11/10/22 14:26:41.18 IVMXhQou
一つ投下させていただきます。
数回に分けての投下になりますがご了承下さい。
よろしくお願いいたします。
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「遥20歳―堕ちた天使」
「今日は暖かでお出かけ日和です。それでは皆さん行ってらっしゃい!」
遥がカメラに向かってニッコリと微笑み、手を振る。
「はい、オッケー!」
ディレクターの声が響くと漂っていた緊張感がわずかにほぐれた。
「お疲れ様、よかったよ。もうすっかり慣れたね」
「ありがとうございます」
オフワイトのショートコートを着た若い女性キャスターが胸に手を当て
ほっと息を吐いた。
肩に届くくらいの黒髪につぶらな瞳、メイクは同年代の女性たちに比べて
やや薄めだが生真面目さと育ちのよさを感じさせる彼女の顔に似合っていた。
「明日から一週間の地方ロケだからね。よろしく頼むよ」
「はい、頑張ります!」
マイクのついたヘッドセットを外しながら遥がニッコリと微笑む。
「遥ちゃんは初めての地方ロケだね」
いつの間にかそばにやって来たプロデューサーの香田が声を掛ける。
「はい。ちょっと緊張してます…」
遥の顔が少しこわばる。
「大丈夫。いつもやってる通りにすればいいんだから」
香田はニッタリと笑うと、さりげなく遥の肩に手を回した。
「が、頑張ります…」
肩に置かれた中年男の手にちらりと目をやり、戸惑いの表情を浮べながら
遥がぺこりと頭を下げた。