11/12/31 17:27:29.20 Q/DItaWu
主人公の容姿とかが全然かかれてない
風景描写がすくない
心理描写が多すぎ
これだけ書いててまだエロに入ってない(無駄に長い)
以上の点から考えて、まだ人に見せるレベルじゃあないと思う
419:名無しさん@ピンキー
11/12/31 20:38:03.51 yA/dgHTk
>>418
今度からコテつけといてくれ
NGしとくから
420:名無しさん@ピンキー
11/12/31 21:18:18.29 7WwZ1956
新年初投下を狙ってる人も居るかもしれないのに、雰囲気悪くする馬鹿はタヒねよ。
作者さんも叩かれる隙作り過ぎだ。
書きながら投下、いつ続きが来るか分からないんじゃ、
年末年始の時事ネタの時期に他の書き手が投下し辛くなってしまう。
このスレ、連載始めて反応が薄いと止めちゃう人が多いけど、
書き上げてくれなきゃ感想の付けようもないんだから、最後まで書いてくれよ。
421:>>397
12/01/01 20:36:50.43 AVcAkoDQ
配慮が足りなくてすまない
稚拙な分ですまない
必ず最後まで書く
422:名無しさん@ピンキー
12/01/04 07:17:45.06 RPmDUm9S
今日もまたドラゴンのオスメスを仕分けるだけの仕事が始まるお…
423:名無しさん@ピンキー
12/01/04 11:35:57.08 jQL8BenZ
ドラゴンがいるファンタジー世界なら、
オスメス比率が偏ってメスが少ない時にオスをメスに変えちゃう術とかもあるに違いない…
ドラゴンに限らず獣人や元人間も…
424:名無しさん@ピンキー
12/01/04 19:08:45.43 XF2AGSIH
>>423
ファンタジーの世界観だと戦争だらけだから
むしろ決定的な雄不足に…
425:名無しさん@ピンキー
12/01/04 19:20:18.80 N1n5wDKB
>>424
雌の方が多い分には一夫多妻でどうにもなるが
雄の方が多くて一妻多夫になると生産量上がらないし…
426:名無しさん@ピンキー
12/01/04 22:25:53.48 KVdEMpaQ
食用にも採卵にも適さないドラゴンを、
縁日でカラードラゴンにして売る。
色で用途が決まります。
ピンクドラゴンは慰安用
427:名無しさん@ピンキー
12/01/06 20:58:27.26 4BHhCySb
>>423
オレが別スレに投下した小説じゃ交配の為にドラゴンの体液が別の種族を竜化させるって設定にした
428:名無しさん@ピンキー
12/01/08 08:42:11.17 UFpa694O
エルマーとりゅうってなにげにエロい話だった気がする。
竜を首輪で繋いで乗り物にしてご褒美に精液飲ますとか。
あれで竜属性に目覚めた。
429:名無しさん@ピンキー
12/01/08 22:35:59.13 vpOUh2gL
保育園に通ってた時に読んで劇もやった記憶があるけど
そんなエロい話だっけ
探してみよう
430:名無しさん@ピンキー
12/01/10 05:52:22.01 BfS7/SRo
>>421
楽しみに待ってる
431:名無しさん@ピンキー
12/01/17 19:06:40.63 1pTLCD09
ファードラをモフりたい
432:名無しさん@ピンキー
12/01/18 02:03:43.33 hK9mlnbS
ライオンのお兄さんの膝の上に乗って鬣を弄りながら日ごろの愚痴を聞いてもらいつつ頭を撫でてもらいたい
そういうホストクラブがあったら週三で通う
433:名無しさん@ピンキー
12/01/18 03:34:33.69 KhWDYJqG
お兄さんでいいのか?
ライオンは年を重ねた方が鬣がフサフサなんだぞ
おじさまでなくていいのか?
434:名無しさん@ピンキー
12/01/18 10:20:08.99 JP8LsocY
アメリカライオンのおねえさんがペロペロしてくれるお店がいいな
435:名無しさん@ピンキー
12/01/18 10:29:51.15 IxZBtdWP
二次創作の話でアレだけど、最近渋で何点か見かける
Fate/Zeroのイスカンダル擬ライオン化の絵がものすごく理想に近くてたまらん
436:名無しさん@ピンキー
12/01/19 00:48:04.26 9FWKJKwW
>>435
検索してもケモノですらないホモな絵しかでてこない
437:名無しさん@ピンキー
12/01/19 02:11:09.72 hmeGdO/E
>>436
腐女子絵やガチホモ絵の中に漫画形式で1ページ混ざってたりするんだけど
ケモタグはついてないから難しいかも
438:名無しさん@ピンキー
12/01/19 05:12:57.79 Upl6P84E
これは犯罪だよね
URLリンク(blog-imgs-43.fc2.com)
439:名無しさん@ピンキー
12/01/19 07:34:57.48 h8by30Sa
直リンがムリなら一発で上位に来る検索キーだけでもクレ
440:名無しさん@ピンキー
12/01/20 02:31:28.63 MPNdf5dR
・クラス名よりは真名タグの方が探しやすい
・擬獣化などオリジナルアレンジの利きすぎてる絵には二次系のタグが付いてない場合もあるので
これと思った絵師の作品一覧をチェックしてみると吉
・漫画形式のらくがきまとめの中に一枚混ざってることもある
・他の鯖に比べても腐向けorゲイ向け率の高い中に分け入っていく必要がある
・うっかり男の娘属性の扉を開く可能性がある
雑食に自信がある人以外にはあまりおすすめできない
441:名無しさん@ピンキー
12/01/21 13:04:13.66 NIYWxCHr
ネコ科系獣人といえばサンレッドのアーマータイガーさんこそ至高
いや、検索しても検索しても
原作以外はガチゲイ向けのファンアートしか出てこないんだけどさ
442: ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:37:59.96 QMFRT2fX
ドラゴンでもライオンでもなくて申し訳ないですが、投下します。
カワウソ族の女の子と、オオカミ族の青年の絡み。
性奴隷モノです。ジャンルに付き物の描写は一通りあると思うので、
苦手な人はNGを。
(全編のうちどこかにかなり過激?な描写が入る予定です)
後半、自然災害ネタがありますので震災などで強いトラウマのある方もご注意下さい。
最後はちょっと気持ちが優しくなるお話にしたつもりです。
長いので、分割して投下します。
一話あたり10レス前後で、全9話+プロローグ+エピローグの構成です。
手直ししながらになるので間が開くと思いますが、お付き合いください。
他の作者の方は自由に割り込んでもらって構いません。
では・・・
443: ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:39:59.91 QMFRT2fX
『かわうそルルカの生活』
【プロローグ】 -裸の獺-
街の中心に位置する広場には中央に大きな噴水があり、
地下を通った用水が噴き出し、放射状に張り巡らされた水路を流れていく。
一頭の牝の獣が、そんな広場の石畳を行き交う人々の流れを見ていた。
色彩豊かで様々なデザインの民族衣装を着た者たち。
ここは交易の街、シエドラ。
世界各地から多様な種族が集まり、滞在し、また去っていく。
広場や通りは雑踏に満ち、夜は酒場や宿が繁盛する、そういう街だ。
どの種族の者も、長毛であれ短毛であれ、全身を毛皮に包まれているにも関わらず、
その種の違い、住む土地の違いにより系統の異なった衣装を纏う。
そういった衣装は羞恥心を感じないためにだけでなく、身嗜みであり、
種族のシンボルとして着けられているものだ。
対して、自分は─。
彼らの衣装に決して引けをとらないとは思う、陽を受けると輝く美しい毛並。
しかし、密に生えた細かな茶褐色の毛皮の上には纏うものもなく、
二つのふっくらした乳房や、赤く腫れた小さな牝の性器は体の前面に露出している。
恥ずかしさにはとっくに慣れたつもりだったのに、
今のように、こうしてふっと一息つくような瞬間があると、
往来で恥部を人目に晒していることが惨めになってくる。
美しく整った形の乳房は、以前よりずっと大きくなった、オトナの獣のそれだ。
無意識に胸を覆いそうになる短い腕を、はっとして左右に開く。
裸身を隠すことは許されていないのだ。
長く、根本の太い尾が、地面と水平になるまで下がっていることに気付き、
慌てて持ち上げる。
後ろから誰かが自分を見たとき、そのようにして薄桃色の慎ましく締まった肛門まで、
およそ若い獣の女性なら必死に隠そうとする箇所を全て晒しておかなければ、
罰せられるのだ。
珍しいことに、今この瞬間、誰も自分を見ていなかった。
そのことに気付き、緊張が解ける。
人の流れはいつもより忙しない。
何故だろう、と尾を地面に着け、短い足のつま先で立つ。
首をもたげると、喉のすぐ下にある大きな金属の環が、その重さで乳房を圧迫した。
この銀色の環は乳房の上と脇の下を通り、背中をぐるっと一周して、
胸部にぴったりとくっついている。
それは彼女の唯一の装身具であり、その身分を象徴するものだ。
そして、それは永久に外せないのだ。
常にじわじわと体温を奪う金属の感触は、彼女の心の芯まで卑しいものに貶めようとしていた。
密かに自慢の形のいい乳房が環の重みで崩れてしまうのではないかと恐れ、
こうして立ち上がるときは、両手をそっと環に当てて支えた。
そんな小さな努力を知れば、誰もが鼻で嗤うだろう。
身の程を知れ、と吐き捨てるだろう。
もっとも、そんな気遣いが必要なのは、
石畳に転がされた姿勢を強制され続ける日常の中の、ほんの一瞬のことだけ。
こんなふうに体が自由になる時間は滅多に与えられない。
往来から、誰かの「珍しい異国の行商が来ているんだ」という声が聞こえたが、
一目見たいと思っても、それはこの獺(かわうそ)族の娘、
「ルルカ」には叶わぬ願いだった。
444:かわうそルルカ 2/4 ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:42:48.84 QMFRT2fX
立ち上がって広場を見渡すルルカの姿に目を留めたのか、
頭に大きな二本の角を持つ男たちが数人、近寄ってくる。
ルルカは慌てて姿勢を正した。
「今日は珍しく行列ができてないじゃないか」
「北の果てに住む連中ってのにも興味はあるが、あっちはそのうち見れるさ」
長い角を持つアンテロープの一族だ。全部で五人。
砂のような色の毛皮に、顔と胴に黒いストライプの入った体。
彼らの民族衣装も毛皮と同じ砂のような色で、首元にぐるぐると巻いた布は、
衣服に砂塵が入るのを防ぐ役割をしている。砂漠に囲まれたオアシスに住む種族だった。
頭上の二本の角は、細長い槍のような形で少し弧を描き後ろに伸びていた。
植物を糧にする種族は、頭に戴く角が大きければ大きいほど性格は強引で暴力的であることを、
ルルカは嫌というほど知っている。
憂鬱な気持ちになりながら尾を持ち上げ、足を軽く開いて胸と股間を突き出す、
恥ずかしいポーズを取った。
それは、自らの体を自由にさせるという意志表示である。
全ての男に対して等しく、それを行わねばならなかった。
尻尾を地面に付けていたことは咎められなかった。
ただ、それは始めに数発殴られるか、そうでないかの違いだけだ。
男の一人がルルカの胸元の金属環を掴み、乱暴に持ち上げる。
自分の倍以上の背丈を持つ男に体を振り回され、ルルカは身を竦ませる。
いつまでも慣れることのない、体格と腕力の差から生まれる恐怖。
水中での活動に適したルルカの体は、祖先から受け継いだもの。
陸に上げられた獺族は、他のどの種族と比べても小柄で非力だった。
別の男がルルカの短い腕を掴み、万歳の姿勢を取らせると、
環を掴んだ男はもう一方の手でルルカの乳房を握り潰し、悲鳴を上げさせた。
また違う男がルルカの足を左右に開こうとする。
抵抗しても無駄なことは分かり切っているのに、自然と力が入り、股を閉じようとしてしまう。
(見ないで……)
足はあっさりと開かれ、ルルカの恥部が男たちの目に晒された。
ふふん、と鼻で嗤う音がルルカの耳を襲う。
つるりとした広い獺族の恥丘に、牝の性器を意味する卑猥な焼き印が押されているのだ。
すぐ下に、本物の性器が見えている。ルルカは自分でそこを見ないようにギュッと目を閉じた。
慎ましい窪みだったはずのそこは、活火山の火口のように赤く染まった肉をはみ出させている。
その変わり果てた自分の股間を覗き込むたびに、ルルカは惨めな気分にさせられた。
獺は回復力に優れているから今以上には酷くならないだろう、と医術の心得のある者は言った。
事実、その通りではあった。
半年ほど前に、ルルカのそこがこのように造り替えられて以来、ずっとこのままなのだ。
ルルカにとって悲観を誘うその部分の有り様は、男たちの劣情を誘うのには適しているようだ。
染み出した愛液に濡れ光る赤い肉襞がイソギンチャクの口のようにキュッキュッと蠢くのを見て、
正面の男は下半身を覆う衣類をはだけ、血管の浮き出た大きなペニスを露出させた。
「さっそく楽しませてもらおうか」
男は、ルルカの胴の半分近くもある長さのペニスを、
何の容赦もなく目の前の牝獺の小さな体に突き入れた。
これが、シエドラで生きる獺族の娘たちの日常。
延々と昼も夜もなく続く断罪の儀式だった。
裸の牝獺たちに対し、行為を強要する側は着衣のままというのが、いっそう惨めさを感じさせる。
何故、こんなに理不尽な目に遭わねばならないのか。
それはルルカたちが獺族だから、という理由以外に何も分からなかった。
私は獺だから、私は獺だから……。
ルルカは心の中で繰り返した。
では、獺だから─、どうして?
