11/10/13 22:55:51.67 9NjZ26FL
ギャンブルとかいうから一気に背景が「ざわ… ざわ…」ってイメージに塗りつぶされたじゃないか
351:名無しさん@ピンキー
11/10/14 00:08:54.75 24EdCr1u
そのイメージが次第に「ぶひ・・・ ぶひ・・・」になっていくんですね
あとは、オークに負けてオークの種族に取り入れられるとか?
352:名無しさん@ピンキー
11/10/14 21:40:31.31 Tv0JgECE
>>350-351
「ざわ… ざわ…」→「ぶひ… ぶひ…」の変化って
観客もTFさせられる群集変化なのか幻覚MCなのか観客は人間に化けてただけで元々豚だったのか、どれだろうね
どれも萌えるけど
353:名無しさん@ピンキー
11/10/14 21:43:58.72 b6pr/YiG
>>352
奴隷生活一カ月目で豚舎の班長からビールを御馳走される少女
354:名無しさん@ピンキー
11/10/14 21:49:29.00 24EdCr1u
集団TFは萌えるけど書くのすごく難しそうだな
幻覚MCでぶひ・・・に変わる頃に豚になってるとかなら楽かも
355:名無しさん@ピンキー
11/10/14 22:47:39.09 Tv0JgECE
>>353
カイジとか福本作品ネタなのか?
実は読んだことないので「ざわ…」以外の元ネタわからん…
>>354
>集団TFは萌えるけど書くのすごく難しそうだな
でもケモバイオハザードな集団TFとか憧れるな…殺されるんじゃなく性的に襲われて感染するの
>幻覚MCでぶひ・・・に変わる頃に豚になってるとかなら楽かも
…え?自分は人間だ、元に戻せ、って?
何言ってるんですかこんな所に人間は来ませんよほら周りを見てみなさい豚しかいないでしょう?
自分が牝豚だと忘れちゃったのかな混乱してるみたいですね。
でも思い出して。皆ぶひぶひ鳴いてるでしょう?これが普通。当たり前のこと。
あなたも鳴いてみれば思い出しますよ?さぁ鼻を鳴らして、大きな声で、ぶひぃ、って。
…あーぁ。本当に鳴いちゃった。受け入れちゃいましたね?自分は牝豚だ、って。
もう人間には二度となれませんよ?
まぁでも実際それがあなたの本質だったのかも知れませんけどね。鳴いてみて気持ち良かったでしょ?
とか?
356:名無しさん@ピンキー
11/10/14 23:21:04.59 24EdCr1u
>>355
牡と牝って字が似てるからわかりにくいんだよ畜生!
ぶっちゃけその8行だけで十分萌えたわ
前と後ろにちょこっと付け足せば立派なSSになるじゃんか
357:名無しさん@ピンキー
11/10/15 00:59:44.68 NCmcaAG6
>>356は雄豚化希望だったん?>>347は雌豚化リクエストだけど
性別だけでなくさせたい派やさせられたい派とか色々あるな
358:356
11/10/15 01:07:12.80 doSnsSGf
>>357
どっちも好きだけど、字を見て牡だと思ったら牝にされてたってのにしてやられた感があったんだ
自分では不本意なのに強制的に変えられてしまうシチュエーションって超萌える
スレ的にその後無理矢理交尾が待ち受けてそうだしな
359:名無しさん@ピンキー
11/10/15 01:59:04.25 NCmcaAG6
>>358
無理矢理交尾?そんな無理矢理なんて酷いことしませんよ。
…だって、無理矢理じゃなくて、そっちが求めてるんじゃないですか。
女の仔な、牝豚の、あなたの身体が。
違うって?ふぅん、じゃあその豊満なおっぱい弄ってみましょうか?
…ほら、乳房揉まれただけで、乳首つままれただけで、そんなに反応してるじゃないですか…女の仔らしく。
ふふっ可愛い声ですねぇ。恥ずかしがらなくてもいいのに。
恥ずかしいのはは女っぽい声上げちゃったからですかね?それともぶひぶひ鳴き声が混じるから?
我慢せずに大きな声で鳴いちゃっていいんですよー。その大きな豚耳ならよく聴こえるでしょ?
…あらら、股の間もうぬるぬるじゃないですか。感じてないとか牝豚じゃないとか、全然説得力ないですねぇ。
じゃあ実験してみます?そうですね、イメージしてみましょうか。人間の女の子の裸。綺麗な、自分の理想の女性像の。
…思い浮かびました?じゃ次、豚をイメージしてみてください。
牡の豚。大きくて、ケモノくさくて…立派なおちんちんを持った牡豚を。
…あははっ!すごい、あっという間にぐしょぐしょに濡れちゃったじゃないですか。
自分は人間だ、男だ。ってさんざん言ってたけど、どうですか?牡豚思い浮かべて興奮しちゃった気分は?
普通人間の男は牡豚相手に欲情したりしませんよねー。そんなに牡豚と交尾したいんだ。牝豚さん♪
…えー、まだ違う違うって、往生際悪いなぁ。そう?本当に違うんですか?
…じゃあ、そこまで違うって言うなら、本物の牡豚呼んでも大丈夫ですよね?
…うわぁ…牡豚を目にして、匂い嗅いだだけで大興奮じゃないですか。
いくら否定しても、その大きな豚鼻が牡のフェロモンを少しでも多く感じようとしてふごふごしっぱなしですよ。
自分で気付いてないんですか?ヨダレだってだらだら…上の口からも、下の口からもね?
あーあーあそこだけじゃなく可愛い尻尾も、お尻の穴までひくひくさせちゃって…
穴という穴全て犯して欲しいと言わんばかりですねぇ。
…もういい加減つらいでしょ?我慢せずに受け入れちゃったらどうです?
もっとも…受け入れたら、さっきと同じように、取り返しがつきませんけど、ね。
とか?
360:名無しさん@ピンキー
11/10/15 02:22:05.98 doSnsSGf
>>359
起きてて良かった・・・ハイパーGJ!
加害者視点の形式のおかげで俺まで濡れた
これイメージ的には牝豚獣人にされたってことでいいんだよね?
361:名無しさん@ピンキー
11/10/15 19:52:36.70 NCmcaAG6
>>360
レス㌧
>これイメージ的には牝豚獣人にされたってことでいいんだよね?
ですね。完全四足でもいいんだけど体位とかいろいろできるし獣人で
「取り返しがつきませんけど~」とか言ってるけど実際受け入れたらどうなるかは特に考えてないし続かない
「人間に戻れなくなる」は先にやっちゃったし…
それとも何か面白い案ある?
362:名無しさん@ピンキー
11/10/15 22:26:01.86 doSnsSGf
>>361
四足は四足で萌えるけど制限が多いもんね
牝から戻れなくなって、さらにそれを受け入れると取り返しがつかなくなるって答えはひとつ!
種付けされて孕まされて子豚たちを産むというBADすぎるENDとか
性的に他者に感染させていくのは牡にされた場合のほうが容易なのかな?
いや、牝もフェロモンなりなんなりで誘って咥えて強制獣化させられるか!
363:名無しさん@ピンキー
11/10/15 23:08:27.20 eYf/FCMC
とりあえずライオン娘の方は俺が書いてるので完成した上げます
性格がかなり勝ち気になっちゃってるけど……
364:名無しさん@ピンキー
11/10/16 17:28:10.68 wWTx6qoK
>>362
孕み出産も萌えるし精神的な責めとしても効果大きいだろうがなんか「普通」な気がする
TFやMCならではのファンタジーな要素が欲しい
例えば本格的に人語が喋れなくなって鳴き声だけにされちゃうとか…
でも反面それだと制約もできてちょっと面倒だから他にないかな
>>363
超期待!勝ち気もそれはそれで萌えそうだし!
365:名無しさん@ピンキー
11/10/16 20:58:34.69 SSpIijVb
>>364
人であった頃の記憶が消えるとか複乳にとか?
ファンタジーな要素をつけて制約なしだと何があるかな
孕んだまま元の姿に戻されるけど自分の中の子豚たちが夢で語りかけてきて
自分から牝豚にしてくださいと懇願するとか
今までのは夢で目が覚めたら元通りになってるんだけどだんだん体が牝に変化していくとか
直接責めに繋がる要素が思い浮かばないなあ
獣人なのに動物と同じ振る舞いをするとかだと制限になるかな
366:名無しさん@ピンキー
11/10/19 22:57:27.50 oyDipUIP
俺もライオンの考えてる…ような気がする(^ω^)
367:名無しさん@ピンキー
11/10/19 23:21:32.08 W4gX5Tpx
ライオンだろうが豚だろうが楽しみだぜ
投下まだかな~
368:名無しさん@ピンキー
11/10/22 16:40:39.93 Q9v22cpW
>>364
ありがちだけど相手の命令に逆らえなくなるとか
完全洗脳じゃなくて、自分の意識残ってるのに身体が勝手に動いちゃうタイプだと萌えるね
369:名無しさん@ピンキー
11/10/26 15:03:07.75 SP6v6pB4
保守しておこう
370:名無しさん@ピンキー
11/10/30 10:33:00.33 29TOIPM9
今しがた銀齢祭(二)を読み終わった
すごい面白かった
描写が丁寧で戦闘シーンなんか漫画読んでるみたいに描写が頭に浮かんできた
ツューとヤマトがカッコ可愛いなあ・・・・・誰か絵化してくれんだろうか
ともあれGJ!楽しませてもらいました
371:名無しさん@ピンキー
11/11/06 02:10:54.34 +rZLEX3g
あげ
372:名無しさん@ピンキー
11/11/09 15:30:25.66 xuxzJLOy
>>370
新作が少なめな今はかえっていいかも知れないな。昔の名作読み返す週間
タイミング逃してコメントしそびれたのもあるし
投稿したその場限りで忘れ去られるのも惜しいし
373:名無しさん@ピンキー
11/11/09 17:56:19.91 Jo/RmHfT
*'``・* 。
| `*。
,。∩ * みんな幸せになーれ
+ (´・ω・`) *。+゚
`*。 ヽ、 つ *゚*
`・+。*・' ゚⊃ +゚
☆ ∪~ 。*゚
`・+。*・ ゚
374:名無しさん@ピンキー
11/11/11 06:37:17.72 cbkuS3BC
>>372
少し尺のある作品だと投下された当時は読み切れなくて感想会に間に合わなかったりだからな
375:名無しさん@ピンキー
11/11/16 09:35:29.59 sJ1uPlV1
昔の名作となると俺は秘島探検が好きだわ
文字通りケモノのような輪姦乱交されて獣化させられるとか理想的
俺もされたい
376:名無しさん@ピンキー
11/11/16 17:01:07.57 nElJWPOg
『カナリアの国』シリーズがエロすぎて切なすぎて股間と胸の奥にきて生きるのがつらい
377:名無しさん@ピンキー
11/11/20 03:53:52.16 ot3vBE5R
人間と獣人の絡みは、このスレ的には許容範囲に入るのでしょうか
378:名無しさん@ピンキー
11/11/20 16:37:04.57 CPKTQ187
>>377
過去にもいくつかあったみたいだからいいんじゃね?
エロゲみたいに「人間♀ばかりメインに描写して、獣人♂はただの竿役」
みたいなのだとつらいかも知れないけど
379:名無しさん@ピンキー
11/11/22 20:37:39.15 RdHBaMNk
>>377
もうその方向で書きはじめてるの?それとも聞いてみただけ?
とりあえず期待
380:名無しさん@ピンキー
11/11/23 00:30:45.08 BDawkN2v
豚獣人に一方的に見初められた人間の娘が無理矢理嫁にさせられ、華やかなウェディングドレス着たまま、
結婚指輪の代わりに耳に魔法のリング(家畜タグ付き)付けられて豚耳になったり
強引に誓いのキスさせられて舌入れられながら鼻と口が突き出して豚顔になったり
そして教会で獣人達が見てる目の前で発情した雌豚になっちゃったり…
いい夫婦の日と聞いてそんなネタを思いついたが書けなかったよ…
381:名無しさん@ピンキー
11/11/23 03:17:55.53 OU3id0LY
>>380
娘じゃないけど豚獣人の嫁になりたい
382:名無しさん@ピンキー
11/11/23 08:31:18.12 zQN+dYIc
結婚耳輪:豚
なら
結婚鼻輪:牛
結婚首輪:犬・猫
結婚轡:馬・ロバ
結婚緊箍児:石猿
とかもあるのかな…
383:名無しさん@ピンキー
11/11/26 23:59:23.22 p9n4NViV
狸獣人と結婚したい…
384:名無しさん@ピンキー
11/11/30 12:13:34.28 atJ3Z9Id
毎晩、狸汁を味わえると聞いて
385:名無しさん@ピンキー
11/12/05 09:48:17.49 JI/G1fW4
どの汁?
雄から出るのか雌から出るのか胸からか棒からか割れ目からか尿道からか
386:名無しさん@ピンキー
11/12/06 00:51:49.59 8S1SLgHg
>>383-385
でっぷりした腹と股間のフグリ
雄同士がぶつかり合い、熱い雄汁を貪る
濃厚なケモホモの匂いがする
387:名無しさん@ピンキー
11/12/06 09:25:32.72 chrqEOqM
ホモには少し抵抗があるが
人♂が化かされてTSTFして狸♀になれば結果的にヘテロなのでおk
388:名無しさん@ピンキー
11/12/06 12:42:12.60 chrqEOqM
…あ、いや、抵抗あると言っても
書いてくれるなら同性でもアブノーマルでもありがたくいただきますが
389:名無しさん@ピンキー
11/12/07 09:40:55.95 +5Kqh3F+
私ホモじゃないけど
獣化できるなら雄獣人に犯されたりしゃぶらされたりしてもいいや
私ホモじゃないけど
390:名無しさん@ピンキー
11/12/08 01:21:52.39 nihSQZbP
ゲイや801小説はキモイが
雄獣人がホモる小説はキモく感じない…不思議
登場人物が人から獣人に変っただけなのに なぜだろう不思議
391:名無しさん@ピンキー
11/12/08 10:29:34.73 WDXJM2dG
ただ、獣ホモ小説って、「彼は○種の動物の特徴を持った獣人である」みたいな説明の一文以外に
ほとんど(時には全く)獣人や亜人らしい描写がなくて
ただの人ホモ小説から名詞のみをすげ替えただけなレベルのが多いのがちょっと…
ちゃんと書いてくれれば同性でも萌えるんだけど
392:名無しさん@ピンキー
11/12/08 12:17:44.61 inVf8O0Y
ていうかなんでケモホモの話になってんのよ。
専用スレいけばいっぱいあるじゃない
393:名無しさん@ピンキー
11/12/08 13:37:50.22 IvgM84nD
ぽっちゃり好きとしては狸合戦ぽんぽこのふっくらした狸♀とか萌えるわ
394:名無しさん@ピンキー
11/12/08 20:24:37.26 L/9OdGAA
お前らの好みなんてどうでもいいわ
395:名無しさん@ピンキー
11/12/08 23:09:59.85 WtsBXObI
ぽんぽこ懐かしい
発情期を迎えながらも、人間に勝つまでは僕たちは清く正しい関係でいよう!
