11/07/10 19:09:42.73 eUi3q2Vd
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「藤丸、爆薬のセットが完了したわ。これで準備は万全よ」
黒髪の女性が無線を通じて報告する。
それを受け、ノートパソコンを覗き込む青年が頷いた。
「よくやったぞ……“響”」
同時に、他の仲間へも指令を飛ばして作戦の決行をかける。
テロリストを駆逐するためのテロリスト。
いつか志した目的の為に、藤丸、いや、ファルコンは闇に身を委ねる。
かつての恋人のクローンと共に。
すでに私は捨て去った。
藤丸は今になって、響が死を選んだ理由が僅かに理解できるようになっていた。
響はあくまでも、藤丸の中での“水沢響”でいたかったのだろう。
個を持たない女性であったがゆえに、藤丸に評価される自分を誇り、それを守るために死んだ。
その愛を見せられて、藤丸に出来ることは一つ。
“響が思い描く藤丸”を演じきることだ。
手段は問わない。慈悲すらかけない。ただ目的の為に、ただファルコンとして存在してゆく。
「響。障害はすべて排除しろ」
「……誰であろうと?」
「 誰であろうと、……だ。 」
END