男ヤンデレ専用エロ小説スレ Part1at EROPARO
男ヤンデレ専用エロ小説スレ Part1 - 暇つぶし2ch270:名無しさん@ピンキー
10/10/12 18:59:49 PhySyjlC
>>263-269
乙です!!!

いや物凄く気持ち悪い位で丁度良いのではなかろうか?
そして師匠のお仕置き見てぇぇぇぇぇ!!
二度と逆らう気がなくなるように、精神をポッキリどころかバキバキに折りそうw

271:269
10/10/13 07:55:20 o0eu1F7N
書き忘れた。
これ、中世に現代混ぜてファンタジー入った感じなんで…女の子の髪とか師匠があまりにキモいとか
あんまり気にしないでください

>>270
いつになるか分からないがお仕置き書けたらまた持ってくる

272:名無しさん@ピンキー
10/10/14 19:23:11 lsgo4i4S
>>271
お仕置き楽しみにしてます

273:投稿します
10/10/14 21:25:55 i8ADcmBv
注意
・これは七夕の話(織姫と彦星)のヤンデレverです
・グロ、流血表現あり
・男女ともヤンデレ
・オリジナル設定多少あり
・二人語りみたいになっている
・季節外れ

274:血濡れの願い
10/10/14 21:38:18 i8ADcmBv
やっと今日は待ちに待った、年に一度だけ愛しい織姫に会える日
天気は心地いい晴天、川も穏やかに流れていて安全に渡れる
「元気かな?織姫…早く会いたいな」
自然に笑っている自分に気づいて、少し恥ずかしくなる


今日はやっと彦星さんに会える日だわ。嬉しくて胸が高鳴るの
…なのに、どうして?
どうしてお父様は嫌そうな顔をして、彦星さんを悪く言うの?
「酷いわ…お父様」
私が泣いても、まだ顔をしかめたまま…どうすればいいの…


相変わらず空は晴れていて、今日はずっと晴れそうだ
少し早足で、織姫の屋敷に向かう


もうすぐ彦星さんがくる
ふふっきっとこの贈り物気に入ってくれるわよね?楽しみだわ!!

275:血濡れの願い
10/10/14 21:57:06 i8ADcmBv
>>274の続き

…?屋敷の前に着くと妙に静かで、嫌な予感がして慌てて扉を開け叫ぶ
「織姫!!何処にい」「ふふっ此処よ、彦星さん」

織姫の声に振り向けば、血まみれの織姫が立っていた

「ふふっ此処よ、彦星さん」
私の声に振り返った彦星さんの安堵の笑みが、一瞬で驚愕に染まり俯く
「貴方への贈り物。お父様さえいなければ、毎日毎日会えるでしょ?ねぇ名案でしょ?愛しい彦星さん」
ちらとお父様の屍に目を向け、抱きつき頬に手をあてれば貴方は震えていた
どうして?なんで震えるの?私は貴方のためにやっ…
「やっと…堕ちてくれたんだね、織姫。すごくうれしいよ」


抱きついてきた織姫から、視線を外せば見るも無残なゴミが一つ
クク…あぁやっと
「やっと…堕ちてくれたんだね、織姫。すごくうれしいよ」
やっと僕と同じところまで堕ちてくれた。親殺しと言う大罪を罪と思わず妖艶に笑う
待ち望んでいたよ、その最高の笑みを

276:血濡れの願い
10/10/14 22:21:55 i8ADcmBv
>>254の続き

ぎゅっとわたしを抱きしめた貴方は、何時もの穏やかな笑みじゃなくて怪しく笑う
でも、その絵がをの方が素敵よ。やっぱりお父様を消して正解だったわ
「これでずっと、永劫ずっと一緒にいられるのね?」
「うん、ずっと一緒だよ織姫…僕らは一つになるんだ」
え?この痛みは…なに?
どうして刀がお腹に刺さ…


織姫を刀で貫けば、ぞっとした顔で見上げる。血の甘い香りがする
刀を回転させ傷口を深くすれば、とても心地よい悲鳴が聞こえる
「アハハ!どうしたの?僕は君を食べて君と永劫一つになる…そうすればもう、織姫は僕だけのもの!!」
僕は手早く織姫を桶に入れて解体していく、手足を切り落とした
愛しい生首に口づけ、目玉を抉り出し口に入れる。それは金平糖よりとても甘い
舌を噛み切り咀嚼する、上質な肉にガぶり付いたような陶酔感

鍋に入る大きさに切り分け、血も入れていく
ハハッ!!織姫のごった煮。とても美味しそうな芳香が漂酔いしれる
「いただきます、これで僕らは永劫一緒だよ。愛しい織姫」

彦星は、うっとりと妖艶な…見る者全てをぞっとさせる満面の笑みを浮かべていた


終わり


277:名無しさん@ピンキー
10/10/16 18:48:46 6I8ITRTa
>>273
…………パクリ乙。
去年七夕あたりのヤンデレスレに投下されたのと、おんなじ内容じゃないか。
本人だったらゴメンだけど、この季節感無視っぷりからして、それはなさそうだし。