445:かわうそルルカ 2/4 ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:45:03.21 QMFRT2fX
「こいつらは、冷たい水の中で暮らしていたから病気知らずだし、
水中を自在に動く体は柔軟で、どんな体位でも平気なんだ」
「そんなことは知っているさ」
「早く射精(だ)しちまえよ、次が待っている」
言葉通り、男はルルカに無理な姿勢を取らせようとした。
石畳にうつ伏せに押し付け、四足獣のような姿勢でルルカに覆い被さる。
前後に激しく揺さぶられる男の腰が、ルルカの背中を弓なりに曲げ、
乳房を石畳に擦り付けた。
『やめて、やめて……』
ルルカは獺族の言葉で叫ぶ。それは、彼らの耳には入っても、意味は通じない。
チィチィという鳥の鳴き声のように聞こえているだろう。
かつて隆盛を極めた獺族は独自の言語を持ち、多くの種族が使う公用語を話さなかった。
そもそも、発声方法が違うのだ。
固有名詞でさえも、別の音に置き換えられるため、まったく通じない。
声帯の構造が独特な獺族に公用語の発声は困難で、
話すにはとてつもない訓練と努力を強いられるものだ。
シエドラの牝獺には、公用語を覚える機会そのものが与えられない。
言語に共通点が一切無いため、耳に入る言葉を覚えることも叶わない。
しかし、ルルカは特別だった。
小さい頃に、母獺から公用語を習ったのだ。
そのことが却ってルルカを苦しめた。
(いっそ他の牝獺たちと同じに、彼らの言葉が分からない方が良かったのに……)
「誰にも、決して公用語を話せることを知られてはいけない」
そう言った人物は、ルルカにとって心の支えになってはくれなかった。
誰もルルカに声をかけようとはしない。
金属環を鎖で繋がれ、どこにも行くことができないルルカの生活に会話というものは無く、
孤独感が彼女の心を蝕む。
自分がこの先どのように生き、そして死んでいくのか、全く知らされもせず、
孤独と不安に押し潰されそうになりながら、
それでもルルカはここ、シエドラでの生活を余儀なくされていた。
446:かわうそルルカ 4/4 ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:46:38.06 QMFRT2fX
自分の快楽のためなら、
この小さな牝獺の体がどう痛めつけられようと構わないと言わんばかりに、
ルルカの体をほとんど押し潰すようにしながら、男は射精した。
体の中でペニスがどくどくと脈打ち、度重なる凌辱で緩み、
風船のように造り替えられてしまったルルカの子袋を精液でいっぱいに満たした。
ペニスを抜かれたルルカの体はまた勢いよく持ち上げられ、振り回される。
精液を指で乱暴に掻き出され、恥部をさっと水で清められたかと思うと、
次の瞬間には別の男のペニスが体に突き立てられていた。
今度は仰向けの状態でルルカは犯された。
両手両足を石畳に大の字に開き、ルルカは屈辱に耐えた。
乳房を乱暴に掴まれ、ほとんど搾るようにこね回されながら、
それでもルルカは指一本動かさないよう務めた。
獺の身分では、相手の体を触ることは許されないのだ。
うっかり触れただけでこっぴどく殴られることも珍しくない。
次の男は体重を腕に乗せ、ルルカの乳房を執拗に揉んだ。
金属の環に押し付けられた乳房が形を歪められることが悲しかったが、
やめてもらうよう訴えることはできない。
体の奥を抉られ、ルルカはまた別の悲鳴を上げた。
五人の男はそれぞれ一回ずつルルカを犯し終え、周囲を見渡し、
他にこの牝獺の利用者が居ないことを確認すると、もう一巡、
ルルカの体を楽しむことに決めた。
いや、一巡と言わず他の利用者が現れない限り何度でも、だ。
普段ならルルカの前には交尾待ちの行列ができており、次々と相手が交代していく。
中にはおとなしいやり方の種族も居て、その分、楽になれるのだが、
今日は北方の行商とやらのせいで、この乱暴な五人の男たちに延々と輪姦されることになった。
頑丈なのが取り柄の獺族の体を持っているとはいえ、
この草食獣たちの乱暴なやり方はルルカを憔悴させる。
男たちは逆に調子付き、快楽をルルカの小さな体から汲み上げようと、
射精をしながらも激しく腰を振る。
痛みに痺れた胎奥を熱い液体と肉棒に掻き回され、ルルカは意識が遠くなる。
ここまで酷くされたのは初めてだった。
目を閉じると昔の記憶が甦ってきた─。
447: ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:50:42.81 QMFRT2fX
以上、初回は短めです。
クッキーがおかしいのか、名前欄が狂ってしまい、申し訳ない。
>>443が 1/4で、>>445が 3/4です。
次回、かわうそルルカの生活 第一話は、サブタイトル『獺槍』
追われる獺族たちが恐れる、冷酷な金属の槍─、ルルカに運命の日が訪れる。
みたいな感じでお送りします。お楽しみに。
448:名無しさん@ピンキー
12/01/21 23:46:31.91 3X1EfzJL
乙
449:名無しさん@ピンキー
12/01/22 03:51:58.71 m1ApjrVe
パンツ脱いだ
正座で待機する
450:名無しさん@ピンキー
12/01/27 22:28:37.56 zlQI974o
イスカンダルの奴を必死こいて探してるのですが
別の物に目覚めそうです
451: ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:49:48.59 uBam7Vd+
かわうそルルカの続きを投下します。
注意事項等は、>>442の通りです。
452:かわうそルルカ 1-1/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:51:09.88 uBam7Vd+
【1】 -獺槍-
ちいさなまあるい頭の子、だあれ?
それはかわうそです
おててにみずかきのある子は、だあれ?
それはかわうそです
乳離れをしたばかりの幼いルルカは、温かい、母の優しい胸に抱かれ、
子守唄を聞いた。
質素でごわごわした肌触りの獺族の衣装に触れては可哀想だと、
母獺は裸の上半身に布を巻き付け、ルルカを直接乳房に触れるように抱いていた。
揺りかごのようにルルカの体を揺らす動きは、短い後ろ足で急ぎ歩く母獺が、
精一杯、我が子に怖い思いをさせないようにする気遣いから生じるものだ。
ルルカの一番古い思い出は、獺族の引っ越しだ。
それは、逃避行だった。
幼いルルカは長い距離を自分の足で歩けず、母の胸に抱かれていた。
ルルカと両親以外に、子供の居ない四組の番いの獺が、
森の中を隠れるように何日も歩いた。
住んでいた「ラッドヤート」という地を離れ、引っ越す先もまた、
「ラッドヤート」なのだと、ルルカは聞かされた。
それは獺族の言葉で、「誰のものでもない土地」という意味だった。
獺族はそうして、平原に都市を構える多くの種族の目から隠れるように、
深い森の中を移り住みながら暮らしていた。
何故、というルルカの問いには、誰も答えてくれなかった。
もう気の遠くなるほど、ルルカの何代も、何十代も前から、
獺族はそうして追われているのだという。
新しい土地では、雨露を凌ぐよりも何よりも先に、井戸が掘られた。
獺族にとって、水は無くてはならないものなのだ。
広大な大陸の丘陵部に点在する森林は、地下水脈の上に成り立っており、
根気よく掘れば必ず水が出た。
固い繊維で編まれた衣服はすぐに乾くため、彼らは服の上からでも水を被った。
水浴用の小屋が作られると、交代でそれを利用した。
獺たちは、一日に数回、水浴びを行う習慣がある。
体を清めるのが目的ではなく、
かつては多くの時間を水に浸かって過ごしていた獺族にとって、
体調を整えるために必要なのである。
特に若い牝の獺は、体温が籠って熱が取れなくなることを避けなければならない、
と言われていた。
幼いルルカには、頭の上からすっぽりと被る釣鐘型の子供用の衣装が着せられた。
そのままの状態で、父獺はルルカに水浴びをさせるのだが、
ルルカはそのごわごわした着心地が気に入らず、よく脱ぎ捨てた。
『我々、獺族はこうしてひっそりと暮らしているが、それを惨めに思ってはいけない。
世界が水で溢れていた頃と変わらず、今も誇り高き一族なのだから。
身嗜みには気を遣うものだ。
……ほら、ルルカ、裸でいちゃいけないよ』
父獺はそう言って、ルルカにまた服を着せるのだ。
集落の者が着る衣服は、木片を叩いて取り出した繊維を編んで作ったものだ。
その素材は、大昔に獺族が使っていた特別な植物で作るものに比べると、
非常に質が悪いのだと父は弁解した。
453:かわうそルルカ 1-2/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:52:56.61 uBam7Vd+
獺族は代謝が激しいため、日常の時間のほとんどを食糧の採集に充てる。
集落での食事は、体を冷やす効果があるという味気のない植物と、
トカゲやカエル、昆虫などがほとんどで、
ルルカはそういった食べ物を美味しいと思ったことがなかった。
ときおり御馳走として捕えられる野鳥はまだましだったが、
それらは捕り過ぎれば、居なくなってしまう。
『ルルカにも魚を食べさせてやれたらな』
と、父はよく言った。
河川に棲むという、その生き物が、獺族の主食だったらしい。
『魚を捕りに行けば、我々の所在が知られてしまう……』
今の時代、魚の居るような大きな川の近くには必ず異種族の都市があった。
父も、一度しか食べたことがないのだ、とルルカに語った。
『ダムを作って人工の川を引けば、魚だって食べられるさ』
集落の男が冗談めかして言う。
『そんなことが出来れば、苦労は無い』
父獺は大きくため息をつくのだった。
『川って……? ダムって……、何?』
『川ってのは、そうだな、井戸から水を引いている水路があるだろう?
あれのずっとずっと大きな水の流れるところが自然にできたものだ。
ダムっていうのは、その水を堰き止めて流れる量を制御する……、
獺族にしか作れない石の建造物のことさ』
もっとも、その知識だけが獺族の中に細々と受け継がれているだけで、
実際にはもうこの世界の誰も作れないのだ、とルルカの質問に答えた男は言った。
獺族はかつて、世界中の水路を取り仕切っていた。
生活に必要な資源は思うままに手に入り、あらゆる種族を従え、支配した。
数百年前に壮大な規模の干ばつが起こり、大陸にあった地表の多くの水源が失われ、
中級以下の河川は全て消えた。残った川もほとんどが流量を失った。
以来、他種族に比べ体格と腕力の劣る獺族は、迫害を受けることになったという。
乾いた世界にわずかに残った森は、
追い詰められた獺族がひっそりと暮らすのに適していた。
ルルカが物心ついた頃、一族はまた引っ越しをした。
今度は自分の足で、ルルカは新しい土地へ移った。
ルルカの父は、森にある物から生活に必要なものを何でも造り出した。
集落で暮らす他の四つの家族は、それぞれ違う分野の知識と技術を持っていた。
水源を管理する者、住居を整備する者、衣服を作る者、食糧を集める者、
それら全てに精通しており、仲間を統括する役目を担っているのが、ルルカの父だった。
ルルカはそれを誇りに思った。
獺族は皆、なんらかの特技や知識を、親から受け継ぐことになっている。
とても父のようにはなれないと言うルルカに、母獺は、
自分の持つ知識─公用語を教え始めた。
「やっぱりだめ、うまくしゃべれれないよ……」
獺族の声は、他の種族にはキュキュッという甲高い響きにしか聞こえない。
彼らが話すのは、感情と意味を同時に音に載せる、美しい歌声のような言語だ。
公用語は単語それぞれにひとつの意味しかなく、
それを組み合わせて意思を表現することが、獺族にはとてつもなく困難に思えるのだ。
獺族のきれいな言葉があるのに、どうして二つの言葉を覚えなければならないの、
というルルカの問いに、母獺は、
『いつか役に立つことがあるかも知れないからよ』と、優しい声で答えた。
少しずつでもいいから覚えなさい、と母はルルカを促した。
『大事なのは……、獺語でもそうだけど、気持ちを表す言葉。
「ありがとう、うれしい、気持ちいい、好き、悲しい、苦しい、ごめんなさい」
そして、一番大切な感情を表す言葉は─』
『なに?』
『ほら、また獺の言葉になってる』
「……ごめん……なさい?」
454:かわうそルルカ 1-3/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:55:46.91 uBam7Vd+
母と同じくらいに公用語が話せるようになると、
それを使う異種族の者たちがどんな姿をしているのか、ルルカは知りたくなった。
そう告げると、父はこれまで見せたことのない厳しい表情を浮かべ、
『そうか、お前にも話しておかねばならないな』と言った。
父獺は、ルルカを住居の奥に作られた小部屋へ連れて行き、
引っ越しの際に運んできたままになっている荷物の中から、布に包まれた細長い物を取り出した。
『抵抗してはいけない。咎は受け入れなければならない。
それでも、絶望してはならない』
父は、呪文のようにそう言った。
『何があったのか、どうして他の種族が我々を見付け次第殺すのか、
もう誰もその理由を覚えちゃいない。咎とは何のことを指すのだろうな。
ただ、この言い伝えの言葉が示す通り、
我々は争いを好まない。誰も傷付けない道を選んだんだ。
しかし、彼らは決して我々を許そうとはしない─』
ルルカは背筋に冷たいものを感じ、身をぶるっと震わせた。
「殺す」という言葉の意味を、ルルカはもう、朧げながら理解していた。
食糧として鳥や昆虫を狩るのではなく、その行為が獺族へ向けられたとき、
それは、自分や自分に近しい者たちがこの世から消え去ることを意味していた。
布の包みの中から出てきたのは、
鈍く光る、先が針のように尖った、ルルカの尾の長さほどの金属の棒。
根本には折れた木製の軸が残っている。
『金属を見るのは初めてだろう。ここでは造れないからな』
『金属……?』
『これは、"獺槍"というものだ。
異種族との接触は何がなんでも避けなければならないが、
特に気をつけるのがこの槍を持った者たち─私たちを狩りに来た連中だ。
見かけたら、急いで戻り、皆に知らせなさい』
父は、狩人たちにどう対処すべきかをルルカが教わるにはまだ早いと言いつつも、
"獺槍"の恐ろしさだけはつぶさに語った。
それは単に獺を殺すだけの道具ではない。
直接的に攻撃に使われることも稀にしかない。
獺を苦しめるための道具なのだ。
まず獺は、生け捕りにされるのが普通だった。
そして、衣服を全て剥ぎ取られたうえで、獺槍の鋭い切っ先で腹を突かれるのだ。
突き通す場所は決まっていた。
腹の一か所に、臓器をなるべく傷付けずに済むポイントがある。
獺槍に貫かれた獺は、垂直に立てられた槍の上で数日間は生き長らえ、
短い手足では成すすべもなく晒し者にされるという。
その姿のまま、異種族の街に連行された獺は、
命が続く限り棒で突かれ、刃物で切り刻まれ、糞尿を撒き散らして悶え苦しむのだ。
