らんだむダンジョンでエロパロat EROPARO
らんだむダンジョンでエロパロ - 暇つぶし2ch283:名無しさん@ピンキー
11/08/03 19:21:40.05 PmgA9pVr
ザリチェは元々堅物委員長キャラだったのが裏切られてグレたイメージ
でも大好きなセレネのために貞操は守っているとかだと俺に良し

アビスさんは巨乳がコンプレックスでサラシ着用
異論は認める

284:名無しさん@ピンキー
11/08/04 20:41:11.70 HaQ6fBT1
アビたん:
身長2メートル(お供の甲冑よりやたらデカいグラフィックからして)で、長身によく映えるダイナマイトバディ。
でもそのデカさがコンプレックスでサラシ着用の上に重装備までして隠している恥ずかしがり屋さん。
そして状態異常耐性に穴が目立つドジっ子でもある。
もしデレさせることに成功しても、とんでもない怪力なので抱きしめられて全身バキバキにされる危険性有り。
弱点の即死技と雷技を駆使する皆のトラウマ、カルマバランサーさんに全く頭が上がらない。
あとイエロードラゴンにもビビっている。

アイシクルマザーさん:
氷のように透き通った美貌を持つドSな女王様。
幼子を可愛がるかのような言葉遣いで対峙した冒険者達を氷漬けにしていくすごい女。
迂闊に肌に触れてもやっぱり凍らされる。
彼女の美は絶対不可侵である。
その絶対零度の心を溶かす程の、剛の者が現れない限り…。
が、登場期間の短さから微妙に存在感が薄くなりがちな現在の立ち位置が悩みの種。

テイマーさん:
身長は普通。そして貧乳。
幼少期から面倒を見てきた三匹の子竜だけが友達。
それ以外の生物との付き合い方がわからないシャイな子。そのくせ寂しがり屋、となかなか難儀な奴。
夢はレッドドラゴン、イエロードラゴン兄弟を使役する立派な竜使いになること。
ちなみに子竜達はデッドリーオーバーまで交えてコキ使われることに対して実は結構反感を抱いている。
が、自分達まで彼女を見捨てたら、いよいよ彼女には何も残らなくなるということも重々理解しているため、
不憫な主のために渋々付き従っている。

ザリチェさん:
元天界最強最優の天使として周囲の羨望を集める美女だったが、ご存知の経緯で堕天。
今ではかつて純白の衣の下に隠していたエロエロボディを、過激な衣装で惜しげも無く晒す痴女。
お堅く生真面目一辺倒だった性格も、刹那的な快楽主義者に変わり果ててしまった。
しかし根底では今もセレネへの思いを秘めており、自分の身体の一番大事な部分だけは他人に決して許さない。
目下の趣味はテイマーさんいぢめ。

レッドラ、イエドラ兄弟:
超ごっついドラゴンブラザーズ。ストイックな炎属性の赤が兄、お調子者な雷属性の黄色が弟。
テイマーさんの憧れだが、赤はアイシクルマザーさんに惚れており、黄色はアビたんに惚れている。
赤「実は俺…彼女に冷たくあしらわれるとゾクゾクするんだ…。」
黄色「属性で有利だからかなwwアビちゃんオレの前だとビクビクすんのが可愛いんだよねフヒヒww」

バランサーさん:
僕らのトラウマ。
歪んだ水子の魂は「自分にまともな生も死も与えてくれなかった人間への憎悪」で染まりきっており、
「自分のような歪んだ存在を生んだ人間の傲慢」を決して許さない。
破壊すると安らかに成仏する。
たまにピアノの音に釣られて群がってきては、冒険者のトラウマを倍増する。
一度間違ってボッコボコにされたアビたんのトラウマも倍増する。

総長シーリー:
舎弟の人数を日に日に増やして、裏ダン強敵界隈で着実に勢力を広げつつある剛の者。
雷魔法も得意なので、勿論アビたんにとっても恐怖の対象である。
仲間が重傷を負った時だけは、長らく封印していた回復魔法を解禁するのが人気の秘訣かもしれない。
戦闘終了後の冒険者が見てない時限定だが。
ちなみにとある舎弟の証言によると、
寝言で「スルーア様ごめんなさい」とか言って、夢の中で誰かに延々謝り続けていたことがあったと言う。



こんな具合かなぁ。

285:名無しさん@ピンキー
11/08/05 08:08:03.25 j/RyrBHR
おう早くSS書けよ(迫真)

286:名無しさん@ピンキー
11/08/05 09:32:04.67 fMSic/sb
アビス総受けw

287:名無しさん@ピンキー
11/08/05 12:00:54.32 iz/bHTwD
~羅刹戦記☆アビスワルキューレさん!!~

アビ「いいか、私がウェポンブレスオールを唱えたらそこから一気に攻め立てるんだ。」

甲冑A「ウーッス。」

甲冑B「今日も適当な作戦ですね、勝つ気あるんですか?」

アビ「うるさいぞそこ!!…む、来たな。行くぞ、フォーメーションアマゾンストばッ!?」

甲冑A「ああッ、隊長が即行スタン喰らった!!」

甲冑B「出鼻を挫かれた。負ける気しかしない。」

アビ「お前ら助け…ぅ……。」

甲冑A「睡眠まで喰らった!!」

甲冑B「そして隊長の睡眠中にHP0になった雑魚は潔く退散しますね。」

アビ「Zzz…。」



冒険者達「なぁ…このモンスターすげぇ美人じゃね?」
    「モンスターっつーか見た目人間…いや天使かその辺っぽいんだけど。堕天系の。」
    「何だってこんなダンジョンの奥に…。」
    「…鎧剥がしてみねぇ?」
    「うわ…やべ、これ、ちょっ…。」
    「すげぇよこれ…何この上玉…。」


288:名無しさん@ピンキー
11/08/05 12:05:45.24 iz/bHTwD


アビ「…っは!?あれ…私何でこんな格好…ぅえ!?
   お、おい貴様ら!!手足をほどけ!!いやむしろ貴様らが縛ったのか!?」

冒険者達「大人しくしましょうねぇハァハァ。」
    「俺達と楽しいことしようぜ☆」

アビ「こンのォォォオオ!!」

ギャーナワチギリオッターナンダソノカイリキハーウギャー。



甲冑A「まさかあの状況下から逆転勝利とか逆に引くわ…。」

甲冑B「オレ、隊長ハード期待してたのに…。」

アビ「おおおおおおおお前ら!!いいから鎧の装着手伝え!!早く!!」

甲冑A「はいはいオレ達が手伝わないと着れませんもんねー。」

甲冑B「一人で鎧が着れない羅刹(笑)。」

アビ「やかましいわ!!槍のサビにするぞ!!」

甲冑A「度々のご無礼お許し下さい我らが隊長殿。」

甲冑B「隊長を超える豪傑などこの世に存在し得ません。」

アビ「ふん…わかればいいんだ。」

甲冑A(転職してー。)

甲冑B(シーリーチーマーになりてー。)

アビ「ふぅ…とにかく、次回に備えてフォーメーションを練り直すぞ。」

甲冑A「開幕と同時に隊長がライトニングクロスアウトして敵を誘惑するのはどうですか。」

甲冑B「隊長の暴力的なまでの美貌の前に男は即刻ノックダウンですよ。」

アビ「ぶッッッ…あ、アホかお前ら!!いきなり防具を捨てる奴があるか!!」

甲冑A「地上にそういう絶技の使い手がいるとか。」

甲冑B「妖精だとか何とか。」

アビ「マジで!?」

289:名無しさん@ピンキー
11/08/05 12:14:00.27 iz/bHTwD


――その後。


アビ「来たな無謀な冒険者共め!!しかと見よッ我が奥義ッ!!」




アナンタ(アビスワルキューレが…!?)

シズナ(状態異常ハメの有効さに定評のあるあのアビスワルキューレが…!?)

ベネット(気が狂ってとうとう露出魔に…!?)

アイ「バブル。」

アビ「ぁふん…Zzz…。」





アビ「おい!!脱衣のせいで余計に耐性下がっていつもよりハメられたぞコラ!!」

甲冑A「何で女子しかいないパーティに通用すると思ってんですか。」

甲冑B「金髪の子は何とも言えない目で隊長の肢体見つめてましたがね。」

アビ「もうやってられるかこんな作戦!!くそッ…フォーメーション練り直すぞ!!」

甲冑A「へいへい。」

甲冑B「脱衣は駄目かーちぇー。」

アビ「貫くぞオイ!!」

290:名無しさん@ピンキー
11/08/05 12:33:30.74 AKX5grzW
甲冑A・Bのキャラをここまで立てたのはスゲエと思う

291:名無しさん@ピンキー
11/08/05 13:19:49.05 iz/bHTwD
~新羅刹戦記☆アビスワルキューレさん!!~

レッドラ「おはよう、アビス。」

アビ「おはよう、レッド殿。」

イエドラ「アビちゃんチーッスwww」

アビ「ぉ…おはよう、イエロー殿。」

イエドラ「今日も可愛いねww兜脱いだらもっと可愛いのにww」

アビ「いや、これが仕事着なので…勤務中に脱ぐわけには…。」

イエドラ「どうせ敵来るまで暇じゃんオレらwwオレと遊んでようぜwww」

アビ「その、今日は阿修羅殿に稽古をつけてもらう予定が…。」

イエドラ「アポとってんのwwとってないっしょww」

アビ「こ、これから頼みに。」

イエドラ「あのオッサンさっきプルソン捕まえてイビってたぜwwアビちゃん入る余地ナスwwうぇww」

アビ「あ…じゃあアイシクルマザー殿に魔法習いに。」

イエドラ「じゃあってwwそんなにオレが嫌かおまいさんはwwww」

アビ「い、いやいや!!そういうわけでは…。」

292:名無しさん@ピンキー
11/08/05 13:31:05.04 iz/bHTwD
イエドラ「じゃあ付き合ってちょwwデートしようぜデートww」

アビ「わ、私なんかではイエロー殿に、その…不釣り合いでは…。」

イエドラ「アビちゃんが一番好きだっつーのオレwwつwwきwwあwwうぇwww」

アビ「ッイエロー殿!!大声でそんなこと…!!」

イエドラ「恥じらうアビちゃんテラカワユスwwwwオレのODゲージ振りきれそうwwww」

アビ「~~イエロー殿!!いい加減にして下さい!!」

イエドラ「あれあれそんなこと言っていいのかなwwほれwwww」

バチバチ

アビ「うひぁ!?」

イエドラ「今の悲鳴最高wwww怖がるアビちゃんもソソるwwwwもっと泣いてwwうはwwオレ変態www」

アビ「やめて…やめて下さい…!!」

イエドラ「ほんとコレに弱いなアビちゃんはwwwwwオレテラ有利wwwww」

アビ「お…怒りますよ!!」

イエドラ「オレとタイマンで勝てると思ってんのwwwアニキならまだしもwww」

アビ「うっ…!!」

イエドラ「まぁそういうわけだからアビちゃんwww」







イエドラ「オレが護る。だからオレの女になれ。」

293:名無しさん@ピンキー
11/08/05 13:43:21.30 iz/bHTwD
アビ「………!!」





テイマー「ちょっとイエローさん!!今日あたしと勝負してくれる約束だったでしょ!!」

イエドラ「ちょwwwwおまwwww知らんしwwww」

テイマー「一か月前にボッコボコにされた時『来月リベンジしてやる!!』って言ったら『いいよwww』って言ってた!!」

イエドラ「うはww思い出したwwwアレかwwww」

テイマー「今日こそイエローさんも超越して最強のドラゴンテイマーになってやるんだから!!」

イエドラ「ちょい待ちww今それどころチガウwwww」

テイマー「えー何よー…あれ、アビスさん?」

アビ「…。」






イエドラ「彼女じゃねってのww何でマジギレランス喰らわされてんのオレww全部おまいのせいwww」

テイマー「あたしとの約束すっぽかして女引っかけてたイエローさんが悪いんですー。」

イエドラ「おのれ小癪なwwww」

テイマー「とにかく勝負よ!!おいでパピーズ!!」

ドラパピ「ピギャー。」(いつ見ても勝てる気がしない。)
    「ミギャー。」(イエローの旦那…すごく…大きいです…。)
    「モギャー。」(開幕前からマジ無理ゲー。せめて俺らが成長するまで待って。)

イエドラ「よっしゃ来いやwwwこの鬱憤おまいらで解消してくれるwww」

テイマー「行くわよ!!」

イエドラ「教えてやんよ。埋めようの無い格の差をな。」

294:名無しさん@ピンキー
11/08/05 13:57:20.28 iz/bHTwD

アビ「…イエロー殿の…ヤリチン…ぐす…。」

甲冑A「元気出しましょうや隊長。」

甲冑B「って言うかヤリチンとかそういう単語は使うのな。槍使いだけに。」

アビ「うっさい……そういえばレッド殿はどこ行ったんだろう。」

甲冑A「レッドさん?」

甲冑B「レッドさんなら向こうに。」

アビ「え?」





アイマザ「何、カレーパンとか。馬鹿にしてんの?」

レッドラ「すいませんッすいませんッ!!商人が勧めてきたんですッ!!」

アイマザ「こんなもん食べなくてもアンタ近寄るだけでサウナ張りに暑苦しいんだけど。温暖化ってだいたいアンタのせいでしょ?」

レッドラ「マジ勘弁して下さいッ!!」

アイマザ「アタシの冷凍刑、過去三回とも体温で溶かされたし…今度はもっと気合入れて凍らせるべきかしら。」

レッドラ「あ、アレ結構ひんやりしてて気持ち良かったです。」

アイマザ「…。」

レッドラ「ヒィッ!!冷たッ!!マザーさんの手のひら冷たッ!!もっと撫でて下さいッ!!」



アビ「駄目だこの兄弟早く何とかしないと…。」

甲冑A「隊長に言えた義理ッスか。」

甲冑B「オレらもよく隊長にそういう陰口叩いてますよ。」

アビ「陰口は陰で叩けよ!?」

295:名無しさん@ピンキー
11/08/05 14:03:00.63 iz/bHTwD
書いてて楽しいけどなかなかエロに行きつかない。
誰かいい案ないですか。

296:名無しさん@ピンキー
11/08/05 17:03:52.21 3IPjSsan
つまりアビスさんが
「別にあんな逆毛ドラゴンの事何とも思ってないし…
ただの生理現象だし…」
とか言いわけしながら自分を慰める展開か!