278:名無しさん@ピンキー
10/10/17 02:24:24 GC6TIEAa
ヤンデレ数人×女の子っていいんでね?と思ってたら何かできました
結婚秒読みだった女性が亡くなってしまい男がその女性のクローンを執念で作り上げる
が、その男も死亡してしまい、男の兄がクローンの女の子を犯すという話です

架空の世界の話
クローン技術云々はまるっきりのデタラメです
肉体は十代後半精神は子供の女の子をおっさんが無理やり犯してます
兄視点、全部で5レスです
無理そうなら『偽者同士』でNG回避お願いします

279:偽者同士
10/10/17 02:26:27 GC6TIEAa
先日弟が亡くなった。
死因は過労死。
道端で倒れているところを通行人に発見された。
葬儀は親族だけで行い骨と灰になった弟を連れて、弟の家に帰る。
「おかえりなさい、まさあき」
十代後半と思しき少女が玄関まで走ってきて僕を出迎える。
「ただいま……奈緒」
この少女を奈緒と呼んでいいものなのか躊躇いながらも、少女の名前を口にすると、少女は外見よりも幼い笑顔を浮かべる。
奈緒の手を引いてリビングに入ると、女の子用の玩具がフローリングに散らかっていた。
「駄目じゃないか、奈緒。こんなに散らかしちゃ」
「だってまさあきがおそいからさみしかったんだもん。昨日もなおのことおいていっちゃうんだもん」
ずっと寂しいのを我慢していたのだろう。
奈緒は堰を切ったように泣き出し僕にしがみつく。
僕は弟を左腕に抱き、右腕で少女を抱きしめた。

僕が奈緒という名前もDNAも同じ少女と出会うのは二度目のことだ。
一人目の奈緒は十五年前僕の弟の雅昭と恋に落ちた。
大学の学長の息子として生まれた僕と弟は学生時代は勉強、研究者となってからは研究しかしていなかった。
そんな弟の前に現れた一人の女子学生が奈緒だった。
聡明で優しい奈緒に弟はいつしか惹かれ、奈緒も真面目で才能ある研究者である弟に惹かれていた。
恋愛などしたことのなかった弟のアプローチは世間からは随分ずれていたことだろうが、それでも彼らの仲は少しずつ少しずつ深まっていっていた。
結婚も秒読みかと思われていたある日、奈緒は死んだ。
車に轢かれ即死だった。
奈緒の遺体は奈緒の遺志通り、うちの大学に運ばれ、今後の国の生物工学の発展のために使われることとなった。

280:偽者同士
10/10/17 02:28:09 GC6TIEAa
それからだ。弟が狂い始めたのは。
僕はその頃から大学の経営の方に携わるようになり研究からは外れてしまった。
だから最初は弟がどんな研究をしているのかはわからなかったが、学生や教授連中から弟が何かに憑かれたように研究に没頭しているという噂は耳にしていた。
奈緒の死から立ち直れないかもしれないと心配していた僕は、奈緒以外に弟の支えとなるものができてよかったと暢気に考えて、弟の研究を影ながら見守った。
研究の成果は目覚しかった。
論文をいくつも発表し、研究成果に見合うだけの賞を受賞し、大学やスポンサーからも多額の研究費が出ていた。
驕ることなくひたすら研究に明け暮れた弟は研究者の間でも高く評価されていたらしい。
その弟が命を賭した極秘研究の結果がこの二人目の奈緒だ。
僕の腕の中にいる奈緒は一人目の遺伝子から作られたクローン人間だ。
弟は元々兵器用、産業用のクローン人間を量産する研究を行っていた。
しかし、課題は多い。
人間は動物のクローンと違って成体になるまでに多くの時間と費用を要する。
それを克服するために世界中で研究が行われている。
弟はこの二人目の奈緒の肉体をたった十年で十代後半まで育て上げた。
さらに評価すべき点は培養液の中で育てられていたにも関わらず出てきたときには小学校低学年並の教育が施されていた点だと弟のチームの一人が熱弁していた。
大学ではこの奈緒を世界に発表するべきか否かを話し合っているようだが、僕は発表は見送るように大学に掛け合っている。

これは偉大な研究なんかではない。
ただの弟のエゴだ。
「奈緒。僕は昨日雅昭の部屋で日記を見つけたんだ。雅昭は君との子供が欲しかったそうだよ」
確か奈緒は生前卵子の提供を行っていた。
その卵子と雅昭の精子を掛け合わせれば、文字通り簡単に彼らの子供はこの世に生を受けただろう。
しかし雅昭はそうしなかった。
それはおそらく彼がそんな形で子供が欲しかったからではないからだろう。
奈緒と家庭を築き、自分達の体をもって子供を授かり、自分達の手で子供を育て上げたかったのだろう。
二人目の奈緒は不思議そうに赤い目で僕を見上げてくる。
「まさあきは赤ちゃんがほしいの?」
僕は苦笑する。
奈緒の目には僕の顔が弟と同じものに映っているのだろう。
いや、それはまさにその通りなのだ。
僕らも二人の奈緒と同じようにクローンなのだから。
ただし僕らは天然のクローン。つまるところ一卵性双生児だ。
数日前この部屋で二人目の奈緒と出会い、弟の雅昭が死んだことを告げると、奈緒は首をかしげてこう言った。
「まさあきはここにいるのに?」と。
不意を突かれた僕は自分の名前を名乗りそこない、第二の雅昭となった。

