12/10/15 23:10:40.31 cxgGbsSs
「まったく、信奈さまの命とはいえ、なんでわたしがサルを呼びにいかなくてはならないんだ……」
信奈の急な思いつきにより使いを命じられた勝家は、ぼやきながらも件の長屋へと到着した。
長屋の戸板が少し開いている。もしこれでいないようであれば、気の晴れるまで良晴を追い回してやろうと勝家は獰猛な笑みを浮かべる。
「犬千代……。ああ、上手だぞ」
「……もぐもぐ。もっとする」
近頃、サルが犬千代と懇ろな間柄になっていると家中で噂になっている。今日も今日とて、良晴はおのれの滾ったものを少女に鎮めてもらっていたのだった。
(な、なにをしているんだあいつら!?)
結果的に情事の最中をのぞくことになってしまった勝家は、顔を真っ赤にしながら自分の姿を見られていないか確認する。
「ご、ごほん! サル、いるか!?」
長屋から数歩離れた位置で、勝家はわざとらしく咳払いをしてから良晴を呼んだ。
少しの間のあと、中からはどたどたと慌しい音がする。予想外の来客に驚く良晴と犬千代の様子が簡単に想像できるのだが、いまの勝家にはそんな余裕などなかった。
(舐めてた、サルの……)
男のモノに口で奉仕するということへの嫌悪感と、妙な胸の高鳴り。もやもやとした気持ちを抱えながら、勝家は居心地が悪いのを感じながら良晴が仕度を整えるのを待った。
「それで、急になんだっていうんだよ?」
「わたしだって信奈さまのご命令でなければ、わざわざ貴様になんぞ会いにこないさ」
頭をかきながらばつの悪そうな顔をして出てきた良晴を見て、勝家はますます苛立ちをつのらせる。どうしても、先ほどの光景が頭から離れない様子であった。
「信奈が? へっ、ならしょーがねえか」