11/03/18 08:19:34.07 98kDNJdu
TSしか知らなかったよ…
51:名無しさん@ピンキー
11/03/18 08:28:05.53 3NlohS6e
自分もTSだけ
巨大娘はジャンルの存在そのものを知らなかったw
世界は広いな
52:名無しさん@ピンキー
11/03/18 09:02:33.85 yDyFhqaG
昔、不思議の国の少年アリスという漫画を読んだ
主人公は必ずアリスなんだが、ほぼ一話ごとにパラレルワールドみたいに
話がつながってなかった
その中に一話だけTSの話があってな
不思議の国にやって来たアリスが王子に見初められて
無理やり女にされてアリスが激怒するのだが
それから何十年も経ってアリスは老衰した王子の墓に
「こないだまた息子が産まれたばかりなのに」
と言いながら泣いてすがりつくという
ちなみにTSの影響でアリスはずっと若いまま
53:名無しさん@ピンキー
11/03/18 10:43:34.88 R4ppO7Rg
>>52
あったね~>「少年アリス」
補足すると、アレの本編は連作短編で一応話がつながってるはず。
ちなみに普段はアリスくんは女装。
TSしたりしたのは番外編かな。
54:名無しさん@ピンキー
11/03/18 10:47:25.67 KFtcroVu
>>53
本編でも徐々に女性化してるっポイ名言はされてないが
55:名無しさん@ピンキー
11/03/18 20:14:39.62 XVZo27M8
> それから何十年も経ってアリスは老衰した王子の墓に
> 「こないだまた息子が産まれたばかりなのに」
老衰一年前まで子作りしてたんか。つーか出来たのか
56:名無しさん@ピンキー
11/03/18 20:51:12.28 dHf0hEED
萩原一至のアシスタントらしい絵柄で
奇乳化も無いし、かなり絵は上手かったな
アリスは細身だがムチムチのねーちゃんたちも出てきた
57:名無しさん@ピンキー
11/03/20 08:38:53.34 byZOAXPl
僕と父さんは血がつながっていない。
僕は母さんの連れ子だったから。
だけど僕は父さんのことを本当の父のように慕っていたし、
父さんもまた、僕のことを実の子のように扱ってくれた。
だけどある日、母さんが死んでしまった。
父さんはそれはそれは悲しんでいた。
愛し合って結婚した二人だから、その悲しみは重かった。
僕はなんとか父さんを立ち直らせてやりたかった。
でもどうしたらいいか分からなかった。
そんな時だった。
「お前あいつに似ているな」
父さんが言ったその言葉の意味を僕は分からなかった。
「そ……りゃそうだよ、親子だもん」
「そうだな、これでお前が女なら……」
僕はその父さんの言葉に不安を感じていた。
それから後のとある晩、僕は父さんの手料理を食べた。
その日は父さんも珍しく笑っていたから、僕も嬉しくて
久しぶりの家族の団欒を過ごしたんだ。
だけど、僕はきっと父さんのその行動の意味を考えるべきだったんだ。
翌朝、目覚めた僕は異変に気づいた。
身体が重くて自由が効かない。
でもそれ以上に驚くべきは、僕の身体が女の子になっていたこと。
「美里、会いたかった……」
「父さん……? どういうことなの?」
父さんもまた裸だった。
美里は母さんの名前、父さんは僕のことを母さんに重ねていたんだろう。
手足が石のように重くて動けない僕は逃げることもままならず、
覆い被さってくる父さんにされるがままになってしまった。
「うあ! そこ触っちゃダメ……ぇ……」
「美里……美里ぉ……」
両方の乳首を舐めしゃぶられて、僕の理性は吹っ飛びそうになった。
父さんは僕の身体をいたぶり尽くした。
首筋も脇腹も足の付け根もお臍も、的確に感じるところをいじられ
僕は抵抗の言葉すら出すことができなくなった。
でもその時気づいてしまったんだ。父さんは母さんを失っておかしくなった。
父さんには母さんが必要だったんだ。
だから、父さんを慰めるためには僕が母さんになるしか……
「美里、行くよ」
「父さ……俊之さん……」
僕はきっとその時、覚悟を決めたんだろう。
ズブズブと後ろから入ってくる父さんのペニス。
僕は声にならない声をあげてそれを受け入れた。
それは痛みというより快楽だった。
58:名無しさん@ピンキー
11/03/20 08:49:15.49 byZOAXPl
「ああぁぁ……俊之さ……」
「美里ぉ……」
激しく抽送を繰り返す父さん、僕は動物の牝になったような気がした。
「出すぞ美里、受け取れ!」
それが何を意味しているか分からないほど子どもではなかったけれど
僕はそれから逃げることはできなかった。
温かいものがお腹の中に広がる感覚、何か危険な充足感。
僕は、ゆっくりと意識を手放していった。
あの日から僕は父さんの妻になった。
父さんは僕の身体を毎日求め、そして僕も受け入れた。
父さんは明るく笑うようになっていた。
だけど父さんは僕のことを忘れていた。
「赤ちゃんが……できたの」
そう言うと、父さんは本当に、本当に嬉しそうに笑ってくれた。
僕はこの子に晶と名を付けるつもりだ。
僕はもう美里になっちゃったから、
せめて僕の名前を、我が子に。
59:名無しさん@ピンキー
11/03/20 11:19:50.53 b4mI4rhc
>>58
切なくてイイ話だ……。
もう少し、長いとなお良かったけど、コレはコレでありです!
60:名無しさん@ピンキー
11/03/21 16:53:43.96 H/nkPybF
TS TF MCしか分からん
なんというか女性化小説スレなんだし、面倒い思うがTS以外の略語は使うのやめたほうが良いんじゃね?
61:名無しさん@ピンキー
11/03/22 20:43:16.11 zIAiFpaS
先生、男子が二人多いです
なに? 和田 お前女になれ
という軽いノリのTSが思い浮かびそうで思い浮かばない
62:名無しさん@ピンキー
11/03/22 21:18:17.36 SnhpLwzy
男女男男女男女 フッフー!
男女男男女男女 フッフー!
男女男男女女男女男女
女男女男女男男女♪
を思い出した。
63:名無しさん@ピンキー
11/03/23 22:30:41.85 TDc6CNCA
>>9
ラノベっぽい雰囲気で入り込みやすかったです。更新が楽しみ。
64:9作者
11/03/24 10:15:19.56 FJQm1pRH
エロの少ないラノベっぽい作品は、ここでは敬遠される傾向にあるようなので遠慮してたんですが……。
ご要望があるなら、今立場交換スレで書いてる作品を終わらせたら再開してみます。
65:名無しさん@ピンキー
11/03/24 10:25:31.43 vYaVr3YC
もしかして○○○さん?
もしそうだったらよくお世話になってます
66:名無しさん@ピンキー
11/03/24 19:11:22.09 QghdJSjB
>>64
更新期待してます
67:名無しさん@ピンキー
11/03/24 19:49:53.66 SRLqcJIk
エアリィはどっかで続きかいてるのん?
68:名無しさん@ピンキー
11/03/24 20:31:02.89 kvAxMRM0
借金のカタで地主の息子の婚約者になるためにTSされる
そして自分からキスさせられたり、
お風呂に一緒に入らさせられたり
思い切り短いスカートでデートさせられたり
69:名無しさん@ピンキー
11/03/24 22:06:25.73 RU88XrCI
>68
借金のカタじゃなく、遊び人の友人から、
「親を安心させるために、女装して偽装婚約者になってくれ」
と頼まれる設定なら、某支援所で見たかも。
当然、単なる女装だけじゃなく、徐々に女性化が進行するわけだがw
70:名無しさん@ピンキー
11/03/25 01:05:38.95 lHLxKDRm
友人の知人が彼女を連れてくるので、友人の彼女のふりをしてくれと頼まれてTS
酔っぱらって友人に介抱されてホテルへ、気が付いたら・・・という話はあった。
71:名無しさん@ピンキー
11/03/25 06:02:37.88 WL9YA9q7
>>69
あれ、続きを待ってるんだけど……
72:名無しさん@ピンキー
11/03/25 06:10:02.36 RBeRzcY4
>>67
どっかで書いてるって話は聞いたことないな…。
ただ、地震前から書き込みないし、作者が生きているかどうかを心配した方がいいかもしれない。
73:名無しさん@ピンキー
11/03/25 08:50:01.33 6fkhOoG7
作者死亡で蜜柑とか悲惨だな
74:名無しさん@ピンキー
11/03/25 23:12:42.87 0LnYT4J8
おっとグインサーガの悪口はそこまでだ
75:名無しさん@ピンキー
11/03/27 10:42:01.85 Ye1M6HsR
根暗の蜜柑…
76:名無しさん@ピンキー
11/03/27 20:45:07.35 EHmJ5QEf
我が悪の組織一の実力者であった君だが、ヒーローたちに
こうも連敗するようでは懲罰も避けられない
君には肉体改造手術で女になってもらって
新世代怪人の母体となってもらおう
安心したまえ、性感も増幅してやるから
陣痛でもイける身体になれるさ
77:名無しさん@ピンキー
11/03/28 00:11:17.19 iuuikkqa
女装(男の娘)と女性化をからめるのは、ココではアリ?
個人的には、
1)何らかの事情(「旧家のしきたり」とか「スパイor探偵」とか)で、
渋々女装して女の子として学園に通っているヒロイン(?)を、
主人公が見染める。
2)主人公に告白されたヒロインが「実は私……」と男であることを明かす。
ショックを受ける主人公。
3)しかし、それでもヒロインをあきらめきれない主人公が、
男性を女性化させる何らかの手段(薬・マシン・呪いetc)を入手。
4)再度呼び出したヒロインの意識を、スタンガン/クロロフォルムなどで
奪い、自宅に拉致監禁。女性化の手段を行使する。
(その前に、男のままフェラとかさせるのもアリかも)
5)数日後、ヒロインが完全に女性化したところで、主人公は
徹底的に「彼女」に女の悦びを教え込む。ついに陥落し、
主人公の恋人(あいじん)になることを誓うヒロイン。
6)無事、学園に復帰したヒロインだが、それまでにない色香が漂う
ようになっていて、周囲は困惑。また、主人公とは公認の仲で
淫乱バカップルに
……というコンボが、すごくいいなぁと思う次第。
78:名無しさん@ピンキー
11/03/28 00:41:55.63 Dr5zsszv
>>77
ぶっちゃけ4)があればアリかと
あとエロ板だから5)も欲しいが賢者化と言う強敵の前に
あえなく散っていった作者さんの多いこと多いこと
79:名無しさん@ピンキー
11/03/28 02:52:02.33 Fguejsnc
問題は処女を調教してしまうようなテクをどうやって主人公が
身につけたかだな
80:名無しさん@ピンキー
11/03/28 19:20:05.80 481LJQJT
>>79
こまけぇこたぁいいんだよ
主人公の生い立ち紹介とか誰得ですかというか>>77氏が早く執筆してくれると俺が喜ぶよ!よ!
81:名無しさん@ピンキー
11/03/28 23:30:01.08 aq0Dk2Xm
そこで、何故か男を助けてくれる宇宙のセールスマンですよ
82:名無しさん@ピンキー
11/03/28 23:38:53.30 PDuY1ZAY
男がロリにされて、戻る方法が見つからずに、不老不死で300年経ってて、
「わしはオトコぢゃ!」
「はいはい。お嬢ちゃん、どこからきたのかなー?」
「う、うるさい!」
って、行き倒れた先の男に拾われてドタバタラブエロコメディ
ってのを就寝前にいつも妄想する。
拾った主がオトコの娘で
「お、おおお、おぬし男であったか?!」
「なによぅ、アタシは心は女なのよ?」
「で、でででもそのちっぱいに立派な象徴はどう見ても…」
「これが男として機能するか、アナタで試してあげる!!!」
「にゃああああぁぁぁ… あぅん♪」
とかとか。脳内劇場は今日もマンin御礼大繁盛だ
83:名無しさん@ピンキー
11/03/31 07:22:25.76 cmHvmCnS
>>82のようなポップなレイプ見たいな
面白そうだw
84:名無しさん@ピンキー
11/03/31 11:28:32.20 74W36CPF
83 ぽのぼのレイプは興奮するな。早く82は続きを書きなさい
85:5かつ77
11/03/31 23:51:03.80 i2lVlANC
#あ゛~申し訳ない。とりあえず、先にリクエストのあった『竜人と巫女のゲーム』の続きから。77的ネタも考えてミマス。
* * *
「パパさーん、レムがOKしてくれましたよーー!!」
あたしは、目を白黒させているレムの手を引っ張って、国王の執務室へと向かう。
普通は、異国の王族の端くれとは言え無位無官の人間が、そう簡単に一国の王に面会なんてできないモノなんだけど、あたしは執務室は元より国王夫妻の私室にすら、ほぼ顔パスで出入りを認められている。
「ほほぅ! コヤツにそんな度胸があったとは……いや、少し見直したぞ」
執務室で、片眼鏡(モノクル)をかけ、書類に目を通しつつ、ペッタンペッタンと判子をついてた壮年の男性竜人が、ガタッと椅子から立ち上がり、意外そうな声をあげる。
この人が、聖統ドラクタリヌース王国の現国王、パパルドゥン・ブルーチ・ディノ・ナーガラー。身長200クロム近い偉丈夫ながら、気さくで豪快なその性格から、国民に慕われ頼りにされている竜人族の王様だ。
こうやって文官的な仕事をしてるのもなかなかサマにはなっているけど、勇敢にして剛毅な竜人の長として、やはり本領は武人。護衛の戦士団の猛者を含めても、この王様の槍さばきに敵う人はいないらしい。
「あなた、まだ午前中のお仕事は終わってませんわよ?」
その傍らで、国王以上に大量の書類を恐ろしい速さで処理している竜人女性が、王妃であり国王の秘書官でもあるィョーママ・ミィーヤ・ディノ・ナーガラギ様。
要するに、レムのご両親ね。
ちなみに、王様と王妃様のファーストネームは、どちらも人間のあたしには正確に発音しづらいので、ご本人達の許可を得て「パパさん」「ママさん」と呼ばせてもらっている。
いや、最初はちゃんと普通に「陛下」って呼んで、それなりの態度とってたんだよ? でも、何度か謁見(というか面会?)しているウチに、気に入られちゃって「名前で呼べ」ってコトになったのよねー。
まぁ、この国は、ウチ(アキツ)とかシン国とかに比べると、随分と王家と民の垣根が低い方なんだけどさ。それでも、ここまでフランクな王様は、歴代でも珍しいらしい。
今じゃ、朝夕のご飯は、国王一家に混じって御馳走になってるし、半分家族的な扱いを受けてる。幼い頃に両親と死に別れたあたしにとっても、王様達は種族こそ違えど「父さん、母さん」って感じがして大好きだから、嬉しいんだけどね。
「それはそれとして……レムルス、よくぞ決意してくれましたね」
クールで有能な秘書官の顔から、優しい王妃いや母の顔になって、ママさんは息子を褒める。
「は? いや、まぁ……はは」
不要領な顔をしてる(まぁ、実際わかってないだろうけど)レムは、それでも愛想笑いのようなものを浮かべて、曖昧な答えを返す。
あーー、もうっ! そんな風に「なぁなぁ」な態度で面倒事をやり過ごそうとするのは、アンタの悪い癖よ!