297:名無しさん@ピンキー
11/08/05 17:09:49.82 iz/bHTwD
正直書いた本人からしても
イエロードラゴン×アビスワルキューレとかどんな異次元理論だと思ってたんだが
いいのか、そんなこと言うならやっちゃっていいのか。

298:名無しさん@ピンキー
11/08/05 17:54:55.29 3IPjSsan
トリップとかタイトルでNGできるようにすりゃ問題ないさ!

個人的には異種姦好きなんで「いいぞもっとやれ!」なんだが、
苦手な人は抵抗感じるのかね?

299: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/05 18:57:33.99 iz/bHTwD
そうか、じゃあトリップ付けて遠慮無くやってみるよ。

ちなみに>>290についてだが
アルカディアスナイプ喰らって甲冑二人残して一人だけ勝手に撃沈するアビたん見てると
「この人、絶対後で二人になじられるな」というイメージが湧いてきて
その結果「アビたんを割と心底からナメているが、だからこそ却って隊長を放っておけないお人よし」というキャラになりました。

あと各キャラは「二体以上同時出現する場合がある」タイプを除いて、基本的に皆一体ずつしかいないと想定してます。
アビたんとかドラゴン兄弟とかテイマーさんとかは一人ずつしかいない。
ダンジョン内で何度も出くわすのは「敗北→敵のいない所で回復→リトライ」して同一個体が繰り返し戦ってる設定。
逆にシーリーチーマーなんかは、戦闘に出てこない奴も含めて山ほどいると思う。

そしてバランサーさんもいっぱいいる。
水子実験の廃棄品がダンジョンの奥底にわんさか眠っている。

300:名無しさん@ピンキー
11/08/05 21:36:49.78 sKQvsuU4
正直言ってエロなくても十分面白いw
むしろエロパロ板的にはどうと思うけど、エロいらないレベルで面白いw

301:名無しさん@ピンキー
11/08/05 21:48:26.74 +2g0ErLJ
やっぱりアビスちゃんはかわいいな
アイシクルマザーさんとイエロードラゴンは見たことなくて困る

302: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/05 22:26:33.18 iz/bHTwD
アイシクルマザーさんとイエロードラゴン(あと阿修羅怒髪天と青鬼)は
前Verの最大レベル敵だった「レッドラ、バランサーさん、アビたん」と
現Verの最大レベル敵である「ザリチェさん以下七名」との間のレベル帯に存在する敵だから
前Verでレベル上げ過ぎたまんま、Ver移行後も下げずに通すと会えないね。

303:名無しさん@ピンキー
11/08/06 00:50:20.29 jZ5/oKd4
そうなのかー…
でもレベル下げるとザリチェさんに会えないというジレンマががが
あ、令嬢さんはいいんで

304:名無しさん@ピンキー
11/08/06 00:56:54.50 U7c1XYqo
>>302
新Ver.やってないけど、青鬼という名前を聞いただけで戦意喪失した。

305: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/07 02:34:57.02 epbD3BJG
~超羅刹戦記☆アビスワルキューレさん!!~

「やめてよマオちゃん!いつまでやるんだよ!!」

「離せぇ!離すのじゃあレックス君ッ!!
 折角ガルーダの皮が手に入ったんじゃぞ!!
 カナちゃんに串焼きにしてもらってレックス君と一緒に食べるんじゃあ!!」

「代金稼ぎに何もこんな方法選ばなくたっていいじゃないか!!
 ―って、え!?僕と食べる!?」

「あれすんごい高いんじゃぞ!?まともな方法で稼いだりしてられるわけがなかろうがぁ!!」

「ちょッ―もうやめてよ!!」

「さぁやれぇ!!その札束でわしをはたけぇ!!はたくんじゃあッ―ハァ…ハァッ……!!」

「何か変な世界に突入してるゥッ――!?」

幼い勇者と幼い魔王が、キラキラしたカニを相手に持久戦を繰り広げて金策する。
そんな異様な光景が繰り広げられるここは、裏ダンジョンと呼ばれる迷宮。

札束ビンタフェイントキャンセルカニカニアッパーが直撃して魔王がKOされていた、その頃。

ダンジョンの奥深く…冒険者も立ち入らぬ領域にて、一人の女性が。
物思いに耽っていた―






「…イエロードラゴン、殿…。」

何とは無しに名を呟く。
自然と、その姿が思い起こされる。

巨大な体躯。
熟練の戦士をも鼻で笑うかのような、屈強極まる肉体。
四肢も胴体も、余りにも規格外。

顔つきは…彼らの種族の基準に詳しくないので
あの剛健な顔が、ドラゴン的には美形に入るのか醜男に入るのかがよくわからないが、
少なくとも自分には…男らしくてかっこいい顔、と…思えなくも、ない。
ちょっと…いや、かなり強面で、恐ろしくもあるが。

彼は兄共々、種族内でもなかなかの肉体派で通っていたのだと言う。
とすれば、あの身体つきは彼らの基準においても大きく逞しい部類に入る、ということなのだろうか。
ならばヒト型の自分には、殊更雄大に見えるのも無理はない。

逞しい。
逞しすぎる。


306: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/07 02:35:47.20 epbD3BJG
お調子者でいつもヘラヘラと笑っている彼。
随分と軟派で、表面的には軽薄で不誠実な男…ドラゴンだが…にしか見えない。

けれどそんな彼だからこそなのか。
不意に、真摯な眼差しとハッキリとした口調を合わせて、真剣な態度を見せられると。

体躯に見合った豪壮な面構えが、異常な程に際立ち。
本当はとんでもない男前なんじゃないのか、と錯覚しそうになる。

…錯覚なのだろうか。

普段のおちゃらけた彼と、いざという時の真剣な彼。
どちらが、本当の姿なのだろう。

…できれば後者であって欲しい。
だってそれなら、本当はすごくかっこいい男なんだ、ってことに―



―いやいやいや!!
何を考えているんだ自分は!?

「…はぁ…。」

馬鹿馬鹿しい。
相手はドラゴンだ。
ヒト型の自分と相容れるわけが―

―種族差が何だ。

いやいや無理がある。

―世の中には種族を超えた愛の物語なんて山程ある。

あくまで物語の上での話だ。
現実に別種族の者と…深く立ち入った仲になるなんて。

―それに向こうは自分のことが一番好きだって。

何で好きなくせに電撃で脅されなきゃならんのだ。
こっちの弱点属性を的確に攻めおってからに。

―だからこそ自分が護るって。

う…。


307: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/07 02:36:28.15 epbD3BJG
―どうして?
―あんなに強くて逞しくてかっこよくて、自分を好きだと言ってくれる男性を。
―「種族が違う」っていう、下らない理由一つで。
―拒絶してしまうのか。



「……イエロー…殿……。」



今、この場にいるのは自分一人だけ。
兜も鎧も槍も盾も装備していない。

人前に出る時はいつも重武装。
インナーだけの姿を見せるのは、部下の甲冑達に装着を手伝わせる時のみ。

…二回ほど戦闘中に全力でキャストオフさせられたのは黒歴史だから置いておくとして…。
…しかも二回目はむしろ自分からやったというのも置いといて…。

身にまとった衣装を脱いでいく。
胸のサラシを解く。

…何かの冗談のように大きなモノが、ぶるんと外気に晒された。
我ながら、造り物を後付けで張り付けたかのようだ。
だが紛れも無く、「コレ」は自分自身と共に成長してきた、正真正銘己の肉体の一部だ。

意思に反して無暗やたらと大きく育っていく、コレへの苦悩が絶えなかった。
いや、コレだけじゃない。
自分の身体全体…要するに身長もだ。
別に望んでもいないのに、すくすくと…いやズンズンと縦に伸びていった体躯。

おまけに重武装を使いこなすためにも、肉体鍛錬にひたすら励んだ結果…
えらい勢いで身体中至る所に筋肉がついてしまった。
仮にも女性として、ここまで引き締まり過ぎたガタイはどうなのか。
「女性らしさ」など微塵も無い。

だと言うのに一点集中的に育ち過ぎた、この「胸の女性らしさ」…。
この部分はこの部分で何か「女性らしさ」という領域すら越えて、別の所にいっている気がする。

バランスが悪い。
破綻している。
大き過ぎる。
…だらしなく太って、腹がたるんでいるよりはマシなのかもしれないけれど。
だからと言ってこれは…やり過ぎだろう。

昔からこの「どこもかしこも大き過ぎる自分」に向けられる奇異の目が、酷く嫌だった。
まるで別種の生き物を見るかのような目が。

自分の身体が、嫌だった。


308: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/07 02:37:11.85 epbD3BJG



…裸身を水場に沈める。
何のことはない、ただ水浴びして身体を洗うだけだ。

身体を洗い、疲れを水に溶かしたら、さっさと寝てしまおう。
そうしよう。



―身体が大き過ぎる?

―イエロードラゴン殿は更に大きいではないか。

―身長2メートルの自分に対して、ゆうにその倍はある。

―「何でも見下ろせてしまう」のが嫌だった自分ですら「見上げるほど大きい」。

―大き過ぎる自分を愛してくれるのは、それより更に大きな逞しい男性?

―彼になら。

―あの逞しい腕と、逞しい胸板で。

―自分さえも包み込むように抱きしめて、もら、え



「ッ…馬鹿か私は!!」

何を考えているんだ。
全く、本当に何を考えているんだ。

彼にはドラゴンテイマー殿という立派な彼女が…。

…いやアレ誤解だったっぽいし。
うん、違うよね。アレはたまたま彼女が割り込んできただけだよね。
タイミング悪かっただけだよね。

え、じゃあ何、やっぱり私がイエロー殿をもらっても。

もらっても。
いやもらう、て。
物扱いか。

…イエロー殿。

私なんかよりずっともっと筋肉すごいイエロー殿。
強くてかっこいいイエロー殿。


309: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/07 02:37:55.97 epbD3BJG

「ぅ…。」

私を好きだと言ってくれるイエロー殿。

「…ぅー…。」

…何だ。

身体を浸からせた水はひんやりとしているのに。
熱い。
疼く。
湧き上がる熱で身体が疼く。

欲しい。

何を?

「……ぅぅー……。」

不意に頭の中でイメージ映像が流れる。

イエロードラゴン殿の腕の中に収まる自分、という光景が。

「…ッッ!!」

破廉恥だ。
何を馬鹿なことを夢想しているんだ。

―その光景こそが自分の望みそのものだと言うのに?

―だから「夢想」なんじゃないのか?

「ぅぁ…。」

欲しい。
何を?
イエロードラゴン殿の抱擁が。

こんな所に彼はいないのに。
じゃあどうやって代用するんだ。

「イエロー、殿…。」

そんなもの。

「…イエロー殿ぉ…。」

自分しかいないんだから。

「……ぁ……。」

自分の手でやるしか。

310: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/07 02:38:40.79 epbD3BJG




いつの間にか自分の秘所に指を這わせていたことに気付いたのは後からだった。

完全に無意識だ。
そうだ、完全に無意識で…自分を慰めていた。

「イエロー殿ぉ……ふあ……。」

とにかく疼きを鎮めたい。
だから身体の中で「最も疼く箇所」をまさぐる。
…けれど指を動かせば動かす程、新しい疼きが湧いてくるようにも思える。

「ぁう……。」

足りない。
両手で一か所だけをいじくるのはやめて、左手の方は別の所に動かす。

「…っはぁ……。」

胸に吊り下がったモノを掴む。
身体の一部にしては冗談みたいに大きな球体は、少し力を込めて揉むだけでぐにゃぐにゃと形を変える。
でも力を緩めると指が弾き返される。
弾力豊かだ。
見られる分には大き過ぎて恥ずかしいけど、手で触る分にはとても心地良い柔らかさだと思う。

…身体が衰えて肌の張りを失う頃には、だらしなく垂れ下がりそうだけれど。
まぁ、今は…この感触が楽しい。

「は……。」

先端部に指を這わせる。
始めは一本の指先だけでチロチロと擦る。
それだけで背筋に不快感と愉悦がない交ぜになったような刺激が走り、震える。
私の嫌いな電撃を浴びたかのようだ。
…でも今はこの感触が、酷く甘美で愛おしい。

刺激に慣れてきたら指五本を全て使い、少し乱暴にいく。
抉るように、指先を肉塊の中に沈み込ませ、「中に埋もれた突起」を掘り起こす。

「くぁ…。」

陥没の中に姿を隠していたモノが、表面に浮き出てきた。
ピン、とそそり立つ。


311: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/07 02:39:31.58 epbD3BJG
この肉塊はどこに指を突っ込んでも、中身がよく詰まった豊かな柔らかさを湛えているが、
末端の変色した部分…その中央に身を潜めた、この突起だけは違う。
硬い。
いや、力を入れれば捩じれる程度には柔らかいんだけど、それでも周りの部分よりはずっと硬い。

