12/07/18 15:54:36.27 zrFzkKEs
まだ初潮きてないいつきが「オラ、水泳皆勤賞だべ!なして風邪でもねーのに皆休むだべ?」と素で聞いてくる
854:名無しさん@ピンキー
12/07/27 13:54:27.77 35NNoHFt
鶴姫がなんかかわいいキャミワンピース風な露出少なめの水着を孫市姉様とかから勧められて着てそう。
市は無難なワンピースにプラスして羽織り物を長政様に着せられてそうな感じ。
信長と松永先生は暑くてもあの格好しか浮かばないw
浜辺で茶会www
蘭丸、いつきが楽しく西瓜割りの中に鶴姫も混じってたらほのぼの。
で、棒で叩かれる砂に埋められた黒官が絶叫なら尚いい。
金吾さんはちゃっかり西瓜だけ食べて大人組に叱られていそうだなぁ。
855:名無しさん@ピンキー
12/08/04 09:15:05.64 qtvU0+Hv
松永に対して鶴姫は「貴方は大きな幼子です。お腹を空かせて泣いているのが
わかります。」と言うのが気になったんだけど
こういうシュチュエーションもアリじゃないかな?
松永と鶴姫の幼児プレイというのは?
松永がおむつはいておぎゃあおぎゃあとか?
そして鶴姫のおっぱいを舐めて、オマンコも舐め
そして本番って言うエロもありなんじゃないか?と言う気がする
こういう松永ってどうだい?
856:名無しさん@ピンキー
12/08/04 16:31:22.90 A6Kxj8Ep
そういうのもいいかもしれんが笑ってしまうwwギャグかと思ってしまいそうだ
わかってて松永から仕掛けるって感じならアリ…かも?
「私は幼子なんだろう? ならばそれ相応の対処をしたまえ」
「確かにそう言いましたけど…あっ!そ、そんなところ舐めないでください…っ!」
「そんなところとは何処かね。幼子である私には皆目検討もつかないな…おや、硬くなってきた」
みたいな
857:名無しさん@ピンキー
12/08/04 18:40:12.89 FRJe6G/8
鶴姫のつるつるおまんこ舐めたい
858:名無しさん@ピンキー
12/08/05 19:36:14.07 MgJ11Vy9
>>843 際どい水着をドヤ顔で着こなす孫市ねえさまが、スク水鶴姫とサザエ採りに興じる姿を幻視した。
何気に雑賀衆と伊予河野軍の耐久力てすごいよな。
三成が居合わせたら、ひとり前のめりで苛立って岩を砕きまくってそうだ。
859:名無しさん@ピンキー
12/08/05 21:34:08.36 gdhsf46P
あんまりきわどいとかえって萌えないから普通のビキニくらいまでがいいな
860:名無しさん@ピンキー
12/08/06 23:51:28.32 W+8j4Vpi
いつきは第二次性徴前っぽいからつるつるおまんこだと思うが鶴姫は初潮迎えていそうな年齢っぽいからうっすら生えているといい
>>855
ちっぱいをちゅうちゅう吸われて「お乳なんて出ないですよぉ~」と涙目になる鶴姫いいな
861:七夕節句 前編 1/12
12/08/08 23:04:03.80 pBPQZIiJ
つい最近BASARAに興味持って、ゲーム自体は一切未プレイなのに無謀にも推参仕りました
・一日遅れましたが仙台七夕ということで伊達いつです
・予想以上に長くなったので前後編に分けます。前編はエロの欠片もないので好みに合わない方やエロ以外要らないと言う方はスルー願います
・青森県、特に津軽地方の方超御免なさい。訛りが再現不可能なのに加え、ゲーム内で津軽独立が語られてないようなのでご寛恕下さい
・一応容量等見ながら前編だけ投下します
七夕節句 前編
―まれにあふ こよひはいかに七夕の そらさへはるる あまの川かせ
文月、夏の盛り。
北国の奥州と言えど、ここ米沢の夏は暑い。
野山には色濃く硬い草の葉が茂り、乾いて罅割れた村道からは陽炎がもうもうと登り立つ。
社に続く石段には昨日の夕立によって地の中より追い立てられた蚯蚓が貼り付き、哀れに干乾びた屍を晒していた。
鎮守の森に油蝉の声が姦しく鳴り響き、肌に感じる熱気をいや増す。
空は目に刺さる程に青く、日の光が剣戟の閃きのように獰猛に地上を灼く横で、入道雲が湧き立ち、夕の刻に雨の槍を降らさんと、南中の今から首を擡げて機を伺っていた。
朱夏の米沢城に、しかし隻眼の主の姿はなかった。
862:七夕節句 前編 2/12
12/08/08 23:05:24.38 pBPQZIiJ
南部氏の支配する日の本最北端の地、陸奥には独立の気風の強い民が住む。
彼らは暮らしの困窮を是正する為ならば支配階級たる武士にすら逆らうことを恐れない。
夏の水田の大敵は雑草と虫だ。
北国では夏、日が落ちるのが極端に遅くなり、そして朝は早くなる。春や秋であれば申を示しているだろう時間になっても尚高くある日の中、村人は傘を被り、顎から汗を滴らせながら総出で田の除草を行なっていた。
追肥を撒き、田に馴染ませる。
肥やしの臭いと汗と泥に塗れる、やんごとなき身分の者が見れば厭うような重い労苦の末に、この国を支える米を始めとする五穀は作られる。
彼ら農民は、自分達こそがこの日の本の礎であるという静かだが確固たる誇りを持っていた。
農村の例に漏れず、その村にも稲荷神である宇迦之御魂神を祭る社があった。
単に社があるだけではない。この村にこそ、稲穂の女神は奇特なる恵みを授けた。
863:七夕節句 前編 3/12
12/08/08 23:06:13.00 pBPQZIiJ
「おー、いつきちゃん! どうしたべ、そんなに急いで。」
背を伸ばして腰を叩いた村人が、畦道を駆ける人影に気付き叫んだ。
名を呼ばれた娘は綺羅に光る銀髪を翻して振り返る。
「今日は約束があるだ! ごめんなあ、明日必ず手伝うべ、堪忍してけろ!」
両の手を口の脇に当てて大声で答えると、娘はぴょこりと辞儀をして南の方角へと走って行った。
「ああ……そういや今日は七夕だったべな。」
「また来るんだべか、あのお侍。」
作業の手を止めて首に掛けた手拭で汗を拭きながら、村人達は顔を見合わせた。
三年程前、近隣の村々と組み国境を越えて一揆を起こした彼らが、野に屍を晒して鴉や山犬に啄ばまれることなく生き永らえたのは、ひとえに鎮圧にやって来た侍がある種の酔狂者だった故であった。
そしてその侍達との戦の先頭に立ったのが、当時は短身痩躯の小娘に過ぎなかったいつきである。
稲穂の女神の寵愛を受けた白兎のような娘は、今やすっきりと女らしく成長したしなやかな肢体で短い影だけを伴に村外れと駆けて行く。
気の早い秋津が一匹、いつきの頭上を追い抜いた。
864:七夕節句 前編 4/12
12/08/08 23:09:58.93 pBPQZIiJ
道祖神の並ぶ村道の外れ、柵の間際まで一気に駆け下りてきたいつきは息を整えにかかった。
ここまで来る途中で乱れた髪を直す。
かつては二本の三つ編みが兎の耳のように頭上で愛らしく揺れていたものだが、今の彼女は髪を真っ直ぐに伸ばし下ろしていた。
普段の農作業では結ってはいるが、縛めを受けない銀糸の束は真夏の光を受けて、冬の川面のような済んだ光を辺りに散らした。
髪を手櫛で整え終えると、額に手をかざして木漏れ日を遮りながら道の果てを見晴かす。
一日千里を走る漆黒の竜馬であっても、南奥州からここ陸奥の西端までは相当の距離がある。
最初の一年目はまさかと思った。二年目で単なる気紛れでないとわかり、そして今年が三年目。
いつきは最早疑ってはいなかった。
蒼い侍は約束を違えない。今年もきっと来る。
年に数度しか見られないような錦が夕の空を彩った。
牡丹や桜、菖蒲の色合いが雲を染め地上の草木も見慣れぬ色に塗り替える。
遠く村の水田からは、蝉に替わり蛙の歌声が空気を満たし始めるのが聞こえてきた。
柵に腰かけたまま、夕凪の妖しい絢爛の中をいつきは待った。
来ると言ったのだ、七夕の日に。明日の朝日が昇るまでは、きっと来る。
865:七夕節句 前編 5/12
12/08/08 23:11:09.79 pBPQZIiJ
夜風の生温さを知覚し、いつきは自分がうたた寝をしかけていたことに気付いた。そのまま柵から後ろに落ちて頭を打たなかったのは幸いであった。
慌てて眼を擦り、頭を振って意識を澄ます。
今はどのくらいの時間だろうか。いつきは北の空を見やった。いつも変わらずそこにある子の星の周りを巡り季節と時間を正確に刻む北の星並びは、日が沈んでから一刻程経った頃合いを告げていた。
「……まだ、それほど遅い刻じゃないべ。」
そう自分に言い聞かせた。期待と不安が夜周りの見張り番のように時折いつきの中で交代する。
何か、あったのだろうか。彼に限ってまさかとは思うが、何せこの戦乱の世だ。
いつきの中で案じる気持ちの方が大きな勢力となりかけた時、聞き覚えのある蹄の響きが風に運ばれてきた。
いつきは弾かれたように南の方角を見た。
明かりは空の満天の星のみ。あの黒と蒼の色彩は夜の闇に容易に紛れる。だが、彼がいつもの通りのいで立ちで来るならば、夜目にも映える兜の弦月が星明かりを弾く筈だ。
目を凝らすいつきの前に、果たして、彼はやって来た。
866:七夕節句 前編 6/12
12/08/08 23:12:40.40 pBPQZIiJ
青毛の駿馬の姿が一際濃い影となっていつきの視界に現れたかと思うと、いつきが柵から飛び降りて一歩を踏み出す間にもうその姿は近くまで辿り着いていた。
「Long time no see, 随分と待たせちまったようだな。」
今宵は青い羽織の下に具足こそ纏ってはいないものの、六降りもの刀を腰に佩いた長身でありながら重さなどないかのように愛馬から飛び降りた者は、隣国奥州の主である伊達政宗であった。
いつきが彼への言葉を選んでいる間に、性急な質の奥州の筆頭は彼女の姿を見て口笛を吹く。
「こりゃ見違えたな。女は化け物って言うが、去年と全然違うじゃねぇか。」
懐かしさも喜びも安堵も、幾許かの恐縮の気持ちもこの言葉ですっかり霧散してしまったいつきは声を荒げた。
「化け物とは御挨拶だべ! 竜に化け物なんて言われたくねえだよ!」
「そう吠えるな、これは褒め言葉だ。」
神の寵愛を受けたとはいえ一介の村娘であるいつきとは天地の差のある身分の奥州筆頭は、それでも気さくに手を伸ばしていつきの頭を撫でた。
「光陰矢の如し、ってな。」
愛らしく大きな栗色の瞳を瞬いて、銀髪の乙女は伸びた背でも尚届かない隻眼を見上げた。
「その髪、随分と遠くからでも目印になったぜ。」
これも褒め言葉なのだろうか。異国の言葉は論外として、彼の台詞は一々余計な諧謔に富み過ぎているきらいがある。
867:七夕節句 前編 7/12
12/08/08 23:17:27.16 pBPQZIiJ
「おめえさんはそんなに変わらないだな。」
揶揄でも皮肉でもなく、いつきはそう言った。
年齢、性別、地位、境遇。彼のような立場に在る者にとってそれがどう受け取られるかなどは考慮しなかった。想像のしようもなかったが。
本音の読みにくい切れ長の視線が降って来た。
「そう見えるか。」
いつきは頷いた。少なくとも背は伸び切ってしまってこれ以上変わらないようだし、元から眼帯で隠された右目の他に体で損なった部分があるようでもない。(戦乱の世ではそうした災難は珍しくもない)
「まあ、見た目はそうだろうな。」
軽くそう言うと、政宗は来た方角を振り返った。
数瞬遅れて、複数の蹄の響き。
「筆頭~! お待ちください!」
「速過ぎますよ~!」
二組の人馬が宵闇の中から近づいて来る。
どうやら主の最後の力走に引き離された家臣が漸く追い付いたらしい。
「……安心しただよ。一人で来るような無茶をしたかと思っただ。」
どこか冷静に呟いたいつきに政宗はHa、と短く笑いかけ、「流石に奇襲を受けた時やら不測の事態に備えて伝令役程度は連れて来ないとな。」と付け加えた。
昨年、そしてその前は、近くまで他の所用があったらしく、伊達軍そのものが伴についており、到着もまだ昼の内であったのだった。
「小十郎さは一緒じゃねえんだな。」
「アイツは城でオレの代役だ。」
本来なら片時も主君の側を離れない忠臣である、厳つくも優しい竜の右目を思い出し、いつきは奔放な主に仕える片倉小十郎や他の家臣の苦労を密かに心中で労った。
前髪を奇天烈な形に整えた家臣二人が、やはり息の荒い馬を宥めながらやって来た様を見て、いつきは一層気の毒になる。
「お前らが遅い。奥州伊達軍の名を貶めたくなければもっと精進しろ。」
そこに追い打ちがかかり、いつきは居た堪れない程になってきた。そもそも彼が自分と会うなどという身分や立場から考えられない筈の行動を起こさなければ彼の家臣達が苦労することもなかったのだ。
868:七夕節句 前編 8/12
12/08/08 23:19:36.03 pBPQZIiJ
「あ、あの、お侍さんたち、ごめんな、おらのせいで……」
いつきが思わず謝ると、強面の侍達は「滅相もない!」と揃えて首を振った。
「申し訳ありやせん筆頭、仰せの通りです。」「俺達もっと鍛錬します。」
「こいつらの言う通りだ、お前が謝る必要はねぇ。ところで……」
政宗は二人の家臣に手振りで合図を送る。
「悪いが今晩、こいつらをどこかの家の土間にでも置いてやってくれ。
タダ飯を食わせてもらうつもりはない。ちゃんと土産は持って来た。」
家臣もニッと笑って馬に乗せた風呂敷包みをいつきに掲げて見せる。
「奥州の味噌だ。暑さの中でも腐りにくくて味も良い。」
わあ、といつきはまだ少女らしさの残る無邪気な笑顔を見せた。
「すごい、きっとみんな喜ぶだよ。甚平さの家なら多分二人とも泊めて貰えるだ。
馬屋も大きいから三頭とも繋げるだよ。今案内するべ。」
いつきは銀髪と着物の裾を翻して駆け出し、三人の騎馬武者を手招いた。
村の求心的な存在であるいつきが信頼する政宗の家臣となれば、村人もそう警戒はしなかった。
村人の夕餉は生憎と済んでいたようだったが、奥州の侍達が持参した味噌と、それを使い漬けられた漬け物(片倉小十郎が丹精込めて作った野菜だと言う)を宿賃として供された村人は一宿を貸すことを快諾した。
「いつきちゃんの言う通り、侍らしくない侍さん達だべなあ。」
家主の甚平の妻が土産の品を吟味しながら、粥を振る舞われた後に夫と早くも打ち解けて縄ないを手伝いながら談笑する侍二人を見やった。
869:七夕節句 前編 9/12
12/08/08 23:21:16.29 pBPQZIiJ
家臣二人と三頭の馬を預け、いつきに続いて戸をくぐった政宗は星明かりの下、いつきの表情に気が着いた。
「解せない、っていうか、不思議そうな面だな。」
「うん……、二人とも、まるで百姓みてえだな、と思って。」
縄をなう二人の侍の手慣れた様子を思い出し、いつきは呟いた。