って主人公カップルが誓った直後に交尾しちゃうんだよな…
396:sage
11/12/18 04:39:07.58 2ZgViuoR
投下する。
無様だったら嘲笑うといい。
397:名無しさん@ピンキー
11/12/18 04:43:11.53 2ZgViuoR
日本には、『衝撃的』と言う言葉がある。
体験した者が実際に物理的な衝撃を受けたように錯覚するほどのインパクトを持った出来事を表現する時に使われる言葉だ。
多かれ少なかれ、そして程度の差こそあれ、人は生きていればそういう物事を経験する事になる、と私は考えている。
私が送ってきた秋山美月という十八年の比較的短い人生にすら、そういう出来事があったからだ。
私がそれを体験したのは九歳の時だった。
自分が生まれつき患っている病気をインターネットで検索し、その病気が不治の病と呼ばれる類のもので、
私は――秋山美月という人間は、おそらく長くは生きれないだろうと言う事実を知ったのだけれど、その時私は、確かに心臓を刃物で突き刺されたような痛みを感じたし、その事実を思い出すたびに同じような痛みを感じてきた。
自分の人生を左右するような物事なのだ、その位のインパクトはあって当然だろう。
以来その出来事は、十年近く私の衝撃的体験ランキング1位を独占し続け、さすがにそれ以上に衝撃的な出来事は、今日に至るまで起きた事はなかった。
『無かった』、今日までは。
「好きです!」
半ば叫ぶような調子で告げられた、たった四文字の短いフレーズ――
そんなもので、十年近く私の人生に圧し掛かっていた出来事をあっさり吹き飛ばして衝撃的体験ランキングを塗り替えたのは、灰色の毛色をした熊の少年だった。
398:名無しさん@ピンキー
11/12/18 04:44:42.52 2ZgViuoR
突如として私のみに降りかかってきた、そして現在進行形で起こっている出来事――それは本当に唐突で、あまりにも突拍子の無い事だ。
だから私は、今自分に何が起こっているか良くわからなくて、なんと答えていいのかもわからくて………私が今考えているのが彼の言葉に対する返答ではなく、どうしてこうなったと言う疑問なのも、きっと仕方が無い事なんだろう。
どうしてこうなった?
朝目が覚めてから朝食をとり、常服薬を飲んで玄関を出るまでは極普通の一日だった筈だ。
今日は十二月の十五日で金曜日だから祝日でも休校日でもない訳で、酷く冷たい冬の風や、重々しい灰色の空模様に気が滅入ったとしても、私は学校に行かなければいけない。
だから私は、家を出て最初の十字路を左に曲がり、通学路である小道に入った。
すると、十メートルほど先にこの熊の少年がいて、私の顔を見ると酷く驚いたような顔をした。
通常、獣の人の顔は体毛に覆われているので表情が判り辛い。
にも拘らず、はっきりと彼が驚いている事が判るほど、彼は驚いていた。
だから、私は何事かと思って立ち止まったのだけれど、それを見た彼は一礼して私に近づいてきて、突然、例の言葉を言ってのけたのだった。
以上が事の顛末で、思い返してみてもどうしてこうなったのかは全く判らない。
399:名無しさん@ピンキー
11/12/18 04:47:26.02 2ZgViuoR
私は、五秒ほど考えたけれどなんと答えればいいのか思い浮かばなかったので、先ず彼を良く観察してみる事にした。
彼は学生服………それも、私が三年前に卒業した中学校の制服を着ている。
だから彼は中学生で私の後輩だという事が判る。
身長は百六十センチちょっとの私より頭一つ大きい。
だから間違いなく百七十センチ以上はあるだろう事が判る。
私を見つめるダークブラウンの瞳には、人生経験に乏しい私にもそれと解るほどに強い緊張と決意のようなものが見て取れる。
だから、彼は冗談とか罰ゲームとかでこんな事をしているのではない事が判る。
つまり、彼は本気で言っているのだ、私の事が好きだと。
「………だから?」
それらを踏まえ、私がたっぷり十秒以上の時間をかけてなんとか搾り出したのは、そんな返答だった。
だってそうだろう?
これが、「好きです、付き合ってください」だったら「友達からなら」とか答えられたかもしれない。
だけど、ただ「好きです」だけでは私はどうすればいいのか、何を求められているのか判らない。
しかし、私の言葉は恐らく意図した通りには伝わらなかったのだろう。
熊の少年は私の返答を聞くと、耳をぺたりと伏せ、今にも泣き出しそうな顔で俯いてしまった。
無言のまま立ち尽くす私と彼との間を、乾いた風が甲高い音を立てて吹きぬけていく。
私は、今になって、いや………今更になって、自分が重大な責任を負っている事に気がついた。
恐らく、彼にとってこの恋は初恋というものなんだろう。
恋愛経験皆無、それ故に猪突猛進、駆け引きなしのノープラン、恥も外聞も
かなぐり捨てて玉砕覚悟の告白だ。
それがとても勇気のいる事なのだという事は、告白をしたことのない私にも簡単に想像できる。
そんな真剣な気持ちも、行動も、私が応えなければ無意味なものになってしまうのだ。
400:名無しさん@ピンキー
11/12/18 04:51:40.62 2ZgViuoR
「あの……!」
私は、意を決して彼に声をかけた。
肩をびくりと震わせ、弾かれた様に彼が顔を上げる。
私は、深呼吸を一つして、これから口にする文章の意味を考え、それを頭の中で何度か繰り返し、声に出した。
「好きだといってくれたのは本当に嬉しいんだけど、「好きです」だけじゃ君がどうしたいのか判らないの。 『だから』どうしたいのか教えて欲しいんだけれど。」
若干声が上ずってしまったけれど、私はやり遂げた。
一字一句間違いなく、正確に、穏やかな口調で告げたその言葉は、きちんとその役割を果たし、熊の少年は「あっ!」と短く声を上げた。
「え、えーと………」
彼は恥ずかしそうに私から目を逸らした。
さっきまで力なく伏せていた耳が、今はピンと立っている。
彼は、暫くの間何やらモゴモゴと口篭っていたが、やがて大きく息を吐いて私の目を真っ直ぐに見つめ返し――
「セックスしてくださいっ!」
地面に頭を擦り付けるほど深く跪いた。
401:名無しさん@ピンキー
11/12/18 04:53:40.60 2ZgViuoR
続きは2~3日後に投下する。
書き終える前に投下して申し訳ない
402:名無しさん@ピンキー
11/12/18 09:13:42.46 mEVlqEr0
これは楽しみだわ。激しく期待
403:名無しさん@ピンキー
11/12/19 14:35:59.35 Ag99wjc0
熊といえば、3P
404:名無しさん@ピンキー
11/12/20 00:59:17.56 BexkSOyz
今年最後の期待
405:>>397
11/12/22 02:13:30.83 Y2fuDnlS
書けるだけ書いたけれど、最後まで書く事ができなかった
書きあがった分だけ投下する。
ごめんなさい
406:>>397
11/12/22 02:14:07.09 Y2fuDnlS
日本語には驚きを表現する言い回しが幾つかあるのだけれど、その内の一つに『驚きのあまり言葉がでない』と言う物がある。
恐らく、この言葉以上に今の私の状態を的確に表す事の出来る単語は無いと思う。
私の人生の衝撃的体験ランキングにおいて十年間不動の王座を守り続けた出来事をあっさり吹き飛ばして一位に輝いたさっきの愛の告白が、たった五分で二位に転落してしまうほど衝撃的な出来事を体験した私は、跪く熊の少年を前に、暫く何を言う事も出来ずに立ち尽くしていた。
彼も、跪いたまま無言で私の答えを待っている。
少し遠くを走る車の往来の音が妙にはっきり聞こえるほど、辺りはしんと静まり返っていた。
跪く、いわゆる土下座と言うやつだ。
昔見た西部劇の映画で、絶体絶命のピンチを迎えた主人公に対し、悪役の男が銃を突きつけながらこう言っていた。
『跪いて命乞いすれば命だけは助けてやるぞ』
そして、その言葉に対し、主人公は不敵な笑みを浮かべてこう答えた。
『死んだほうがマシだ』と。
生き恥を晒す位なら潔く死を選ぶ――この映画の影響という訳ではないのだろうけれど、私は、男の人はそういうものなんだろうと思ってきた。
少なくとも、朝の通勤・通学の時間帯に、人通りが少ないとはいえ一般公道で土下座をするなんて想像した事さえなかった。
「そんなに、その………したいの?」
一分ほど過ぎた頃になって、私は漸く声を絞り出して、目の前で跪いている熊の少年に尋ねた。
何か考えがあった訳じゃなく、跪くという行為のインパクトに圧倒されて自然と口が動いてしまったような感じだった。
彼は無言のまま即座に頷いて、私を見つめる。
ほんのちょっと前まで私を見下ろしていたダークブラウンの瞳が遥か下から私を見ている事に、酷い違和感を感じてしまう。
不治の病を患って先が長くない私だって、処女のまま死ぬのは嫌だなと思った事はあった。
でも、だからって、人前で土下座なんて――
そこまで考えた時、私は酷い事実に気がついた。
私は、人前で土下座されているのだ、それも家から百メートルも離れていない所で。
私はわりと有名人だ。
不治の病を患った可哀想なお嬢さんという存在は、他人の目から見ればそこそこドラマチックに映るのだろう、この辺りの住人には『秋山さんのところの』で私の事を意味する位には存在を認知されている。
だから、こんなところを見られれば、明日中には家族や学校を含めた私の生活圏全域に『一般公道で男の子に土下座させていた』という事実が知れ渡る事になるだろう。
「立って」
私は、急いで熊の少年の右袖を掴むと、強く引っ張って立ち上がるように促し、そのまま少し早足で歩き出した。
彼が困惑しきった表情で「あの………」と呟いても、私は無言のまま歩き続ける。
兎に角、私の知り合いのいない所に行きたかった。
407:>>397
11/12/22 02:18:29.52 Y2fuDnlS
それから十分ほどの間、私達は無言で歩き続けた。
私は熊の少年の袖を引きながら今まで通った事の無い道を選んで歩き続け、彼は私に引かれるまま後ろをついてくる。
私が行く当ても無く歩き続けている事を知ったら、彼はなんて言うだろうか。
本当は学校に行かなければいけなかった筈だ、私も、彼も。
連絡も無く学校を休んだりすれば、家族に連絡が行くだろう。
唯でさえ病気で心配をかけているのにこんな事をして――全く、滅茶苦茶だ。
思わず漏れた溜息が、一瞬白く煙って灰色の空に溶けていく。
「どうしてあんな事をしたの? 人に見られて変な噂になったら君だって困るでしょう」
私は足を止めず、後ろも見ずに言い捨てた。
「………すいません」
体格に似合わない柔らかな声が、本当に申し訳なさそうに謝るのが背中越しに聞こえても、イライラは晴れそうにない。
私は怒っている、こんな事になったんだから怒ってもいい筈だ、だから怒ろう――そう自分に言い聞かせて、私は後ろへ振り向いた。
熊の少年は、再び耳を伏せてオロオロと私を見つめる。
可愛いとは思う、でも許さない。
「君はもう少し後先を考えなさい。 今したい事と、そうしたらどうなるかをちゃんと考えて、それが『だから』で繋がるか考えるの。 理屈で考えるの………わかる?」
私は息継ぎ無しに一息で言い切ると、あらん限りの眼力を籠めて彼を睨んだ。
熊の少年は、大きな体を居心地悪そうに縮めて私と視線を合わせながら、力ない声で「ハイ」と答える。
408:>>397
11/12/22 02:20:27.97 Y2fuDnlS
気持ちとか感情とか、そんな物なんの役にも立たないのだ。
現に、私がどれだけ死にたくないと思っても、病気は治るどころか少しづつ進行している。
症状の進行を遅らせるだけの抑制剤に頼る日々を続ける間、不安とか絶望感とかは常に私の毎日に付きまとっているけれど、それ自体が症状を悪化させる事はなく、ただそこにあるというだけの物に過ぎない。
その程度のものだ、気持ちなんて。
だから私は、『だから』で物事を考える事にしたのに、それでも私は今感情的に怒ってしまっている。
イライラを吐き出そうとと二度目の溜息を吐くと、熊の少年が遠慮がちに「あの………」と声をかけてきた。
「なに?」
「えぇと、怒って………ますよね?」
………なんて事を聞くんだ、こいつは。
困惑した顔で尋ねてくる彼に、私は思わず噴出しそうになった。
この状況で怒らない人がいたら、それはきっとそういう病気だ。
私も病気ではあるけれど、そんな病気ではないし、表情ぐらいちゃんとある、筈だ。
「そう見えないかもしれないけど、怒ってるし、驚いたし、恥ずかしかった。 怒ってるように見えない?」