「…ぁ……。」

突起を摘む。引っ張る。捩じる。捩じ回す。
仮にも自分の身体の一部だと言うのに、さながら憎い敵のように虐めて虐めて虐め尽くす。

…柔らかい肉塊の内に身を潜めていたこの硬い突起は、肉塊本体よりも段違いに敏感で、刺激に弱い。
与えたダメージが肉塊内部を通じて胸の裏まで回り込み、背筋をガクガク震わせる。
…むしろ刺激に弱いから、肉塊が肥大化するにつれて、内側に隠れていったのだろうか。
自分の身体のことに自分で疑問を呈するとは、奇妙な感覚だ。

「…ぅあ、ぁ…。」

ともかく、この突起物をコリコリ…いや、ゴリゴリいじくり回すのがひたすら楽しい。
楽しいのだが、終いにはやり過ぎて、胸の先がちょっと痛くなる。
当然だ。
自分の身体の一部なんだから、力を込めて虐めれば、身体が痛くもなる。
でもその痛みすら、すっかり刺激に慣らしたこの身体には心地良く馴染んでいく。

「…いえろぉ…どのぉ…。」

左手で胸の物体を掻き乱し始めた一方で、股間をまさぐる右手もさっきから殆ど休めていない。

右手指先が濡れてきた。
…いや水場に浸かっているんだから、さっきから首から下は全て水に濡れているんだけど。
水とはまた、別の液体で濡れてきたのだ。
粘り気があり、冷たい水と違って生温い。
…股座の内でビチャビチャと液体をかき混ぜる音が発せられるのが、
下半身から上半身を通じて頭の中へと直接響いてきたような感覚がした。

「ふあ…ぁ…。」

まだ身体が疼く。
疼きを鎮めたいから、特に疼く箇所を攻め立てているのに。
一向に収まらない。
もっとだ。
もっと刺激をくれと。
鎮まらない。
止め時が見つからない。

このままずっと、このどうしようもなく不快で、この上なく甘くて悦ばしい刺激に、
永遠に身を委ねていたくなる。

自分の身体を自分で虐めるのが、楽しくてやめられない。


312: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/07 02:39:59.97 epbD3BJG
…身体全体に感じるこの浮遊感は水に浸かっているから?
それとも――

「あっ……。」

身体に溜まっていた気だるさは、とっくに身体の外、水の中へと流し出されていた。










「これだけ…これだけ貯まれば…はぁ…はぁっ…。」

「えーっと…しめて420000Gだね…って何十ターン粘って稼いだんだよコレ!?
 どんだけあのカニと戦ってたんだよ僕ら!?」

「何ィッ!?串焼きガルーダは462000Gじゃぞ!?まだ足らんのか!?」

「うぇ!?そんな高かったっけ!?あの妖精さんボってんじゃね!?」

「くぅッ―もう一度あのカニを探すぞレックス君!!」

「やめて!!もうやめて!!」

「だってあと4回だけでッ…ん?何じゃあの…天秤に座った人形?」

「…え?」






水浴びから上がって「すっきり」したアビスワルキューレさんは、その夜よく眠れたそうです。


313: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/07 02:41:43.02 epbD3BJG
―結論―

アビたんは身長2メートルでムキムキで全体的に引き締まってるけど胸だけ爆乳で陥没乳首。

314:名無しさん@ピンキー
11/08/07 08:15:09.51 I5UJLxw2
やるじゃねえか

315: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/07 22:26:59.46 epbD3BJG
会ったことがない人がいるそうなので画像撮ってきた。

アイシクルマザー URLリンク(uploader.sakura.ne.jp)
イエロードラゴン URLリンク(uploader.sakura.ne.jp)

おまけ

ミシャクジサマ URLリンク(uploader.sakura.ne.jp)
青鬼 URLリンク(uploader.sakura.ne.jp)

316:名無しさん@ピンキー
11/08/07 22:35:26.95 i2J+A+ab
新ver面白かったな
マナナン×オトヒメで何か出来ないだろうか

317:名無しさん@ピンキー
11/08/07 22:35:43.91 Fu0o7cMy
青鬼が普通でよかった……

318: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/08 00:38:14.49 kSe0YWQt
ところでどう扱うか迷ってるネタがあるので、もし気の向いた人がいたら答えてみていただきたいんだ。

まず前提として
「アビたんは昔は天界の下級女神(戦乙女)だったけど、諸都合で地上に落ちて
 それ以来行き場が無いからダンジョンの奥に潜むようになったよ。」
(ちなみにそのせいで天界技術でできた装備品がまともに修復できず、長い年月で劣化して主に状態異常耐性が残念なことになったよ。)
という設定が頭にあるんだけど、そこから先が

・その時からアビたんは「隊長ガチでけぇww」って配下の天使達(女子のみ)から言われるのにビクビクしてたガチガチの処女だよ。
 男の人の手も握ったことないよ。

・その時のアビたんにはイケメンで気のいい副官(細身でイエドラとはまるで逆なタイプ)がいて、仲が良かったよ。
 │
 ├・仲は良かったけど恥ずかしがりなアビたんは深い所までいけず、そのまま会えなくなっちゃったよ。やっぱり処女だよ。
 │
 └・むしろヤることはヤったからバリバリ非処女だよ。間を繋ごうと必死で頑張ってたから、アビたん実はかなりテクニシャンに成長したよ。
   まぁどっちにしろ今じゃもう会えないんだけど。

この三パターンあるんだけど、どれがいいだろう。

319:名無しさん@ピンキー
11/08/08 10:59:04.19 2+uq5V8f
ヤったんだけどすぐに会えなくなってウブなままで、
さらに非処女で彼氏のいた自分に後ろめたさを感じまくっているよ!

とか考えたけど後の展開がめんどくさくなるだけでござった

320: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/09 03:16:45.11 VVfWNDX8
~激烈羅刹戦記☆アビスワルキューレさん!!~

「デェェェッドリィィィオォォォーバァァァーッッ!!」

「ピギャー!!」(きた!デドオバきた!!)
「ミギャー!!」(暴走自滅フラグきた!!)
「モギャー!!」(これで負ける!!)

レッドドラゴンは大きく息を吸い込み灼熱の炎を吐きだした!

「ギェップルァ!!」(ギャワーww復活と同時に全体超火力とかないわーwwww)
「ミギュァァッ!!」(暴走するまでもありませんでしたってかwwうはwwwおkwww)
「ンボュッッッ!!」(もwwwっうぇwwwしwwwぬwwwwwww)

ドラゴンパピーAは倒れた!
ドラゴンパピーBは倒れた!
ドラゴンパピーCは倒れた!

「えッ、ちょッッ―パピーズゥゥ!?」






「アニキテラ容赦ナスwwマジ鬼畜ww」

イエロードラゴン殿の下に赴いてみれば―
ドラゴンテイマー殿とレッドドラゴン殿の練習試合を観戦していた。

「…苛烈ですね、レッド殿は。」

「おうアビちゃんww来てたのかwww」

「ええ…まぁ。」

「今日も可愛いねwwww」

「ちょ…イエロー殿…。」

「恥ずかしがんなよwwまぁそういうとこも可愛いけどwww」

むしろ貴方の方こそ羞恥心は無いのか。
何故この人…ドラゴンだが…はこうも直接的な言葉を、無遠慮に。

―だからこそこっちも惚れたのに?

…!!

―昨日だって彼を思い浮かべながらあんなことを…。

321: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/09 03:17:37.66 VVfWNDX8

いやいやいやッ、それは…!!

「何ボーっとしてんのアビちゃんwww」

「え?―あ、いや。」

「そんなボケーっとしてる隙に兜取っちゃうよwww顔もっと見ちゃうよwww」

「なッ…それは駄目です!!」

「ガード堅いな流石アビちゃんガード堅いwww落とし甲斐あらぁwww」

「…からかわないで、下さいよ、もう…。」

「大マジだぜオレwww」

「ッッ…貴方という人は…!」

「ドラゴンだしwwww」

「~~~!!」

まったくこの方は…どこまで本気で。
…貴方の顔すら直視しかねる、私の気も知らずに。

―それでもついつい会いに来てしまったのは他ならぬ自分だろうに。

…それは…そうだが。
しかし昨夜の自分の痴態を思い出す度…この方の前から逃げ出したくなる。

―向こうのノリに合わせてこっちも軽口の一つ、叩いてやればいいじゃないか。

…何を。

―イエロー殿こそ今日もかっこいいですね、って。

それは…!!

―恥ずかしがって何もしないでいたら、それこそ進むはずのものも進展しないだろう。

くっ…!

―向こうはあんなに積極的なんだから、こっちも少しは勇気を振り絞って。

う…。

―さぁ。

「…イエロー殿。」

322: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/09 03:18:34.67 VVfWNDX8

「おうww何だwwww」

…口を開いてしまっていた。
もうこうなったらこのまま勢いで―

「その…イエロー殿こそ…今日も――」






「まぁたテーちゃん負けてんのぉ、なっさけなぁ♪」

近くで声がした。
…どこかで聞き覚えのある声色の。

「いい加減諦めればぁ?テーちゃんじゃ無理無理♪」

眼前のイエロー殿から視線を外す。
声のした方へ向ける。

「どうしたアビちゃんww」

「いや―」

レッド殿に伸されたテイマー殿に近づき、口汚く罵る者がいた。

「う…うっさい!今日は結構いけそうだったっての!!」

「負け犬の遠吠え~♪」

「んがァァァァ!!」

夜空を映したような漆黒の髪。
艶やかな真紅の唇。
薄く桜色がかった白い肌。
そしてそれを…主に肩や胸元を強調して見せつけるかのような、扇情的な黒いドレス。

「女性らしさ」という概念を詰めるだけ詰め込んだ結果誕生した、
と言わんばかりの…私のような大女とは対照的な、滑らかな曲線に彩られた肢体。

美女、という表現は的確に当てはまる。
そうだ、的確…なのだが。

「雑魚のテーちゃんにはぁ♪」

私には、この女が。

323: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/09 03:19:25.56 VVfWNDX8

「這い蹲ってる所がお似合いよねぇ♪」

下品で無粋で醜悪極まりないものにしか、見えなかった。



「果敢に健闘した者をよくもまぁそこまで扱き下ろせたものだな。」

ふと気付けば、女の方に歩み寄っていた。
言葉まで自然と口を突いて出てくる。
…イエロー殿に向けて喋る時とは、打って変わって。

「…え?アビスさん?」

テイマー殿には悪いが、今はこちらの相手に専念させてもらう。

「格好といい、性格といい…随分とまた、趣味の悪い女になったな?」

「…なぁにぃ?いきなり横からぁ?」

「…イライラするな。まともに喋ったらどうなんだ?」

「あんたさっきから失礼ねぇ?初対面の分際でぇ?」

…初対面、だと?
この期に及んでよくもそんな台詞が吐ける。

「…私の顔すら忘れたか。」

「お生憎様ぁ、仮に初対面じゃなくてもぉ、
 どっかで擦れ違っただけの有象無象なんていちいち全部覚えてないんでぇ♪」

…どこかで擦れ違っただけの有象無象、か。
確かにそんな程度のものかもしれないな。
この女にとっての、私の存在など。

…だが、それがどうした。

「…今思い出させてやろうか?」

「…それってぇ、どういう意味でぇ?」

「こういう意味で、だ。」

右肩に担いでいた騎兵槍を突きつける。
女はこちらの意図が理解できたのか、流石にしばし押し黙った。

睨み合う。
明確な敵意を込めた視線で、お互いに。

324: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/09 03:20:09.38 VVfWNDX8

「あんた誰に喧嘩売ってるか…わかってんのぉ?」

「ああ…よーく、わかっているとも。」

忘れもせんぞ。
貴様の顔は。

貴様相手だからこそ喧嘩を売らせてもらうんだ。

ザリ――






「はいストーップwwwwwwww」

「そこまでだ、アビス。」

イエロー殿とレッド殿に割り込まれた。

「…何故止めるんですか。」

「流石のオレもケンカ売る相手は選んだ方がいいと思うんだwww」

選んでこの女に喧嘩を売っているんだ、イエロー殿。

「レッド殿とテイマー殿がさっきやっていたのと同じことをするまで、ですよ。」

「両者殺意むき出しの訓練試合など聞いた覚えがないな。」

当然だ、レッド殿。
訓練で済ますつもりなど無いのだから。

「って言うかアビちゃん呼び出しかかってんぞwww」

…何?

「君の部下達が来ている。」

甲冑二人が?

「隊長、出番です。」

「羅刹マップ11番に来場者っス。」

仕事だと?
このタイミングで?


325: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/09 03:20:55.84 VVfWNDX8
「今、それどころじゃ…。」

「サボったらダークロードの旦那にどやされんぜwww」

「我々はあくまでダンジョンモンスター。ダンジョンのシステムに私情を挟むなど御法度だ。」

…む。

「あくまで冒険者連中のお相手が最優先だwww喧嘩は後あとwww」

「度を越した私闘はどちらにせよ見過ごせんがな。」

むぅ…。

「…了解した。今向かう。」

槍を右肩に戻す。
転移魔法陣の方に歩を進める。



「命拾いしたんじゃなぁい?」

「こちらの台詞だ。」

行きがけにも減らず口を絶やさぬあの女には、精一杯睨み返しておいた。
奴は唇の端を釣り上げて憎たらしい笑顔を演出したまま、ケラケラと笑っていた。



「何であんな険悪だったんですか隊長。」

「あの人…最近増えた領域から来たんでしたっけ。知り合いスか?」

「…知り合いなんてもんじゃない。」

そうだ、知り合いなんて簡単な言葉で片付く相手じゃない。

「んじゃ一体どういう?」

「…何か穏やかな関係じゃなさそうですけど。」

その通りだ。
奴は――







326: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/09 03:21:31.43 VVfWNDX8
「ビビったわwww何でアビちゃんザリ姐につっかかってんのwwww」

「…明らかにアビスは知っている風だったが、本当にそちらには覚えが無いのか?」

「知らなぁい♪ねぇテーちゃん?」

「いやあたしに振られても知らんし…。」

「ピー。」(ザリ姐たまんねぇ。)
「ミー。」(こんなまな板じゃなくてこっちに調教されたい。)
「モャー。」(おっぱい!!おっぱい!!)