もっとも、レムがこういう性格に育ったのは、環境によるところも多いから、一概に責めるのも酷なんだろうけど。
86:『竜人と巫女のゲーム』
11/03/31 23:52:01.54 i2lVlANC
ドラクタリヌースでは、戦士の長として「優れた王」には何よりも腕っぷしが求められる。無論、国のトップともなれば、脳味噌ぷーではやってられないが、一般常識と良識さえわきまえていれば、国政は有能な補佐がいれば何とかなる。
その意味では、パパさんは水準を大きく上回る「名君」だと言っていいんだろう。書類仕事は苦手だとか何とか言いながら、キチンと部下からの報告その他に目を通し、極めて適切な判断を下してるんだから。
オマケに「黎明の才女」と謳われし文武両道の女傑であるママさんが、妻として秘書として補佐するだけあって、臣下や国民からの不満はほぼ皆無みたいだし。
とは言え、偉大なる親のもとに生まれた子供が必ずしも幸福か、と言うとそうでもなくて。
強き戦士になるには体格も膂力も誠にお粗末な身体に生まれ、偉大な父母と比較され、陰口をたたかれ、それでも母譲りの魔力の高さを活かすべく高度な魔術を懸命に覚えても、残念ながらいまひとつ報われない。
この国では、術師やそれに類する職に就くのは、身体能力が劣る女性が圧倒的に多いのよね。蔑視されてるワケではないし、むしろある意味頼りにはされてるんだけど、やはり「戦場の花形」は戦士系で、術師系はその補助って感じ?
お国柄の一言で済ませるには、本人にとってはあまりに重い現実よね。
そんなワケで、将来の夢と希望を見失いがちなモラトリアム王子様は、両親がどうも苦手みたい。尊敬はしてるし、決して嫌っているワケでもないんだけど、積極的に関わりたくない、ってトコかしら。
とは言え、今回の「企み」は、ソコが付け目だったりする。
ククク……あたしも悪よのぅ。
「では、ママさん、早速儀式を……」
「そうですね。あなた、あとは頼みましたよ」
ママさんが抱えていた分の書類をドカドカッと足されて、竜人にも関わらずあまりにわかりやすい絶望の表情を浮かべて崩れ落ちるパパさん。その尊い犠牲を尻目に、あたしとママさんは、何やら嫌な予感に逃亡しようとするレムの両腕をとって連行。
王族しか知らないはずの(あたしに教えていいのかしら?)秘密の地下室へと連れ込む。
「さて、と。まずは澪霧ちゃん、あなたからね」
「あいあい、髪の毛と血と汗、そいでもって唾液と愛液でしたっけ。ココに持って来てありますよ~」
他の4つはともかく、最後のは、さすがに他人に見られながらヒネり出すのは、花も恥じらう乙女としてどーかと思うし。
ともかく、その5種類を入れた細いガラス瓶をママさんに差し出すと、彼女は直径300クロム程の三重同心円に五芒星が書かれた魔法陣のその星形の各頂点に、あたしが渡した瓶を置いて儀式に入る。
87:『竜人と巫女のゲーム』
11/03/31 23:52:23.23 i2lVlANC
「いったい何をする気なんですか?」
ようやく逃亡を諦めて大人しくなったレムが、いかにも「怖いもの見たさ」的な微妙な好奇心を隠しきれずに聞いてくる。
「ふっふーーん、まぁ、見てなさい。すぐにわかるから」
確か、アレが出来るまでに、それほど時間はかからなかったはず……。
─とあたし達が話しているあいだに、ママさんの詠唱は終わり、右手に持った宝杖が振り下ろされると、杖の先からとてつもない量の魔力が迸り、魔法陣に注ぎ込まれた。
「はぁ~、何度見ても流石よねぇ。「紅竜の魔女(クリムゾンウィッチ)」の名は伊達じゃないったコトかしら」
エルフや魔族は元より、あたし達人間やドワーフと比べても、竜人の魔力はあまり高い方じゃない。いえ、より正しくは「魔法に使える魔力が」と言うべきかも。
魔力の塊りが実体化したような魔族を除くと、この世界でもっとも魔力に溢れた肉体を持つ竜に連なる種族ではあるが、同時にその魔力の大半は、肉体を強化する方向に費やされる。
だからこそ、逆に身体的強度がそれほど高くない女性の竜人のほうが、概して優秀な魔術師になれるのだけど……それにしたって、ママさんのソレは桁が違う。人間の大魔導師と比べても遜色ないわね、たぶん。
……まぁ、あたしの知る「大魔導師」なんて、死んだお祖父ちゃんくらいなんだけどさ。
バチバチと電撃のような火花をあげつつ、魔法陣内─正確には描かれた五芒星上を凄いスピードで駆け巡っていた魔力塊が、それでも徐々に小さくなっていくのと引き換えに、魔法陣の中心に、何かが出現しようとしていた。
「え!? アレって……え? まさか……」
あたしのそばにいるレムがちょっと焦ったような声を出す。
「そ。アレは間違いなくあたし」
少しずつ少しずつ、陽炎のような姿から明確に質感を持っていくソレから目を離さず、あたしはレムの推測を肯定した。
そう、大理石の床に描かれた五芒星の中央には、眠るように目を閉じた、あたしと瓜二つの全裸の少女の身体が出現しつつあったのだから。
#次回、いよいよTS的場面! ……展開が遅くて申し訳ない。
88:名無しさん@ピンキー
11/04/02 08:15:37.88 21SdCQm/
投下乙!待ってましたよ~
89:『竜人と巫女のゲーム』
11/04/05 00:25:17.14 k8sgv2yB
「複製体(ドッペルゲンガー)? いや、そんなのは古代魔法帝国時代ですら超高難度の禁呪のはず……」
床の上の「あたし」を憑かれたように凝視しながら、レムはブツブツ言ってる。
賢者クラスでもない限り知らない「複製体」の知識を持ってるのはさすが「本の虫」だけど、一応、アレは「あたし」とまったく同じ外見なんだから、ガン見するのは自重してね。
「! す、すみません」
言われて気付いたのか、アタフタしながら目を逸らすレム。
「ふふっ、まぁ、もうちょっとだけ待ってなさい。すぐに好きなだけ見れるようにしたげるから」
「へ?? それはどういう……」
ワケが分からない様子の彼はあえて無視して、ひと仕事終えたばかりのママさんの元へ駆け寄り、自作の霊水を指し出す。
「ふぅ……ありがと、澪霧ちゃん」
キュポンと竹の筒に入ったそれの栓を抜くと、疑いもなく中味を飲み干すママさん。
いや、渡した本人が言うのもナンだけど、一応王妃として毒見とか気にしなくていーのかしら?
「あら、わたしにとって澪霧ちゃんは娘みたいな存在(もの)ですもの。我が子が手ずから造ってくれたものを疑うつもりはないわ」
え、えーと……ちょっぴり気恥ずかしいけど、やっぱりそう言ってもらえるのは嬉しい、かな。
霊水のおかげで、幾許か魔力が回復したママさんは、レムを手招きした。
「はぁ……何がなんだかサッパリですけど、結局コレは何の騒ぎなんですか?」
「まだ、内緒です……レム、ちょーっと痛いけど我慢できますね?」
「は? な、何を……」
慌ててレムが問い返す前に、あたしはレムの鼻先に睡涎香の粉をブチまけた。
「!…………zzz」
不意打ちは成功して、たちまち意識を失うレム。
「あら残念。雷撃痺弾で気絶させようかと思ってたのに」
「まだまだ魔力は必要なんですら、無駄遣いしないで下さいよ」
それに、さすがに母親から電撃魔法でスタンさせられるのは哀れ過ぎる。そもそも、レムの場合、術師として魔力抵抗値が高いから、気絶しない可能性もあったし。それじゃあ痛いだけ損だ。
90:『竜人と巫女のゲーム』
11/04/05 00:26:00.38 k8sgv2yB
「確かにそうね。じゃあ、始めましょう」
あたしと瓜二つの姿(ただし全裸)をしたソレを、抱き上げて部屋の隅の長椅子に横たえる。
そうして空いた魔法陣に、今度は意識を喪ったレムの体を安置。
アタシが魔法陣を出ると同時に、ママさんが詠唱を開始し……それとともにレム全身がぼうっと光り始める。
その光は、徐々に胸のあたりに集まって強くなり……最後に、カパリと開いたレムの口から、光の球となって、飛びして来た。
「おっと」
素早く、霊糸を編んだ特製の網で光球を捕まえる。
「澪霧ちゃん、ナイスキャッチ! あとは、ソレを「入れる」だけね」
あたしとママさんはニッコリと顔を見合わせた。
* * *
目覚めの気分は最悪の半歩手前だった。
二日酔いにでもなったみたいに頭が重いし、体の感覚も変だ。
(くぅ~、やられましたね……)
電撃でスタンした時特有の痛みはないから、多分母の魔法ではあるまい。
おそらくは、澪霧がかざした手で何かの薬をかがされたのだろう。まぁ、電撃魔法をくらって強制失神させられるのよりは穏当な手段だと言えるだろうが……。
「こういう時、アキツのことわざでは五十歩百歩と言うんでしたっけ」
何気なくその言葉を口にしたところで、不意に違和感が強まる。
─今、耳にした声のトーンが変ではなかったか?
「お~、もう目が覚めたんだ。予想より早かったけど、ウン、お着替えも終わったところだから、ちょうどいいかな」
感心したようなおもしろがっているような澪霧の声。
「澪霧さん! 流石に何の説明もなしコレは……」
ゆっくりと目を開けて身を起こしたレムは、目に飛び込んで来た映像情報が信じられず、思わずゴシゴシと目を手で擦った。
目の前にいるのは、両瞳に好奇心を爛々と輝かせた澪霧。コレは、まぁいい。いや、正直さっきの状況を問い詰めたい気もするが、一旦棚上げしておこう。
だが……今目をこすった自分の小さな白い掌や、視界の端をかすめる長い黒いもの、さらに視線を下に転じると視界に入って来る白と赤の衣裳は、一体何なのか?
聡明なレムは、おおよその事態を悟っていたが、彼はソレを認めたくなかったのだ。
91:『竜人と巫女のゲーム』
11/04/05 00:27:23.89 k8sgv2yB
「こらこら、往生際が悪いですよ? はい、鏡」
しかし、無常なる宣告は、彼自身の母親からもたらされる。
手渡された鏡を覗き込んだ彼は─半分は予測していたとは言え─そのまま毛布をひっかぶって現実逃避にふて寝をしたくなった。
言うまでもなく、鏡に映るレムの姿は、今目の前にいる異国の少女、千剣破澪霧と瓜二つの少女になっていたのだから。
#と言うわけで、3回目にしてようやくTS成立。しかし、竜人(♂)→人間(♀)って誰得、とか思ってみたり。
92:名無しさん@ピンキー
11/04/05 08:20:15.46 H0VCxt/A
少なくとも俺得ではある。これから先のレム君の受難に期待だ!