どのような怨念が、異種族の者たちにこの残酷な武器を使わせるのか、計り知れない。
『獺族の生命力は強い。その分、長く苦しむことになる。
彼らは容赦などしない。獺の体のあらゆる部分を嬲りつくそうとする。
特に性器などの─』
言いかけて、父は言葉を切った。
生殖に関わる神聖な部分を弄ぶことは、
心を持つ者の尊厳を徹底的に貶めるにはもってこいの手段だ。
だが、まだ性について何も知らない、自分の体のこともよく分からない子供のルルカには、
これを話しても理解できないだろう、と父獺は考えた。
仮に理解できたとて、ルルカ自身、後に我が身で嫌というほど、
それを思い知らされることになろうとは、露ほどにも思わなかっただろう。
そのときのルルカはただ、その禍々しい凶器の不気味な形を目に焼き付けるばかりだった。
これまで幸せに暮らしてきたルルカは初めて、恐怖というものを知った。
『何故このようなものを大事に持っているかというと、
我々がともすればこれの恐ろしさを忘れ、
軽率な行動を取ってしまわないよう戒めるためだ』
そう言って父獺はまた荷物の奥へ、その獺槍をしまうのだった。
455:かわうそルルカ 1-4/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:57:29.35 uBam7Vd+
さらに何度か移住を繰り返すうち、ルルカは背丈だけは母と同じほどにまで成長した。
乳房が薄っすらと膨らみ始める年頃になり、母獺が新しい服を作ってルルカに与えた。
尾の部分に大きな穴が開き、膝から上、胴と胸、
そして肘のあたりと首元までをすっぽりと包む、
獺族の流線形の体のラインを隠さない、独特の衣装だ。
水に浸かればそのまま洗うこともできる衣服は、一度着てしまえば滅多に脱ぐことはない。
排泄ができるように、股間の部分は四角い布が臍のあたりからお尻に回され、
尻尾に紐で結ばれている。
子供用の服に比べて、体に密着するようなその衣装は、胸の部分だけがぶかぶかしていた。
『ごめんね。素材が少ないから、何度も作ってあげられないの。
その胸の部分がちょっと窮屈に感じられるようになったら、
あなたもオトナの獺の仲間入りよ』
『私も、お母さんみたいなおっぱいになるの?』
『そうよ』
母獺はルルカの手を取って、自分の大きな胸にそっと当てさせた。
ルルカは久し振りに感じるその乳房の温かさと柔らかさに、どきっとした。
何か神聖なものに触れているような気がした。
手のひらを通して、母が自分のそれを大切に思う気持ちが伝わってくる。
ルルカは自分の胸も同じようになると聞いて、嬉しくなった。
『女の子はここを大事にしなくちゃいけないのよ。
簡単に誰かに見せたりしてはいけないの。
本当に大事なひとにだけ、そっと見せたりするものよ』
ルルカはまだ、自分の集落に住む者たちしか獺族の仲間を知らなかったが、
移住を繰り返すうちに獺たちは、別の一団に出会うことがある。
若い獺の男女が出会えばお見合いをし、互いを気に入れば、
娘を持つ側の親は、相手の集団へ我が子を預けて去るのが習わしだ。
『いずれあなたにも、誰か好きなひとができる。
少しお洒落をしなくちゃね』
母と同じ衣服を着せられたルルカだが、向かい合ったその姿にはまだ違いがある。
母獺は衣服の上に、螺旋状に布を巻いているのだ。
獺族のオトナの女性は、"飾り布"という、薄くて軽い生地の布を纏う。
それは、質素な暮らしをする獺族の唯一のお洒落で、身嗜みである。
首元で括った布を、くるくると胸に巻き、乳房の膨らみを目立たないようにする。
それでも余るほどの長い布を、お腹を包むように巻き、最後に端を尾の根本に括り付けた。
飾り布は首と尾の結び目を解けば、すぐに脱げ落ちて、そのまま水に飛び込むことができる。
『昔は、これももっときれいな布で作られていたらしいけど……』
母獺はルルカのためにこしらえた新しい飾り布を、娘に巻いてやった。
そして、布で覆ったルルカのお腹を優しく撫でた。
『女の子は、ここも大事にしなくちゃいけないの』
『おっぱいだけじゃないの?』
『そこはね、子供を育てるところだからよ』
母が撫でたのは、ちょうどルルカの子宮があるあたりだ。
どうしてお腹で子供を育てられるのか、その頃のルルカには想像もつかなかったが、
自分も母の体から生まれてきたのだということは理解した。
命が親から子へ、そしてまたその子へと繋がっていく。
それは、とても素敵なことだと思った。
456:かわうそルルカ 1-5/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:58:57.23 uBam7Vd+
運命の日─、
ルルカは母に頼まれ、居住地から山を一つ越えたところへ、
キイチゴを摘みにやって来ていた。
集落を離れるときには飾り布は置いていく。
ルルカは短い足で細長い体を揺らし、灌木の間を駆ける。
急な斜面では、手をついて四つ足で走ったりもした。
ルルカはしっかりと両親の言いつけを守っていた。
見通しのいい場所を通るときは、草を編んだフードを被って身を隠した。
少し走っては立ち止まり、周囲の音に耳を澄ました。
山の中腹の少し開けたあたりでキイチゴを籠にいっぱい採ったルルカは、
帰ろうとして、ふと立ち止まる。
『水だ……』
獺の長いひげが、近くに水があることを教えていた。
足元に、ちょろちょろと流れる細い細い、天然の水路があった。
『これが……川なのかな。ちっちゃな川だね……』
ルルカはどうしてそんなところに水が流れているのか不思議になり、
その源を辿り始める。
しばらくもしないうちに、ルルカは泉を見付けた。
『井戸を掘らなくても、こんなふうに水があるんだ……?』
帰ったら、皆に教えてあげよう─。
ルルカは嬉しくなって、キイチゴの籠を放り出し、泉に飛び込んだ。
身長の倍ほどの深さがある天然の水瓶の中をくるくると泳いで満足したルルカは、
水から上がり、服を乾かそうと大きく体を伸ばしたところで、異変に気付いた。
いつの間にか、異種族の男たちに囲まれていたのだ。
角のある者、大きな鬣を持った者、尖った耳を持った者、
十数人の狩人たちがルルカを捕えようとしていた。
(獺狩りだ……。
私は、裸にされて、槍で突かれて死ぬんだ─)
逃げようとするルルカの首に投げ縄がかけられ、三方から引き絞られる。
ルルカは抵抗してはいけないという父の言葉を思い出し、その場に立ち尽くした。
「若いが、牝の獺のようだ」
「胸が小さくてよく分からないな」
彼らは、母が教えてくれた公用語を話していた。
恐怖がルルカを包む。
首を絞めつける縄でつま先立ちの姿勢を強要されたルルカの足はガクガクと震え、
長い槍のようなものを手にした男が目の前に立つのを見て、悲鳴をあげた。
『心配するな、これは獺槍じゃない。ただの棒っきれだ。
これでも獺を大人しくさせるには十分だろう。
お前が牝の獺なら、殺したりもしない』
暗褐色の毛皮を持つ、小さな丸い頭にずんぐりした体型の男の言葉に、ルルカは驚いた。
『私たちの言葉が……話せるの?』
『そうだ。俺たちクズリ族は、お前たちと祖先が近い。
だから、通訳のために話す訓練をしてるのさ』
『服を……脱がされるの?』
自分がどうやって殺されるのか知っている、というルルカの態度を見て、
クズリの男は苦笑を浮かべた。
『だから、これは獺槍じゃないって言ってるだろう。
まぁ、裸になりたいなら好きにすればいいさ』
ルルカは首を横に振る。
『そうだろうな。とはいえ、確かめさせてもらうぞ』
男は長い鉤状のツメで器用に紐を解くと、ルルカの股間を覆う布を捲り上げた。
457:かわうそルルカ 1-6/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 22:00:11.60 uBam7Vd+
若い牝獺の慎ましい女性器が丸見えになる。
ルルカはそこをおしっこをする場所だとしか思っていなかった。
それでも、大勢の前で普段は決して他人に見せることのない部分を晒され、
言いようのない恥ずかしさに身を焼かれるように感じた。
男は、身動きできないままのルルカの股間に手を当て、恥部に指を突き立てる。
『!!』
おしっこの出る穴に、男のツメがめり込んだのだと、ルルカは思った。
痛みと羞恥に包まれ、全身がかっとなる。
命の危険に曝されている恐怖も吹き飛ぶほどの恥ずかしさに、
『やめて!』とルルカは叫んだ。
両親にもらった大事な体が穢されていると思った。
そんなルルカを横目に、男は仲間たちに告げる。
「こいつは、牝だ」
続いて交わされる公用語の会話。
「子供だな。近くに親も居るだろう」
「何人か先に行って住処を探すんだ。気付かれたら逃げられるからな」
「牡はすぐに殺せ」
男たちの言葉に、ルルカはまた、震え上がる。
ルルカは、自分がそれらを理解できていることを知られてはいけないと思った。
通訳のクズリが居るのは、彼らが獺族とは言葉が通じないと信じているからだ。
クズリの男に促され、首に縄をかけられたまま獺たちの集落へ向かったルルカが見たものは、
誰も居なくなった空っぽの住居だった。
生活道具だけでなく、食べ物も、あの父が見せた獺槍を包んだ布も─全て、無かった。
『お前は囮にされたんだ。自分たちが逃げる時間を稼ぐためのな』
『そんなことは……』
あの優しい母が、父が、自分を捨てるわけがないと信じたかった。
『ここで暮らしていた形跡も残っちゃいない。
予め、準備していた証拠だろう』
ルルカはわっと泣き出した。
『近くに別の獺狩りが来ているらしい。
逃げた連中が生き残れるかは怪しいな。
奴らは牡だろうと牝だろうと容赦はないからな。
お前は運がいい。
獺族は見付け次第、殺すことが全種族間の合意となっている。
だが、俺たちの街、シエドラでは、
牝獺だけは生かしておくことになっているんだ』
ルルカは、彼らの街へ連れて行かれた。
森を出て砂漠化した大地を二、三日歩き、
僅かに緑のある平原に聳え立つ、石の壁に囲まれた都市へ着いた。
そこには、隠れ里の生活の中でルルカが見たことがないほどの「水」が溢れていた。
獺族から奪われて久しい、生活の基盤である、水─。
特に、広場の中央に高く飛沫を上げる噴水は、ルルカに強い印象を与えた。
ルルカは、獺の本能か、飛び込んで水を浴びたいという衝動に駆られる。
その噴水を、ただ眺め続けるだけの生活を送ることになろうとは、
そのときのルルカには想像もできなかった。
458:かわうそルルカ 1-7/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 22:02:26.64 uBam7Vd+
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涙で曇った目の視線の先に、大きな噴水がある。
ここに初めて連れてこられたあの日に見たものと同じ噴水─。
ルルカは夢から現実に引き戻されていた。
五人のアンテロープの男たちは、気絶したままのルルカを一回ずつ犯し、
やはり反応が無くては楽しくないと、一人が両腕を掴んで吊り上げ、
別の一人が乳房を平手で打ち始めた。
ルルカは目を覚まし、痺れるような痛みと、
きれいな形の乳房を打たれて歪ませられる悲しさに、弱々しく呻いた。
体をくねらせて避けようとすると、地面に触れている尻尾の先を踏みつけられ、
抗う術を奪われた。
小さな体の獺は、そんな万歳の恰好をさせられてしまえば、
女の子の大事なところを守ることもできないのだ。
三巡目の凌辱が始まる。
獺族の頑丈な体が状況に慣れてきており、ルルカの意識は次第にはっきりしてくる。
その分、体の奥底を抉られる鈍痛や、
惨めなマークを刻印された恥丘に打ち付けられる大きな睾丸の衝撃や、
生臭い草食獣の精液の臭いを嫌というほど感じさせられる。
先端まで太い草食獣のペニスは、
緩んだルルカの子宮の入り口を貫通することはない代わりに、
子宮全体を胃のあたりまで押し上げる。
ルルカは嘔吐しそうになるのを必死に耐えた。
胃の内容物を吐き出して、男たちの衣服にかかったりでもすれば、
さらに酷い目に遭わされるだろう─。
「ちょっと、いいか?」
聞き慣れた声が、ルルカを輪姦するアンテロープの男たちに投げ掛けられる。
助かった─、とルルカは思った。
こんな状況でなければ、その声の主をルルカはあまり歓迎しないのだが。
全身灰褐色の毛に包まれ、尖った耳と突き出た鼻先とルビーのように赤い、
鋭い眼光の目を持った男が、割って入ってきた。
「"おつとめ"をさせるんだ。こいつはしばらく店じまいだ」
アンテロープの男たちは口々に文句を言ったが、
現れた男の首から背中にかけての毛がざわっと逆立つのを見て、
慌てて逸物を腰布の中にしまい、逃げるように去って行く。
厚い胸と上半身を覆う豊かな灰色の毛並み。筋肉質の体に着けているのは、
緩く身に纏わり付くズボンのみで、体の後ろには特徴的な長く太いブラシのような尾が揺れる。
彼は、ウォレンという名の狼族の青年だった。
アンテロープと狼のやり取りを見ていた通行人は、ウォレンとルルカを遠巻きにして、
近付こうとはしない。
繋がれたルルカが見聞きした印象では、シエドラにおいて狼族は特権階級であり、
彼らの指示には誰も逆らえないようだった。
結果として一息つくことができたわけだが、ウォレンの登場はいつも、
ルルカに取って良いこととは思えないものだ。
ルルカは当然、彼に対しても牝獺の挨拶の姿勢を取らねばならない。
立ち上がって尻尾を持ち上げようとしたところ、
足腰が立たなくなっており、ルルカは前のめりに倒れそうになった。
ウォレンの大きな手が、ルルカの胸環を掴み、体を支えた。
彼が親切心からそうしているのではないことをルルカは知っている。
狼の鋭い眼光が、ルルカの裸身を刺した。特に、乳房と性器の上を視線が這い回る。
いつもそうだ。
彼は、しばらくそうしてルルカを立たせ、美しく、艶めかしく、
また、とても性的である裸の獺の体を眺めて楽しんでいるのだ。
今日のようにルルカが憔悴している場合は、体を支えてくれることもある。
その間に息を整えろ、と言いたいのだろう。
459:かわうそルルカ 1-8/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 22:03:54.13 uBam7Vd+
今日は何の用?と、ルルカは目で問いかける。
「行商にこの街の特徴的な制度について説明するんだ。
遠い土地で暮らしていて、本物の獺族を見たことがないって連中だ」
「あ、あの北の果てから……っていう?」
「人目のあるところで声を出すなと言ってあるだろう」
(だったら、話しかけてくれなければいいのに……)
ウォレンはこの街で、ルルカが公用語を話せることを知る唯一の人物だった。
「北の果てに住む、シカの一族だ。
北方の種族の性器はでかいぞ。お前にはつらいだろうな」
ルルカは悲しくなって俯く。たった一人の言葉が通じる相手なのに、
彼はいつもこんなふうに意地悪を言うのだ。
「そんな顔をするな。彼らの土地の話を聞き出してやる。
少しは気が紛れるだろう」
(でも、どうせその後、犯されるんでしょう?)