…羅刹マップ、11番か。
クリスタル製の透き通った床板と、豪奢な金色に染め上げられた壁で囲んだ大部屋。

最近拡張された新しいマップだったか。
ここに来るのは初めてだ。



「むぉ…何やらゴージャスな所じゃな。」

赤い髪のえらく小柄な少女と、金髪の少年、二人のパーティか。
見た目は両者揃って随分と可愛らしいが…
深層限定の上級羅刹マップに立ち入るあたり、タダ者ではないと見るべきか。

「あ、ここボーナスマップみたいなもんだってアナンタさん言ってたよ。
 ほら、あそこのピアノ。」

「ピアノがどうしたんじゃ?」

「あれ触ると勝手に音楽が鳴り始めて、レアモンスターが集まってくるらしいよ。」

「レアモンスター?アザラシのやつとかか?」

「そうそう。あんまり敵が強くない割に稼げるからボーナスマップだって。」

少年が部屋に設置されていたグランドピアノに触れる。
すると―







327: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/09 03:22:10.41 VVfWNDX8

「…レックス君。」

「…うん。」

「何か…ものすごーく嫌な予感が、するんじゃが。」

「……うん、僕も…なんかすごい寒気が…。」

ピアノが独りでに音楽を奏で始めた。

酷く悲しげで、ひたすらに暗い旋律。
だが…どこか威圧感があり、引きずり込むような…狂気のようなものが、潜んでいる。



『ニンゲン…。』

『傲慢…。』

『ニンゲン共…。』

部屋中に声が響き渡る。
…いや、ただの声じゃない。
耳を突くのではなく、頭の中に、脳に直接響いてくるかのような…酷く不快な声だ。

…あれ、そういえばこの声ってどこかで聞き覚えが…。

「隊長?」

「どうしたんスか?顔色悪いんスけど。」

「え?」

何、不快感が顔に出ていたのか?
いやしかし、それにしても…あちらの少女も言っていた嫌な予感、って。
私の方まで何か…そんな感じが…。

『供物ト同義ダト…。』

『愚カナ…。』

『アマリニ傲慢…。』

『傲慢…。』

いや、その…。


328: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/09 03:49:41.15 VVfWNDX8
『他ハ全テニンゲンノ餌カ。』

『他ハ全テニンゲンノ糧カ。』

『眼前ノ全テヲ喰イ潰ス傲慢。』

『止マルコト無シ。』

『汝ラノ業(カルマ)救イ難シ。』

これって…もしかして。

『傲慢ナリ。』

『強欲ナリ。」

『止マルコト無シ。』

『業救イ難シ。業救イ難シ。』

『懺悔セヨ。』

『入滅セヨ。』

…ちょっ、待っ――

『業救イ難シ。』『滅罪セン。』『懺悔セヨ。』『強欲ナリ。』『救イ難シ。』
『供物ト同義。』『傲慢。』『傲慢。』『業救イ難シ。』『滅罪セン。』『断罪スル。』
『汝ノ生以テ贖ウ他無シ。』『天秤ハ絶対。』『断罪スル。』『贖罪セヨ。』



「ひッ――」

「うぁ――」



『滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅
 罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪
 セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セ
 ン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン滅罪セン』
『傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲
 慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢
 ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナ
 リ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ傲慢ナリ』
『救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救
 イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ
 難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難
 シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ救イ難シ』
『贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖
 エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ
 贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖
 エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ贖エ』


329: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/09 03:50:10.68 VVfWNDX8
ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ






「騙しおったなアナンタ!?」

「うわ何っ!?どうしたのマオちゃん!?」

「何ですかアレ聞いてないですよあんなの!?」

「レックス君まで!?ちょっと、ほんとどうしたのさ!?」

「ピアノ鳴らしたらあの天秤の奴がわらわらわらわら…ムッチャクチャ怖かったんじゃぞ!?
 いやもう思い出すだけで三回ぐらい死ねそうじゃ!!怖すぎる!!
 こんなんでは夜眠れようはずもないわ!!もう今日はレックス君と寝る!!」

「そうですよ!!思わず見た瞬間羽使って逃げ――
 マオちゃん今なんて!!?」

「天秤の奴って…カルマバランサー?」

「名前はよお知らんが多分それじゃ!!ただでさえこの前あいつにボッコボコにされたと言うに!!
 何であんなもんが三体ワンセットで部屋中にガッチャガッチャ――
 やっぱ怖い!!」

「ちょッ!?マオちゃん落ち着いてよ!?離してッ!!抱きつかないでッッ!!」

「あのカルマバランサーが三体ワンセットジェットストリームアタックで大量発生…だと!?
 …よし、今度闘(や)りに行こう。うん。」






「いやー冒険者側も逃げたから良かったけど何敵前大逃亡やらかしてんですか隊長。」

「やめとけ今何も聞こえねーよ。」

「ばらんさーさんこわいばらんさーさんこわいばらんさーさんこわいばらんさーさんこわい…。」


330: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/09 03:51:45.21 VVfWNDX8
今回エロ入れそこなったので
次回あたりにこそイエドラ×アビたんいきますね。

331:名無しさん@ピンキー
11/08/09 23:20:23.29 SL5IxAIH
乙です!!

332:名無しさん@ピンキー
11/08/09 23:30:53.20 jb8YpeE3
パピー超楽しそう
ていうかもう諦めの境地じゃないですかー!

333: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/10 00:29:59.41 A9fENtEW
そういやイエドラのお供もドラゴンパピー二匹なんだよなぁ。



テイマー配下のパピ
「ピギャー。」(この前パピロって呼ばれたんだがwwぼくが生まれた時もらった名前はパピラだっつのww)
「ミギャー。」(ぼくだけはパピルで合ってるんだけどなwww)
「モギャー。」(そんでぼくがパピラ呼ばわりwwパピロこっちwww上から順に逆だよあの貧乳wwww)

イエドラ配下のパピ
「ポギャー。」(どっちにしろ基本パピーズで一纏めだしなwwってか固有名にパピラパピルパピロてwww)
「プギャー。」(一生ドラゴンパピーのままかと思ってんのかっつーのwwwぼくらの将来図イエドラの兄貴ww)

テイマー配下のパピ
「ピギョッ。」(あの女マジでぼくらナメくさっとるwww)
「ミギュッ。」(でも逆らったら中途半端に結構強くて勝てないから困るwww)
「モッギャ。」(デカくなったら絶対4Pで逆襲しちゃるwww)

イエドラ配下のパピ
「ポグェー。」(そん時はぼくらも呼んでなwww)
「プジャー。」(ドラゴン六匹に女一人とかwwwwテラ通り越してペタ鬼畜wwww相手貧乳だけにwwwww)



テイマー「ふふ、仲いいなぁ。」

イエドラ(連中の会話内容がわからんのは逆に幸せかもしんねーなwwww)



…え、テイマーさん凌辱フラグ?

334:名無しさん@ピンキー
11/08/10 10:36:10.48 jFwkubJ/
テイマー「もう、しょうがないなあ」
とかいってなぜか和姦モードに突入してパピーズが絞り尽くされるフラグでもある

335: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/10 20:31:35.39 A9fENtEW
~爆熱羅刹戦記☆アビスワルキューレさん!!~

「あらまぁ、グラニューに会ったんですか?」

「え、母さんの知り合いだったの?」

「知り合いも何も学生時代の同期ですよ?」

「世間狭ェッ!?」

「懐かしいわー。ミスコンの時なんかウェヌス一強になりかけてた所、
 私やグラニュー辺りが貴重な対抗馬って言われたものよ?」

「美の女神まで同期だったよこの人ッ!!怖ッ!うちの母の『神』脈怖ッ!!
 ってか神様もミスコンとかやるんだ!?」

「余裕余裕。今はもう亡くなられましたけど、先代のオーディン様…
 現オーディン様のお父上なんて、そりゃあもう天界の汚点呼ばわりされる程の女好きで有名でしたよ。
 ミスコンに飽き足らず『ドキッ!女神だらけの水泳大会』とか催すぐらい。」

「なん…だと…!?」

ここはだんじょん村。
一年ほど前までは寂れかけた限界集落も同然の有様だったのが、
今では「ダンジョン冒険者達の聖地」とまで謳われるようになった、すごい田舎である。

だんじょん村名物観光地(上級者向け)「裏ダンジョン」では、
今日もダンジョン在住のモンスター達が元気に過ごしていた…。






「すみませんッ!すみませんッ!!」

「いやもう何も土下座までしなくていいから…。」

「もう11番だけはマジ勘弁して下さいッ!あそこだけはッッ!!」

「わかった、わかったから…。」

今、私はダンジョンモンスター組合の高レベル帯管理者、ダークロード殿に個人的呼び出しを受けている。
そして昼間の件を謝り倒している。

「頼むからあそこに私を派遣するのだけはやめて下さいッ!マジ頼みますッッッ!!」

「…君が過去に一度、カルマバランサーに敵と誤認されて叩きのめされたことがあるというのは
 聞いていたが…いやそこまで酷いトラウマになっていたとは…むしろこちらこそ悪かったな。
 11番はレッドやシザーズあたりに任せるようにするよ。」


336: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/10 20:32:25.21 A9fENtEW

「ほんともうバランサーさんのいる所だけはッ!バランサーさんだけはァッッ!!!!」

「アレほんとヒト型には容赦無いからな…。」



…審議の結果、今後は羅刹マップ11番に私を派遣しないようにする方針で固まった。

バランサーさん軍団を見た瞬間、冒険者と戦闘もせずに大脱走した件を咎める呼び出しだったのだが、
ダークロード殿は私の事情も鑑みて、温情ある措置で済ませてくれた。

…まったくもってこの方には頭が下がる。

彼はこのダンジョンの創設の際も、何やら「ダンジョンの女神」なる者と提携していたらしい。
表側には姿を見せない「モンスター側の裏方」として、ダンジョン建造に深く関わっていたのだと。

そしてダンジョンの完成度がほぼ万全となり、挑戦する冒険者達のレベルも上がって来た最近では
とうとう表側にも姿を現し、ダンジョンの強敵モンスター格として、冒険者との戦闘もこなしている。

流石はとある代の魔王の流れを汲む魔界貴族。
私が地上に落ちた際に折れてしまったこの槍まで、エンプレスライトで何とか修復してくれたし。

ダークロード殿は管理仕事から技術仕事、果ては直接戦闘まで何でもござれということか。

…本人は何故か、魔王だったという先祖の話を嫌がるが。






「お説教は終わったかwwww」

「…ああ、何とか。」

わざわざ終わるまで待ってくれていたのか、イエロー殿。
自室でガクガクブルブルしていた所を呼び出しに来たのもこの方だったし。

「ところでアビちゃんww」

「何でしょうか。」

「ザリ姐とのイザコザは旦那には黙っといてやったからよwww」

「…!!」

…出撃直前のあの件か。
確かに今振り返れば、あれも問題行動には違いなかったのだが、
こちらに関してダークロード殿に突っ込まれることはなかった。


337: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/10 20:33:16.22 A9fENtEW

「せめてオレには事情話してくんねwww気になるwww」

「…いえ。」

イエロー殿がその辺に気を回しておいてくれたのは助かる、が。

「個人的な事情です。貴方には…関わり合いが無い。」

こんな私怨にまで貴方を巻き込むつもりは、無い。

「いいじゃんww教えてよwww」

「…私個人の問題です。自分で解決したいので。」

そうだ、私と奴だけの問題だ。

「オレに打ち明けるぐらいいいじゃんwww
 カノジョが厄介事抱えてんの黙って見るだけなんて男が廃るわwww」

「ッ…いつ彼女になりましたか!私がッ!!」

「前からアタックしてんのにアビちゃんのいけずぅwwそろそろデレてよwwwお願いwwww」

…何でそんなに私に拘るんだ、貴方は。
そんなんじゃあ…。

「…じゃあこちらからもお願いです。この件は私に一人で解決させて下さい。
 そうしないと私も納得のいく決着がつけられませんので。」

…貴方を頼りたくなるではないか。
私怨などという、関係の無い他者から見れば全くもって下らない問題事に。

「それはできねぇwww」

「…何が問題なんですか。」

どうして、まだ引き下がってくるんだ。

「アニキも度を越した私闘は見過ごせねぇっつってたろww
 このままアビちゃんとザリ姐ケンカさせたら絶対やばいことになりそうだもんwww」

「…速攻青汁でも用意しておけば問題はないでしょう?」

「復活したらしたで更に戦う気だろおまいさんwww
 明らかにどっちか一回倒されたら終わり、で済ます気ねーだろwwww
 ザリ姐完全に殺る気満々だろwwwww」

…どうでもいいことだが、イエロー殿があの女の名を口にするだけで、何故か無性に腹が立つ。
どうでもいいこと、のはずなのだが。


338: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/10 20:33:52.31 A9fENtEW