「そりゃそうだろう。侍と言っても全部が全部、毎日城や屋敷でふんぞり返ってる訳じゃねぇ。
普段は田畑を耕し、農民同様の暮らしを送っている者の方が多い。あいつらもそういったクチだ。」
政宗の言葉に、いつきは驚いて振り返った。
「そうなんだべか?」
「小十郎が良い例だろ。まあ、流石にアイツの仕事は侍としての本分が占める割合の方が重いがな。」
彼が特別なのではないかと思っていた。
「おら、お侍はみんな、おらたち農民と全く違う暮らしをしているんだと思っていただよ。」
「そりゃ良かったな。一つ賢くなったって訳だ。」
いつきははっとして政宗を見上げた。
前を向いたまま、薄い唇の端だけを持ち上げて。こちら側からは右目を隠す眼帯しか見えないその横顔に、いつきは察した。
「……みんな、同じ人間なんだな。」
「You could say so.」
政宗は顔を僅かに右に傾け、左目でいつきを見やった。
いつきはむず痒さと温かさの同居した奇妙な心持で幾分か歩く足を速めた。
「あの、おめえさんに見せたい場所があるだよ。」
着いて来てくれるだか? さらりと銀髪を揺らして緊張した面持ちで見上げるいつきに、政宗は「All right.」と短く答えた。
870:七夕節句 前編 10/12
12/08/08 23:23:46.92 pBPQZIiJ
いつき曰く、村の水源へ。夜道を歩く大小の人影を、全天を埋め尽す星々が照らす。
綺麗だな、といつきは見慣れた星空であったが不意に思った。
夏の夜は天の川が燦然と煌めき空を雄大に横切る。
「あ、」といつきは声を上げた。
どうした、と問う政宗に、いつきは白く細い指で空を指して見せる。
「あの星、おめえさんみたいだ。」
いつきが指差した方向を見透かした政宗の眉間に皺が寄る。
「ど、どうしたんだべ。おら、何か悪いこと言ったべか?」
政宗は一つ溜息をつくと、逆に隣を歩く少女に問うた。
「なんであの星がオレみたいだと思った?」
いつきは心の臓が一瞬速く強く打つのを知覚しながら、落ち着いて答えようと努めた。
「青くて綺麗で、夏の空で一番きらきら強く光ってるだ。」
その答えを聞き、政宗は「I see.」と呟き、「なら許す。」と続けた。
「許す……ってことは、おらやっぱり悪いこと言ったんだべか。」
政宗はまたも理由を説かず、質問を返した。
「……他には?」
「他って?」
「他の奴……そうだな、例えば小十郎はどの星になる?」
いつきは慌ててもう一度空に目を走らせた。
一際明るく輝く青白い星の左下、白い星が天の川の真ん中で輝いている。
「あの星……だかなぁ。まるで青い星のお供みたいだべ。青い星の次に明るいし。」
それを聞き、政宗の眉間の皺が緩み、替わって唇にまた微かな笑みが浮かんだ。
「そりゃinterestingだな。じゃあ、お前の星はどれだ。」
「え、おら!?」
農民に過ぎない自分を空の星に例えるなど、烏滸がましいのではないかと案じる心持でいつきは赤面した。それでも再度空を見渡す。
「うーん、あの星、だべか。」
いつきが指したのは青白い星の右下、天の川の対岸にある、明るいが他の二つの星よりは若干控えめな輝きの星だった。
「おらは、おめえさんたちと離れたところさ住んでいるし……身分も……違うだ。
だからあの二つの星とはちょっと離れてる少し暗いくらいの星が丁度いいだ。」
先程の侍と百姓の話の後で卑屈めいたことは言いたくはなかったが、それでもいつきの正直な本音だった。
しかし、いつきの耳に聞こえてきたのは独眼竜のくぐもった笑い声だった。
「Amusing! クク……こいつは傑作だな。」
流石に詳しい説明もされぬまま、一人で勝手に気分を害したり興をそそられたり笑ったりする政宗に、いつきの方が次第に腹を立て始めた。
「なんだべ、ちゃんと教えてくれねえと、おらわからないだよ!」
Ah、悪いな、と独眼竜は右手を軽く上げて村娘の怒りを宥めた。
「お前がオレに見せたいって言う場所に着いたら説明してやる。」
871:七夕節句 前編 11/12
12/08/08 23:27:26.91 pBPQZIiJ
夏の虫が鳴く野の道を歩き続けていた二人はやがて、村の水源へと辿り着いていた。背の高い葦を掻き分け、泉のほとりへと出る。
「さあ、着いただよ、ここだべ。」
「ほう……こりゃ、見事だな。」
そこは村で最も澄んだ水が流れる場。
その辺りを埋め尽すのは一面の蛍、蛍、蛍……。
まさに地上の天の川だった。
黄色味を帯びた緑の淡い光が切なく明滅しながら空中を漂い、あるいは草葉のそこかしこに散らばる。
幻想的な光が立体的に空間を彩る様に、遠近感が狂わされそうになる。ましてや隻眼の政宗にとっては如何許りか。
水源のほとり、柔らかい下生えを一度手で撫ぜ、夜露が然程着いていないことを確かめたいつきが腰を下ろす。
「さ、約束だべ、さっきの星の話を聞かせてけろ。」
昨年までは村人達も交え、彼らの息災を伊達軍の皆々が尋ね、そして侍達が自分達の合戦の首尾を語って聞かせる賑やかな訪いであったが、今年は初めて二人きりとなった。偶には国取り以外の他愛もない話も良いだろう。
いつきの左隣に政宗も六爪を外した腰を下ろす。この位置ならまた彼と目を合わせ難くなるが、死角を外に作らない癖が身に染み付いているのだろうから無理もなかった。
872:七夕節句 前編 12/12
12/08/08 23:28:41.23 pBPQZIiJ
「あの星……お前がオレに似てるって言った星、あれはな、織女だ。」
「しょくじょ?」
「織姫のことだ、七夕の。」
南天を見上げて政宗が説明し、いつきは両手を口に当てた。
「そうだったべか! おら、農民だから季節さ計るためのお星様の位置や動きは知ってるだども、
あの三つの星は夏になると一纏めで見えるってことくらいしか知らなかっただ。」
織姫に例えられたのなら彼が一瞬不機嫌になったのもわかる。
「それは悪いこと言っただな、すまねえだ。」
いつきは謝ると、左下の白い星を指した。
「じゃあ、あの白い星にも名前あるだか? 小十郎さの星。」
「あれは後七夕だ。」
「あとたなばた?」
「七夕の星の後に続いて登って来る星って意味だ。」
「へえ~!」
いつきが感嘆の声を上げた。今度は自分の見立てが的外れでなかったと知り嬉しくもなる。
「じゃあ、あの右下のおらの星は?」
「あれが牽牛だな。」
「けんぎゅう。」
「彦星だよ。」
いつきは驚いてもう一度三つの星を見た。後七夕よりも織姫から離れているあの星が彦星だったとは。確かに村では牛を飼っているが、男星に自分を例えてしまったのかと思うと気恥ずかしくなる。
「逆のほうが良かっただかなあ、でも、やっぱりあの一番明るい青い星はおらには勿体ないべ。」
ほう、と溜息をついていつきは天の川を跨ぐ三星を改めて見上げた。
周りには蛍、空には満天の綺羅星。暫くの間、声も無く空を見上げていたいつきは、肩に温かく重い感触が回ったことに気が着いた。
873:名無しさん@ピンキー
12/08/09 06:17:51.46 /yz5dM95
GJであります!
874:名無しさん@ピンキー
12/08/12 01:06:40.33 VLsKuL8Y
G・・・GJ!GJっ・・・・!!!
875:名無しさん@ピンキー
12/08/13 20:22:24.36 8vh4NGkA
久しぶりの職人様降臨!!後編が楽しみ過ぎるGJ、GJ、GJ!!
876:名無しさん@ピンキー
12/08/13 21:04:39.60 pLcRJdKI
GJ!!!!!!
877:七夕節句(政宗×いつき) 前編 10/12改訂版
12/08/14 02:57:26.01 OsLQXQ6v
ちょっと仕事で忙しくて後編をお待たせしてますが、その前に……
前編の懺悔その一。名前欄にカプ表記入れ忘れてました面目ないorz
前編の懺悔その二。10/12の星の話でミス連発。
念のため調べたら後七夕(はくちょう座α星デネブ:1.25等)より牽牛(わし座α星アルタイル:0.77等)の方が明るい。
さらにこの季節(新暦8月9日頃)のこの時間帯(夜10時頃)は織女(こと座α星ヴェガ:0.03等)より明るい春の麦星(うしかい座α星アルクトゥルス:-0.04等)が西の空に沈まずに残ってるので織女が一番明るい星ではない。
麦星は農業にとって大事な星だったので農民なら見逃す筈はない。
(ただ、麦星の色は橙色なので織女とは印象が大分違う為、12/12の「一番明るい青い星」って表現はそのままにします。織女の色は資料や見え方によって青だったり白だったりもしますが)
いつきちゃんに嘘は言わせたくないので、この部分の描写の差し替えをうpります
あと、6/12にも誤字ありましたので訂正 ×六降り→○六振り 口と書いて「ふり」と読ませるのが本来らしいですが
―――――――――――――
いつき曰く、村の水源へ。夜道を歩く大小の人影を、全天を埋め尽す星々が照らす。
綺麗だな、といつきは見慣れた星空であったが不意に思った。
夏の夜は天の川が燦然と煌めき空を雄大に横切る。その大いなる流れを地表から辿るように眼で追って天頂近くを振り仰ぎ、「あ、」といつきは声を上げた。
どうした、と問う政宗に、いつきは白く細い指で空を指して見せる。
「あの星、おめえさんみたいだ。」
いつきが指差した方向を見透かした政宗の眉間に皺が寄る。
「な、なしたべ。おら、何か悪いこと言ったべか?」
政宗は一つ溜息をつくと、逆に隣を歩く少女に問うた。
「なんであの星がオレみたいだと思った?」
いつきは心の臓が一瞬速く強く打つのを知覚しながら、落ち着いて答えようと努めた。
「青くて綺麗で、空の天辺でいっとうきらきら強く光ってるだ。」
その答えを聞き、政宗は「I see.」と呟き、「なら許す。」と続けた。
「許す……ってことは、おらやっぱり悪いこと言ったんだべか。」
政宗はまたも理由を説かず、質問を返した。
「……他には?」
「他って?」
「他の奴……そうだな、例えば小十郎はどの星になる?」
いつきは慌ててもう一度空に目を走らせた。
一際明るく輝く青白い星の左下、白い星が天の川の真ん中で輝いている。
「あの星……だかなぁ。まるで青い星のお供みたいだべ。どっか優しそうな光で、川の真ん中さじっとしてる辛抱強そうな星だ。」
それを聞き、政宗の眉間の皺が緩み、替わって唇にまた微かな笑みが浮かんだ。
「そりゃinterestingだな。じゃあ、お前の星はどれだ。」
「え、おら!?」
農民に過ぎない自分を空の星に例えるなど、烏滸がましいのではないかと案じる心持でいつきは赤面した。それでも再度空を見渡す。
「うーん、あの星、だべか。」
いつきが指したのは天頂近くで一際輝く青い星の右下にある、これもまた青い星、天の川の対岸にあるせいか風情はどこか寂しげであった。
「おらは、おめえさんたちと離れたところさ住んでいるし……身分も……違うだ。
だからあの二つの星とはちょっと離れてるくらいの星が丁度いいだ。」
先程の侍と百姓の話の後で卑屈めいたことは言いたくはなかったが、それでもいつきの正直な本音だった。
いつきは政宗に再度窘められるかと微かな危惧も抱いたが、しかし、彼女の耳に聞こえてきたのは独眼竜のくぐもった笑い声だった。
「Amusing! クク……こいつは傑作だな。」
流石に詳しい説明もされぬまま、一人で勝手に気分を害したり興をそそられたり笑ったりする政宗に、いつきの方が次第に腹を立て始めた。
「なんだべ、ちゃんと教えてくれねえと、おらわからないだよ!」
Ah、悪いな、と独眼竜は右手を軽く上げて村娘の怒りを宥めた。
「お前がオレに見せたいって言う場所に着いたら説明してやる。」
―――――――――――――
以上差替でした
くどくて済みませんでしたが、仙台暮らしが長かった身としては七夕絡みで色々間違えちゃ洒落にならんのでorz
後編についてはもう暫くお待ち願いますorz
878:名無しさん@ピンキー
12/08/14 21:15:24.89 d2ECkAL5
GJすぎます…!後編楽しみに待ってます!
879:名無しさん@ピンキー
12/08/16 23:33:09.71 SHK+lTVI
前半お疲れ、後半楽しみにしてるよー
本編と関係ないけど861はゲームに触れてないのに何故バサラというか伊達いつに興味もったの?
伊達いつはアニメじゃ全然絡みなかったしちょっと気になったので
880:名無しさん@ピンキー
12/08/17 00:38:07.63 avfQq2hn
折角、久方ぶりに職人さんが作品を投下してくれたのに、わざわざそんな事聞いてくるとか……
881:雑談につきスルー推奨
12/08/17 00:56:59.21 ylNt0buA
ID:pBPQZIiJです、目下続きを執筆中です
慣れ合い自分語りは>2のお館様に鉄拳食らいそうですが創作中の息抜きの雑談ということでご容赦を
>879
・以前親父から上杉謙信女性説について聞いた(そん時は親父のホラだと思った)
・動画サイトのどっかでBASARAの話題を目にした(そん時は田村由美の漫画の事かと思ってた)
・謙信さまとかすがちゃんの宝塚動画を見て親父の話が本当だったことに驚いて爆笑した後、暫くBASARAのことは忘れてた
・ようつべで偶々仙台知事選のPRを見る(そして実家にいた頃武将隊がどうのという話題があったの思い出した)
・無料配信でアニメ2期1話を見て、音楽と動きの素晴らしさにハマった
・ウィキで登場人物について調べつつ色んな動画やピクシブ見て回ったらいつきちゃんのキャラ(世直し系純真少女)がどストライク
・年齢差身長差身分差等の大きいカップルが元々好きだった(某所の伊達いつMMDがかなりの破壊力だった)
・自分の生活圏が東北~北海道なので気候風土文化等のイメージが色々湧き易い
こんな感じですかね
昔は日本史苦手で、仙台いた頃は仙台嫌いで伊達政宗にも興味無かったんですが
青葉城址や七夕祭りなんて地元の人間が行くもんじゃねえとか思ってたくらいで
引っ越してから逆に故郷が恋しくなり、震災のせいもあって気にかけるようになりまして
伊達いつに片倉さん含めた東北トリオには郷愁みたいな気持も有ります
BASARAに興味持った切欠だし、先祖が新潟の出で性別不明キャラ好きなんで謙信様も興味深いですね
あとお館様格好いい
まだ難しいけれどこの二人でなんか書けるようになりたい(エロは多分無理っすが)
もっと仕事安定したらゲームも買う予定です
PSP持ってないのにバトルヒーローズが一番好みの話が多いので迷う
882:名無しさん@ピンキー
12/08/18 03:10:56.05 eHZe2HI9
きっかけは何であれ、好きなゲームの同志ならあれこれ詮索しなくていいじゃないかと思うな。
職人さんが親切で丁寧な雰囲気で好感度が更に上がったよ!