ウォレンはルルカの頭をぐしゃぐしゃと撫で、「行くぞ」と言った。
ウォレンがその行商に説明しようとしているのは、
ルルカたち牝獺の処遇についてに他ならない。
一年中発情して自由に性欲の捌け口に利用できる牝獣が居るのは、
世界中どこを探しても、ここシエドラ以外には無い。
ウォレンの言う"おつとめ"とは、新しい訪問者たちに対し、
牝獺に奉仕をさせて、シエドラの宣伝に役立てようというものだ。
ルルカは何人いるか分からない、
少なくとも一人や二人ではない行商の男たちに順に犯され、
終わった後、ウォレンにも犯されるのだ。
ウォレンは壁に繋がれたルルカの鎖を外して手に取った。
そのまま彼女を引いて行こうとするウォレンに、
ルルカは小声で「体を清めさせて」と訴えた。
「十秒だけ待ってやる」
ウォレンは鎖を放す。
どうせ周囲に荒野が広がるこの都市から逃げられはしないし、
ルルカも、獺の短い足で必死に逃げたところで、
すぐに捕まり罰を受けることはよく分かっている。
ルルカがいつも繋がれている位置から鎖の届く範囲に流れる水路の一部が、
そこだけ深く掘られており、1メートル四方ほどのプールになっている。
ルルカは急いでそこへ飛び込むと、水中で三度、宙返りをして水流を起こし、
体の汚れを洗い落とした。
ここへ浸かると、ルルカはあの運命の日、泉に飛び込んだことを思い出す。
獺の本当の生きる場所はここだ、水の中だ、と本能が告げている。
いつまでもそうして泳いでいたかったが、ウォレンが待っている。
いつもは長く水に浸かっていると、鎖を引き上げられ、殴られた。
今は鎖の端はどこにも結わえられていないが、ルルカは律儀に約束を守った。
(十秒……)
水底にとん、と片手を突いて水面へと向きを変え、
体を竜巻のように回転させる勢いで、石畳の上へ飛び出し、ぶるぶると体を振って水を払う。
「いつもながら、お見事」
ウォレンはまさに水を得た魚のような獺族の流れる動きに感嘆の声を漏らしたが、
抑揚の無い公用語で言われても、ルルカには彼の感情が汲み取れない。
肉食獣の鋭い眼光で射竦めるようにしながら褒められても、嬉しくなかった。
460:かわうそルルカ 1-9/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 22:05:42.22 uBam7Vd+
ルルカの体内には、まだ先ほど流し込まれた精液が溜まっている。
牝獺の排泄用に、石畳に浅い排水路が掘られていた。
ルルカはその上にしゃがみ込んで、水を掬って性器を洗う。
体の奥まで注ぎ込まれた男たちの精液をなんとか絞り出し、
さらに指の届くところまで清めようと思った瞬間、ウォレンが鎖を掴んで引いた。
「あ、待って……」
どんなに惨めな扱いを受けていても女の子の嗜みとして体を清潔にしておきたい、
と思うルルカの気持ちは、いつもこのようにして踏みにじられる。
「どうせすぐに汚れるんだ」
ウォレンに促され、ルルカは彼の指す方向へ歩き始めた。
乳房に圧し掛かる金属環を少し持ち上げながら、よたよたと短い足で進む。
噴水の横を過ぎ、広場から路地へ出る頃には、
ルルカの股間からジュクジュクと音を立てて愛液が溢れてきていた。
犯されている間はそんなに出ているとは思わないのに。
きっと自分の体は、凌辱に慣らされ過ぎているんだろう、とルルカは思う。
そこに何も挿れられてないと、体が浅ましく牡を求めてしまうのだ。
どうして、こんな体になってしまったんだろう─。
(ごめんね、お母さん……。
お母さんにもらった体を、私は大事にできなかった……)
牝獺の体を性の奴隷に変えてしまう儀式を、ルルカは思い出していた。
それはこの狼、ウォレンとの出会いの記憶でもあった。
461: ◆q6hKEmO86U
12/01/28 22:07:34.92 uBam7Vd+
以上です。
エピローグを除いて、今回が一番エロが薄い回になると思います。
次回、かわうそルルカの生活 第二話は、サブタイトル『毒針』
囚われたルルカの体は、惨めな性の玩具に造り替えられていく。
『お前たちの体はもうお前たちのものじゃない。
だから、体を隠すことも許されない』
みたいな感じでお送りします。お楽しみに。
462:名無しさん@ピンキー
12/01/29 15:16:20.42 BxF78aam
うひょー素敵です
463:名無しさん@ピンキー
12/02/01 22:50:34.74 YvMhNEZs
SUGEEEEEEEE!世界観とか凝ってるなあ!
つづきのエロも超期待してます。
なんとなく狼×兎の時間割を思い出したけど、同じ作者さん?違ったらごめんね
464:名無しさん@ピンキー
12/02/03 23:04:18.19 xHAW1T/K
>>463
匿名で書いてる作者さんの詮索はよろしくないよ
うさうさ懐かしいな。あの頃のスレは活気があった…気がする
465:名無しさん@ピンキー
12/02/11 18:58:19.66 c2O9zIXO
モフモフ
466:名無しさん@ピンキー
12/02/12 21:13:48.67 cn1ovXf+
【異形化】人外への変身スレ第五話【蟲化】
スレリンク(eroparo板)
↑で獣化ネタを扱う人も増えているし、
ただ、向こうは例の保管所に登録していないから、1000まで行ったら記録が引き出しにくくなるという危険性がある。
467: ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:23:05.83 AL+dZQeP
かわうそルルカの三回目、第二話を投下します。
注意事項等は、>>442の通り。
今回はちょっと過激な責めシーン有りです。
468:かわうそルルカ 2-1/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:24:20.20 AL+dZQeP
【2】 -毒針-
獺狩りの部隊は、食糧などを運ぶ大きな馬を数頭連れて来ていた。
首縄を馬に繋がれ、強制的に歩かされるルルカは、異種族の男たちより、
自分の十倍以上もある大きさの四つ足の動物に怯えた。
その動物は、背負った鞍以外は裸で、声も立てず、男たちの指示に従っていた。
『家畜を見るのは初めてなんだな』
クズリ族の男が、ルルカの後ろについていた。
『こいつらは、言葉を持たない遠いご先祖さまの生き残りさ。
大干ばつで野生の大型動物は姿を消した。
こうして捕えた獣を殖やし、調教し、役立てる。
人や荷物を運ばせたり、食用にしたり、とな』
『言葉を話さない者たちは、食べていい─っていう?』
『そうだ。
どの種族も親から似たようなことを聞かされるんだな』
『この……家畜?
……も、食べられるの?』
『使い物にならなくなれば、な』
『そう……』
短い足で必死に歩くルルカには、それ以上の言葉を続ける余裕は無かった。
シエドラに着いたルルカは、街に溢れる人の数に圧倒される。
そして、行き交う人々に混じる、馬や豚や牛などの家畜たち。
街には馬に似た顔の人間も居て、ルルカは不思議な感覚に包まれた。
クズリ族の男はいつの間にか姿を消していた。
ルルカは、耳に飛び込んでくる無数の公用語の会話に嫌でも耳を傾けることになる。
母から教わっていたといっても、本物の言葉は早口で、なかなか正確に聞き取れない。
誰もルルカを相手にしていなかった。
獺族に言葉が通じるとは思っていなかった。
ルルカは群衆の中に居て、孤独だった。
首縄を引かれるルルカは、街に居る縄や鎖で繋がれた家畜たちと自分の違いは、
服を着ていることだけのような気がした。
人垣の間を連行されたルルカは、広場の噴水の前で、
首縄を太い革製の首輪に付け替えられた。
首輪には長い鎖が付いており、それはさほど頑丈なものではなかったが、
ルルカに囚われの身であることを自覚させるに十分だった。
「で、空きが出たのはどこだっけ?」
「酒場と集会所の裏と─」
「広場の牝もそう長くはない」
「じゃあ、この牝獺はいずれ広場に繋ぐことになるな」
黒い布がルルカの顔に巻かれ、視界を奪われた。
「こうすれば獺は大人しくなるんだ」
目隠しをされたルルカは、何をされるのかと怯えた。
複数の男の手で、ルルカは服を脱がされた。
目隠しのおかげで、恥ずかしさよりも不安が勝り、ルルカは身を縮こまらせる。
男たちは、ルルカの足を軽く開かせ、「おしっこをするところ」を指で広げる。
(どうしてそんなところを調べるんだろう……)
水中での生活に適応した祖先の血を引く獺族の性器は目立たない。
特に、発情もしていない若い牝獺の場合、その部分は毛皮から顔を覗かせた、
小さな桃色の膨らみでしかない。
肉の膨らみに、縦に一筋の溝のような窪みがあり、それが陰裂を形作っている。
男の指が、陰裂を押し広げて粘膜を露出させていた。
ルルカは自分の性器の構造をよく知らない。じっくり見ようと思ったこともない。
何人もの男たちの好奇の視線がそこに注がれていることは、
目隠しをされたルルカには分からなかった。
469:かわうそルルカ 2-2/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:26:03.12 AL+dZQeP
こうして、新しい牝獺の健康状態を確認する傍ら、
いずれここが熟れた果実のような変わり果てた姿になり、
ペニスを誘い込むようになるさまを、男たちは想像する。
異種族の目にも、小さな体で美しい毛並のルルカは、可愛らしかった。
今は清楚で純真無垢なこの牝獺が、
やがて淫らな汁を垂れ流し、美しい声で喘ぐようになるのだ。
男たちは交代で、その薄桃色の未熟な果実を眺めるのだった。
(いつまで触られてるんだろう?)
このように指で広げられ、粘膜を空気に晒されることなど初めての経験だ。
股間の粘膜が冷たい空気に触れ、ルルカは尿意を感じた。
街に近付いたあたりから排泄をさせてもらっていない。
尿意はどんどん強くなり、ルルカは必死に我慢した。
胴と同じくらいの長さの特徴的な獺族の尾が持ち上げられる。
根本が太く、お尻との境い目が目立たない尾の付け根に覗く、獺の肛門は、
ビロードのような茶褐色の毛並がその部分だけ地肌に変わり、
水棲動物らしく慎ましい締まりを見せている。
尾を吊り上げられ、くつろげられた肛門の中央にも薄桃色の粘膜が顔を出した。
(お尻の穴を……見られてるの?)
いつもきれいにしているとはいえ、不浄な部分を見られたくはなかった。
ルルカを包む不安は、徐々に恥ずかしさに変化していく。
男たちの手はルルカの全身を這い回り、やがて未熟な乳房に触れたとき、
ルルカは『あっ』と声を上げ、身を捩った。
初めて見せる抵抗。
母から大事にしなさいと何度も言われていた乳房を、何者とも分からない連中に触られる─。
耐え難い悪寒が走った。
(やめて!)
ルルカが激しく暴れ出す前に、動きを察した男が、首輪を掴んで吊り上げる。
上手く顎に体重がかかったため、呼吸を妨げられることはなかったが、
ルルカは恐怖に包まれた。
自分の倍以上ある体格の異種族に体を振り回される恐ろしさ。
非力な獺たちにとっては、想像したこともない、暴力だ。
ルルカの父を思い出してみても、
まだ彼を見上げるくらいの背しかなかったルルカを抱き上げるのに苦労していた。
宙に浮かされただけですでに逆らう気力も失っているルルカの腕が、
大きな手で掴まれ、捩じ上げられる。
獺のオトナたちは皆優しかったし、幼いルルカに服を着せようとした父の腕の力も、
こんなに恐怖を感じるほどには強くなかった。
ルルカはこの一瞬で、獺族が彼らに力ではまったく敵わないことを知らされてしまった。
だらりと腕と足を垂らしてルルカは乳房を押し潰される痛みに耐えた。
可愛らしい桃色の乳首が赤く染まってくる。
「まだ、随分と固いな……」
「使えるようになるには、半年くらいかかるか」
検分は、ルルカが感じていたよりはずっと短い時間で終わった。
目隠しをされたまま、着ていた服が腕の中に返されると、
ルルカは乳房と股間を隠すように、それをギュッと抱き締め、ほっとする。
その母からもらった服は、ルルカにとって家族との最後の絆だった。
ルルカは目隠しを解かれぬまま、鎖を引かれて広場から離れた。
足の裏に、陽に照らされた石畳の熱を感じなくなったとか思うと、
石の階段を降りさせられていた。
地面の下へと潜っていくのが分かった。
470:かわうそルルカ 2-3/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:27:05.75 AL+dZQeP
ルルカが連れて行かれたのは、広場の脇にある建物の地下だった。
目隠しが外され、ルルカは地下牢の部屋の一つに押し込められた。
牢の格子戸に錠がかけられる。
長い鎖が格子戸に繋がれてはいるものの、ルルカはその部屋の中に限っては自由になった。
まだ裸のままだったルルカは慌てて服を着た。
ルルカは、男たちと入れ替わりに地下に降りてきた二つの影に気付き、
咎められるのではないかと思い、怯えた。
『服は着ていてもいいぞ。いや、ここではそうしていろ』
聞き覚えのある声。獺族の言葉。
檻の格子の向こうから、クズリの男が声を掛けてきた。
男の一人は、ルルカが捕えられたときに通訳をした、あのクズリ族だった。
『俺はジエルだ。こちらはジルフ。
これから、ここでお前たちの世話をする』
『あの、私は─』
『おっと、名前を言うんじゃない』
名乗ろうとするルルカを、ジエルが手を突き出して制止した。
『言うなよ。言ったら酷い目に遭わすからな。
いいか、俺たちを除いて、お前らは誰とも話ができないんだぞ。
いずれは俺たちも……』
『ここでは、お前はただの捕えられた一頭の牝獺なのだ。
世話をする者が情を移さないよう、こういう決まりになっておるのだよ』
ジエルの言葉を補ってルルカに語りかけるのは、ジルフと呼ばれた男だ。
ごろんとした逞しい体格のジエルに比べ、小柄で少し背の曲がった初老のクズリ族だった。
ジルフの顔は白髪でまだらになっており、細めた目が柔和な印象を与える。
ルルカは緊張が解け、途端に、先ほどからおしっこを我慢していたことを思い出した。
『あの……』
『なんだ?』
『……おしっこが……』
ジエルが、そうかと言って、部屋の端を指差す。
『床に溝がある。ちょろちょろと水が流れているだろう?
