愛するが故に無理やり…… Part7at EROPARO
愛するが故に無理やり…… Part7 - 暇つぶし2ch158:名無しさん@ピンキー
11/03/11 22:40:21.30 dKT7nKay
>>157
なんつかお前はこの板ルール以前にこの板に合ってないよ
まとめるのも本人の自由
それを制約するルールなどない

159:名無しさん@ピンキー
11/03/11 22:48:44.65 TiqwtGIC
ああそうなんだ別板でこんな感想クレクレpgrというか
自サイトあるなら自サイトでやれよ
スレの意味ないよって荒れた事あったんでさ

160:名無しさん@ピンキー
11/03/11 22:53:35.83 4I09vVqD
怖いスレだな……

161:名無しさん@ピンキー
11/03/11 22:54:45.63 wfefb5u1
何でそれをここで繰り返す必要があるんだ
アホか

何をどうしようと自由だろうが

162:名無しさん@ピンキー
11/03/11 22:59:07.88 C8wwY0JM
職人の行動を監視してるのか?

さすがに引く

163:名無しさん@ピンキー
11/03/11 23:04:59.93 dKT7nKay
>>159
だからお前ここ向いてねーって
別板のルールなんて知らねーよ
がっかりしたなら黙って去れ

164:名無しさん@ピンキー
11/03/11 23:13:28.52 TiqwtGIC
公爵家の人にがっかりしただけで他の職人さんにはがっかりしてないし
自由らしいので去りませんがw

165:名無しさん@ピンキー
11/03/11 23:13:54.51 dKT7nKay
うぜー

166:名無しさん@ピンキー
11/03/11 23:16:11.93 wfefb5u1
実に

167:名無しさん@ピンキー
11/03/12 00:52:43.03 DMNH8rmu
お前ら>>1読んで素数を数えて落ち着くんだw

とりあえず投下直後に自サイトですぐ公開していいもんなんだな
自分も住人から反感買うと思っててすぐには補完してなかったから
これからは気にせずすぐに補完してみるわ参考になったw

168:名無しさん@ピンキー
11/03/12 01:56:39.02 LaaRoAk2
Yスレの流れか

169:名無しさん@ピンキー
11/03/12 02:26:28.71 BLVDFfgE
>>167
いちいち報告しなくていいから。


以下、まったり萌え語り&投下ドゾー

170:名無しさん@ピンキー
11/03/12 07:18:56.33 UHwNzXL5
夕兄の人のまとめサイトの話題が出た時はスルーだったのに
公爵家の人の時はすかさず注意入るなんて信者コエ―よ

171:名無しさん@ピンキー
11/03/12 07:43:09.55 /ECJXnkT
2が落ちて読めない場合とかもあるし、保管するのは全然かまわないと思うけどな。
というわけで職人各位の無事を祈りつつ続き待ち。

172:名無しさん@ピンキー
11/03/12 09:51:18.22 lCeVGrZR
>>164て、最低だな

173:名無しさん@ピンキー
11/03/12 11:07:14.94 wJnSYDzy
ここに限らず自サイトだと読者の感想が分からないから
人の多い2にも載せて多くの人に見てもらいたいてのはよく聞く
それにサイト掲載を後にするとパクリ疑惑がかかるからね
まぁその辺は書き手任せでどうでもいいんで、続きキボン

174:名無しさん@ピンキー
11/03/12 13:35:20.67 9J6rNDbO
確かに厨スレw

175:名無しさん@ピンキー
11/03/12 21:28:27.70 eESAW0YG
こうして過疎になっていく…のか

176:名無しさん@ピンキー
11/03/12 22:32:42.93 P8x9nJkl
過疎というか
ぶっちゃけこの非常事態でエロパロ板来てる場合じゃないと思う

177:名無しさん@ピンキー
11/03/13 00:04:03.09 1KBMaTIb
流石にこの状況下で安全な地域なんてどこにもないのに
作品投下できる猛者が現れたらそれはそれで賞賛に値するわ

見に来てる自分も自分だが…

178:名無しさん@ピンキー
11/03/13 00:20:18.54 v119k1TS
キモい流れ

179:名無しさん@ピンキー
11/03/13 00:21:52.46 0nB3kWJh
関西以降は今のとこ一応安全なんでない?
書き込み抑制するようなのもどうかと
自分は未だ余震続いてて怖い地域だけどさ

180:名無しさん@ピンキー
11/03/13 00:24:37.15 k8S/fo8R
>>179
抑制つか心理的に書く気になれないんだよ

181:名無しさん@ピンキー
11/03/13 00:27:58.32 mj0W71kM
もちろん投下は待ってるよ
作者さんの無事も確認できるし

182:名無しさん@ピンキー
11/03/13 00:32:10.93 khfDvkVn
ほんと無法地帯だな

183:名無しさん@ピンキー
11/03/13 15:16:56.76 BbNA7CWD
まあこの時期過敏に感じる人もいるのも仕方ない

184:名無しさん@ピンキー
11/03/13 17:06:13.09 n6XM0dFY
サイトあるならサイトでやれと思うが、普通に

185:名無しさん@ピンキー
11/03/13 18:46:39.00 E7VBHDsz
公爵の人のサイト見たけど
ここで穴兄弟注意されたの本当は不本意だったんだね
ここでは注意属性しぶしぶ書いてるけど向こうではタグ付いてないし
近親相姦ってあったっけそれともこれからあるの?
ここでは反省して謝った素振り見せてるけど
本当ははらわた煮えくり返っていたってことか…

186:名無しさん@ピンキー
11/03/13 18:50:17.52 pfGrkdkN
サイト持ちの書き手ってエロパロ板では結構いるし、特に問題なくない?
読み手はいちいち個人サイト探さないでも自分の好きシチュを楽しめる
いい事じゃないか
自サイト宣伝したらウザいと思うけどさ
とりあえず>>154みたいのは悪気ありかなしか知らないが、本当やめてくれ

187:名無しさん@ピンキー
11/03/13 19:24:28.44 +FSVPTsc
何でそんなに排他的なんだ
連載の続き楽しみにしてるんだから、マジやめてくれ
書き手さんがどんな状況かも分からないのに

188:名無しさん@ピンキー
11/03/13 20:47:25.23 v119k1TS
>>185
おまえ最低だな

189:名無しさん@ピンキー
11/03/13 21:11:44.95 IzQAs32U
書き手さんのサイト詮索禁止もテンプレに追加するか?

190:名無しさん@ピンキー
11/03/13 21:15:02.35 BbNA7CWD
近親ってどっちかと親子ってこと?
それはこっちでも注意書き書いてもらわないと…流石に

191:名無しさん@ピンキー
11/03/13 21:16:25.46 khfDvkVn
個人サイトを晒すような真似やめろ

192:名無しさん@ピンキー
11/03/13 22:45:59.38 +FSVPTsc
こんな時にこんなとこ見てる奴だからろくなのが居ないんだな
俺も含めて

193:名無しさん@ピンキー
11/03/13 23:45:56.47 BhiRraRI
>>185
いい加減にしろよ
マナー違反にも程があるだろ

194:名無しさん@ピンキー
11/03/14 00:05:04.66 3IYsrigK
ヤンデレ男っていいよな
愛ゆえにレイプ監禁なんでもしそうだ
一方的すぎると女のほうに愛が発生しなさそうだけど

195:名無しさん@ピンキー
11/03/14 00:14:41.20 h2s8la1u
一人の職人さん保護するためにテンプレ変更?ねーよwww

っていう冗談はさておき
真面目にレスするとこうやって侯爵家ファンが今までなかったほど
異常に公爵家の人を庇うから反発が大きいんだと思う
むしろ職人さんの為にならない擁護とかしてのあの騒動だし
某人の時は続きが読みたいから荒らすなよみたいな擁護なかったし
もっと注意するにしてもスマートに注意すれば?
>他人に注意をするときは、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
っていう>>1も守れてない人多い気がする

196:名無しさん@ピンキー
11/03/14 00:37:48.59 h2s8la1u
あー結局何が言いたかったかというと
職人さんのファンの場外乱闘がひどすぎるから
職人さんが好きなら職人さんに迷惑にならないような
注意の仕方を心がけようよと言いたかった。
勿論嵐は論外だけど。

197:名無しさん@ピンキー
11/03/14 03:10:12.18 dcSia1Kl
>>196
問題すり替えてない?
相手が誰だろうが、2chで個人サイト晒すような真似すりゃやった奴は非難されるよ
自サイト宣伝してた訳でもってないのに、わざわざ探してきてバラすわウダウダとケチ付けるわ
どこでやっても叩かれる行為だよ

今回のは個人攻撃だから、制止が行為に対する非難じゃなくてただ職人庇ってるように見えるのかもしれないけど
ファンがどうとかって言い出すのは話をねじ曲げてるよ

なんかよく「信者が~」みたいに言ってるのいるけど、信者がいるって事にしたがってるようにしか見えない
いちゃもん付けは煙たがられるのが普通だよ

198:名無しさん@ピンキー
11/03/14 07:20:46.49 2pyXq2Mh
『嵐行為』は非難してるんだからすり替えはないだろ
個人サイト曝しが~とかいうけど別のスレでは
普通に職人のサイトについて話してるし
前もサイトあるよってレスに注意入らなかったのに
(だからこそ見つけた人は話題にだしたんじゃないの?)
今回だけはすぐに入った
前回までは職人擁護にもにょりながらも嵐ウザイとおもってたけど
何度も注意の声をすり替えだなんだと繰り返すと
信者のえこ贔屓がウザイにしか見えなくなったけどなぁ
あ自分のレスも必要以上の叩きはイクナイというのは前提です

199:名無しさん@ピンキー
11/03/14 07:34:31.39 h2s8la1u
>>197
別にすり替えてないよ、「いちゃもんつける嵐は論外」と書いてる。
でも他の職人さんの時はなかったのに
この職人さんの時は何度もかばい方が尋常じゃなかったからそう思ったまで。
そして
>2chで個人サイト晒すような真似
板によってはそうでもないからそっちルールのまま来る人もいそうだけどね。

200:名無しさん@ピンキー
11/03/14 07:41:53.53 GujoAyZN
愚痴スレで暴れたり変なのに粘着されてるから
色々と気を使わないといかんとは思うけどね

201:名無しさん@ピンキー
11/03/14 07:48:47.56 eB/F/2nf
どうでもいい
公爵家の話が好きになれなくておとなしく傍観してる俺みたいなのもいる
投下しづらい空気作るのやめれ

202:名無しさん@ピンキー
11/03/14 08:17:01.77 31WJe14u
まだやっていたのか


203:名無しさん@ピンキー
11/03/14 08:20:17.71 t8FxqeRP
擁護っちゅうか注意を入れた一人だけど、
別に公爵家の人だけの話をした覚えはない
それに前の人の時とやらは、いなかったから知らん

ただ、どう考えてもヲチに近いレスとかには問題あるだろ

妄想話や萌え語り出来る雰囲気になるまで大人しく待機しとこうぜ

204:名無しさん@ピンキー
11/03/14 08:56:22.55 sklwnG1q
>>154
>>156
からお前らよくこんなに盛り上がれるな
とりあえずスルーするか長文レス自重しろよ

205:名無しさん@ピンキー
11/03/14 10:18:22.51 N5IsU4gz
気持ち悪いスレだな……

206:名無しさん@ピンキー
11/03/14 12:03:53.35 +TzY6MY5
>>201

お前は俺か
気持ち分かるぜ

207:名無しさん@ピンキー
11/03/14 14:16:46.51 lROh2pne
みごとなリア厨スレ

未成年はエロパロ板に来ちゃ駄目だよ

208:名無しさん@ピンキー
11/03/14 14:36:45.54 9OYe57Ot
ヲチや晒しはどの板でもフルボッコが妥当。むしろここの対応は手ぬるいんだが
勿論2もPINKも共通なので、>>1に追加する必要すら無し

今の空気は謎過ぎる

209:名無しさん@ピンキー
11/03/14 14:43:03.11 VJN1WyBI
お前等元気だな美熟女な人妻に惚れて、強姦して寝取る妄想したら落ち着くのに

210:名無しさん@ピンキー
11/03/14 15:07:06.15 2pyXq2Mh
そういえばここのネトラレはあまり嫌な感じがしないのは
寝とる過程を楽しむだけややり捨てではなく結果(心)を欲してるからだろうか…
普通の寝とられはなんか胃が痛いのが多いんだよなぁ

211:名無しさん@ピンキー
11/03/14 16:17:20.14 VJN1WyBI
自分というか寝取る側が主人公だからだろw
俺も寝取られちゃうのはちょっと……
まぁ、寝取る側サイドの視点で読めば良いだけだが

212:名無しさん@ピンキー
11/03/14 17:47:06.58 VTSm6T76
個人的には寝取りよりもすれ違いによる暴挙からの和解が好き。
愛が一方通行じゃなく、終わりごろには双方向になってほしいと思う。

213:名無しさん@ピンキー
11/03/14 21:48:48.00 VVTItnJU
普通にレイプも好きだけどここには愛故に~を求めて来てるから
両方から→出てるのにうまくいかなくて…なすれ違いが読みたい
NTRは地雷なんだけどここのは何故か大丈夫な事が多いからその気持ちわかるww

214:名無しさん@ピンキー
11/03/14 21:54:01.06 W76QpHXW
そういうの書きてえ
でも投下はまだ早い気がする小心者

215:名無しさん@ピンキー
11/03/14 23:11:20.40 Bgr9chQs
>>213
愛ゆえなんでありがちな挿れたらオチるマジカルチンポみたいのが少ないからかも
自分はそういう簡単なのもイケる口だが、駄目な人はマジで地雷だろうからなあ
情熱のままに暴走して後から愛してたんだって気づくようなのはここでは駄目かな?
恋愛経験とかなさそうなキャラで感情をもてあまして
どうしても相手の事を手に入れたくて力づく…って感じで

216:名無しさん@ピンキー
11/03/14 23:24:20.89 +5vs1i/6
処女厨です

217:名無しさん@ピンキー
11/03/14 23:48:38.13 5qyek0iB
数スレ拝借

なんちゃって軍隊もの
少将×少尉
ストーカー要素あり
設定や展開がデジャヴかもしれないがこちらが元ネタということで
了承いただきたい

NGワードは「視線」で

218:名無しさん@ピンキー
11/03/14 23:49:10.25 5qyek0iB

「―う、くうぅ、」
口からこぼれるのが自分の声と認識できず、リインはただ苦痛に耐えた。痛みで息ができない。
「目を開けろ」
命令に従うと痛みのせいで浮かんだ涙で滲んだ視界が、自分を見下ろす男を捉えた。
「―ああ、君の瞳に私が映っている。どれだけ待ったことか」
満足げに呟くと男、レナードはリインを支配するべく動き始めた。