「あの女に死なれて困るとでも?」

…おい、何を言っているんだ、私は。

「えww何wwアビちゃん以外の女の心配なんかしてるオレに嫉妬かwwww」

「あ…いや。」

嫉妬?
…そうかもしれないな。
だからあの女の名を言われることに嫌悪感があるのかもしれん。

「あんなド痴女ww見る分にはエロくていいけどガチで付き合うのなんざゴメン被るwwww
 ホイホイ浮気される未来しか見えないwwwいやむしろオレが浮気相手三号辺りになるとかwww
 そんで多分アニキはしれっと二号になってんだぜwwwアニキと穴まで兄弟になっちまうwww
 その点アビちゃんは奥ゆかしい淑女だからそんな心配一切無用wwww
 オレほんとアビちゃん一筋だからwwwそっちも心配すんなwwwww」

「い、いやいや心配など…!」

だが建前と裏腹に、「自分一筋」を宣言するイエロー殿に安堵する自分がいる。
…「見る分には良い」とあの女を完全否定してくれなかったのが若干気に食わなくもあるが、
そんなことまで言うのは我が儘が過ぎるだろう。

しかし「奥ゆかしい淑女」と思われているのか、私は。
仕事を投げ出しかける程…いやどっちにしろ別の理由で結局投げたが…私怨に燃えるような女が、
本当に彼の望むような「奥ゆかしい淑女」なのだろうか。
私が彼と付き合う資格なんて、あるのだろうか。

「まぁともかくwww」

…主旨から脱線し過ぎていたな、確かに。

「ザリ姐じゃなくてアビちゃんがとにかく心配なのオレはwwww
 できればケンカも止めたいわけww」

私を案じてくれているからこそ、しつこく食い下がっていた、ということなのだと。
…だが喧嘩まで止められては困る。

「…刃も交えず話し合いだけで済ませられるような問題じゃないんですよ、これは。」

「やめとけよwwwザリ姐ヤベェぞwww強いって言うかヤベェwwww」

「私の方が殺される心配でも?」

「おおともよwwwあのアマのヤバさ知らねーのかアビちゃんwww」

…よく知っている。
むしろ貴方よりも知っている自信があるぐらいだ。
このダンジョン内で出会ったのは、あの時が初めてだが。


339: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/10 20:34:29.38 A9fENtEW

「冒険者と戦って全滅させた後、羽で逃がす隙も与えず完全にトドメイっちゃったことあるらしいぜww
 辺り一面焼け野原でまともな焼死体も残さなかったってよww
 って言うか挑戦者ガチで殺っちゃって今まさに謹慎中なんだよアイツwww」

「…そうか。」

それぐらいはやっていても、何もおかしくはないな。
あの女なら。

「カルバラに手も足も出ないアビちゃんじゃ流石に無理な相手だwwww」

「ッいや、いやいやアレはただ相性が絶望的に悪いだけで!!」

やめてバランサーさんだけは思い出させないで。
アレだけは別次元の問題だから。

「まぁそういうわけだからよwww」

「…どういうわけですか。」

「気にすんなwwwとりあえずなwww事情ぐらい教えてくれたっていいだろ別にwww」

…いや。
だからそれはできないのだと。

「誰かに話すだけでも結構楽になることってあるんだぜwww」

…そう、なのだろうか。

「あんまり周りに聞かれたくない事情ならさwww」

え、何?

「今晩オレん所でwww二人っきりでwww話そうぜwwww」

…!!!!!

「何言い出すんですかイエロー殿!?いきなり!?」

「うはwwwアビちゃん顔真っ赤wwwwwww」

自分でも顔面が熱くなっているのがよくわかる。
さぞかし面白い表情をしていることだろう。

「それともアビちゃんの部屋にすっかwwwww」

「ッ…!!」


340: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/10 20:35:07.49 A9fENtEW

殊更熱くなる。
…終いには爆発するんじゃなかろうか、私の頭。

「どっちがいいwww」

「まだ承諾すらしてません!!冗談はやめて下さいイエロー殿!!」

「冗談なwwwもんかwwwwwwオレは常にマジwwwwww大マジwwwwww」

「ヘラヘラ笑いながらのどこが真剣なんですか!?」

「それもwwwそうかwwww」

…本当に、この方は。
こんな風に、いつもニヤニヤと顔を歪ませながら喋るものだから、
どこまでが真剣でどこからが冗談なのか、全くわからない。

そもそも地がドラゴンの強面なおかげで、見慣れていなかった頃はその笑顔さえ恐ろしかったぐらいだ。
…まぁ、今ではすっかり見慣れたから、恐くもなんともないのだが。
むしろ愛嬌があって…いやいやいや!!

「じゃあ言い直そうwww」

「…え?」



…突然。

本当に、突然。

イエロー殿の豪壮な両腕に、私の両肩が掴まれた。

私の身体をがっしりと固定して。

私の両目を、真正面から、しっかりと見据えながら。

ただ、一言。



「今晩お前の部屋行くから用意しとけよ。」



身体が熱かった。

今は腕で掴まれるだけで止まっているけれど。

自分が彼に抱きしめられる様を夢想しながら、彼を思い、行為に耽ったことを思い出してしまって。


341: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/10 20:35:43.23 A9fENtEW
…圧倒された。

真っ直ぐ、極めて真剣な眼差しで、じっくりと私の顔を覗き込む、彼の姿に。

完全に、彼に圧倒されてしまった私は。

ただ、この一言しか返せなかった。



「…はい。」



私の承諾を得た彼は、その場ですぐ手を離してしまった。

…満足げではあったけれど。



その後はただ、一言二言話した程度で、あっさりとその場から立ち去られてしまった。

…でも。

…もっと、欲しい。

肩を掴まれるだけじゃなくて、ずっともっとその先まで、来て欲しい。

…少なくとも、この瞬間ばかりは…あの女のことなど、どうでも良くなってしまっていた。






「アビちゃーんwwww」

「…イエロー殿。」

約束通り、今日のダンジョン業務も終わって、あとは寝るだけとなった時間帯。
彼は、私の下へやって来た。

「んじゃ早速聞こうかwww」

「…ええ。」

私は…この件は他言無用であるということを念入りに強調してから…
イエロー殿に、全てを話した。



342: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/10 20:36:23.93 A9fENtEW

私が地上に落ち、ダンジョンの奥に身を潜めるようになった大元の原因は、あの女にあるということを。

あの女は、かつては天界の大天使「ザリーチェ」だった。
奴が仕えていた女神セレネが地上に落とされたことを切欠に、奴もまた幽閉されることとなった。
そして奴は…恐らくはセレネを取り戻すために、天界に反逆した。

奴はこの時、追っ手の天使達を総計数万は殺害した。
その中に、私が率いる討伐隊が含まれていた。

その際、私は五百人ほど引き連れていた。
…瞬く間に、壊滅させられた。
私の配下だった天使達は片っ端から斬られ貫かれ燃やされ…。

私も直接対決で…完敗を喫した。
一介の戦乙女に過ぎない下級女神だった私は、当時天界最強とまで謳われた大天使に、手も足も出なかった。
槍は折られ、盾を貫かれ…。

それでも何とか死なずには済んだ私だったが…。

「天使に負けた女神」を、当時の厳しかった天界が、受け入れるはずもなかった。

私のような敗残兵は、帰ることすら許されなかった。
五百の天使を無駄死にさせた私には、最早居場所さえ残っていなかった。

そのくせ、神として中途半端に高いプライドがまだ心に根付いていた私は、
地上の人間達に縋るという選択をとることもできず。
…最終的に、人間が住み着かないダンジョンに流れ着いたのである。

…私は、あの女に全てを奪われた。

いつか復讐してやる、と心に誓ったのも束の間。
程なくして、奴が戦いの果てに力尽き、あっさりと死んだということが耳に入った。

仇敵に復讐するという目標すら、私の意思に関わることなく、一方的に消し去られた。

それからはずっと、ダンジョンの中でただひたすら、無為に生きていた。

…そして今日、この日。
悪魔として生まれ変わった、奴に再会できたのだ。

随分とまぁ趣味の悪い女に変わり果てていたが…
あの黒い髪と、同じ女として羨ましくも憎たらしい程に美しい顔を…見間違えるはずもなかった。



「ザリ姐そんなすげぇ前科持ちかよwwwそら天使から悪魔に転生もするわwwwww」


343: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/10 20:36:48.03 A9fENtEW

「あの女は『どこかで擦れ違っただけの有象無象などいちいち覚えていない』と言っていたけれど…
 まさしくその通りですよ。
 私なんて所詮、奴が殺した数万のうちのたかだか五百人の、更にその中の一人です。
 私にとっての奴は、全てを奪われた憎い仇敵ですが…奴にとっての私は、ただの数万分の一です。」

…ただ事実を口にしているだけなのに、悔しさに身を焼かれそうになる。

だから…今度こそ私の手で、奴に引導を渡したい。

「成程なwwwそらぁあのアマブチ殺したくなんのも無理ねーやwww」

「…すみません。下らない話を、長々と。」

「いいっていいってwwwアビちゃんが自分のこと話してくれてむしろ嬉しいぐらいwww」

「そう…でしょうか。」

「そうだってwwwwまぁしかしなwwアビちゃんwwww」

「…何でしょう。」



「部屋でぐらい鎧脱ぎなよwwwww」

…え、そこ?






「いやー私が『愛に目覚めよ』で人気集めてきた頃なんてそりゃもう酷い噂流れたもんよぉー。
 アホかってのーしねぇってのー枕営業なんかするかってぇのー私愛の女神だってのぉー。
 私の愛は古今東西全ての生ある者に向くんだってのー特定の男一人に媚び売るわけねっつーのぉー。」

(…母さんに酒飲ませ過ぎた。)

「って言うかアナンタは彼氏の一人ぐらい作ってないわけ?
 レイチェルちゃんは違ったみたいだけど。」

「え、ラルフ君と月一でデートするけど?」

「何ですとォォォォ―――――――!!?」

(…ごめんなさい、お母さん。貴女の娘が男作ったきっかけになったのはバイブです…。)

だんじょん村は今日も平和です。


344: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/10 20:49:40.63 A9fENtEW
~備考~

ダークロードの旦那:
裏ダンジョン開設初期からメガちゃんと提携して、裏方を務めてきた苦労人。

魔王の血を引く魔界貴族。
…という部分だけなら聞こえはいいのだが、問題はその魔王が「石LV99」の話に書いてある奴だということ。
つまり「投石でトドメを刺された史上最も情けない魔王」が先祖なのであり、
その子孫としてそりゃもう酷い言葉を沢山向けられてきた中、努力で何とか地位を保ってきたマジモンの苦労人。

荒くれだらけのダンジョンモンスター組合で何とか管理職をこなす実務能力。
アビたんの破損した装備品を、完璧とまではいかずとも戦闘ができるレベル(状態異常耐性に難があるが)にまで修復する技術。
裏ダンジョンの現状最高レベル帯の強敵の一角を務める実力(ザリチェさんとかキンベヒとかに比べると若干影が薄いが)。

という具合に、何だかんだでダンジョンには欠かせないメチャクチャ優秀な中間管理職。

尊敬する人は「自分の実力だけで高い地位にのし上がり、魔界中に名を轟かせた」という実績を持つ、魔界紳士インペリアルサンダー。
趣味は赤味噌作り。



今度こそエロ書くぜ!!

345:名無しさん@ピンキー
11/08/10 21:05:56.87 Uy49Ujsu
よくやった

346:名無しさん@ピンキー
11/08/10 22:41:01.75 5uJqCaIB
グッジョブ!!

347: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:37:44.33 n3B/ZHbk
~裂天断地羅刹戦記☆アビスワルキューレさん!!~

「お姉ちゃん、最近夜更かし続きよ。たまにはちゃんと寝ないと。」

「…ああ、悪いわねシズナ。なかなか寝付けないのよ最近。」

「羊でも数えたら?」

「そうね…久々にやるとするわ、アレ。」

ここはだんじょん村。
…以下省略。

(…ふぅ、えーっとこの前ようやく鬼門の37面突破したから目標は40面ね…。」

だんじょん村名物観光地(上級者向け)「裏ダンジョン」では
今日もダンジョン在住のモンスター達が…。



『浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄
 化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化浄化』
『罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰
 罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰罰』

「んぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ」

大分レベルが上がって調子づいてきた冒険者パーティをボコっていた。

営業時間過ぎてもダンジョンに押し掛けるような不届き者にはカルバラさんの洗礼が待ってるぞ☆



と言うのは置いといて。






…えーっとアレだ。聞き間違いだ。多分。

「…イエロー殿。」

「何www」

「今、なんと?」

「自室でぐらいそんな重苦しそうな鎧脱いだらどうなのよってwww」

残念ながら聞き間違いじゃなかった。
そう、彼はハッキリと自分に告げたのだ。



脱げ、と。



「いやッ―これはッ―仕事、着…。」

348: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:38:54.28 n3B/ZHbk
「仕事終わったじゃねぇか今日はwwww」