良く見てみなさい。
私は彼の顔に息がかかるほど顔を近づけ、思い切り眉根を寄せて見上げてみせた。
もし彼が人間だったら、多分真っ赤な顔をしていると思う。
彼は目を見開き、口を大きく開けて「あの………」という言葉を何度か繰り返し、逃げるように目を目を逸らすと、
「ちょっと、判りにくひへっ!?」
「このくらい怒ってるの、わかるでしょう?」
ちょっと判りにくいですと言おうとしたんだろう。
私は『判り』の辺りで彼の袖を握っていた手を離し、代わりに彼の鼻先を人差し指と親指でぎゅっと摘む制裁を加えてやった。
「すひまへん」
彼は反射的に謝ろうとするが、鼻を摘まれたままなので妙な鼻声が出るだけだ。
だから、私は
「ちょっと判りにくいです」
さっき彼が言おうとした言葉を言って、摘んでいた鼻を放して歩き出した。
409:>>397
11/12/22 02:22:57.31 Y2fuDnlS
人間と獣の人の最も大きな違いの一つに、体毛の量が挙げられる。
獣の人の毛は、種族によって様々な特徴を持っているけれど、豊富な体毛で皮膚の表面を覆い、皮膚と体毛の間に空気の層を作って体温を調節するという機能は、おおよその種族に共通した特徴だ。
だから、彼らは十二月の半ばに学生服とYシャツと肌着だけで外をうろついても寒さに凍える事はない。
けれど、私はそうじゃない。
私は体表の八割近くを露出させて生きている人間という生物で、しかも病人で体力も無い。
だから、いくら学生服の下にベストとYシャツとシャツ二枚とウールのソックスと毛糸のパンツを穿いていても、冬の寒さは酷く堪える。
震えながら歩く私を見かねた熊の少年の提案で、私達は彼の家で暖を取る事になった。
彼の両親は共働きで、夕方までは誰もいないらしい。
もちろん、私は最初その申し出を断った。
いくらなんでも名前も知らない男の子の家に行くというのは抵抗があったし、何より、彼は私とセックスしたいと公言している。
けれど、いまさら学校に行けば遅刻の理由を詮索されるだろうし、堂々と学校をサボってしまった以上、家にも帰り辛い。
だから、絶対何もしませんからと食い下がる彼の言葉に、当ても無く何時間もこの寒空をうろつくよりはと了承してしまったのも仕方ない事だと思う。
彼の家に着くと、私は二階にある彼の部屋に通された。
男の子の部屋に入るのは初めてだったので、どんな部屋だろうといろいろ想像していたけれど、実際は私の想像したあらゆる部屋よりも綺麗だった。
私服はきちんとハンガーラックにかけられ、季節ごとに種類わけされているし、二つある大き目の本棚に納められた本は、図鑑や雑誌など種類別に分けられ、コミックスは一巻から順に並んでいる上に、帯もちゃんとついている。
そして、私が一番目を引かれたのは、ベッドと隣接する壁に貼り付けられている沢山の写真だった。
写真は主に風景写真で、花や鳥、夕焼け、祭りといった春夏秋冬のワンシーンを切り抜いたみたいに、素人目にも良く撮れている。
「これ、君が撮ったの?」
私は、部屋の真ん中に置かれている炬燵に入って、彼が淹れてくれたホットココアをちびちび飲みながら、彼に尋ねた。
体の大きい彼が炬燵に入ると私が入るスペースがなくなるからだろう、彼はベッドに腰掛けてホットココアを飲んでいたけれど、私が尋ねると照れくさそうに笑ってハイと答えた。
私よりも背が高いし体格もいいのに、彼のこういう仕草の一つ一つが可愛いと感じるのは、彼が年下だからなんだろうか。
何にせよ、私は彼を可愛いと感じ始めていて、だから――だからで繋がらない気もするが、ともかく――本の少し意地悪をしてみたくなってしまった。
410:>>397
11/12/22 02:35:23.43 Y2fuDnlS
「そういえば、お互い名前も知らないね」
私は、どんな意地悪をしてやろうと考えながら、その片手間に彼の事をいろいろ知っておく事にした。
この後彼とどんな間柄になるにせよ、知ってる事は多い方がいい。
「私は、秋山美月。 高三で君の中学の卒業生だから、一応君の先輩」
通り一遍の自己紹介をして、私は「君は?」と熊の少年に自己紹介を促した。
「熊谷スサビです、遊ぶって書いてスサビ。 中二で………写真撮るのが好きです」
彼は、ちょっと悩みながらそう答えると、学生服のポケットから小さなデジタルカメラを取り出して見せる。
大きな熊のスサビ君が小さなデジタルカメラを持つと、カメラがまるで玩具みたいだ。
その対比がおかしくて、私はちょっと笑ってしまった。
「今笑ってるのは判ります」
スサビ君は嬉しそうにそう言うと、ココアのカップをベッドの木枠において、デジタルカメラを私に向ける。
笑ってるんだから、笑ってるのが判るのは当たり前でしょう。
そういいかけて、私はふと思い止まった。
それを言ったら、返ってくる答えはきっと「ちょっと判りにくいです」だ。
それはちょっと癪だ――だから私は、別の答えを返す事にした。
411:>>397
11/12/22 02:42:09.18 Y2fuDnlS
私は、ファインダー越しに笑っているスサビ君に微笑を返しながら、出来る限り穏やかな口調で
「そのカメラに私の写真が入ってるのは判ります」と、言ってやった。
瞬間、スサビ君の体毛が、見て判るくらい逆立った………獣の人は、本当に驚くとこうなるのか。
「なっ、な………いや……あの………」
スサビ君は、何か言おうと口をパクパクさせてるけど、何を言っていいかわからないようだ。
多分、今朝彼に跪かれた時の私も同じような感じだったんだろうが、他の人の様子を見る分にはなかなか面白い。
「そんなに驚く事無いでしょう。 私だって告白しようと思うぐらい好きな人がいたら、その人の写真を欲しいと思うもの。」
私は、勤めて笑顔を保ったままそういうと、『正直に言いなさい』とダメ押しを入れる。
その言葉に、スサビ君はしゅんと俯きながらカメラを下ろした。
「すいません、撮りました」
きっと怒られるとか、軽蔑されるとか思っているのだろう、うなだれるスサビ君は、体が一回り小さくなってしまったみたいだ。
「それは、いつ撮ったの?」私は、純粋に興味本位で尋ねてみた。
「………三週間前です」
スサビ君は、私の顔色を伺いながら、恐る恐る答える。
「あそこを通った時に、先輩がいて、丁度夕焼けがでてて、先輩が凄く綺麗で、写真撮らせてもらおうと思ったけど声かけられなくって………」
「もういい、わかった」
私は恥かしくなって、たどたどしい説明を続けるスサビ君を片手を挙げて制した。
面と向かってそういう事を言われると、聞いてる方が辛い………私は、うつるから来るなといわれるのは慣れっこだけれど、綺麗とか好きとか言われるのには全く耐性が無いのだ。
「つまり、一目惚れって事なの?」火照り始めた頬を両手で覆い隠しながら、私は尋ねた。
「えーと、その、多分………」
スサビ君は、恥かしそうにそう答えると、視線を逸らして「好きになっちゃいました」と付け加えた。
その言葉を聞いた瞬間、私の体の中で燻っていた何かがついに爆発した。
「だからって、あれはないでしょう!」 私は、自分でもびっくりするほど大きな声で怒鳴った――こんなに大声を出すのは、いったい何年ぶりだろう。
私の勢いに気圧され、スサビ君がびくっと肩を震わせて耳を伏せる。
けれど、私はそんな事などお構い無しに怒鳴り続けた。
「好きだって言われたのは嬉しかったけど、あれだっていきなり過ぎだし! 人前で土下座されたのだって恥かしかったし! 急にあの、あんな事言われてハイわかりましたって言える訳無いでしょう!」
怒鳴れるだけ怒鳴って、私は炬燵に突っ伏した。
今日一日で、二年分くらい体力を使った気がする………頭の中がグチャグチャで考えが全然まとまらないし、『だから』も全然繋がらない。
ただただ、耳の奥でさっきの「好きになっちゃいました」が鳴り響いている。
412:>>397
11/12/22 02:45:01.37 Y2fuDnlS
今回はここまで、書ききれなくてごめんなさい
413:名無しさん@ピンキー
11/12/23 08:22:04.14 TqDVZ0X8
>>412
続きが楽しみだ
414:名無しさん@ピンキー
11/12/29 19:36:54.17 mxmqBhJT
続きマダ?
415:名無しさん@ピンキー
11/12/30 14:06:50.59 ExyfW2xi
糞みたいな文晒して恥ずかしくて自殺したんじゃね
416:名無しさん@ピンキー
11/12/30 19:44:57.86 8O4neSSH
俺は好きだぜ
いきなりエロに入らず初々しい関係から少しずつ詰めていくのもいい
417:名無しさん@ピンキー
11/12/31 08:20:21.24 mrM3ZsXM
ここにもなんか変なの涌いてんだな
418:名無しさん@ピンキー
11/12/31 17:27:29.20 Q/DItaWu
主人公の容姿とかが全然かかれてない
風景描写がすくない
心理描写が多すぎ
これだけ書いててまだエロに入ってない(無駄に長い)
以上の点から考えて、まだ人に見せるレベルじゃあないと思う
419:名無しさん@ピンキー
11/12/31 20:38:03.51 yA/dgHTk
>>418
今度からコテつけといてくれ
NGしとくから
420:名無しさん@ピンキー
11/12/31 21:18:18.29 7WwZ1956
新年初投下を狙ってる人も居るかもしれないのに、雰囲気悪くする馬鹿はタヒねよ。
作者さんも叩かれる隙作り過ぎだ。
書きながら投下、いつ続きが来るか分からないんじゃ、
年末年始の時事ネタの時期に他の書き手が投下し辛くなってしまう。
このスレ、連載始めて反応が薄いと止めちゃう人が多いけど、
書き上げてくれなきゃ感想の付けようもないんだから、最後まで書いてくれよ。
421:>>397
12/01/01 20:36:50.43 AVcAkoDQ
配慮が足りなくてすまない
稚拙な分ですまない
必ず最後まで書く
422:名無しさん@ピンキー
12/01/04 07:17:45.06 RPmDUm9S
今日もまたドラゴンのオスメスを仕分けるだけの仕事が始まるお…
423:名無しさん@ピンキー
12/01/04 11:35:57.08 jQL8BenZ
ドラゴンがいるファンタジー世界なら、
オスメス比率が偏ってメスが少ない時にオスをメスに変えちゃう術とかもあるに違いない…
ドラゴンに限らず獣人や元人間も…
424:名無しさん@ピンキー
12/01/04 19:08:45.43 XF2AGSIH
>>423
ファンタジーの世界観だと戦争だらけだから
むしろ決定的な雄不足に…
425:名無しさん@ピンキー
12/01/04 19:20:18.80 N1n5wDKB
>>424
雌の方が多い分には一夫多妻でどうにもなるが
雄の方が多くて一妻多夫になると生産量上がらないし…
426:名無しさん@ピンキー
12/01/04 22:25:53.48 KVdEMpaQ
食用にも採卵にも適さないドラゴンを、
縁日でカラードラゴンにして売る。
色で用途が決まります。
ピンクドラゴンは慰安用
427:名無しさん@ピンキー
12/01/06 20:58:27.26 4BHhCySb
>>423
オレが別スレに投下した小説じゃ交配の為にドラゴンの体液が別の種族を竜化させるって設定にした
428:名無しさん@ピンキー
12/01/08 08:42:11.17 UFpa694O
エルマーとりゅうってなにげにエロい話だった気がする。
竜を首輪で繋いで乗り物にしてご褒美に精液飲ますとか。
あれで竜属性に目覚めた。
429:名無しさん@ピンキー
12/01/08 22:35:59.13 vpOUh2gL
保育園に通ってた時に読んで劇もやった記憶があるけど
そんなエロい話だっけ
探してみよう
430:名無しさん@ピンキー
12/01/10 05:52:22.01 BfS7/SRo
>>421
楽しみに待ってる
431:名無しさん@ピンキー
12/01/17 19:06:40.63 1pTLCD09
ファードラをモフりたい
432:名無しさん@ピンキー
12/01/18 02:03:43.33 hK9mlnbS
ライオンのお兄さんの膝の上に乗って鬣を弄りながら日ごろの愚痴を聞いてもらいつつ頭を撫でてもらいたい
そういうホストクラブがあったら週三で通う
433:名無しさん@ピンキー
12/01/18 03:34:33.69 KhWDYJqG
お兄さんでいいのか?
ライオンは年を重ねた方が鬣がフサフサなんだぞ
おじさまでなくていいのか?