いつの頃からだろう。―視線を、感じるようになったのは。
はじめは気のせいだと思っていた。しかし訓練の時、本部の廊下で、中庭で、折々に感じる。
振り返ってみても誰もいなくて、いたとしても見知らぬ顔で自分に注意は向けていない。
それなのに、息苦しいような絡みつくような感触が残る。まるで、逃しはしないと告げるかのような感覚。

はあ、とついたため息に反応される。リインを見る同僚の顔はけげんそうだ。
「どうした? 最近元気ないみたいだけど。訓練がきついせいか?」
コーヒーの紙コップを両手で握り士官学校からの同期生に口を開く。夜も遅い時間の休憩所で他には誰もいない。
「最近、というかいつからかよく分からないけど、視線を感じる気がして。少し参っている」
最初の頃はなんとなくだったのが、そのうちに明確な意図を感じるような気がしていた。完全に一人になれる場所は
ともかく、最近は時間や場所に関係なくなってきているように思えていた。
一緒にいる友人にも確認してもらったけれど誰もいない。
「気のせいだとは思うんだけど」
「ストーカーかもな」
同僚はそう言ってリイン・アドラー新米少尉を眺める。士官学校を卒業したから階級はそれなりだが、まだ卵の殻が
ついたひよこ。それは同僚もご同様の新米軍人だ。
「お前美人だし、前にもストーカー騒動あったじゃないか」
確かにしつこく誘われたり、ストーカー行為も過去にはあった。でも今回は視線は感じるがそれだけで実際的な接近や
実害はないのだ。それなのに今までよりも重圧感を感じている。
「うん……そうかもしれないけど。自意識過剰か神経過敏かもしれない」
そんなリインを気遣わしげに見やり同僚はごくり、と唾を飲む。
普段は隙を見せないリインが物思いに沈んでいる姿は、頼りなげに見えてその場の空気を危うくした。
「俺が、守るよ。だから……」
肩に手が置かれ引き寄せられてはずみでコーヒーがこぼれる。それを気にする余裕もなく気付けばリインは同僚に
押さえ込まれていた。パニックに陥りそうになりながら何とか説得を試みる。
「ちょっと待って。落ち着いて、あのね、手をはなしてくれないかな。私にはその気は全く―」
だが、同僚は頭に血がのぼったのか聞き入れる様子はなく、火事場のなんとやらでのしかかられる。乱暴な手つきで
胸元を触られ鳥肌が立った。
「嫌! やめて、誰か」
叫んでも人はいなくてもう駄目かと思った時に低い、よく通る声が聞こえた。
「何をしている」
その声に同僚は動きを止めリインも声の方向を見る。壮年の男が一目で将官と分かる階級章の入った軍服を着て
マントを腕にかけている。その人物は表情を変えずに二人を見ていた。
「合意の上ではないようだな。嫌がる女性に無理強いとは、軍本部で。厳罰ものだな」
低い、穏やかとさえ言える口調なのに同僚ははじかれたように起き上がり、リインを残してその場を去った。

219:名無しさん@ピンキー
11/03/14 23:49:40.43 5qyek0iB

助かった、のか?
状況が飲み込めずに放心したようなリインに、大丈夫かと将官は手をさしのべた。
その手をとって起き上がる。
「ありがとう、ごさいます。大丈夫です」
敬礼して立ち去ろうと思ったのに。
「大丈夫、ではないようだな」
将官の指摘に足が、体が震えているのに気付かされる。今更ながらに恐怖が押し寄せてきた。
「座っていなさい」
椅子をひかれそこに座るとふわりとマントを着せかけられる。こぼれたコーヒーの紙コップを捨てたその足で将官は
新しい飲み物をリインの目の前に置いた。
「飲みなさい。温かいものをいれると落ち着く」
そう言って気をつかっているのだろうか、少し離れた場所に腰を下ろした。両手でカップを握り締め手を温めてから飲むと
クリームと少し砂糖が入っていて柔らかい飲み口と温度にほっとした。
震えがおさまったところに名前を階級を尋ねられる、答えるとさらに質問された。
「……先程のようなことはよくあるのか?」
「初めて、ではありませんがよくあると言うほどの頻度でもありません」
今は退役したが軍人だった父親から習った護身術や、隙を見せない行動で致命的なことは避けられていた。さっきのは
落ち込んでいたので反応が遅れて押さえ込まれてしまった。久しぶりのことだ。
「女性は大変だな、いや、君のような女性だからか」
その言葉に顔を上げる。初めてまともに目が合った。じっと見つめてくる視線が気恥ずかしくて目を伏せる。
カップを空にして立ち上がる。もう大丈夫そうだ。震えは止まっている。
「ありがとうございました。お気遣い感謝します」
マントをかえして礼をして、リインは官舎へ戻ろうとした。
「さっきのような輩がいないとも限らない。官舎までおくろう」
将官にそんなことはと辞退するが押し切られてしまった。本部敷地内で遠くもないのだが一人よりもずっと安心できた。
やはり気をつかってくれているのか少し距離をとってくれている。
官舎の玄関で立ち止まると将官はなにかあればカウンセリングを受けるように、とアドバイスをして去っていった。
その後姿をながめながらリインは、恩人の名前を聞いていないことに気がついた。


220:名無しさん@ピンキー
11/03/14 23:52:19.04 5qyek0iB
視線はその後も感じたが、危ないことはなくリインは軍での生活を過ごしていた。それでも気は滅入りがちなので、
仕事の合間に視線をうけないような場所で休憩するようになっていた。
その日もコーヒーを片手に気に入りの場所に向かった。生垣をまわってスペースに踏み込むと先客がいた。
振り返ったその人と目が合う。
リインを助けてくれた将官だった。彼も飲み物を手にもってベンチにすわってくつろいでいる。
「失礼しました」
邪魔をしたので元来たほうへ戻ろうとしたが、引き止められる。
「いや、かまわない。もう行こうかと思っていたから。―同じような目的かな?」
すすめられるままベンチに腰掛けて思い出す。
「その節はありがとうございました。名前も伺わずお礼も言わず失礼いたしました」
あれ以後は無事か、と聞かれ頷くとかすかに微笑まれる。
「ああ、名乗っていなかったな。レナード・ダグラス少将だ。軍には慣れたかな? アドラー少尉」
少将はリインの軍生活について色々聞いてくる、訓練の内容や官舎の住み心地まで。リインはそれにぽつぽつと答える。
「できるだけ現場の感覚を忘れずに保持していたいので」
将官のその姿勢は素直に尊敬できるものだった。そのうち休憩時間が終わり、リインは先に立ち去った。
それから何度か場所を変えて同じようなことがあった。リインが先にいたり、レナードが先にいたり。
とうとう同じタイミングでその場所にいきあったとき、リインはふきだしてしまった。レナードも柔らかく微笑んだ。
その頃にはリインはレナードに尊敬とともに親しみも感じていた。



221:名無しさん@ピンキー
11/03/14 23:52:42.23 5qyek0iB

「よほど気が合うらしい。君とゆっくり話をしてみたい。今度食事でもどうだ?」
誘いは嬉しいが人目がある。どう見ても将官と新米では不釣合いだ。しかしそれは……と断ろうとしたのを封じられてしまう。
「他人の目など気にしない。君さえよければ……一人の食事は味気ないので」
リインが首をかしげると独り身だ、と自嘲気味に言われた。
「気になるようなら別々に集合して個室でおちあってではどうだ?」
そこまで気をつかってもらってはかえって申し訳ない。返事をしようとしたリインの脳裏に、視線の主のことが浮かんだ。
実在する人物かどうかは分からない。だがもしその人物がいたとしたら、レナードとの接触を快く思うはずはない。
万が一レナードに危害が加えられるなどしたら。
「申し訳ありませんが……」
リインの拒絶にレナードはしばらく黙っていたが、低い声で尋ねる。
「私が嫌か?」
とんでもないとリインは首を横に振る。
「そんなことはありません。私の方に問題がありまして。ご迷惑をかけるようなことになれば顔向けできませんので」
「何か事情があるのか?」
問われるままに入隊してから視線を感じること、確認しても誰もいないこと、今のところ実害がないことなどを話す。
「視線、か。本当のことかも分からないのに怯えて閉じこもるより、こちらから陽動してみてはどうだ?」
リインは、はっとする。
先日の射撃訓練の時にまた視線を感じたことを思いだす。それまでただ怯えて周囲を見回すしかできなかったのに、
その日は何故か逆切れにも似た気持ちが生じ、その衝動のままにトリガーをひいていた。
ほぼ全弾が的の中心を貫通し、それに吹っ切れたのか以後はあまり視線に怯えなくなった。
むしろ実在するなら姿を現せとまで思うようにもなっていた。
今も自分だけなら問題はない。レナードに累が及ぶのが怖いのだ。
「私の身を心配してくれているようだが、これでも腕には自信があるつもりだ。実在するかも分からないあやふやなものの
ために君との食事の機会をなくす方が残念だ」
どうやらレナードは怖いもの知らずの冒険好きなようだ。つられてリインの顔にも笑みが浮かぶ。
「では、つきあってくださいますか?」
「喜んで」
店を予約したら連絡するから、と互いの連絡先を交換する。数日後レナードが予約を入れた店にリインは赴いた。
落ち着いた雰囲気のレストランで従業員に案内されて、やや緊張しながら個室でレナードを待つ。
「女性を待たせて申し訳ない」
程なくレナードも到着して席について食事が始まった。レナードは場慣れしていて仕草は洗練されている。食事や酒に
ついての知識も豊富で、リインは美味しい食事とあいまって楽しい時を過ごした。今は退役した父親がかつてレナードを
指導したこともあったと聞かされ、その話に花が咲いた。
あっという間に時間がすぎて店をでた。
「あまり遅くまで女性を引っ張りまわすのも悪い」
タクシーをよばれてリインだけ乗せられる。
「ここで別れるほうが都合がいいだろう。今日は楽しかった」
「私もとても楽しかったです。ご馳走様でした」
レナードに見送られて官舎へと戻った。着いたら必ず連絡を入れるようにと言われていたので、到着の報告と食事の礼を言う。
電話越しのレナードの声は落ち着いていて、耳に心地よかった。

222:名無しさん@ピンキー
11/03/14 23:53:03.46 5qyek0iB

しばらくは視線の主を気にしていたがリインにも、レナードにも特に何事も起こらなかった。
それからリインとレナードは時折一緒に食事をするようになった。レナードの連れて行ってくれる店はどれも雰囲気や客筋も
よければ味も極上で、また食事中の会話も大人の一言だった。必ずタクシーでリインだけを帰してくれる紳士的な振る舞いも
あって淡いながらも好ましさを感じていった。
その夜も個室で食事をした。とても口当たりのよい美味しい酒が供され、リインはいつもより過ごしてしまった。
店を出たところで段差につまづいたリインを、とっさにレナードが支えてくれた。
「大丈夫か?」
力強い腕に少しときめきながら大丈夫、と言うリインはレナードが触れている手に、力がこめられたように感じた。
「今日は送っていこう」
レナードはそう言うと一緒にタクシーに乗り込み運転手に官舎へと行き先を告げる。
流れ行く夜の街を眺めているとシートの上の手に、レナードの手が重ねられた。レナードを見やると彼の方もじっとリインを
見つめている。リインは手を引く気にはならなかった。
官舎に着いてタクシーを降りようとしたとき、レナードは重ねた手を持ち上げてリインの手の甲に唇を落とした。
外にでてレナードは今日は楽しかった、とリインに告げると本部の方へと歩いていった。
その姿を見送りながらリインはレナードが触れた手の熱さをもてあましていた。

時々とはいえ一緒に食事をする二人のことは、さすがに噂になった。友人から問い詰められてリインは素直に偶然知り合って、
たまに食事に行っていると答えた。だから別に付き合っているわけでは、と言うリインを友人達は切って捨てる。
「二人で食事をするんだから、好意がないわけじゃないんでしょ?」
「よりによって少将か、誰も文句が言えないし保護者としてはいいんじゃない?」
友人もリインが視線を感じることは知っていたから、レナードの存在が牽制になっているようだと言うと安心はしてくれた。
噂が広まるにつれ好奇心からの視線は多くなったが、元の視線は感じなくなってきていた。
あの刺すような奥まで見通すような視線を。
次の食事の時にレナードにその話をする。
「噂になって諦めたのかもしれないな。だが君はいいのか? 私とで」
リインはレナードの顔を見る。静かで落ち着いていて包容力のある大人。
「閣下こそ私のような小娘と噂になってご迷惑ではありませんか?」
レナードは見開いた目を細める。発せられる声は、優しい。
「迷惑どころか、光栄だ」
そのまま見つめられてリインは胸が苦しくなってくる。
「この後、よければ一緒に飲まないか?」
いつもは食事の後で別れていた。それを一緒にということは、次の段階に誘われているということか。
リインは彼の視線を受け止め頷く。
店を出るとごく自然に腕を差し出される。それに手を絡めレナードのいきつけというバーに移動した。店内は明かりを抑えていて
落ち着いた雰囲気だ。レナードから受ける印象に似ている。
カウンターに並んで座り酒を飲む。こんな店も、こんな酒も、―男性と二人でこんなに親密なのも初めてだ。
リインの緊張もレナードとの会話と素晴らしい酒がほぐしてくれた。
「君とこうして飲めるとは、酒がすすんでしまいそうだ」
グラスを手に思わせぶりに言われ、リインはどきりとしてしまう。大人の余裕にやられてしまいそうだ。
飲み過ぎないようにと気をつけるが、グラスの酒の度数は高くゆるやかに酔いが回ってくるのを感じる。
「そろそろ、出るか」
レナードの言葉でグラスの酒を飲み干して店を出る。ふわふわと良い気分で外の少し冷たい空気が火照った体に気持ちよかった。
空を見上げて大きく息をつく。腕をとられて引き寄せられる。
レナードに抱きしめられていた。思考は停止したのに体温と心拍が上昇していく。喉にからんで声がうまくでない。
「……私が嫌か?」
耳元に落とされる低い声。前と同じ質問をされた。黙って首を横に振る。耳元でなおも囁かれる。
「私は君が好きだ。今夜、一緒に過ごしたい」
今度は黙って頷く。耳に唇が触れた。吐息が、熱い。

