛び込むイメージと共に、眼窩の奥に店内の映像記憶を転写し、自分の望みに一番
叶うデザインのを探り当てると、三人への挨拶もそこそこに試着室から出て行った。
記憶のままに店内を歩き、目的の下着の前へ行く。
思わず目を細めたくなるような鮮やかなレモンイエローのサテン布地をベースに、雪のように白い
チュールレースを何層も重ね合わせてカップに縫いつけられたデザイン。お揃いのパンツもセットで
用意されている。
(膨張色に膨張色を組み合わせたこれならば……)
ティオはほっと息をついて下着を手にとろうとした矢先、記憶と少し違う事に―自分のサイズの
物が売り切れている事に気が付いた。
「―!?」
動揺でティオの身体が痺れる。
幸い、同デザインの一つ上のサイズは残っている。だけど、一つ上というだけでもカップに圧倒的
な差がある。そのまま着用した場合、中身との差でカップがガバガバ凹むのは間違いない。
(他のを選んだ方がいいでしょうか……)
だけど予算内で望みのデザインのと言えば、これしかない。
既にカゴに入れてあるみっしぃのを一つ戻せば選択肢は増えるが、そんな事をすればエリィに訝し
まれる。
(となれば……)
ティオの目が、レジ前の籠に入ったパッドへ向けられる。
(こういう虚偽はあまりしたくないのですが……仕方ありません)
敗北感にため息つきながらも、ティオが件のブラをカゴに入れた時、
「ちょ~っとサイズが大きいようだけど、大丈夫なの?」
唐突に後ろからイリアの声がした。