434:名無しさん@ピンキー
12/01/18 10:20:08.99 JP8LsocY
アメリカライオンのおねえさんがペロペロしてくれるお店がいいな
435:名無しさん@ピンキー
12/01/18 10:29:51.15 IxZBtdWP
二次創作の話でアレだけど、最近渋で何点か見かける
Fate/Zeroのイスカンダル擬ライオン化の絵がものすごく理想に近くてたまらん
436:名無しさん@ピンキー
12/01/19 00:48:04.26 9FWKJKwW
>>435
検索してもケモノですらないホモな絵しかでてこない
437:名無しさん@ピンキー
12/01/19 02:11:09.72 hmeGdO/E
>>436
腐女子絵やガチホモ絵の中に漫画形式で1ページ混ざってたりするんだけど
ケモタグはついてないから難しいかも
438:名無しさん@ピンキー
12/01/19 05:12:57.79 Upl6P84E
これは犯罪だよね
URLリンク(blog-imgs-43.fc2.com)
439:名無しさん@ピンキー
12/01/19 07:34:57.48 h8by30Sa
直リンがムリなら一発で上位に来る検索キーだけでもクレ
440:名無しさん@ピンキー
12/01/20 02:31:28.63 MPNdf5dR
・クラス名よりは真名タグの方が探しやすい
・擬獣化などオリジナルアレンジの利きすぎてる絵には二次系のタグが付いてない場合もあるので
これと思った絵師の作品一覧をチェックしてみると吉
・漫画形式のらくがきまとめの中に一枚混ざってることもある
・他の鯖に比べても腐向けorゲイ向け率の高い中に分け入っていく必要がある
・うっかり男の娘属性の扉を開く可能性がある
雑食に自信がある人以外にはあまりおすすめできない
441:名無しさん@ピンキー
12/01/21 13:04:13.66 NIYWxCHr
ネコ科系獣人といえばサンレッドのアーマータイガーさんこそ至高
いや、検索しても検索しても
原作以外はガチゲイ向けのファンアートしか出てこないんだけどさ
442: ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:37:59.96 QMFRT2fX
ドラゴンでもライオンでもなくて申し訳ないですが、投下します。
カワウソ族の女の子と、オオカミ族の青年の絡み。
性奴隷モノです。ジャンルに付き物の描写は一通りあると思うので、
苦手な人はNGを。
(全編のうちどこかにかなり過激?な描写が入る予定です)
後半、自然災害ネタがありますので震災などで強いトラウマのある方もご注意下さい。
最後はちょっと気持ちが優しくなるお話にしたつもりです。
長いので、分割して投下します。
一話あたり10レス前後で、全9話+プロローグ+エピローグの構成です。
手直ししながらになるので間が開くと思いますが、お付き合いください。
他の作者の方は自由に割り込んでもらって構いません。
では・・・
443: ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:39:59.91 QMFRT2fX
『かわうそルルカの生活』
【プロローグ】 -裸の獺-
街の中心に位置する広場には中央に大きな噴水があり、
地下を通った用水が噴き出し、放射状に張り巡らされた水路を流れていく。
一頭の牝の獣が、そんな広場の石畳を行き交う人々の流れを見ていた。
色彩豊かで様々なデザインの民族衣装を着た者たち。
ここは交易の街、シエドラ。
世界各地から多様な種族が集まり、滞在し、また去っていく。
広場や通りは雑踏に満ち、夜は酒場や宿が繁盛する、そういう街だ。
どの種族の者も、長毛であれ短毛であれ、全身を毛皮に包まれているにも関わらず、
その種の違い、住む土地の違いにより系統の異なった衣装を纏う。
そういった衣装は羞恥心を感じないためにだけでなく、身嗜みであり、
種族のシンボルとして着けられているものだ。
対して、自分は─。
彼らの衣装に決して引けをとらないとは思う、陽を受けると輝く美しい毛並。
しかし、密に生えた細かな茶褐色の毛皮の上には纏うものもなく、
二つのふっくらした乳房や、赤く腫れた小さな牝の性器は体の前面に露出している。
恥ずかしさにはとっくに慣れたつもりだったのに、
今のように、こうしてふっと一息つくような瞬間があると、
往来で恥部を人目に晒していることが惨めになってくる。
美しく整った形の乳房は、以前よりずっと大きくなった、オトナの獣のそれだ。
無意識に胸を覆いそうになる短い腕を、はっとして左右に開く。
裸身を隠すことは許されていないのだ。
長く、根本の太い尾が、地面と水平になるまで下がっていることに気付き、
慌てて持ち上げる。
後ろから誰かが自分を見たとき、そのようにして薄桃色の慎ましく締まった肛門まで、
およそ若い獣の女性なら必死に隠そうとする箇所を全て晒しておかなければ、
罰せられるのだ。
珍しいことに、今この瞬間、誰も自分を見ていなかった。
そのことに気付き、緊張が解ける。
人の流れはいつもより忙しない。
何故だろう、と尾を地面に着け、短い足のつま先で立つ。
首をもたげると、喉のすぐ下にある大きな金属の環が、その重さで乳房を圧迫した。
この銀色の環は乳房の上と脇の下を通り、背中をぐるっと一周して、
胸部にぴったりとくっついている。
それは彼女の唯一の装身具であり、その身分を象徴するものだ。
そして、それは永久に外せないのだ。
常にじわじわと体温を奪う金属の感触は、彼女の心の芯まで卑しいものに貶めようとしていた。
密かに自慢の形のいい乳房が環の重みで崩れてしまうのではないかと恐れ、
こうして立ち上がるときは、両手をそっと環に当てて支えた。
そんな小さな努力を知れば、誰もが鼻で嗤うだろう。
身の程を知れ、と吐き捨てるだろう。
もっとも、そんな気遣いが必要なのは、
石畳に転がされた姿勢を強制され続ける日常の中の、ほんの一瞬のことだけ。
こんなふうに体が自由になる時間は滅多に与えられない。
往来から、誰かの「珍しい異国の行商が来ているんだ」という声が聞こえたが、
一目見たいと思っても、それはこの獺(かわうそ)族の娘、
「ルルカ」には叶わぬ願いだった。
444:かわうそルルカ 2/4 ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:42:48.84 QMFRT2fX
立ち上がって広場を見渡すルルカの姿に目を留めたのか、
頭に大きな二本の角を持つ男たちが数人、近寄ってくる。
ルルカは慌てて姿勢を正した。
「今日は珍しく行列ができてないじゃないか」
「北の果てに住む連中ってのにも興味はあるが、あっちはそのうち見れるさ」
長い角を持つアンテロープの一族だ。全部で五人。
砂のような色の毛皮に、顔と胴に黒いストライプの入った体。
彼らの民族衣装も毛皮と同じ砂のような色で、首元にぐるぐると巻いた布は、
衣服に砂塵が入るのを防ぐ役割をしている。砂漠に囲まれたオアシスに住む種族だった。
頭上の二本の角は、細長い槍のような形で少し弧を描き後ろに伸びていた。
植物を糧にする種族は、頭に戴く角が大きければ大きいほど性格は強引で暴力的であることを、
ルルカは嫌というほど知っている。
憂鬱な気持ちになりながら尾を持ち上げ、足を軽く開いて胸と股間を突き出す、
恥ずかしいポーズを取った。
それは、自らの体を自由にさせるという意志表示である。
全ての男に対して等しく、それを行わねばならなかった。
尻尾を地面に付けていたことは咎められなかった。
ただ、それは始めに数発殴られるか、そうでないかの違いだけだ。
男の一人がルルカの胸元の金属環を掴み、乱暴に持ち上げる。
自分の倍以上の背丈を持つ男に体を振り回され、ルルカは身を竦ませる。
いつまでも慣れることのない、体格と腕力の差から生まれる恐怖。
水中での活動に適したルルカの体は、祖先から受け継いだもの。
陸に上げられた獺族は、他のどの種族と比べても小柄で非力だった。
別の男がルルカの短い腕を掴み、万歳の姿勢を取らせると、
環を掴んだ男はもう一方の手でルルカの乳房を握り潰し、悲鳴を上げさせた。
また違う男がルルカの足を左右に開こうとする。
抵抗しても無駄なことは分かり切っているのに、自然と力が入り、股を閉じようとしてしまう。
(見ないで……)
足はあっさりと開かれ、ルルカの恥部が男たちの目に晒された。
ふふん、と鼻で嗤う音がルルカの耳を襲う。
つるりとした広い獺族の恥丘に、牝の性器を意味する卑猥な焼き印が押されているのだ。
すぐ下に、本物の性器が見えている。ルルカは自分でそこを見ないようにギュッと目を閉じた。
慎ましい窪みだったはずのそこは、活火山の火口のように赤く染まった肉をはみ出させている。
その変わり果てた自分の股間を覗き込むたびに、ルルカは惨めな気分にさせられた。
獺は回復力に優れているから今以上には酷くならないだろう、と医術の心得のある者は言った。
事実、その通りではあった。
半年ほど前に、ルルカのそこがこのように造り替えられて以来、ずっとこのままなのだ。
ルルカにとって悲観を誘うその部分の有り様は、男たちの劣情を誘うのには適しているようだ。
染み出した愛液に濡れ光る赤い肉襞がイソギンチャクの口のようにキュッキュッと蠢くのを見て、
正面の男は下半身を覆う衣類をはだけ、血管の浮き出た大きなペニスを露出させた。
「さっそく楽しませてもらおうか」
男は、ルルカの胴の半分近くもある長さのペニスを、
何の容赦もなく目の前の牝獺の小さな体に突き入れた。
これが、シエドラで生きる獺族の娘たちの日常。
延々と昼も夜もなく続く断罪の儀式だった。
裸の牝獺たちに対し、行為を強要する側は着衣のままというのが、いっそう惨めさを感じさせる。
何故、こんなに理不尽な目に遭わねばならないのか。
それはルルカたちが獺族だから、という理由以外に何も分からなかった。
私は獺だから、私は獺だから……。
ルルカは心の中で繰り返した。
では、獺だから─、どうして?
445:かわうそルルカ 2/4 ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:45:03.21 QMFRT2fX
「こいつらは、冷たい水の中で暮らしていたから病気知らずだし、
水中を自在に動く体は柔軟で、どんな体位でも平気なんだ」
「そんなことは知っているさ」
「早く射精(だ)しちまえよ、次が待っている」
言葉通り、男はルルカに無理な姿勢を取らせようとした。
石畳にうつ伏せに押し付け、四足獣のような姿勢でルルカに覆い被さる。
前後に激しく揺さぶられる男の腰が、ルルカの背中を弓なりに曲げ、
乳房を石畳に擦り付けた。
『やめて、やめて……』
ルルカは獺族の言葉で叫ぶ。それは、彼らの耳には入っても、意味は通じない。
チィチィという鳥の鳴き声のように聞こえているだろう。
かつて隆盛を極めた獺族は独自の言語を持ち、多くの種族が使う公用語を話さなかった。
そもそも、発声方法が違うのだ。
固有名詞でさえも、別の音に置き換えられるため、まったく通じない。
声帯の構造が独特な獺族に公用語の発声は困難で、
話すにはとてつもない訓練と努力を強いられるものだ。
シエドラの牝獺には、公用語を覚える機会そのものが与えられない。
言語に共通点が一切無いため、耳に入る言葉を覚えることも叶わない。
しかし、ルルカは特別だった。
小さい頃に、母獺から公用語を習ったのだ。
そのことが却ってルルカを苦しめた。
(いっそ他の牝獺たちと同じに、彼らの言葉が分からない方が良かったのに……)
「誰にも、決して公用語を話せることを知られてはいけない」
そう言った人物は、ルルカにとって心の支えになってはくれなかった。
誰もルルカに声をかけようとはしない。
金属環を鎖で繋がれ、どこにも行くことができないルルカの生活に会話というものは無く、
孤独感が彼女の心を蝕む。
自分がこの先どのように生き、そして死んでいくのか、全く知らされもせず、
孤独と不安に押し潰されそうになりながら、
それでもルルカはここ、シエドラでの生活を余儀なくされていた。
446:かわうそルルカ 4/4 ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:46:38.06 QMFRT2fX
自分の快楽のためなら、
この小さな牝獺の体がどう痛めつけられようと構わないと言わんばかりに、
ルルカの体をほとんど押し潰すようにしながら、男は射精した。
体の中でペニスがどくどくと脈打ち、度重なる凌辱で緩み、
風船のように造り替えられてしまったルルカの子袋を精液でいっぱいに満たした。
ペニスを抜かれたルルカの体はまた勢いよく持ち上げられ、振り回される。
精液を指で乱暴に掻き出され、恥部をさっと水で清められたかと思うと、
次の瞬間には別の男のペニスが体に突き立てられていた。
今度は仰向けの状態でルルカは犯された。
両手両足を石畳に大の字に開き、ルルカは屈辱に耐えた。
乳房を乱暴に掴まれ、ほとんど搾るようにこね回されながら、
それでもルルカは指一本動かさないよう務めた。
獺の身分では、相手の体を触ることは許されないのだ。
うっかり触れただけでこっぴどく殴られることも珍しくない。
次の男は体重を腕に乗せ、ルルカの乳房を執拗に揉んだ。
金属の環に押し付けられた乳房が形を歪められることが悲しかったが、
やめてもらうよう訴えることはできない。
体の奥を抉られ、ルルカはまた別の悲鳴を上げた。
五人の男はそれぞれ一回ずつルルカを犯し終え、周囲を見渡し、
他にこの牝獺の利用者が居ないことを確認すると、もう一巡、
ルルカの体を楽しむことに決めた。
いや、一巡と言わず他の利用者が現れない限り何度でも、だ。
普段ならルルカの前には交尾待ちの行列ができており、次々と相手が交代していく。
中にはおとなしいやり方の種族も居て、その分、楽になれるのだが、
今日は北方の行商とやらのせいで、この乱暴な五人の男たちに延々と輪姦されることになった。
頑丈なのが取り柄の獺族の体を持っているとはいえ、
この草食獣たちの乱暴なやり方はルルカを憔悴させる。
男たちは逆に調子付き、快楽をルルカの小さな体から汲み上げようと、
射精をしながらも激しく腰を振る。
痛みに痺れた胎奥を熱い液体と肉棒に掻き回され、ルルカは意識が遠くなる。
ここまで酷くされたのは初めてだった。
目を閉じると昔の記憶が甦ってきた─。
447: ◆q6hKEmO86U
12/01/21 21:50:42.81 QMFRT2fX
以上、初回は短めです。
クッキーがおかしいのか、名前欄が狂ってしまい、申し訳ない。
>>443が 1/4で、>>445が 3/4です。
次回、かわうそルルカの生活 第一話は、サブタイトル『獺槍』
追われる獺族たちが恐れる、冷酷な金属の槍─、ルルカに運命の日が訪れる。
みたいな感じでお送りします。お楽しみに。
448:名無しさん@ピンキー
12/01/21 23:46:31.91 3X1EfzJL
乙
449:名無しさん@ピンキー
12/01/22 03:51:58.71 m1ApjrVe
パンツ脱いだ
正座で待機する
450:名無しさん@ピンキー
12/01/27 22:28:37.56 zlQI974o
イスカンダルの奴を必死こいて探してるのですが
別の物に目覚めそうです
451: ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:49:48.59 uBam7Vd+
かわうそルルカの続きを投下します。
注意事項等は、>>442の通りです。
452:かわうそルルカ 1-1/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:51:09.88 uBam7Vd+
【1】 -獺槍-
ちいさなまあるい頭の子、だあれ?
それはかわうそです
おててにみずかきのある子は、だあれ?
それはかわうそです
乳離れをしたばかりの幼いルルカは、温かい、母の優しい胸に抱かれ、
子守唄を聞いた。
質素でごわごわした肌触りの獺族の衣装に触れては可哀想だと、
母獺は裸の上半身に布を巻き付け、ルルカを直接乳房に触れるように抱いていた。
揺りかごのようにルルカの体を揺らす動きは、短い後ろ足で急ぎ歩く母獺が、
精一杯、我が子に怖い思いをさせないようにする気遣いから生じるものだ。
ルルカの一番古い思い出は、獺族の引っ越しだ。
それは、逃避行だった。
幼いルルカは長い距離を自分の足で歩けず、母の胸に抱かれていた。
ルルカと両親以外に、子供の居ない四組の番いの獺が、
森の中を隠れるように何日も歩いた。
住んでいた「ラッドヤート」という地を離れ、引っ越す先もまた、
「ラッドヤート」なのだと、ルルカは聞かされた。
それは獺族の言葉で、「誰のものでもない土地」という意味だった。
獺族はそうして、平原に都市を構える多くの種族の目から隠れるように、
深い森の中を移り住みながら暮らしていた。
何故、というルルカの問いには、誰も答えてくれなかった。
もう気の遠くなるほど、ルルカの何代も、何十代も前から、
獺族はそうして追われているのだという。
新しい土地では、雨露を凌ぐよりも何よりも先に、井戸が掘られた。
獺族にとって、水は無くてはならないものなのだ。
広大な大陸の丘陵部に点在する森林は、地下水脈の上に成り立っており、
根気よく掘れば必ず水が出た。
固い繊維で編まれた衣服はすぐに乾くため、彼らは服の上からでも水を被った。
水浴用の小屋が作られると、交代でそれを利用した。
獺たちは、一日に数回、水浴びを行う習慣がある。
体を清めるのが目的ではなく、
かつては多くの時間を水に浸かって過ごしていた獺族にとって、
体調を整えるために必要なのである。
特に若い牝の獺は、体温が籠って熱が取れなくなることを避けなければならない、
と言われていた。
幼いルルカには、頭の上からすっぽりと被る釣鐘型の子供用の衣装が着せられた。
そのままの状態で、父獺はルルカに水浴びをさせるのだが、
ルルカはそのごわごわした着心地が気に入らず、よく脱ぎ捨てた。
『我々、獺族はこうしてひっそりと暮らしているが、それを惨めに思ってはいけない。
世界が水で溢れていた頃と変わらず、今も誇り高き一族なのだから。
身嗜みには気を遣うものだ。
……ほら、ルルカ、裸でいちゃいけないよ』
父獺はそう言って、ルルカにまた服を着せるのだ。
集落の者が着る衣服は、木片を叩いて取り出した繊維を編んで作ったものだ。
その素材は、大昔に獺族が使っていた特別な植物で作るものに比べると、
非常に質が悪いのだと父は弁解した。
453:かわうそルルカ 1-2/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:52:56.61 uBam7Vd+
獺族は代謝が激しいため、日常の時間のほとんどを食糧の採集に充てる。
集落での食事は、体を冷やす効果があるという味気のない植物と、
トカゲやカエル、昆虫などがほとんどで、
ルルカはそういった食べ物を美味しいと思ったことがなかった。
ときおり御馳走として捕えられる野鳥はまだましだったが、
それらは捕り過ぎれば、居なくなってしまう。
『ルルカにも魚を食べさせてやれたらな』
と、父はよく言った。
河川に棲むという、その生き物が、獺族の主食だったらしい。
『魚を捕りに行けば、我々の所在が知られてしまう……』
今の時代、魚の居るような大きな川の近くには必ず異種族の都市があった。
父も、一度しか食べたことがないのだ、とルルカに語った。
『ダムを作って人工の川を引けば、魚だって食べられるさ』
集落の男が冗談めかして言う。
『そんなことが出来れば、苦労は無い』
父獺は大きくため息をつくのだった。
『川って……? ダムって……、何?』
『川ってのは、そうだな、井戸から水を引いている水路があるだろう?