93:魔法少女キューティエアリィ ◆yboXY7MR9E
11/04/05 18:38:41.49 kvBkYzI7
お久しぶりです。
地震対応やら年度変わりで多忙になったりでなかなか執筆できませんでした。
だいぶ間が空いてしまいましたが、そろそろ十二話投下したいなあと思います。
竜人と巫女のゲームさんが一段落ついたら投下しますね。
なお、今回はほんの少しだけえろっちぃ部分があります。
94:竜巫女の人
11/04/05 19:16:49.86 3WZnX+/n
>エアリィさん
4話は少し長めにするつもりで、しばらく間があく(早くて週末)なので、遠慮なく投下しちゃってください。
95:名無しさん@ピンキー
11/04/05 20:59:46.89 Z9ST64Tx
なんだこの嬉しい悲鳴。作者方、お待ち申し上げます。
96:魔法少女キューティエアリィ ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:07:23.41 gR8qjZIN
さて、こんばんは
竜巫女さんありがとうございます。
では遠慮なく投下させていただきますね。
※注意
・ほんの少しだけエロっちい場面あります。
・今回はTSしません。
・相変わらずの台本形式です。
ということで、本編スタートします。
97:魔法少女キューティエアリィ12-1 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:09:26.48 gR8qjZIN
そしてスピカは静かに話し始めた。
大樹を始め、全員が彼女の言葉に注目していた。
・・・
本来魔法少女というのは男がなれるものではないの。
”少女”というくらいだから当然よね。
でもあなたには何故か魔法少女としての適性があった。
ウィッチーズスペースに 入って来れたことが何よりの証拠。
しかし、魔法少女としての資格があなたにはなかった。
当然資格と言うのは性別が女性であることという絶対的な条件ね。
つまりあなたには適性はあったけど資格がなかった。
そして何より重要なのは、魔法少女の適性というのは、唯一無二の存在・・・
だからその属性の適性者となれる者は一人しかいないということなの。
ということは、あなた以外の風の魔法少女はあり得ない・・・
そしてあなたを魔法少女の資格を与えるためにどういうことをしたか・・・
ここからの話はあなた達人間には耐え難い話かもしれない・・・
資格を与えるために西田大樹という人間と完全同期がとれる他の人間の情報が必要だった。
その同期をするためには生年月日、血液型、様々な因子が必要だったの。
その同期できる人物は、あなたの情報を元に探すことですぐに見つかったわ。
その同期できる因子を持っていたのが・・・
秋月望美という人物・・・
そして、その情報を得るためには、生きている時には得られない。
あのとき・・・あなたが魔法少女になった時・・・
一方では秋月望美は生命活動を終えた直後だったの・・・
だから私はあなたの傷を治しながら秋月望美の情報を使ってあなたに資格を与えた。
資格と適性がそろったあなたは私とコネクトして魔法少女になることができた。
これがあなたが魔法少女になれた真相よ・・・
第十二話「Laugh!そんな気持ちになれないよ」
98:魔法少女キューティエアリィ12-2 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:11:38.02 gR8qjZIN
スピカから事実を告げられ大樹はがっくりと肩を落とす。
大樹「なんてことだ・・・じゃあ俺は・・・
俺は望美ちゃんを殺して・・・生き長らえたってことじゃないか!」
大樹「そんな・・・他人の命を奪ってまで・・・生きている意味があるのか・・・」
スピカ「・・・ごめんなさい。これが現実なの。
でもね、あなたが殺したわけじゃないわ。
あの時もうすでに望美さんは亡くなっていたのだから。」
スピカは慰めるように大樹に語りかける。
スピカ「人間の言葉にすると難しいけ ど、
あの日あの時間に生命活動を停止するというのも
運命という名の因子の一つなの。」
大樹「そんなの詭弁だな。
既に亡くなっていたとはいえ他人の命を弄んだことには変わりない。」
怒りに震えながら、しかし静かに話していた。
スピカ「ああしなければあなたもあのまま死んでしまっていたし・・・
そうなったら風の魔法少女は二度と生まれてくることはなかった。」
しかし・・・大樹が納得するわけはなかった・・・
大樹「俺が誰も殺させないなんて言ったが、チャンチャラおかしいよな。
この俺自身が人を殺して得た命なんだから・・・」
そう言ってポケットからハーティジュエルを取り出す。
大樹はそれをじっと見つめながら絞り出すような声を出した。
大樹「俺・・・このまま魔法少女なんてやっていていいのかな・・・」
萌波「ふふっ・・・ふふふっ。ああ、おかしいわ。何を悩んでいるんだか。」
大樹「!何がおかしいんだ?」
萌波の笑い声に大樹が振り返る。
萌波「これが笑わずにいられますか。」
萌波は大樹を挑発するように語りかける。
大樹「どういうことだ?」
萌波「あなたさっきまで偉そうなこと言ってたじゃない。
仲間だとか、守るとか。」
萌波「それがこんなことであっさり止めちゃうんだ。」
萌波は呆れたように溜息を吐きながら下を向く。
99:魔法少女キューティエアリィ12-3 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:14:17.47 gR8qjZIN
大樹「っていうけどな!俺という存在は他人の犠牲の上に成り立っているんだ!」
萌波「まあ、私はあなたがやめようが続けようが私には関係ないけど、
でもね、望美さんって子はどうなるの?」
大樹「どういうことだ?」
萌波「はぁ・・・あなたまだわからないの?
その望美さんって子はあなたの命に何らかの形で入っているわけでしょ?」
萌波「と言うことは、意識はないにせよあなたの中で生き続けている。」
萌波「あなたが魔法少女やめたら望美さんは生き返るとでも言うの?
違うでしょ?もう亡くなってしまったものは生き返らない・・・これが現実よ。」
萌波「でも、あなたの場合、望美さんの命はあなたの中で生き続けることができる。
それをあなたが放棄してしまったら・・・それこそ望美さんは報われないんじゃなくって?」
大樹はその言葉に言葉を発することがなかなかできなかった。
大樹「・・・萌波の言うことは理解できる・・・しかし・・・納得はできないんだ・・・」
萌波「そう・・・だったら私はもう何も言えないわ。」
明日美「やだよ・・・あたしたちどんな困難でも乗り越えてきたじゃない。
これからもあたしたち・・・」
大樹は明日美の言葉を途中で遮った。
大樹「悪い・・・少し考えさせてくれ・・・今すぐはエアリィにも絵梨にもなりたくない・・・
俺は・・・今までみたいに軽く笑って変身・・・したくない。」
大樹は絞り出すように喋った。
明日美「でもっ!無獣は?この世界はどうなるの?なんとか今までどおりに・・・」
大樹「ごめんな・・・今は・・・今はそんな気持ちになれないよ。」
大樹はゆっくりと歩いて公園を立ち去ってしまった。
明日美「大樹!!待って!待ってよ!!」
明日美が大樹の後を追う。
萌波「あなたが追っても無駄よ。
これはあの人が自分で解決しなければいけない問題。」
明日美「そんな・・・仲間として、友達として・・・
何とかしなきゃいけないじゃない!」
明日美は萌波に激昂する。
しかし、自分自身どのようにしたらよいか分からず、
もどかしい気持ちが山積するのであった。
100:魔法少女キューティエアリィ12-4 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:16:55.58 gR8qjZIN
萌波「だからあなたは・・・あなたたちは偽善的だっていうのよ。」
萌波「相手はいい年した大人でしょ?
どういう結論を出すにせよ自分で解決するわよ。」
明日美「あなた・・・少し変わったわね・・・」
明日美は少し唖然とした。
その言葉を聞いて萌波はぷいっとそっぽを向くのであった。
萌波「な、何を言うのよ・・・私はああいう鬱陶しいのが嫌いなの。
さっさとやめるならやめてほしいわ。」
明日美「くすくす・・・ほんと素直じゃないのね。」
そっぽを向いた萌波の顔は真っ赤になっていたことを知る者は誰もいなかったが、
明日美は萌波がどんな顔をしているのか想像できた。
その日は抜けるような青空で、真冬にしては暖かく、澄んだ空気が二人の頬を撫でていた。
とても、とてものどかな時間が過ぎて行った。
101:魔法少女キューティエアリィ12-5 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:19:10.88 gR8qjZIN
一方その頃・・・
ミーヤ「はぁはぁはぁ・・・っく!!この私がここまでコケにされるなんて!!」
ミーヤはイオに連れられ大樹の街のはるか上空にいた。
イオ「・・・ミーヤとしてのエネルギーが枯渇してきたかもしれない。」
ミーヤ「枯渇?」
イオ「うん、最近魔法少女たちにやられっぱなしだったろ?
だから僕に溜まっているエネルギーが非常に少なくなっているんだ。」
ミーヤ「そうね・・・このままだと・・・」
イオ「うん、だから早くエネルギーを補給しないといけない。」
ミーヤ「くくくっ・・・だとしたら今私ができることは一つね・・・」
ミーヤは黒い影を残しながらその場から掻き消えた。
そしてここはとある街の路地裏・・・
一人の女性がぶつぶつと独り言をしゃべり、うなだれる様に歩いていた。
女性「悔しい・・・なんで私が・・・いつもそうだ・・・悔しい・・・悔しい・・・」
そこに黒い影が風を纏いながら空から降り立つ。
女性「ひっ・・・な、なに?」
ミーヤ「私のこと覚えているかしら?
まあ、覚えているわけないわよねぇ。」
ミーヤがそう言うとその女性の額に指をトンと当てる。
するとあろうことかその女性の額に一本筋が入り内側から肉が盛り上がるように割れ目ができた。
ミーヤ「うふふ・・・きれいなピンク色・・・」
女性「あっ・・・なに・・?・・・はぁぁぁぁ・・・くぅぅ・・」
ミーヤはその女性の額にできた割れ目に先の尖った赤い爪の指を艶かしく這わせた。
そして、指をそのまま額の割れ目にゆっくりと挿入していった。
ニュプププ
女性「あっ・・・うっ・・・な・・・ん・・・で・・・んあっ!や、やめて・・・」
その女性はミーヤの行為になすがままにされ、恍惚とした表情を浮かべていた。
ミーヤ「あはは・・・気持ちいい?そろそろいくわよ!」
ミーヤは額に挿入した指をグリンとひねった。
女性「ぐっぐぁっぐあっぐっぐううう」
その女性はうめきだし、体ががくがくと震える。
そして足元から黒い影がその女性の体にまとわりつき始めた。
黒い影が全身を覆うとその姿は黒いマントを羽織ったダークウィッチへと変化した。
ダークウィッチ「ミーヤ様・・・」
そのダークウィッチはミーヤの足元に跪き手の甲にキスをした。
102:魔法少女キューティエアリィ12-6 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:21:13.24 gR8qjZIN
ミーヤ「挨拶はいいわ・・・あなたのその体・・・私に差し出しなさい。」
ダークウィッチ「え!?それはどういう・・・?」
ダークウィッチが言うよりも速くミーヤは唇を奪う。
チュプ・・・ジュルル・・・チャプ・・・
ミーヤに唇を奪われたダークウィッチは恍惚とした表情になり、
息も荒く、体が震えだす。
ダークウィッチ「あああ・・・はぁ・・・んっ・・・や、やめて・・・」
ミーヤ「んちゅっ・・・んふぅ・・・だまれ。」
まるでその姿はミーヤがダークウィッチの体を弄んでいるようであった。
しばらくするとダークウィッチはビクンビクンと痙攣しつつも意識が無くなり始めた。
ダークウィッチの体が光を発しながら粒子状に変わり、ミーヤはその粒子を吸いこんでいく。
ゆっくりと時間をかけながら最後の一粒まで吸いつくす。
ミーヤ「くふっ・・・まだだ・・・まだ足りない・・・」
そう言うとミーヤは一瞬のうちにその場から飛び去っていった。
ミーヤ「イオ、悲しみが溢れそうな奴はこの近くにいる?」
ミーヤは高速で飛びながらイオに聞いた。
イオ「んーまだ最終段階まで一つ足りないレベル3くらいのやつなら居るよ。」
ミーヤ「・・・そいつはどこに居るのかしら?」
イオ「ここから少し遠いけど、北東へ20kmほど行った町に一人いる。」
その高速で飛ぶミーヤに平然とついていくイオ。
ミーヤ「わかったわ。」
ミーヤとイオは全速力で北東へ飛び去っていった。
そして、目的の場所・・・
ミーヤ「この家ね・・・」
昼間にもかかわらず一軒家の二階に一か所だけ雨戸で締め切った窓があった。
ミーヤがその雨戸に手を翳すとミーヤの体ごとニュルンと部屋の中へ入り込んでいった。
中には一人の男性が膝を抱えてシクシクと泣いているのが見て取れた。
ミーヤが入ってくるのを見てその男性は驚いた表情で顔を上げた。
男性「な!なんだ・・・お前は!・・・どうやって入ってきた!」
ミーヤ「昼間っから陰気くさいわね・・・まあ、その陰気くさいのがいいんだけど。」
ミーヤはその男のことなど全く気にせずに言う。
ミーヤ「今からあなたを楽にしてあげるわ。ふふふ・・・」
ミーヤは舌なめずりをしながらその男に近づいていく。
男「やめろ・・・やめてくれ・・・来るな・・・!」
ミーヤ「私と楽しみましょ・・・とっても気持ちいいんだから・・・」
・・・しばらくするとその部屋から光が溢れ、
同時にぐらぐらと家自体が揺れた。
103:魔法少女キューティエアリィ12-7 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:23:54.74 gR8qjZIN
そして、その部屋を中心に衝撃波のようにウィッチーズスペースが急速膨張した。
しかし、すぐにウィッチーズスペースは縮小を始め再び部屋の中に、
いやミーヤの体の中に収まっていった。
ミーヤ「あははぁん・・・気持ちよかったわよ。おにいさん。」
ミーヤは深く息を吐き、自分の体に起きている変化を確かめた。
ミーヤの周りにはぐねぐねと歪んだ形で黒から紫に変化しながらぼんやりと光を纏っていた。
そして・・・
ミーヤ「ふぅ・・・」
小さく息を一吹き、両手をぐっと握り締めた。
ミーヤ「おおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!!!」
ミーヤが力を込めて叫ぶとドンッと衝撃波が広がった。
その衝撃波で地面が揺れ、はるか上空の雲は吹き飛び、草木は暴風によってざざざっと激しく揺さぶられた。
しかし、直後にその衝撃波はミーヤの元へ吸い込まれるようにすべて戻ってきた。
ドーンという衝撃がミーヤの体を駆け抜ける。
ミーヤ「きゃぁぁぁぁ!!くっ!!」
イオ「ミーヤ!大丈夫かい?」
イオはミーヤの様子を心配そうに伺う。
しかし、衝撃波の反動をまともに食らったミーヤであったがその表情はどこか嬉しそうであった。
ミーヤ「くはっ・・・・こ、これはきついわね・・・」
自分の力に翻弄されふらふらとよろけるミーヤ。
しかし、その自分に浴びせられた自分の力を感じ、ニヤリと笑う。
ミーヤ「ふふふっふははははは!いい力だわ・・・
でもまだ力が安定しないようねぇ・・・仕方がないわ。
安定するまでおとなしくしているしかないようね。」
そう言うとその場から霧散するようにミーヤとイオの姿が消えた。
104:魔法少女キューティエアリィ12-8 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:26:45.24 gR8qjZIN
一方大樹は・・・
歩きながらハーティジュエルを眺める。
大樹「俺の・・・いや絵梨のアイデンティティってなんだ・・・
絵梨のときの俺は本当に俺の意思なのか。」
ハーティジュエルは石の内側で綺麗に光るピンク色の炎のような液体のような影が渦を巻いていた。
その光をいくら眺めても大樹の思考はハーティジュエルの影のように渦を巻いて答えは出ない・・・
ぐるぐると思いを巡らせて・・・帰宅の途に就く。
そして悩みながら自宅のドアを開ける。
大樹「・・・ただいま。」
紗英「あら、お帰りなさい。早かったのね。お友達どうだった?」
大樹「あ、ああ、元気だったよ。退院できてよかったよ。」
紗英「それは良かったけど・・・
んー?あなたが元気ないわね。」
紗英は大樹の変化を敏感に感じ取っていた。
大樹「いや・・・ちょっとな。」
紗英「ちょっとまってね、今お茶入れるから。」
パタパタと台所に行きお茶の用意をする紗英。
しばらくすると紅茶とケーキを二人分、トレイに載せて持ってきた。
紗英「ふふふ、最近あなた甘いもの好きだからケーキ買ってきたの。」
紗英「みゃこには内緒ね。」
紗英は唇に人差し指を当て、シーっとするジェスチャーをした。
そして紗英は紅茶をこくんと一口飲み、ニコニコと大樹の方を眺めていた。
それに合わせ、大樹も紅茶を一啜り飲んだ。
無言の時間が流れる。
カチコチと時計の秒針の音だけが部屋に響く。
そして大樹が一口ケーキを口にする。
大樹(あ、このケーキ・・・パティスリーキジマのだな・・・
そういえば明日美と食べっこしたな・・・)
大樹はかつて明日美と食べたケーキであることを思い出した。
そのとき、今までエアリィとして、絵梨として仲間と過ごしてきたことを思い出す。
大樹(魔法少女か・・・俺はしっかりやって来れたのだろうか・・・
このまま続けることにどんな意味があるのだろうか・・・)
105:魔法少女キューティエアリィ12-9 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:28:54.42 gR8qjZIN
紗英「おいしい?」
不意に紗英が大樹に問いかける。
まるで大樹の少しの心の変化を見透かしたように・・・
大樹は突然の問いかけに少し微笑み返す。
紗英「そ、よかった。
私、ここのケーキ屋さん好きなの。特にザッハトルテが最高ね。」
またニコニコと紗英の手元にあるザッハトルテをパクついて紅茶を一口飲む。
大樹が二口目のケーキを口に運び、ゆっくりと咀嚼し十分に味わったあと、
ようやく重い口を開いた。
大樹「あのな、もし自分が突然死にそうになったとして、
生き残るために誰かの命ををもらって生き延びたとしたら、紗英はどう思う?」
紗英「うーん・・・臓器移植の話?