ああ、うん、何を言っているんだ私は。本当に。
もうダンジョン業務はついさっき上がった所ではないか、彼の言う通り。

…まぁ、普通に考えれば終わった後まで仕事着のままでいる必要は、確かに無いのだろうが。
しかし…これには理由がある。

「いやそうではなくてッ…その、イエロー殿が…。」

「オレが何よww」

「部屋に来るから用意をしておけ、と仰るから…。」

「だからそんな重装備で待機してたのかよwww」

…私は無言で頷いた。

いや、だって…仕事中は常にこの格好なんだから、
イエロー殿どころか他のモンスターの方々ほぼ全員に、この姿しか見せていないわけだし。

だから今晩イエロー殿を迎え入れるにあたっても、
失礼の無いように、正装で、と。

仕事仲間を自室に招き入れるのも仕事の内だから仕事着、と言うか。
…自分自身、肩肘を張り過ぎではないか、と思わないわけではないが。

「あの後別れてから一切それ脱がずかよwww」

「いやいやッ、ちゃんと身体は洗いましたよ!?」

「で、洗い終わった後再装備したとwww」

「…はい、そう、です。」

業務上がりに装備解除して食事して歯を磨いて水浴びで身体を洗って…
そしてすぐ甲冑達を呼び出して再装備を手伝わせたのである。



『部屋に男入れる時ぐらいわざわざコレ着込まなくても。』

『脱いじゃえばいいじゃないスか。』



その時、あの二体に言われた台詞はよく覚えている。
余計なことを言うな、と一喝しておいたが。

「何だよww折角プライベートウェアのアビちゃん見れると思ったのにwwww」

「え―ちょっとイエロー殿ッ!まさかそんな事のために私の所に!?」

ちょっと待ってくれ。
私とザリーチェの因縁について聞くためにこちらに来たのではなかったのか。

「逆の立場で考えてみてくれよww
 折角好きな女の子の部屋来る所まで話持ってこれたってのにwww
 いざ来てみたら普段通り重装備の彼女が待ち構えてたとかwww
 オレ正直軽くショックだったってのwww」

349: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:39:59.04 n3B/ZHbk
「私の事情を聞くためだったんじゃないんですか!?」

「いやまぁそっちが主題には違いねーけどさww
 彼女の部屋で二人っきり、のシチュエーションまで来てwwwその格好とかwwwww
 アビちゃん隙無さすぐるwwwいつになったらオレにデレるんだwwwwwww」

「デレませんよ!?」

「デレろwwww」

「ッ―いい加減にして下さい!!」

後ろに置いてあった騎兵槍を握る。

穂先を向ける。

…そして気付く。

照れ隠しをするだけで何を武器まで持ち出しているのか、と。

「ちょwwwポイズンランスは勘弁wwww」

イエロー殿も流石に委縮して…るのか、これ?
いや、全然してないように思う。
眼前に武器を向けられて尚、余裕綽々にしか見えない。

「っ―すいません、ご無礼を…。」

それに引き換え私ときたら…取り乱し過ぎだ。
ただ単純に、少しからかわれただけであろうに。
何故こんな大袈裟に、武器まで向けて。

「まぁそんな純情なアビちゃんも好きだけどなwwww」

…しかし向こうも向こうで、何故ここまで私に寛容なのか。
下らない私怨の話に長々付き合わせた挙句、少しからかっただけですぐ激昂するような、こんな女に。

器が大きいのか…。
はたまた本気で取っ組みあったら、弱点属性的に不利な私には到底勝ち目が無い、
という自信からくる余裕なのか…。

…とりあえず槍は元の位置に戻して。

「…しかし、イエロー殿。」

「おうwww」

まぁ、ともかく。
そろそろ、イエロー殿の方も主題と認めた話の方に、話題を戻したい。

「私の事情は話すだけ話しました。」

「そうみたいだなww」

「…ああいった理由があって、私はあの女との関係に、今度こそ決着を付けたいんです。」

「ああwwそれはよくわかったwww」


350: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:40:46.72 n3B/ZHbk
…本当に、わかっているのか?
いや…極めて失礼なことを考えているのは承知の上だが。

下らない内容だっただろうが、一応それなりに真面目に話した上で
最初からずっと、そのヘラヘラとした態度で対応されるのは…どうにも。

この方はいつもこんな調子である、とは言え…。

「…だから。」

「だから?www」

「…いきなり、その…鎧を…脱げ、と言われましても…。」

イエロー殿と一対一で対談するのに恥ずかしくないように、と
わざわざ水浴び後にまで着直したんだし…。

「脱げとは言ってねぇwww脱いだらどうだと言ったwwww」

「同じじゃないですかッ!」

「それもそうだなwwwじゃあ脱げwww」

「ちょッ―!!」

何なんだこの人。いやドラゴンか。
…いやドラゴンだからと言っても、人語は解するんだから
もう少しこちらの常識に合わせてくれても…。
…私の常識が世間の常識に完全に合致すると言い切れるのかどうかはさておき。

「不満かwww不満なのかwwww」

「不満だから抗議するんでしょう!?
 大体私の話はもうこれで終わりだって言ってるんです!!」

「何だwww話終わりだからもう部屋から出てけってかwwww」

ぬ…いや、それは。
この流れだとそういうことになってしまう、か?

「いや――そういう、わけ、では…。」

「ほほうwwではどういうわけだとwwww」

…それは…。

「…えっと…。」

「ではオレからアビちゃんに一つ聞こうwww」

え、そういう流れになるの?

「何を、ですか?」

「質問だwwアビちゃんに彼氏がいたとしようwww」

…彼氏?
私に?

……彼氏……。

351: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:41:31.50 n3B/ZHbk
「彼氏ン家に招かれて『実はオレ、こういう過去があるんだ』ってちょっとややこしい悩みを切り出されて
 一しきり聞いた後にさwwアビちゃんは『わかりました、ではこれで』ってすぐ帰っちゃうのか?www」

…いや。
折角自分の悩みを打ち明けてくれた想い人から、そんな風に逃げるような真似は。

「それは…無粋ではないか、と思います。」

「じゃあアビちゃんならここからどうしたくなるよwww」

…私ならどうするか、と?
そんなもの…想い人が悩んでいるのなら。

「悩みを解決できるよう、一緒に手伝わせてくれ…と、申し出るかと。」

こうするのが普通ではないのか。
相手を想っているのなら。

「いい答えだwww感動的だなwww流石アビちゃんwwww」

感動的?…それは少々大袈裟ではないか。
…まぁ、しかし。
イエロー殿が何を言いたいのかは大体わかった、が。

「…つまりイエロー殿は、私を手伝いたいと?
 こんな…下らない、復讐なんかに。向こう側は私を覚えてすらいないと言うのに。」

私怨は、あくまで「私」怨だ。
…関係の無い他者を介入させて良いものではない。

「どっちかと言うと手伝うより止めたいかなww」

「止めるつもりは無いと、言ったはずですが。」

「よく言うだろww復讐は何も生まないとかwwwなんかそーゆー話www」

…わかっている。
仮に奴をこの手で殺すことができたとして…私が失った物を取り戻せるわけではない。

そもそもザリーチェの反乱自体の、大元の原因となった女神セレネの地上追放…
あれは濡れ衣だったなどという話すらある。

それが真実ならば、セレネのために決起したザリーチェが、否定されるような謂れすら…。



だからわかっている。
下らない復讐なのだと。

…それでも。

「…うなされるんです。」

「ん?」

「今でもたまに、夢に見ます。
 五百の配下達が奴一人に次々殺され、私もまた殺されかけた、あの時の光景を。」

忘れられない。
恐らくこの先ずっと、生涯忘れ得ない。

352: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:42:20.20 n3B/ZHbk
…奴にも理由はあった。同情の余地はあった。
そうかもしれない。

だが奴が私から全てを奪ったのもまた…紛れも無い真実だ。
許すことなど、出来るはずがない。

そして今日、唐突に…私の目の前に、かつての憎い仇がひょっこり舞い戻って来た。
…それが全てだ。

私が奴に恨みを滾らせる、理由の全てだ。

「…そうか。」

流石のイエロー殿も察して下さったのか、この瞬間ばかりはヘラヘラとした態度をやめる。
…こちらとしては逆に申し訳ないのだが。
もうこれ以上、私如きの些事に、いちいち労力を割かせたくない。

「…すみません。」

「何で謝るんだよww」

「陰鬱な話ばかりで…。」

「気にしねぇよオレはww」



…やめてくれ。



「違うんです。イエロー殿は私のことを、その…『奥ゆかしい淑女』だなどと、言われましたよね。」

「んーああ言ったなそんなことwww」

「本当の私は…個人的な恨みに燃えて、すぐ周りが見えなくなって…
 私を案じて下さる貴方の想いすら、蹴るような…愚かしい女です。」

「ちょっと自分のこと卑下し過ぎだろアビちゃんwww」



…そんなに、優しくされたら。



「…それ、に…!!」

「何だよwww」



…全部投げ出して、貴方に縋りついてしまいたくなる。



「私はッ…貴方と出会う以前に、既に…!」

「…え、何?ww」

353: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:43:21.58 n3B/ZHbk



そんな資格も…無いのにッ…!



「愛した人がいたんです!!」



吐き出すように告げた。
…とうとう言ってしまった、という後悔に身を焼き尽くされそうな気がした。



「…過去形?ww」

「…過去形です。」



…ともかく、詳細を打ち明けた。
ザリーチェに殺された配下の中に、私と想い合っていた副官がいたことを。

なかなか口から正確な声が出せなくて、数回ほど言い直しながら。



「…アビちゃんさwwwいやこれかなり失礼な質問になるとは思うけどさwww」

「…。」

次にくるイエロー殿の質問は―



「非処女?」



―殆ど予想通りだった、と言える。



…私は頷いた。
頷いたとも。

そうだとも。
私はその副官に己が身を差し出したとも。
重厚な肉体のイエロー殿とは対照的に、細身で少し気弱ながらも好漢だった、その天使に。

…やるだけやったと思ったらすぐあの女に殺されて先立たれて。

後にはもう、貞操を―女の価値を失った私一人だけが残ったんですとも。



「もしかしてそれが後ろめたくてオレに遠慮してた?www」

354: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:45:56.24 n3B/ZHbk
「…。」



…再度頷いた。

…こんなッ!

こんな私のどこがッ!!

死んだ男をいつまでも引きずっている女のどこがッ!!

奥ゆかしい淑女だと言うのかッ!!



「んだよそんなことだったのかよーwww」

「―ッ!?」

…そんなこと?
そんなこと、程度で済ますのか、貴方は?

私が散々悩み続けた、永遠に解決できない難題を。
…そんな、簡単な一言だけでッ!!

「非処女だったら駄目とかそれこそ下らねーわwww処女信仰とか病気だろwww」

「…え?」

…何でだ。
別の男に抱かれた経験のある女を、どうして愛せるんだ。
私は既に…汚れているのだぞ。

最早私に女としての価値など…。

貴方を想って自慰に耽ったら、翌朝かつての男を思い出して死にたくなるような…
こんな、女に。

「なんかどっかの山に住んでたとあるドラゴンの話なんだけどなww」

唐突にイエロー殿が何か語り出す。
…何の関係が?

「美しい処女だけ生贄に寄越せ、とか言って人間に迷惑かけてたんだってよww
 そしたらある日、天から物凄い光の矢だか何だかが飛んできて山ごとブッ飛ばされたとか何とかwww
 処女信仰行き過ぎて天罰下ったんじゃねwww」

…そんな天罰、聞いた覚えがないんだが。

「オレ実際そいつにゃ会ったことねーけどさーww
 なんか処女の価値だの意味だの神秘性だの暑苦しく語る偏屈な中年のドラゴンだったらしくてなwww
 そりゃあもう気持ち悪いの何のでひっでぇ奴だったそうだwww」

…いや、そりゃあ非処女と処女じゃあ、どちらが殿方の心を掴むかと言えば…。
むしろ殿方に身を差し出す資格があるかどうかの問題であるとすら。

「オレもまぁガキの頃は相手は処女の方がいいのかなとかうっすら考えてたけどよwww
 その話聞いて悟ったわwww
 そんな要素一つだけで女の価値全部決めるような奴こそ男として腐ってるってなwww」

355: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:46:56.05 n3B/ZHbk

ほらイエロー殿だって非処女より処女の方が。
…って、え?

「でも、使い古しの女が新しい相手を迎える資格なんてッ…。」

いてもたってもいられず言葉で抗議する―

「それがww考え過ぎだとwww言っているwwww
 何で資格だの何だのややこしい話になるwwww」

―が、あっさり取り下げられた。
…考え過ぎ、なのか?

「そしてオレは今ww新たに一つ確信したwww」

何、を?

「今オレの目の前にいるオレが惚れた女はwwww
 こんな下らねーこと一つでずっとオレに遠慮していたwwww
 ならばwwwwwww」

…ならば?






―ここでまた、唐突に。

がっしりと。

両肩を掴まれた。



「そんなもん関係無しに愛し尽くしてやるまでだ。」



…身体に力が入らない。
あの力強い両目から、視線が逸らせない。

…イエロードラゴン殿は、卑怯だ。
普段は酷くおちゃらけていて、不真面目で軽薄な男を装っているくせに。
それなのに。
いざという時だけ―

―こんな真摯な眼差しで、真っ直ぐ私を見据えるから。

何も言えなくなるではないか。

何も出来なくなるではないか。



こんな、いつもふざけてばかりいる男に惚れてしまったのが…

私が、貴方に惚れたのが、決して一時の気の迷いなどではないということを、思い知らされるではないか。

356: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:48:09.04 n3B/ZHbk






「全然全部話しきってねーじゃねーかwwオレからすりゃ一番大事なとこ明らかにそこだよwww」

…そうなのか?

「アビちゃんはそんなこと一つでずっとオレに遠慮していたwww
 だがオレはそんなことを一切気にするつもりが無いwww
 故にwwwここに答えは成ったwww」

…答え?