あれのずっとずっと大きな水の流れるところが自然にできたものだ。
ダムっていうのは、その水を堰き止めて流れる量を制御する……、
獺族にしか作れない石の建造物のことさ』
もっとも、その知識だけが獺族の中に細々と受け継がれているだけで、
実際にはもうこの世界の誰も作れないのだ、とルルカの質問に答えた男は言った。
獺族はかつて、世界中の水路を取り仕切っていた。
生活に必要な資源は思うままに手に入り、あらゆる種族を従え、支配した。
数百年前に壮大な規模の干ばつが起こり、大陸にあった地表の多くの水源が失われ、
中級以下の河川は全て消えた。残った川もほとんどが流量を失った。
以来、他種族に比べ体格と腕力の劣る獺族は、迫害を受けることになったという。
乾いた世界にわずかに残った森は、
追い詰められた獺族がひっそりと暮らすのに適していた。
ルルカが物心ついた頃、一族はまた引っ越しをした。
今度は自分の足で、ルルカは新しい土地へ移った。
ルルカの父は、森にある物から生活に必要なものを何でも造り出した。
集落で暮らす他の四つの家族は、それぞれ違う分野の知識と技術を持っていた。
水源を管理する者、住居を整備する者、衣服を作る者、食糧を集める者、
それら全てに精通しており、仲間を統括する役目を担っているのが、ルルカの父だった。
ルルカはそれを誇りに思った。
獺族は皆、なんらかの特技や知識を、親から受け継ぐことになっている。
とても父のようにはなれないと言うルルカに、母獺は、
自分の持つ知識─公用語を教え始めた。
「やっぱりだめ、うまくしゃべれれないよ……」
獺族の声は、他の種族にはキュキュッという甲高い響きにしか聞こえない。
彼らが話すのは、感情と意味を同時に音に載せる、美しい歌声のような言語だ。
公用語は単語それぞれにひとつの意味しかなく、
それを組み合わせて意思を表現することが、獺族にはとてつもなく困難に思えるのだ。
獺族のきれいな言葉があるのに、どうして二つの言葉を覚えなければならないの、
というルルカの問いに、母獺は、
『いつか役に立つことがあるかも知れないからよ』と、優しい声で答えた。
少しずつでもいいから覚えなさい、と母はルルカを促した。
『大事なのは……、獺語でもそうだけど、気持ちを表す言葉。
「ありがとう、うれしい、気持ちいい、好き、悲しい、苦しい、ごめんなさい」
そして、一番大切な感情を表す言葉は─』
『なに?』
『ほら、また獺の言葉になってる』
「……ごめん……なさい?」
454:かわうそルルカ 1-3/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:55:46.91 uBam7Vd+
母と同じくらいに公用語が話せるようになると、
それを使う異種族の者たちがどんな姿をしているのか、ルルカは知りたくなった。
そう告げると、父はこれまで見せたことのない厳しい表情を浮かべ、
『そうか、お前にも話しておかねばならないな』と言った。
父獺は、ルルカを住居の奥に作られた小部屋へ連れて行き、
引っ越しの際に運んできたままになっている荷物の中から、布に包まれた細長い物を取り出した。
『抵抗してはいけない。咎は受け入れなければならない。
それでも、絶望してはならない』
父は、呪文のようにそう言った。
『何があったのか、どうして他の種族が我々を見付け次第殺すのか、
もう誰もその理由を覚えちゃいない。咎とは何のことを指すのだろうな。
ただ、この言い伝えの言葉が示す通り、
我々は争いを好まない。誰も傷付けない道を選んだんだ。
しかし、彼らは決して我々を許そうとはしない─』
ルルカは背筋に冷たいものを感じ、身をぶるっと震わせた。
「殺す」という言葉の意味を、ルルカはもう、朧げながら理解していた。
食糧として鳥や昆虫を狩るのではなく、その行為が獺族へ向けられたとき、
それは、自分や自分に近しい者たちがこの世から消え去ることを意味していた。
布の包みの中から出てきたのは、
鈍く光る、先が針のように尖った、ルルカの尾の長さほどの金属の棒。
根本には折れた木製の軸が残っている。
『金属を見るのは初めてだろう。ここでは造れないからな』
『金属……?』
『これは、"獺槍"というものだ。
異種族との接触は何がなんでも避けなければならないが、
特に気をつけるのがこの槍を持った者たち─私たちを狩りに来た連中だ。
見かけたら、急いで戻り、皆に知らせなさい』
父は、狩人たちにどう対処すべきかをルルカが教わるにはまだ早いと言いつつも、
"獺槍"の恐ろしさだけはつぶさに語った。
それは単に獺を殺すだけの道具ではない。
直接的に攻撃に使われることも稀にしかない。
獺を苦しめるための道具なのだ。
まず獺は、生け捕りにされるのが普通だった。
そして、衣服を全て剥ぎ取られたうえで、獺槍の鋭い切っ先で腹を突かれるのだ。
突き通す場所は決まっていた。
腹の一か所に、臓器をなるべく傷付けずに済むポイントがある。
獺槍に貫かれた獺は、垂直に立てられた槍の上で数日間は生き長らえ、
短い手足では成すすべもなく晒し者にされるという。
その姿のまま、異種族の街に連行された獺は、
命が続く限り棒で突かれ、刃物で切り刻まれ、糞尿を撒き散らして悶え苦しむのだ。
どのような怨念が、異種族の者たちにこの残酷な武器を使わせるのか、計り知れない。
『獺族の生命力は強い。その分、長く苦しむことになる。
彼らは容赦などしない。獺の体のあらゆる部分を嬲りつくそうとする。
特に性器などの─』
言いかけて、父は言葉を切った。
生殖に関わる神聖な部分を弄ぶことは、
心を持つ者の尊厳を徹底的に貶めるにはもってこいの手段だ。
だが、まだ性について何も知らない、自分の体のこともよく分からない子供のルルカには、
これを話しても理解できないだろう、と父獺は考えた。
仮に理解できたとて、ルルカ自身、後に我が身で嫌というほど、
それを思い知らされることになろうとは、露ほどにも思わなかっただろう。
そのときのルルカはただ、その禍々しい凶器の不気味な形を目に焼き付けるばかりだった。
これまで幸せに暮らしてきたルルカは初めて、恐怖というものを知った。
『何故このようなものを大事に持っているかというと、
我々がともすればこれの恐ろしさを忘れ、
軽率な行動を取ってしまわないよう戒めるためだ』
そう言って父獺はまた荷物の奥へ、その獺槍をしまうのだった。
455:かわうそルルカ 1-4/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:57:29.35 uBam7Vd+
さらに何度か移住を繰り返すうち、ルルカは背丈だけは母と同じほどにまで成長した。
乳房が薄っすらと膨らみ始める年頃になり、母獺が新しい服を作ってルルカに与えた。
尾の部分に大きな穴が開き、膝から上、胴と胸、
そして肘のあたりと首元までをすっぽりと包む、
獺族の流線形の体のラインを隠さない、独特の衣装だ。
水に浸かればそのまま洗うこともできる衣服は、一度着てしまえば滅多に脱ぐことはない。
排泄ができるように、股間の部分は四角い布が臍のあたりからお尻に回され、
尻尾に紐で結ばれている。
子供用の服に比べて、体に密着するようなその衣装は、胸の部分だけがぶかぶかしていた。
『ごめんね。素材が少ないから、何度も作ってあげられないの。
その胸の部分がちょっと窮屈に感じられるようになったら、
あなたもオトナの獺の仲間入りよ』
『私も、お母さんみたいなおっぱいになるの?』
『そうよ』
母獺はルルカの手を取って、自分の大きな胸にそっと当てさせた。
ルルカは久し振りに感じるその乳房の温かさと柔らかさに、どきっとした。
何か神聖なものに触れているような気がした。
手のひらを通して、母が自分のそれを大切に思う気持ちが伝わってくる。
ルルカは自分の胸も同じようになると聞いて、嬉しくなった。
『女の子はここを大事にしなくちゃいけないのよ。
簡単に誰かに見せたりしてはいけないの。
本当に大事なひとにだけ、そっと見せたりするものよ』
ルルカはまだ、自分の集落に住む者たちしか獺族の仲間を知らなかったが、
移住を繰り返すうちに獺たちは、別の一団に出会うことがある。
若い獺の男女が出会えばお見合いをし、互いを気に入れば、
娘を持つ側の親は、相手の集団へ我が子を預けて去るのが習わしだ。
『いずれあなたにも、誰か好きなひとができる。
少しお洒落をしなくちゃね』
母と同じ衣服を着せられたルルカだが、向かい合ったその姿にはまだ違いがある。
母獺は衣服の上に、螺旋状に布を巻いているのだ。
獺族のオトナの女性は、"飾り布"という、薄くて軽い生地の布を纏う。
それは、質素な暮らしをする獺族の唯一のお洒落で、身嗜みである。
首元で括った布を、くるくると胸に巻き、乳房の膨らみを目立たないようにする。
それでも余るほどの長い布を、お腹を包むように巻き、最後に端を尾の根本に括り付けた。
飾り布は首と尾の結び目を解けば、すぐに脱げ落ちて、そのまま水に飛び込むことができる。
『昔は、これももっときれいな布で作られていたらしいけど……』
母獺はルルカのためにこしらえた新しい飾り布を、娘に巻いてやった。
そして、布で覆ったルルカのお腹を優しく撫でた。
『女の子は、ここも大事にしなくちゃいけないの』
『おっぱいだけじゃないの?』
『そこはね、子供を育てるところだからよ』
母が撫でたのは、ちょうどルルカの子宮があるあたりだ。
どうしてお腹で子供を育てられるのか、その頃のルルカには想像もつかなかったが、
自分も母の体から生まれてきたのだということは理解した。
命が親から子へ、そしてまたその子へと繋がっていく。
それは、とても素敵なことだと思った。
456:かわうそルルカ 1-5/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 21:58:57.23 uBam7Vd+
運命の日─、
ルルカは母に頼まれ、居住地から山を一つ越えたところへ、
キイチゴを摘みにやって来ていた。
集落を離れるときには飾り布は置いていく。
ルルカは短い足で細長い体を揺らし、灌木の間を駆ける。
急な斜面では、手をついて四つ足で走ったりもした。
ルルカはしっかりと両親の言いつけを守っていた。
見通しのいい場所を通るときは、草を編んだフードを被って身を隠した。
少し走っては立ち止まり、周囲の音に耳を澄ました。
山の中腹の少し開けたあたりでキイチゴを籠にいっぱい採ったルルカは、
帰ろうとして、ふと立ち止まる。
『水だ……』
獺の長いひげが、近くに水があることを教えていた。
足元に、ちょろちょろと流れる細い細い、天然の水路があった。
『これが……川なのかな。ちっちゃな川だね……』
ルルカはどうしてそんなところに水が流れているのか不思議になり、
その源を辿り始める。
しばらくもしないうちに、ルルカは泉を見付けた。
『井戸を掘らなくても、こんなふうに水があるんだ……?』
帰ったら、皆に教えてあげよう─。
ルルカは嬉しくなって、キイチゴの籠を放り出し、泉に飛び込んだ。
身長の倍ほどの深さがある天然の水瓶の中をくるくると泳いで満足したルルカは、
水から上がり、服を乾かそうと大きく体を伸ばしたところで、異変に気付いた。
いつの間にか、異種族の男たちに囲まれていたのだ。
角のある者、大きな鬣を持った者、尖った耳を持った者、
十数人の狩人たちがルルカを捕えようとしていた。
(獺狩りだ……。
私は、裸にされて、槍で突かれて死ぬんだ─)
逃げようとするルルカの首に投げ縄がかけられ、三方から引き絞られる。
ルルカは抵抗してはいけないという父の言葉を思い出し、その場に立ち尽くした。
「若いが、牝の獺のようだ」
「胸が小さくてよく分からないな」
彼らは、母が教えてくれた公用語を話していた。
恐怖がルルカを包む。
首を絞めつける縄でつま先立ちの姿勢を強要されたルルカの足はガクガクと震え、
長い槍のようなものを手にした男が目の前に立つのを見て、悲鳴をあげた。
『心配するな、これは獺槍じゃない。ただの棒っきれだ。
これでも獺を大人しくさせるには十分だろう。
お前が牝の獺なら、殺したりもしない』
暗褐色の毛皮を持つ、小さな丸い頭にずんぐりした体型の男の言葉に、ルルカは驚いた。
『私たちの言葉が……話せるの?』
『そうだ。俺たちクズリ族は、お前たちと祖先が近い。
だから、通訳のために話す訓練をしてるのさ』
『服を……脱がされるの?』
自分がどうやって殺されるのか知っている、というルルカの態度を見て、
クズリの男は苦笑を浮かべた。
『だから、これは獺槍じゃないって言ってるだろう。
まぁ、裸になりたいなら好きにすればいいさ』
ルルカは首を横に振る。
『そうだろうな。とはいえ、確かめさせてもらうぞ』
男は長い鉤状のツメで器用に紐を解くと、ルルカの股間を覆う布を捲り上げた。
457:かわうそルルカ 1-6/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 22:00:11.60 uBam7Vd+
若い牝獺の慎ましい女性器が丸見えになる。
ルルカはそこをおしっこをする場所だとしか思っていなかった。
それでも、大勢の前で普段は決して他人に見せることのない部分を晒され、
言いようのない恥ずかしさに身を焼かれるように感じた。
男は、身動きできないままのルルカの股間に手を当て、恥部に指を突き立てる。
『!!』
おしっこの出る穴に、男のツメがめり込んだのだと、ルルカは思った。
