10/12/26 20:18:50 nLdJ/mxC
「着信あり」
画面に浮かぶ字を見て、凛子は眉をひそめた。携帯を握る手にじんわりと汗が滲む。
午前2時。こんな時間に23回もかけてくる人間は一人しかいないと凛子は確信している。
隣の部屋の住人、和である。
彼とは幼なじみだった。親同士の仲がよかったため、生まれた時から一緒と言っても過言ではない。一度も途切れることのない長い付き合い。
彼は凛子がいないと何もできない。
昔から大人しい気質で口数が少なく友人もあまりない和はいつも凛子についてまわっていた。
それは今も同じである。小中高大全て同じ学校、同じアパート。流石に就職先は違ったが連絡先を知っているのでほぼ毎日会っている。
凛子はため息をつきながら布団から出た。
ソファーに投げていた上着を羽織り、仕事の疲れがまだ残っていても、どうしても放っておけない。
いつものこと。馬鹿みたいな悪循環。分かっている。
眉間のしわを深めながら凛子は部屋をでた。
「凛子」
イラストレーターの部屋はとても雑然としていた。
ぼさぼさの頭、気のまわらない服。顔立ちは飛び抜けいいはずなのに凛子の心には何も響かない。
「凛子……」
ドアをあけるなり凛子を抱きすくめ、そのままベッドの方へ倒れこむ。
申し訳ありませんが続きは後日になりそうです