11/03/31 23:51:03.80 i2lVlANC
#あ゛~申し訳ない。とりあえず、先にリクエストのあった『竜人と巫女のゲーム』の続きから。77的ネタも考えてミマス。
* * *
「パパさーん、レムがOKしてくれましたよーー!!」
あたしは、目を白黒させているレムの手を引っ張って、国王の執務室へと向かう。
普通は、異国の王族の端くれとは言え無位無官の人間が、そう簡単に一国の王に面会なんてできないモノなんだけど、あたしは執務室は元より国王夫妻の私室にすら、ほぼ顔パスで出入りを認められている。
「ほほぅ! コヤツにそんな度胸があったとは……いや、少し見直したぞ」
執務室で、片眼鏡(モノクル)をかけ、書類に目を通しつつ、ペッタンペッタンと判子をついてた壮年の男性竜人が、ガタッと椅子から立ち上がり、意外そうな声をあげる。
この人が、聖統ドラクタリヌース王国の現国王、パパルドゥン・ブルーチ・ディノ・ナーガラー。身長200クロム近い偉丈夫ながら、気さくで豪快なその性格から、国民に慕われ頼りにされている竜人族の王様だ。
こうやって文官的な仕事をしてるのもなかなかサマにはなっているけど、勇敢にして剛毅な竜人の長として、やはり本領は武人。護衛の戦士団の猛者を含めても、この王様の槍さばきに敵う人はいないらしい。
「あなた、まだ午前中のお仕事は終わってませんわよ?」
その傍らで、国王以上に大量の書類を恐ろしい速さで処理している竜人女性が、王妃であり国王の秘書官でもあるィョーママ・ミィーヤ・ディノ・ナーガラギ様。
要するに、レムのご両親ね。
ちなみに、王様と王妃様のファーストネームは、どちらも人間のあたしには正確に発音しづらいので、ご本人達の許可を得て「パパさん」「ママさん」と呼ばせてもらっている。
いや、最初はちゃんと普通に「陛下」って呼んで、それなりの態度とってたんだよ? でも、何度か謁見(というか面会?)しているウチに、気に入られちゃって「名前で呼べ」ってコトになったのよねー。
まぁ、この国は、ウチ(アキツ)とかシン国とかに比べると、随分と王家と民の垣根が低い方なんだけどさ。それでも、ここまでフランクな王様は、歴代でも珍しいらしい。
今じゃ、朝夕のご飯は、国王一家に混じって御馳走になってるし、半分家族的な扱いを受けてる。幼い頃に両親と死に別れたあたしにとっても、王様達は種族こそ違えど「父さん、母さん」って感じがして大好きだから、嬉しいんだけどね。
「それはそれとして……レムルス、よくぞ決意してくれましたね」
クールで有能な秘書官の顔から、優しい王妃いや母の顔になって、ママさんは息子を褒める。
「は? いや、まぁ……はは」
不要領な顔をしてる(まぁ、実際わかってないだろうけど)レムは、それでも愛想笑いのようなものを浮かべて、曖昧な答えを返す。
あーー、もうっ! そんな風に「なぁなぁ」な態度で面倒事をやり過ごそうとするのは、アンタの悪い癖よ!
もっとも、レムがこういう性格に育ったのは、環境によるところも多いから、一概に責めるのも酷なんだろうけど。