痛みと羞恥に包まれ、全身がかっとなる。
命の危険に曝されている恐怖も吹き飛ぶほどの恥ずかしさに、
『やめて!』とルルカは叫んだ。
両親にもらった大事な体が穢されていると思った。
そんなルルカを横目に、男は仲間たちに告げる。
「こいつは、牝だ」
続いて交わされる公用語の会話。
「子供だな。近くに親も居るだろう」
「何人か先に行って住処を探すんだ。気付かれたら逃げられるからな」
「牡はすぐに殺せ」
男たちの言葉に、ルルカはまた、震え上がる。
ルルカは、自分がそれらを理解できていることを知られてはいけないと思った。
通訳のクズリが居るのは、彼らが獺族とは言葉が通じないと信じているからだ。
クズリの男に促され、首に縄をかけられたまま獺たちの集落へ向かったルルカが見たものは、
誰も居なくなった空っぽの住居だった。
生活道具だけでなく、食べ物も、あの父が見せた獺槍を包んだ布も─全て、無かった。
『お前は囮にされたんだ。自分たちが逃げる時間を稼ぐためのな』
『そんなことは……』
あの優しい母が、父が、自分を捨てるわけがないと信じたかった。
『ここで暮らしていた形跡も残っちゃいない。
予め、準備していた証拠だろう』
ルルカはわっと泣き出した。
『近くに別の獺狩りが来ているらしい。
逃げた連中が生き残れるかは怪しいな。
奴らは牡だろうと牝だろうと容赦はないからな。
お前は運がいい。
獺族は見付け次第、殺すことが全種族間の合意となっている。
だが、俺たちの街、シエドラでは、
牝獺だけは生かしておくことになっているんだ』
ルルカは、彼らの街へ連れて行かれた。
森を出て砂漠化した大地を二、三日歩き、
僅かに緑のある平原に聳え立つ、石の壁に囲まれた都市へ着いた。
そこには、隠れ里の生活の中でルルカが見たことがないほどの「水」が溢れていた。
獺族から奪われて久しい、生活の基盤である、水─。
特に、広場の中央に高く飛沫を上げる噴水は、ルルカに強い印象を与えた。
ルルカは、獺の本能か、飛び込んで水を浴びたいという衝動に駆られる。
その噴水を、ただ眺め続けるだけの生活を送ることになろうとは、
そのときのルルカには想像もできなかった。
458:かわうそルルカ 1-7/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 22:02:26.64 uBam7Vd+
-/-/-/-/-/-/-/-/-
涙で曇った目の視線の先に、大きな噴水がある。
ここに初めて連れてこられたあの日に見たものと同じ噴水─。
ルルカは夢から現実に引き戻されていた。
五人のアンテロープの男たちは、気絶したままのルルカを一回ずつ犯し、
やはり反応が無くては楽しくないと、一人が両腕を掴んで吊り上げ、
別の一人が乳房を平手で打ち始めた。
ルルカは目を覚まし、痺れるような痛みと、
きれいな形の乳房を打たれて歪ませられる悲しさに、弱々しく呻いた。
体をくねらせて避けようとすると、地面に触れている尻尾の先を踏みつけられ、
抗う術を奪われた。
小さな体の獺は、そんな万歳の恰好をさせられてしまえば、
女の子の大事なところを守ることもできないのだ。
三巡目の凌辱が始まる。
獺族の頑丈な体が状況に慣れてきており、ルルカの意識は次第にはっきりしてくる。
その分、体の奥底を抉られる鈍痛や、
惨めなマークを刻印された恥丘に打ち付けられる大きな睾丸の衝撃や、
生臭い草食獣の精液の臭いを嫌というほど感じさせられる。
先端まで太い草食獣のペニスは、
緩んだルルカの子宮の入り口を貫通することはない代わりに、
子宮全体を胃のあたりまで押し上げる。
ルルカは嘔吐しそうになるのを必死に耐えた。
胃の内容物を吐き出して、男たちの衣服にかかったりでもすれば、
さらに酷い目に遭わされるだろう─。
「ちょっと、いいか?」
聞き慣れた声が、ルルカを輪姦するアンテロープの男たちに投げ掛けられる。
助かった─、とルルカは思った。
こんな状況でなければ、その声の主をルルカはあまり歓迎しないのだが。
全身灰褐色の毛に包まれ、尖った耳と突き出た鼻先とルビーのように赤い、
鋭い眼光の目を持った男が、割って入ってきた。
「"おつとめ"をさせるんだ。こいつはしばらく店じまいだ」
アンテロープの男たちは口々に文句を言ったが、
現れた男の首から背中にかけての毛がざわっと逆立つのを見て、
慌てて逸物を腰布の中にしまい、逃げるように去って行く。
厚い胸と上半身を覆う豊かな灰色の毛並み。筋肉質の体に着けているのは、
緩く身に纏わり付くズボンのみで、体の後ろには特徴的な長く太いブラシのような尾が揺れる。
彼は、ウォレンという名の狼族の青年だった。
アンテロープと狼のやり取りを見ていた通行人は、ウォレンとルルカを遠巻きにして、
近付こうとはしない。
繋がれたルルカが見聞きした印象では、シエドラにおいて狼族は特権階級であり、
彼らの指示には誰も逆らえないようだった。
結果として一息つくことができたわけだが、ウォレンの登場はいつも、
ルルカに取って良いこととは思えないものだ。
ルルカは当然、彼に対しても牝獺の挨拶の姿勢を取らねばならない。
立ち上がって尻尾を持ち上げようとしたところ、
足腰が立たなくなっており、ルルカは前のめりに倒れそうになった。
ウォレンの大きな手が、ルルカの胸環を掴み、体を支えた。
彼が親切心からそうしているのではないことをルルカは知っている。
狼の鋭い眼光が、ルルカの裸身を刺した。特に、乳房と性器の上を視線が這い回る。
いつもそうだ。
彼は、しばらくそうしてルルカを立たせ、美しく、艶めかしく、
また、とても性的である裸の獺の体を眺めて楽しんでいるのだ。
今日のようにルルカが憔悴している場合は、体を支えてくれることもある。
その間に息を整えろ、と言いたいのだろう。
459:かわうそルルカ 1-8/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 22:03:54.13 uBam7Vd+
今日は何の用?と、ルルカは目で問いかける。
「行商にこの街の特徴的な制度について説明するんだ。
遠い土地で暮らしていて、本物の獺族を見たことがないって連中だ」
「あ、あの北の果てから……っていう?」
「人目のあるところで声を出すなと言ってあるだろう」
(だったら、話しかけてくれなければいいのに……)
ウォレンはこの街で、ルルカが公用語を話せることを知る唯一の人物だった。
「北の果てに住む、シカの一族だ。
北方の種族の性器はでかいぞ。お前にはつらいだろうな」
ルルカは悲しくなって俯く。たった一人の言葉が通じる相手なのに、
彼はいつもこんなふうに意地悪を言うのだ。
「そんな顔をするな。彼らの土地の話を聞き出してやる。
少しは気が紛れるだろう」
(でも、どうせその後、犯されるんでしょう?)
ウォレンはルルカの頭をぐしゃぐしゃと撫で、「行くぞ」と言った。
ウォレンがその行商に説明しようとしているのは、
ルルカたち牝獺の処遇についてに他ならない。
一年中発情して自由に性欲の捌け口に利用できる牝獣が居るのは、
世界中どこを探しても、ここシエドラ以外には無い。
ウォレンの言う"おつとめ"とは、新しい訪問者たちに対し、
牝獺に奉仕をさせて、シエドラの宣伝に役立てようというものだ。
ルルカは何人いるか分からない、
少なくとも一人や二人ではない行商の男たちに順に犯され、
終わった後、ウォレンにも犯されるのだ。
ウォレンは壁に繋がれたルルカの鎖を外して手に取った。
そのまま彼女を引いて行こうとするウォレンに、
ルルカは小声で「体を清めさせて」と訴えた。
「十秒だけ待ってやる」
ウォレンは鎖を放す。
どうせ周囲に荒野が広がるこの都市から逃げられはしないし、
ルルカも、獺の短い足で必死に逃げたところで、
すぐに捕まり罰を受けることはよく分かっている。
ルルカがいつも繋がれている位置から鎖の届く範囲に流れる水路の一部が、
そこだけ深く掘られており、1メートル四方ほどのプールになっている。
ルルカは急いでそこへ飛び込むと、水中で三度、宙返りをして水流を起こし、
体の汚れを洗い落とした。
ここへ浸かると、ルルカはあの運命の日、泉に飛び込んだことを思い出す。
獺の本当の生きる場所はここだ、水の中だ、と本能が告げている。
いつまでもそうして泳いでいたかったが、ウォレンが待っている。
いつもは長く水に浸かっていると、鎖を引き上げられ、殴られた。
今は鎖の端はどこにも結わえられていないが、ルルカは律儀に約束を守った。
(十秒……)
水底にとん、と片手を突いて水面へと向きを変え、
体を竜巻のように回転させる勢いで、石畳の上へ飛び出し、ぶるぶると体を振って水を払う。
「いつもながら、お見事」
ウォレンはまさに水を得た魚のような獺族の流れる動きに感嘆の声を漏らしたが、
抑揚の無い公用語で言われても、ルルカには彼の感情が汲み取れない。
肉食獣の鋭い眼光で射竦めるようにしながら褒められても、嬉しくなかった。
460:かわうそルルカ 1-9/9 ◆q6hKEmO86U
12/01/28 22:05:42.22 uBam7Vd+
ルルカの体内には、まだ先ほど流し込まれた精液が溜まっている。
牝獺の排泄用に、石畳に浅い排水路が掘られていた。
ルルカはその上にしゃがみ込んで、水を掬って性器を洗う。
体の奥まで注ぎ込まれた男たちの精液をなんとか絞り出し、
さらに指の届くところまで清めようと思った瞬間、ウォレンが鎖を掴んで引いた。
「あ、待って……」
どんなに惨めな扱いを受けていても女の子の嗜みとして体を清潔にしておきたい、
と思うルルカの気持ちは、いつもこのようにして踏みにじられる。
「どうせすぐに汚れるんだ」
ウォレンに促され、ルルカは彼の指す方向へ歩き始めた。
乳房に圧し掛かる金属環を少し持ち上げながら、よたよたと短い足で進む。
噴水の横を過ぎ、広場から路地へ出る頃には、
ルルカの股間からジュクジュクと音を立てて愛液が溢れてきていた。
犯されている間はそんなに出ているとは思わないのに。
きっと自分の体は、凌辱に慣らされ過ぎているんだろう、とルルカは思う。
そこに何も挿れられてないと、体が浅ましく牡を求めてしまうのだ。
どうして、こんな体になってしまったんだろう─。
(ごめんね、お母さん……。
お母さんにもらった体を、私は大事にできなかった……)
牝獺の体を性の奴隷に変えてしまう儀式を、ルルカは思い出していた。
それはこの狼、ウォレンとの出会いの記憶でもあった。
461: ◆q6hKEmO86U
12/01/28 22:07:34.92 uBam7Vd+
以上です。
エピローグを除いて、今回が一番エロが薄い回になると思います。
次回、かわうそルルカの生活 第二話は、サブタイトル『毒針』
囚われたルルカの体は、惨めな性の玩具に造り替えられていく。
『お前たちの体はもうお前たちのものじゃない。
だから、体を隠すことも許されない』
みたいな感じでお送りします。お楽しみに。
462:名無しさん@ピンキー
12/01/29 15:16:20.42 BxF78aam
うひょー素敵です
463:名無しさん@ピンキー
12/02/01 22:50:34.74 YvMhNEZs
SUGEEEEEEEE!世界観とか凝ってるなあ!
つづきのエロも超期待してます。
なんとなく狼×兎の時間割を思い出したけど、同じ作者さん?違ったらごめんね
464:名無しさん@ピンキー
12/02/03 23:04:18.19 xHAW1T/K
>>463
匿名で書いてる作者さんの詮索はよろしくないよ
うさうさ懐かしいな。あの頃のスレは活気があった…気がする
465:名無しさん@ピンキー
12/02/11 18:58:19.66 c2O9zIXO
モフモフ
466:名無しさん@ピンキー
12/02/12 21:13:48.67 cn1ovXf+
【異形化】人外への変身スレ第五話【蟲化】
スレリンク(eroparo板)
↑で獣化ネタを扱う人も増えているし、
ただ、向こうは例の保管所に登録していないから、1000まで行ったら記録が引き出しにくくなるという危険性がある。
467: ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:23:05.83 AL+dZQeP
かわうそルルカの三回目、第二話を投下します。
注意事項等は、>>442の通り。
今回はちょっと過激な責めシーン有りです。
468:かわうそルルカ 2-1/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:24:20.20 AL+dZQeP
【2】 -毒針-
獺狩りの部隊は、食糧などを運ぶ大きな馬を数頭連れて来ていた。
首縄を馬に繋がれ、強制的に歩かされるルルカは、異種族の男たちより、
自分の十倍以上もある大きさの四つ足の動物に怯えた。
その動物は、背負った鞍以外は裸で、声も立てず、男たちの指示に従っていた。
『家畜を見るのは初めてなんだな』
クズリ族の男が、ルルカの後ろについていた。
『こいつらは、言葉を持たない遠いご先祖さまの生き残りさ。
大干ばつで野生の大型動物は姿を消した。
こうして捕えた獣を殖やし、調教し、役立てる。
人や荷物を運ばせたり、食用にしたり、とな』
『言葉を話さない者たちは、食べていい─っていう?』
『そうだ。
どの種族も親から似たようなことを聞かされるんだな』
『この……家畜?
