【お焚き上げ】投げSS供養スレ【墓場】 2at EROPARO
【お焚き上げ】投げSS供養スレ【墓場】 2 - 暇つぶし2ch28:"Rain"- Around The Secret - 4/4
11/03/30 01:50:02.91 DfvKli3q
わたし達、どんなに愛し合っても、何度こうして身体を重ねても。
二人とも、本当に欲しいもので心は埋められないのね。
あなたはきっと、これからもわたしに微笑むことはない。
だからわたしはこれからもずっと感じ続けるのね。決して満たされることのない、あの喪失感を。
わたしはきっと、あなたがお兄ちゃんの体にいる限り。あなただけを愛することはできない。
ずっと探してしまう。あなたの中にお兄ちゃんを、求めてしまう。
だからあなたも。決して満たされることはない。

ごめんね、アンク。ごめんなさい。
こんなふうになるなんて、思わなかったの。
本当に……本当に……ごめんなさい……。
でも、でもね、わたし。
本当に。本当に、あなたのことを。
あなたの、ことも……!

「アンク!」
抗うことをやめ、比奈は彼の背にその腕をまわし、きつく抱きしめた。
「わたし、あなたのこと本当に……好」
「言うなっ!!」
彼は吠えた。
そしてこれ以上はないほどの辛そうな表情を浮かべながら、いきなり比奈の唇をその口で塞いだ。
彼女にそれ以上、その言葉を続けさせないために。
息苦しさすらも甘いそのキス。比奈の意識が遠のく。
比奈にはわからなかった。彼が何故その言葉を遮ったのか。
彼はまた、自分を獲物のままでいさせてくれようとしているのだろうか。
それとも聞きたくないのだろうか。その言葉を。
彼か、兄か。自分自身ですらどちらに向けているのかわからないこの愛の言葉を。

比奈は泣いた。彼の、兄の。腕の中で。
あまりにも残酷な二人の運命を思い、兄の体に憑いている限り決して本当に満たされることのない
彼の愛を思い、そして同じくこれからもどんなに求めようと埋められることのない己の喪失感を思い、
ただ、ひたすらに泣いた。
これが償いなのだ。共に同じ罪を背負った二人に課せられた償い。
二人がどれほど目を逸らそうと、気づかぬふりをしようと。
罪を犯したあの夜から。既に始まっていたのだ。この償いの日々は。

ごめんね、アンク。ごめんね。
許して。
アンク……お兄ちゃん……わたしを、許して……!

雨の音が聞こえる。
まるで罪を重ねる二人を責めるように激しく降り続き窓を叩いていた雨。
だが雨はそんな二人をふと憐れんだのか、部屋から漏れる比奈の啜り泣く声と軋むベッドの音を
雨音で掻き消しながら、その秘密を覆い隠した。

─終


以上、何か高尚っぽいものを書こうとして見事に大失敗するという情けなさと共に焚き上げなむなむ


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