わざわざ書き直し掲載内でキャラに嘘をつかせたくないって処に本当に愛を感じたしね。
残暑厳しい中での後半執筆無理しないで下さい。
883:絵
12/08/27 18:16:23.20 QaZnpw7W
ご無沙汰です
他の職人さんのご参加を心待ちにしつつ文章と格闘してましたが、
苦戦して挫折し掛けたので己を奮い立たせる為に絵を描いておりました
>1で謙信さまが絵もうpしていいと仰ったので、エロパロ共通うpろだに
2点上げさせて頂きます
ペンタブも画像専用ソフトも無いのでシャーペンがりがりの薄い白黒の落書きですが
それでもおkでしたら無聊の慰みにして頂ければ幸いです
エロパロ専用うpろだ
URLリンク(u3.getuploader.com)
伊達いつ
エロ皆無で雑談付きという代物ですが
URLリンク(u3.getuploader.com)
パス puff
かすが15禁、お市18禁くらいのエロ絵です。女性キャラそれぞれのピンで絡みではありません
URLリンク(u3.getuploader.com)
パス venus
884:名無しさん@ピンキー
12/08/27 19:14:55.55 R71RZqt1
>>883
絵上手すぎワロタ
ありがとうございます!
885:名無しさん@ピンキー
12/08/27 22:06:40.30 6hZY9dRh
自分も同じくワロタ
絵師職人でもやっていけるなんて裏山
886:名無しさん@ピンキー
12/09/05 13:14:47.54 cbYO3WvK
ああ、イイ…
887:七夕節句(政宗×いつき) 後編 1/16
12/09/07 02:25:54.25 9BheEr9h
遅参仕りまして真に申し訳ございません
ついでに2日も遅刻したけれど筆頭誕生日(旧暦で8月3日、新暦換算で9月5日)御愛でとう
前編投下した後に静電気が普段起きない場所で起きまくって痛い目に遭ったと思えば今回は真夜中の執筆中に雷雨
バンバン落雷する中、いつヘルドラ喰らってデータごとPC吹っ飛ぶかと冷や汗
・それ程人を選ぶ特殊要素は無いかと思われますが(いつきがそこそこ育ってますから極端なロリペドではないですし)、敢えて言うなら青姦でオーラルと初物流血有り
・前編と注釈内でまた新たに気付いたミスやら、意図的な嘘描写についてのクソ長い説明後書きを最後に付けます済みません。科学や歴史について別に嘘書いてても気にしねえ!という方はまるっとスルー願います
・前置き長いので手っ取り早くエロのみ読みたい方は 後編 5/16 までplease MAGNUM STEP
七夕節句 後編
―七夕の 一夜の契り 浅からす とりかねしらす 暁の空
確かに出会ったばかりの頃よりは背は伸びたが、それでもまだ華奢な肩に右腕を回してその身を引き寄せると、銀髪の娘は驚いたようにこちらを見上げてきた。
全く、七夕に託けて会いにやって来て互いを織姫彦星に擬えた話をしているというのに、この娘の初心さと来たら命の営みに逞しい農村の娘ではなく、名の通りの伊勢の斎王(いつきのみこ)かと見紛う程だ。
村人は彼女を神に愛された娘と崇め奉ることはあっても、生身の娘として口説き落とそうとする男はいないらしい。雪の化身とも思える清冽な輝きの銀髪の娘を穢すことに、知らず畏れでも抱くのか。
先刻、今年初めての姿を見た時には、昨年とのあまりの変わり様にてっきり男でも出来ていたかと案じたものだが。
「な、なしたべ……?」
戸惑ったように問ういつきの顔を、政宗は首を巡らせて見据えた。出会ったばかりの頃はふっくらとしていた彼女の頬はすっきりとした輪郭に変わりつつあった。宵闇の中でも大きな瞳は星明かりを弾いて綺羅に瞬く。
かつての薄い前掛けの戦装束ではなく、今日は農民らしい半丈の着物を纏ったいつきは、政宗の右腕の中で落ち着かなげに身じろぎした。
「さっきはよく伝わってなかったみたいだが……随分と綺麗になったもんだな。」
低い声で囁かれた言葉の内容をかなり遅々と咀嚼したいつきは顔を鬼灯の紅に染めた。
「……ほ、ほんとだべか!?」
両手を頬に当て、いつきは火照りを抑えようとする。あの美しい上杉のくのいちや、優しい加賀の奥方のような魅力的な大人の女に少しでも近づきたいと願った日々を思い出す。
「嬉しいだ……。おら、ちょっとは大人になっただかな。」
仕草にはあどけなさが大分残るものの、しなやかな手足は紛れもなく年頃の娘のそれだ。
背にさらりと流れる稀なる銀髪、ぱっちりと栗の実のような色と形の大きな瞳、桃の花弁のような唇も愛らしく、もし着飾れば公家や武家の姫もかくやという美しさになるだろう。
出会った頃から、やがていつきが良い女に育つだろうとは政宗も思っていたが、実際に花の頃を迎えた彼女の艶やかさは予想以上であった。しかし、折角の花も愛でる者が居なければただ枯れていくだけだ。
「……お前、決まった相手はいねぇのか?」
肩を抱かれたまま問われ、いつきは前にも増して吃驚した。
「そんな人いねえだよ! ……村のみんなはおらをうんと大事にしてくれるだが、
誰も夫婦さなろうって本気で言ってくれる人は……いねえだ。」
いつきはどこか寂しげに蛍の乱舞に視線を彷徨わせた。
異様な熱気と共に傅いてくれる男衆はいるのだが、彼らにとっていつきは社のご神体や寺の仏像といった拝む対象の偶像のような不可侵の存在であるらしい。(あるいは彼等同士の間で抜け駆けを禁じて互いに牽制し合ってでもいるのか)
888:七夕節句(政宗×いつき) 後編 2/16
12/09/07 02:27:41.33 9BheEr9h
睨んだ通りか。
「そうか、ならNo problemだな。」
「え? 何のことだ?」
左を向いたいつきの顎を、上体を捻った政宗の左手が捕えた。そのまま顔を引き寄せられる。
「は、む……っ?」
何事が起ったのか、夜の帳を隔てた視覚よりも先に皮膚の感覚で察知した。
唇に柔らかい物が触れ、そして離れた。
たった今しがたの出来事の意味を計りかねて呆然とするいつきのすぐ目前で、隻眼であっても、否それ故か、却って常人より幾倍も強い険のある眼光が闇を貫いて炯々と煌めいていた。
「Will you be mine?」
唐突に投げかけられた問いの意味は当然いつきには通じず、暫しの自失の後、漸く訪れた狼狽に瞳を揺らす乙女の視界の端で、独眼竜の白い歯が剣呑な弦月を形作った。その牙のように尖った八重歯に、
(まるで狼みたいだべ……いや、竜か。)
他人事のような遠い意識で白兎の娘は思った。
早乙女の、白皙の頬を引き寄せて、桃の花弁に口付けてみる。
しかし娘は驚くばかりで、恥じらうどころか怒りすらしない。
―やれやれ、見かけは育っても中身はまだ産毛の抜けきらないchickか?
己を取り戻したしろがねの娘がおずおずとその可憐な唇を開く。
「あ、あの……青いおさむら」「政宗、だ。何度教えたら覚える。」
いつきの言葉を遮り、一国の主は農民の娘に己が諱を呼び捨てにするよう求めた。
「ま、まさむね……い、今……おらに何しただ?」
「何ってまだ軽いkissしかしてねぇだろ。」
政宗の返答はいつきの語彙を超えた物だったが、いつきはその裏に秘められた意味を二重の意味で悟った。しかし、彼女はその意味を正面から受け止めることは無意識の内に避けた。
「お、おらをからかってるだか!?」
いつきは肩を抱かれたまま、政宗の強い視線から逃れるように近くを飛ぶ蛍の軌跡に視線を走らせながら食ってかかった。
「からかう、ね。」
政宗は再度いつきの顎を左手で捕え、目を合わせるように強いる。
「こんだけromanticでsensationalな場所に男を連れ込んでおきながら『そんなつもりはありませんでした』
なんて言う方がよっぽど人を喰ってると思うんだが?」
再び凄絶な笑みを浮かべる独眼竜。その顔を至近距離でまともに見てしまったいつきは、頬を灼く熱と腹の奥から響く動悸と背筋を走る戦慄とを同時に感じた。
娘の肩を抱く右手に力を込め、より強くその身を引き寄せる。冷たい甲冑を纏わぬ今宵は、羽織と着流しと彼女の衣越しに互いの体温が隔てられることなく伝わる。
その熱によって逆にいつきの身は凍っていた。自分の膝を抱えていた両腕はその姿勢のままで固まり、状況の打開に動いてくれる見込みはない。
そのいつきの短い袖に、蛍が一匹止まった。
政宗は彼女の顔から左手を離し、その左腕の袖に止まった蛍を指先で掬い上げた。
「蛍が何故光るのか……、知ってるだろ?」
そして娘の目の前に瞬く光を差し出す。
蛍の光は、つまごいの光。
飲まず食わずで、恋の相手を探し求める為に只管その身を焦がす。
―あの風来坊が好きそうな話だがな。
いつきは目の前の蛍を茫然と眺めた。大きな瞳に蛍の命の灯火が映り込み、小さな愛らしい鼻の頭を幽かな翠に照らす。
今自分の傍らにいる侍は……殿様は、何を言おうとしている? 自分に何を望んでいる?
それを直視することはいつきにとって非常な恐怖を齎すものだった。
望んでおきながらそれは許されぬと自らに戒めた願いが成就されようとすることは、人の心を双極に引き裂くものであるから。
889:七夕節句(政宗×いつき) 後編 3/16
12/09/07 02:28:38.14 9BheEr9h
「おらは……あお……まさむねが、何を言ってるのか、わからねえだ……。」
いつきは顔を背け、膝に顔を埋めた。
政宗の指先に止まっていた蛍が、中空に飛び立つ。いつきの銀髪に微かな反射を残し、葦の茂みの向こうへと消えて行く。
左目だけでそれを見送り、政宗は頑なな白兎に言い放った。
「単刀直入に言やぁ、オレはお前に惚れてるんだよ。」
いつきはさっと顔を上げ、栗色の目を見開いて政宗を見詰めた。
「おらに……? おさむらいの……殿さまの、まさむねが……?」
呟き、愛らしい瞳を泣きそうに歪める。
「う、うそだ。……そったらこと、許されるわけ、ねえべ……。」
己の右、西の方角に顔を背けたいつきの目に、大分傾いだ上弦の月が映る。
何度、欠ける月を見て彼を思い出す夜を過ごしただろうか。
敵として出逢い、初めて侍という人種に信頼を託し、そしていつか会うことを心待ちにするようになった。
しかし彼と自分の間には、住んでいる地を隔てる岩手の高峰や最上の急流よりも険しい身分の差がある。
いくら彼が侍らしからぬ気さくさで農民のいつきを同じ人として扱おうと、越えられぬ壁は頑然として存在する。
虐げられる農民と支配する侍、当初の関係とは逆に信頼と友誼と思慕の果てに改めて思い知らされた現実。
飽くまで己は農民の一人として、その代表として、政宗の為政者たる面に期待を寄せる民の象徴として在るべきであり、分不相応の想いは抱くべきではない。
いつきはそう自らを戒めていた。
にも拘らず、その村娘の健気な自戒と自重を、この奔放な国主はあっさりと踏み越えようとしている。
「Ha、嘘だって? オレはおそらくこの日の本で一番、テメェの心に正直な人間だぜ、you see?」
戦場では操る刀以上に鋭く刺を含む低い声が、いつきに対しては常に優しい響きを伴う。そして今は更に甘さをも含んでいた。
その声にびくりと身を震わせ、様々な感情と葛藤を喉の奥に堰き止めたいつきはかつて戦場に立った気丈さを以て、政宗の顔を見る勇気を何とか絞り出した。その真摯な視線を受け、
「OK、初心な嬢ちゃんは色んな意味でオレと、オレの『後ろに在る物』が怖いと見える。
なら、こうしよう。」
緊張と戸惑いの極みに在るいつきの身体を、政宗は解放した。
「お前が心底オレを恐れ、オレの言葉を信じられず、オレを拒むって言うんなら、
このまま立ち上がって自分の家へ戻れ。オレはさっきの家にでも厄介になる。」
送り狼になるつもりはねぇよ、と先程いつきが政宗に対して抱いた心証を知ってか知らずか軽く笑い、いつきの身を離した右腕を己の膝に回した政宗の顔は、先程の凄絶な微笑に比べれば随分と穏やかであった。
「だが……お前に少しでもオレを信じ、受け入れようって心積りがあるなら、そこで座ったまま目を瞑れ。
それを『I do.』の意思表示と受け取るぜ。」
言葉で問い詰められるよりも、楽な方法の返答ができるよう慮ってくれたことは、いつきも察した。
しかし肝心な所に自分のわからない言葉を混ぜるのは卑怯ではないだろうかと、いつきは辛うじて残っている心中の冷静な部分で政宗の戦術を評した。
890:七夕節句(政宗×いつき) 後編 3/16
12/09/07 02:29:32.04 9BheEr9h
手を伸ばしても届かない蒼穹の弦月が、向こうから降りて来た。
逃げるか、掴むか。
いつきは一つ大きく息を吸い、そして吐き出した。膝を抱えて前方に視線を投げかけたまま、呟くように言う。
「うそじゃ、ねえんだな。」
「Yeah.」
「信じて、いいんだな。」
「さっきからそう言ってる。」
いつぞやと似たようなやり取りの後、白兎の娘は静かに左を向いた。
澄んだ大きな瞳でじっと政宗の顔を見詰めた後、
「……まさむね……っ!」
「うぉ!?」
独眼竜が逆に虚を突かれた。大人しく目を閉じるどころか、いつきは自ら政宗の胸に上半身を投げ出していた。
「待ってた、ほんとはずっと待ってただ!