そこで排泄するんだ』
彼の言う通り、壁から少し離れたあたりを、手のひらほどの太さの水路が床を横切っていた。
ルルカはそれを跨いで股間を覆う布を捲ったところで躊躇する。
『あの……』
『どうした、早くしろ』
『音を聞かないで』
ジエルはルルカの願いを、くくっと笑い飛ばす。
『早くしろ。何なら、我慢の限界がくるまで、じっくり見ておいてやろうか?』
ここの生活に早く慣れておけ、とジエルは言った。
ルルカが音を立てないように少しずつおしっこを出し切って格子の前に戻ると、
クズリたちの姿は無かった。
冷たい鉄の格子は恐ろしげではあったが、獺族の集落では造れない金属も、
水と同様にここには溢れていることがルルカを驚かせた。
しばらくして、いい香りが漂ってくる。
『食事だ』
ジエルが大きな碗に湯気の立つ食べ物を入れて運んできた。
どろどろしたスープ状のそれは、何かを煮込んだものらしい。
ルルカは、すっかり自分のお腹が空いていることに気付いた。
見たことが無い食べ物ではあるが、香りに誘われ、碗に頭を突っ込む。
次の瞬間、びっくりして叫んでいた。
『……痛いっ!』
ジエルは、腹を抱えて笑った。
『痛い、じゃない。熱い、だろう?』
471:かわうそルルカ 2-4/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:28:10.67 AL+dZQeP
獺族は食べ物に火を通さない。煙を上げるわけにもいかず、また、
彼らの消化器官には不釣り合いなものまで食糧にしなくてはならない獺たちには、
食べ物を料理している余裕など無い。
放浪を続けるうちに、料理をするという文化が失われていた。
ルルカは生まれて初めて、舌に火傷をしたのだ。
『食事は、一日に五回与える。
だが、いつもこんな温かい食事を出すつもりはないからな』
ジエルは、これは獺専用の餌だと言った。
獺に必要な栄養だけを考えて余り物を混ぜて煮込んだだけのものらしいが、
それでも、これまで食べてきたものよりずっと美味しく、
獺族の食生活がいかに貧しいものだったかを、ルルカは思い知らされた。
人心地が付くと、ルルカは改めて自分が閉じ込められた場所を観察した。
壁と床を冷たい石で覆われた寂しい空間は、それでも、
家族三人で横になっていた窮屈な寝室の数倍の広さがあった。
上部が桶状になった小さな石の台から水が溢れ、先ほど使った排泄用の水路に流れている。
このひと部屋だけで水回りには困らないようにはされていたが、
飲み水や、濡らした布で体を拭くには充分にしても、水浴びをすることはできそうにない。
水路と反対側の部屋の壁に、木の板を鎖で吊ったベッドが用意されていた。
ベッドには寝藁が敷かれていた。これまで床に直接転がって寝ていたルルカは、
その寝藁の心地よさに驚く。
あんなに恐れていた獺狩りが想像していたものと違うことを不思議に思うルルカに、
老クズリのジルフは言った。
『お前は獺族の代表の一人として、いずれ罰を受けねばならん。
今はまだ体がオトナになっていないから、ここで成長を待っておるのだ』
ジルフは、ルルカを憐みの籠った目で見る。
『罰って……、どういうこと?
どうして、獺族は追われなければならないの?』
ルルカは小さい頃から誰も答えてくれなかった疑問をぶつけた。
獺を殺そうとする彼らなら、教えてくれるかもしれない。
『昔から続いていることだ。誰も疑問に思わず、それを繰り返している』
『じゃあ、理由は……』
『記録にも残っておらんし、本当のところは誰にも分からんかもしれんな』
それでは、獺のオトナたちから聞いた話と変わらない。
『何でもいいの。あなたが知っていることを……教えて!』
ジルフに食い下がるルルカを見かねてか、ジエルが口を挟む。
『つまりさあ、獺族ってのは他の種族にとっては深い恨みの対象なのさ。
冷酷で残忍な獺どもは、世界を引き裂き圧政を敷いていたんだ。
お前たちの罪はいつまでも消えない。長い時間をかけて裁かれるんだ』
『ジエル、そのくらいにしろ。
我々の仕事は獺が体を壊さないよう、管理するだけだ。
余計なことを話すのは禁じられているだろう』
『獺族の罪って、何なの?
世界を引き裂いたって……』
『そんなこと知るもんか。だから言ったろ、大昔の話さ。
誰も覚えちゃいないんだ』
立ち去ろうとする二人のクズリを呼び止めようと、ルルカは叫ぶ。
『そんなよく分からない理由で獺族は殺されてきたの!?』
やれやれ、といった風に、ジエルはルルカに向かって、こう返した。
『お前の両親は、お前を囮にして逃げたんだ。
あれが獺族の本性なのさ─』
472:かわうそルルカ 2-5/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:29:10.82 AL+dZQeP
クズリたちの姿が消えた後、ルルカはふらふらと部屋の隅に行き、
顔を伏せて泣いた。
ジエルの言った言葉─、信じたくはなかったが、
それが事実ではないと言い返す自信がルルカには無かった。
本当にルルカを囮にするために、母はキイチゴを摘みに行くよう仕向けたのか。
涙が次から次へと溢れてきた。
裏切られたかもしれないことが悲しいのではない。
ほんの数日前の出来事だというのに、キイチゴを採ってきて欲しいの、とルルカに言った、
あのときの母の表情が、どうしても思い出せなかったからだ。
数日もすれば、ルルカは地下牢での生活にも慣れた。
隠れるところもない広い部屋で排泄をする恥ずかしさは無くならないが、
いつも誰かが見ているというわけでもない。
天井近くに明かり取りの隙間が開いており、壁と床を冷たい石で覆われた寂しい空間に、
時間の流れを伝えてくれる。
明かり取りは、広場の石畳すれすれの位置にあるらしく、
街の喧噪が閉じ込められたルルカの耳にも届いた。
夜になれば、その細長い光の入口は閉じられ、代わりに蝋を使った燭台が灯される。
至れり尽くせりのその地下の空間は、意外なほどに快適だった。
いや、ルルカも初めのうちはそう思っていたが、
次第にそこが、獺族にとっては必ずしも良い環境とは言えないことに気付く。
床を流れるほんの少しの水では、水浴びができない─。
そのことがルルカを苦しめるようになる。
部屋は温度を逃がさない構造になっており、日中、差した陽の光がもたらす熱は、
朝までその場に籠っていた。
ルルカが閉じ込められているのは、"獺の窯牢"と呼ばれる獺専用の収監施設だった。
長い年月のうちに工夫されてきた、巧妙に牝獺の体を変化させていく仕組みがそこにはある。
文字通り、窯のように熱を溜め、獺の体を蒸し上げるのが目的なのだ。
若い牝獺は、体に熱が籠らないように水浴びをしなければならない。
ルルカも小さい頃から何度も言い聞かされてきた。
そうしなければ、体が疑似的に発情を起こしてしまう。
それはルルカのような、まだ完全に性成熟していない若い牝獺の体にも起こるのだ。
閉じ込められて十日もしないうちに、ルルカは息苦しさに包まれる。
体中が熱くなり、頭がぼうっとする。
水を何度口にしても、その熱は収まりそうになかった。
我慢しきれなくなって、肩で大きく息をする。
肺いっぱいに空気を取り込んでも、体はいっこうに冷えず、呼吸はどんどん激しくなる。
この先ずっと、そのはぁはぁという荒い呼吸と付き合って生きなければならないことを、
ルルカはまだ知らなかった。
『もう症状が表れたか。感度のいい娘だね』
気付けば、老クズリのジルフが、牢の中で激しく息をするルルカを見詰めていた。
『私はどうなるの?』
『心配することはない。シエドラで暮らすのに相応しい体になるだけだ。
苦しいかもしれないが、じきに慣れる。
前にも言ったが、暑くても服を脱ぐことは許さないよ。
それが決まりだ』
『何が起きてるの? 私の……。
熱が籠ってはいけないって言われてた。
これがそうなの?』
ジルフは相変わらずルルカの質問に答えようとはせず、
代わりに牢の中のルルカに何かを差し出した。
473:かわうそルルカ 2-6/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:30:14.84 AL+dZQeP
『これからは、これをいつも体の穴の中に入れておくのだよ』
『体の……?』
『お尻の方ではないぞ』
ジルフが手渡したものは、獺の小さな手のひらにかろうじて収まる大きさで、
卵を細く引き伸ばしたような形の、樹脂の塊だった。
ジルフは続けて、液体の入った小瓶をルルカに渡す。
『この果実から採った油を塗って使うのだ。
体に収めたら、まずは明日の朝までずっと入れておくのだよ』
『何のために……』
『お前の苦しみを減らすためだ』
ルルカは困惑した。
ベッドの上で、股間を隠す布をそっと捲り、自分のそこを確かめた。
(お尻の穴……じゃない……穴……)
他には、おしっこをする穴しか思い当たらない。
ルルカは、性器に指先を当てる。熱に冒されるようになってから、
そこも少し熱くなっていて、心なしか膨らんでいた。
そのことには、小便をするときに気付いていた。
『あっ……!?』
肉の突出した部分を開いて粘膜の中心をそっと触ってみると、
指が沈み込んでいく部分があった。
性についてそれまで何も教わったことのなかったルルカは、自分の体の、
おしっこの穴のすぐ下に、もっと大きな穴があることを初めて知った。
穴が体の奥まで続いていることもすぐに分かった。
(これは、もしかして?)
その穴の奥には、きっと母が教えてくれた「子供を育てるところ」が在る、
そうルルカは直感した。
そうか、とルルカは思った。
ずっと不思議だった、お腹で子供を育てるということがようやく理解できた。
この穴は、おそらく、子供が生まれてくるための穴なのだろう。
それにしては─、おしっこの穴に比べれば大きいとは言っても、
指先がかろうじて入るくらいの広がりしかない。
ルルカはジルフに渡された道具を見て、身を震わせた。
こんなものを入れたら、体が壊れてしまわないだろうか。
大事にしなさいと母に言われていた体の奥の部分が傷付くことをルルカは恐れたが、
優しそうな物腰のジルフの言葉に逆らう道理も持ち合わせていなかった。
ジルフに言われた通り、小瓶の油を表面に塗って、その樹脂でできた棒を、
ルルカは股間に押し当てる。
裂けるような痛みが走る。
痛みを我慢していると、それはじわじわと体の奥に飲み込まれていった。
(大丈夫……。入る……。入るよね……?)
ルルカは、時間をかけてその道具をなんとかお腹の中に収めた。
体の中が引き攣ったようになり、しばらく仰向けになって喘ぐ。
食事を運んできたジエルが声を掛けても、
ルルカはベッドの上から起き上がることもできなかった。
『なんだ、もうあれを始めたのか』
声には出さないが、ジエルがくっくっと可笑しそうにしている様子が伝わってくる。
ルルカは自分のしていることが恥ずかしいことだと気付いた。
『食べ物はここに置いておくぞ』
ジエルに言われて、ルルカはベッドから降りた。
二本足で立つと、お腹に収まった棒を中心に、ズキズキと痛みが起きた。
474:かわうそルルカ 2-7/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:31:24.17 AL+dZQeP
這うようにしながら、ようやく牢の格子戸まで辿り着いたルルカを、
ジエルはその場でずっと待っていたようだ。
そのニヤニヤした顔を見て、ルルカはまた羞恥心を掻き立てられる。
『その様子だと、自分の体に三つの穴があるのを知らなかったってクチだな』
『……』
『寝転がっててもダメだぞ。普通に歩けるようにならなきゃな』
『そんなの……無理だよ……』
その後も半日ほどは、お腹の中の違和感で歩くこともままならなかった。
しかし、水を飲んだり排泄したりしないわけにはいかない。
薄暗い照明が灯される頃には、のろのろとなら立って歩けるようになっていた。
『確認するぞ。お腹の中のものを出して見せろ』
翌朝、現れたのは、ジルフではなく、意地の悪いジエルだった。
目が覚めてすぐに、ルルカはその違和感に我慢できなくなって、
体に収めた樹脂の棒を取り出そうとしていたところだった。
朝まで、という約束は守られているはずだが、
まさかジエルが確かめに来るとは思っていなかった。
ジエルは格子戸に結わえられている、ルルカの首輪の鎖を引いた。
『えっ? 待って……』
引っ張られてベッドからどさりと落ちたルルカは、慌てて床にツメを立て、踏ん張る。
股間を丸出しにしていた。ジエルに見られたくない。
『嫌っ! 自分でするから、お願い……』
『それじゃあ、いつになるか分からないな。
なかなか出てこなくて不安になっていたんだろう?』
図星だった。
体に収まった棒は、指を挿し込んでみても、先端に触れてさらに押し込まれてしまうばかりで、
取り出すことが出来なかった。
それでも抵抗するルルカを、ジエルは恐ろしい力でずるずると引っ張った。
改めて、獺族の非力さを思い知らされる。
それだけでも恐ろしいのに、ルルカを引き寄せたジエルが、
格子戸を開け、牢の中へ入ってきたのだ。
ルルカは悲鳴を上げたが、体を押さえ付けられてしまった。
服に手をかけられて、ルルカはジエルの意図に気付き、恐る恐る聞いてみる。
『……裸を見たいの?』
ジエルは手を止め、いつもの笑いを顔に浮かべた。
『そりゃそうさ、男はみんな、女性の裸を見たいもんさ』
『どうして?』
『恥ずかしいんだろう?