……も、食べられるの?』
『使い物にならなくなれば、な』
『そう……』
短い足で必死に歩くルルカには、それ以上の言葉を続ける余裕は無かった。
シエドラに着いたルルカは、街に溢れる人の数に圧倒される。
そして、行き交う人々に混じる、馬や豚や牛などの家畜たち。
街には馬に似た顔の人間も居て、ルルカは不思議な感覚に包まれた。
クズリ族の男はいつの間にか姿を消していた。
ルルカは、耳に飛び込んでくる無数の公用語の会話に嫌でも耳を傾けることになる。
母から教わっていたといっても、本物の言葉は早口で、なかなか正確に聞き取れない。
誰もルルカを相手にしていなかった。
獺族に言葉が通じるとは思っていなかった。
ルルカは群衆の中に居て、孤独だった。
首縄を引かれるルルカは、街に居る縄や鎖で繋がれた家畜たちと自分の違いは、
服を着ていることだけのような気がした。
人垣の間を連行されたルルカは、広場の噴水の前で、
首縄を太い革製の首輪に付け替えられた。
首輪には長い鎖が付いており、それはさほど頑丈なものではなかったが、
ルルカに囚われの身であることを自覚させるに十分だった。
「で、空きが出たのはどこだっけ?」
「酒場と集会所の裏と─」
「広場の牝もそう長くはない」
「じゃあ、この牝獺はいずれ広場に繋ぐことになるな」
黒い布がルルカの顔に巻かれ、視界を奪われた。
「こうすれば獺は大人しくなるんだ」
目隠しをされたルルカは、何をされるのかと怯えた。
複数の男の手で、ルルカは服を脱がされた。
目隠しのおかげで、恥ずかしさよりも不安が勝り、ルルカは身を縮こまらせる。
男たちは、ルルカの足を軽く開かせ、「おしっこをするところ」を指で広げる。
(どうしてそんなところを調べるんだろう……)
水中での生活に適応した祖先の血を引く獺族の性器は目立たない。
特に、発情もしていない若い牝獺の場合、その部分は毛皮から顔を覗かせた、
小さな桃色の膨らみでしかない。
肉の膨らみに、縦に一筋の溝のような窪みがあり、それが陰裂を形作っている。
男の指が、陰裂を押し広げて粘膜を露出させていた。
ルルカは自分の性器の構造をよく知らない。じっくり見ようと思ったこともない。
何人もの男たちの好奇の視線がそこに注がれていることは、
目隠しをされたルルカには分からなかった。
469:かわうそルルカ 2-2/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:26:03.12 AL+dZQeP
こうして、新しい牝獺の健康状態を確認する傍ら、
いずれここが熟れた果実のような変わり果てた姿になり、
ペニスを誘い込むようになるさまを、男たちは想像する。
異種族の目にも、小さな体で美しい毛並のルルカは、可愛らしかった。
今は清楚で純真無垢なこの牝獺が、
やがて淫らな汁を垂れ流し、美しい声で喘ぐようになるのだ。
男たちは交代で、その薄桃色の未熟な果実を眺めるのだった。
(いつまで触られてるんだろう?)
このように指で広げられ、粘膜を空気に晒されることなど初めての経験だ。
股間の粘膜が冷たい空気に触れ、ルルカは尿意を感じた。
街に近付いたあたりから排泄をさせてもらっていない。
尿意はどんどん強くなり、ルルカは必死に我慢した。
胴と同じくらいの長さの特徴的な獺族の尾が持ち上げられる。
根本が太く、お尻との境い目が目立たない尾の付け根に覗く、獺の肛門は、
ビロードのような茶褐色の毛並がその部分だけ地肌に変わり、
水棲動物らしく慎ましい締まりを見せている。
尾を吊り上げられ、くつろげられた肛門の中央にも薄桃色の粘膜が顔を出した。
(お尻の穴を……見られてるの?)
いつもきれいにしているとはいえ、不浄な部分を見られたくはなかった。
ルルカを包む不安は、徐々に恥ずかしさに変化していく。
男たちの手はルルカの全身を這い回り、やがて未熟な乳房に触れたとき、
ルルカは『あっ』と声を上げ、身を捩った。
初めて見せる抵抗。
母から大事にしなさいと何度も言われていた乳房を、何者とも分からない連中に触られる─。
耐え難い悪寒が走った。
(やめて!)
ルルカが激しく暴れ出す前に、動きを察した男が、首輪を掴んで吊り上げる。
上手く顎に体重がかかったため、呼吸を妨げられることはなかったが、
ルルカは恐怖に包まれた。
自分の倍以上ある体格の異種族に体を振り回される恐ろしさ。
非力な獺たちにとっては、想像したこともない、暴力だ。
ルルカの父を思い出してみても、
まだ彼を見上げるくらいの背しかなかったルルカを抱き上げるのに苦労していた。
宙に浮かされただけですでに逆らう気力も失っているルルカの腕が、
大きな手で掴まれ、捩じ上げられる。
獺のオトナたちは皆優しかったし、幼いルルカに服を着せようとした父の腕の力も、
こんなに恐怖を感じるほどには強くなかった。
ルルカはこの一瞬で、獺族が彼らに力ではまったく敵わないことを知らされてしまった。
だらりと腕と足を垂らしてルルカは乳房を押し潰される痛みに耐えた。
可愛らしい桃色の乳首が赤く染まってくる。
「まだ、随分と固いな……」
「使えるようになるには、半年くらいかかるか」
検分は、ルルカが感じていたよりはずっと短い時間で終わった。
目隠しをされたまま、着ていた服が腕の中に返されると、
ルルカは乳房と股間を隠すように、それをギュッと抱き締め、ほっとする。
その母からもらった服は、ルルカにとって家族との最後の絆だった。
ルルカは目隠しを解かれぬまま、鎖を引かれて広場から離れた。
足の裏に、陽に照らされた石畳の熱を感じなくなったとか思うと、
石の階段を降りさせられていた。
地面の下へと潜っていくのが分かった。
470:かわうそルルカ 2-3/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:27:05.75 AL+dZQeP
ルルカが連れて行かれたのは、広場の脇にある建物の地下だった。
目隠しが外され、ルルカは地下牢の部屋の一つに押し込められた。
牢の格子戸に錠がかけられる。
長い鎖が格子戸に繋がれてはいるものの、ルルカはその部屋の中に限っては自由になった。
まだ裸のままだったルルカは慌てて服を着た。
ルルカは、男たちと入れ替わりに地下に降りてきた二つの影に気付き、
咎められるのではないかと思い、怯えた。
『服は着ていてもいいぞ。いや、ここではそうしていろ』
聞き覚えのある声。獺族の言葉。
檻の格子の向こうから、クズリの男が声を掛けてきた。
男の一人は、ルルカが捕えられたときに通訳をした、あのクズリ族だった。
『俺はジエルだ。こちらはジルフ。
これから、ここでお前たちの世話をする』
『あの、私は─』
『おっと、名前を言うんじゃない』
名乗ろうとするルルカを、ジエルが手を突き出して制止した。
『言うなよ。言ったら酷い目に遭わすからな。
いいか、俺たちを除いて、お前らは誰とも話ができないんだぞ。
いずれは俺たちも……』
『ここでは、お前はただの捕えられた一頭の牝獺なのだ。
世話をする者が情を移さないよう、こういう決まりになっておるのだよ』
ジエルの言葉を補ってルルカに語りかけるのは、ジルフと呼ばれた男だ。
ごろんとした逞しい体格のジエルに比べ、小柄で少し背の曲がった初老のクズリ族だった。
ジルフの顔は白髪でまだらになっており、細めた目が柔和な印象を与える。
ルルカは緊張が解け、途端に、先ほどからおしっこを我慢していたことを思い出した。
『あの……』
『なんだ?』
『……おしっこが……』
ジエルが、そうかと言って、部屋の端を指差す。
『床に溝がある。ちょろちょろと水が流れているだろう?
そこで排泄するんだ』
彼の言う通り、壁から少し離れたあたりを、手のひらほどの太さの水路が床を横切っていた。
ルルカはそれを跨いで股間を覆う布を捲ったところで躊躇する。
『あの……』
『どうした、早くしろ』
『音を聞かないで』
ジエルはルルカの願いを、くくっと笑い飛ばす。
『早くしろ。何なら、我慢の限界がくるまで、じっくり見ておいてやろうか?』
ここの生活に早く慣れておけ、とジエルは言った。
ルルカが音を立てないように少しずつおしっこを出し切って格子の前に戻ると、
クズリたちの姿は無かった。
冷たい鉄の格子は恐ろしげではあったが、獺族の集落では造れない金属も、
水と同様にここには溢れていることがルルカを驚かせた。
しばらくして、いい香りが漂ってくる。
『食事だ』
ジエルが大きな碗に湯気の立つ食べ物を入れて運んできた。
どろどろしたスープ状のそれは、何かを煮込んだものらしい。
ルルカは、すっかり自分のお腹が空いていることに気付いた。
見たことが無い食べ物ではあるが、香りに誘われ、碗に頭を突っ込む。
次の瞬間、びっくりして叫んでいた。
『……痛いっ!』
ジエルは、腹を抱えて笑った。
『痛い、じゃない。熱い、だろう?』
471:かわうそルルカ 2-4/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:28:10.67 AL+dZQeP
獺族は食べ物に火を通さない。煙を上げるわけにもいかず、また、
彼らの消化器官には不釣り合いなものまで食糧にしなくてはならない獺たちには、
食べ物を料理している余裕など無い。
放浪を続けるうちに、料理をするという文化が失われていた。
ルルカは生まれて初めて、舌に火傷をしたのだ。
『食事は、一日に五回与える。
だが、いつもこんな温かい食事を出すつもりはないからな』
ジエルは、これは獺専用の餌だと言った。
獺に必要な栄養だけを考えて余り物を混ぜて煮込んだだけのものらしいが、
それでも、これまで食べてきたものよりずっと美味しく、
獺族の食生活がいかに貧しいものだったかを、ルルカは思い知らされた。
人心地が付くと、ルルカは改めて自分が閉じ込められた場所を観察した。
壁と床を冷たい石で覆われた寂しい空間は、それでも、
家族三人で横になっていた窮屈な寝室の数倍の広さがあった。
上部が桶状になった小さな石の台から水が溢れ、先ほど使った排泄用の水路に流れている。
このひと部屋だけで水回りには困らないようにはされていたが、
飲み水や、濡らした布で体を拭くには充分にしても、水浴びをすることはできそうにない。
水路と反対側の部屋の壁に、木の板を鎖で吊ったベッドが用意されていた。
ベッドには寝藁が敷かれていた。これまで床に直接転がって寝ていたルルカは、
その寝藁の心地よさに驚く。
あんなに恐れていた獺狩りが想像していたものと違うことを不思議に思うルルカに、
老クズリのジルフは言った。
『お前は獺族の代表の一人として、いずれ罰を受けねばならん。
今はまだ体がオトナになっていないから、ここで成長を待っておるのだ』
ジルフは、ルルカを憐みの籠った目で見る。
『罰って……、どういうこと?
どうして、獺族は追われなければならないの?』
ルルカは小さい頃から誰も答えてくれなかった疑問をぶつけた。
獺を殺そうとする彼らなら、教えてくれるかもしれない。
『昔から続いていることだ。誰も疑問に思わず、それを繰り返している』
『じゃあ、理由は……』
『記録にも残っておらんし、本当のところは誰にも分からんかもしれんな』
それでは、獺のオトナたちから聞いた話と変わらない。
『何でもいいの。あなたが知っていることを……教えて!』
ジルフに食い下がるルルカを見かねてか、ジエルが口を挟む。
『つまりさあ、獺族ってのは他の種族にとっては深い恨みの対象なのさ。
冷酷で残忍な獺どもは、世界を引き裂き圧政を敷いていたんだ。
お前たちの罪はいつまでも消えない。長い時間をかけて裁かれるんだ』
『ジエル、そのくらいにしろ。
我々の仕事は獺が体を壊さないよう、管理するだけだ。
余計なことを話すのは禁じられているだろう』
『獺族の罪って、何なの?
世界を引き裂いたって……』
『そんなこと知るもんか。だから言ったろ、大昔の話さ。
誰も覚えちゃいないんだ』
立ち去ろうとする二人のクズリを呼び止めようと、ルルカは叫ぶ。
『そんなよく分からない理由で獺族は殺されてきたの!?』
やれやれ、といった風に、ジエルはルルカに向かって、こう返した。
『お前の両親は、お前を囮にして逃げたんだ。
あれが獺族の本性なのさ─』
472:かわうそルルカ 2-5/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:29:10.82 AL+dZQeP
クズリたちの姿が消えた後、ルルカはふらふらと部屋の隅に行き、
顔を伏せて泣いた。
ジエルの言った言葉─、信じたくはなかったが、
それが事実ではないと言い返す自信がルルカには無かった。
本当にルルカを囮にするために、母はキイチゴを摘みに行くよう仕向けたのか。
涙が次から次へと溢れてきた。
裏切られたかもしれないことが悲しいのではない。
ほんの数日前の出来事だというのに、キイチゴを採ってきて欲しいの、とルルカに言った、
あのときの母の表情が、どうしても思い出せなかったからだ。
数日もすれば、ルルカは地下牢での生活にも慣れた。
隠れるところもない広い部屋で排泄をする恥ずかしさは無くならないが、
いつも誰かが見ているというわけでもない。
天井近くに明かり取りの隙間が開いており、壁と床を冷たい石で覆われた寂しい空間に、
時間の流れを伝えてくれる。
明かり取りは、広場の石畳すれすれの位置にあるらしく、
街の喧噪が閉じ込められたルルカの耳にも届いた。
夜になれば、その細長い光の入口は閉じられ、代わりに蝋を使った燭台が灯される。
至れり尽くせりのその地下の空間は、意外なほどに快適だった。
いや、ルルカも初めのうちはそう思っていたが、
次第にそこが、獺族にとっては必ずしも良い環境とは言えないことに気付く。
床を流れるほんの少しの水では、水浴びができない─。
そのことがルルカを苦しめるようになる。
部屋は温度を逃がさない構造になっており、日中、差した陽の光がもたらす熱は、
朝までその場に籠っていた。
ルルカが閉じ込められているのは、"獺の窯牢"と呼ばれる獺専用の収監施設だった。
長い年月のうちに工夫されてきた、巧妙に牝獺の体を変化させていく仕組みがそこにはある。
文字通り、窯のように熱を溜め、獺の体を蒸し上げるのが目的なのだ。
若い牝獺は、体に熱が籠らないように水浴びをしなければならない。
ルルカも小さい頃から何度も言い聞かされてきた。
そうしなければ、体が疑似的に発情を起こしてしまう。
それはルルカのような、まだ完全に性成熟していない若い牝獺の体にも起こるのだ。
閉じ込められて十日もしないうちに、ルルカは息苦しさに包まれる。
体中が熱くなり、頭がぼうっとする。
水を何度口にしても、その熱は収まりそうになかった。
我慢しきれなくなって、肩で大きく息をする。
肺いっぱいに空気を取り込んでも、体はいっこうに冷えず、呼吸はどんどん激しくなる。
この先ずっと、そのはぁはぁという荒い呼吸と付き合って生きなければならないことを、
ルルカはまだ知らなかった。
『もう症状が表れたか。感度のいい娘だね』
気付けば、老クズリのジルフが、牢の中で激しく息をするルルカを見詰めていた。
『私はどうなるの?』
『心配することはない。シエドラで暮らすのに相応しい体になるだけだ。
苦しいかもしれないが、じきに慣れる。
前にも言ったが、暑くても服を脱ぐことは許さないよ。
それが決まりだ』
『何が起きてるの? 私の……。
熱が籠ってはいけないって言われてた。
これがそうなの?』
ジルフは相変わらずルルカの質問に答えようとはせず、
代わりに牢の中のルルカに何かを差し出した。
473:かわうそルルカ 2-6/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:30:14.84 AL+dZQeP
『これからは、これをいつも体の穴の中に入れておくのだよ』
『体の……?』
『お尻の方ではないぞ』
ジルフが手渡したものは、獺の小さな手のひらにかろうじて収まる大きさで、
卵を細く引き伸ばしたような形の、樹脂の塊だった。
ジルフは続けて、液体の入った小瓶をルルカに渡す。
『この果実から採った油を塗って使うのだ。
体に収めたら、まずは明日の朝までずっと入れておくのだよ』
『何のために……』
『お前の苦しみを減らすためだ』
ルルカは困惑した。
ベッドの上で、股間を隠す布をそっと捲り、自分のそこを確かめた。
(お尻の穴……じゃない……穴……)
他には、おしっこをする穴しか思い当たらない。
ルルカは、性器に指先を当てる。熱に冒されるようになってから、
そこも少し熱くなっていて、心なしか膨らんでいた。
そのことには、小便をするときに気付いていた。
『あっ……!?』
肉の突出した部分を開いて粘膜の中心をそっと触ってみると、
指が沈み込んでいく部分があった。
性についてそれまで何も教わったことのなかったルルカは、自分の体の、
おしっこの穴のすぐ下に、もっと大きな穴があることを初めて知った。
穴が体の奥まで続いていることもすぐに分かった。
(これは、もしかして?)