223:名無しさん@ピンキー
11/03/14 23:53:33.65 5qyek0iB

タクシーに二人で乗り込む。ホテルの名を告げるレナードの声に緊張する。それをなだめるように手が重ねられ指が絡められた。
程なく到着したホテルのロビーでリインに待っているようにと告げてレナードがチェックインの手続きをする。その間、リインは
逃げ出したい衝動と戦う。恥ずかしくて落ち着かない。
レナードが戻ってくる。案内は断ったようだ。エレベーターに二人で乗り込み目的階まで沈黙が支配する。
厚いじゅうたんが敷かれ人気のない廊下に衣擦れの音だけが響く。廊下の最奥の部屋の前でレナードが立ち止まる。
「嫌なら。ここで帰れ」
ドアを開けてレナードがリインを見つめる。目を伏せたリインは意識して足を動かし、レナードの開けたドアを通って部屋に入る。
続いてレナードが部屋に入って背後でドアの閉じる音がした。
背中に手が当てられ促されるままに廊下を通り奥にすすむ。角部屋で窓が大きく、壁際のベッドがやけに目を引く。
部屋の真ん中で抱きしめられて髪の毛をすかれる。心臓の音がレナードに聞こえてしまいそうだ。爆発しそうだと思った時に
「シャワーを浴びておいで」
囁き声の命令が下される。ぎくしゃくと浴室に行ってリインはシャワーを浴びた。体を拭いた後で服を着るべきか迷って、結局は
置いてあったガウンを身に着けた。素足をさらす恥ずかしさもありまともにレナードを見られない。
レナードもシャワーを浴びると浴室に消えた。緊張で喉が渇いたので冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し夜景を見ながら
口に含む。額と手の平をガラスにつけその冷たさで身内の熱を冷まそうとしてみる。
そんな努力も背後から抱きしめられると呆気なく無駄になったしまう。一気に体が熱くなる。
くるりと反転されて厚い胸板に顔を押し付けられる。ガウンの生地を感じ額に口付けされて目を閉じる。
抱きしめられる力が強くなる。レナードの体が震える。低く抑えたレナードの声が耳を打つ。―笑っている。
そして、唐突にあの視線を感じてリインは戦慄した。
どうして、ここには自分とレナードしかいないのに。自分と―レナード、しか。まさか、そんな……
さっきまでは恥ずかしくて閉じていた目は、今は恐怖で開けられない。しかし。
「目を開けなさい。君の瞳にうつる私が見たい」
まぎれもない命令におそるおそる目を開ける。混乱しているのに体は抱きこまれて動けない。
至近距離で見るレナードの眼差し、その中にずっと絡んできていたあの視線が、もう隠す必要もないとばかりにおおっぴらに
されてリインを射抜いている。

「どう、して」
掠れた声でようやく問いかけるリインに応じるレナードの声は楽しげで、欲しいおもちゃを手に入れた子供のような響きがある。
「君を気に入ったからだ。人を欲するのに理由がいるか?」
くくっと笑われリインは震える。混乱して絶望して、あまりのことに涙さえ浮かんでくる。
レナードは嬉しげに言葉を紡ぐ。
「私は君を気に入った、だから視線を送った。君は私の視線に気付いた、私とは最後まで気付かなかったが。怯えるだけなら
そのままにしておこうかとも思ったが、君は私の視線に反発しただろう? 実にいい。あの反骨精神でますます君が欲しくなった」
腕から逃れようとしても体格と力の差からかなわない。あっさりベッドに押し倒される。
見下ろすレナードの目に宿るなにかに吸い込まれそうな気分になる。
顔にかかった髪を払われ、レナードの顔が下りてくる。
「やめて、は、なして、はなれて下さい」」
「君には何度も選択肢を与えた。ここまで来たのは君の意思だろう?」
あの日、自分を助けてくれてマントをかけてくれた。
震える自分を保護して落ち着かせてくれて、官舎まで送ってくれた。
秘密の休憩場所で会うたびに穏やかに色々な話をしてくれた。
美味しい食事を、楽しい時間を共有した。
時間をかけて少しずつ、少しずつ惹かれていった相手がよりによって……
リインは今まで無邪気に信頼していた世界が根こそぎひっくり返り、足元から崩れていくのを感じた。

224:名無しさん@ピンキー
11/03/14 23:53:56.20 5qyek0iB

押さえられてガウンの紐をほどかれ、手首をその紐でまとめられる。顔を背けると首から鎖骨の上を吸われ生々しい刺激に
リインはきつく目を閉じる。ブラジャーは上にずらされて下からすくうようにもまれる。
「やっ、触らないで」
身をひねって足をばたつかせて逃れようとするリインを押さえ込んで、レナードの手は遠慮なくその肌を味わう。すべらかで
柔らかく、魅惑的な曲線を描くリインの体をなでさすり、爪を軽く立ててひっかく。片方の乳首を口に含んで舐め転がす。
もう片方の乳首は指の間にはさんで乳房全体をもみあげる。ほどなく乳首はかたくなった。
「んっ、っや、」
レナードはリインの体を揺らす。唇は臍のくぼみまでおりていて舌先でつつく。腰をなでおろし大腿に手を当てる。
いたる所を舐め、吸われて体が震える。人の上に立ち、命令を下すことに慣れきっているレナードは容赦なくリインを支配していく。
リインの足の間に身をおき、レナードは片足をかかえあげた。
やわらかい内側に唇をつけて舐めて吸う。軽く歯を立てる。下腿から足に唇をよせてレナードは足の指を口に含んだ。
リインは慌てて上体を起こし、レナードを、自分の足指を口に入れしゃぶるレナードを羞恥と嫌悪でゆがんだ表情で眺める。
「やめてっそんなところ、舐めないで、汚いっ」
足をはずそうとするリインだが、レナードががっちり抱えているのではたせない。指の間まで舐められ肌があわ立つ。
ひとしきり愛撫して気が済んだのかレナードが足から口をはなす。
足を肩に乗せられたままじっくりと見つめられてリインはおののく。まるで視姦されているようだ。
「本当に君はいくら眺めても見飽きることはないな」
優しく愛しささえ感じさせる口調で言われ、自分に絡んでいた執拗な視線と自分に見せていた紳士としてのレナードのギャップに
リインは混乱した。そんなリインの動揺をよそにレナードは強引に下着を脱がせる。
閉じようとする足は無理やりに開かれ、ためらうことなく長い指がリインに触れてくる。
リインは必死に抵抗した。体術ではかなわない。レナードは実に人体の構造を知り尽くし、抵抗を封じる術にも長けていた。
体格も軍人としても経験の差もレナードの圧倒的な優位を助ける。
大きな手でなでまわされリインは顔をそむけた。
下から上へと指が動く。程なく指先が何かを探しあてたように止まった。
「触らないで」
この期に及んでもレナードを厭い、その表れのようにか陰核をすられ中に指が入れられてもリインは抗う。
むしろ指を入れた時にリインの顔は嫌悪のためにか歪んだ。
拒否する心情を伝えられ、愉快ではないながらもレナードは今後の楽しみの方に思いをはせる。
―今は自分の下にいるこの体に分け入りたい。早く自分のものにしてしまいたい。
舐めながら唾液をまぶし指でなんとか広げたそこに猛る陰茎をあてがい、先端を押し入れる。


225:名無しさん@ピンキー
11/03/14 23:54:13.33 5qyek0iB

リインは突如おこった苦痛と圧迫感に硬直する。体の中心を裂かれるようで、痛みのために呼吸も忘れた。
口からもれるのはひゅうとなる空気と意味のない音だけだ。
軍人なので苦痛に耐える訓練は受けている、だが、これは違う。こんな内側からの痛みには耐えられない。
レナードも挿入してから違和感に気付く。きつすぎる。リインが握りしめる指の関節は力を入れすぎて白くなっている。
疑念は少し引いた陰茎に絡む血で確信に変わった。
リインは目を閉じて硬直したままレナードに貫かれている。感動しながらレナードはリインに目を開けるよう促す。
涙で濡れた瞳に自分が映し出されているのを見て、レナードはずっと渇望していたものが満たされた喜びを感じた。
手首の戒めをといて自分の背中にすがらせる。
「浅く息をしろ。私の背中につかまれ、力を抜かないと辛いぞ」
他の場所に愛撫を施して苦痛を逃がす。なだめるように口付けて耳朶を甘噛みする。舌をいれて音を響かせるとリインが身じろいだ。
その拍子に涙が零れ落ちる。自分で苦痛を与えておいてリインが泣くのに嗜虐心をそそられる。
涙を舐めとって少し力の抜けたリインの中へと腰をすすめる。
途端背中に回された手が肩へと移り距離をとるかのように押しやられ力がこめられる。
「痛、い、もう、やめて……」
泣きながらうわごとのように繰り返される哀願だが、そればかりはかなえられない。できるだけ苦痛を少なくしようとすると
いつまでもイケずに結局はリインの負担になる。それにきつく締め付けられている現状は不謹慎ながら悪くなかった。
「もうすぐ終わる。もう少しの我慢だ」
狭い中で刺激されレナードは内心呻く。ほぐれればさぞやと思わせる。
リインの中を味わうほどに期待に胸が躍る。腰を動かすと中がうごめいて包み込まれ激しくしなくても快感を生じる。
レナードが硬直したかと思うと低く呻きリインは繋がった中に脈動を感じた。
「あ、あ……」
レナードの満足そうな様子がリインを絶望に突き落とす。涙がまた一筋頬を伝った。




226:名無しさん@ピンキー
11/03/15 00:09:02.16 VqdBbVQt
>>217
gj
貴方の書く男性のちと狂気入ってて高圧的なとこ好みです

227:名無しさん@ピンキー
11/03/15 02:29:38.64 ZK/TcVGO
>>217-225
GJです!!
挿入されて痛がって泣いとるのが堪らんw
エロくて良かったです

228:名無しさん@ピンキー
11/03/15 03:04:51.20 CB6bmaPk
これはいいストーカージェントルマンw
わざわざ自ら正体を教えるところがまた狂気入っててパネェ

229:名無しさん@ピンキー
11/03/15 09:44:41.69 kna0cJqx
これは良いジェントルメェンでつね
素晴らしき狂気!
自分の頭の中ではスレチかもしれないがブラックラグーンのバラライカとロックの性転換バージョンでおおくりしております状態でした
ハァハァ

230:名無しさん@ピンキー
11/03/15 11:46:35.53 gW1aIHIg
可愛くて素直な性格の女の子が翻弄されるのも好きだが
気の強い女をじっくり落とすのも好きなんだ
無理やりやって女のプライドずたぼろなのも好きだ

231:名無しさん@ピンキー
11/03/15 13:28:24.20 hvmDYfeG
>>230
お前みたいな屑がでしゃばるから
このスレが晒される
死ねよ

232:名無しさん@ピンキー
11/03/15 13:43:58.20 wU+Ha3mV
誤爆か

233:名無しさん@ピンキー
11/03/15 17:43:19.99 CB6bmaPk
>>229がいいこと言うから今日はバラライカ(男体化)×ロック(女体化)の
妄想止まらなかったじゃないかw

まぁそのままでもかなり美味しく頂けますがw

234:名無しさん@ピンキー
11/03/15 19:16:24.82 H9u2/CLr
GJ
これはいい紳士

235:名無しさん@ピンキー
11/03/15 19:45:26.19 7z7Kx5xh
どこかに晒されているのか?


236:名無しさん@ピンキー
11/03/15 21:12:47.04 j/BMAJkY
晒されてもいいじゃないか?糞スレなんだしさ
前向きにいこう

237:名無しさん@ピンキー
11/03/15 21:57:02.12 BVehC2Z6
>>217
正体をばらさなければ普通に恋人同士になれたのに
この紳士は自ら棘の道を行くのが素晴らしいな、流石紳士w
この後どうなるのか本当に気になる。

238:名無しさん@ピンキー
11/03/15 23:10:57.27 ZK/TcVGO
>>230
どっちも好きだな可愛く素直な女の子を強姦するのも良いし
気の強い女性を襲って抵抗を排除して強姦するのも良い

239:名無しさん@ピンキー
11/03/15 23:19:57.54 BVehC2Z6
自分は基本的は可愛く素直な清楚系が
愛するが無理やりされて動揺するのが好きだけど
気の強いのも好きだ
プードルとばっかり遊んでたらたまにはドーベルマンと遊びたくなる
スイーツばっかり食べてたらかつ丼食べたくなるってやつだなw

240:名無しさん@ピンキー
11/03/15 23:57:00.84 BWdP1GpQ
わー、いい!!GJ!!
ほぐれた後も見たいw

そして個人的には228の「ストーカージェントルマン」て言い方にもGJ(w)を差し上げたい。

241:名無しさん@ピンキー
11/03/16 14:55:32.42 WMgMtA0k
素晴らしい!GJ!!
このあとどうなるか気になる
権力で脅されて開発されちゃうのか
逃げても逃げても追ってくるのか
妄想が止まらないw

242:名無しさん@ピンキー
11/03/18 20:32:38.49 8Fa6Sf6e
ちょっと思ったことが…
愛情が憎しみに変わって無理やりってありなの?

243:名無しさん@ピンキー
11/03/18 20:47:02.97 5HU7oKxN
可愛さ余って憎さ百倍ってやつですか!

愛情が憎しみに変わって、っていうか
愛情と憎しみが混じりあうみたいなのは愛故的には結構ありえるパターンだと思う。
嫉妬とか拒絶されてとか、そういう瞬間には愛情故の憎悪が混じりあったりしてると思うし。
煽られた憎悪が暴走した後に、
自分の中の愛情のせいでああ・・・って後悔したりするんじゃないかな。
むしろそれが醍醐味!!