「前の男を忘れろとまでは言わんwwww

 オレを新しい彼氏にしろwwwwwwwww」

…。

……。

………。

私は、頷いた。



「というわけでアビちゃんwww」

わかっている。
わかっているとも、イエロー殿。
貴方が何を言いたいか、ぐらい。

「オレと二人の時までそんな仕事着で重武装して緊張しなくたっていいんだぜwwww」

…ここまで何度も無言で首肯してきた私は。

「…ええ、その通り、ですね。」

今度ばかりははっきりとした声も伴って、しっかりと肯定の意思を示した。

「ようやく見れるぜアビちゃんのアーマーテイクオフwww」

…しかし、それにしても。
じろじろ見つめられながらでは…少々恥ずかしい。

「…あ、あの…後ろ、向いといていただけますか?」

「んーああいいよwww」

イエロー殿が背後に向き直る。
…部屋の外で待て、ぐらいのことは言っても良かった気もするが、あまり気にしないでおく。





357: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:49:16.46 n3B/ZHbk
兜を外す。拘束を脱した前髪がはためく。
篭手を外す。
肩当てを外す。
胴当てを外す。
…背中の留め具が一人で結べなくて、主にこれのせいで装着時に甲冑達の協力を要するのである。
スカート型の腰当てを外す。
…これも後ろ側の留め具が取り付けにくい。外す分には問題無いのだが。
…ちょっと油断して食べ過ぎるとすぐきつくなるし。
ブーツを脱ぐ。

インナー一丁の姿になる。

別に裸になったわけではないのだが、インナーが鎧の装着を阻害しないように
身体にピッタリ張り付くような造りになっている…
つまり首から下をほぼ丸ごとタイツで覆うような形状になっているので、
裸も同然であるかのように、身体全体のラインが露わになる。
あくまで肌を露出しているのは顔だけなのだが。

身体が軽い。
最早私の身体の一部であるかも同然のように使い慣らしてきた愛用品の鎧ではあるが…
やはり重装備は重装備であり、脱ぐのと着込むのとでは身体への負担は段違いである。



解放感が心地良い。

…それは、良いが。
…この姿を見せるのか?
今からイエロー殿にこれを見せるのか?晒すのか?

肌の露出そのものはほぼ皆無とは言え、シルエットだけ見れば裸同然のこの格好を?

…嫌だ、そんなの恥ずかしい。
とても見せられたものじゃあ、ない。

…でも、イエロー殿は鎧を外した私が見たかった、って。
…本当は私だって見せたいはずなのに。
息苦しい重装備で緊張しきったいつもの私ではなく、拘束を外して解放された私を。
ありのままの私を。

見せたい。見て欲しい。
見せたくない。恥ずかしい。

…どうしたいんだ私は。
私は。
どうすれば―



―結果。
意識よりも身体の方が先走った。



「えwww」

結局、私は。

「ちょwww何wwww」


358: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:50:27.84 n3B/ZHbk
見せるでも見せないでも、どちらでもない選択肢に走った。

「アビちゃん?www」

インナー一丁になって、少し迷って…そして。

彼を振り向かせるよりも先に、その背中に抱きついた。

しがみついた。
自分の頭から胸から腹まで、彼の雄大な背中に縛り付けた。
両手を分厚い鱗が連なる背中に、撫でつけた。

「いきなりwww何ぞwwwww」

これなら彼の目に己の痴態を見せつけることなく、鎧を外した私の身体を感じ取ってもらえる。
…そんな無茶苦茶な理論が頭に渦巻く。

わかっている。
もう何を考えているんだか自分でも纏めきれていないことは。

「脱いだんだなww鎧脱いだのはわかるがwwwこれはwwwww」

…ドラゴンの身体って、こんなにあったかいんだ。

彼の兄であるレッドドラゴン殿は炎属性のドラゴンだからなのか、
近寄るだけでもうっすらと熱気が立ち込めているような感覚があるが
イエロー殿も、こうして触れてみると温かい。
芯からにじみ出る温もりが、しっかり私へと伝わってくる。

…いやいや。
彼に抱きついている最中に、何を彼以外の男性のことなど思い浮かべているんだ。
イエロー殿に失礼ではないか。

「いいのかwwwこれはいいのかwwww」

しかし雷属性のドラゴンだけあるのか、
ごく僅かながらも、何だか表面がチリチリする。静電気のような何かで。
…少し不快感がある、と言えば、ある。

でもそれぐらいの小さな刺激はどうでも良くなる程…
今イエロー殿に抱きついている、という感触で心がいっぱいに満たされていく。

…硬い背中だ。
生半可な剣ではあっさり弾き返され、逆に叩き折られてしまいそうな程に。
私はイエロー殿の温もりを全身で受け入れているが…
向こうはこんなに硬い鱗まみれの背中越しで、私を感じ取ることができているのだろうか。

「アビちゃんがそんなに積極的ならオレにも考えがあるぞwww」

イエロー殿がさっきから何か騒ぐように喋っているが、あまり耳に入らない。
何を言っているのか、今の私の沸騰した頭では、内容が掴めない。

―瞬間。

「ふんwww」

イエロー殿の巨躯を覆い尽くさんばかりに大きな翼が動く。
彼の背中に貼り付いていた私が―

「あっ…。」

359: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:51:19.88 n3B/ZHbk
―勢いで押し飛ばされる。
不意打ちを完全に許してしまい、そのまま尻餅をつく。

「ほいww」

私が引き剥がされて床にへたり込んだ、その隙を逃さず。
イエロー殿が身体を振り向かせる、という動作を完了させた。

「ッ―。」

…目が合った。
すなわち。

見られた。
鎧を外した私の姿を、完全に視界の内に捉えられた。

「おおwwwww」

イエロー殿が、私の身体を…頭の頂点から爪先までじろじろと確認していく様が、見て取れた。

「鎧の下までメチャクチャ美人じゃねーかwwwオレの読み通りwwwww」

「ゃ…。」

…さっきまでの幸福な感触に包まれていたのが一変。
羞恥心で身体が捩じ切れそうだ。

…見ないで欲しかったのに。
―見て欲しかったのに?

こんな恥ずかしい姿。
―その恥ずかしい格好を相手が見えないように擦り付けるだけで満足できるのか?

嫌だ、こんな大き過ぎてバランスの悪い身体…とてもじゃないが、他人に見せるには堪えない。
―相手は更に自分の倍は大きいではないか。

だからずっと鎧で隠してたのに。
―向こうは鎧を解いたこちらの姿に、随分と満足げだが?

「すいませんイエロー殿!その…いきなりあんな真似をッ!!」

両手で頭部を抱え込む。
目を閉じる。
私が彼を見ないことで、彼も私を見なくなることを、願うかのように。

身体も後ろに振り向かせよう、と、する、が。
それよりも前に。



「キャッチwwwwwwwww」

豪壮な両腕が。
私の腰を挟みこんだ。

「ぅあッ!?」

衝撃で、少し閉じた目などあっさりと元通り、開いてしまう。

片手に三本ずつしかなくて、計六本となる太くて長い指に、私の身体が絡め取られるのが確認できた。

360: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:52:24.00 n3B/ZHbk

彼の手の平はとても大きい。
両手指を合わせて作った輪の中に、筋肉質で決して細くはないはずの私の腰回りがすっぽりと収まってしまう。
いや、よく見るとまだ指先に余裕がある。
まだ更に大きな物を掴めるということだ。

…それと、鋭利な爪を私の腰に喰い込ませることがないよう、
何気に配慮した持ち方になっていることにも気が付いた。

「アンドリリースwwじゃなかったwwwwリリースはしねぇwwwキャッチのままだwwww」

何だか意味の分からない台詞を並べ立てながら…
彼の両腕は、いとも容易く私を持ち上げた。

「わっ―!?」

足が地面につかなくなる感覚に軽い寒気を覚えながら、
目線の高さが揃う所まで持って来られる。

…下を見ると、床と私の位置に結構な高低差が発生している。
まるで手の中の玩具か人形のように、軽々とこんな高さまで。

そうだ…私の身体など、彼からすれば人形のように小さくか細い物に過ぎないんだ。
これがヒト型とドラゴンの差だ。

自分では嫌になる程大きいと思っていたこの身体も…
向こうにとっては、ちょっとした誤差の範疇に過ぎないということだ。

「ふははははとったどーwwwww」

「ぃや…。」

掴まれているのは腰だけで、両腕は自由だ。

「…っくぅ…。」

従って、彼の両手を剥がすべく、力を込めて引っ張ったりもできる、が。

「おいおい逃げようとすんなよwww」

…無理だ。解けない。
腕力には自信があったんだが。足がつかなくて踏ん張りが利かないせいか?

いやしかし、それにしても。
掴んだ私の腰から決して離れはしない程の力は確かにこもっているのに、
腹を握りしめられ押し潰されるような痛みは殆ど無い。

「強く握り過ぎて潰さないように」配慮しながら「掴んで持ち上げる」状態を完全固定させているようだ。
…いやいや、何だその絶妙な力加減。
この方、そんなに器用だったのか?

「さてとwww」

…すぐ目の前にまで迫った彼の顔が、歓喜に歪む様を直視してしまった。

「お返しなwwwwwwww」

そう言って。
眼前のドラゴンの大口が。
ゆっくりと開かれて。

361: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:53:20.65 n3B/ZHbk
これまた太くて強靭な牙が、びっしりと並んだ所を見せつけられ。



―私はこのまま一気に頭から噛み砕かれてしまうのではないか。



そんな恐怖が、
先走って…。

「ひっ…!?」

反射的に目を閉じ、
悲鳴が漏れた、
矢先に。



柔らかい何かが。
私の額に、

ぴっとり、と。

「ッ…!?」

液体的なぬめりに包まれていて、表面がざらざらと…そしてピリピリとしている何か。
額を軽く撫でただけで、すぐに去ってしまった。

何だ…?
何をしたんだ、彼は。

恐る恐る目を開ける。

「ビビんなよww噛みつきゃしねぇってwww」

…いつも通りのニヤついた彼の顔。
何の変哲もない。

…本当に、今何を?

「舐めるけどなwwwwww」

…え?



「ぅえ!?」

今度は左頬を、さっきと同じ物で撫でられる。

ぬめりを持った何かの正体は極めて単純。
大口の中に収まっていた長い舌で、ほんの軽く、舐められただけだ。

「生憎と体中鱗やら棘やらでガチガチだからなwwwww」

…ああ、その通りだ。
さっき抱きついた背中は、酷く硬かった。


362: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:54:18.18 n3B/ZHbk
「舌ぐらいしか柔らかい部分ねーのよwww」

そいつで断りも無く抱きついた私への「お返し」とする、ということなのか。
私の愛情表現へのお返しの、そちらの愛情表現、だと。

…犬みたいだな。
―こらこら相手はドラゴンだぞ。

「口もトンがった牙だらけで危ねーからなwww」

…ああ、見せられた瞬間「アレに噛まれたらあっさり死ねるだろうな」と
背筋が凍りつくような気分だったよ。

「これキスだと思ってくれwwww」

…は?

「キっ…!?」

今、自分でも酷く顔の筋肉が引きつるのが自覚できた。
またもや面白い表情が出来上がっているのではなかろうか。

「おうよwwwちゅーだよちゅーwwって何回も言わせんなや恥ずかしいwwwww」

…いや、そんな、キス、って。
いきなり…!?

―相手の許しも無く背中に思いっきり抱きついておいて、今更キス程度に何を物怖じする必要が?

いやしかし、キスと言えばだな。
通常はお互いの唇を触れさせ合うもので。

…舌を使うなんて、それは…。

「ッひゃ…。」

左頬を舐めたお次は、と、右頬を攻められた。

彼の舌先に付着したぬめり、液体…要するに、彼の唾液から何だかチリチリする感触がある。
恐らく背中に張り付いた時に感じた、静電気らしき物に近い。

…少し嫌悪感を覚える。

―何故、こちらに最大限気を遣ったが故の愛情表現の形に、嫌悪しなければならない。

…だって。
電気や雷の類は…どうにも。

―さっき抱きついた時に感じた物は気にしなかったではないか。

いやアレは自分から攻め込んでいたおかげで、多少の反撃など気に留めずにいられただけで。
こう…私が殆ど何もできない状況下だと、つい意識してしまって。

「もしかしてコレ嫌かアビちゃん?ww」

「え、あ…。」

あ、ちょっとピリピリするのが…。
―嫌なわけなんかないだろう。


363: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:55:00.54 n3B/ZHbk
いや、でも…。
―これはキスなんだ。想い人同士の悦ばしい、口づけなんだ。

まだ額と頬だけだ。口は…。
―きっと次に狙ってくるんじゃないか。

だが…こんな犬みたいにペロペロ舐められるのがッ…!
―さっきも言った。こちらに気を遣ったが故の「唯一柔らかい舌」なのだと。

「唾液ちょっとビリっとくるか?ww」

「う…。」

…ああ、申し訳ないがその通りだとも。
何だ…向こうも既に分かりきっていることなんじゃないか。

「いやそういう身体してるから流石にどうしようもないんだわwwwごめんなwww
 ちょっとだけ我慢してくんねーかwwww」

体質そのものが雷属性だから唾液もそうなる、ということだろうか。

それはまた難儀だ。
…本当に私のような者が、彼の相手を務められるのか?

―違うな。
…何?

―務められるか務められないかじゃない。
何だと?