どの種族だってそうさ、女は簡単に裸を見せるものじゃない。
だから、その隠されたところを拝めると思うと、男は欲情するのさ』
『欲情って?』
『いずれ分かる。嫌というほどな』
『……』
『仕方ない、今は、見ないようにしてやるよ』
ジエルは顔を突き合わせた体勢で、ルルカを四つん這いにさせると、
ルルカのお腹を手前から奥へ、ゆっくりとさすり始めた。
『ほら、タイミングを合わせて力を入れてみろ』
ジエルの協力で、昨日からルルカを苦しめていた道具が、
ようやく体から抜け落ちた。
『慣れないうちはたっぷり油を塗って使うんだ。
次からは一人でやれるな?』
樹脂の棒はきれいに拭かれ、またルルカに返される。
『今日はこれを十回、出し入れするんだ。
明日は二十回。毎日十ずつ回数を増やしていけ』
『そんな……』
『嫌なら、縛り付けて俺の手でやってやる。
恥ずかしいところもたっぷり見せてもらうからな』
475:かわうそルルカ 2-8/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:32:27.72 AL+dZQeP
憂鬱になりながらも、ルルカは言いつけを守った。
四~五日で、股間の痛みは無くなった。獺族の体は適応力も回復力も優れていた。
ジルフは繰り返し、牝獺のためにそれをさせているのだと言った。
『昔はよく、若い獺の娘が、儀式の際にショックで死んでしまうことがあった。
あれは憐れなものだ。
そうならないように、儂がこれを考えたのだ』
『儀式って?』
ルルカは新たな不安の種に怯えた。
ここへ来たときに、いずれ罰を受けると言われた、そのことなのだろう。
『おお、すまんな。怖がらせるつもりはなかったのだ。
この地下牢に居る間は、先のことは考えるな。
悪いようにはしない─』
温和なジルフと対照的に、ジエルはいつも乱暴な物言いをした。
『外では異種族のご機嫌を取り、ここへ来れば牝獺なんぞにまで気を遣う。
クズリ族も大変さ』
彼の生活は、獺の世話ばかりではない。
郊外にある水車を利用して水揚げした魚を市場で売るのが、もう一つの仕事だと言った。
『まったく、魚なんて誰もあまり食べやしないのに。
いつも売れ残りを捨ててばかりさ。
どうしてクズリ族はこんな仕事ばかり代々続けてるんだろうな』
『お魚が……あるの?』
ルルカは、父から聞かされていた獺族の主食だったという魚が、
ここシエドラでは食材として売られていることを知って驚いた。
『ああ、余っていると言っても、決してお前たちの口には入らないぞ。
獺に魚を食わせた者は罰せられる決まりだからな』
お前たちには専用のエサがお似合いなのさ、とジエルは言った。
『でもな、アレもなかなか美味いだろ?』
彼は、どうやら料理の腕に自信があるらしい。
ジエルが言うには、食事が冷めていて美味しくないときは、
間違いなくジルフが作っているということだ。
ルルカはシエドラへ来て初めて、くすくすと笑った。
クズリ族の喋る獺語は、音程の変化がなく感情が読み取り辛いものだが、
そのときルルカは初めて異種族と気持ちが通じ合ったと思った。
ジエルはときどき、ルルカに話し掛けるようになった。
そのほとんどは、独り言にも似た愚痴だったが、
ときおり漏らす言葉は、ルルカに期待と失望を与えてくれる。
『大昔の協定で、あらゆる種族が獺槍を持つようになった。
全ての獺は殺されるはずだったんだ。
だがシエドラの先人たちは牝の獺に利用価値を見付けたのさ』
『利用価値って?』
『それは、今は教えられないな─』
『そればっかり……』
『仕方がないだろう。お前を捕まえたのは、仲良くしようってわけじゃないからな』
道具を出し入れしなければならない回数は、
いつしか二百回を超えるようになっていた。
道具を体に収めたり出したりしていると、体が熱くなり、息も荒くなる。
ルルカは、自分が恐ろしく恥ずかしいことをしているのだと思った。
短い時間で一度に出し入れを行い、
残りの時間は入れっぱなしにするのが楽だった。
それがルルカにとって当たり前になってきたのを見計らってか、
ジルフが新しい樹脂の棒と交換すると言い出した。
それは、これまでのものより一回り以上大きく、表面に無数の突起が付いていた。
(こんなものを入れるの……?)
ルルカは異物を初めて体に入れたときの苦痛を再び味わった。
樹脂に付けられた凹凸は、お腹の中にざわざわした感覚を生み、
その夜、ルルカは眠ることができなかった。
476:かわうそルルカ 2-9/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:33:27.28 AL+dZQeP
朝になって、ルルカは桃色をしていた股間の肉が赤く腫れ上がっているのを見て驚いた。
そして、悪い予感はあったが、案の定、お腹に収めたものは、
力を込めてみても出てこなかった。
ルルカは仕方なく、ジエルに助けを求めた。
『さすがに今度は見ないようにはできないな』
ジエルはまた、牢の中まで入ってきて、ルルカを立たせると股間を晒すように強要した。
『体がおかしいの……。すごく腫れて……』
ルルカは恥ずかしさを我慢して、ジエルの大きな手が下腹部を撫で回すのに耐えた。
突起の付いた道具が股間から飛び出して床に転がるのと同時に、
液体がぽたぽたと音を立てて滴るのを感じて、ルルカはまた、驚いた。
『え……、何!?』
それは、明らかにおしっこではなかった。もう一つの大きな方の穴から漏れ出していた。
自分の体に何かが起きていることは確かだった。
『いよいよ恥ずかしい体になってきたな。
その汁はもう止まんないぜ?
服を汚すのが嫌なら、そこをいつも丸出しにしておくんだな』
そこが腫れているのも、もう一生治まらない、とジエルは言った。
"獺の窯牢"にひと月も囚われていては、獺族の体を冒した熱は一生取れなくなる。
ルルカはその熱により、疑似発情を起こしていた。
ルルカは、今までさせられていたのが、
牝獺の大事なところを穢す行為だったことをようやく知るのだった。
『騙したの?』
『お前たちが死なないように、
ってジルフが言ってるのは本当のことだぜ』
『でも……、酷い─』
『これが要るだろう? 服を洗うのに素っ裸になるのが嫌ならな』
ジエルはルルカに布を数枚、手渡した。
いつも体を拭いているものではなく、
股間の汁で服を汚さないようにするためのものだった。
その日からルルカは、クズリたちと言葉を交わさなくなった。
ジエルの言ったことは全部が本当というわけではなかった。
性器の腫れが引くことはなかったが、体の奥から滲み出てくる、
あのおかしな汁は、道具を体に入れさえしなければ出なかった。
しかしルルカは、否が応にも、この獺の窯牢の罠に囚われていく。
始めの頃のように、ルルカがそれを体に収めているかどうかを、ジルフたちは確認しなかったが、
ときおり、無言で手を差し出し、ルルカに道具の交換を促す。
ルルカがそれを使っているかどうか、もう彼らは確認する必要が無かった。
牝獺が、一度習慣になった行為を止められないと知っているからだ。
新しく渡されるものは、少しずつ大きさを増していった。
いずれ行われる儀式というものが股間の穴に関係していることは間違いない。
クズリたちを信じていいものかも分からず、不安を募らせたまま、
ルルカは股間に道具を出し入れする行為を続けていた。
我慢できないのだ。
母からもらった服のだぶついた胸の部分の奥で、果実が成熟するかのように、
ルルカの乳房は膨らんできていた。
服の上からゆっくりと乳房を撫でながら、股間の穴に挿し込んだ道具を動かすと、
頭がぼーっとするような感覚に包まれる。
まだ幼さを残した体が感じる、禁断の淡い快楽。
それを感じることは恥ずかしいことだとルルカは思った。
それでもルルカは、母にもらった体の神聖な部分を自らの手で穢す罪悪感に苛まれながら、
自慰行為を繰り返すようになっていた。
ベッドの上は牢の格子戸から丸見えになっている。
ジエルが時々にやにやしながら見ていることに気づき、
ルルカは格子戸の脇の壁の裏に隠れるようにしてその行為をするようになった。
(体が熱い……。気持ちいい……)
ルルカは、『ああっ、あああっ』と小さな喘ぎ声を上げていた。
477:かわうそルルカ 2-10/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:34:48.84 AL+dZQeP
─数か月が過ぎた。
地下牢の中で暮らしているうちに、ルルカの乳房は、
立ち上がれば胸に重さを感じるほどに大きく膨らんできていた。
体を拭くときに、誰も覗いていないことを確認して、ルルカは上半身裸になってみる。
成長した、お椀型のきれいに整った乳房がそこにある。
茶褐色の艶々した毛並の膨らみの頂点に、薄桃色の乳首がちょこんと飛び出していた。
ルルカは美しいオトナの牝獺になっていた。
服を着直すと、胸の部分が窮屈に感じられた。
母の言った通り、それはルルカがオトナになった証拠であり、そして同時に、
襲いくる災厄の前触れを知らせるものだ。
恐ろしい儀式の存在。かつて獺族が犯した罪をルルカは贖わねばならない。
とは言え、いったい何の罪を─?
儀式について、いくら頭を巡らせようと、どんなものか想像もしようが無かったが、
獺槍で突かれるに等しい行為がこの身に行われることには違いないだろう。
ルルカは恐ろしさを忘れようと、さらに自慰行為に没頭するようになった。
行為に対する羞恥心は以前より増していた。
それでも、手が止まらない。
快楽の強さも増していた。
ルルカの体は、知らず知らずのうちに、今度は本当の発情を迎えていたのだ。
もう獺の小さな手のひらには収まらなくなったサイズの道具を体に押し込み、
目を閉じて、乳房と同時に股間を刺激する。
いつも感じている快楽の先に、もっと強い感覚があることを、ルルカは予感した。
それを掴もうと必死になった。
『……んああぁっ!』
大きな喘ぎ声を上げた瞬間、ルルカは凍り付く。
格子戸が開いていた。
ジエルが、床に転がって喘ぐルルカを見下ろしていた。
『ずいぶん可愛い声で鳴くようになったじゃないか』
見られた─!?
『そうだよなあ、我慢できないよな。
恥ずかしい牝獺ちゃんには』
(言わないで……)
先ほどまで感じていた快感は、すっかり吹き飛んでいた。
恥ずかしさに身を縮こまらせるルルカを、ジエルは無理やり立たせた。
ジエルの後ろに数人、黄色い毛並に黒い斑模様や縞模様が刻まれた猫科の男たちの姿があった。
ジエルは恐怖に怯えるルルカに、檻から出るように告げる。
『ほら、お○○こからそれを抜いて、出て来い。
これから、断罪の儀式を始めるんだ』
(いよいよ、このときが来たんだ─)
突然のことに茫然とするルルカは、首輪の鎖を引かれ、実に半年ぶりに牢から外へ連れ出された。
途中で、他の牢から出された二頭の牝獺と一緒になる。
ルルカは初めて、自分と同じくらいの年頃の仲間に出会った。
(一緒に捕まっていたんだ……)
『おっと、互いに言葉を交わしちゃならねえぞ』
声を掛け合おうとした獺たちを、ジエルが制した。
他の二頭は、獺族の衣装の上に、ルルカが家に置いてきた飾り布を纏っていた。
その華やかな装飾を羨ましく思いながら視線を下に移すと、
股間を覆う布が、紐を解かれて下腹部から垂れたままになっている。
ルルカと同じように自慰に耽っていたところを連れ出されたのだろう。
478:かわうそルルカ 2-11/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:35:49.40 AL+dZQeP
階段を上ると、あの噴水のある広場に出た。
窯牢の暑さに慣れた体が、外の空気に触れ、ぶるっと震える。
もちろん、温度差のためだけではない。
抑えようのない不安が、三頭の牝獺を包んでいた。
陽が落ち、空に闇が押し寄せようとしていた。
街にはあちこちに篝火が点り、
特にシエドラの中心に位置する広場はその全体を見渡せるくらいに明るく照らされている。
広場の噴水の前に火やぐらが組まれ、炎が黒煙を噴き上げていた。
儀式が行われると聞きつけ、広場を埋め尽くすほどの人が集まっている。
焚き火の火の粉がかかりそうな位置に据えられた三本の柱の前に、
ルルカと、他に捕えられていた二頭の獺の娘が引き立てられてくると、歓声があがった。
ジエルは、三頭の牝獺の首輪を外した。
すかさず、後ろに控えていた豹頭の男たちが、槍を構え、ルルカたちに突き付ける。
三頭は震え上がった。
本物の獺槍だった。
『逃げ出そうとすれば、どうなるか分かるな?』
牝獺たちは、一箇所に体を寄せ合い、恐怖におののくのだった。
集まった大衆の前にゆっくりと歩み出てきたのは、老クズリのジルフだった。
「永きに渡り、世界民族を分断し苦しめ続けた獺族の代表とし、
この牝獺たちに重い罰を与える─」
ジルフが、大衆を前に、宣言を行う。
他の二人は言葉が分からず、きょとんとしていたが、
ルルカだけはその恐ろしい言葉の意味を噛み締めた。
『お前ら、ろくでなしの獺どもは、
悲惨な目に遭わなきゃならねえって言ってんだ』
クズリ族の二人が、この儀式の進行役を買っていた。
ジエルが獺たちにかける言葉を、ジルフが通訳し、集まった人々に伝える。
そしてジルフの宣言を、ジエルが憐れな牝獺に言い聞かせるのだ。
周囲を取り巻く猫科の男たちは、儀式の執行人といったところだろう。
『まず、服を脱ぐんだ』
いつもふざけた調子だったジエルの声が、重い命令の口調に変わっていた。
『お前たちは一生、裸で過ごすんだよ。
そして、街のどこかに繋がれて暮らす。
外の陽射しは獺族にとっては暑いからな、裸でちょうどいいだろう』
獺の娘たちは、状況を悟って悲鳴を上げる。
『ジエル、やめて……』
『言うことを聞かないなら、それでもいいさ』
懇願するルルカに向けて、ジエルがさっと手を振ると、
獺槍の切っ先がルルカの喉元に突き付けられる。
「段取りがあるんだ、さっさと済ませろ」
嫌がる獺の衣服を男たちが引き裂き、剥ぎ取る。
ルルカも同様に裸にされた。
衣服は焚き火に投げ込まれ、あっという間に灰になって消えた。
二頭の牝獺が纏っていた飾り布も、炎に焼かれて消え去った。
獺たちが身ぐるみ剥がされると、その惨めな姿を見ようというのか、
それまで遠巻きにしていた群衆が、ルルカたちを囲むように集まってくる。
三頭の牝獺は立ち上がったまま震えていた。
ただでさえ、人前で裸になることは恥ずかしいことだとずっと教えらえてきた牝獺たちだ。
物心ついてからは、親にもほとんど見せることのなかった裸身を、
大勢に見詰められるという恥辱は耐え難かった。
479:かわうそルルカ 2-12/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:36:48.74 AL+dZQeP
獺たちは、互いに身を寄せた。
乳房を押し付けるようにして抱き合う。
他の二頭は顔を伏せ、頼るようにルルカにしがみ付いていた。
ルルカが以前、クズリたちと対等に話していたのを聞いていたからだろうか。
ルルカだって、心細いことに変わりはない。
しかし─。
ルルカは、逆に二頭を頼りたい気持ちを必死で抑えながら、
小さな両手で彼女たちを抱き寄せ、皆の股間を隠すように尻尾で覆うと、
ジエルを睨みつけた。
それは、理由も分からぬ断罪を受ける理不尽に対する抵抗だった。
ジエルは、いつものニヤリとした笑いを浮かべた。
ルルカの態度は、ジエルには織り込み済みであったらしい。
小さな獺の、精一杯の小さな勇気は、簡単に掻き消されてしまう。
『どうやらまだ自分たちの立場が分かっていないようだから、
じっくりと教えてやる。
お前たちの体はもうお前たちのものじゃない。
だから─』
体を隠すな、とジエルは言った。
身を包むものもない心細い姿で、自分たちより数倍の体格の牡獣に強い口調で命令されると、
牝獺たちはいっそう身を縮こまらせてしまう。
ジエルは構わず、シエドラにおける"牝獺の心得"を説いた。
シエドラの牝獺は、常に乳房と性器と肛門を見られるようにしなければならない。
両手は体の側面より後ろへ、足は開き気味にして立ち、
人の姿が見えたら尾を高く掲げて恥ずかしい部分を全て晒さねばならない。
ジエルの講釈が終わると、三頭は獺槍で脅され、それぞれ別の柱の前に追い立てられた。
槍を突き付けられては、言われた通りの姿勢を取らざるを得ない。
腕を左右に開いて、形のいい乳房を前に突き出した。
足も開いて、少し上付きな牝獺の性器を露わにする。
発情して腫れあがった牝の性器が、下腹部から少し飛び出している。
尻尾を精一杯持ち上げ、体がVの字になるようにすると、
桃色の蕾のような肛門までが丸見えになった。
あまりの恥ずかしさにぽろぽろと涙がこぼれる。
観衆から喝采の声が上がる。
若い獺の娘には耐え難い屈辱だった。
『よくできたな、ご褒美だ』
ジエルが合図をすると、豹頭の男たちは、獺槍を地面に置き、
銀色に光る環のようなものを運んできた。
嫌がるルルカたちを押さえ、万歳をさせると、半円状になった環を、
体の前後から合わせるように嵌める。
がちぃん、と大きな鈍い音が響き渡ったかと思うと、
環は完結し、継ぎ目も見えなくなっていた。
それは首輪の代わりになる、牝の乳房を利用した拘束具。
脇の下から背中をぐるっと一周する金属環だ。
背中の部分にある小さな輪に、改めて鎖が固定される。
『この環はもう外せない。おっぱいを削ぎ落とせば別だが……』
三頭の牝獺は同時にわっと泣き始めた。
金属の環は、指が数本差し込める程度の隙間を残し、体に密着していた。
乳房に圧し掛かる重さに、牝獺たちは呻いた。
その重さは、ルルカたちに一生付きまとうことになるのだ。
可愛らしい二つの乳房は、金属環の重みに潰され、歪められ、
惨めな様相を呈していた。
480:かわうそルルカ 2-13/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:38:31.77 AL+dZQeP
項垂れる牝獺たちに、ジエルの言葉が追い打ちをかける。
『足元に溝があるだろう?