だったらしょうがないんじゃない?」
大樹「しょうがない?」
紗英「移植を受けるってことはもう提供する方はもう亡くなっているってことでしょ?」
大樹「そうだな。」
紗英「もちろん受けた方は提供してくれた人に感謝しなくちゃならないし、
自分の命を大事に使わなきゃならない。」
紗英「ありきたりな答えだけど。
まあ正直なところ私自身当事者になったことないから分からないわ。」
大樹「そうか・・・」
紗英「でも・・・そうね・・・もし、もし私なら、その人の分まで精いっぱい生きていかなきゃなって思うわ。」
大樹(紗英も萌波と同じことを言うんだな・・・
俺が責任もって望美ちゃんの分まで生きなきゃならないのか。)
紗英「もしかして・・・今日退院のお迎え行った人って臓器移植受けた人だったの?」
大樹「いや、違うんだけどな、俺の知り合いでそういう人がいたからさ。」
106:魔法少女キューティエアリィ12-10 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:31:40.68 gR8qjZIN
紗英「そう・・・ところであなた・・・最近なにか一人で抱え込んでない?
仕事が大変そうなのは前からだったけど・・・時々すごく思いつめていることがあるわ。」
大樹(そうか・・・そんな風に俺は見えるのか・・・全く紗英は鋭いなぁ。)
大樹「大丈夫だ。安心してほしい。
といっても心配するよなぁ・・・ごめん今はただ俺を信じてほしい。」
紗英「・・・そう、分かったわ。
でも一人で何でも抱え込まないでね。」
大樹「ありがとな、いつも俺の愚痴を聞いてくれて。」
大樹は紗英の優しさに思わず目頭が熱くなってしまった。
紗英「あら、泣いてるの?大げさね。」
大樹「別に泣いてなんかいないぞ。」ズズッ
大樹は照れながら横を向いた。
その様子を見て紗英はクスクスと笑っていた。
大樹「わ、笑うんじゃない・・・目に・・・目にごみが入っただけだ。」
紗英「あら、大きなごみだこと。くすくす。でもあなたのそういうところ私、好きよ」
大樹「う、うるさいよ・・・まったく・・・」
ガチャ・・・ドサッ
と、そこへ二人は玄関で物音がしたことに気がついた。
紗英「あら?みゃこ、帰ってきたのかしら?」
大樹「そうかもな・・・おかえりー!」
大樹は玄関の物音を立てた主に対して呼びかけた。
しかし、いつもの元気な返事がない。
そもそも、いつもの美夜子であればこちらがおかえりと言う前に元気よく挨拶するはずだ。
それがないことに大樹と紗英は顔を見合わせる。
107:魔法少女キューティエアリィ12-11 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:33:45.69 gR8qjZIN
紗英「なにか・・・あったのかしら?」
大樹「わからない・・・紗英見てきてくれないか?」
紗英「ええ、わかったわ」
紗英はリビングのドアを開け、パタパタと玄関へ向かった。
しばらくすると玄関で小さな悲鳴が聞こえた。
紗英「あなた!あなたちょっと来て!!」
その声に何かあったのだと感じ急いで玄関へ向かう大樹。
大樹「ど、どうした?何があったんだ?」
そこで大樹が見たのは、玄関の小上がりに突っ伏して倒れている美夜子の姿だった。
どうやら息も荒いらしい。はぁはぁと細かく呼吸する音が聞こえてきた。
大樹「美夜子!大丈夫か!?どうしたんだ!!」
紗英「すごい熱なの。見て。」
大樹は美夜子の額に手を当てるとすぐに熱が伝わってきた。
大樹「ひどいな・・・この時間だと病院も閉まっているし・・・」
紗英「とりあえず寝室に連れて行くわ。
あなたは氷枕と体温計を用意して子供部屋まで持ってきて。」
大樹「あ、ああわかった。」
紗英「美夜子、立てる?肩を貸してあげるから寝室まで行きましょう。」
紗英は美夜子に声をかけると弱々しくも返事をした。
そして、ふらふらと紗英に支えられながら立ち上がった。
その姿を見て少し大樹は安心した。どうやら意識は朦朧としていながらも受け答えができるらしいことがわかった。
大樹はすぐに台所に行き、氷枕を用意しながら考えていた。
大樹(みゃこ・・・どうしたんだろうか。今朝はあんなに元気だったのに。
大事にならなければよいが。)
氷枕と体温計を抱え、二階にある美夜子の部屋へトントントンと駆け上がる。
美夜子の部屋のドアノブに手をかけようとしたときだった。
中から声が聞こえてきた。
・・・・もう・・・つらい・・・助けてぇ・・・いたい・・・ぐすっ
いや・・・やめて・・・ぐうううっ体がいたいっ熱いよおぉぉ・・・
・・・美夜子、落ち着いて?もうすぐお父さんが来てくれるからね。
どうやらうなされているようだ。
大樹は急いでドアを開けた。
バタン!
大樹「美夜子、大丈夫か!?」
紗英「ひどくうなされているの。声をかけてあげて。」
大樹「お父さんが来たからな、みゃこ、もう大丈夫だぞ。」
大樹は美夜子の手をギュッと握って声をかけた。
美夜子「あううう・・・」
大樹が声をかけても涙に濡れた瞼を開けることはなかった。
108:魔法少女キューティエアリィ12-12 ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:35:49.17 gR8qjZIN
美夜子「こわいよぉ・・・あたしのことみないで・・・
もうこないでぇ・・・」
紗英は汗をかいている美夜子の額をぬぐった。
美夜子「いたいよ・・・パパ・・・やめて・・・ママぁ・・・もうやめてよ・・・さむいよぉ・・・」
大樹「美夜子・・・大丈夫だ、ここにはパパとママはいない。大丈夫だ・・・大丈夫・・・」
大樹は美夜子を優しく抱きしめた。
すると、美夜子は荒い息が少しずつ落ち着いてきて唸り声も収まってきた。
紗英「落ち着いたかしら・・・」
大樹は美夜子の手を握りしめたまま紗英の方を向いた。
大樹「どうやら落ち着いたみたいだが・・・まだ熱は高いな・・・
今日は交代で美夜子についていてあげよう。」
紗英「そうね・・・まだ不安になることがあるのね・・・」
大樹「そうだな・・・まだ完全に傷が癒えていないんだ・・・」
紗英「そうね・・・」
大樹「少しずつ良くなっていると思うんだが・・・」
紗英「先生も仰ってたじゃない、根気が必要だって。」
大樹「ああ、そうだな・・・俺たちが美夜子を守ってやらなくちゃ・・・
二度とこの子を不幸な目には合わせないって、
こんな傷は二度と作っちゃいけないって決めたんだ。」
そして大樹は美夜子の額の生え際にある傷を優しく撫でた。
その晩、大樹と紗英は美夜子につきっきりで看病をした。
時々うなされることがあったが、その度に美夜子に声をかけ、
手を握り、抱きしめた。
その甲斐もあってかまだ熱は高かったが、空が白んでくると
静かな寝息を立てて寝られるようになっていた。
そして、外で雀の鳴き声が聞こえてくるころ、ようやく美夜子は目を覚ました。
ふとベッドの脇を見るとベッドの掛け布団に突っ伏している父と母の姿があった。
美夜子「お父さん・・・お母さん・・・ずっとそばにいたんだ・・・優しい声が聞こえてたよ・・・」
ありがとう・・・・お父さん・・・お母さん・・・
そして美夜子は再び眠りに就いた・・・
次回予告
新たに得た力を安定させるためミーヤは美夜子の中で休眠状態に入り、
しばらく街には平穏が訪れていた。
あることをきっかけにして明日美は萌波の真実を知ることとなる。
そして萌波に信じられないことが起こる。
次回「Matter!どうして見捨てるの?」
アクエリィ「あなたに心から信頼できる仲間が居るかしら?」
109:魔法少女キューティエアリィ ◆yboXY7MR9E
11/04/05 22:38:05.50 gR8qjZIN
これで今回の投下はおしまいです。
ミーヤがパワーアップしましたね。
そしてそろそろ萌波の過去が明らかになると同時に
4人目が登場するかもしれません。
それから、エロ成分多めの番外編も構想中です。
では、今回もお付き合い、お目汚しありがとうございました。
110:名無しさん@ピンキー
11/04/05 22:59:02.94 sLorkcDk
>>109
GJ
本編、番外編ともに楽しみにしてます
地震でどこも大変ですが、無理をなさらぬようご自愛ください
111:名無しさん@ピンキー
11/04/07 01:23:11.18 bqUjdQoi
乙です~。ヒーロー(?)物にお約束のお悩みタイムですね。
さて、次の展開がたのしみです。
112:名無しさん@ピンキー
11/04/07 22:41:50.85 DpPcP+T7
お、エアリィ来たね。ミーヤ側が人数増えるかもと思っていたんだけどバワーアップか…。
いや、まだ分からんな。この作者は意外な手を打ってきたりもある人だ。次回も楽しみ。
113:名無しさん@ピンキー
11/04/08 18:47:16.57 uxYxR6tl
from ♂ to ♀ はもう終わりなのかな? 学園ものって橘悠もそうだけど、絶対途中で終わっちゃうよね。
楽しみにしていたのに残念。
114:名無しさん@ピンキー
11/04/09 01:13:45.86 xYmACsmR
そういや保管庫の人大丈夫?
地震起きてから音沙汰ないけど
115:名無しさん@ピンキー
11/04/09 22:28:36.77 m7k8bTo+
俺の完璧な人生プランだとよからぬ組織にさらわれ改造され、悪の魔法少女として破壊活動を繰り返すもふとした事から洗脳が解け
自我を取り戻し、自分の強大な力と犯した悪事に対して深い自責の念を抱き正体を明かさぬまま人々を守る正義の魔法少女になるはず
116:名無しさん@ピンキー
11/04/10 01:24:09.62 hjb1NWTX
貴様のプランを改悪してやろう。
よからぬ組織にさらわれ改造され、悪の魔法少女として破壊活動を繰り返すも
貴様に一目惚れした能力を無効化する男に言い寄られ、愛の力で洗脳が解け自我を取り戻し、
自分の強大な力と犯した悪事に対して深い自責の念を抱き
男以外には正体を明かさぬまま人々を守る正義の魔法少女になる。
男の助力もあって組織を追い詰めるが、後一歩で逆に男がさらわれて魔砲少女として立ちはだかる。
なんてのはどうだ?
BAD TRUE HAPPY 全て思いついたが、結末は貴様の心次第。
117:囚われ人00-01 ◆ltcVx8cIak
11/04/10 02:30:06.14 czwzgxef
※当作品は去年"わかば板"ですぐ落ちちゃった作品の大幅修正&リチャレンジ品です(´・ω・`)
■■■■■■■■ プロローグ ■■■■■■■■
ここは・・・何処だろう?