その穴の奥には、きっと母が教えてくれた「子供を育てるところ」が在る、
そうルルカは直感した。
そうか、とルルカは思った。
ずっと不思議だった、お腹で子供を育てるということがようやく理解できた。
この穴は、おそらく、子供が生まれてくるための穴なのだろう。
それにしては─、おしっこの穴に比べれば大きいとは言っても、
指先がかろうじて入るくらいの広がりしかない。
ルルカはジルフに渡された道具を見て、身を震わせた。
こんなものを入れたら、体が壊れてしまわないだろうか。
大事にしなさいと母に言われていた体の奥の部分が傷付くことをルルカは恐れたが、
優しそうな物腰のジルフの言葉に逆らう道理も持ち合わせていなかった。
ジルフに言われた通り、小瓶の油を表面に塗って、その樹脂でできた棒を、
ルルカは股間に押し当てる。
裂けるような痛みが走る。
痛みを我慢していると、それはじわじわと体の奥に飲み込まれていった。
(大丈夫……。入る……。入るよね……?)
ルルカは、時間をかけてその道具をなんとかお腹の中に収めた。
体の中が引き攣ったようになり、しばらく仰向けになって喘ぐ。
食事を運んできたジエルが声を掛けても、
ルルカはベッドの上から起き上がることもできなかった。
『なんだ、もうあれを始めたのか』
声には出さないが、ジエルがくっくっと可笑しそうにしている様子が伝わってくる。
ルルカは自分のしていることが恥ずかしいことだと気付いた。
『食べ物はここに置いておくぞ』
ジエルに言われて、ルルカはベッドから降りた。
二本足で立つと、お腹に収まった棒を中心に、ズキズキと痛みが起きた。
474:かわうそルルカ 2-7/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:31:24.17 AL+dZQeP
這うようにしながら、ようやく牢の格子戸まで辿り着いたルルカを、
ジエルはその場でずっと待っていたようだ。
そのニヤニヤした顔を見て、ルルカはまた羞恥心を掻き立てられる。
『その様子だと、自分の体に三つの穴があるのを知らなかったってクチだな』
『……』
『寝転がっててもダメだぞ。普通に歩けるようにならなきゃな』
『そんなの……無理だよ……』
その後も半日ほどは、お腹の中の違和感で歩くこともままならなかった。
しかし、水を飲んだり排泄したりしないわけにはいかない。
薄暗い照明が灯される頃には、のろのろとなら立って歩けるようになっていた。
『確認するぞ。お腹の中のものを出して見せろ』
翌朝、現れたのは、ジルフではなく、意地の悪いジエルだった。
目が覚めてすぐに、ルルカはその違和感に我慢できなくなって、
体に収めた樹脂の棒を取り出そうとしていたところだった。
朝まで、という約束は守られているはずだが、
まさかジエルが確かめに来るとは思っていなかった。
ジエルは格子戸に結わえられている、ルルカの首輪の鎖を引いた。
『えっ? 待って……』
引っ張られてベッドからどさりと落ちたルルカは、慌てて床にツメを立て、踏ん張る。
股間を丸出しにしていた。ジエルに見られたくない。
『嫌っ! 自分でするから、お願い……』
『それじゃあ、いつになるか分からないな。
なかなか出てこなくて不安になっていたんだろう?』
図星だった。
体に収まった棒は、指を挿し込んでみても、先端に触れてさらに押し込まれてしまうばかりで、
取り出すことが出来なかった。
それでも抵抗するルルカを、ジエルは恐ろしい力でずるずると引っ張った。
改めて、獺族の非力さを思い知らされる。
それだけでも恐ろしいのに、ルルカを引き寄せたジエルが、
格子戸を開け、牢の中へ入ってきたのだ。
ルルカは悲鳴を上げたが、体を押さえ付けられてしまった。
服に手をかけられて、ルルカはジエルの意図に気付き、恐る恐る聞いてみる。
『……裸を見たいの?』
ジエルは手を止め、いつもの笑いを顔に浮かべた。
『そりゃそうさ、男はみんな、女性の裸を見たいもんさ』
『どうして?』
『恥ずかしいんだろう?
どの種族だってそうさ、女は簡単に裸を見せるものじゃない。
だから、その隠されたところを拝めると思うと、男は欲情するのさ』
『欲情って?』
『いずれ分かる。嫌というほどな』
『……』
『仕方ない、今は、見ないようにしてやるよ』
ジエルは顔を突き合わせた体勢で、ルルカを四つん這いにさせると、
ルルカのお腹を手前から奥へ、ゆっくりとさすり始めた。
『ほら、タイミングを合わせて力を入れてみろ』
ジエルの協力で、昨日からルルカを苦しめていた道具が、
ようやく体から抜け落ちた。
『慣れないうちはたっぷり油を塗って使うんだ。
次からは一人でやれるな?』
樹脂の棒はきれいに拭かれ、またルルカに返される。
『今日はこれを十回、出し入れするんだ。
明日は二十回。毎日十ずつ回数を増やしていけ』
『そんな……』
『嫌なら、縛り付けて俺の手でやってやる。
恥ずかしいところもたっぷり見せてもらうからな』
475:かわうそルルカ 2-8/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:32:27.72 AL+dZQeP
憂鬱になりながらも、ルルカは言いつけを守った。
四~五日で、股間の痛みは無くなった。獺族の体は適応力も回復力も優れていた。
ジルフは繰り返し、牝獺のためにそれをさせているのだと言った。
『昔はよく、若い獺の娘が、儀式の際にショックで死んでしまうことがあった。
あれは憐れなものだ。
そうならないように、儂がこれを考えたのだ』
『儀式って?』
ルルカは新たな不安の種に怯えた。
ここへ来たときに、いずれ罰を受けると言われた、そのことなのだろう。
『おお、すまんな。怖がらせるつもりはなかったのだ。
この地下牢に居る間は、先のことは考えるな。
悪いようにはしない─』
温和なジルフと対照的に、ジエルはいつも乱暴な物言いをした。
『外では異種族のご機嫌を取り、ここへ来れば牝獺なんぞにまで気を遣う。
クズリ族も大変さ』
彼の生活は、獺の世話ばかりではない。
郊外にある水車を利用して水揚げした魚を市場で売るのが、もう一つの仕事だと言った。
『まったく、魚なんて誰もあまり食べやしないのに。
いつも売れ残りを捨ててばかりさ。
どうしてクズリ族はこんな仕事ばかり代々続けてるんだろうな』
『お魚が……あるの?』
ルルカは、父から聞かされていた獺族の主食だったという魚が、
ここシエドラでは食材として売られていることを知って驚いた。
『ああ、余っていると言っても、決してお前たちの口には入らないぞ。
獺に魚を食わせた者は罰せられる決まりだからな』
お前たちには専用のエサがお似合いなのさ、とジエルは言った。
『でもな、アレもなかなか美味いだろ?』
彼は、どうやら料理の腕に自信があるらしい。
ジエルが言うには、食事が冷めていて美味しくないときは、
間違いなくジルフが作っているということだ。
ルルカはシエドラへ来て初めて、くすくすと笑った。
クズリ族の喋る獺語は、音程の変化がなく感情が読み取り辛いものだが、
そのときルルカは初めて異種族と気持ちが通じ合ったと思った。
ジエルはときどき、ルルカに話し掛けるようになった。
そのほとんどは、独り言にも似た愚痴だったが、
ときおり漏らす言葉は、ルルカに期待と失望を与えてくれる。
『大昔の協定で、あらゆる種族が獺槍を持つようになった。
全ての獺は殺されるはずだったんだ。
だがシエドラの先人たちは牝の獺に利用価値を見付けたのさ』
『利用価値って?』
『それは、今は教えられないな─』
『そればっかり……』
『仕方がないだろう。お前を捕まえたのは、仲良くしようってわけじゃないからな』
道具を出し入れしなければならない回数は、
いつしか二百回を超えるようになっていた。
道具を体に収めたり出したりしていると、体が熱くなり、息も荒くなる。
ルルカは、自分が恐ろしく恥ずかしいことをしているのだと思った。
短い時間で一度に出し入れを行い、
残りの時間は入れっぱなしにするのが楽だった。
それがルルカにとって当たり前になってきたのを見計らってか、
ジルフが新しい樹脂の棒と交換すると言い出した。
それは、これまでのものより一回り以上大きく、表面に無数の突起が付いていた。
(こんなものを入れるの……?)
ルルカは異物を初めて体に入れたときの苦痛を再び味わった。
樹脂に付けられた凹凸は、お腹の中にざわざわした感覚を生み、
その夜、ルルカは眠ることができなかった。
476:かわうそルルカ 2-9/15 ◆q6hKEmO86U
12/02/19 00:33:27.28 AL+dZQeP
朝になって、ルルカは桃色をしていた股間の肉が赤く腫れ上がっているのを見て驚いた。
そして、悪い予感はあったが、案の定、お腹に収めたものは、
力を込めてみても出てこなかった。
ルルカは仕方なく、ジエルに助けを求めた。
『さすがに今度は見ないようにはできないな』
ジエルはまた、牢の中まで入ってきて、ルルカを立たせると股間を晒すように強要した。
『体がおかしいの……。すごく腫れて……』
ルルカは恥ずかしさを我慢して、ジエルの大きな手が下腹部を撫で回すのに耐えた。
突起の付いた道具が股間から飛び出して床に転がるのと同時に、
液体がぽたぽたと音を立てて滴るのを感じて、ルルカはまた、驚いた。
『え……、何!?』
それは、明らかにおしっこではなかった。もう一つの大きな方の穴から漏れ出していた。
自分の体に何かが起きていることは確かだった。
『いよいよ恥ずかしい体になってきたな。
その汁はもう止まんないぜ?
服を汚すのが嫌なら、そこをいつも丸出しにしておくんだな』
そこが腫れているのも、もう一生治まらない、とジエルは言った。
"獺の窯牢"にひと月も囚われていては、獺族の体を冒した熱は一生取れなくなる。
ルルカはその熱により、疑似発情を起こしていた。
ルルカは、今までさせられていたのが、
牝獺の大事なところを穢す行為だったことをようやく知るのだった。
『騙したの?』
『お前たちが死なないように、
ってジルフが言ってるのは本当のことだぜ』
『でも……、酷い─』
『これが要るだろう? 服を洗うのに素っ裸になるのが嫌ならな』
ジエルはルルカに布を数枚、手渡した。
いつも体を拭いているものではなく、
股間の汁で服を汚さないようにするためのものだった。
その日からルルカは、クズリたちと言葉を交わさなくなった。
ジエルの言ったことは全部が本当というわけではなかった。
性器の腫れが引くことはなかったが、体の奥から滲み出てくる、
あのおかしな汁は、道具を体に入れさえしなければ出なかった。
しかしルルカは、否が応にも、この獺の窯牢の罠に囚われていく。
始めの頃のように、ルルカがそれを体に収めているかどうかを、ジルフたちは確認しなかったが、
ときおり、無言で手を差し出し、ルルカに道具の交換を促す。
ルルカがそれを使っているかどうか、もう彼らは確認する必要が無かった。
牝獺が、一度習慣になった行為を止められないと知っているからだ。
新しく渡されるものは、少しずつ大きさを増していった。
いずれ行われる儀式というものが股間の穴に関係していることは間違いない。
クズリたちを信じていいものかも分からず、不安を募らせたまま、
ルルカは股間に道具を出し入れする行為を続けていた。
我慢できないのだ。
母からもらった服のだぶついた胸の部分の奥で、果実が成熟するかのように、
ルルカの乳房は膨らんできていた。
服の上からゆっくりと乳房を撫でながら、股間の穴に挿し込んだ道具を動かすと、
頭がぼーっとするような感覚に包まれる。
まだ幼さを残した体が感じる、禁断の淡い快楽。
それを感じることは恥ずかしいことだとルルカは思った。
それでもルルカは、母にもらった体の神聖な部分を自らの手で穢す罪悪感に苛まれながら、
自慰行為を繰り返すようになっていた。
ベッドの上は牢の格子戸から丸見えになっている。
ジエルが時々にやにやしながら見ていることに気づき、
ルルカは格子戸の脇の壁の裏に隠れるようにしてその行為をするようになった。
(体が熱い……。気持ちいい……)
ルルカは、『ああっ、あああっ』と小さな喘ぎ声を上げていた。