244:名無しさん@ピンキー
11/03/18 20:52:58.81 SQMwth6T
可愛さ余って憎さ100倍で憎しみ初めてからも愛が残ってるならいいんじゃないか
完全に憎悪しかない状態ならこのスレの範疇じゃないような気が

245:名無しさん@ピンキー
11/03/18 20:57:32.67 CGKwOZdC
その相反する感情に振り回されるのがよいな
振幅が大きいほど、スレ的には萌える

246:名無しさん@ピンキー
11/03/19 16:47:23.27 ewwmO0NT
投下します。
>>30
のネタができました。
期待はほどほどに…
題名:ホワイトデーに想いを乗せて
設定:
・女子の名前、アサミ
・男子の名前、シュン
では行きます。

247:ホワイトデーに想いを乗せて
11/03/19 16:50:10.37 ewwmO0NT
3月14日…その日はホワイトデーだ。
「おーい!シュン!妻のアサミがきたぞ、あははは!!!」
「………」
彼は『あの』一件以来他の男子にからかわれる様になっていた。
「でもアサミもよくあんな男を好きになった者だわ~、ははは!」
当然アサミもよくつるんでいた女子達からからかわれていた。
「うるさい!」
アサミは叫んだあと自分の机の中をふと見たら何かの紙が入っていた。
―紙?なんだろう…ん?何か書いてある―
『放課後旧校舎で待っています、byシュン』
と紙に書いてあった。
そして放課後になりアサミは旧校舎に向かった。
旧校舎の中に入るとシュンが立っていた。
「シュン…」
「やっと来たね、アサミ…」
アサミは誤解を解くことに決めた。
それがまず最初に自分がしなきゃいけないことだったからだ。
「あの…この前の…あの言葉はその…(うまく言葉が出ない…なんで?)」
「もういいよ…あれが君の本心なんだろう?」
「!?ち、ちがうよ!あれは…ん!?」
何かを言おうとしたアサミの口をシュンは自分の口で塞いだ。

248:ホワイトデーに想いを乗せて
11/03/19 16:51:24.45 ewwmO0NT
「はぁぁ…これで許してあげるよ…」
「ひどい…初めてっだたのに…こんなキスって…」
「それは僕もだけど?」
「きゃ!」
シュンはアサミを床に押し倒した。
「君は僕にひどいって言ったよね?でもひどいのは君のほうじゃないの?」
「!?」
「君は僕の気持を裏切った…!」
「いやっ!」
ヒートアップしたシュンは理性が木っ端微塵に砕けて無くなり、アサミが着ている制服を乱暴に脱がし、下着を引き千切った。
「僕の思いを君は知っていた!!なのに…」
「んん!!…あぁ!!い…や…あぁん!!」
シュンはアサミの秘所を悔しさ、アサミへの好きと言う想いそして憎しみ、それらの感情を籠めた指でグチャグチャに掻き乱した。
「君は僕の心を踏みにじった!!その報いだ!!!!(早く僕に君のイク姿を見せてくれ!愛しい、愛しい君のすべてを!!僕に!!!!)」
シュンの気持は指をより一層速く乱暴に動かした。
「あぁ!…もう…あぁぁぁ!!!」
アサミは激しいエクスタシーに堕ち、潮を噴いた。
「イったね?ほら…またイカせてあげるよ?!!」
シュンは絶頂に達したばかりの秘所に再び指を挿れ擦りだした。

249:ホワイトデーに想いを乗せて
11/03/19 16:54:44.33 ewwmO0NT
「好きだったんでしょ?僕の事が…」
「ふ…はぁん…!!今の…あんたは…あぁ!…好きじゃない…前のあんたに戻って…私は前のあんたが…シュンが好き!!!」
アサミは途切れ途切れの言葉でシュンに想いを本心を伝えた。
「でも僕は前みたいにはなれないよ?君がその僕を『あの日』に壊したんだから…」
「!!」
「あの頃の僕は純粋に君が好きだった…だから『あの日』はチョコを渡されてうれしかった…なのに…あの言葉で僕はどん底に落ちた!!!」
「あぁん!!もう…やめて!!…あぁ!!!」
「もう僕は止められないよ?だって僕は今…大好きな君を自分のものにする準備をしてるから!!」
シュンはそう言うや否や愛撫でする手を止め指を秘所から引き抜いた。
「もうこんなにびしょびしょ…」
「ぁ…」
アサミは突然刺激が止んだことで内股を擦り合わせた。
どんなに気持が快楽を拒んでも身体は快楽を求めていたからだ。
「欲しい…僕が欲しいのは君の…『アサミ』の心だ…」
シュンはアサミの上に覆いかぶさった。

250:ホワイトデーに想いを乗せて
11/03/19 16:55:55.96 ewwmO0NT
「なに?」
「僕が君を手に入れるための準備だよ…」
「!?」
アサミはそのとき自分の秘所に熱く固いものが当たっている事に気づき自分が何をされるのかを悟った。
「十分濡れてるから…」
「だめ…いや…やめて!!!」
「もう、ガマンできない!!」
シュンは自身を秘所に入れ、一気に腰を押し込んだ。
「ッ!!!!いやああああああああああ!!!!!!!!!」
アサミは破瓜の痛みと絶望感に涙を流した。
「繋がった…やっと…君と…」
「うそ…いや…」
シュンは拒むアサミを無視して腰を動かし始めた。
「嫌がってるけどさあ…本当に嫌なら僕から逃げるよね?」
「あ、あん!」
快楽を受け、アサミの身体は思うように力が入らなくなっていた。
それを知っていてシュンはアサミに問い詰めたのであった。
「愛しい僕のアサミ…君は僕にとって愛しい存在だこの喘ぎ声も、身体も、心も、全部僕は欲しかった…」
「ふあ!!…や…め…て…!!」
アサミは涙を流しながらシュンに伝えた。
「まだ僕を拒絶するの?」
シュンはアサミにキスをし、舌と舌を絡ませた。
「んあぁ!!!!」
「君が僕を好きになっていたのは事実だろ?僕はあの頃と変わってない!!!唯一変わったのはアサミへの想いだけだ!!!!!」
「ぁあ!!私はあんたが好きだけど…あの時は…あいつらが…」
「もういいよ!!僕は今その君を抱いてるんだから」
「ち、ちがう!!あんたは私を抱いてない!!自分の欲望に任して私を犯してるだけ!!!」
「ちがう!!僕は君を…アサミ自身を心から愛したいだけなんだ!!!」
シュンは腰の動きを激しくした。
「だったら…私を心から愛してくれてたら…こんなレイプ染みた突き方は、絶対にやらない!!!」
「!?クッ!!」
「ふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
シュンはアサミの最奥で果て、アサミへの溜まった想いを膣内にぶちまけた。
「「はぁ…はぁ…」」
シュンは自身を引き抜いた。
すると膣内からシュンが放った想いと破瓜の血が精液となってアサミの秘所を汚した。
「はっ…取り消しの付かない事を…アサミに…」
我に返ったシュンは自分の過ちに涙を流した。
「ううん…悪いのは私、私がもっと素直にあんたへ…シュンへの想いを伝えてれば…もっと気持ちよくできたと思うから…」
アサミはそんなシュンに笑顔で答えた。
「これでお相子にしよ?シュンがそんな風に思ってくれたことがうれしかったし…」
「アサミ…ごめん!!」
シュンはアサミに抱きついた。
「じゃお詫びに…もう一回シて?今度はもっと優しく…もっと私をシュンでいっぱいにして?」
「うん、わかった」
こうして二人のすれ違った恋心は交いを果たし互いを純粋な気持で愛し合った。

251:ホワイトデーに想いを乗せて
11/03/19 16:59:13.16 ewwmO0NT
おまけ
その後日…
「今日もあいつらが来たらからかってやろうぜ?へへへへ!」
「アサミもさすがに嫌気が差すんじゃないの?」
「そしたらシュンをひっぱたくとか!はははは!!!」
そんなことを話し合っているとシュンの姿が現れた。
「お!噂をすると…ん!?」
「え!?アサミと一緒!?しかもラブつなぎ!?!!」
「「おはよう!!」」
「え!?ちょっとあんたアサミ!いつからシュンとそういう関係に!?」
「秘密♪」
前より素直で明るくなったアサミはうれしそうに答えた。
そのアサミの首筋にはキスマークが付いていたのを見て同級生は唖然とした。
こうして二人は晴れて本当のカップルになった。
END

252:名無しさん@ピンキー
11/03/19 17:02:33.40 ewwmO0NT
以上です。
自分なりにあいてみたので>>30
のイメージが崩れていたらすいません!

253:名無しさん@ピンキー
11/03/20 00:06:26.30 t+wL1WRX


254:名無しさん@ピンキー
11/03/20 08:49:51.10 8b4D/S3T
乙、でも>>30まで戻らないと何のことかわからないので、
>>30のエピももっと膨らまして作品に織り込んでくれたらよかった

保管するときとか、>>30と一緒に保管して貰わないと・・・?

255:名無しさん@ピンキー
11/03/20 18:15:01.49 LZnW1hqx
>>252
乙!!
からかってた同級生達は今後、無駄に仲の良い二人にあてられるんだねw

保管は確かに>>30と一緒にのが良いのか?

256:名無しさん@ピンキー
11/03/20 23:21:42.43 C3zxySUd

視線の続きを投下する

少将×少尉

257:名無しさん@ピンキー
11/03/20 23:23:52.78 uPXkKcEN

ずるり、と引き抜かれる感触にリインはぎゅっと目を閉じる。ティッシュをあてがわれると今までそこに入っていたものを
嫌でも意識させられる。無理に入ってリインを支配し、自分勝手に登りつめたレナード。
ようやく自分の上からどいたレナードから逃れベッドから降りると脱がされたガウンを胸にあてて浴室に向かう。
ドアの鍵を閉めシャワーブースで頭から勢い良く湯を浴びる。
うつむけ視界に入った腿から筋になったうす赤い液体が排水溝に流れていくのが見えた。足の間にはまだ異物感が残っている。
頭からのシャワーにまぎれてリインは肩を抱いて涙を流した。

しばらくシャワーを浴びてようやく体が温まったように思え、リインは次の行動に移る気になった。
髪の毛を乾かし浴室の籠に置いておいた服を身に着けようとした。下着は部屋だがレナードの前で二度とガウン姿をさらす気にも
なれずに服を身につけ部屋を出ようと考えた。しかし籠にはなにも入っていなかった。
レナードがガウンを羽織り、ソファで酒を飲んでいると浴室のドアが開いてリインが顔を出した。
その顔に表情はなく、静かな怒りを伝えている。
「私の服がありません。そちらにあるのでしょうか、閣下」
グラスをテーブルに置いてレナードが答える。
「ああ、君の服ならランドリーサービスに出した。一切合財。仕上がるのは明朝だそうだ」
ぬけぬけと言うレナードにリインは抑えていた怒りが爆発しそうだった。
つまり、レナードによって足止めされたということだからだ。
視線で人が殺せるのなら、今のリインなら可能だったかもしれない。それほどレナードを見る眼差しは鋭く激情を秘めていた。
「喉は渇いていないか? あれだけ泣いたし水分補給をしてはどうだ」
レナードはそんなことは受け流して飲み物を勧める。
「いいえ、早く仕上げてもらうか友人に服を持ってきてもらって帰ります」
「つれないことを言う。朝まではまだ時間がある。ゆっくりしよう」
リインはとうとう冷静さを保てなくなった。
「冗談ではありません、誰があなたとなんて」
「―私に言い返すか。面白い」
レナードは肩をすくめ立ち上がり、リインの方にやってきた。危険を感じドアを閉めようとするより早く、レナードがノブを
握り浴室に入り込んだ。

258:名無しさん@ピンキー
11/03/20 23:25:40.12 wYTW/Yj6

「シャワーのほうか、湯につかればよかったのに」
そう言うとレナードはバスタブに湯を張り出した。ドアを背にしているのでリインは逃げられない。
レナードはリインを見つめて微笑む。仮面をはがす前の紳士的な笑みだった。
「一緒に入ろう。髪はまとめて。―綺麗な髪だ」
リインはかぶりを振る。近づいてくるレナードを避けようと後ずさっても、洗面台に当たってすぐに捕らえられる。
手首をつかまれさっきの恐怖がよみがえる。それを押し殺してレナードに向かう。
「やめて、放してください」
その気概は立派なものだとレナードは思う。しかし恐怖を完全には隠しきれていない。そのアンバランスさが―そそる。
洗面台と自分の間にリインを挟んでレナードは乾かしたばかりのリインの髪を手にとる。つややかで、何度この中に指を入れて
梳いてみたいと思ったことか。アメニティの中のゴムで纏め上げる。ガウンをむしりとってリインを抱き上げバスタブに浸かった。
離れようともがくリインを抱きとめる。水滴が白い肌にとびまた口付けたくなる。
後ろから抱きすくめて動きを封じる。胸の広範囲に接するリインの背中が震えていた。
「震えているな。寒いか」
震える理由など百も承知で声をかけて項に唇を落とす。細く白い、普段は服にかくされ時々垣間見えてはレナードの欲望を煽った
それは今は惜しげもなく晒されている。
「私から逃げようなどと思わないことだ。伊達に階級があるわけではないのは、父親が軍人だったなら理解しているだろう?」
上の階級の人間の握る絶対的な権力をちらつかされてリインはぎり、と唇をかみ締める。
業務、任務ならそうだ、だが、男女のことは別だと思う。

脅しにも屈せず身を捩って逃げようとするリイン。だが、逃げれば追いたくなる。
まさしく彼女は自分の獲物だと、視線で追い詰め囲い込んで思いを遂げたレナードはほくそえむ。
この美しい獲物は、しかし手に入れても抵抗をやめない。
簡単に手に入る女しか相手にしていなかったレナードにはそれが新鮮でたまらなく魅力的だ。
足の間に手を伸ばし、先程自分が入ったそこに指を入れる。
「つうっ」
瞬間リインが呻く。無理やりに入れたのだ。痛みが残っているのだろう。
「痛いか、粘膜にしみるか?」
ゆるりと中で一周させる。中はリインが掻きだしたのだろう、ぬめりはなかった。
「急に動くと中が傷つく、大人しくしていろ」
勝手なことを言いながら、湯の助けも借りてレナードの指はリインの中をじっくりと探っていく。指一本でも狭いそこは前壁が
複雑な襞を構成していて鋭敏な指先にざらついた感覚を伝える。痛むだろう箇所をさけてゆるり、と指を出し入れする。
入れるときと引く時に指に絡む襞の感触。きつい中締め上げられた記憶がよみがえりレナードは湯の中で反応してしまいそうになる。
親指で陰核に触れる。やんわり押して指の腹で撫でさするとリインが息をのむ。随分と初々しい反応だ。
「自分で触っていないのか?」
意識して耳元で低い声を出す。女性にとって自分の声は心地よいらしい。そう知って意図的に使う『技術』だが、今は自然と
熱い息も付け足してしまっている。目の前でみるみる赤くなる耳が可愛くてついぺろりと舐めた。
途端びくりとはねる体を抱きなおす。
耳が弱いと見たレナードは躊躇なく耳を食む。耳朶の柔らかさと軟骨の弾力を味わう。
舌先をこじ入れると鳥肌が立っているのが見て取れた。嫌悪か? 快感か? まあ前者だろうとは思うが、と分析する。
唇をかんでやりすごそうとしているのがいじらしい。
大概溺れてしまいそうだ、とリインを湯の中で弄びながらレナードはそう思った。

