11/05/28 00:23:46.13 /pTYkypg
「フフフ、これなーんだ?」
「……アイマスク?」
「正解! それじゃつけるね」
勝ち気なノリの少女の声。それに対し、戸惑う声もする。
部屋の外で待機していた機械の乙女・アイギスは、頃合を見計らって中の様子を覗いてみた。
「ねぇねぇ、今どんな気分? まさか興奮してる、ってやつ?」
アイギスが見た先には、少女にアイマスクされてベッドの上に腰掛けている少年だった。
今にも声をあげて笑い出しそうな、にやにやした表情をこちらに向ける少女。
その女の子はこっちに来るよう手招きしている。「入れ」という合図だ。
開いているドアから様子を窺っていたアイギスは、足をそろりそろりと動かして部屋に入った。
アイギス自身が人間らしい感情を持った影響なのか、「この部屋は寂しい」という印象を持った。
ベッドはある。テレビ、勉強机、ゴミ箱、棚、洗面台もあるし、日当たりも良さそうだ。
部屋の湿度は良好、適度に換気もしてあるようだ。きっと掃除もマメにやっているのだろう。
しかし、それだけだった。
それ以外の個人的な趣味の物、例えば男性を発情させる為の本やビデオは、無い。
手招きしてきた少女曰く、1つも置いていないらしい。漫画さえもない。
唯一、携帯ゲーム機は机の上の隅っこにあったものの、なぜかこれだけ埃をかぶっていて長い間使っていないようだった。