でも、ダメだと思ってた、諦めなきゃならねえって、ずっと自分に言い聞かせてただ!」
水も心も、堰き止めれば堰き止める程、決壊した時の勢いが増す。
感極まって泣きじゃくるいつきの身体を受け止め、体勢を持ち直した政宗は優しくその背を撫でる。
「All right. ……吐き出しちまえ、今ここで。辛かった想いの分も、全部。」
その全てを飲み込んでやるから。
竜はそう言って笑い、震える兎の背と頭を撫で続けた。
やがていつきは感情の奔流が治まると涙に濡れた顔を政宗に向けた。
愛おしい娘が、泣き濡れて潤んだ瞳で己を見上げて来る。
その様を見て、今度は政宗の堰の内圧が高まった。
いつきの身を両腕で抱えたまま、政宗は神経を周囲に広げた。夜盗や賊の類、危険な野の獣の気配の有無を探り、平穏で長閑な鄙の空気だけが周りに流れていることを確認する。そして左目を傍らに置いた六爪に走らせた。
「邪魔が入る虞はねぇようだな。」
感情の激しい吐露によって半ば霞んでいた意識の端で、いつきは政宗の言葉を辛うじて拾い、身を強張らせた。
そんないつきの頬を政宗は両手で挟み、隻眼で彼女の両眼を射る。
「覚悟はいいか?」
問う彼の唇の端がにいっと吊り上がり、ちらと覗く犬歯に、やはりいつきは獣の牙を連想したのだった。
政宗の肩に置いた両の手をきゅうと握り、いつきはゆっくりと頷く。
おそらく、これから己は恐ろしい目に遭うのだろう。
両親を早くに亡くし、上の兄弟も無く、あばら家の中に一人で暮らしてきたいつきは男女の営みを体験は勿論のこと、目にしたことすらない。
しかし、彼女に備わった女としての本能が、身に迫る危険と身の内の高揚とを同時に早鐘の心音を以て告げていた。
死ぬかも知れない、少なくとも軽くはない傷を負うことが確実な戦の場に赴いたことなら一度や二度ではない。
太平の為の贄となる覚悟ならとうに決めていた。それに比べれば、人が皆通る筈の道など如何程のものか。
稲穂の娘として、荒ぶる竜に奇稲田姫の如くその身を捧げよう。
更にこの八岐大蛇は、己にとっては同時に素戔男尊でもある。何を恐れることがあろう。
牽牛と織女では例えとして生温い程の修羅を潜って来た二人の頭上で、星が一つ流れる。
「Good girl. ……目ぇ瞑ってな。」
低い声は耳朶だけでなく抱かれた身体を通して伝わって来るようだった。
891:七夕節句(政宗×いつき) 後編 5/16
12/09/07 02:30:14.60 9BheEr9h
言われるがまま閉じたいつきの瞼は震え、長い睫毛には涙の露が宿っていた。
そのいじらしい様にこれまで抱いてきた強くも温かい庇護欲に加え、新たな欲求が政宗の中で急激に水位を高めた。
獲物を喰らおうとする獰猛な雄の欲だ。
両手で挟んだ彼女の顔を引き寄せ、緊張で引き結ばれたままの小さな唇に噛み付く。
びくりと震えた彼女の頬を抑え、己が唇を食むように動かして彼女のそれを柔らかく解しつつ、舌をその隙間から差し入れる。
吐息と共に、驚きの声が小さくその花弁の唇から洩れたが、それごと飲み込むように大きく開いた口で彼女の唇をすっかり覆ってしまい、伸ばした舌で彼女のそれを探る。
恐れと緊張で小さく縮こまっていたいつきの舌に、侵入した政宗の舌が蛇のように絡みついて未知の領域に誘おうとするように蠢く。
口の端から零れた滴がいつきの上向いた顎を流れ落ち、白い首筋を伝って星と蛍の光に煌めいた。
娘の喉の奥でくぐもった音が響くが、完全に塞がれた口からはその音が声となって発せられることはなかった。
籠手を着けぬ素肌の掌に触れるいつきの頬の熱が上がったように感じられ、政宗は閉じていた左目を薄く開く。闇夜の中でも、彼女の白い肌はぼうと輝くように目につく。その頬は朱く染まり、目の縁には新たな涙の粒が浮かんでいた。
幼い童などではない、艶めいた女の表情。
それが尚更、竜の腹の内に逆巻く炎を煽り立てる。
長い接吻の後に漸く彼女の唇を解放すると、それまで呼吸も儘ならずにいたいつきが咳き込むように激しく息をつく。政宗の両肩に置いていた手にも力が入らず、その堅固な胸板に身を預けきってしまう。
そんな彼女を抱き締め、銀髪ごと背を撫でた政宗は彼女の肩を支えて身を起こさせた。
いつきは正面から彼の顔を見る体勢になり、灼け付く羞恥に思わず視線を横に逸らせる。
彼女が横を向いている間に、政宗は紺青の羽織をさっと脱いだ。
視界の隅で闇の中にも僅かに色を残す青い波が舞ったと思った次の瞬間、いつきの身は海の色彩の上に、仰向いた状態で横たえられていた。
木綿の衣と絹の羽織越しに背に感じる柔らかい下草、そして天頂には一際鮮やかに輝く青白の織女星、降って来るかと思う程に濃く煌めき揺蕩う天の川。
地を背にして仰臥したことで視界を埋め尽した圧倒的な光の粒の奔流に、いつきは茫然とした。
どこか夢を見るような面持ちで大きく目を見張ったいつきの顔の両脇に手をついてその身の上に覆い被さり、政宗は彼女の瞳を釘付けにした天の川を、己が身で彼女の視線から遮った。
例え相手が空の星だろうと、今この時に己以外の存在に目を奪われるのは許さない。
薄く妖しく竜は笑み、再び白い娘の唇を奪った。先程よりも濡れて熱を帯びた唇と舌が彼のそれを受け入れる。
横たえられていたいつきの両腕が僅かに空中を彷徨うが、彼の背に縋るのを躊躇ったか、結局はたりと彼女の頭の両脇に降ろされる。その上向いたそれぞれの掌に己が両手の指を絡ませて、政宗はより深く口付けた。
きゅっと瞑ったいつきの眦から涙が零れ落ち、政宗は唇でその滴を拭う。
瞼、小さな鼻先、柔らかい頬、切り揃えられた銀の前髪から覗く額、とあやすように触れるだけの優しい接吻を与えると、いつきの瞼がそろりと開いた。
潤んだ瞳は政宗が望んだ通り、彼だけを映している。
その様に満足し、竜はその唇を今度は娘の首筋に落とす。
熱く脈打つ命の血潮の流れる道、その急所に軽く歯を立てられ、恐怖のせいか獲物の身体がびくりと強く震えた。
絡めた指を解き、政宗は両手をいつきの腰の下に回して彼女の帯の結び目を緩める。武家の姫程にはきっちりと着付けられていない村娘の衣は、寛げるのも容易だった。
892:七夕節句(政宗×いつき) 後編 6/16
12/09/07 02:30:56.41 9BheEr9h
政宗の手が背後に回された時、反射的に腰を浮かしてその動きを助けたいつきは、彼の手が彼女の衿元にかかった時には逆に腕を胸の前で交差させて防ごうとした。
無意識か恥じらい故かの矛盾した行動を、政宗は左手で彼女の両手首を纏めて掴むことで封じる。いつきの頭上で地にその両手首を押し付け、右手で彼女の衣の合わせ目を開く。
「やぁ……っ!」
今は自由な唇から、いつきは羞恥の悲鳴を上げた。
それに構わず、政宗はいつきの帯をするりと抜き取り、両腕を頭上に揚げた彼女の体勢が許す限りの範囲で前を肌蹴た。
白い素肌が闇に浮かび上がる。
仰向いている為に胸の成長の程は顕著には伺えないが、その二つの淡い盛り上がりに両手を添えれば、柔らかな感触と敏感な固い芯が娘の盛りを訴えていた。
「痛っ……」
声にしてしまってから、いつきは両手で口を塞いだ。恥じらいの声は上げても、苦痛の声は出したくはない。
幾度も戦場にて先頭に立った彼女ならではの、男子の武将にも通じる矜持だった。
そんな彼女の心意気を察した政宗は一つ口笛を吹いた。
護る対象の女として愛おしいが、同時に彼女のこの毅さが興味深い。誰に縋ることもなく己の両の足で立ち、男共を率いる程の力と度胸と才覚を持った強い女は嫌いではない。
そして同時に、強い相手ならば尚のこと、己が力に依って捩じ伏せたいという、雄の欲求から派生した武に生きる者の意地が頭を擡げる。
「我慢すんな、声を出せばその分痛みは薄れる。……これからもっと痛くなるぜ?」
その分、痛みを凌ぐ程に善くしてやるがな。
いつきの耳元に口を寄せてそう囁き、政宗は軽く触れられただけでも痛みを生じてしまう彼女の乳房の芯の周りを、撫でる程の柔らかさで揉みながら、彼女の首筋に舌を這わせた。
初めて味わう恐ろしくも甘い快感に荒く息を吐くいつきは、遂にその白く細い腕を政宗の首に回した。
政宗は左手で彼女の右の乳房を愛撫しながら、拇指で膨らみの頂きに在る可憐な蕾を転がすように刺激する。
「ひゃん!」と仔犬のような嬌声をいつきが上げた。
いつきの首筋から鎖骨の稜線を辿っていた政宗の唇が彼女の左の乳頭に辿り着く。初めは柔らかく唇で挟むように、やがて歯を立てて軽く噛むように。
更に鋭い悲鳴を発していつきの身体が弓なりに仰け反り、政宗の首に回した腕を意図せず強く引き寄せる。その動きにつられるまま彼は彼女の胸に顔を押し付け、固く勃ち上がる蕾を舌先で突ついた。
強過ぎる快感にいつきは激しくかぶりを振り、暴れるように両の脚をばたつかせた。
政宗の空いた右手はいつきの脇腹をなぞって腰から太股を摩り、悶える彼女の脚を宥め、その間にすっと入り込む。彼の長い指が薄い銀の茂みを掻き分けてそこに触れた時、
「いやっ! ……ん……!」
政宗の首から放した手で再びいつきが口を押さえた。苦痛を訴える言葉も、拒絶の言葉も。覚悟を決めたからには決して出すまいとするその意地に、愛撫していた乳房から顔を上げた政宗は微かに苦笑を浮かべる。
―健気で結構な事だが、素直に啼かれた方がそれはそれでそそるんだがな。
893:七夕節句(政宗×いつき) 後編 7/16
12/09/07 02:31:43.66 9BheEr9h
両の腕で顔を覆ってしまったいつきを余所に、政宗は唇での愛撫を少しずつ下に降ろして行った。
乳房の間から臍を通り、一際白い下腹部へ。
そして政宗はいつきの両脚を開かせてその間に膝をつき、立てさせた彼女の膝の下に両腕を潜らせて抱えるように持ち上げた。
顔を隠して羞恥と恐怖と快楽に耐えていたいつきは、不意に身を駆け抜けたこれまでで最も強烈な感覚に驚いて腕の隙間から己の脚元を見やり、闇と数多の蛍火の中に浮かぶその光景に更に愕然とした。
政宗が、いつきの脚の間に顔を埋め、その唇で彼女の秘められた箇所を慈しんでいた。
いつきの心身に快楽とは全く違う衝撃が走った。
女の、その部分は穢れているのだと、月の物を初めて迎えた時に村の年上の女達から教わっていた。例え女の月水のことが無くとも、そこが不浄であるとは幼子でさえ判る。
「や、やめるだ! そ、そったら……きたねえことっ……!」
いつきは制止の叫びを上げた。自身が行為に耐え切れなくなったからではない。
唯でさえ遠い身分の差を越えて、己のような地に生きる村娘に侍、しかも天下を狙おうかという殿様の政宗が心を寄せているというだけでも信じ難いことなのに、その口で、不浄の場所に触れるなどと。
その行為をしているのは政宗であるのに、いつきは自身が大罪を犯したような激しい恐怖に襲われて、それ以上彼の口が汚れぬよう必死に腕を伸ばす。
いつきの右手が彼の髪にかかろうとした時、彼の左手がはっしとそれを掴んだ。
「Shut up! 大人しくしていろ。」
顔を上げて鋭い一つだけの眼光でいつきを射竦め、行き掛けの駄賃に蜜で濡れた口へ彼女の指先を含むと、その一本一本を丁寧に舐めてから再び己が左手と指を絡めて繋ぐ。
「汚ぇって? 神様の教えか? ……男は戦で人を殺して大地に血を吸わせる。同じく女は子を産む為に血を流す。
それを穢れと呼ぶなら、人間なんてのぁハナっからこの世に居ちゃいけねぇ存在だ。それが生きるってことなんだからな。
汚い物が大地に還って尊い命の糧に生まれ変わる。農民ならよく知ってる理だろうが。」
そう言って竜は嗤う。
「それに唐の教えじゃあ、女の身体から湧き出る水は汚いどころか薬になるんだとよ。
Don't worry too much. ……まぁ、今に余計な事は考えられなくしてやる。」
視線を合わせ、左手はいつきの右手と繋いだまま、政宗は右手で彼女の秘花を弄った。
途端に稲妻―正に彼が戦場で纏う―に撃たれたようにいつきが仰け反り、左手で口を覆いながら顔を背けた。
抵抗が無くなったのを見て取り、政宗は中断していた口での愛撫を再開する。
今が夜でなければ、ここに火の灯りがあれば、その色艶もよく見えたであろう秘花は、それでもその内部の固い感触を以て他の誰にも踏み込まれていない新雪であることと、その甘い香りを以て女として咲き誇りつつあることを物語っていた。
894:七夕節句(政宗×いつき) 後編 8/16
12/09/07 02:34:37.62 9BheEr9h
柔らかい貝肉を舌で愛でれば、蜜が豊かに湧き出て来る。
―未通女にしちゃあ、上出来だ。
肉襞の合わせ目から舌を差し入れ、針も通らぬ細い入口を抉じ開ける。闇の中、右手の指先で割れ目の頂点に隠されている筈の花芽を探り出し、軽く摘みながら莢を剥く。
「ふぁああっ!」
甲高い悲鳴を上げたいつきの身が鯉のように跳ね、政宗の肩に抱えられた両脚を閉じようとする。
彼女の細い腿に頭を挟まれても全く動じずに彼はその行為を続けた。
後から後から湧き出す蜜は淫靡な酩酊を誘う。
政宗が濡れて粘つく音を立ててそれを啜ると、彼女の左脚が弾かれたように宙に振り上げられた。頭の脇を掠めたその足首を危な気無く右手で掴んで肩の上に抱え直す。
地に敷かれた羽織の上で娘の身体が大きくくねり、巨大過ぎる快感から逃れようと青い絹に皺を作りながら細い腰が擦り上がるが、左脚を抱えられ、右手を彼の左手と繋いでいる為にそれも儘ならない。
政宗が歯を使わずに唇だけで花芽を啄ばみ、舌先で敏感なその珠を転がしてやれば、秘洞から湧く蜜は量を増して丸い谷間を伝い闇に紛れて絹地に染みを作った。
蛍の光に混じり、射干玉の夜に雌の匂いが立ち込める。闇に目を閉ざされる分、その芳香はより鮮やかに感じられた。
いつきは柔らかく白い腹を痙攣するように波打たせ、喉を突く嗚咽と下腹部の圧倒的な快楽に耐えていたが、やがて自らの胎の内に生じる己ではどうしようもない程の熱と疼きに抗う為、自らの左手の甲を噛み締め始めた。
「止めろ。今からそんなじゃあ、その手をテメェで噛み破ることになるぞ。」
政宗の言葉で我に帰り、肢体に感じていた拘束が緩んだことに気付いたいつきが涙の滲む目を開く。
彼女の両脚を降ろし、右手を解放した政宗が、彼女の顔を覗き込んでいた。
いつきの口からその手を引き剥がして歯型を唇でそっとなぞり、そして彼女の頬を労わるように撫でる彼の隻眼は、鋭さの中にどこか痛ましい色を湛えていた。