259:名無しさん@ピンキー
11/03/20 23:27:05.30 7/YbJY1A

耳を好きにされ指を中に入れられてリインは湯に浸かっている。背中には熱い男の体を感じて身の置き所がない。
レナードは自分で遊んでいる。視線を送りその一方でするりとリインの懐に入り込んだ。
そしてリインがその気になった時に正体を晒して獲物を、自分を手に入れた。
どうして気付かなかったのだろう。
レナードに危害が加えられなかったこと、レナードと一緒にいれば視線を感じなかったこと。
少し考えれば分かることなのに、いいように手のひらの上で弄ばれていた自分が惨めになる。
あまつさえ、抱かれてしまった。今は嫌悪と裏切られていた怒りしか感じない。真相を知る前が幸せだっただけに、その落差は
一層大きくリインを落ち込ませる。レナードにいいように振り回されている自分が嫌だった。
その間にも湯の中で加えられる執拗な刺激に、さっきとは別の意味で体が震えてくる。この感覚は―何だろうか。
「ここでするか?」
背後からの声に頬が熱くなる。どこまで自分を貶めれば気が済むのか?
「嫌です。あなたなんて、大嫌い」
「やれやれ、嫌われたか。だが私は君が『大好き』だ」
微塵も落胆した様子のない言い方で抱きすくめてきたレナードにリインは息を詰める。唇は耳、片手はリインの中を探っていたが
もう片方の手が胸をもみ始めたからだ。背中はさっきより密着してレナードの欲望を伝えている。
腕ごと抱き込まれているので身じろぎしかできない。とうとう気分が悪くなってきた。
体から急に力が抜けてレナードに気付かれたようだ。
「どうした?」
「……気持ち、悪い」
さすがに敬語も出ない。レナードは抱きあげてざっと体を拭いたたあとでベッドにリインを横たえる。
「のぼせたか」
アイスペールの氷を使ってタオルを濡らし首筋や額を冷やす。水も飲んだリインはぐったりとベッドに沈んでいる。
浴室から直行しているので何も着ていない。それが無防備にベッドに横たわっているのは扇情的だった。
「目の毒だが、さすがに今は不謹慎か」
胸元までシーツをかけてレナードも横に滑り込む。腕枕をしてリインを抱き寄せた。
まだ気分が悪いのかされるままになっている。リインが正気なら絶対に許さない接触だ。頭をなでて髪をすきながらレナードは
腕にかかる重みを楽しむ。そして初めてリインを見つけた日のことを思い出していた。


260:名無しさん@ピンキー
11/03/20 23:28:02.27 +HKBfpbC

年度初めの入隊式。一般校や士官学校上がりの新入隊員が緊張した面持ちで会場入り口に集合している。
彼らにとっては一生に一度の式典でもレナードにとっては、顔ぶれだけは変わるが毎年の義務で参加しなければならない退屈な
数時間の行事にすぎない。ただそこに座っていなければならない、つまらない時間。
今年度の式も、いつもと変わらないはずだった。
隊員の入場の際も、だから目の前を通り過ぎるひよこ達を意識せずにながめていた。
何故目にとまったのかは分からない。数は増えてきたからとはいえ、まだまだ少ない女性だったからか?
士官学校卒であれば更に珍しかったからか?
いや、目にとまったなどというレベルではなかった。―目に、飛び込んできた。
通り過ぎる際にどういう加減でかこちらを見た瞳に、いや見たような気がしただけで実際には認識もしていないその瞳に、
それが収まっているその顔に一瞬で魅入られてしまった。
それ以後彼女以外目に入らなくなった。式典の間中ずっと彼女に吸い寄せられていた。
気付くと式典も終了して、新入隊員のオリエンテーションの案内がなされていた。
緊張の解けた隊員たちは知り合いを見つけては言葉を交わしたり、まだ着慣れない軍服を互いに批評しあったりとわいわいと
にぎやかだった。彼女もその中にいて、見ていると男女問わず人気があるようで多くの人間から話しかけられている。
笑顔で応えている彼女の姿は美しく、同時にある思いを生じさせる。

知りたい、見ていたい、近づきたい、―手に入れたい。

初めて会った、いやこちらが一方的に認識しただけなのに、湧きあがるこの感情や欲望はどうしたことだろう。
冷静沈着と言われているはずなのに、とらしからぬ衝動的な思いに困惑する。
困惑の一方で視線は飽かずに彼女を追っていた。
ふと、彼女が顔を上げて周囲を見渡す。こちらにも視線がくるがその時には視線をはずしていた。彼女はひっかかりを感じていた
ようだが顔を戻してまた話の輪に加わった。
視線に気付いたか。面白いと思った。
そこで行動をおこすことにした。
彼女に視線を送る。彼女の動向を見つめる。彼女が気付くか、自分と気付くか試してみようと。
彼女を気に入ったので手に入れてみたいと思った。
名前も知らない彼女、だが一瞥で自分を虜にした。だから彼女を腕にして至近距離でその瞳を覗いてみたいと思った。
そこまで考えて、この衝動を表現する言葉に思い当たる。それがあまりにも面白くてつい声に出して笑ってしまった。
「どうされました、楽しそうですね」
同僚にそう言われ、どう返しただろうか。確か
「ええ、面白いものを見つけましてね、この年で新たな楽しみが見つかるとは」
そう、いつまでも笑っていたい気分だった。見つけた単語はごく単純で。
―あれが一目惚れ、というのだな。



261:名無しさん@ピンキー
11/03/20 23:28:46.49 6uHxBZVx

しばらく横になってリインは体調が幾分か回復したようで、レナードから離れようとする。
それを許すつもりもなくレナードは唇を塞ぐ。
柔らかい唇を味わい中に舌をすべらせると噛み付かれた。とっさに身を引くが口中に血の味が広がる。
「やってくれたな、だが気の強い女性は好みだ」
リインは再び口付けられてもがく。口の中に血の味がして、噛み付いたレナードの舌が傷ついたと察する。レナードの舌は
容赦なくリインに絡み唾液を落とし込む。むせそうになりながらレナードの血の味のするそれを飲み下す。飲みきれなかった
分が口の端からこぼれた。レナードはそれにも舌を這わせる。
「嫌、もう嫌」
「まさか、これきりと思ってはいないだろうな?」
手首をシーツに押さえながらレナードは楽しげに尋ねる。
「このまま続けるほどおめでたいとお思いですか?」
リインは下からレナードをにらみつける。視線の主と知った以上関わりあいたくない、リインにとっては当然の感情だ。
だがレナードはそれに頓着しない。
「言っただろう、君を気に入ったと。一度きりで済ませるほど私はお人よしではないんだ」
怒りをこめてにらむことすらレナードを喜ばせるにすぎない。
「瞳がきらめいている、怒りか。そんな顔も見られて嬉しい」
手首に唇をよせてちゅ、と吸い上げる。上腕の内側にも赤い痕を残して唇が離れ乳首に吸い付く。熱い息を落とされ、乳輪を舌先で
丹念になぞられてリインの鼓動が早くなる。唇でわやらかくはさまれ乳首の先端をつつかれると息が止まる。
のぼせた後でまだ力が十分入らない状態のリインの抵抗は弱く、レナードのなすがままになっていた。
最初に抱かれた時よりも丹念に、口をつかってむずがゆくなるほどじれったい刺激が加えられて、次第にリインの体が汗ばんでくる。
別の意味でのぼせてしまいそうだ。
動悸がして、喉が渇く。体の中から未知の感覚が呼び起こされる。
「声は聞かせてくれないのか?」
「―誰が、あなたなんかに」
ベッドの上なのに敵同士のような緊張をはらんだ攻防が続く。
レナードはリインを屈服させるべく技術を駆使し、リインはレナードを引き剥がそうとして果たせないとなるとけして感じまい、
声を出すまいと防戦する。


262:名無しさん@ピンキー
11/03/20 23:29:21.73 JKvf+Czh

だが状況はリインに不利になり、足の付け根にレナードの顔が来るのを許してしまう。
舌先ですくうように舐められリインが身じろぐ。足を閉じようとしてもレナードの顔が邪魔をする。
流されている自分が嫌だ。レナードを厭い、それ以上に不甲斐ない自分が嫌になる。
大腿に手をかけ開いたそこにレナードは口をつけた。熱い粘膜の濡れた刺激でリインはひくりと動いた。
「今度は濡れてくれるかな」
丹念に入り口を舐めあげて陰核を舌先で揺らされ、反応すまいと息をつめて耐える。ぴちゃ、とレナードの口から水音がする。
陰核の周囲をくるりと舌が這う。唇で挟まれ与えられる刺激が変わる。リインの手が固くシーツを握り締めた。
「感じているのか?」
「っ誰が……」
否定する言葉を紡ぐリインにレナードが笑う、その吹きかけられる息も刺激になる。前回は混乱していてよく覚えていないが、
今回のレナードは丁寧に、言い換えれば執拗にリインのそこをほぐしている。指を入れられリインは逃れようとする。
奥まで入れられて短い声を上げてしまった。
「痛っ」
「だんだん慣れる、我慢しろ」
慣れるつもりも、我慢するつもりもないリインは指を抜き差ししながら胸を舐めるレナードの頭を引き剥がそうとする。
同時に与えられる刺激がむずがゆく、体の奥から何かが生まれる。これ以上許せば―危険だ。
レナードが指の動きを止めた。そして笑みを浮かべる。リインがいぶかっているとゆっくりと引き抜いた指をリインに見せる。
それは濡れて光っていた。
「濡れた、か。いい味だ」
見せ付けるように舐められてますますリインの羞恥が深まる。指がもう一本増やされた圧迫感に意識がそこにしか行かなくなる。
最初より指の動きに抵抗がない。身を捩ってベッドから降りようとする最後の抵抗も封じられた。
押さえこまれて抜かれた指のかわりに押し付けられた陰茎の先端がリインの入り口をこする。
「いやあっ」
拒否する言葉を吐いた次にはもう、リインはレナードに貫かれていた。再度の痛みにリインは懸命にずり上がろうとする。
その腰を抑えてレナードはリインの奥まで穿った。まだ先の痛みの残るリインには辛い。


263:名無しさん@ピンキー
11/03/20 23:29:51.96 fP++suZd

「イかせる前に挿れてしまうとは、私も随分焦っているか……」
じわりと涙の浮かぶリインの顔を見て自嘲気味に言いながら、レナードは入り口の壁をこする。
ゆるりと出し入れすると最初ほどの苦痛は感じず、レナードは内心ほっとする。リインを背中にすがらせると苦痛を逃すためにか
無意識にだろうが素直に手を回してきた。頭に口付けを一つ落として動き始める。
リインが息を詰めて耐えているのだが、時々それが吐き出されると熱い吐息になって、そのつもりではないだろうにレナードを煽る。
少しは濡れたせいで中も比較的動きやすく粘膜の摩擦をより感じることができた。膣の襞は引っかかるたびにレナードには快く、
熱く包まれている感触も良かった。首筋に唇を這わすとリインの早い脈拍を感じる。
まだ苦痛だろうからと気をつけてはいるが奥へと突くたびに圧迫感があるのか、んっと息を詰める音がする。
それでも初回よりほぐれた中はレナードにも苦痛より快感をもたらし、限界が近づきつつあると本能が教える。
「君の中はいい、もう、イきそうだ」
きれぎれに言うと苦痛に耐えていたリインがはっとした表情をする。
「中は、中では嫌」
切実な頼みだが、レナードは聞き届ける気はない。体の内側からもリインの全てを自分のものにする。そう心に決めていた。
「それは、無理、だ。う、く―」
レナードの背筋が強張り脈動に合わせてリインの中に精が放たれる。レナードは刹那の達成感と幸福感を感じる。
いつまでも続けばいいとさえ願ってしまうほどの快感だった。
荒い息が落ち着きレナードはリインの上からどく。抜いたところから流れ出る白濁に征服欲が満たされる。
後始末をするとリインが背中をむけうつぶせた。手はシーツを固く握っている。
最後まで抱かれてしまったことへの苦渋に耐えているようだ。
だが背中から引き締まった腰、美しく盛り上がる臀部への曲線を晒していることに気付かない。
無防備なリインにレナードは目を細める。
「誘っているのか?」
声に情欲を感じたリインが振り返って顔を上げるのと背後からレナードがのしかかるのが同時だった。
「っやっ、違う、誘ってなんか」
腰を手でつかみ臀部を軽く浮かせる。すばやく足の間に体を入れてあっという間に元の硬さに戻った陰茎をあてがう。
抗う腰をひきつけ再びリインを穿つ。自分が放った精液のせいで中は先程より動きを妨げず快楽を伝えてくる。
背中を撫でながら耳元で囁く。
「朝まではまだ時間がある、楽しもうじゃないか」
嫌だとかぶりを振るリインを、自分を捉えた女をレナードは再び愛しだした。




264:名無しさん@ピンキー
11/03/20 23:30:35.92 fP++suZd
連投規制が出たのでIDが全部違う
わずらわしいがすまん

265:名無しさん@ピンキー
11/03/20 23:46:31.28 yIpjBg5S
ナイス紳士!!!
数日後とかになってるかと思えばまだベッドの中とはお見事です紳士
続き見れるとは思ってなかったので執拗っぷりにワクワクしますな

266:名無しさん@ピンキー
11/03/21 00:56:33.79 oYtAgVvK
>>256-263
GJ!!
終わっちゃうのは哀しいです。
リインの逡巡と陥落をもっと見たい。

267:名無しさん@ピンキー
11/03/21 01:42:16.43 vsO8STRH
ストーカージェントルマンGJ!!!
もっと陥落するまで読みたかった…。

268:名無しさん@ピンキー
11/03/21 03:23:14.58 Bdv409i6
しかしこの焦らし感も含めてたまらんw
GJです!!