薄ら寒い夜の街、ぼやけた視界・・・
何で自分がこんな所に居るのか?そもそも自分は何者なのか?全く思い出せない。
闇の中、僅かな灯火を頼りに重い身体を引き摺り歩く。
足の裏からは冷たいアスファルトの感触がして、
その鈍い痛みが、"自分が裸足である"と言う情報を脳に伝えていた・・・
118:囚われ人01-01 ◆ltcVx8cIak
11/04/10 02:34:37.06 czwzgxef
■■■■■■■■ 第一章 Boy Meets Girl ■■■■■■■■
変な夢を見た朝は気分も冴えないものだ・・・っと言えば大抵の奴は同意してくれるだろう。
例えばテスト問題を必死に解く夢とか、例えばバケモノに追いかけられる夢とか、
例えば・・・人を殺してしまって、それを家族に話せないでいる夢とか。
今朝方見た夢はそう言った悪夢の類では無かったが、それでも妙な不快感を以って俺の記憶に刻まれており、
ただでさえ憂鬱な登校の途を、更に重苦しい気分にするのに貢献していた。
「朝から冴えない顔してるね~」
そう言いながら話し掛けて来たのは俺の昔馴染み、瑞葉。
家が斜向かいにある都合もあるが、何でか最近は通学路を共にする事が増えた。
〈心配してくれてるのか?〉
一瞬感動してしまったが、そこにある妙にニヤニヤした顔を見て思い直す。
こいつに同情とか共感を期待する事の愚かさを、俺は骨の髄まで叩き込まれて居た筈だ。
「何の用だよ?」
「ん~・・・」
「・・・」
暫し思案顔の瑞葉だったが、やがて少し溜息をついてから視線を逸らし、
「特に無いかな?」
・・・っと言った。
〈何だよそれ・・・〉
肩透かしを喰らって思わず口から出掛かった言葉、意味が無いと思い返して結局止める。
学校へ向かう上り坂、そこは満開の桜並木、風に巻かれて吹雪く花びら、
その壮麗な様子が俺達にはとても不似合いに思えて、だからこそ可笑しくて、そして悲しかった。
119:囚われ人01-02 ◆ltcVx8cIak
11/04/10 02:39:55.55 czwzgxef
「あ・・・」
押し黙っていた瑞葉が急に口を開く、
視線の先、真向かいの歩道に俺たちと同じ学校の制服を着たショートカットの女の子、青葉が居た。
青葉がこちらをチラリと見やる。
この幻想的な光景の中にあって、彼女の容姿は決してそれに負けていない。
いや寧ろその立ち姿は、桜を完全に脇役にするだけの意味と力を持っている。
スポーツ少女らしい凛とした顔、輝く黒い瞳、すらっと引き締まった肢体、
そして歳相応に膨らんだ・・・胸。一言で言うと完璧な美少女、俺や瑞葉とは違う世界の住人。
並の男なら見た瞬間に彼女に惹かれ、同時に諦める事だろう。
だが、かつて彼女は・・・
「・・・・」
「やっほーい、青葉ちゃん~」
「?おい、やめ・・・!」
一瞬の悪寒、止めようとした俺の腕をすり抜けて前に出て、大きく手を振って呼び掛ける瑞葉。
満面の笑みではしゃぐ小娘、穢れを知らない無邪気な少女、まるでそうする事が当然であるかのように・・・
当たり前だ。少なくとも瑞葉の知っている範囲では"そのような行為"を成すのは決しておかしな事ではない。
呼び掛けられた青葉は一瞬ビクッと肩を震わせたが、そのまま俺達を無視するように歩を進める。
「む~、反応が悪いなぁ。これでどーだ?」
「へっ?・・・おいコラ!」
相変わらず空気が読めてない瑞葉は、素早く俺の腕に絡み付いてくる。
「へっへっ、青葉ちゃん!芳彦は預かった、返して欲しくば・・・」
はっとした顔で振り向く青葉相手に、高らかな勝利宣言を挙げる瑞葉。
「ど~言う繋がりだ?どう言う?」
焦った俺は瑞葉を振り解こうと腕をぶんぶん振り回す。
・・・肘に当たる柔らかな感触が嬉しくないかと言われれば嘘ではあるが、
「嬉しいだろ?嬉しい言うてみ?」
「んな訳あるか!離せボケ!!」
「・・・・」
そんな瑞葉と俺の様子を見た青葉は、少しの間睨むようにこちらを見ていたが、
やがて口元を歪めて軽く笑うと、そのまま背中を向けて去っていく。
120:囚われ人01-03 ◆ltcVx8cIak
11/04/10 02:43:35.58 czwzgxef
「ん~、何かおかしいんだよねぇ。青葉ちゃん」
「おかしいって何が?」
「ほら、青葉ちゃん、昔は芳彦の事が・・・」
――好きだったでしょ?――
「・・・昔の事だよ」
「そかな?」
「幼稚園の頃の事だぜ、昔のことさ」
「・・・・」
「ずっと昔の事、なんだよ・・・」
茜色に染まった空、他に誰も居ない放課後の教室で佇む少年と少女。
あれはきっと夢、それはきっと幻。
「・・・まぁそりゃそっか」
そう言って瑞葉は表情を緩めた
「今の青葉ちゃんみたいな美人さんが、芳彦に惚れるわけ無いもんね」
「・・・」
「あれ?ひょっとして残念だとか、惜しかったとか思ってる?」
少女の笑みの奥底に、意地悪な色が交叉する。
「男ってバッカだね~♪」
「・・・」
もし、俺が青葉と肌を重ねた事があると知ったら、コイツは一体どう言う顔をするのだろうか?
121:囚われ人01-04 ◆ltcVx8cIak
11/04/10 02:45:01.36 czwzgxef
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
夢を見る、この間の続きの夢。
夜の街、あてども無く歩き続ける。
自分は一体何処から来て、何処へ向かおうとしているのか・・・
曲がり角に入ろうとしたその時、眩しい光に思わず目を閉じた、
「危ないッ!!」
ドシンッ
「あっ」
衝撃で身体が吹き飛ばされた、よろめき地面に叩き付けられる
「キミ?大丈夫・・・」
〈オトコの子?〉
薄明かりで良く顔は見えなかったけど、その声は自分と同い年くらいの男の子のモノだ。
何処かで聞いた事があるようで、無いようで・・・
その正体を必死に思い出そうとするけど、漠然としたイメージすら掴むことは出来ない。
「ほら、掴んで」
「あ・・・ありがとう・・・」
差し出された腕にしがみつく。
大きな手の平、筋張った指先、でも・・・その手はとても、とても暖かだった。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
122:囚われ人01-05 ◆ltcVx8cIak
11/04/10 02:45:57.07 czwzgxef
「・・・・っ」
目が覚めた。
窓の外は朝の光で白み、スズメがチュンチュンと鳴いている。
〈またあの夢か、変な夢だな・・・〉
然し似たような内容だったにも関わらず、昨日の夢ほどの不快感は無いのは救いだ。
きっと"何処かで聞いた覚えのある声"が、夢の中での孤独感を一部溶かしてくれたからだろう、
〈・・・どんな声だったっけ?〉
思い出せない。その時の男の声がどんなだったか、どうしても思い出す事が出来なかった。
〈・・・〉
〈まぁ、いずれにせよ所詮夢だ。深く考える事もあるまい。>
思い直して布団から立ち上がる。脱ぎ捨てる寝巻きは水の色、俺が一番好きな色だ。
カーテンを開けると眩いばかりの青い空。遠く山向こうに輝く太陽が本日の朝の到来を告げていた。
123:囚われ人01-06 ◆ltcVx8cIak
11/04/10 02:46:55.70 czwzgxef
∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀貴明視点∀∀∀∀∀∀∀∀∀∀
「ったく、何時まで補習受けさせる積もりだよ!?」
塾帰り、全力で自転車を漕ぐ貴明は些か集中力を欠いていた。
普段なら多少は減速する曲がり角だったが
(これほど遅い時間に通る人も車も無いだろ〉
そう思ってハンドルだけで強引に曲がり切ろうとする。
刹那、彼の視界に白い影が映った
「危ないッ!!」
とっさにハンドルを切り返して叫ぶが間に合わない
ドシンッ
「あっ」
鈍くて嫌な衝撃の後、小さな悲鳴。
〈しまった!!畜生、今日はなんてついてないんだ!!〉
早く家に戻りたかったのに、面倒な事になってしまった、
軽く舌打ちをしながら自転車を降りると、倒れ込んでいる"誰か"を見やる
・・・と同時に息を呑んだ。
目の前には水色の・・・男物の寝巻きだろうか?皺くちゃの服を纏った少女が倒れている。
いや、それはただの少女ではなかった
「キミ?大丈夫・・・」
我ながら間抜けと思いつつも、今の彼が発せられる目一杯の言葉、
その言葉に反応する様にゆっくりと顔を向ける少女
その瞳に、貴明は一瞬で魅了されてしまう。
街頭に照らされ青磁色に輝く白い肌、さらさらと長く艶やかな髪、薄いが瑞々しい唇、そして柔らかそうな頬。
その目は深く澄んでいて、一切の濁りを映して居らず、
本当に・・・女の子とは思えないくらいに、美しかった。
АААААААААААААААААААААААА
124:名無しさん@ピンキー
11/04/11 19:18:47.98 RBo4Nq30
割れ厨が自分が設定したエロゲの娘と同じ姿にされるやつの題名が思い出せない
125:名無しさん@ピンキー
11/04/11 20:00:05.65 3qM8JRVz
>>124
ヴァーチャル・ラバーズ
126:名無しさん@ピンキー
11/04/12 15:24:36.61 bskUTX1V
中々興味深い
URLリンク(news.2chblog.jp)
127:囚われ人02-01 ◆ltcVx8cIak
11/04/12 20:56:27.23 8FXt9xYB
■■■■■■■■ 第二章 傷の跡 ■■■■■■■■
「・・・であるから、三式戦闘機は重量過大で機動性も加速力も大した事は無く、
第二次大戦中その存在は、敢えて言うならカスでしか無かった訳です。」
日々の授業は実に退屈だ。最も潤いある若き時代を、
70年の人生でこの期間にしか用いる事がない知識を得る為に使うという事は、
限りある人の命に対する冒涜ではないかと俺は常々考えるのである。
折りしも季節は春、春眠暁を覚えず、両の瞼が重くなって来て、
やがて俺はめくるめくシエスタの世界へと誘われて行くのだった。
・・・
128:囚われ人02-02 ◆ltcVx8cIak
11/04/12 20:57:50.78 8FXt9xYB
∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
それはまだ、俺が幼かった頃の話。
青葉や貴明とは知り合っていて、まだ瑞葉とは出会って居なかった頃。
『うわぁ!!』
『広いひろ~い』
『すげー!すげー!』
青葉の両親に連れられてやって来た初めての海、蒼い水平線が眩しかった。
砂で城を作って、波で崩れて、また作って、そして崩れて・・・
そんな事を延々と繰り返していた。まどろむ様な懐かしい日々の思い出。
でも楽しかった時間もじきに終わり、夕暮れの海を背にして街へと戻る。
確かあの日は、帰り際に青葉の家に寄って三人一緒にお風呂に入ったんだっけか。
『うぉお、口がしょっぱい!』
舌なめずりをすると、唇や頬に残った塩の結晶が口に入った。
『ホントしょっぺーなぁ』
湯煙の中でタカアキが答える。
打てば響くように反応を返してくれる、そんなタカアキが好きだった。
本当に、あの頃はトモダチだと思ってたのに。
・・・
『どしたのアオバ?』
不意に心配そうな声色になるタカアキ、目を向けるとアオバがこちらを見ている、
湯船の中からずっと、身体を洗うオレや貴明を見ていたんだ。
《・・・?》
不思議そうな顔をするタカアキと、訳が分からないオレ。
驚きに染まったアオバの顔が徐々に愕然と言った風に変わって行き、そして・・・
―― あの時、何で青葉は急に泣き出したりなんかしたんだろうか? ――
∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
129:囚われ人02-03 ◆ltcVx8cIak
11/04/12 21:00:38.23 8FXt9xYB
「おい、聴いてるのか!?」
ヤバっ・・・と思って首をすくめるた。
だが幸いな事に教師の顔は俺を向いておらず
「・・・・」
その言葉は、どうやら窓際の一番前の席の生徒に対するもののようだった。
「・・・貴明?」
先ほど注意されたにも関わらず、いや恐らくは注意されたのが自身である事に気付かなかったのだろう、
貴明の奴は相変わらず頬杖を付いたままで、その視線を虚空に漂わせていた。
「・・・どうした?具合でも悪いのか?」
余りの反応の悪さに異常を感じたのか、教師が怪訝そうに問いかける。
だがその教師の心配を裏切るかのように・・・
「あへ?」
素っ頓狂な声を上げる貴明、その余りの間抜けな声にクラス中がどっと沸く。
130:囚われ人02-04 ◆ltcVx8cIak
11/04/12 21:03:26.06 8FXt9xYB
* * * * * * * * * * * *
「何か今日、貴明調子悪そうだね・・・」
休憩時間、瑞葉がやや顔を曇らせてそう言った。
昨日の俺の時とエラく反応が違う気がするが、この際気にしないでおく事にする。
「ちょっと様子見に行かない?」
「やめとく」
瞬殺。
一瞬呆気に取られたようにしていた瑞葉は、然し何時に無く真剣な顔で抗議して来た。
「何で、どうして?」
「・・・」
「貴明と芳彦、あんなに仲が良かったじゃない?」
「別に・・・」
「何で?何でそんな他所他所しくしてるのさ?」
〈何で・・・だと?〉
頭にカッと血が昇る。
〈どうしてだと・・・思う?〉
握り拳に力が入った。
〈親友だった、裏切られた、許せない・・・〉
嘲るように笑う貴明、悪魔の様だと思った。。
まだ子供だった、意味も分かっていなかった、ただ衝動に駆られてやっただけだ。
だが・・・
〈絶対に、アイツだけは許せない!!〉
131:囚われ人02-05 ◆ltcVx8cIak
11/04/12 21:04:00.68 8FXt9xYB
炸裂しそうな感情を辛うじて抑え込めたのは、
"瑞葉は何も知らない"と言う前提を思い出したからだ。
「・・・黙れ」
「え?」
聞き返してきたのは、聞こえなかったからか、
それとも、それが聞き違えであって欲しいと望んだからか・・・
「いいから・・・黙れよ・・・」
「っ・・・」
瑞葉の顔が青ざめる。
当然だ、十余年来の付き合いの間、俺が瑞葉に攻撃の意思を向けた事は数えるほどしかない。
彼女は俺の大事な大事な友達の一人だ、故に関係を断ちたくないし、出来得る事なら傷付けたくもない。
だが俺たちは・・・幼き頃からの付き合いであったとしても・・・完全に理解し合うには年を重ね過ぎている。
「頼むから・・・黙れ・・・」
吐き棄てるように言って睨み付ける。
「っ・・・」
瑞葉は己に対する理不尽な仕打ちに対し怒ろうと努力していたが、
先んじて投じられた圧倒的な嫌悪と悪意を前にただただ涙ぐむだけで、
その小さな身体を身じろぎ一つさせる事も出来ずに居た。
132:囚われ人02-06 ◆ltcVx8cIak
11/04/12 21:04:43.42 8FXt9xYB
∀∀∀∀∀∀∀∀∀ 貴明視点 ∀∀∀∀∀∀∀∀∀
貴明は、朝からずっと心ここに在らずの状態を続けていた。
昨日塾帰りに出会った少女の事が頭を離れない。
ただ美しかったからではない、美しいというだけなら、あの少女よりも綺麗な女を彼は知っている。
この街一番の美少女、青葉。
容姿端麗文武両道、彼女が歩いているのを見て振り返り、
そのまま電柱に激突するリーマンの姿を貴明は何度か見た事がある。
だが余りに完璧に過ぎる造作の青葉は、貴明にとっても別次元の存在であり、
また彼女に内在する苛烈とも言える気の強さは、貴明の好みとは180°異なるものでもあった。
その点、あの少女の面差しは貴明の心を捉えて離さない。
容貌こそ青葉には及ばないが、女性特有の媚びた目も、男に対する警戒の色も存在しない純真な少女。
その纏う空気は何処と無く、彼の初恋の人に似ていた。
〈会いたい・・・また、あの娘に会いたい・・・〉
胸を焦がすような痛み。だがそれは叶わぬ願いに思えた。
住んでる場所も名前すらも知らない少女、
夜の街に暗闇に消える彼女を何故追いかけなかったのか?っと今更ながらに後悔する。
「今晩も、あの辺りに行ってみるか・・・」
この学校の生徒では無かった、この街の住人ですら無い可能性が高い。
だが何か行動も起こさずには居られないほど、貴明は"あの少女の影"の虜になっていたのだった。
АААААААААААААААААААААААА
第二章END
133:『竜人と巫女のゲーム』
11/04/14 01:02:02.42 EVzZ+2kk
「─それで、一体どういうつもりなんですか?」
母と人間(ヒューマン)の友人が、地下室で和気あいあいとお茶している様を、こめかみに井桁マークを浮かばせた、まましばし見守っていた少女……の姿になったレムだが、ついに痺れを切らして直接、そう問いかける。
「あら、言ってなかったかしら?」
「何ひとつ聞いてませんよ!」
首をひねる母のトボケた様子に、温厚なレムもさすがにキレかける。
「いやいや、思い出してみなよ、レムルスくん……いや、今は「レムちゃん」、かな? あたしの部屋で、バッチリ了解してくれたじゃない」
そう言われて、小半時ほど前の澪霧との会話を思い出し……そして現在の自分の状況と考え併せて、非常に嫌な結論にレムは達した、達してしまった!