艶やかな銀髪を地に散らして乱れ切った衣から白い身体を晒し、闇の中でも明らかに見て取れる程に顔を紅潮させ、目元に涙を浮かべて陶然とした表情でこちらを見上げるいつきの姿は尋常でない程に扇情的であった。
しかし、まだ己の欲望に対して放縦に身を任せる訳にはいかない。
稲田に恵みを齎す雨雲のように体重を掛けずにいつきの身の真上を覆った政宗は、汗で額に貼り着いた彼女の銀の前髪を掻き分けてやりながらもう一方の手を再び彼女の股間に伸ばす。
体躯の差により余裕を持って届いた彼の手は、彼女自身の蜜と彼の唾液とで混然と濡れた秘花を改めて愛撫した。
焦点の定まらぬ瞳で政宗を見るともなしに見上げていたいつきが、その刺激にまた目をきつく閉じ白い喉を仰け反らせて喘ぎ、今度はその両手を躊躇わずに政宗の首に回した。
895:七夕節句(政宗×いつき) 後編 9/16
12/09/07 02:35:10.36 9BheEr9h
彼女の衒いのない反応によって決壊寸前まで膨れ上がった自身の欲求を強引に抑え込み、政宗は左手でいつきの頬を撫でつつ、唇で彼女の額や瞼や鼻に触れては離れることを繰り返す。同時に柔らかい襞の奥の固い入口に何度も右の指を滑らせ、少しずつその肉を解き解した。
細い秘洞はそれでも彼の指が通る度に濡れた音を立ててひくつき、異物を吸い込もうとする。
闇の中で小さく窄んでいた政宗の瞳孔が縦にすっと裂けた。彼だけが持つ竜の瞳だ。
幾度目かの秘花による無言の誘いに乗り、政宗は中指を小さな孔につぷりと突き入れた。
鵯のような甲高い啼き声が闇夜を劈く。
仰け反るというよりも波打つように暴れる、見かけよりも遥かに強い臂力を秘めた痩躯を体格の差と関節を押さえる技術を以て封じ、歯を食い縛りながら政宗は指を奥へと進める。
ここからは正に戦いだ。相手は雌の獣で、慈しんで甘やかすだけではこちらが返り討ちに遭う。
それまではいつきの頬を優しく撫でていた左手で彼女の顎を強く掴んで噛み付くように深く口付け、花筒に潜らせた右の中指はその内部を広げるように蠢かす。
密着させた唇同士を通じて伝わる振動により、彼女が何事かを叫んでいるのが察せられたが、その声ごと飲み下し滑り込ませた舌で口内を蹂躙する。
政宗の指が襞の敏感な部分を掻く度に、びくびくといつきの身が跳ねる。秘筒から溢れる蜜が量と粘性を増し、彼の掌まで溢れ落ちた。
中指を鉤型に曲げてそこを広げ、彼は人差し指も突き入れた。更に拇指で花芽をも刺激する。
いつきの反応は狂うに近かった。
兎という生き物は、その愛らしい見かけの裏に意外な程の獰猛さと淫蕩さを秘めている。
二本の指を互い違いに動かして花筒を広げる、その手管に専念する右手以外の全身で、政宗はいつきの暴風雪のような反応をいなして躱し、或いは押さえ付けて捩じ伏せた。
しかし、そこまで暴れながらもいつきの手は政宗の首を強く抱き続ける。
決して拒まれている訳ではない、それを知っているからこそ彼も躊躇わなかった。
彼の二本の指それぞれによって内部の弱点を突かれ、いつきは彼の接吻を振りほどいた口から血が出るかと思われる程の絶叫を迸らせ、全身を痙攣させた。
音も無く蛍火の群が舞う闇の中、いつきの身は芯が抜けたようにがくりと弛緩した。
暫しの狂乱が嘘のように収まり、夏の虫と遠く聞こえる蛙の声が満たす穏やかな夜の空気に、若い娘の熱い息遣いが響いていた。それに微かな衣擦れの音が混じり、やがて途切れた。
896:七夕節句(政宗×いつき) 後編 10/16
12/09/07 02:48:43.27 9BheEr9h
いつきは目を開いていたが、その涙の浮かんだ大きな瞳は殆ど何も映していなかった。
おそらくは生まれて初めての絶頂に惚ける彼女はその為、目の前の彼の行動を気に掛けることも気付くことすらもなかった。
先に彼女を乱れるだけ乱れさせておいて、今漸くに己の帯を緩めた政宗は放心状態の彼女の頬を撫でてその耳元で何かを囁いたが、彼女の意識はまだ中空に漂ったまま戻って来る気配はなかった。
寝ている、或いはそれも同然の女を抱くのはつまらねぇし粋じゃねぇから好かないんだがな、と竜の独白が闇に溶けた。
政宗は竜の瞳で目前に仰臥する娘の白い身体を見据える。
彼女が我に返るまで待ってやりたい思いも皆無ではないが、それよりも彼自身の忍耐が限界に来ていた。
「初めてのくせに、良い声で啼きやがって……」
呟いた彼はいつきに、彼女の倍近い自らの体躯を被せてその重みを遠慮なく預けた。
大きく開いた襟元から覗く厚い胸板を彼女の白く柔らかい胸に密着させ、互いの鼓動と体温を直接伝え合う。
両腕で彼女の頭を流れる銀髪ごと抱え込み、薄く開いたままの唇を貪る。
暫くそうしているうちに、いつきが微かに身動ぎをした。
「漸くお帰りかい。」
政宗は酷薄な笑みを浮かべると、先程は彼女の意識に届かなかった言葉をその耳元で繰り返した。
「お前を丸ごと喰わせて貰うぜ、いいな?」
いつきは光を取り戻しつつある大きな瞳で、闇に浮かぶ竜の瞳を見詰めた。それから掠れた声で呟く。
「……うん、おら……しんじてる、から……、まさむねの……こと……」
―Give me a break! 大した殺し文句だ。今はどんな言葉が返って来ようが煽られるだけでしかないが。
政宗はいつきの脚を広げさせ、先程と同じように自らの両肩に抱え上げた。
彼女の股間に指を滑らせれば充分に濡れて解れている。
己の膝を進めて彼女の腰の角度を測り、彼女の秘唇を右手で開きながら、散々待たせて限界まで勃ち上がった自らを左手で支え、蜜の溢れるそこに先端を咥えさせた。
「初めに言っておく。これからする事はさっきお前の中に指を突っ込んだ時の比じゃねぇ。……脅しじゃねぇぞ。
少しでも痛みを減らしたきゃ腹に力を入れるな。息を止めずにゆっくり吐き続けろ。」
敢えて投げつけるように言うと、快楽の中に怯えを滲ませていた娘の目に、これまでとは違う色の光が宿った。
「おら……まけねえ……なにが、あっても。」
精一杯に振り絞ってはいたが、偽りのない言葉に政宗の唇にも戦場でのそれと似た笑みが浮かぶ。
「上等だ……!」
そして一気に突き入れる。
897:七夕節句(政宗×いつき) 後編 11/16
12/09/07 02:49:16.28 9BheEr9h
いつきは全身全霊で喉から湧き上がる悲鳴を封殺した。
彼女の細い道は彼の硬く反り上がった陽物に貫かれ、その関を突き破られて破瓜の血を流す。
身体全体を中心から引き裂かれるような激痛に飛びそうな意識を辛うじて繋ぎ、いつきは唇を噛み締めて耐える。
耐えているのは政宗も同じだった。処女の狭い秘洞は最初の関門を突いただけで凄まじい快感を彼に与えた。
焦らしても痛みを余計に長引かせるだけと踏んで破瓜までは一思いに進めたものの、これから先は彼女の具合の見極め次第だった。
腰を引いて一度自身を入口近くまで抜き戻すと、溢れた血が青い羽織に新たな染みを作ったが、闇の中ではその赤い筈の色彩は黒く沈むばかりだった。
身体の下に敷かれた羽織をきゅうと握り締め、目を固く瞑って痛みに耐えるいつきに、政宗は再度挿し入れる。
血と蜜と彼自身の先走りとで潤んだ秘洞は相変わらずの狭さであった。その複雑に絡み合った襞を少しずつ擦るようにして彼は腰を進める。
腹に力を入れぬよう告げたとはいえ、痛みを堪えるので懸命ないつきには当然それは難しく、奥へ進む程に抵抗は強くなる。
彼女の呼吸が浅いのを見て取った政宗は上体を屈めて彼女の頬や額、そして唇に掠めるように口付け、脇腹を柔らかく摩り、深く息をするよう促してやる。
いつきは痛みに耐えながらも、身体の奥底から生まれ出る、これまで経験した事のない熱い疼きを感じていた。
彼と繋がった部分から脳天へと一直線に、或いは腹の内で渦巻くように、その甘くも激しい電流は彼女の中を荒々しく駆け巡る。
不意に顔のそこかしこに触れる優しい感触に気付いて瞼を持ち上げれば、身を竦ませるような鋭さと安心させるような柔らかさを同時に宿した竜の瞳が間近に在った。
脇腹を撫でられ、その温かい感触に大きく息を吸って吐く。自然と腹部の緊張が緩み、胸に感じていた重苦しさも薄れた。
ふわりと、雪の中に咲く花のように、いつきが微笑んだ。
闇にも目につく広がる銀髪、赤みの差した白い肌、桃の花弁の唇。
細い両腕を伸ばし、彼の首に縋りつく。
「だいじょうぶ……まさむね、おら、がんばるから……」
政宗は一瞬凍り着き、珍しくその視線をさっと在らぬ方へ反らしたが、次の瞬間にはいつきの頭を抱え込んでその唇を熱く求めていた。
健気な言葉を紡ぐ愛らしい唇に舌を差し込むのと同調して、秘花を突く腰も進める。
上下とも隙間なく繋がり、共に結ばれた部分からは淫らに滴が溢れ出る。
過度の緊張から脱し、生じる快感に順応し始めたいつきの花筒はいきむように拒むのではなく、巻き付いて奥へと誘うように政宗の物を締め付けるようになってきた。
元からの狭さとその妖しい蠕動に放出への衝動が一気に高まったが、彼は崖際で踏み止まった。
絡み付く襞を反り返りで掻き分けては彼女の善がる部分を探り、奥へと踏み入る。
しかし、男を受け入れること自体初めてのいつきは、どこを責めようがその度に政宗の忍耐を吹き飛ばさんばかりの鮮やかな反応を返した。
898:七夕節句(政宗×いつき) 後編 12/16
12/09/07 02:50:23.75 9BheEr9h
時折は呼吸の為の休息を与えてやりながらも、いつきの舌ごと飲み込むようにその口内を吸い、舌で彼女の歯の裏まで弄る。
そして下では遂に、子宮の入り口近くまで到達していた。
荒い息を互いの口の隙間から零し、政宗は引いては突く動作を繰り返す。突き入れる度に角度や深さを変えながら。
彼の大きな手は汗の滲む彼女の身体を労わるように撫で摩り、或いは彼女と彼自身の悦楽の為に淫蕩な動きで白い肌の上を這い回った。
「ふあっ! ふぁあ……はあ……あっ、うん、まさむね……まさ、むねぇっ……」
呂律の回らない舌で必死に彼の諱を呼ぶ白い娘の身体が悩ましくくねる。
登り詰めようとする彼女に合わせ、政宗も一度腰を大きく引いてから、強くその最奥を突いた。
「ひっ! あ……ふぁああぁあああっ!!」
息を詰めた後に絶頂の叫びを上げるいつきの瑞々しい肉体が、痛々しい程に激しく撓った。
「! っく……」
ぎゅうと激しく収縮する彼女の秘筒の中へ、見計らったように政宗も己の激情を解き放った。
熱く逆巻く白い濁流が、震える彼女の胎内を満たして行き、見えない筈の右側も含めた彼の瞼の裏では、蛍にも似た緑の光がちらちらと明滅していた。
今度こそ耐え切れずに意識を手放した彼女を、宝物を護って深淵で蟠る竜のように政宗が全身で包み込んだ。
いつきはどこか遠くで彼女を呼ぶ声を聞いたような気がした。
まずは深く沈んだ意識を表層まで汲み上げる。それから重怠い瞼をやっとのことで押し開いた。
ここはどこだろう。あの空を流れる光の川は。知らずに彼岸に来てしまったのだろうか。何年も前に死んだ両親と漸く会えるのか。
ぼんやりと空を見詰める彼女の瞳に、星が一つ流れるのが見えた。
星が流れ去った方角に視線を向ければ、そこには目も覚めんばかりに明るく輝く青白い星が瞬いていた。
そこで彼女の意識は急激に覚醒した。
首を巡らせてここが水源のほとりであることを思い出した彼女は、続いて腕の下に感じる滑らかな感触によって、自分が艶やかな絹の上に寝かされていたことに気付く。
何故こんな物が、ここに。
そして事の顛末を思い出した彼女は羞恥に顔を真っ赤に染めると、辺りを見回した。
気を失う前にはあられもない恰好だったが、今は衣の前は合わせられ、帯も軽く締められて一応の体裁は整えられている。
彼女をここに寝かせ、おそらくは着物を整えてくれた人物の姿は無く、言い様の無い不安な心持に襲われて彼女は急いで起き上がろうとした。
上半身を起こすところまでは上手く行った。
しかし身体の下の羽織を踏み付けまいと横にずらした脚に力を入れようとした途端、腰から下の感覚が全て失せてそのまま崩れ落ちてしまった。
「ち、力が……入らねえ……」
情け無さそうに呟き、いつきは再び羽織の上に手をついて身体を何とか持ち上げようと試みる。
そこに、さくさくと下草を踏みしめる音が近付いてきた。
899:七夕節句(政宗×いつき) 後編 13/16
12/09/07 02:52:23.03 9BheEr9h
「よぉ、気が付いたのか。」
声がした方向を見れば、闇とほぼ同化している深い鳶色の髪を手拭で拭きながら歩いて来る、縹色の着流し姿の長身の男。
彼の姿を見ていつきの顔が再び真っ赤に染まる。
「Ah? 起き上がれねぇなら無理すんじゃねぇぞ、そのままもう少し寝ておけ。」
彼女の羞恥による狼狽など一顧だにせず、政宗はずんずんと近付いて来た。
身体的な理由と精神的な理由の両方でうつ伏せになったまま動けないいつきの傍らまで来ると、政宗は屈んでそこに置いてあった物を確かめるように一撫でする。竜の翼を模した鞘に納めた六振りの彼の宝だ。
しかしそれを腰に差すことは未だせずに、政宗はその姿勢のままくるりと身軽に大きな身体の向きを変え、相変わらず赤いままのいつきの顔を覗き込んだ。
「Are you all right? 気晴らしにお前もやって来るか? 沐浴。」
そこでいつきは彼が何をして来たかを知った。
「歩けねぇなら連れてってやるぜ。ついでに洗うのも手伝ってやる。」
相変わらず身分という概念を空の彼方に蹴り飛ばした政宗の軽口に「何言ってるだ!」と返すいつきは、闇すらも隠せぬ顔の火照りが益々強くなるものの、どうすることもできずに視線だけを反らしながら彼に訊いた。
「よくこっただ暗い中、不案内な場所に一人で行けただな。」
「支流辿ってけばお誂え向きの川の膨らみが簡単に見つかったからな。」
彼の言う場所はいつきにも心当たりはあった。
水源から幾つか枝分かれした小川の一つに、流れも緩やかで深みのある溜まりがあり、村の子供もよく遊び場にしている場所があったのだ。
ただし林の水際というものは足元が悪い場所であり、昼間で無ければあまり人も近付かないのはどこの村でも大差ない筈であったが。
この男はあらゆる意味で恐れを知らないのだなと、自らの顔の火照りを忘れたいつきは感嘆半分呆れ半分で彼と視線を合わせた。
言動が信じられない程奔放でありながら、それでも流石に武家の長らしく、今はすっかり襟元を整えて帯もきっちりと締めた彼の隙の無い着こなしを見たいつきは、ある事に気付いて慌てて寝返りを打つ形でその場を退いた。