もうすっかり使い慣れたとは思うんだが……』
はっとして地面を見ると、柱の前を横切るように、
水がちょろちょろと流れる溝が掘られていた。
それは、ここ半年ほどの間、身近にあったものと同じものだ。
獺たちは、ジエルの意図を察して、悲鳴を上げた。
『恥ずかしい遊びに夢中で、すっかりするのを忘れていたんだろ?
今からそこで溜まっているものを全部出すんだ』
ジエルは三頭の牝獺に、この先ずっと、裸を見られるだけでなく、
排泄さえも人目をはばからずしなくてはならないことを悟らせようとしていた。
『ほら、お前からだ。小便をしてみせろ』
ジエルは、ルルカから離れた右端の牝獺に命令する。
牝獺は、いや、いや、と首を振った。
『当然、そうくるだろうな……』
ジエルの手が牝獺の腕にすっと伸びる、次の瞬間、牝獺は悲鳴をあげ、
片腕を押さえながら地面を転げ回った。
『何をしたの!?』
ルルカともう一頭の牝獺は同時に叫んだ。
『獺用の毒針だ』
ジエルは小さな筒のようなものを見せ、中から液体に浸された針を取り出した。
『こいつは、獺族の筋肉に痛みと麻痺を与える毒だ。
他の種族にはほとんど効果がない。獺専用の毒なんだ。
行商や旅人を除いて、街の男たちは皆、これを持っていることを覚えておけ。
言うことを聞かない獺には、これを使うことになる。
おっと、もう使っちまったか』
地面に伏せて苦痛に喘ぐ牝獺は、猫科の男たちに両脇を抱えられ、
無理やり溝を跨がされる。
ジエルが毒針の入った筒をちらつかせると、牝獺は怯えた表情で、小便を始めた。
ジエルは、ルルカの隣の獺に『さあ、次はお前だ』と言って、排泄を強要した。
その娘は、毒針の効果を目の当たりにしながら、
それでも首を振って拒絶した。
再び、ぎゃあっと叫び声が上がる。
ルルカの隣の娘も、毒針を右腕に打たれていた。
『何度も毒針を打たれると、そのうち組織が腐って腕がもげ落ちるからな』
(次は、私の番だ……)
ジエルがゆっくりと振り向くのを見て、ルルカは自ら溝を跨ごうとしたが、
ふと思い止まる。
二頭の牝獺が毒針を打たれたというのに、自分だけ苦痛から逃れようなんて─。
ルルカは震える腕をジエルの前に差し出していた。
『なんだ?』
ジエルは目を円くした。
残り一頭の牝獺も、当然嫌がって抵抗するだろうと思っていたのだ。
『ふざけるな。そんなの誰も望んじゃいない。
ここに集まっている連中は、憎き獺が醜態を晒す姿が見たいんだ』
ジエルは、いきなりルルカの乳房にクズリ族の大きな爪を突き立てる。
生まれて初めて乳房に加えられた痛みは、一瞬でルルカを絶望の淵に追いやった。
体を強張らせてみても、筋肉の無い乳房では痛みを堪えることも叶わない。
爪を食い込ませ、ジエルはルルカの体を吊り上げる。
『生意気な牝獺め、毒針はもっと痛いぞ。
お前はこの先ずっと、いつ打たれるか分からない毒針に怯えて過ごせ』
ルルカは改めて、思い知らされた。
自分の背丈の倍以上もある異種族の者たちは、毒針などに頼らずとも、
簡単に小さな獺を痛め付けることができるのだ。
481:かわうそルルカ 2-14/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:39:33.71 AL+dZQeP
ルルカは、乳房を放してと懇願した。
泣き叫び、赦しを乞うた。
この程度で音を上げてしまう自分が情けなかったが、
乳房に突き刺さった爪は、今にも皮膚を破き、血を絞り出さんとしていたのである。
地面に降ろされたルルカは、素直に溝を跨ぎ、
恥ずかしい音を立てながら小便をするしかなかった。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら立ち上がろうとする三頭の牝獺に、
ジエルは手で、待てと合図する。
『大きい方が残っているだろう?』
『ああ……』
牝獺たちに、逆らう気力は無かった。
観衆の笑い声が、ルルカたちの羞恥に拍車をかける。
言葉が通じなくとも、嘲笑の響きは種族に関わらず、同じだった。
『さて……』
排泄を終えて泣きじゃくる獺たちに、ジエルは言った。
『人前で排泄するなんて家畜と同じ。
これからそのように扱われてもいいって宣言したも同然だな』
『そんなことは……』
『どれだけ違うと言い張ろうと、いつも丸裸で言葉も通じない、
それが下等な動物である証明さ。
それに、お前たちはこれから、
シエドラに飼われる家畜であることの証を刻みつけられるんだ』
『証……!?』
裸にされ、銀色の拘束具を着けられ、さらに何をされるというのだろう。
三頭の獺は、柱の前に一人ずつ立たされた。
胸の金属環から伸びる鎖が短く詰められ、柱に牝獺の小さな体を固定する。
尾は鎖の余った部分で柱に縛り付けられる。
短い手に縄がかけられ、柱の頂点に引き上げられた。
柱の根本の石畳に楔が打ち込まれ、足首も縄で固定される。
すっかり怯えてしまった三頭は、されるがままだった。
ルルカたちは下腹部を前に突き出した姿勢で動けなくされてしまった。
「これより、牝獺たちに、隷属の証を刻む─」
広場に響く声で、そう宣言が行われた。
「幻の街、レドラの無念を忘れるな」
広場の空気が変わった。観衆は、口々にジルフの言葉を繰り返した。
(レドラの街って……?)
それは、獺族の犯した罪を知るキーワードなのだろう。
しかし、ルルカにそれを確かめることはできなかった。
482:かわうそルルカ 2-15/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:41:25.68 AL+dZQeP
『見ろ』
ジエルが、火やぐらを指差した。
この儀式の舞台で、火が焚かれている理由が分かった。
恐れおののくルルカたちの目に、
やぐらの炎の中から、先が真っ赤に焼けた三本の金属の棒が取り出されるのが映る。
焼き印のための焼き鏝だった。
『まずは、生意気なお前からだ。
精一杯、大きな声で泣き叫んでくれ』
ジエルがルルカへ向けて手を振ると、豹の頭を持った男が、焼き鏝を水平に構えた。
それは何の躊躇いもなく、柱を背に突き出されたルルカの下腹部、
ちょうど臍の下から性器の真上のあたりに押し付けられた。
熱いというより、肉を削ぎ取られるような痛みが体を突き抜けた。
先ほど排泄させられていなければ粗相をしてしまうところだった。
全身の感覚が麻痺してしまうほどの激痛だ。
ルルカの天を裂くような叫び声を聞いて、他の牝獺たちも、
その恐ろしい拷問器具が自分たちに押し当てられる様を想像し、泣き喚いた。
焼き鏝が離され、すぐに水がかけられて冷やされたが、
断続的に起こる引き攣るような痛みに、ルルカは首を振り回し、泣き叫ぶ。
やがて痛みが和らいでくると、ルルカは自分の下腹部に刻まれた印に目をやった。
明るい灰色の毛皮の表面に、赤く腫れた地肌が模様を描いている。
二重の丸に放射状の線が引かれたその図案は、牝の性器を表していた。
「おやおや、お○○こが二つになったぜ」
誰かの声に、周囲からどっと笑い声が起こった。
ルルカは、完全に家畜同様の扱いを受けている屈辱に顔を伏せ、身悶える。
息をするだけで、火傷の痕がズキズキと痛む。
(私は家畜なんだ……。家畜にされたんだ……。
一生裸で、どこかに繋がれて……。
そして、誰とも話せない。誰も言葉をかけようともしない。
恥ずかしい体を見られて生きるんだ─)
幼少の頃から聞かされてきた獺族の誇りは、粉々に砕かれ、もうどこにも無かった。
自分のすぐ右隣で起こる絶叫に、ルルカは耳を塞ぎたくなった。
腕を吊られたままのルルカの耳に、それは嫌でも突き刺さってくる。
残り二頭の牝獺の下腹部にも、順に焼き印が押されていった。
483: ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:45:40.84 AL+dZQeP
以上です。
次回、かわうそルルカの生活 第三話は、サブタイトル『堕ちる獺』
「私は、ルルカっていうの─」
その狼との出会いは、
ルルカに二度と解かれることのない性の呪縛をもたらすものだった。
儀式の終わりは、新たな苦難の始まり─
みたいな感じでお送りします。お楽しみに。
#なんだか書くのが辛い雰囲気です。盛り上がってる方が嬉しいので、
#雑談、時節ネタ、割り込み、どんどんお願いします。
484:名無しさん@ピンキー
12/02/20 18:20:36.43 TfeyHEX/
GJ!続き期待してます!
485:名無しさん@ピンキー
12/02/20 21:02:58.30 sae+3gTW
これがケモノなのか
486:名無しさん@ピンキー
12/02/24 11:47:56.05 ADPWx2Fj
うーん素敵
こういう瑞々しいの久しぶり
487:名無しさん@ピンキー
12/02/28 16:15:30.12 q6w+YzpE
そろそろ、おんなのこのせっく、だな
488:名無しさん@ピンキー
12/03/07 10:31:07.95 X/RgS2D/
長靴を履いた猫が気になる
489:名無しさん@ピンキー
12/03/08 01:54:29.57 BZWZ1ih6
>>488
向こうでみたけどダンスバトルは前半の山場でなかなかよかったよ。
490:名無しさん@ピンキー
12/03/08 08:41:20.59 WNAROvM/
>>489
まじか時間があったら観たい
491:名無しさん@ピンキー
12/03/08 18:05:05.79 qUmL1W9N
予告の長靴だけ履いた全裸モードになるシーンで欧米人の変態性が良くわかった。
492:名無しさん@ピンキー
12/03/08 21:24:31.38 WNAROvM/
かわいいな
493:名無しさん@ピンキー
12/03/09 21:26:32.33 fE7QEIr6
水族館でカワウソ見てきた
ルルカたんを思い出してハァハァしたよ
494:名無しさん@ピンキー
12/03/09 22:04:20.48 M5ydMFdY
リアルカワウソに手を出すと指の骨くらい噛み砕かれるよ
495:名無しさん@ピンキー
12/03/17 17:04:13.79 40MV2Toh
獣人の全裸モードは合法か?
496:名無しさん@ピンキー
12/03/17 18:01:05.99 u0xhjTVq
>>495
見えなければ合法
しかし最近散歩してる小型犬の着衣率たけーわ
アレはアレで可愛いから許せるけど
497:名無しさん@ピンキー
12/03/17 18:15:54.90 B5R4ZvOi
マ○コ丸見えでも平気だけど、お尻の穴がちらっとでも見えてしまうと
恥ずかしくてうずくまってしまうケモっ娘
498:名無しさん@ピンキー
12/03/18 10:05:05.34 Z9pCpDov
大事なところは隠さずに防具を着ている冒険獣人に萌えるな
胸とか腰回りは露出してるのに肩当てとかベルトは装着してるやつとか
499:名無しさん@ピンキー
12/03/20 20:09:14.15 PZONtcAG
長靴を見たが意外と面白かったな
息抜きにはよかった
猫もかわいかった
500:名無しさん@ピンキー
12/03/21 21:18:03.58 rOLvex6Q
ブラックジャックの人間鳥萌えた
501:名無しさん@ピンキー
12/03/23 18:35:20.15 iL3Jd26M
>>500
あれは当時はエロい意味でビビったな
502:名無しさん@ピンキー
12/03/24 03:25:16.75 H8QjZ/TN
手塚治虫の獣人萌えは格が違う
503:名無しさん@ピンキー
12/03/24 05:16:38.06 W4mazXUY
大抵の二次元における変態性癖は漫画の神が通過した後だからな
504:名無しさん@ピンキー
12/03/25 18:44:47.55 DjED9RSp
太陽の下に新しきことなしとは古人の道破した言葉である。
505:名無しさん@ピンキー
12/03/29 02:14:29.32 rIccP5Dk
バギのリメイクアニメ化を心待ちにしている者が通りますよ
506:名無しさん@ピンキー
12/03/31 12:40:38.35 Nk+lhRvH
アニメといえば新しくしろくまカフェというのが放送するな
後あらしのよるの新しいのとか
おおかみがすげぇ違和感
507:名無しさん@ピンキー
12/04/01 00:50:08.89 teL8MGnT
新あらよるはガブもそうだがメイのコレジャナイ臭が……あれミイだろ……
声もくぎゅって無駄に豪華だけどそれもなんか違うような
ケモショタあんまり好きじゃないけど、ことメイに限っては
成宮のハスキーボイスがよくはまってたと思うんだよね個人的に
まあ実際見るまではわからんけどもな
映画とは別方向の良作に化けてる可能性も十分にある
508:名無しさん@ピンキー
12/04/01 01:17:04.53 tss63I8r
今度のTV版は絵本の絵とビジュアルが違いすぎてなぁ…
いかにも中韓制作って感じのあの絵のテイストは好きになれそうもない
509:名無しさん@ピンキー
12/04/01 22:35:22.38 UC+7ZtP+
元はそれほどボリュームの無い話だけど、どれだけエピソードを水増しするのだろう
510:名無しさん@ピンキー
12/04/02 10:31:53.02 TjQG5S4S
オリキャラ登場とか
511:名無しさん@ピンキー
12/04/05 13:13:29.46 NsMBPmgy
あらしのよるの新しいのなんかアレだったな
つーかEDにガックリ
512:名無しさん@ピンキー
12/04/06 09:38:40.23 KnjH6RUi
『グスコーブドリの伝記』予告編見てきた!