269:名無しさん@ピンキー
11/03/21 13:36:00.24 SCOJiRw5
GJ!
これはもう一生逃げられんなw

270:名無しさん@ピンキー
11/03/21 23:02:18.31 uP3hgYdh
GJ!!
リインから見たら確かに少将に遊ばれているように感じるよなあ。
嘘つかれてたんだし。
わざわざ火種つくっちゃう少将はドSW

271:名無しさん@ピンキー
11/03/24 19:20:23.93 sADrN7Zf
>>246
乙!欲を言えば本当に30から書いていただきたかったぜ
意外と行為中は男が病んでたーと思ったので
ラストどうなるのかびくびくしてしまったw
そしてからかいもびくともしないラブラブ馬鹿ップルになっててよかったw

>>264
ナイスストーカージェントルマンw
続き気になるよ…日常に戻った後リインも少将もどうするのか
少将の囲い込み漁が大変気になるところですな


それにしても職人さん達はお元気なのだろうか…
続き鋭意制作中とかでもぐってるんだったらいいんだけれど

272:名無しさん@ピンキー
11/03/24 23:29:17.83 wEOx8STm
震災の影響よりも高尚読み手様や他書き手の当てつけが嫌になって
去ってしまったんでは…と不安だ

273:名無しさん@ピンキー
11/03/26 00:39:45.46 dvWNsupc
愛してるのに色々あって付き合えず、しかも相手からは結果的に嫌われてるってシチュがやはり良いな
そして犯す機会が巡って来たので暴発みたいな
知的で強気なお姉さんをそんなシチュで犯したい

274:名無しさん@ピンキー
11/03/26 03:03:30.00 Qr3vpruh
携帯から失礼します

最後の部分が書きたくてあげたのでエロが微妙です
NGワードは「茜」でお願いします

275:茜
11/03/26 03:04:01.32 Qr3vpruh

親の離婚を機に引っ越した家のお隣りさんの男の子。それが健ちゃんだった。

健ちゃんは私にとってお兄ちゃんでありお父さんのような存在で。
母が不在がちなこともあって虐められっ子な私の甘えを一手に引き受けてくれるのが健ちゃんだった。
健ちゃんのおかげで笑顔でいられる私は辛くても学校に行くことが出来ていた。
クラスの人達と会うのは正直物凄く苦痛だったけれど、健ちゃんのクラスとの合同授業の時には安心に似た余裕をもっていられた。
健ちゃんの隣に座る人がどんな人かなんて考えたり、その人は何となく健ちゃんに笑い方が似てるかもなんて思ったり、「その人」の名前はなんだろうと興味をもつことが出来たり……

そうして私はいつしかその人に恋をした。そのことがただひたすら嬉しかった。
別に叶わない恋で良かった。
誰かを好きになれる自分がいたことが単純に嬉しかった。





ある日、私の机に一枚の紙切れが入っていた。
紙切れには資料室で待ってますの一文と、碧井という「その人」と同じ苗字だけが書かれていて、それは私を動揺させるには充分な威力を持っていた。
悪戯かもしれなかったけれど私は健ちゃん以外に好きな人がいることは言っていなかったし、私と彼の接点などないに等しかったから、誰かに仕組まれたという可能性を放棄した私の足は迷わずに資料室へと向かっていった。

276:茜
11/03/26 03:05:52.82 Qr3vpruh

資料室に行くとそこには碧井くんが本当にいた。
「あ…茜ちゃん……だよね?来てもらってありがとう」
「あ、えと……はい…」
「それで、あの…ちょっと健介から聞いたんだけど」
「、え」

「俺のこと、好きって本当?」
「…!!!」




健ちゃんは碧井くんにバラしてしまったらしい。
それはよかれと思って?
それとも私の面倒を誰かに交代したくなったとか?
しばらくなにも言えなくて呆然としていると碧井くんに「なあ、」と声をかけられた。
思わず声の方向に顔をあげると、

「ん…!!っ」

キスを、された。
突然のことにびっくりする間もなく彼は素早くネクタイを外してそれで私の腕を縛り上げた。

「なにするの…ッ!?」
恐くなって涙声になる私に構わず、今度は私のセーラー服からスカーフを抜き取って目隠しにしてくる。

「やだ…碧井く…お願いだから外して…!」
「駄目だよ」

懇願する私に構うことなく、碧井くんは少しの躊躇いもせずにセーラー服を勢いよくたくしあげその下のブラジャーも剥ぎ取ってしまった。

277:茜
11/03/26 03:06:51.55 Qr3vpruh

「やだよ…碧井くんやめて…」

首筋から鎖骨にかけて指を這わせてみる。
それから真っ白な彼女の胸を弄んだ。
下から掬うように掌で遊んだり、乳輪を縁取るようになぞったりしているうちにどんどん固くなる突起。

「あっ!!や!」
それをピンッと弾いてみるとそれまで押し殺していた可愛い彼女の声を聞くことが出来た。

「あ…はぁ…や、あおいく……うああッ!!」
真っ赤に実った突起を口に含んで転がすと、彼女の喘ぎは止まらなくなっていった。
ピチャピチャとわざと音をたてながら時折歯を当てるとかなりイイらしく、脚を擦り寄せたり腰が反ったりしている。
なので今度はスカートの間に手を差し込んでみた。

「!!いやっ!!やだ、だめぇッ!!!」
ソコに触れられるのがよほどショックだったのか、今までよりも強い抵抗をしてくる彼女。
それを抑えつつ下着の上からワレメをなぞると少し濡れているのがわかった。

「いあ…ッ!くぅ…んあっ」
そうして見つけたクリをゆるゆるとなぞると彼女の力は面白いように抜けていく。
力が緩みきった所を見計らって僕はクリを思いっ切り押し込んだ。
「あ!!きゃあッ!!!」

大きく返ってきた反応に喜びながら下着を脱がせ、彼女の秘部にむしゃぶりついた。

「や!なに…あ!!あんっ!」
歯で敏感な芽を扱いたり舌を穴に差し込んだりするたびに溢れ出す愛液。
それを最後に大きく啜り、パンパンに大きくなったモノを取り出すと彼女の秘部に当ててニ、三度スライドさせた後、一思いに貫いた。

「!!!ぃやあぁあ!!!!やだ!!!いたいいぃ!!!」

激しい痛みに泣きじゃくる彼女に構わずどうにか自身を最後まで収めると、そのままの勢いで激しくついた。

「…うあぁあ!!ぃた、や、あおいく……ッいやっっ!!!」
スカーフの色が変わるくらいに泣いて痛がる彼女。
ちいさく「ごめん」と謝ると、限界がきた僕はとうとう欲望を彼女の中に吐き出した。

278:茜
11/03/26 03:08:42.15 Qr3vpruh

目が覚めるとそこには誰もいなかった。
アレを夢だと思おうとしても下半身が訴える非情な痛みと机にあったものと同じ文字で書かれた「ゴメン」というメモがそれを許してはくれない。

家に帰って私は泣いた。
ひたすら泣いていた。
こんなこと誰にも言えない。
お母さんにも、ましてや健ちゃんにも。
健ちゃんは私の気持ちを伝えてしまった自分を責めるかも知れないし、もし碧井くんに言った理由が私から解放されたかったからだとしたら私はもう立ち直れないかもしれない。

その日から私は誰にも会えなくなってしまった。
時間が経つにつれ意味もなく私だけが悪いように思えてきて、そうするとお母さんが心配して声をかけてくれるのも、健ちゃんがドアの前まで来て名前を呼んでくれるのも今の私には辛くて。

そしていつしか私は毎日来てくれる健ちゃんにたいして怒鳴り散らすようになっていた。

279:茜
11/03/26 03:10:10.84 Qr3vpruh

僕が中学に上がる頃、彼女はやって来た。
僕の家の隣に引っ越してきた女の子の名前は茜といった。

茜は可愛らしい女の子だった。肩らへんで切り揃えられた染めたことのない綺麗な黒髪と、アーモンドのような形をした薄い色素の瞳が印象的な美少女。
性格だって特に変わったところはなく、愛らしい笑顔と人懐っこい無邪気さに惹かれ、僕達はすぐに仲良くなった。

「健ちゃんは優しいね。私と喋ってくれるのなんか健ちゃんだけだよ」
茜は学校に居場所がないらしく、よく僕の部屋に遊びに来ては淋しそうに愚痴を吐いていた。
茜はいい子なのに彼女自身を見ようとしないクラスの連中は片親の茜を虐めているらしかった。
母親が綺麗な人なのもまた恰好のネタとなり、気付けば茜は売女の娘ということになっていた。

「茜はいい子だよ」
そう言って彼女の頭を優しく撫でる。
彼女は何かあるたびに僕に話してくれた。

「グループ授業とかなんであるのかな。早退しちゃった」
「体操着がびしょびしょだったの、酷いでしょ?」
「アドレス流されてるみたい…変えるから健ちゃんも一緒に考えてよ」

「すきな人ができたの」


僕はひたすら聞き手にまわった。
茜の愚痴は全て受け止めて、たまに僕なりのアドバイスを伝えたりして。
そうすることで話し相手に飢えている茜が嬉しそうに笑うのが何よりも幸せだった。


けれどある日を境に、茜は学校にも行かず家に引きこもるようになってしまった。

280:茜
11/03/26 03:11:59.84 Qr3vpruh

僕は毎日茜に会いに行った。
声をかけたり名前を呼んだりしても何の反応もないのが淋しかった。
茜はおばさんにも顔を見せていないらしく、このままじゃいけないと思った僕はなんとかして茜を部屋から出そうと声をかけつづけた。

しばらく続けているうちに茜の拒絶は激しくなり、ある日茜は怒鳴り声を挙げて僕を追い返した。

「帰って!健ちゃん早く帰ってよ!!」
「あかね…」
「帰れって言ってるの、わからない!!?」

こんなにも怒りの感情を露にする彼女を僕は始めて知り、そして怒鳴られながらも久しぶりに彼女の声を聞けたことを本当に嬉しく思っていた。





僕の学年がひとつ上がり、茜が僕より下の学年になることが決定した頃、茜はようやくドアを開けてくれた。
そして色んな話をぶちまけるように話してくれた。

碧井に呼び出されてレイプされたとか、
僕が碧井に茜の気持ちをバラしたことが凄くショックだったとか、
死にたくなる衝動が抑えられなくなっていた時期があったこととか、
それでもおばさんには少しずつ話が出来るようになったこととか、

それから僕が毎日名前を呼ぶことが本当は凄く嬉しかったこととか

「私ね、私健ちゃんが…」
「好きだよ、茜。それから本当にごめんな」


僕はこの日、昔から隠していた気持ちをとうとう茜に告白した。

281:茜
11/03/26 03:13:46.07 Qr3vpruh

いつだって僕は茜を好きで、その気持ちだけで行動を起こしてきた。

茜が好きだから、いつも一緒にいた。

他の奴が茜の魅力に気付かないように変な噂を流したのも
笑顔になるなら多少面倒な愚痴話でも喜んで聞いていたのも
碧井を諦めさせる為に、碧井に高い金を払って協力してもらったのも
その後碧井と入れ替わって僕が茜を無理矢理レイプしたのも

全部全部茜が好きだから。それだけが理由。

「私なんかでいいの…?私みたいなどうしようもない女で…」
「茜がいい。ずっと茜だけ見てきたから」


一生このまま種明かしをしないのだって、茜が好きだから。
それだけが理由なんだよ。

282:茜
11/03/26 03:16:23.40 Qr3vpruh
以上です。
色々わかりづらい部分があるかとは思います…申し訳ないです。

283:名無しさん@ピンキー
11/03/26 12:25:10.00 RLCOA9bE
投下乙!
これはいいヤンデレw
>>277は普通に碧井くん目線だと思ってたから
>「好きだよ、茜。それから本当にごめんな」
ってセリフ読み返したら怖ェェェェ
ストーカージェントルマンとは違って本当に最後まで隠し通してほしいよ

しかし碧井くんは金もらったとはいえど
一歩間違えばレイパーだと訴えられそうなことよく手伝ったなw

284:名無しさん@ピンキー
11/03/26 13:03:39.06 afnwxiPE
>>GJ
途中で半分は気付いたけど、オチで「そこからか!?」ってなった。上手いな

285:名無しさん@ピンキー
11/03/26 21:54:30.06 dvWNsupc
>>282
健ちゃんマジ外道で吹いたw
良いヤンデレだったGJ
しかし端から計画通りか
ヤンデレテラオソロシス

286:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:10:17.33 tcYL7P6H
>>282 GJでした。

続きを投下します。最終話になります。

・逆レイプ
・和姦
・未遂

13レス頂きます。

287:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:10:52.51 tcYL7P6H
 かつて訪れた森の祠の傍に、神竜は悠然と佇んでいた。逃げも隠れもせず、まるでティトの訪れを
予め知っていたかのように。
 時が止まったまま眠り続けるセラを抱え、ティトは恐れもせず神竜と向かい合った。
 彼女の仇を見据える瞳には、憎悪や絶望などは欠片も宿っていない。
 湛えられるはただ一つ。命を捧げる覚悟のみ。
「返して貰いに来た」
 口にせずともわかっているのだろうが、ティトは敢えて目的を告げる。神竜は微動だにせず、陽の光を
受けて黄金に輝く眼を足元の人間へと落とした。
 待っていたのだろう。人間であるティトが、自分の元を訪れるまで。
「返してくれないか」
 育む命がないのなら、自分の命を与えても構わない。そう心に願い、ティトは自分を殺せと訴える。
 その覚悟を拾い上げ、神竜は再び人の言葉で語り掛けた。それは、ティトが求めた答えではなかった。
『私は何者の干渉も受け付けない』
 無論、そう簡単に要求に応じないであろうことは予想の範疇ではあった。ここで食い下がらなければ
ならないことも想定の範囲内だった。
「だったら、何故ここで僕を待っていた?」
『貴様を待っていたわけではない。人間ならば誰でも良かった』
 これだけ多くの命を奪っておいて、今更何をしようというのか。真意を問われる前に、神竜は先の死闘で
ティトが抱いた疑問に答えた。
『私は誰の味方でもない。しかしそれ以上に、誰もが敵と認める存在であってはならない』
「……何が言いたい?」
『全ては予定調和だ。それはまだ終わっていない。私が鎮めた魂は、まだ我が手中にある』
 意味深な言葉を残し、神竜はおもむろに天を仰いだ。神々しき純白の翼を広げ、先とは全く異質の
鳴き声を発した。
 高く美しい歌声が、たちまち天空を支配する。それは数多の命を乗せ、雪のように地上へと降り注ぐ。
 ティトはその光景を唖然として見つめていた。奪った命を持ち主へと返したのだ。神竜が何を意図して
このような行動に出たのか、理解するには数秒の時を要した。
『人間よ、これは天啓と思え。同じ過ちを繰り返すな。無論、我々もだ』
 返されたのは、神竜によって理不尽な死を与えられた者の命。覇竜に殺された者は生き返らずとも、
死んだはずの人間が揃って息を吹き返せば誰もが『神』の意を感じずにはいられないだろう。神竜の姿を
目の当たりした人間ならば尚更である。


288:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:11:28.71 tcYL7P6H
 この光景を目の当たりにした人々は喜びの裏で、この先の未来を『神』の怒りに触れぬよう、畏れながら
生きて行くことになるのだろう。

 セラを抱えていたティトの手は、少しずつ人の温もりを感じていた。失われていた命は律動を始め、
彼女の全身を温かな血が巡る。固く閉じられていた瞼からは、僅かに茶褐色の瞳が覗いている。
『貴様の命など必要ない。ただし、約束を違えたその時は……』
 最後まで告げずに警告を終え、神竜は静かに森の奥へと姿を消した。
 今度また、人と魔物の間で無意味な殺生が繰り広げられたなら、神竜は再び姿を現すのだろう。
一切の救済を許さない、完全なる滅びの唄と共に。