「どうした、いきなり。」
「すまねえ……すっかり汚しちまっただな、堪忍してけれ。」
いつきは草の上に伏しながら、青く滑らかな絹地を撫でた。上物の絹地は水洗いが効かない。汗やら血やら、更には色々とはしたない物で汚してしまったことを心底申し訳なさそうに彼女は詫びる。
しかし政宗はそれを短く笑い飛ばす。
「Ha! 気にするんじゃねぇよ。オレがやった事だ。
大体戦に出ればもっと酷い事になって毎回仕立て直すんだからな。」
右目さえ側に居れば敵の刃で裂かれることは滅多に無いが、浴びる返り血の量が毎回半端ではないのだという。
高価な絹地を使い捨てることと、彼女自身にも覚えはあったが百や千の単位で人を殺すことの双方を何でもないかのように言う彼に、やはりいつきは心の奥底で距離と恐れを抱く。
900:七夕節句(政宗×いつき) 後編 14/16
12/09/07 02:53:28.01 9BheEr9h
しかし、この恐れ知らずの竜は村娘のそんな胸中などお構いなしに、腕を伸ばして彼女の頭を撫でることでその距離を詰め、恐れを払拭してしまう。
「ほら、いいからもう少し休んでおけ。どうせ使い物にならなくなるなら使えるだけ使わねぇと勿体ねぇだろ。」
ごろんと、彼女の身体を再び羽織の上に転がして政宗も大地に腰を落ち着ける。
勿体ない。ああ、この殿様も自分達農民と同じような目線を持ってくれてるんだったな。
いつきは西の方角を見た。
ここに来たばかりの時は天頂に在った織女星は、今は西に傾いている。
暫くその鮮麗な輝きを見詰めていたいつきの耳に、田畑に多く棲む嘴の細い鴉の嗄れた鳴き声が響いて来た。
空はまだ暗いが、間もなく夏の短い夜が明けようとしているのだ。
「……ゆっくりしてぇのは山々だが、お帰りの時間だな。」
彼女と同じ方角を眺めていた政宗が呟いた。
一国の主が長く城を空ける訳にもゆかず、ましてや軍を連れずお忍び同然の状態でやって来た今年は早々に起たねばならないと言外に匂わせ、いつきもそれを察した。
「―嘆き越し 人の別れに 比ぶれば 星の契りぞ 羨まれぬる―」
続いた政宗の呟きに、いつきは彼を見上げる。
異国語ではないがいつきには馴染みの無い、普段の彼らしからぬ典雅な言い回しに、彼女はうつ伏せに寝たまま政宗の方を振り返った。
「何ていう意味だか?」
政宗はまた手を伸ばして彼女の銀髪に指を絡め、一房梳いてから答えた。
「……死に別れるにしろ生き別れるにしろ、悲しみに塗れた儚い人間の世に比べりゃあ、
永遠に見える星の契りが羨ましく見える、って話さ。
もしかしたらオレ達人間が知らねぇだけで、星にも命とか死ってもんがあるのかも知れねぇがな。」
それでも人の命に比べれば久遠の時の流れだ。
そう答えた政宗に、いつきは意外なものを見た気がした。
「おめえさんでも、悲しいって思うことがあるんだな。」
悪意は無いのであろう純真な娘の言葉に、あのなぁと竜は苦笑するが、普段の己の振舞いからそう思われても無理からぬことも判っていたので反論はしなかった。
かつて彼女が魔王の手先に討たれたと思い込んだ時の己の激しい怒りと深い嘆きは、こうして彼女が恙無く生を送っている以上は敢えて彼女自身に教えてやる必要も無い。
「いつき、米沢に来い。」
何気なく呟くように放たれたその言葉を、先程と違い意味はわかるものの確認の為にいつきは訊き返した。
「な……何て言っただ? 今。」
901:七夕節句(政宗×いつき) 後編 15/16
12/09/07 02:54:32.80 9BheEr9h
「じゃあ判り易く言ってやる。オレと一緒に来い。」
いつきは栗色の目を見開いて政宗を見詰めた。
「本気で言ってるだか? おらただの農民だぞ?」
「ただのってこたぁねぇだろう。我らが守護神に愛されてる嬢ちゃんが。」
宇迦之御魂神を祭る伊達家の長と稲穂のかんなぎ。
自らは神仏を徒に恃むことを良しとしない政宗でも、家長として家内の行事全てを蔑ろにする訳ではない。
米沢を一度訪れた時、自分達の村と同じく宇迦之御魂神を祭る社があるのを見たいつきに、自らも神職の家の出である片倉小十郎が伊達家の戦勝祈願の慣わしを説いてくれたことがある。
同じ守護神を戴く者同士、神の子としての自身に政宗が意味を見出しているなら、ある意味それは落胆以上に安堵を感じることができる。
ただ分不相応の僥倖を甘受するのではなく、いっそ合理的に利用してもらった方が心の重荷が軽くなる。
「おらにも戦えってことだか?」
「出来得る限りそれは避けたい選択肢だがな。オレはお前の力を認めちゃいるが、
お前の手をまた血に染めさせたとなったら小十郎に何言われるかわかったもんじゃねぇ。」
冗談めかして言った後に政宗の表情が刃物じみた硬質さを帯びた。
間もなく戦が始まる。
これまでと比べものにならぬ、大きい戦が。
いつきの身にも緊張が走った。
「おそらく奥州全体をも巻き込む戦がな。
お前は村を守る為に離れたがらないだろうが、村ならオレ達が守る。
西南の連中に白河の関は越えさせねぇ。奥州北部も羽州もオレ達が睨みを利かせる。
だが、お前の存在は戦線が拡大して世が更に混沌となればこの辺りの侍連中の野心を刺激して内紛を呼ぶ元になりかねない。
お前は日の本の武将共に名を知られ過ぎた。その力も、姿もだ。
巫を神輿として担ごうと企む輩なんてのはごまんといる。お前が望むまいとな。
お前は、オレの眼の届く処に居ろ。オレが城を空ける時は、替わりに伊達の者が総出でお前を守る。」
その言葉でいつきは悟った。やはり彼個人は神頼みとは縁のない人間だ。彼が彼女を利用するのではなく、他の者に彼女が利用される事を案じているのだ。
そしてそれが単に彼女を憐れむといった情から出た望みだけではないことにいつきは安堵する。彼には天を行く竜のままであって欲しい。自分が大地と稲穂の恵みを決して忘れないように。
もし彼が自分のようなちっぽけな村娘一人に血道を上げるような虚けだったら、その頭を大槌で殴ってでも拒んだだろう。だが彼の一つしかない目は、それでも常に奥州の民全体の事を見ている。
おそらく時には曇りも濁りもするのだろうが、それをあの忠臣の右目が補ってくれている。
902:七夕節句(政宗×いつき) 後編 16/16(終)
12/09/07 03:02:29.56 9BheEr9h
そこまで考えて、稲穂の娘は慎重に口を開いた。
「一つ、お願いがあるだ。」
「何だ? 言ってみな。」
いつきは腕に力を入れ、上半身だけ起こして彼の顔を正面から見た。
「今日だけでも田んぼ手伝わねえと。村のみんなと約束してるだ。」
「そうか、なら三人人手が増えればお前の分の仕事も早く終わるな。」
しっかり農作業の頭勘定に自分を含めている殿様に「野良仕事を良く知らねえ奴がそっただ働き出来る訳ねえだ!」といつきは尤もな意見を叩きつけた。
「やってみなけりゃわからねぇぜ。小十郎の畑だって手伝ったことあるしな。」
「広さが違うべ。それに田んぼと畑じゃ勝手が全く違うだ。」
「じゃあ炊き出しでも何でも好きに使うと良い。」
「殿様にそっただことさせる訳にいかねえべ!」
言ってからいつきは「炊き出し?」と訊き返した。
「米と枝豆がありゃあ、美味いもん作ってやれるぜ? 勿論、普通の料理もな。」
「……まさか城でも同じような事やってるだか?」
「客が来た時にはほぼ例外なくな。それに戦場じゃ日持ちのする兵糧を考えたり作ったりする必要がある。」
「そっ……でも、軍のみんなの分を一人で用意してた訳じゃねえべ? 村みんなの分なんて……」
「んなの屁でもねぇよ。要領さえ判ってりゃあ数をこなすのは容易い。
オレが裏方に回りゃあ、その分人手に余裕ができるだろうが。」
わあわあと言い合う村娘と殿様の頭上で、人の死を暗示するという流れ星が白みかけた空に一つ二つ、やがて密かに雨のようにぱらぱらと降り注いだ。
関ヶ原の戦いを翌年に控えた、夏のことだった。
―終―
――――――――――――――――――――
本文と注釈内の科学考証の補足・訂正・再訂正
・星の色は温度が高い方から青>白>黄>赤となり、織女牽牛後七夕は三つともスペクトル分類でA(白)というグループですが、その中でも温度が高い(青に近い)方から織女>後七夕>牽牛となります
よって前編10/12の改訂版で、牽牛は後七夕に合わせて青ではなく白という描写に心の中で再訂正
・旧歴は太陰太陽暦なので、七夕の月相は毎回上弦ですが、一年間の日数には太陽暦である新暦より大きな差がある為に同じ時刻での恒星の見え方は年によって違います
(特定の日付の公転軌道上の地球の位置が太陽暦:ほぼ一定、太陰太陽暦:年によってある程度違う、太陰暦:どんどんずれていって33年で一巡り)
また歳差運動の為に400年前と今では微妙に天の北極がずれていて、当時は北極星の動き方が現在より大きかったとか
・この時期、ペルセウス座流星群があるので実際に流れ星が頻発します
・蛍の旬はゲンジボタルの場合6月~7月なので、作中ではピークは過ぎています
ヘイケボタルなら8月でも飛びますが、発生時期が長い分、ゲンジと違ってあまり密集することはないらしい
ヘイケは水田など止水に多く生息し、ある程度は汚れた水にも強いそうです
よって清流に棲むゲンジと違って態々水の綺麗な場所に行かんでも農薬の無かった(一揆衆の台詞的には「使ってなかった」)当時の農村ならそこら中で湧いていたとは思われますが、例によってそれを知ったのが書いた後
903:七夕節句本文中と注釈内の時代考証の補足・訂正まとめ
12/09/07 03:08:13.28 9BheEr9h
・情けないことに今更、戦国時代に於いては陸奥=奥州と知りました。確かにゲームでも摺上原の所に「陸奥」って出ていた(出羽=羽州 奥羽=奥州+羽州)
銀牙―流れ星 銀―の影響で20数年もの間、陸奥って地名は青森ローカルだと思い込んでました。明治の令制国では奥州は陸前、陸中など五つに分割されたので陸奥≒青森で間違いはないのですが
そういや、銀牙の続々編でも伊達氏一門等をモチーフとしたキャラが出ているなあ、勿論あの漫画の事だから全員犬だが
そんな訳で前編に於いて陸奥とあった場合は北奥州(南部領)、単に奥州とあった場合は南奥州(伊達領)を指すものだと脳内保管をお願い致します
史実でもこの頃に伊達氏勢力下にあったのは南奥州(相馬などを除く)のみで、令制国単位ではなく領国単位なら、いつきのいる北奥州にとって南奥州が「隣国」なのは強ち間違いではないようです
ゲームでも(勢力圏を表す便宜上か)南北奥州の間に国境っぽい線が描かれていましたし
アニメでは伊達軍が南部(岩手中部~青森東部)、津軽(青森西部)、相馬(福島東部)をも平定して一度は奥州全土を支配下に置いたことが言及されていましたが。ていうか津軽独立してるんじゃないかアニメだと
・立秋は過ぎているので旧七夕は秋ということになりますが、実際の天候はまだ暑さの真っ只中です
ただ、戦国時代(を含む数百年間)は小氷河期とも言われる寒冷期に当たり、特に東北地方ではその冷涼過ぎる気候の為に飢饉が度々起こって一揆が頻発していたらしいので、暑い夏なんて滅多になかったかもしれません
特に津軽地方はこの頃に大冷害も起こったそうですし
・昔の七夕は豊穣を願う農耕行事でもあったので、農民は七夕には竹に五色の糸を垂らすなどの飾りをして祝ったそうです。七夕と関連を持ち同じ時期に津軽地方で行われるねぶた祭りは起源や発祥時代について諸説ある模様
丁度この時期(戦国時代末期)に謀反によって津軽を起ち上げた大浦為信が地元での名物であった大灯篭を京都で披露したそうなのですが、この時代の農村にねぶたがどのような形で浸透していたか正確で詳しい事は調べられませんでした
・筆頭の刀について前編では「佩く」と書きましたが、これは刃を下にして吊るす戦国時代まで主流の太刀に使う言葉で、刃を上にして帯に差す江戸時代以降主流の打刀は「帯びる」と書くそうです
厄介な事に筆頭の六爪は土林氏のイラスト、CG、アニメ等で刃の向きが一定していません
筆頭の愛刀『景秀』は鎌倉時代の刀匠の作で太刀に分類され、土林氏のイラストでは大抵刃を下向きにして佩いていますが、CGとアニメでは刃を上にして差しており、こちらが実質デザイン的にスタンダードの様です
騎乗しての戦いの場合、刃を上にして差すと刀の反りが下を向き、鞘の先端が馬の体に当たって馬の制御に支障をきたす為、刃を下にするのが望ましいようですが、六爪で手放しで馬イクでUMAなのでそこらはもう考えたら負けなのでしょう
・短歌 原典はけんしんさま並みにひらがなばっかりなので適当に漢字当てましたが合ってるかは分かりません
現代語訳もセンター試験の国語で間違った箇所は大体古文でほぼ全滅という体たらくだったので自信はありません
・ずんだ餅 でも砂糖が無いので甘くない
・唐の教え=道教の房中術。松永先生のアレ。仙台の地名の由来に加え、城内の本を全読破した筆頭なら知ってる可能性もあるかもと
日本が戦国時代中の中国の王朝は明でしたが、日本における中国の呼称は唐が使われることが多かったそうです
・当時の農村では地方によって形態に差はあれども夜這による事実上の乱婚状態にあり、特定の男女がはっきりした婚姻関係を作らずに父親が誰かわからない子どもを村全体で育てていた等も普通だったとか
しかしそれを馬鹿正直に再現すると色々カオスになるため、ある程度は現代風の家族価値観を当て嵌めました
904:名無しさん@ピンキー
12/09/08 02:02:34.83 qTuaAxga
ふぉぉぉぉお職人様じゃー職人様がおいでなすったべぇーー
素晴らしいです!描写の一つ一つがしっとりとしてそれでいてキラキラしてて
情景が目の前に浮かぶようでした
こんなに細やかな表現ができるなんて、プロ作家様かとw
905:名無しさん@ピンキー
12/09/08 02:13:12.87 qTuaAxga
あ、注釈も大変ためになり申した
蛍の時期ですが、稲の品種によっては、寒冷地は早めに刈り入れを行うので
旧暦七夕のころにはすでに水を抜き始めていることもあります
ソースは権現のおひざ元に近い実家地方ですが
ので、田んぼに水がないから川辺にいった、ってことにしませうw
906:名無しさん@ピンキー
12/09/08 15:20:21.56 7MRpXScj
神降臨!!GJ!!