―務める努力をすればいい。それで済む話だ。
…っ。

「…少しだけ、ビリっとします。」

つい、口を突いて文句が出た―

「やっぱりかwwwすまんwwww」

―というわけではない。

「だからッ…!」

「む?ww」

「刺激に、慣れるまで…その、何度でもッ…して、欲しいです…!!」



そういえば地に足がつかないままであることへの恐怖感など、もうとっくの昔にかき消えていた。



「ぅ…。」

とうとう唇にきた。
彼の舌が。

…予想通りと言えば予想通りである。
いや…期待通り、と言うべきか。

364: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:56:01.85 n3B/ZHbk
キスの基本形は唇同士を触れさせ合うこと。
そして彼はドラゴンとして凶悪な歯並びを持つが故に、接触させるには危険な唇の代わりに舌を使う。

つまり額や頬を狙うような戯れを切り上げて、遂に要所を押さえに来たのだ。

あるいは将を射るならまず馬を射よ、とも言うな。
…関係無いか。無いな。

「く…。」

長い上に太さもある、彼の体格通りの大きな舌が
私の口元をチロチロと…いやに器用に攻め続ける。

…額とか頬の時より随分長くないか?
そっちは一舐めか二舐めであっさり済ませたのに。

だが、まぁ。
こんなに続けられたら―

―私の方まで、いてもたってもいられなくなるではないか。



「…wwww」

対抗意識を燃やしたのか。
基本形だけで終わらせたくなくなったのか。
もうそれだけで気が済むような領域から外れてしまったのか。

…私も薄く開いた口の中から、舌を突き出していた。

「ん…むぁ…。」

太く長く…面積のある彼の舌表面に、私の舌を這い回らせる。

私の物は小さい。
そもそも、このようなドラゴンが大口の中に隠していた物の方が、長くて肉厚過ぎるだけなのだが。
私の頭部ぐらいの物体相手なら、完全に巻き取れる程大きいのではないか?

舌と舌を絡め合わせるのは…唇だけを触れ合わせる基本形から、更に発展したキスの形。
それぐらいは知っている。

だが最早これは、舌同士を擦り合わせると言うより…
意思を持った大きな肉塊を、私が必死になって舐め続けているだけ、と言うか。

「wwwwwwww」

「…ぁ…。」

呻き声を度々漏らす私とは違って、向こうは終始無言だ。
後は液体が跳ねるような、ぴちゃぴちゃという音が小さく響いているのみ。

ただ…私の唇を舐めとるだけの時よりも、明らかに動きが旺盛になっている。

舌の動きを通して悦びを伝えてくれている、のだと、思う。
この、随分と楽しげな動きは。

…こっちの舌先はさっきから、薄く帯電した唾液によるチクチクとした痛みが止まない。
まぁ、痛み自体は軽いものではあるが。
皮膚を傷つけることがない程度に、針で突かれるような。

365: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:56:59.72 n3B/ZHbk
…我慢だ。
続けていればすぐ慣れる。

「wwwwwwwwwwwwww」

…ほら、馴染んできた。
どうせ程度は軽いんだから。
これぐらいの痛みなんて、すぐ慣れるんだ。

舌先どころか背筋にまでビリビリ響いているような感覚もあるが…
まぁ、気のせいだ。

そもそも背中に抱きついた時も、この感覚を浴びながら平気だったんだし。
うん、気のせいだ。
みんな気のせいだ。

「ぷ…ぁ…。」

だって…もう慣れきって、刺激すら心地良いのだから。

元々、舌という部位自体が、接触に対してかなり敏感であることも相まって。
こうやって一心不乱に一つの物を、舌先でいじくり回すというのも…存外に楽しい。

たのしい。

きもちいい。

もっと。

もっと私を。

その刺激で、満たして。

みたして。

わたしを、あなたで、いっぱいに、して。

おねがい。






…ところで、何でこんな大きなドラゴンとぺろぺろ舌で舐め合ってたんだっけ?

…別にいいか。

きもちいいから。

…ずっと、このままずっと…こうしていてもいいぐらいに、ね。









366: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 22:57:28.15 n3B/ZHbk


「ぬはァァァァッ!!」

「うわぁ!?……ちょっと、どうしたのよお姉ちゃん?」

「…羊ハード40面いった…。」

「そんなにいってたの!?」

「ヤバい程美形な羊がいた…。」

「…羊が、美形?」

「羊の格好した物凄い美青年と言うか…いや、羊毛被った新手のインキュバスだったわアレ。」

「夢魔?…寝るために羊数えてたんだから、丁度いいんじゃないの?」

「駄目。アレに捕まって眠りについたら永遠に夢から醒めなくなりそうな…ヤバいオーラ出てたわ。
 マジヤバかった。反則よアレ…どことなくアイツに似てるのが…ぁぁぁ畜生がァァァッ!!
 こんな時までテメーの幻影に脅かされんのか私はァァァァア゛ッッッ!!」

「落ち着いてよお姉ちゃん!?お姉ちゃぁーん!?」

あ、だんじょん村はいつも通り平和です。


367: ◆QJ3CqnPElQ
11/08/25 23:03:06.53 n3B/ZHbk
~備考~

・山に住んでて天罰喰らったドラゴン→アルカディアスナイプ参照。

・アビたんが処女厨と化してるのは>>319の意見を取り入れさせてもらいました。
うん、まぁユニコーンみたいな「非処女はブッ殺」とか言うのが聖獣扱いされてるし
きっとらんだむダンジョン世界の天界も処女信仰まかり通ってるよ多分。

~おまけ~
URLリンク(www.pixiv.net)



長くてすいません。

368:名無しさん@ピンキー
11/08/26 11:24:30.06 oLFYhopk
おおお、GJ!

369:名無しさん@ピンキー
11/08/31 13:03:17.14 kkOVyNqv
普通に面白くてワロタ

370:名無しさん@ピンキー
11/09/16 01:23:22.03 5mt8EMds
暇にかまけてラヴァーズ様書き殴った、キャプスキャナ環境がぶちこわれてて
携帯だけどすまんこ
URLリンク(up4.viploader.net)

371:名無しさん@ピンキー
11/09/16 01:30:43.11 5mt8EMds
sage忘れ申し訳ない

372:名無しさん@ピンキー
11/09/16 18:07:56.66 WUqXW/rf
>>370
いいね!
さあ次は色を塗るのだ!

373:名無しさん@ピンキー
11/09/16 18:12:47.78 77IWphc5
ババァ!!膣内(なか)で出すぞ!

374:名無しさん@ピンキー
11/09/16 21:41:39.43 O6e3yyzH
その綺麗な金髪を俺の精子で白く染めてやるぜヒャッハー!!

375:名無しさん@ピンキー
11/09/17 20:31:46.35 WAIci4Zv
画材もないしスキルもないので色はぬれぬ、ゆるせ、て、ぶきようにて

>>373 >>374
URLリンク(up4.viploader.net)

愛の女神なんだしきっと性に対してもおおらかでいらっしゃるはず


376:名無しさん@ピンキー
11/09/17 21:20:15.41 VzWJqOF5
この後アナンタにもう一人妹が出来たのはまた別のお話

377:名無しさん@ピンキー
11/09/17 22:17:46.22 ukcyYIj5
これはよいものだ
ポーチにしまっておこう

378:名無しさん@ピンキー
11/09/21 23:56:13.86 EbbpbPcZ
SS投稿します。
主人公はフィジーという女の子です。
このキャラに関しては、まとめWikiで「バジリスクフィジー」というアイテムの詳細文を見て頂けると分かるかと思います。
陵辱要素が入っていて、暗めのSSですので、苦手な方は注意してください。

379:蛇目の少女と聖女の出会い
11/09/21 23:57:50.75 EbbpbPcZ
夜も更け、闇が降り立った暗い部屋のベッドの上。
ランプの弱々しい光だけが照らすその場所で。
「ハム…ンチュ…ンン……」
「おお、いいぞ。そうだ。そこに舌を……」
私の頭を掴みながら、ご主人様が命令する。
ご主人様の太くて大きくて立派な(ご主人様からこういう風に言えと躾けられている)オチンチン…
全裸の私は膝立ちになってそれを口に含んで、舌で丁寧にしゃぶっていく。
口の中で、オチンチンがムクムクと膨らんで、ご主人様が腰を振る速さを上げていく。
私の喉奥にまでオチンチンが突きこまれ、正直息をするのも辛い。
でも顔には出さない。
そうしないと明日のご飯が食べられない。

「くぅ!もう出るぞ!いつものように全部飲み干すんだぞ!!」
私の頭を抑えるご主人様の手にグッと力が入る。
そのすぐ後に私の口一杯に熱くてネバネバした液体が溢れ返った。
ご主人様に命じられた通り、私はそれを全部飲み下す。
下手に躊躇したり吐き出そうとするより、その方が寧ろ楽だということを知っているから。
ご主人様の機嫌を損ねたら、明日のご飯が食べられない。
私の生まれた家はとても貧しかったから、ひもじい思いをするというのがどれだけ辛いことなのか良く知っている。
それに比べたら、こんなのどうってことない
どうってことないよ…こんなこと……

380:蛇目の少女と聖女の出会い
11/09/21 23:58:22.77 EbbpbPcZ
「くくく。ワシのをしゃぶっている内にお前も感じてきたか?」
ご主人様の言葉で私は我に返る。
いつの間にか、ご主人様は私のアソコを後ろからマジマジと見つめていた。
「これだけ濡れてればすぐにぶち込めるだろうなぁ。」
そう言ってすぐに、私のアソコに生暖かくて固い感触が走った。

「く…あああ!!」
生暖かくて固い感触は、私の中へズブズブと入り込んでくる。
何度もされて、流石に痛みはなくなってきたけど、それでもこの感触は気持ち悪い。
まるで体の中を芋虫か何かに食い荒らされてるみたいに感じる。
でもそれを顔に出したらまたご主人様は怒ってしまう。
そしたら明日のご飯が食べられない。

だから私は笑う、歯を食いしばって、涙を堪えて。
気持ち悪いのを必死で気持ち良いと思い込む。
最近ではやっと本当に気持ち良いと感じられるようになってきた気がする。
それを悲しいと思ったこともあったけど、今はもうどうでも良くなっていた。
私はただ命じられた通りにするだけ。
もうそれに何の抵抗もなかった。

ご主人様は更に激しく腰を動かしてくる。
小さな私の体ではとても受け止めきれない程に。
痛い、辛い、苦しい、悲しい…
でも歯を食いしばって耐えた。
そうしないと明日のご飯が食べられない。

381:蛇目の少女と聖女の出会い
11/09/21 23:59:22.13 EbbpbPcZ
「おぉう!出るぞ、フィジー!お前の中にワシの精液をたっぷりと注ぎ込んでやるぞ!」
ご主人様がそう言ってすぐ、お腹の中に生暖かい感触を覚えた。
いつものように、ベタベタした気持ち悪いものを、たくさんたくさん出された。
気持ち悪い。
お腹の中が汚れて腐っていくみたいだ。
情けなくて、惨めで、思わず視界が滲むのが分かる。
でもそれを顔に出しちゃいけない。
「ご主人様、ありがとうございます…」
思っていることとは反対のことを言わなくちゃいけない。
そうしないと明日のご飯が食べられない。

(私はいつからこんなことをしていたんだっけ?)
ふとそんな考えが頭をよぎった。
確か「奴隷商人」という人達に連れられてこの家に来た日の夜、私はご主人様に呼ばれ、今日みたいなことをされた。
恥ずかしくて痛くて情けなくて…
でもしなければご飯をやらないと言われて、私は仕方なくそれに従った。
それ以来私は毎晩こうしてご主人様にイヤらしいことをされている。
そうしないと明日のご飯が食べられないから…

でも時々思う。
何の為に私はご飯を食べているんだろうと。

毎日毎日必死で働いてるのに、私の食べるご飯はいつも犬の餌みたいなものばかり。
家の人達からはことあるごとに叱られ、娼婦、売女と馬鹿にされて虐められる。
嫌で嫌で仕方がないのに、夜は毎日ご主人様に奉仕しなければならない。
嬉しいことなんて一つもないのに、何で私はご飯を食べてるんだろう。
何で私は生きているんだろう。

そんな考えても仕方のないことを考えては、頭を振って忘れるのが私の癖だった。
それから下を向いて、また仕事に取り掛かるのだ。
これが私の人生なんだ、それしか私にはないんだと諦めながら…

382:蛇目の少女と聖女の出会い
11/09/22 00:00:40.05 LlCD3qeD
そしてあの日。
私の運命を変える出来事が起こった。

その日、私はご主人様から薬草を取ってくるよう命じられた。
その薬草を何に使うのか少し気になったけど、すぐにその考えを振り払った。
私はただご主人様に命じられたとおりに動くだけ。
何も考えず何も感じず、ただ生きるだけの奴隷なのだから。

その薬草は村からとても遠い森にあった。
木が鬱蒼と生い茂り、昼間でも薄暗い不気味な森。
私は意を決してそこに入っていった。

薬草を探し始めてからどれだけ経っただろうか。
歩き回っていると、不意に私の足の裏に土とも草とも違う変な感触が覚えた。
その直後、シューっと変な音がしたかと思うと、突然目に何か熱いものを感じた。
「きゃああああああ!!!」
熱くて、熱くて、私は思わず目をゴシゴシと擦り、辺りを見渡す。
そこで漸く私は自分が毒蛇に出くわしてしまったことが分かった。
そして目に毒液を掛けられたのだということも。

私は薬草を置いて逃げた。
逃げてる間も目は熱くて熱くて、今にも燃えて灰になってしまいそうだった。
急いで村に帰って手当をしてもらわないと!
そうしなければ取り返しのつかないことになるのは間違いなかった。

だけど死にものぐるいで村にたどり着いた時には全てが手遅れだった。
もうその時点で、私の目は何も見えていなかった。
後で知ったことだけど、あの森には危険な毒蛇が居て、ご主人様はそれを承知で私を行かせたのだ。
けどそんなことは今更どうでもよかった。


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