 事態の終息を呆然と眺めるティトに、不意に細く弱々しい声が掛けられた。
 自分の名を呼ぶセラに、ティトは何も言わずに顔を向ける。生気を取り戻した少女の姿は、記憶の中の
どの姿よりも生やかで、美しい。
 愛しき少女の生還に歓喜する心とは裏腹に、ティトの表情には寂しげな微笑みが湛えられていた。


「先日の約束、取り下げさせて頂きます」
 ラスニール城に辿り着くなり、ティトは国王に向かい、とある口約束の破棄を求めた。セラとの婚約の件である。
「……ほう」
「ティト?本気で……?」
 興味深げに様子を窺う国王の前で、セラは開口一番、信じられない台詞を吐くティトに疑問を呈した。
一時的な約束ではあるものの、まさか求婚した本人の口から婚約解消が言い渡されるとは思っていなかったのだ。
「正直なところ、背後でどこぞの誰かが一枚噛んでるのかと思ったんだけど、そうでもなかったようだね」
「……失礼します」
 理由を告げることもなく、ティトは二人に背を向ける。帰国後とは言え、王女の身の安全という
最も破ってはいけない約束を破ったのだ。彼女を娶る資格などあろうはずもない。
「ティト、私はもう貴方のことは……」
「ごめん。これで、全部終わりにしよう」
 引き止めに掛かるセラの目の前を横切り、ティトは部屋の扉に手を掛ける。
 これで彼女は、何に囚われることもなく生きられる。金輪際、関わることはないだろう。

 別れの扉は不自然なほどに軽かった。反対側から何者かが同時に扉を開いたのだ。
 時をほぼ同じくして国王の元へと訪れた人物に、ティトは正面から衝突した。見上げると、父親である
ロイドに見下ろされていた。


289:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:11:46.13 tcYL7P6H
「と、父さ……」
 腕を掴まれて引っ張られ、ティトは再び国王の元へと戻される。
 ロイドの背後にはディアナが、姿を隠しもせずに付き添っていた。
「久しぶり。あの家燃えたんだって?まさかこの城を明け渡せなんて言うわけじゃないだろうね」
「そうだな。ついでにラストニアでも復活させるか」
 平然ととんでもないことを言い放つロイドを前に、国王は顔を強張らせた。彼は遠慮なく目前まで
歩みを進め、含みのある笑みを見せながら国王を見下ろしている。
「……冗談だろ?」
「さぁ?それはおまえの対応次第だ」
 再会早々の脅迫行為。昔と全く変わらない手口に、ディアナは深い溜息を吐いた。
 しかし脅迫といえども、別段国に不利益をもたらそうというわけではない。今や祖国を同じくしている以上、
国王とてそれは理解している。
「で……、何がお望みなんだよ……」
「全騎士団を俺に寄越せ。それから、俺の素性を国中に知らしめろ。ラストニアの姓も、過去の功績も何もかもだ」
「!?ちょっと待て、そんなことしたら……」
 国王が何を危惧しているか、ロイドは当然わかっている。
 ラストニアとラクールの力関係は明らかだ。もし、ラストニア王家の末裔、しかもほとんど全ての
戦役を勝利に導いた司令塔となる人物が生きていると正式に知れたら、自国よりも力で劣るラクール側が
国を治めているという現状にラストニア兵は勿論のこと、ラストニアの民までもが不満を抱くかもしれない。
本人の意図せぬところで築き上げられたものではあるが、彼にはそう危惧させるほどの人望がある。
 しかし、ロイドは決して自己顕示欲は強い方ではない。ラクール出身者を含む騎士団の均衡を保つためにも
素性を明かさず、初めは現騎士団長であるアルセストを介した指揮系統を築くべきである。
 もし城に留まることのみを目的とするならば、わざわざ身元を明かす必要はなく、一体何を狙いとした
行動なのか国王には理解できなかった。
「心配には及ばない。こいつとおまえの娘が国を継ぐことになれば、何の不満も出ないだろ」
「へ!?父さん、何を!?」
「この国を乗っ取りたい、王女にも気がある……何か不満か?」
「それ、誰に聞いたの……」
 聞かずとも知れている。ケイトしかいない。気まずさのあまり、弟の話を持ち出してしまったのだろう。
余計なことを吹き込んだ姉のせいで、今まさに、政略結婚という予想だにしない道が開けようとしているのだ。


290:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:12:15.83 tcYL7P6H
「俺は当分この城に滞在する。ディアナのことは気にしなくていい。どうせもう時効だ」
 国王は気圧されるように首を縦に振ったものの、先程とはまた別の危機感を抱いていた。
 ラストニアより次期王が誕生し、ラクールより次期王妃が選ばれる。実質どちらが力を持つかは明らかだ。
「まずい……本当に乗っ取られる……」
 息子にさえも一切の反論を許さず、ロイドは国王の苦慮を耳にしながらディアナを連れて部屋を後にした。

 国の重鎮的存在となれば、クレア達からの無茶振りを正当な理由で断ることができる。ディアナが切に
望んで来た日常を、今度こそ実現させることができる。しかしロイドがそう説明しても、彼女はいまいち
納得しない。
 長年共に同じ道を歩んで来たディアナは、ロイドの性格を知り尽くしている。今回の大胆な行動の裏にある
本当の目的にも、薄々勘付いていた。
 彼は真っ先に、騎士団の譲渡を要求したのだ。
「これ、もしかして……あの人への報復?」
 恐る恐る真意を問うディアナの前で、ロイドは然も当然であるように答えを返す。
「誰の女に手を出したのか思い知らせてやる。一生脅えて生きるがいい」
 ある意味予想通りの返事を嬉しく思う反面、自分達に関わってしまった若く未来有望な騎士に対し、
ディアナはどうにも同情を隠し切れなかった。


 この日、セラは初めて他人を自ら自室へ招き入れた。話をしたいと頼んでもなかなか首を縦に振らない
ティトを、強引に部屋の中へと引き摺り込んだのだ。
 ティトは決して良い顔をしていない。一方的な都合で決め付けられてしまった将来を撤回させるため、
一刻も早く父を追わなければならないと思っていた。
「セラ、僕達もう会わない方がいい」
「何故ですか?」
「何故って……自分の身に何が起きたか、わからないわけじゃないだろう?」
 彼女のためにも、これ以上関わりを持つべきではない。ティトがいくらそう説得しても、セラは一向に
納得しない。むしろ、説得を試みるほど反発する。
 自分の考えを絶対とし、他人の言い分には耳を貸さない。何を言っても聞く全く耳を持たず、一秒でも早く
部屋を出ようとするティトの態度は、セラにとって苛立たしいものでしかなかった。


291:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:12:33.71 tcYL7P6H
「貴方はいつも勝手です!初めてここへ来た時も、ケイトを助ける時も、私の言うことなんて何一つ聞かずに
 自分本位な行動ばかり取っていました!」
「……うん」
「今朝もそうです!貴方は、自分の命を……、捨てようとしていました……」
「…………」
 ティトは決してセラと目を合わせようとしない。しかし、彼女が涙を堪えているであろうことは察していた。
声が、震えているのだ。
「私のためですか……?私のせいで、貴方まで命を落とすところだったんですか……?」
「……、もう行くよ」
 扉へと伸ばされた手を押さえ、セラは扉の前に立ちはだかる。
 道を塞がれ困り果てるティトを睨み付け、精一杯の虚勢を張る。
「許しません。もう、貴方に振り回されるのは沢山です」
 ティトは一歩、また一歩と迫り来るセラから逃げるように後退る。ベッドの傍まで追い込まれるなり
肩を押され、そのままシーツの上へと難なく倒されてしまった。慌てて起き上がろうと手をつくも、
セラに腰の上へと乗り上げられ、動くことすらままならない。
「こ、こんな真似するなんて、君らしくないな。早くそこを……」
「お黙りなさい。これは報復です」
 言い切られる前に言葉を遮り、セラはシーツに手をついて困惑するティトを見下ろした。長く透き通った
琥珀色の髪が流れ落ち、紗幕のように二人の視界を覆う。
 近付けられた彼女の瞳は、どう見ても復讐を企てる人間のものではない。むしろ、かつてティトが
欲していた、淡い慕情さえ感じ取れるほどだ。
「動かないで下さい」
 伸ばされた手が、ティトの頬に触れた。指示に従わず顔を逸らしても、彼女は動じない。
 このままではまずいと強引に半身を起こすと、セラは再びティトの肩を押して共に倒れ込み、自分の
身体で動きを封じた。
 完全に、抱き付かれた形となっていた。ふわりと漂う彼女の香りが、ティトの嗅覚をくすぐる。
 鼓動と温もりが布越しに伝わって来るだけで、幸福感が満ち溢れる。それ以上を望むのは、贅沢というものだ。
「セラ、離れて」
「嫌なんですか?」
 腕に力が込められると共に胸元に柔らかな感触を覚え、ティトは思わず目を閉じた。本心の赴くままに
抱き締めてしまいたいという衝動を抑え、固く拳を握り締めていた。


292:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:12:59.11 tcYL7P6H
「……嫌なんですね」
 頑なに自分を受け入れようとしないティトを、セラはどこか悲しげに見つめている。やがて彼女は
俯いたまま静かに起き上がり、ゆっくりと身体を離した。
 膨れ上がる煩悩を制し、つい気を緩めたその直後。安堵の息を吐いたティトの下半身を、思わぬ感触が襲った。
「ちょっ……、セラ!?何してる!?」
「身体を張った嫌がらせです」
 言いつつ彼女は手を潜り込ませ、拙い手つきで懸命に互いの秘部を触れ合わせる。セラの生気に溢れた
女の身体はティトの色情を再び煽り、必要以上の昂ぶりを与える。
 彼女は思い切った行動に出ながらも恥ずかしそうに顔を逸らしていたが、やがて指先に力を込め、
ゆっくりと腰を下ろし始めた。
「待っ……!だ、だめだ、やめ……」
「貴方も最初、私が嫌だと言ってもやめませんでしたよね」
 意外にも、彼女の中は僅かに湿っていた。もう悪感情を抱かれていないのだと察することができるが、
ティトはどうしても受け入れることができない。
 行為を強行するには潤滑に乏しく、彼女の顔は苦痛に歪んでいた。それでも生じる痛みに耐え、セラは
ティトの陰茎を根元まで埋め込むと、そのまま長く息を吐き、静止した。
「無理しないで、早く離れて」
 身を案じる言葉に、セラは首を振って少しずつ腰を揺すり始める。身体が強張っているためか膣内は
非常に狭く、彼女が少し動くだけで互いのものがきつく擦り上げられる。
 漏れる呻きを耳にしては手応えありと踏み、彼女は徐々にペースを上げて行く。
「も、もう、やめるんだ……、痛いだろ」
「嫌です。平気です」
 何度やめるよう言い聞かせてもセラは一向に耳を貸さず、しかしだからと言って乱暴に扱うこともできない。
 ティトは必死にこの状況を打開するあらゆる手を考えるが、口を出る台詞はどれも説得力に欠けるものだった。
「君はあの時、身分を理由に僕を拒んでいたのに……、いきなりどうしたんだ」
「あんなもの言い訳に過ぎませんし、もう意味もありません。貴方、ラストニアの人間だったのでしょう?
 第一、私の身体を二度も奪っておいて何の責任も取らないつもりですか?
 お父様にも借金があるはずです。このまま踏み倒すつもりですか?」
「いや……、それは……」
 怒涛の追及を受け、ティトは二の句を告げなかった。過去の所業が今全て、自分に返って来ているのだ。


293:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:13:25.06 tcYL7P6H
 視線を交えながらも絶句し、全く心変わりする様子を見せないティトをセラは更に追い詰める。懸命に
腰を揺すって互いの粘膜を擦り合わせ、望まぬ快感で苦しませ、ティトが音を上げるまで決して声を漏らさない。
「ぅ……っ!セ、セラ、わかってくれ、君の、ためなんだよ……」
「私のため?私の気持ちも考えないで、何が私のためなんですか?」
 ティトは思わず目を見開いた。蒼の瞳に映る彼女の面持ちは至って真剣で、とても揶揄されているとは
思えない。しかし、一度は大嫌いとまで言われた相手の口から飛び出す台詞とも思えなかった。
 気付けばセラの顔が目前に迫っている。目が合うと、彼女はそっと自分の唇を重ね合わせた。
「……本気?」
「命まで賭けられては、気も変わります」
 ─逃げられない。迷いなく答えるセラを目にし、ティトは戸惑いながらもそう悟る。
 今まで彼女のためと思い取って来た行動は、ことごとく裏目に出てしまっていた。
 だから離れようと決意した。しかしその決断が今、再び彼女を傷付けようとしている。
 ティトは観念したように目を閉じた。もう悩むことすら億劫だった。結局のところどの道を選んでも、
二人にとっては茨の道にしかなり得ないのだ。
「覚悟はできてるんだろうね」
「覚悟?」
 セラは女だ。これ以上恥を掻かせるわけにはいかない。
 問い返すセラの肩を掴み、ティトは彼女の身体を軽々とベッドに押し倒して形勢逆転を図る。そして、
真剣な眼差しで彼女を見据え、最後の質問を投じた。
「僕はきっと君を不幸にする。幸せになれる保証なんてどこにもない。それでもいいの?」
「それは貴方が気にすることではありません。幸せかどうかは私が決めます」
 強気な台詞とは裏腹に、セラは薄っすらと微笑んでいた。返事の代わりに口付けが与えられると、彼女は
一層顔を綻ばせた。しかし、この状態で接吻のみで終わるはずもない。
「わかってると思うけど。こんな中途半端な状態で終わろうなんて考えてないよね?君がそのつもりなら、
 最後までさせてもらうよ」
「……はい」
 頬を染めて頷くセラを、ティトは軽く抱き締める。体勢を整え、抜け掛けた陰茎を再び奥まで埋め込む。
 セラは小さな呼吸を漏らしながら、背に腕を絡めた。ティトの首元に顔を埋め、これから襲い来るであろう
快楽に備えていた。


294:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:17:43.43 tcYL7P6H
 期待に応えるように、ティトはゆっくりと動き始める。しかし、優しく扱うのは初めのみ。
 既に彼女が強行した行為により、十分過ぎるほどに色欲を煽られているのだ。ティトは自分の欲求に従い、
遠慮なく速度を上げて行った。
「あ、あの……っ、ティト……」
「何?」
「やさ、しく……」
「今度ね」
 やられっ放しは趣味ではない。ティトは口には出さず、行為で示す。広がるスカートの裾をたくし上げて
片脚を肩に掛け、体重を掛けて自身を奥まで押し込むと、セラは堪らずに身を捩り甘い声を上げた。
 そのまま掬い上げるように、何度も腰を打ち込む。彼女の喜ぶ腰使いで、水音を立てながら突き上げる。
「あっ、は……っ!ああっ!!」
 快楽から脱しようと反射的に撓う肢体を、ティトは決して逃すまいと強く抱き竦めた。互いの身体を
密着させ、快楽に悶える身体を押さえて容赦なく奥を貫いた。
 腕の中で跳ねる身体から、彼女が得ている快感の度合いが窺い知れる。セラの身体が大きく仰け反る
瞬間を捉え、ティトは即座に同じ要領で腰を打ち始めた。
「ぁああっ!だっ、だめっ!ティ、ト……っ!」
「腕に力を入れて。しっかりしがみ付いて。まだまだ辛くなるよ」
 セラは素直に従い、自分に覆い被さるティトの身体に力の限り抱きついた。昔ならばここでじっくり
可愛がっていたのだろうが、今のティトにはそんな余裕はない。
 耳元で頻りに叫ばれる制止の声を糧に、ティトは早々に追い込みを掛ける。素直な反応を返す身体を
力一杯抱き締めながら、加減も忘れて夢中で突き込む。
「ああっ、ん……っっ!!」
 セラは固く目を瞑り、声もなく悶え続けている。急激に狭まり、快楽に蠢く柔らかな蜜壁が彼女の状態を
ありありと示している。
 粘膜が擦れ合う度に彼女は過敏に身体を捩る。その度に纏わり付き締め上げられる感覚に、ティトは
堪らず喉元から声を漏らした。
 燻ぶり続けた快感が、堰を切って溢れ出す。二人は互いに求め合い、たちまち絶頂の波に襲われた。
「うっ……!セラ……ッ!」
「わ、私、もう、……っ!あぁああっ!」
 ティトは引き込まれるように最奥まで導かれ、脈打つ欲望を吐き出した。華奢な身体を一際強く抱き締め、
逃すまいと腰を押し当て最後の一滴まで注ぎ込んだ。


295:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:18:08.86 tcYL7P6H
 全ての事が済んでも、セラは絡めた腕を離さない。余韻に満ちた甘美な時間に酔い痴れるように、
自ら身を寄せている。ティトはただ自分の心に正直に、細くしなやかな身体を抱き留めた。

 やがて呼吸が整い始めた頃、二人はゆっくりと身体を離した。ティトは機嫌を窺うように、意中の少女の
顔を覗き込むが、そこに望んだものはなかった。
 緊張の糸が切れたのだろう。目が合うなりセラは悲しげに顔を歪め、涙を浮かべて心中を訴え始めた。
「私……貴方の言うこと、ちゃんと聞きます。ずっと貴方を支えます。だから、もっと私のことも考えて下さい。
 もう会わないなんて……言わないで下さい」
「……そう、だね」
 ティトは自分の愚行を認め、嗚咽を漏らすセラの髪を慰めるように撫で梳く。
 もう二度と悲しませまいとした少女に、最後の最後で涙することを許してしまった。結局彼女の希望に
沿うことが、最も確実な贖罪方法となるのだろう。
 『王女』のためではない。全ては彼女個人のために。
 生涯の献身を胸に誓い、二人は深く、口付けを交わした。


「あ、あの、父様」
 ロイドとディアナが城門を抜けると、二人は不意に、聞き馴染みのある声に呼び止められた。
揃って振り返ると、普段の快活な姿など微塵も感じられないほどに硬くなったケイトが、ぎこちなく
歩みを進めていた。胸には覇竜に傷を負わせた剣が、大切そうに抱えられている。
「これ……」
 抱えられていた剣がそっと差し出される。しかし、ロイドはすぐには受け取らない。視界に入った
丸腰の娘の姿に違和感を覚えたからだ。
「剣がないのか?」
 俯いたまま黙り込み、ケイトは何も答えない。しかし答えずとも、昔から片時も剣を手離すことなど
なかったのだから答えは知れている。
 差し出されていた剣に手が伸ばされる。そのまま持ち主の元へ返るかと思いきや、しかしケイトは
手の平に別の感触を覚えた。よく見るとそれは、ロイドが過去に愛用していた細身の剣だった。
「まだ使える。折るなよ」
「……え」
 半ば押し付けられる形で手にした、思いも掛けない新たな剣。使い込まれているためか、柄はケイトの
手にもよく馴染む。
 全く予測していなかった事態に困惑し、絶句する娘をディアナは微笑ましく眺めている。
「ケイト、また後でね」
「…………」
 気恥ずかしそうに固まる娘に声を掛け、ディアナはロイドと共に崩壊し切った街へと向かった。




296:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:18:26.60 tcYL7P6H
 それからケイトは、以前よりも笑うようになった。ロイド不在の際に滲み出ていた殺伐とした雰囲気など
一切なく、周囲に柔らかな印象さえ与えるほどだ。躍起になって鍛錬に励むこともなくなり、ライラと
共に過ごすことも多くなった。
 別に彼に気を使っているわけではない。新たな住み処であるラスニール城がどうにも肌に合わず、
外で過ごす割合が増えたのだ。彼は黙っていても寄って来るため、単に話相手としているに過ぎない。
 この日も破壊された訓練施設の近くの丘で、二人は休憩がてら、復興に追われる街をぼんやりと眺めていた。
「ラストニアの血筋、ねえ……」
 ロイドの生存は、ラスニール騎士団総帥への就任と同時に国中に知れ渡った。勿論、元ラストニア軍
総司令官の肩書きを共にして。政略結婚の餌食とされたティトの身元も公となり、必然的にケイトの素性も
白日の元に晒されることとなってしまったのだ。
「聞いてねえ……」
「私も聞いてない……」
 ケイトにとっても寝耳に水。しかし、別段普段の生活に大きな変化が伴うわけではない。城を住み処と
することも、今は慣れずともいずれ馴染むことだろう。国家間の事情にも特に興味はなく、この会話も所詮
ただの世間話に過ぎない。
 故に多くを語る必要は皆無であり、本音を零すライラを横目に、ケイトは普段と変わらぬ調子で適当に
話を切り替えた。
「それにしてもおまえ、情けなかったなぁ。神竜を挑発して結局何もできず仕舞い。何がしたかったんだよ」
「……それは」
 ライラは気まずそうに俯く。本当ならば挑発により注意を引き、動向を探るつもりだった。
 しかしその目論見が達成されることはなかった。眩い謎の光を浴びたあの時から、神竜の思考を拾うことが
できなくなってしまったのだ。
 原因は不明。落としどころのない曖昧な説明を受けるも、ケイトは特に関心もなさそうに答えを返した。
「邪魔者扱いされてたな。よくわからないけど、元に戻されたんじゃないのか?」
「…………」
 可能性は十分にある上、確認手段がないわけでもない。彼の血に帯びる覇竜の魔力は今、脳へと届く
直前で中和され、中枢神経を侵すことなく全身を巡っている。
 つまり、永続的に魔力を放ち、ライラの命を守っている魔道石の髪留めを外してみれば良い。


297:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:18:44.13 tcYL7P6H
 当人も何となく勘付いてはいた。しかし、どうしても踏み切ることができなかった。こめかみ付近へと
恐る恐る手を伸ばしても、触れるのみで終わってしまう。
 もしこれで、死を臭わせるほどの苦痛に苛まれてしまったなら、他に手がない現状ではもう二度と
元の身体に戻ることは叶わないかもしれない。僅かな希望を根こそぎ奪われてしまうことは、彼にとって
恐怖でしかなかった。できることなら誰かに、背中を押して欲しいと思っていた。
「なぁ、ケイト。もしこれで、全て元に戻ってたら……」
「戻ってたら?」
 言い掛けて、ライラは俯き口を噤む。今まで散々迷惑を掛けて来た上、自分の都合で身勝手な要求を
飲んで貰うなど虫が良すぎる。
 しかし一人躊躇するライラへと、ケイトは特に他意もなく、当たり前のように激励を送った。
「そうだなぁ。元に戻ったら、いずれ好きな人と結ばれて、子供だって作れる。長年の悲願が叶うわけだ。
 でも、今勇気を出さないと永遠に叶わない。試してみて損はないよ」
「……言ったな?」
 何の気無しに零された発言に、彼は待ち侘びていたように食いついた。今までの苦悩など嘘のように、
躊躇いなく髪留めを掴み、握り締める。そして僅かに浮かせて苦痛が伴わないことを確認するなり、
無造作に地に落とした。
 ケイトが振り向いた時には既に、魔道石は天を向き、草むらに転がっていた。
 平然と送られる視線を感じつつ、ケイトは誤解を与え兼ねない自分の発言に気付く。はっとして
ライラの顔を見遣るも、そこには感動など欠片もない。
「ケイト。おまえ俺の本心知ってるよな?自分の言葉には責任持てよ?」
「そう言えば……そうだった……」
 一種の平和呆けか、或いは現実から乖離し過ぎた出来事だったためか。以前に比べて最近は特に
何事もなく、ライラとの悶着を含めた神竜の一件など、既に絵空事になり掛けていた。
 それを知ってか知らずか、彼は脅迫的、かつ高圧的な態度で近付く。ケイトが慌てて後退っても、
二人の距離は一向に縮まらない。
「いいんだな?わかってて言ったんだよな?」
「ちょ、ちょっと待て、目が本気だぞ」
「当たり前だ」
 自分の発言に責任を持つのは当然のこと。ケイトは思慮の足りない発言を悔やむが、既に後の祭り。
言い切ってしまった手前、ライラが本気である以上彼の気持ちを無下にするわけにもいかず、かと言って
前言撤回が認められる空気でもない。


298:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:19:02.66 tcYL7P6H
 彼は後退るケイトとの距離を遠慮なく詰め、反応を試すように手を伸ばす。逃げるように身を引きながらも、
ケイトは以前のようにきっぱりと拒絶することができなくなっていた。彼は、根は悪い人間ではないからだ。
しかし顎に指が触れた途端、ケイトは反射的に腕を伸ばし、ライラを突き飛ばしてしまっていた。
 予想していたであろう結果を、彼はどこか寂しげに受け止めている。その様子を見てケイトは気まずそうに
背を向け、取り繕うように言い放った。
「さ、先に言いたいことがある。一応、おまえのおかげで私もティトも助かったんだ、礼は言っておく。
 でも、まだ全て許したわけじゃない。だから、どうしてもと言うなら条件がある」
「条件?」
 瞳に僅かな光を宿し、彼はケイトの提案に耳を傾けた。元気付いた姿を尻目に心の内で安堵しつつ、
ケイトは父より授かった剣を握り締める。
 そして悪戯に笑みを浮かべながら、期待の眼差しを湛えるライラへと、絶壁の如く高いハードルを課した。
「私の父様に認められてみろ。父様が認める人間なら、喜んで生涯付き添ってやろう」
「…………」
 突破不可能としか思えぬほどの難壁を提示され、彼は座り込んだまま硬直する。
 相手はかつて圧倒的軍事力を以って世界中を震撼させた、ラストニアの王位後継者であった人物だ。
認めさせる方法など検討もつかない。
「会ったことすらねえよ……」
「いずれは通る道だろ。今のうちに片付けておけば後々楽になるぞ」
 これは、何度も強引に身体を奪った代償のつもりだった。たとえ正当な理由があったとしても、それなりに
辛辣な試練を課してこそ、釣り合いが取れるというもの。むしろこの程度では甘いと思えるほどだ。
 ライラは苦渋の色を浮かべながら思い悩んでいたが、やがて真剣な面持ちでケイトを見据えた。
 やっと腹を括ったのかと思いきや、しかし彼は突拍子もない提案を口にした。
「ケイト。駆け落ちしよう」
「はぁ!?」
 有無を言わせず背後から腕を回し、断らせる間も与えずに彼はケイトは身体の自由を奪った。
 暴れても女の力では到底敵わず、ただの無駄な徒労に終わっている。


299:神竜の謳 Ch.11
11/03/27 15:19:41.41 tcYL7P6H
「こっ、この根性なし!こら、どこを触……」
 胸元を手で押さえられ、反射的に振り向いたケイトの唇は、まるで狙い計られていたかのように塞がれた。
即座に頭部を押さえられ、ケイトはそれを振り解けぬまま草むらへと身体を倒された。
 反論を封じる口付けは容易には解かれず、撓う身体の線をなぞるように手が下方へと這う。衣服の中に
指が忍び、肌を直に触れられる。人肌の感触に震え上がり、ケイトは堪らず蹴り飛ばしてやろうと
意気込むが、彼は瞬時にそれを察し、意外にもあっさりと拘束を解いた。
 酸素を求めて呼吸を乱すケイトを満足気に見下ろし、彼は勝ち誇った様子で笑みを浮かべている。
「わかったよ。その条件呑んでやる。ただし無期限でな」
「おま……覚えてろ……」
 ロイドに異様に高い理想像を吹き込むか、或いは如何にライラが非常識な人間であるかを説いても良い。
軽率な行動を後悔させる術はいくらでもある。
 たとえ泣き付かれても絶対に妥協しないことを心に誓い、ケイトは固めた拳を地へと落とした。


 甚大な被害を受けたラスニールの復興も、ライラの悲願成就も、双方共に相当な時間を要する。
 神竜の力によるものか、頻繁に出現していた魔物は全く姿を現さなくなっていた。ティトが気に掛けずとも、
種族間の争いは嘘のようになくなったのだ。
 しかし、彼らは決してその存在を消したわけではない。神竜の棲む森は確かに存在する。急成長を
促された木々は天高くそびえ立ち、数多の生命を抱え、侵入者を拒むようにその入口を閉ざしている。
 森は今も成長を続け、より堅固な不可侵領域を築き続けている。それ故その森は人々に畏れられ、
いつしか誰一人として近付かなくなった。

 ラスニールが落ち着きを取り戻した後も、世界は常に目に見えぬ不可思議な気配に包まれていた。
 彼らの存在が記憶から薄れて来ようとも、ふと空を見上げる度に、ケイトもティトも在りし日の
断罪の旋律を思い出す。残された深い爪痕と共に、それは永遠に二人の記憶から消えることはないだろう。

 不滅の空は未来永劫変わりなく、この世の全てを繋ぎ止める。
 今日もまた、全てを統べる天空に、命の系譜が響き渡る─



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