3からのいつきは米沢で筆頭を待ちながら後方支援しているのだと(炊き出しやその他)思わせてくれて有難う!
907:名無しさん@ピンキー
12/09/08 23:57:27.16 b9/kVsFF
おおっ、職人様来てたのか!
小説家さんの小説読んでるみたいで凄く良かった。超GJです!!
908:名無しさん@ピンキー
12/09/11 03:05:42.26 K4UVBhk+
GJです!
909:名無しさん@ピンキー
12/09/14 01:28:37.39 XGZnjICs
職人様GJそして保守
910:絵と業務連絡
12/09/17 10:08:13.60 l6o3zazS
いつも有難う存じます
前から描きたかったまつねえちゃんと濃姫様がなんとか描き上がったので、相変わらず
スケッチブックにシャーペン一本のアナログで白黒の殺風景な絵ですが、もし宜しければ
ご高覧頂ければ幸いです
URLリンク(u3.getuploader.com)
まつねえちゃんと濃姫様
URLリンク(u3.getuploader.com)
パス bramble
女性キャラのピンのエロ絵です
まつねえちゃんのネタはこのスレの>603様-606様の流れを参考にさせて頂きました
濃姫様は横尾○則の責苦絵みたいなエロを目指して挫折しました。デッサンが色々酷い
そもそも相手は多分魔王なのにこんな表情するだろうかと自問自答
前回の>883で言い忘れましたが、かすがは>850様の辺りの水着談義をヒントに頂戴しました
(パレオではなくまんまスリングショットですが)
お市の元ネタはカバネルの『ヴィーナスの誕生』
文章が進まなくて半泣きになってた時に描いていた伊達いつ
URLリンク(u3.getuploader.com)
パス puff
いつきちゃんと筆頭がピン絵で脱いでるので炉利や野郎のそういう絵面に抵抗のある方はご注意下さい
・同衾してるのにエロさの足りない2ショット ・雪女ないつきちゃん ・ちょっと破廉恥ないつきちゃん
・脱ぐと逆に色気の無くなる筆頭(そもそも色気目的の絵ではない) ・服着てる方が色っぽいんじゃね?な筆頭
>905
ありがとうございます、大変助かりました
水抜きで思い出し、筆頭の膝元で周りが田圃だらけの実家のお袋に電話で確認したところ、8月上旬の稲田はもう出穂して
水も無いらしいので、蛙にもログアウトしてもらうことにしました
そして昔の農村では七夕等の節句には村ごと休みにしていたと知りました
これまでも注釈とか酷いことになってるのでミスや誤字や近い場所での同語句同語尾使用や余所様とネタが被った箇所など、
直すべき所全部直した保管用改訂版を作成中です
完成したらうpろだの方に上げますので、こちらに直接投下した分は保管せず沈めて頂くよう、折を見て保管人様に
お願いすることに致します
911:名無しさん@ピンキー
12/09/18 00:30:10.32 +swG35He
蛙「水抜きが始まっても俺らの恋の季節はおわっとらんのじゃぁぁぁ」
大丈夫です、うちの実家地方じゃ、お盆になってもまだゲコゲコ鳴いとります@905
912:名無しさん@ピンキー
12/09/18 11:18:52.79 64LYeyGs
根性入ったカエルだな
913:名無しさん@ピンキー
12/09/18 13:33:25.74 2BlXeZKf
むしろ、カエルはこのスレ住民で、独眼竜といつきの濡れ場をwktkしながら
見守っていたと考えるべき
>>910イラスト乙です
絵も分も両刀いけるなんてうまやらしい じゃなかったうらやましい・・・・
914:名無しさん@ピンキー
12/09/18 23:09:46.77 jVqBYU2l
なんだって馬がいやらしいだって
915:名無しさん@ピンキー
12/09/26 13:46:18.22 0RKyR2ax
保守っとく
916:名無しさん@ピンキー
12/10/14 19:10:58.64 isO+zBTY
保守こそ正義なりっ!!
917:保守兼、業務連絡
12/10/24 21:14:29.47 PI0KSrRh
>緊急ログ置き場管理人様
七夕節句の作者ですが、拙作を保管して下さり、有難うごさいます
しかも改訂まで反映して頂き、お手数をおかけして申し訳ありませんでした
>910ではあのように申し上げましたが、直すべき箇所が全文に渡ってしまい、
差し替えをお願いするのが心苦しい有様になった為、取り敢えず大小含めミスは
そのままにして、こちらで改訂版作成だけ進めることに致します
大きめのミスの懺悔
・>890のナンバリングは3/16じゃなくて4/16でした
・「かくや」は見たこと無いものに対し想像のニュアンスを含むので、あの例えでは
本物の姫様を見たことが確実にあるだろう筆頭視点で使うのは不自然
・暗所では瞳孔は収縮じゃなくて散大するって知ってた筈なのにうっかりミス
――――――――――――
保守用に小ネタを幾つか同時進行で書き溜めていたのですが、どれも完成しないまま
長めの話に手を着けてしまいました
区切りのいいところまでは纏まったので、保守替わりに投下させていただきます
微妙に前回の続きなので、カップリングという意味での組み合わせは
そのまま伊達いつですが、今回投下分で筆頭は直接には全く出て来ず、
いつきと小十郎の会話のみの話です
918:欠け月の陰影:前編1/5(政宗×いつきでのいつきと小十郎)
12/10/24 21:22:41.03 PI0KSrRh
七夕節句の続きのようなものですが、2とかBHのイメージで書いたアレと違い、
3の伊達赤ルートと宴の小十郎絵巻を基にしている為、やや暗く重い話になります
好みに合わなさそうな場合はすっ飛ばして下さるようお願いします
―――――――――――――――
小田原での出来事をいつきが知ったのは、近隣の村への農作業の手伝いを兼ねた
長期に渡る遣いの仕事を終え、伊達の旧邸である米沢に一度立ち寄った後、新邸の
ここ岩出山に戻って来た時だった。
黎明の城を包む異様な慌ただしさと物々しさ、そして沈痛な空気に半ば圧倒される。
それでもいつきは護衛に着いてくれていた若い侍達と共に城に入り、辺りを忙しげに行き交う家臣達の間を縫って、急いで目当ての人物を探す。
「小十郎さ!」
主の部屋に面した廊下でその人物を探し当てていつきは駆け寄る。
しかし背後からでも彼の異変に気付いて彼女は息を呑んだ。利き手である左手に
傷を負ったのか、掌に幅の細い晒しを幾重にも巻き付け、その白い筈の布は殆どが
赤黒く染まっている。
「大丈夫か? 何があっただ?
知らせも無かったから慌ててここさ来ちまっただが……」
ここに自分が来ても良かったのか、その確認も込めていつきが問う。
「いつきか……」
戦場で敵を圧する時の重い威圧感を纏わせたまま、竜の右目が娘を振り返ったが、
すぐにその視線は庭へと向けられる。
それを追い、いつきも夜明けの薄明に浮かぶ光景を大きな瞳に移した。
―その場所は最早、庭、と呼んで良いのか。
一目で数え切れぬ程の刀が崖続きの敷地に突き立つ、それは正に墓標の群であった。
城の一室にて小十郎の手の晒を取り替えるのを手伝った後、漸く作法に慣れてきた
茶を淹れ、彼へと茶碗を差し出しながら、いつきは幼い頃とは結い方を変えた銀髪を
揺らして俯いた。
「そうだっただか……」
茶碗に口を付けるでもなく、厳しい眦を何の咎も無い娘の前であっても緩めずに
小田原での敗戦と徳川来襲の経緯を説明し終えた小十郎は唇を固く引き結び続ける。
「魔王の次は覇王、そして今度は家康……のにいちゃんか。
徳川はすっかり敵になったと決まった訳ではないんだべ?」
農民を蹂躙するばかりだった魔王、そして自らも農民の出自であり、『弱き』農民は
戦に出るなと説きつつもあまりに力を偏重した思想故にいつきが敵と見做した覇王。
彼等とは違い、徳川家康の公正で温かい為人は、嘗て全ての侍を憎んでいたいつきの
心を溶かした政宗の言葉と近しいものがあった。
志を同じくする者であれば余計な争いはせず、同盟を結ぶなりして手を取り合って
欲しい、そういった願望も込め、いつきは顔を上げて尋ねた。
919:欠け月の陰影:前編2/5(政宗×いつきでのいつきと小十郎)
12/10/24 21:25:52.93 PI0KSrRh
「味方と決まった訳でもねぇ。
それに徳川がこちらを圧する軍勢を率いてここを包囲したのは事実だ。」
元来争いと人の死を嫌う心優しい村娘の抱いた淡い期待を打ち砕く冷徹な現実を、
周囲を見通す竜の右目としての決意と覚悟を新たに引き締めた小十郎が突き付けた。
己の甘さを思い知らされたいつきは花の唇を噛み、再び視線を床に落とす。
「……また、戦うのか?」
「それは政宗様がお決めになることだ。」
床に零れたいつきの言葉に続いて、静かで抑えた右目の声が室内の空気に染みた。
そうか、といつきは呟き、視線を彷徨わせながら躊躇いがちに尋ねる。
「政宗に……会えるだか?」
「今はやめておけ。十日ぶりに意識は戻られたが、まだ伏せっておられる。」
眉間に皺を深く刻んだ表情を変えぬまま、右目が答えた。
「そうだべか……身体も弱ってるだろうし、邪魔しちゃいけねえだよな……」
花が萎れる様でいつきが三度俯く。己はこんなにも無力だったか。恩を返す為に、
助力できることはこれ程に無かったか。
障子越しに雀の鳴き声が響いて来る中、侍と村娘の沈黙は暫し続き、それをやがて
小十郎が破った。
「お前も務めと長旅で疲れているだろう、もう夜明けだが今からでも休め。
もし腹が減っているなら何か作ってやるが。」
「そんな、怪我してる小十郎さの手を煩わせる訳にいかねえだ。
おらのことはおらがやるだよ。だから小十郎さもしっかり養生しけてけれ。」
いつきは慌てて小十郎の申し出を辞退し、身を乗り出してその左手に巻いた布に
自らの小さな両の手を重ねた。
「お言葉に甘えてこれからちょっと休ませてもらって、村の作柄の報告は後でするだ。
大変な時に、手間と時間を取らせちまって堪忍な。」
膝で下がってからいつきは床に手を着いて一度頭を下げた後に立ち上がる。
「いつき。」
そのまま部屋を辞そうとした彼女の背を、小十郎の呼び掛けが追った。
振り返った彼女に、表情は険しいまま、しかし声だけを和らげて竜の右目が告げる。
「お前は何も気に病むな。」
腹の内を見透かされたことと、蚊帳の外に置かれる予感に、いつきは不安を感謝で
包んで答えた。
「ありがとうな、小十郎さ。」
でもおらはおらにできることをやらねえと、と口の中だけで付け足し、銀髪の娘は
障子の向こうへと姿を消した。
いつきが閉じて行った障子を通して、朝の光が差し込む。
夜明けの月は下弦の月。
やがて高く昇り昼を支配する太陽の光の中、白く霞む定めに在る。
「……東を照らす陽の光に呑まれてなるものかよ。」
左手の晒に赤が滲むのも厭わずに膝の上の両の拳を握り締め、小十郎が低く言った。
920:欠け月の陰影:前編3/5(政宗×いつきでのいつきと小十郎)
12/10/24 21:27:31.07 PI0KSrRh
農村の作柄の様子を報告する役目を終えた後、いつきは城内の賄いと小十郎の畑の
手伝いをしつつ、城主の容態に気を揉む数日を過ごした。
「小十郎さ!」
久々に畑にやってきた竜の右目の姿を見て、鍬を持ったいつきが作ったばかりの
畝を潰さぬように気をつけながらも、急いで近寄る。
「御苦労だな、いつき。」
「そんなことねえだ、いつものことだべ。土に触らせてくれて、逆に感謝してるだ。」
小十郎は米沢にいた時と同じくこの岩出山でも城の近くに畑を作ったが、初年の
土はまだ固く、石も多く交じっている為に念入りに耕さなくてはならず、その作業を
いつきは進んで買って出ていた。
農民であっても城の中で役に立てる仕事がある。
それは彼女自身にとっても誇りであり、ここに於ける存在理由であり、身分故に
未だ抜け切らぬ罪悪感に似た気後れを和らげてくれる要素の一つであった。
畑の脇の土手に並んで座り、小十郎の携えて来た握り飯を有り難く頂戴した後、
いつきは腹と違い満たされぬ胸中を、数日前と同じ躊躇の末に言葉に乗せた。
「……政宗のお見舞い、おら、まだ行っちゃいけねえだか……?」
いつもの左前の戦装束ではなく、農民と同じような気軽な野良着の小十郎は、
銀髪の娘をちらと見遣ってから腰を上げた。
「その話は、城でするか。」
城に戻り互いに野良着から着替えた後、板敷の間で今度は小十郎がいつきに茶を
出しながら淡々と告げた。
「先ず、さっきの話だが。……いつき、お前は暫く政宗様の御前には出るな。」
数拍の間を置き、いつきが震える声を絞り出す。
「な……なして? おら、用済みになっちまったのか?」
大きな瞳を不安と動揺に揺らすいつきの美貌は、大分大人らしさが備わりつつある。
その表情の縋るような色は、親に置いて行かれて泣き叫ぶ幼子の顔ではない。
寧ろ戦地に向かう恋人や夫の袖を掴む、女のそれに近い。
小十郎はごく冷静に娘の狼狽を早合点するな、と正した。
「ここを出て行けとか村に帰れとか、そういうことを言ってるんじゃねぇ。
お前には引き続きここにいて貰いたいことには変わりねぇ。」
じゃあなして、と問う娘に、小十郎は重い息を腹から吐き出した。
「政宗様が落ち着かれるまで、お前を近づけさせる訳にはいかねぇんだ。」
「なして? 政宗の具合、まだそんなに悪いのか?」
「いや……大分回復された。床上げし、膳も召し上がるようになられたしな。」
「じゃあ、なして会っちゃいけねえんだ!? おらが農民だからか?」
政宗とは形が違うものの、農民を尊ぶ気持ちを強く持つ小十郎に対して言っては
いけないことかと頭の片隅で思いはしたが、その言葉は抑えが利かずに、いつきの
唇を突いて出てしまった。
921:欠け月の陰影:前編4/5(政宗×いつきでのいつきと小十郎)
12/10/24 21:28:19.14 PI0KSrRh
案の定、小十郎の視線は厳しさを増した。
彼から何かを言われるより先に、いつきがはっとして非礼を詫びた。
「……っ、堪忍、な。おら、酷い我儘を言っただ。」
いつきは長い睫毛を伏せてゆるゆるとかぶりを振り、その動きにつられて銀髪が
さらさらと宙を舞った。
「でも……小十郎さ、これだけは教えてくれねえだか?