「ま、まさか……私に澪霧さんの身代わりになってヤマトへ行け、なんて言いませんよ、ね?」
「うんうん、さすがにこれだけ状況が揃うとわかるか。じゃ、そーいうことで」
「がんばってね、レムちゃん」
ニコニコと笑い合いながら、地下室を出て行こうとするふたりの足に、なりふり構わずすがりつく。
「それだけで納得できるわけないでしょう!? お願いだから、もう少しキチンと説明してください!!」
まぁ、流石にソレは冗談だったらしく、踵を返したふたりはレムに向かって、幾分真面目な説明を始める。
「偶然とは言え、澪霧ちろゃんを助けたことで、我が国はアキツに貸しができた。コレはいいわね?」
母后の言葉に頷くレム。
「でもねぇ、正直ソレって国の根本方針を揺るがすほどのものじゃないワケよ。
たとえばあたしが十数年「霊奮りの巫姫」を務めてた……ってんなら、多少は影響力もあるだろうけど、あくまで今のあたしは、「神託によって次の巫姫になるとされた巫姫候補」でしかないワケだから」
自分のことなのに、あっけらかんと話す澪霧。
「でも、それは、これから少しずつ澪霧さんに頑張っていただければ……」
「やーよ、メンドくさいし」
バッサリ切り捨てる少女に、レムは空いた口がふさがらない。
134:『竜人と巫女のゲーム』
11/04/14 01:02:29.04 EVzZ+2kk
「いい、都に行ったらあたしは、まず巫姫となるための勉強漬けになるわ。
神事の儀礼や各種魔法はもとより、礼儀作法に有職故実。それ以外にも巫姫として必要な嗜みとやらも含めて、ガッツリ教え込まれるでしょうね。
自慢じゃないけど、魔法の勉強はともかく、行儀とか習い事関係はあたし、大の苦手よ。一人前になるまで、いったいどれだけかかることか……。
そのうえで、あたしに政治的な動きを期待する?」
澪霧の問いに、レムは力なく首を振った。
「でも、それは私が行っても同じことじゃあ……」
「何言ってんのよ、このチート竜人が。アンタ、武術以外に関する覚えは異様に速いじゃない。アタシが半月かかって覚えた精霊治癒呪文を、3日でモノにされた時は、腰を抜かすかと思ったわよ!」
ちなみに、澪霧の半月という数字も、実は独学にしては秀才レベルのスピードと言ってよいのだから、いかにレムが優秀か理解できるだろう。
「あれは、初歩の初歩だから……」
「その初歩を、アキツ人でもなく、そもそもヒューマンですらないアンタが平然と習得できるのが、規格外だって言ってんの」
精霊治癒呪文とは、言葉通り「精霊の力を借りて、心身の傷をいやす魔法」だ。
神の力を借りる癒しの術法は、この大陸では普遍的なものだし、魔術師の攻撃魔法の多くは精霊の力を借りている。
だが、「精霊の力」で「癒す」と言う術は汎神論的祖霊信仰を持つアキツに特有のものだ。
これを身につけるためには、単なる教養・知識レベルでないアキツの宗教観への深い理解と共感が必要になるだろう。
逆に、生粋のアキツ人なら、エルフやドワーフであっても、身に着けられる「可能性」はあるが……。
「それに、この国の王位継承者であるアンタなら、寝る間を惜しんで勉強して一人前になって、さっさと政治的発言力を増すように動くでしょ」
あたしは、そこまでする義理はないからね~と、澪霧は意地の悪い笑みを浮かべる。
そこまで考えて……と呆れるレムだったが、確かに言ってることはもっともだ。
135:『竜人と巫女のゲーム』
11/04/14 01:03:38.77 EVzZ+2kk
●ドラクタリヌースはアキツと友好関係を結びたい
●アキツは別にどうでもよい(むしろ消極的)
という情勢下で、ド国の王子として身を粉にして働け……と言われるのは、ある意味、当然ともいえる─たとえ、その方法が奇抜極まりなくても。
「ふぅ……一応、こんなコトをした理由は理解できました。
けど……澪霧、あなたはそれでいいんですか?」
暗にコレは故国に対する裏切り行為では? とほのめかしているのだが、少女はアッサリ首を縦に振った。
「いいわよ。そもそもアタシは「王族の末席」だなんて言われても、ほんの半月ほど前まではそのことを知らなかった一平民だしね。
「立派な王族の覚悟」なんて、そうそう簡単に生まれてたまるもんですか。
愛国心そのものは……皆無ってワケじゃないけど、まぁ、レムなら巫姫の立場に立ったって、悪いようにはしないでしょ」
醒めているのか、お人好しなのかわからない発言である。
「買いかぶり過ぎのような気もしますが……」
ある意味、自分の人格を信頼すればこその作戦なのだろうが、レムとしてはあまり……というか全然嬉しくなかった。
#なんという説明回。次にようやくTS的萌えっぽいシーンが出てくるかも。
136:名無しさん@ピンキー
11/04/14 18:10:26.19 PSPRYg33
俺には小さな頃から変わった体質があったらしい
らしいというのは小さな頃はイマイチ効果が出てなかったから俺自身気付いてなかった
しかしそれは最近となって現れ始めた
人には結してバレてはいけないような嫌な体質
俺事、霜月岬はなんと
「興奮すると女になる」
需要ないなら上の人の邪魔になるし辞めるけど、どうする?
137:名無しさん@ピンキー
11/04/14 19:24:07.01 Ca0fjaIb
いいから書けよクソッタレ
大好物です
138:名無しさん@ピンキー
11/04/14 19:25:05.64 Ca0fjaIb
更に幼馴染みの親友(男)とニャンニャンとか俺得だから絶対やめろよ
139:名無しさん@ピンキー
11/04/14 19:41:35.88 fJ+2bQv0
ふたばくんチェンジの設定か
よろしい続けたまえ
140:竜の人
11/04/14 20:46:44.93 tX/li18z
>>136
煮詰まり気味なんで、どうぞご投下ください。
……て言うか、別に、ひとつの話が終わるまで、他の人が投下しちゃいけないなんてローカルルール、ここないよね?
141:名無しさん@ピンキー
11/04/14 21:03:43.18 578f7tRv
>>140
無いけど、>>132と>>133の様に長文SSが連続すると紛らわしいから、
その場合は最初に、今から投稿する旨を一行くらいで宣言した方が読み易いと思われ
142:名無しさん@ピンキー
11/04/14 21:38:52.94 icuEAo+/
>>136
名前欄にタイトルかペンネームを入れていただけると識別しやすいかと
設定的に可逆女性化らしいので戻り方にも工夫があると面白いかなっと
143:名無しさん@ピンキー
11/04/14 21:47:20.80 Ca0fjaIb
ただ興奮すると女って心も女よりでないとただのレズになるなー
それは俺得じゃないわ
144:名無しさん@ピンキー
11/04/14 22:02:35.07 DcKgaa2N
だが心が男よりで無いとホモ臭いという
それは俺得じゃないな
145:名無しさん@ピンキー
11/04/14 22:40:13.50 Ca0fjaIb
え?まさかTSスレでホモ臭いとか言う奴がいるとか勘弁してくれよ・・・
この手のスレで職人がいなくなる煽りや叩きがホモ気持ち悪い死ねとかなんだからよ
頼むぜ
146:名無しさん@ピンキー
11/04/14 23:04:10.08 PSPRYg33
ふたばくんチェンジって何やねんって思って調べたら
自分の思い描いてた設定と丸かぶりやん
もう少し練ってから投下するぜ
それが1日となるか3日となるかは知らないけどみんな待っててくれ、では
147:名無しさん@ピンキー
11/04/15 00:40:51.44 O17FFXk0
ホモ叩きもだが百合叩きも勘弁
ただでさえ特殊な嗜好なんだから人の趣味叩くなよ
148:名無しさん@ピンキー
11/04/15 02:01:42.29 daxtmz8S
そうか、ふたばくんチェンジの存在を知らない世代がアダルト板に来る程時代が過ぎたんだな
何もかも皆懐かしい
149:名無しさん@ピンキー
11/04/15 06:23:16.17 14NBQTc7
ふたばくんは作者が18禁版を描けば全て解決しそうなんだが。
150:名無しさん@ピンキー
11/04/15 22:42:57.33 yAvGZasi
絵がな、カナーリ古臭いのだが
151:名無しさん@ピンキー
11/04/16 01:14:05.86 3mCumeyq
目が覚めたらキミはモンスター蠢くダンジョンの中。
装備やアイテムをそろえ、レベルを上げてダンジョン脱出を目指すぞ。
ただし、アイテムを買ったりレベルが上がったりすると女性化が進み、100%女性化したらゲームオーバーだ。
もちろんモンスターから攻撃を受けても女性化していくぞ。
はたしてキミは無事に脱出することが出来るのか?
152:名無しさん@ピンキー
11/04/16 20:59:04.35 SSuXP9pR
>151からちょっと妄想。
君は目が覚めると薄暗い石造りの部屋の中にいた。
体育館に置いてあるような粗末なマットレスの上に寝かされていたようだ。
最後の記憶は、自宅のベッドで眠りについたところ。実際、今もパジャマ姿だ。
これは夢なのだろうか?
しかし、肌をさす冷たい空気や、淀んだ空気の匂いは、これが夢ではないと君に告げてくる。
ふと、「バトルロワイヤル」とか「シークレットゲーム」とか言う単語が脳裏をよぎった。
(まさか、な……)
とりあえず、辺りを見回してると木製のテーブルがあり、いくつかの物が置いてある。
君は─
1)あくまで「これは夢だ」と思い、もう一度寝なおすことにした。
2)テーブルに近寄り、置いてあるものを確認した。
153:152
11/04/16 21:02:31.25 SSuXP9pR
→1)あくまで「これは夢だ」と思い、もう一度寝なおすことにした。
こんなことが現実の自分の身に起こるはずがない。
君はもう一度マットの上に横になり、堅く目を閉じて眠ろうとした。
……チュンチュン
半覚醒状態の耳に、窓の外で雀が鳴く声が聞こえる。
やはり、昨晩のあれは夢だったのだ。
君は勢いよくベッドの上に起き上がった。
─ぶるん
「ネグリジェを着た」君の胸で「高校生にしては規格外に大きな乳房」が揺れる。
君は一瞬パニックになりかかり……瞬時にして落ち着きを取り戻す。
そうだ。何を慌てることがあるだろう。
高校に入ったあたりから急激に大きくなったとは言え、最近ではすっかり見慣れた自分の胸ではないか。
君はベッドから下りて、部屋を見回す。
ピンクのカーテンとベッドカバー。白い衣裳タンス。父親にねだって買ってもらったドレッサー。
うん、「何もおかしなところはない」。
君は制服に着替えようと、壁にかけてあるセーラー服に手を伸ばした。
154:152
11/04/16 21:03:42.03 SSuXP9pR
─残念! 君の男の子人生は終わってしまった!
……と、こんな風にゲームブック風に進めるのはどうかな?
ただし、分岐が無限に増えると厄介なので、
2択かつ片方は即死(というか即女性化)エンド直行にしておくという縛りで。
155:152
11/04/16 21:16:57.09 SSuXP9pR
→2)テーブルに近寄り、置いてあるものを確認した。
そこに置いてあったのは、表紙に「参加者の方へ」と書かれたノート、カロリーメイトのような固形食糧、そして半袖の体操服&ブルマーだった。
まずはノートをめくってみたところ、どうやら自分がとんでもないことに巻き込まれたことがわかった。内容を要約すると、
・ここは地球とは異なる異世界であり、自分は勇者候補として召喚された
・ただし、候補が何人かいたため、選別の為にこの「妖女の迷宮」に放り込まれた
・この中を進んで無事に脱出できれば、勇者と認められる。
・この迷宮には特殊な呪いがかかっており、中にいるだけで男性は、その「男としての要素」を喪っていく。
・途中にはさまざまなトラップや仕掛け、イベントがあるが、死ぬことはない。ただし、場合によっては死ぬよりも辛いことも……。
勘弁してほしいが、冗談やドッキリという線は限りなく低そうだ。
君は─
3)腹が減っては戦はできぬ。固形食糧を口にした。
4)動きやすい服装の方がいいか、と体操服に着替えた。
156:名無しさん@ピンキー
11/04/16 22:11:11.21 GRJXaR8s
素晴らしい
157:名無しさん@ピンキー
11/04/16 22:16:29.63 L40qXpus
>>153
それで長編書いてくれるんですよね?
もちろんエロエロで
158:名無しさん@ピンキー
11/04/16 22:55:25.41 bl2qoXFD
っけねー 仮面ライダーに変身したと思ったらライダー少女に変身しちまった
159:名無しさん@ピンキー
11/04/16 23:42:22.49 Pvqtyc4M
>>153
さあ次を書くんだ
ごめんなさい書いて下さい
160:名無しさん@ピンキー
11/04/17 00:12:46.93 jNs4ImyR
>>158
マジかよディケイドライバー買ってくる
161:155
11/04/17 08:35:24.11 aFTpXVI4
→3)腹が減っては戦はできぬ。固形食糧を口にした。
薄いピンク色したそれはイチゴミルク味だった。結構うまい!