これは期待を遥かに超える映像美だ……
『おおかみこども』ともども、今年の夏はケモノ日和だなぁ///
513:名無しさん@ピンキー
12/04/06 16:28:05.88 ZXtmaNqY
アタゴオルや宮沢賢治作品の漫画化とかで有名なますむらひろしの作品は内容や雰囲気が
独特で猫のキャラクターなどで結構はまったな
514:名無しさん@ピンキー
12/04/06 19:10:23.56 KnjH6RUi
ニュースで一瞬流れたブドリの妹の可愛さと言ったら……!
感動のあまり、涙出てくるかと思った。
何年前だったか、ますむらひろし作品にハマった頃は、
まさか『グスコーブドリの伝記』までアニメ化なんて到底予想していなかった。こんな嬉しいことはない!
515:名無しさん@ピンキー
12/04/07 21:13:32.93 gOJsEFrc
獣人と、人間を擬獣化して描画するのはなんか違う気がする。
前者は、獣人の身体的特徴を行動に反映する場合が多いけど
後者の場合、人間的行動以外の事は絶対しないからな。ケモ耳娘と一緒だよ。
516:名無しさん@ピンキー
12/04/08 02:20:50.13 kb9TMdif
>>515
絶対しないということはないと思うが……。
逆にケモ耳娘でも獣ぽい行動する場合あると思うし
(それじゃ萌えない人もいるかもしれんが)
517:名無しさん@ピンキー
12/04/08 10:01:08.42 NqZO3ak4
ケモノの擬人化でケモノ特有の仕草をしなかったり、見た目がケモノの特徴を抑えてなかったりすると正直がっかりする
それってただケモ耳つけてるだけとか見た目がケモノなだけ
まあ後者は内容にもよるけど
518:名無しさん@ピンキー
12/04/08 10:16:47.48 NqZO3ak4
今更カンフーパンダを視聴してケモノの擬人化の一例だけど言葉をしゃべる以外に
実際の動物の鳴き声とか入れてよりモチーフの存在感が表のに出ていたな
何というかキャラクターデザインの空気化を避けてる感じがした
519: ◆q6hKEmO86U
12/04/12 06:34:17.23 vEiLWUY+
すみません、かなり間が開いてしまいました。
構成見直してほとんど書き直ししてます。
ペースゆっくりですがお付き合いください。
では、かわうそルルカ四回目、第三話を投下します。
注意事項等は、>>442の通り。
文章の整形方法を変えてます。読み難かったらごめんなさい
520:かわうそルルカ 3-1/10 ◆q6hKEmO86U
12/04/12 06:35:30.08 vEiLWUY+
【3】 -堕ちる獺-
体を柱に固定していた鎖が解かれると、恐怖と苦痛で全身の力が抜けた牝獺たちは、その場にくず
おれた。焼き印の痕が引き攣れるように痛んだが、互いを庇おうと、三頭の獺は這うようにして身を
寄せ合った。
クズリ族のジエルの巨体が近付くのを見て、彼女たちは先ほど身に染みて教え込まれた"牝獺の心得
"を思い出し、のろのろと体を起こそうとする。
ジエルが、それを制した。
『しばらくそのままでいい。痛みが治まるまではな』
ジエルは近くの男たちに公用語で「しばらく時間をくれ」と伝えた。このひとときの休息は儀式の
決まった段取りの一つらしかった。獺族に深い恨みを持つシエドラの異種族たちにも、慈悲はあるよ
うだ。痛みを堪えてうずくまって震える牝獺たちを前に、さて、とジエルは言った。
『これで、お前たちと言葉を交わすのも最後になる。
いくつか質問に答えてやろう』
ルルカたちは顔を見合わせる。これまでは何も教えてもらえなかったに等しい。聞きたいことはい
くらでもあった。でも、いざこうして質問を求められると、まずは何から聞けばいいのか─。
ルルカの頭の中にも、いくつも言葉が浮かび上がってくる。この儀式の意味は何なのか。獺族の犯
した罪は、これだけの仕打ちを受けなければならないほどのものなのか。ジルフの宣告の中にあった
レドラの街とは何なのか。そして、これから自分たちはどうなるのか─。
『これは、どういう意味なの……?』
獺の娘のうち一頭が、二重の円と放射状の線が組み合わされた図案の焼き印が押された下腹部の、
少し上あたりに手を当てて聞いた。彼女にとって、今、身を襲っている痛みから意識を逸らすことが
できないのだろう。それが最初に口を突いて出た疑問だった。
『それは、牝の性器を表しているんだ』
『性器……?』
『そのマークのすぐ下に、同じものが付いているだろう?』
『あ……』
以前はおしっこをするだけの場所だと思っていた、その桃色の柔らかい露出した肉の狭間に穴が─、
今では指の数本くらいは挿し込めるほどになってしまった穴が開いていることがずっと不思議だった。
これを、性器っていうんだ─?
ルルカたちは股間を覗き込んで、改めて自分の体に付いているものを確かめた。獺狩りで捕えられ
る前はほとんど目立たなかったその部分は、赤く腫れ上がり、ぬるぬるした液体を滲ませている。
『何で体に穴が開いてるの?』
『それは、本来、子供が生まれてくるところなんだ』
(やっぱり、そうなんだ)
ルルカは、そして、同じように無垢のまま育った牝獺たちは、自分の体についてようやく理解し始
めた。これは女性の体に必ず在るもので、自分の母親にも在るその場所から自分が生まれてきたのだ
と知った。
しかし、牢獄の生活を続けるうちに、どうしてそこからとろっとした液体が滲みだしてくるように
なったのか。自分の体はどうして今、恥ずかしいくらいにその液体を溢れさせてしまっているのか。
この液体はいったい、何なのか。どうして、そこを異物で擦り上げる行為に、快感が伴うのか。まだ
分からないことばかりだった。
『やれやれ、何で俺がお前たちの性教育をしなけりゃならないんだ』
ため息をつくジエルも、貞操観念の強い獺族が性について知るのはずっと成長してからのことだと
分かっている。これは過去に何度も繰り返してきた問答だ。
『どうやってこの穴から子供が生まれるの?』
自分たちの状況も忘れて、三頭の牝獺は好奇心を小さな円い瞳の奥に覗かせる。
ジエルは答えるのに少し躊躇うような素振りを見せた。後から思えば、それを知ることでルルカた
ちの苦しみが大きくなる、と彼は考えていたのだろう。
『お前たちがいつも道具を出し入れしていたところ、あれを膣って言うんだ』
『膣?』
『子供が生まれるときの通り道さ。その更に奥にあるのが子宮、
子供が外の世界で生きられるほど大きくなるまで、母親が自分の体の中で育てる場所だ。
そうだな、ちょうどその焼き印のあたりから上に向かって縦長の肉の袋があるのさ』
『女の子の大事なところ……』
『そうか……。そんな風に教わっているのか』
異口同音に呟いた牝獺たちを、ジエルは憐れみを込めた目で見た。
521:かわうそルルカ 3-2/10 ◆q6hKEmO86U
12/04/12 06:36:37.36 vEiLWUY+
『私たちの体……どうなってるの?』
一頭の牝獺が、呟くように聞いた。
『発情してんだよ、お前たちは』
ジエルはやり切れない様子で、いつもの乱暴な口調に戻って答える。
『発情……?』
『そんな風に一年中、汁を垂れ流す牝は、お前たち獺族だけだ。
それはいつでも使えますよと言ってるようなものだ』
『使う?』
『そう、そこを使ってお前たちは街の男に奉仕するんだ』
『どんな風に……』
奉仕、というジエルの言葉に一気に不安の気持ちが膨らむ。
これまで何を聞いてもまともに答えてくれなかったジエルが、どうして今になって色々教えてくれ
るのか。それは、ルルカたちにこれからの運命を悟らせるためなのだろう。そう分かっていても、
ルルカたちは聞くのを止められなかった。
『もういいだろう?
この後、すぐ分かることなんだ』
ジエルは、ルルカたちの問いを遮った。
『祖先が近いからと言っても、
獺の言葉を使うのはすごく疲れるんだ』
そう言って、喉を押さえる。
知らなかった。
ジエルの言うことが本当なら、彼はルルカたちの前で悪態をついたり、愚痴を吐いたりするときに
も無理をして獺語を使っていたことになる。どうして、わざわざ─。
(それは私たちが、寂しくないように……?)
その想像が当たっているのか、ルルカには全く確証が持てない。これまでの彼の態度とあまりにも
格差があったからだ。しかし、今、彼が牝獺たちに向けているのは、肉親や仲間たち以外の者から初
めて受けた優しさである、とも思えるのだ。
ルルカははっとしてジエルの顔を見上げた。お礼を言わなくては、と思った。
しかし、言葉に出そうとしても、口がパクパクと動くだけで声にならない。彼の温情に応えようと
する気持ちより、自分に待ち受けているこれからの生活に対する不安の方が勝っていたのか、それと
も疑いを打ち消せなかったのか。
ジエルはルルカの頭にそっと手を置いて、優しく撫でるような仕草をした。
『儀式が始まれば、もうお前たちとは会話ができなくなる。
これが最後の言葉だ』
『え? 今、何て……?』
『儀式は、これからだ─と言ったんだ』
『!?』
『死ぬんじゃないぞ』
ジエルはそう言い残して、ルルカの前から離れた。
ルルカは殴られたようなショックを受ける。ジエルが言っていたように、この後すぐ、ルルカたち
はそれぞれ別の場所、街のどこかへ連れて行かれ、鎖で繋がれるのだと思っていた。恥ずかしい烙印
を押された丸裸の体、その浅ましい姿を街灯の明かりの下に晒されるのが、儀式の締めくくりだと思っ
ていた。
ルルカたちには、さらなる恥辱と、本当の地獄が待っているのだ。拘束用の金属環、毒針、衆目監
視の中での排泄、焼き印─、それらはこれから行われることの準備でしかなかった。
522:かわうそルルカ 3-3/10 ◆q6hKEmO86U
12/04/12 06:37:44.69 vEiLWUY+
『ジエルは何て言ってたの?』
『まだ……、儀式はこれから……だって』
ルルカの言葉を聞いて、他の二頭の牝獺も絶句する。
三頭はいきなり頬を強く叩かれ、悲鳴を上げる。ジエルと入れ替わりに、豹頭の男たちが立ちはだ
かっており、牝獺たちが会話をしたことを咎めたのだ。
ルルカが彼女たちと言葉を交わしたのは、これが最初で最後になった。牝獺たちは引き離され、鎖
を引かれてそれぞれ三本の柱の前に引き立てられた。
「仕上がりを確認してくれ」
三人の男たちが、それぞれ牝獺の体の検分を始める。大きな鋭い爪の生えた手が、ルルカの乳房を
撫でた。男の手は充分に膨らんだ牝獺の乳房の重量感を楽しむように、持ち上げたり、軽く握り潰し
たりを繰り返す。ルルカの呼吸は次第に荒くなってくる。オトナになって膨らんだ乳房を初めて他人
に触られる感触に怯えるルルカの乳首は、ガチガチに硬くなっていた。
指先が乳首に触れる。敏感になった部分を触られ、ルルカは自分のそこの様子がいつもと違うこと
に驚く。痛みとも快感ともつかない刺激が体を走り、身をビクッとさせた。男の手が刻まれたばかり
の下腹部の傷跡に触れる。チリチリとする痛みに、ルルカは歯を食いしばって耐えた。
そして、無慈悲な指先が、ルルカの股間の柔らかい部分を捉える。触られたことで改めてそこが信
じられない状態になっていることを気付かされる。体の奥から溢れてくるあの液体が、これまで経験
したことがないほど大量に滲み出していた。
しかもそれは、牡獣の指先で、糸を引くほどのねばねばした状態に変質していた。
「─充分な仕上がりだ」
体に熱の溜まった牝獺の体は、ただでさえ興奮し易い状態になっている。そこへ、身も凍るような
残酷な仕打ちを受け、生命の危機に曝された。ルルカたちの身に起こったのは、極限状態に置かれ、
せめて子孫を残そうと生殖機能が活性化するという、牝獣の体の自然な反応だった。ただ、そんな理
屈を彼女たちが知るはずもない。
(これが発情……しているってことなの?)
ルルカたちを取り巻く群衆にとっても、獺たちの身に起きていることを理解する必要はなかった。
憎しみの対象である牝獺たちが浅ましく牡を求めて淫液を滴らせている姿が愉快で仕方がない。誰も
が獺族が貞操観念の強い種族であることを知っているだけに、その侮蔑は倍増する。
淫らな牝獣に対し、口々に嘲笑の声が浴びせられる。
彼らの言葉が分かるルルカばかりでなく、残る二頭の牝獺も、その声の調子から自分たちが蔑まれ
ていることを悟って、惨めさに啜り泣いた。
「あれ、濡れてるんじゃない?」
「うそ、信じられない……」
ルルカの耳に、そんな、同性と思われる声も飛び込んでくる。教わったばかりの「発情」という言
葉の意味はまだ理解できていないが、自分たちの今の状態が恥ずかしいものであることは痛いほど分
かった。
(恥ずかしい……。でも、何で恥ずかしいんだろう……)
裸を見られていること自体が、恥ずかしいと思う。さらに見られることで体が勝手に興奮して息を
荒げてしまっていること。見られれば見られるほど体が疼いて、股間から溢れ出す粘液の量が増す。
そんな自分が恥ずかしい。
ルルカは、やはりあの老クズリのジルフに騙されていたのではないかと思った。性器を常に刺激す
るよう仕向けたあの道具が、自分の体をこんなに惨めにしてしまったのではないか、と。ただ、それ
は結果に過ぎないのかも知れない。ジルフは、ルルカたちが儀式で命を落とさないように、そうさせ
ているのだと言った。
(そういえば、儀式の際に死んでしまうことがあった……、って─?)
ルルカは、それを思い出して身震いする。ジエルも先ほど、死ぬなと告げて去って行った。その儀
式はまだ始まってもいないのだ。これからどれほど恐ろしいことがこの身に降りかかろうとしている
のか─。