おらに、側に寄るなって……政宗自身が言ったことだか?」
飽くまで主君を仰ぐ忠臣としての立場を崩さない小十郎に対し、農民に過ぎない
己が僭越な甘えを重ねているという自覚は痛い程に持っていたが、敢えていつきは
竜の右目に尋ねた。
「そうであるとも言えるし、そうでないとも言える。」
重い声で告げられた謎めく内容に、娘は張り詰めた顔を上げる。
「……どういうことだべ?」
「お前を連れて来いとか、顔が見たいとか、それに類したことを一切申されない。」
胸に矢でも受けたかの痛みがいつきの胸を貫き、彼女はその部分を両手で押さえて
声を失った唇を戦慄かせた。
「政宗様が何も申されない限り、俺も出過ぎた真似はできねぇ。」
小十郎も己の言葉が年頃の娘の心を抉っていると武骨者ながら察した上で、続けた。
「っじゃあ……」
いつきが涙の滲む瞳を、一揆衆を率いていた時に似た苛烈な光に煌めかせた。
「じゃあ、来るなとも言ってないんだったら、おらが会いに行っても、
命令に背いたことにはならねえべ!?」
隠さない悲痛によって研がれて刃の鋭さを帯びた声が、竜の右目と、いつき自身を
打ち据えた。
「いつき。」
いっそ優しいと形容していい声が、幾重にも重なった激情と後悔と自責に固まる
娘の耳朶に柔らかく触れた。
「厳しいことを言っているのは俺も承知の上だ。
政宗様を案じるお前の気持ちは痛い程わかるし、それを有り難いとも思う。
……だがな、」
膝でにじって近寄り、小十郎は怪我を負っていない右の手で娘の左肩に触れた。
「男ってのは、一番弱っている時に、その姿を女には見せたくねぇものなんだ。
お前の気持ちがわかる以上に、政宗様のお気持が言葉は無くとも俺には察せられる。
同じ男だし、お傍に仕えてもう長いこと経つからな。
……だから、お前もどうかそこを汲んで差し上げちゃくれねぇか。」
顔を覗き込まれ、諭す口調に己の幼さと愚かさを自覚していつきは頬を赤らめる。
それでも一度依怙地になった心は、容易には軌道を戻せないらしい。
922:欠け月の陰影:前編5/5(政宗×いつきでのいつきと小十郎)
12/10/24 21:29:10.31 PI0KSrRh
「そ、そったらこと言っても……侍女とか、お世話してる人達は部屋に入るんだべ?」
顔を背けながら、それでも大分落ち着きを取り戻して寧ろ恥じらいが上回った声で
唇を尖らせるいつきに、小十郎も鷹揚な笑みを向けた。
「面子を保ちたがるのは、それだけお前が政宗様にとって特別な存在だってことだ。」
いつきの顔を染めた色合いが、鮮やかさを増した。
父か兄めいた微笑ましさでその様を眺めた後、小十郎は再び厳しい面持ちとなる。
「政宗様の為だけじゃねぇ、これはお前の為でもある。」
竜の右目の言葉を受け、いつきは彼に視線を戻した。
「おらの……ため?」
「そうだ。」
ここに来てから着るようになった裾の長い着物に包まれた膝の上で両の手を握り、
いつきが問い返す。
「なしてだべ?」
「身体は回復されても、政宗様のお心はまだ癒えておられぬ。
お前に万が一のことがあっちゃならねぇからな。」
身を強張らせたいつきが問いを重ねた。
「政宗が……おらをお手打ちにするってことだか?」
いくら親しくなろうとも彼は侍、しかも殿様で己は農民。通常の関係であれば、
もし城主の勘気を被ればいつきは容易くその命を取られる身の上である。
普段は身分を気にすることなくいつきに接する政宗でも、元来彼は大変に激しい
気性の持ち主であり、更に今は敗戦の屈辱に心を囚われている状態だという。
そんな状態の彼が会うことを望まないのに無理に押しかけるような真似をしては、
最悪その場で切り捨てられる可能性があることにいつきは思い至った。
脅し過ぎたことに流石の小十郎も哀れに思いながらも、いつきが己の言った意味を
完全に汲み切れていないと気付いて溜息を吐いた。
「まぁそれもあるが……いや、それだけは無いと思うがな。
どんなにお怒りの中にあろうとも、政宗様がお前の命までを問答無用で
お取りになるようなことはあるまい。」
そう言われて緊張を解きながらも腑に落ちない風情で首を傾げる彼女に、堅物の
小十郎はどう説明したものかと内心苦慮した。
彼も主君がいつきを城へ寄せた真意と経緯を知っている為、いつきの未だ失われぬ
この純真さに若干の不可解さと厄介さを感じつつ言葉を選んだ。
「御手打ちの次くらいの御無体をなさるかも知れねぇってことだ。
お前も女なら、もうちっと自分の身体を気遣え。」
大きな目を二、三度瞬いてから漸く理解したいつきは、透ける程白い故に血の色を
浮かべ易い肌を、ついに耳まで染めきった。
923:欠け月の陰影:時系列と地理について
12/10/24 21:31:10.21 PI0KSrRh
3では豊臣の小田原攻めと伊達軍敗走→家康が秀吉倒して伊達赤ルート開始までの
間が数年開いたようなナレーション(と孫市姐さんの台詞)だったのに、宴だと
伊達軍敗走中の時点で既に家康がデカくなってて秀吉が倒されてるんですけど、
時系列は一体どっちが正しいのか(これがわからず、七夕の改訂が進まない)
同作品内でもルートやキャラによって話がパラレルになるから細かいことはスルーで
おkなんでしょうが
一応ナレーションで説明がさっくり済まされた3ではなく、出来事の経過が章内で
描かれた宴での時系列を優先しました
それから「一日経てば、一関。二日が経てば、平泉。」という宴の小十郎最終章での
ナレーションの部分、確かにその先にあるのは現在で言う岩手県『奥州市』ですが、
3と宴に於ける地図上では、史実で豊臣による奥州仕置の為に伊達家が米沢から
居城を移した岩出沢(後の岩出山)城が在る、現:宮城県大崎市岩出山町の辺りに
伊達軍本拠地の印が付いているので、位置関係が変です
(南から国道4号線周辺沿いに岩出山→一関→平泉→奥州の順に並んでいる)
徳川軍が北側から回り込んだということにしたくても、一関が平泉の南に位置する為、
やっぱり無理がある
これも史実と地図を優先させて、この話での伊達の本拠地は(『奥州市』ではなく)
岩出山にしておきました
そもそもナレーションの言う『国境』がどの辺りなのかもよくわからない
3では奥州が弱体化したとのことだから史実同様に会津とか白石の領地を削られたと
しても、蒲生はいないし謙信様があの通りだし(伊達軍敗走時に攻撃してはきたが)
取り敢えずあのナレーションは豊臣にボロ負けするまでの伊達領と、虎と霧の武将
宇都宮広綱の領地である下野国(現在の栃木県)との国境である白河、そしてその
北に位置し、岩出山までの中途に在る郡山とか二本松の辺りを差すと思っておきます
これまでも合戦場と対戦武将の関係で「何でそんな進軍ルートになるんだよ!」って
ことは多々あったようですが(2の謙信さまストーリー等)
とは言え、せめて岩手県が宮城県より北にあることだけでも考慮して頂きたかったorz
924:名無しさん@ピンキー
12/10/25 17:32:43.96 p3YXkGvN
職人様GJ!!
時系列や地理、人物については突っ込み処満載なのでこのゲームの中の架空だと思うと楽じゃないかと。
実際3のモブ武将に家康の次男が出ている事に私も吃驚した口です。
家康が築山殿と婚姻後、お手つきにした女性との間の腹違い次男が結城秀康公。どうしたらああなった?
新○武者にも主人公で出ているんだからカ○コンさんも考えて欲しいけれど、無理だろうという事であれは架空歴と架空地理だと納得するしかないですよ(´・ω・`)
925:名無しさん@ピンキー
12/10/26 11:37:03.40 NTfvizK4
素晴らしい流れだ…!おつ!
926:名無しさん@ピンキー
12/10/26 22:36:15.84 3pBijtah
面白かった、職人さん乙
時系列は多分宴の方が正しいかと
伊達軍敗走→秀吉討たれる→(この間に徳川軍武田領地に信仰)→徳川軍が欧州を囲む
計算するとこの一連の流れがわずか半月余りの事になるという無茶振りだけどまあバサラて事でw
>>924
そんな事言ったら毛利の息子や元親の息子も平気で出てるぞw
正直カプはそこまで深く考えてないので924もそんなに悩まない方がいいぞ禿げるから
927:名無しさん@ピンキー
12/10/27 20:15:53.89 IjKxehXM
職人さん乙。
ここの流れはまろやかでいいな。
>>924
確かに禿げるから気にすんなw善くも悪くもカプだから。
>>926
家康がユーロを絆で制圧するかと想像して噴いたwwなんかいい意味でツボった。人間関係で落ち込んでいたからほっこりさせて貰ったありがとう!
928:名無しさん@ピンキー
12/10/27 22:08:23.51 YZLYqCd3
職人さん乙でした!
いやぁ濡れ場も濡れ場以外のパートも面白くて引き込まれる文章ですね
後編お待ちしております
929:名無しさん@ピンキー
12/10/29 01:43:46.47 uSGFf51W
時系列や地理のアドバイス大変助かりました、有り難うございます
一度書き終わった話を全面鬱仕様に改装せずに済んで良かった
モブ武将については、もう同姓同名の別人だと思うことにしました
アニメでも「いやあんた死んでるだろ、しかも爺さんの筈だろ」って
名前のモブキャラいたし
短い小ネタを一つ投下させていただきます
930:月下の盃(謙信×かすが:わかめ酒)1/2
12/10/29 01:46:49.13 uSGFf51W
保守替わりに書いていた小ネタの一つです
・本番無しで謙信さまの性別は最後まで不明
・特殊なシチュエーションにつき、好みに合わない方は おんてきたいさん
・もしかするとわかめ酒の発祥は割と最近(明治とか)かも知れないけれど気にせず投下
――――――――――――――
「かすが、参りました。」
普通の家臣と同じく静かに襖を開き、膝を着いたくのいちがしなやかに平伏する。
「おはいりなさい。」
豊満な肉体を持つ忍が主の柔らかな声に応じて伏せていた顔を上げると、垂れ下がっていた
長い白金の鬢の毛が、さらりと細い音を立てて畳を滑る。
かすがが心酔する主は、文机に身体を持たせかけ、脚を崩して座っていた。
しどけない姿勢であっても、玲瓏なまでの気品が白装束の軍神から失われることはない。
かすがの方を振り向いた顔は、氷造りの仏像めいた神秘的な端整さを持ちながら、白い肌を
微かな紅に染めている。
文机の上には酒の瓶と、大きな盃が一つ。
越後の軍神は、その気高さと怜悧さとは裏腹に大変な酒豪であった。
今宵も気軽な一人酒を呷っていたのだろう、蒼く涼やかな目元は微かに潤んで、その瞳に
見詰められるだけでかすがの心は桃源郷へ飛びそうになる。
主に呼ばれるまま膝でにじって忠実な女忍は入室し、作法通りの仕草で襖を閉めた。
「こちらへおいでなさい、わたくしの うつくしきつるぎ。」
例え主自身の命であっても、数尺の距離まで謙信に近寄る時、いつでもかすがはその滑らかな
頬を紅く染め、切なげな表情を浮かべて躊躇いがちに従う。
自らを軍神の剣たれと、戦場に於いてはその優しい心根を押し殺して敵を屠る美神が、無垢な
少女のように恥じらいながら主の傍まで寄り、再び平伏する。
「かおを おあげなさい。」
しっとりとした声に命じられ、かすがが主の鋭い印象のそれとはまた風情の違った、華やかな
美貌を上げる。間近で視線を合わせたことにより、彼女の動機が一層速くなる。
「つるぎよ、ひとつ たのまれてくれますか。」
命じるではなく、頼むという言い方にかすがは上擦った声を返した。
「は、はい! ……謙信様の命であれば、なんなりと……」
謙信は仄かに赤味の差す白皙の頬に薄く笑みを浮かべ、身体の向きを変えるとかすがの
頬にしなやかな手を伸ばしてその瞳を覗き込んだ。
(はぁうっ!)
かすがの意識が一瞬、虚空を彷徨う。
「おまえが、もし いやがるのであれば……ことわっても よいのですよ。」
穏やかに言う謙信に、我に返ったかすががかぶりを振る。
「そんな! 謙信様のお言葉に否やは有りません!」
931:月下の盃(謙信×かすが:わかめ酒)2/2
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そうですか、と菩薩の微笑みを浮かべた謙信は、その柔和で気品のある表情とは裏腹の言葉を
かすがに告げた。
「では、しょうぞくを おぬぎなさい。」
一瞬かすがは固まり、しかし反発や嫌悪ではなく至福そのものの歓喜に満たされた恍惚の中、
恥じらいながらも答えた。
「し、承知致しました……!」
暫し後、その見事に張りのある美しい裸体を主の前に晒したかすがが、謙信に言われるまま、
肉付きの良い優美な曲線を描く腿をぴったりと閉じて正座していた。
「うごいては なりませんよ。」
「は……っ、はい……!」
緊張で身を固くする忠実な懐刀の、むっちりとした太股と金の茂みに隠された三角の窪みに、
謙信が瓶の酒を注ぐ。
「ああ……っ!!」
冷たさが別の連想を呼び、かすがの背筋を引き攣らせた。
「もうしばしの、しんぼうです。」
謙信は瓶の酒を全て注ぎ終えると、その酔い加減にも関わらず少しも気品の損なわれない、
落ち着いた仕草でかすがの股間に唇を寄せ、その酒を啜った。
途端、かすがの中で恍惚が弾けた。
喉から出かかった嬌声を、主の妨げをしてはいけないという自制で必死に抑え、かすがは
股間の酒を零さぬように太股に力を込めた。
かすがの股間では酒の中、金の茂みが越後の美酒にゆらゆらと揺れている。
「ふふ……、これを うみのくさに たとえるそうですが、おまえのばあいは……」
謙信がその様をゆったりと眺め、かすがの顔を豊満な乳房越しに見上げる。
「すいめんに ゆらめく、つきのひかり ですね。」
かすがの心の臓は、主の鋭くも美しい眼差しに射抜かれて一瞬止まった後、激しく鼓動を
打ち鳴らした。
きゅっと締まった腿の間から、何かが滲み出て行くのを従順なくのいちは感じる。
「おや、ほうらいさんの けいこくに かんろが ながれましたか?」
謙信は再び酒に口を付け、懐刀から滲んだ蜜の混じったその味を堪能し始める。
(ああ……っ! このまま、命果てても良い……っ!!)
仕事のない両腕で自らの身体を抱き、かすがは目をきつく閉じて虚空を仰いだ。
―文机の上の円窓の外に浮かぶ、今宵は中秋の名月。
その月の下、主君が為に尽くす美貌の忍は、その名の通りの月下為君。