……と思う間もなく、身体に異常を感じた君は、あわてて固形食糧の包み紙を見てみた。
「※女児用。男性が食べた場合、不都合があっても当社はいっさい感知しません」
なんだ、それは!? と思うまでもなく、身体が縮んでいく。
数分後、君は10歳くらいの可愛らしい女の子になってしまった。
知能の方も、年齢に応じたものになったらしく難しいことを考えられない。
─残念! 君の男の子人生は終わってしまった!
162:155
11/04/17 08:37:15.11 aFTpXVI4
→4)動きやすい服装の方がいいか、と体操服に着替えた。
上着に関しては問題ないが、問題は下だ。
恐る恐るブルマーを手にとった君は、その下に説明書が置いてあることに気付く。
「技のブルマー:敏捷値が1上がる。罠などを避けやすくなる」
……背に腹は代えられない。君は観念してブルマーをじか履きする。
男性の下半身には合わない……と思われたブルマーだが、なぜか君の身体にはフィットするようだ。気恥ずかしさと心地よさが同時に君を襲う。
(男性ポイント-5/現在95)。
君は─
5)こんな部屋はさっさと出て脱出経路を探る
6)もう一度部屋の中をよく見てみる
>>157、>>159
いや、皆で適当に好きなシチュ続けられればいいな、と思ってこの形式にしたんですがね。
短文で女性化過程のありがちなシチュエーション垂れ流せばいいし。
163:名無しさん@ピンキー
11/04/17 12:15:23.39 lOluwvQo
なんかデジャビュがあるな。どっかのサイトでこんな中編があったような。
164:名無しさん@ピンキー
11/04/17 16:57:53.27 VhF1mR1K
URLリンク(mashironohoraana.web.fc2.com)
これだろ
165:名無しさん@ピンキー
11/04/17 17:01:08.00 Z0NHCuJg
>>162
リレーはぶっちゃけ好きじゃないな・・・
まぁ書く気がないなら別にいいけど
166:名無しさん@ピンキー
11/04/17 17:58:56.82 XnrPJcMu
>>160
龍騎か555か電王かキバかオーズでないと駄目らしいぞ
167:162
11/04/17 18:18:58.27 aFTpXVI4
>>165
─残念! この企画は終わってしまった!
……まぁ、冗談ですが。とは言え、のってくれる方がいなければ強制終了せざるを得ないのも事実。
自分も言いだしっぺとして書ける時は書きますが、ココでも他のスレでも抱えてる連載がありますし。
168:名無しさん@ピンキー
11/04/17 20:12:18.86 8CTjVyc4
参加するしないは置いておいて良いと思うよ
しりきれトンボなんて珍しくないんだし、放置でいいんじゃない
で気が向いたら適当に続きで、そのうち拾って続ける人がいるかもしれないし、居ないかもしれないし
169:名無しさん@ピンキー
11/04/17 21:41:02.12 jNs4ImyR
>>166
鬱エンドかgdgdばっかりじゃないですかー!やだー!!
170:名無しさん@ピンキー
11/04/17 21:45:54.65 WUsMYxKh
>>135
世界観が骨太っていうか、しっかりしてますなぁ。ところでレム君って、人間でいうと
何歳ぐらいだろう。
171:竜巫女の人
11/04/19 11:01:52.92 noNPWUjp
ちょっと体調不良と煮詰まりで続きが投下出来ず、もし、続きを期待されてる方がいたら申し訳ありません。週末にうまくすれば……。
>170
か、過大評価です。
一応は、↓みたいなことぐらいは考えて、RPGのマニュアル的な世界設定は
作ってますが、「骨太」とか言われると赤面物。
★異世界アールハイン URLリンク(kcrcm.blog85.fc2.com)
ちなみに、「竜人と巫女のゲーム」は、某所投下中の「日本人は形から入る」と表裏一体の話になります。澪霧(レム)視点が前者、アリス(中身日本人♂)視点が後者。
172:名無しさん@ピンキー
11/04/19 19:58:56.41 EawOX9jx
>>172
続きは楽しみだけど、のんびり楽しくやってほしいです。
173:名無しさん@ピンキー
11/04/19 20:48:31.82 EawOX9jx
>>間違えた、>>171でした(汗)
174:162
11/04/20 22:12:16.85 ejUB56n8
→ 5)こんな部屋はさっさと出て脱出経路を探る
この迷宮にいるだけで、男としての要素を喪うというなら、時は金、長居は無用だ。
君は、急いで部屋を飛び出した……が!
何も持たずに探索を始めたのは、少し軽率だったようだ。
振り返っても、先ほど部屋へのドアは堅く閉ざされ、横開きのドアには取っ手すら見当たらない。
仕方なく石作りの迷宮を歩き始めた君は、数時間後歩き疲れて、行き止まりになっている小部屋で小休止することにした。
幸い、敵らしき影も見当たらないので、部屋の隅のカーペットが敷かれている一角へ座って、足を伸ばす。
……石畳のダンジョンにカーペット?
そのことに君が不審を覚える前に、カーペットは君を載せたまま凄いスピードで浮き上がり、天井に空いた大きな穴から部屋の外へと、文字通り「飛び出して」いく。
どうやらこれは、魔法のカーペットを使った罠(トラップ)だったようだ。
流石は異世界と言うべきか、灯りらしい灯りも見当たらない夜空を飛び続けたカーペットは、やがてアラビアっぽい屋根の大きな建物の一角に、窓から飛び込んだ。
「ほほぅ、コレまたは可愛らしい妖霊(ジニー)だな。私に何か用かね?」
豪華な服を着た、これまた昔のアラビ人風の青年が、目を丸くしながら、君に声をかけてきた。
─かわいい? ジニー? なんのことだ?
君はそう考えるが、君の身体は勝手にカーペットから飛び降りると、目の前の青年に向かって、深々とお辞儀をする。可憐な声が口からこぼれた。
「こんばんは、旦那様。あたしの名前はマルジャーナ。偉大なるアッラーは、日ごろの心がけの善き貴方様を嘉し給い、あたしを遣わされました」
いつの間にか、君の身体は15、6歳くらいの褐色の肌の美少女に変わり、ベリーダンサーのような衣裳を着ていた。
どうやら魔法なり呪いなりの力で、このように変えられてしまったらしい。
175:162
11/04/20 22:12:57.08 ejUB56n8
「ふむ……それは、つまり私に仕えてくれる、と考えてよいのかね?」
「はい、旦那様、せひとも貴方様のおそばに置いてくださいまし」
そう口にした途端、強烈な義務感のようなものが心の中に湧いてくる。
「そうか。では、以後よろしく頼む」
青年の許可を得ると、多幸感で胸が熱くなった。
「ありがとうございますっ! あたし、精一杯がんばります!」
植えつけられた偽りの感情だと知りつつ、とても逆らえない。
こうして君は、旦那様に仕えるジニーの侍女となった。
─残念! 君の男の子人生は終わってしまった!
…………
しかし、旦那様は、若く聡明で、すぐれた才覚を持つ裕福な商人であり、君達使用人にも優しくしてくれる、とても仕え甲斐のある方だった。
まだ妻を娶っていないためか、すぐに君の肩書に「侍女」と並んで「愛人」というものも加わったが、君は喜んで寝台(ベッド)の中でも外でもその責務を果たした。
さらに1年とたたずに、その肩書は旦那様の希望により「妻」へと変更されたが、君が愛する旦那様に身も心も捧げていることに本質的に変わりはない。
(コレはコレで、それなりに充実した人生なのかもしれない)
寝台の中で、最近少し大きくなってきた自分の下腹部を優しく旦那様に撫でられながら、君はそんなことを思うのだった。
[END_No.01:奥様は可愛いジニー]
176:162
11/04/20 22:13:44.45 ejUB56n8
→6)もう一度部屋の中をよく見てみる
まずは自分が寝ていた辺りを探す。
枕元には小さめの手提げかばんが、マットレスの下にはココの地図らしき簡単な手書きのマップがあった。
固形食糧の下には「やくそう」と書かれた二つ折りの紙があり、開くと押し花のように緑色の葉っぱがはさまれていた。
さらに部屋の壁をよく見ると、マットレスの置いてある場所と対面の壁に細い隙間がある。
苦労しつつ、その隙間に指先を入れて動かすと、壁─いや扉が右に開いた。おそるおそる中を覗き込んでみると、どうやらここはウォークインクローゼットのようだ。
君は─
7)嫌な予感がする。扉を閉じて、部屋を出る
8)せっかくだから、中を探ってみる
#つづけてみますた。とちぅらんにぅもかんげい。
177:名無しさん@ピンキー
11/04/21 18:01:26.08 nMP6Coab
いぬまるだしの後ろについてる読み切りにTSっぽい話があって吹いた
178:魔法少女キューティエアリィ ◆yboXY7MR9E
11/04/21 18:11:02.96 /6Jp1Orl
お久しぶりです。
世間はまどマギ放映で賑わっていますね。
私もすごく楽しみです。
さて、エアリィさんですが十三話完成しました。
今夜投下しますね。
やっと半分きました。長いようで短かったです。
残り半分ラストに向けて構想ねりねりしています。
ではまた今夜
179:魔法少女キューティエアリィ ◆yboXY7MR9E
11/04/21 21:31:16.17 5D8Qe6/1
さて、こんばんわ
これから投下しようと思います。
17回連続投下します。
※注意
・今回はエロッ地区内です。
・強制TSあります。
・やっぱり台本形式です。
これらが苦手な方はNG指定してくださいませ。
では、本編スタートします。
180:魔法少女キューティエアリィ ◆HgIr/roi/D6V
11/04/21 21:34:15.64 5D8Qe6/1
大樹「みゃこ、本当に大丈夫か?もう少し休んだほうが・・・」
美夜子「もう大丈夫!お父さん。ごめんね心配かけちゃって。」
紗英「でも、まだ熱があるんじゃないの?」
そう、紗英の言うとおり美夜子の熱は当初のような高熱ではないにせよ、
まだ平熱とは言い難かった。
美夜子「うーん、そうだけどいつまでも寝てられないしね。」
大樹「しかし・・・」
美夜子「だいじょーぶだって。それに今日から学校だからね~。」
紗英「でも・・・無理しないでね。」
紗英は熱が出ている間の美夜子の苦しみ様を見ているため、非常に心配していた。
しかし、いつまでも家にこもりきりというわけにもいかないということも事実。
体調も戻ってきているようならばと大樹と紗英はお互い顔を合わせ頷いた。
大樹「そっか、そこまでみゃこが言うならな。
いつまでも部屋の中に籠っていたら滅入ってしまうしな。」
美夜子「そうそう、いつも元気なみゃこちゃんは、
家の中で収まるような器ではないのです!」
大樹「ははは。その調子なら大丈夫そうだ。」
紗英「そうね・・・でも、体調悪くなったらすぐに保健室に行くのよ?」
美夜子「わっかりましたー!」
美夜子は敬礼のポーズをした。
紗英「ふふふ、じゃ、行ってらっしゃい。」
181:魔法少女キューティエアリィ第十三話-2 ◆yboXY7MR9E
11/04/21 21:37:03.43 5D8Qe6/1
美夜子「いってきまーす!!」
玄関を勢いよく出て行った。
と、思ったらすぐに戻ってきたのだった。
大樹「?どうしたんだ?」
紗英「やっぱりまだ・・・?」
美夜子「ううん・・・えっと・・・」
もじもじと顔を赤らめながら大樹と紗英の顔を交互に見ていた。
美夜子「えっとね・・・んと・・・
お父さん、お母さん、ありがと!大好きだよ!じゃねっ!」
言い捨てる様に早口でしゃべるとそのままくるりと振り返り、
勢いよく玄関を出て行ったのであった。
大樹と紗英はその姿をみて固まってしまっていたが、どちらからでもなく吹き出した。
大樹「ぷっ・・・ははは。何かと思えば・・・」
紗英「よっぽど嬉しかったのね。」
大樹「ああ、そうだな。」
紗英「あの子がこんなにも明るくていい子に育って・・・」
大樹「おいおい、泣いているのか?
でも、まだまだあの子が不安を抱えているのは事実だ。」
紗英「そうね・・・私たちがあの子をしっかりと助けていかないとね。」
大樹「俺は・・・彼女を何があっても守って見せる・・・
たとえこの身がどうなろうとも・・・」
紗英「どうなろうともなんて言わないで。
そんなことにならないように私もあの子を守るから・・・」
大樹「そうか・・・うん、よろしく頼むよ。」
紗英「ふふふ、あなたってすごく真面目よねー」
大樹「ちゃ、茶化すなよ。」
182:魔法少女キューティエアリィ第十三話-3 ◆yboXY7MR9E
11/04/21 21:39:10.06 5D8Qe6/1
紗英「あら?あなた・・・少し顔色悪いけど・・・」
大樹「そ、そうか?少し疲れているのかもな。
少し腹の具合が悪いんだ。」
紗英「大丈夫?」
大樹「少しだから大丈夫だよ。
心配かけてすまないな、じゃ俺も行ってくるからな。」
紗英「ええ、行ってらっしゃい。あなた」
大樹は紗英に軽くキスをすると、玄関を出て行った。
その愛する夫の後姿を優しく見つめている紗英。
紗英は外の眩しい光に包まれて、その夫の背中がどこか儚げで・・・
消えてしまうような錯覚に陥った。
紗英「あなた・・・大樹君・・・無理、しないでね・・・」
第十三話「Matter!どうして見捨てるの?」
ここは明日美の通う桜山女子学園中等部
この学校も今日始業式を迎えるのであった。
おはよ
あけましておめでとー
あ、髪切ったー?
外に止まっている高級外車見た?
うん、誰か来ているのかなー?
女子生徒たちは各々久しぶりに会う級友に挨拶を交わすのであった。
その中、朝早くから登校して自席に座って一人で本を読む明日美がいた。
クラスの皆は明日美に対して挨拶はするものの、それ以上の会話をする者はいない。
1年生の事件以来、皆は今まで以上に腫れものを触るように明日美に接していたのであった。
もう、病気は完治しているというのに。
しかし、明日美は上辺だけの薄っぺらい関係にならずに済んでいる状況に安堵しているのである。
正直、相手のご機嫌を窺って必要以上に気を遣わなくて済んでいる分、心地よさを感じていた。
183:魔法少女キューティエアリィ第十三話-4 ◆yboXY7MR9E
11/04/21 21:41:24.52 5D8Qe6/1
キーンコーンカーンコーン
明日美(さて、HRか・・・)
明日美は今まで読み耽っていた本をカバンに仕舞い込み、ペンケースとノートと手帳を出した。
しばらくすると、教室の骨董品のような古い木製扉をガチャリと開け、
担任の先生が入ってきた。
先生「みんな、おはよう。」
おはようございまーす!
先生「ん、みんな元気でいいわね。
そんな皆に今日は私からいいニュースがあるんだ。」
なんですかー?
あ、あたし知ってるー
先生「実はね、このクラスに転校生がきます!」
おおー!
ざわざわ
先生「はい、静かにー!そんなに騒いでいたら紹介できないじゃない。」
明日美(転校生か・・・まあ、あたしには関係ないわね・・・)
先生「さて、紹介します、どうぞ入ってきてちょうだい。」
先生は扉の方に向かって呼びかけた。
少しの時間を置いて、木扉のノブがゆっくりと回る。
カチャリという音を立て、その扉が開かれていった。
コツコツと靴音を鳴らし、その人物は教壇の前まで歩いて行く。
相変わらず教室内はざわざわと騒がしい。
明日美はその騒がしさを少し鬱陶しく感じながらその人物を一瞥もせず、
自分のノートと手帳を交互に見ていた。
184:魔法少女キューティエアリィ第十三話-5 ◆yboXY7MR9E
11/04/21 21:43:27.13 5D8Qe6/1
先生「はい、みなさん静かにね。
じゃ、自己紹介お願い。」
わーすごい美人・・・
背が高ーい
奇麗な黒髪・・・
もしかして、朝見た高級外車って?
先生が生徒たちに静粛を促しても教室のざわつきは収まっていない。
そしてその人物はそんな様子でもお構いなしに黒板に自分の名前を書いていく。
???「東條萌波と申します。皆さま、よろしくお願いいたします。」
明日美はその名前を聞いて耳を疑う。
明日美(と、東條・・・萌波・・・?ってまさかっ!)
今まで懸命にノートと手帳を睨めっこしていた明日美は勢いよく顔を上げ、
教壇の方を向いた。
そこには、澄まし顔で立っている、
東條萌波
がいたのだ。
その萌波の横でつらつらと彼女の紹介をしている教師の声は
もはや明日美には届いていなかった。
萌波は明日美が自分を見ていることに気が付くと、にこりと微笑んだ。
その微笑みで再びざわつく教室内。
キャー微笑んでるわ
お嬢様ってやつね
さすが格が違うわ
皆好き勝手なことをコソコソと小さくない囁き声で呟いていた。
185:魔法少女キューティエアリィ第十三話-6 ◆yboXY7MR9E
11/04/21 21:45:55.00 5D8Qe6/1
明日美「な・・・なんで萌波が転校してくるのよ・・・」
明日美は目を白黒させていた。
その様子がとても面白いらしく、萌波は明日美をじっと見つめているのである。
萌波(くすくす・・・明日美さん、面白い反応するわね。
そんなに私が転校してきたことに驚いているのかしら。)
明日美(あ、あたしのことからかいに来たの?いや、でもそんな・・・)
先生「はいはーい、彼女の詮索はしないの!
休み時間に質問してね。」
ざわつく生徒たちを静粛にさせるために担任教師は手をパンパンと叩きながら
注意した。
先生「では、北島さんの隣が開いているからそこに座ってね。」
萌波「はい、わかりました。」
コツコツと靴を鳴らしゆっくりと周囲を見回しつつ明日美の席へ近づいていった。
そして、明日美の前に立つと明日美に向かってペコリとお辞儀をした。
萌波「はじめまして、東條萌波と申します。
まだ不明点が多くご迷惑をおかけしますが、今後ともよろしくお願いいたします。」
明日美は何が何だか分からず、何かしゃべろうと思うのだが、
言葉を発することができず、ただパクパクと口を動かすことしかできなかった。
先生「北島さん、東條さんもそう言っていることだし隣の好ということで、
サポートしてやってね。」
明日美は先生の言葉と萌波の態度にどぎまぎしていたが、
萌波の言葉で我に返った。
186:魔法少女キューティエアリィ第十三話-7 ◆yboXY7MR9E
11/04/21 21:48:06.74 5D8Qe6/1
萌波「北島さん、よろしくお願いしますね。」
萌波は、あくまでも初対面という体を貫こうとしているのだ。
明日美「え、ええこちらこそよろしく・・・お願いします。」
今までが今までであったため明日美の動揺は隠せない。
さらにコソコソと周囲からざわめきが聞こえてくるのがわかり、
明日美はますます萎縮してしまうのであった。
北島さんって・・・
ねぇ・・・
大丈夫かしら・・・
萌波「ごめんなさいみなさん、どうも聞き取り辛かったので、
時間があるときにじっくり聞きますので後でもう一度仰って下さるかしら?」
萌波が声のする方を見ずに言うと周囲のざわめきがピタリと止んだ。
萌波「ふふふ、ではお隣失礼いたしますね。」
そう言って萌波は明日美の隣の席にすっと座った。
そして、授業が終わり休み時間・・・
東條さ・・・
萌波「北島さん、学校内を案内していただけるかしら?」
生徒たちが周囲に集まるよりも速く萌波は明日美へ話しかける。
その姿を見てクラスメイト達は少々残念そうであった。
萌波「ごめんなさい、北島さんと約束をしておりましたの。
また話しかけてくださいね。」
にっこりとそのクラスメイト達に微笑みかけると彼女たちは
それ以上何も言えなくなるのであった。
萌波「北島さん、さ、行きましょ。」
明日美「ちょ、ちょっと待って・・・」
萌波に明日美は手を引っ張られ、半ば強引に連れ出すように教室を出て行った。
187:魔法少女キューティエアリィ第十三話-8 ◆yboXY7MR9E
11/04/21 21:50:38.64 5D8Qe6/1
明日美と萌波はしばらくどこへ行くでもなく無言で廊下を歩いていた。
周囲の人に知る顔がほとんどいなくなると明日美は話しかけた。
明日美「あなた・・・どうしてあんな風にしたの?」
萌波「あんな風って?無理やりに連れ出したことかしら?」
明日美「いや、それもそうだけど・・・あの、あたしと初対面って感じにしたこと。」
萌波「あら、だって初対面ということにしおいた方がいろいろ都合がよくなくて?」
明日美「どういうこと?」
萌波「私とあなたが知り合いってこと、普通に考えたら違和感があるわよね。」
明日美「まあ、そうね。」
萌波「知り合いってことがばれたら・・・あなたに根掘り葉掘り聞いてくること間違いなしじゃないかしら?」
明日美「たぶん・・・そうなるわね。」
萌波「それに私も面倒事は回避したいし、騒がしいのは私の性分に合いませんの。」
明日美「でも、今日はいいかもしれないけど明日からはどうするのよ。
何度も学校を案内するなんて使えないわよ。」
萌波「あら、そんなの毎回適当に理由つけて断るから大丈夫よ。」
明日美「そ・・・そんなんじゃ・・・あなたに友達できないわよ。」
萌波「いいのよ、前にも言ったでしょう?私は他人と慣れ合いたくないの。
それに、あなたもこの学校には友達と言える人いないんでしょう?」
明日美「ど、どうしてそれを・・・」
萌波「そんなの周りのあなたへの態度と、朝のあなたの様子を見ていれば一目瞭然よ。」
萌波「まあ、そういうわけだし、あなたも私と一緒にいたら面倒だろうから、
今まで通り過ごしてよくってよ?」
188:魔法少女キューティエアリィ第十三話-9 ◆yboXY7MR9E
11/04/21 21:53:10.45 5D8Qe6/1
明日美「なんでそういうこと言うのよ。
仮にもあたしたちは仲間でしょ!せっかく同じクラスになったんだから・・・
少しくらい仲良くなってもいいじゃない!」
萌波は呆れたように溜息をついた。
萌波「あなた、私に言うより他のクラスメイトに同じこと言えるのかしら?
せっかく同じクラスになったんだから少しくらい仲良くなってもいいじゃない。って。言えないでしょ?」
明日美「うっ・・・それは・・・そうなんだけど・・・」
萌波に図星を突かれて言葉に詰まる。
そうだ、確かに明日美は腫れ物に触るような態度のクラスメイトに嫌気がさし、
自ら彼女らを拒絶してしまったのだった。
しかし、明日美は実際には友達を欲しているのは確かだった。
そうは言っても自分の性格上、上辺だけの付き合いはできないことは十分に理解していた。
だから、絵梨と友達になれたときには嬉しかったし、自分の秘密も見せることができた。
ここ最近の萌波を見て彼女もそういう一歩踏み込んだ友達づきあいができるのではないかと考えたのだ。
でも萌波の意見に反論できず、押し黙ってしまった明日美を見かねて萌波が話す。
萌波「はぁ・・・まぁいいわ、少しだけなら付き合ってあげるわ。」
そう言うと萌波は明日美の前にすっと手を出す。
その萌波の行為に明日美はしばらく意味がわからなかった。
明日美「もしかして・・・握手?」
萌波「そうよ。早くしてくれないかしら?あなたにそのつもりがなければ止めるけど?」
萌波は出した手を引っ込めようとするが明日美は慌ててそれを制止する。
明日美「あー!ちょっとタンマタンマ!するする!」
そういって明日美も手を出し、二人は握手をした。
189:魔法少女キューティエアリィ第十三話-10 ◆yboXY7MR9E
11/04/21 21:55:12.12 5D8Qe6/1
明日美「ふふふ、これであたしたちは友達ってことね。」
萌波「はぁ・・・便宜上・・・ね。」
明日美「全く、素直じゃないんだから。」
萌波「あーあ、もう慣れ合うのはよそうって決めたのに・・・
あの子の影響かしら・・・」
明日美「ふふふ、そうかもね。」
萌波「んー。この際だからちょっと聞いてほしいことがあるの。」
少しだけ考えていたが、萌波は何かを思いついたようだった。
明日美「何を?」
萌波「まあ、これから話すことは私の独り言だと思って頂戴ね。」
明日美「うん。」
萌波「私は小学校5年生までは普通の家庭に育って、家族3人で仲良くつつましく普通の暮らしをしていたの。」
萌波「ところが、5年生の夏休みに父が急に倒れてね・・・入院したの。」
萌波「父が入院して間もなく、うちに祖父の秘書って言う人がやってきて・・・」
萌波「それで、母を家に置いたまま、私を連れ出したの。」
萌波「その時は、話には聞いていたけど会ったことのないお爺様だったから、
気軽な気持ちで少しわくわくしながら行ったわ。」
萌波「でも、それは間違いだった。
愚かなことにそれに気が付いたのは時間が経ってから。私は幼かったのね。」
萌波「夏休みということもあって、しばらくお爺様の家にいたの。」
190:魔法少女キューティエアリィ第十三話-11 ◆yboXY7MR9E
11/04/21 21:57:20.48 5D8Qe6/1
明日美「入院したお父さんはどうしたの?お見舞いに行かなかったの?」
萌波「最初は行こうとしたんだけど、秘書の人からすぐ退院できるから心配いらないと言われてたわ。」
萌波「夏休みも終わり、そろそろ学校も始まろうかという時・・・」
萌波「突然、10月からフランスで暮らせと言われた。」
明日美「そんなむちゃくちゃな・・・」
萌波「夏休みが終われば帰れると思った私はお爺様に抗議したわ。」
萌波「そうしたらおじい様は優しい顔が消えて冷たい眼で・・・
お前は正式に私の後継者として育てるから家には帰れない。
て言ったの。」
萌波「そしてフランスへ行く少し前に秘書を通じてお父様が亡くなったことを聞かされたわ。」
萌波「私は半狂乱になって暴れた。せめてお葬式だけでも、お墓だけでもお参りに行きたい!
と言ってもフランス行きが迫っているという理由で許してくれなかった。」
萌波「そして、お母様にも会わせてもらえなかった。
一度こっそりお母様がお屋敷に来たことがあったのだけど、
すぐにお爺様にばれて小切手一枚渡して追い返された。」
萌波「お爺様は・・・あの男は!自分の息子なのに見捨てたのよ!
そしてお母様のことを息子を誑かして堕落させた売女だと言い捨てた!」
萌波「どうして・・・どうして見捨てた・・・どうして!あの男の財力があれば!」
萌波は興奮してふるふると震え、声を荒げた。
明日美「萌波・・・」
191:名無しさん@ピンキー
11/04/21 21:57:54.45 c7j/Shvx
支援。
192:魔法少女キューティエアリィ第十三話-12 ◆yboXY7MR9E
11/04/21 22:00:03.38 5D8Qe6/1
萌波「失意と絶望のままフランスへ行ったんだけど・・・
言葉は通じないし一人ぼっちで・・・何もかもが異質だった。」
萌波「そしてフランスで様々な知識を叩きこまれた。
私は必死だったわ。でも、あいつを見返してやるんだって思えば苦にはならなかった。」
萌波「ごめんなさい・・・興奮してしまって・・・
それ以来私は決めたの・・・私以外の人は信用しない、あの男にいつか復讐してやるんだって・・・」
萌波「そして去年の9月に日本に帰ることになったのよ。」
萌波「そこであろうことか飛行機事故が起きてしまった・・・
ニュースにもなったでしょう?知ってるかしら?」
明日美「あ、あの事故のこと!?原因不明で墜落して乗客のほとんどが亡くなったって言う・・・」
萌波「ええ、そうよ。
もうすぐで日本に到着するというところで海に墜落したの。」
萌波「海に叩きつけられて飛行機はばらばら、体は動かないし、意識は朦朧としてた。
私はここで死んでしまうのも復讐としてはありかな。なんて思った・・・
でも、一人残されたお母様を見捨てられない・・・見捨てたらあの男と同じになってしまう。」
萌波「そう思ったときに現れた・・・」
明日美「まさか・・・」
萌波「そう、そのまさかよ。
私のパートナー・・・サダルスウド」
萌波「私の体はボロボロだったけど、彼の力で傷は癒されたわ。」
明日美「それじゃ、奇跡的に無傷で救助された日本人女性って・・・」
萌波「そうよ。私のこと・・・」