281:偽者同士
10/10/17 02:29:04 GC6TIEAa
「奈緒。赤ちゃん、作ろうか。どうせ僕は雅昭で、君も奈緒だ。生まれてくる子供は雅昭と奈緒の子供だ。そうに違いない」
僕は弟の骨壷を置き、奈緒を寝室へと連れて行く。
ベッドに座り、奈緒を抱き寄せ、彼女の髪を梳いてやる。
「奈緒。キスしていい?」
僕は奈緒がキスを知っているのか、弟とすでにキスをしているのかも確かめる意味で奈緒に尋ねた。
「うん」
奈緒が目を閉じたので、奈緒の唇に触れるだけのキスをした。
「裸で抱き合ったことは?」
奈緒はぱちりと目を開き、困ったように僕を見つめてくる。
NOなのだろう。
奈緒との子供が欲しくて、莫大な時間と費用をかけて奈緒を作ったくせに、奥手にもほどがある。
奈緒の耳朶を口に含み食むと、奈緒から「ひゃあ」と驚いた声が上がる。
「くすぐったい」
胸と腋の際どい箇所をくすぐると、「くすぐったいよー」と奈緒はくすくすと笑う。
「服を脱がせるからね」
「うん」
奈緒のブラウスのボタンを一つ一つ外していく。
ブラウスの下にはスポーツタイプのブラジャーを着けていた。
それも剥ぎ取ると、非常に魅力的な柔らかそうな白い胸が零れ落ちる。
女の腹から生まれていないのに、弟の研究はたいしたものだと僕はここに来て弟の才能に感動すら覚えた。
弟の奈緒への執着すら感じられる。
「弟はすごいよ」
言いながら、スカートとパンツを脱がせる。
ここで嫌がるようならばやめようと思っていたが、弟の前に裸を晒すのは慣れているのか、奈緒は嫌がる素振りを見せない。
僕も服を脱ぎ、奈緒をベッドの上に押し倒した。
奈緒の頬を撫でて「大人のキスをしようか」と言うと、「なあにそれ?」と奈緒は興味津々で返してくる。
「ちょっと口を開いて。うん、そう。苦しいかもしれないけど我慢して」
おずおずと口を開いた奈緒の口を塞ぐ。
舌を侵入させると、奈緒はびっくりして舌を引っ込めてしまったが、奈緒の頭を撫でると安心したのか僕の舌にちょこんと自分の舌をあててくる。
戯れるようにして舌と舌とを絡ませあえば、奈緒は僕の腕を掴みながらも僕にすべてを委ねてくれる。
奈緒が息苦しくなったところで唇を離す。
奈緒ははあはあと息を整えながら「これが大人のキス?」と訊いてくる。
「そう。大人のキス」
胸をやわやわと揉み、首筋を舐めると、くすぐったいのか奈緒は身を捩る。
愛撫を施すと、やはり体はちゃんと女なのか、次第に反応し始める。
ぴんと存在を主張する胸の突起を口に含むと僕のことを「赤ちゃんみたい」と言いながらも奈緒は熱い息を漏らす。
硬くなった乳頭を口内で転がし、軽く歯を立てる。
「やぁっ……まさあきぃ」
「何が嫌?」
口から乳首を離し、僕の唾液で濡れる乳首を指で抓みながら問いかけると、奈緒は涙目で僕を見上げてくる。
「なんか変だよ」
「赤ちゃんを作るためには必要なことだよ」

282:偽者同士
10/10/17 02:30:03 GC6TIEAa
奈緒の体に隅から隅まで唇を落とし、撫で回す。
特に奈緒の足の指から太ももの付け根までを丁寧にいやらしく舐めていった時には奈緒の息は上がり、
おそらく弟も触れた事がない奈緒の秘部からとろとろと蜜が溢れ出ていた。
奈緒の足を割り開き、秘部から溢れる愛液を指に絡めて、奈緒の目の前に持って行く。
奈緒は僕の人差し指と中指の間で透明な糸を引くそれを不思議そうに眺める。
「奈緒。いっぱいおもらししたね」
「えっ、ご、ごめんなさい……」
上気した顔をさらに赤くさせて奈緒は恥ずかしそうに、僕の指から目を外し、顔を背けてしまった。
僕は悪役さながらに意地悪くくつくつと喉で笑う。
奈緒の精神の方の発達は今も物凄いスピードで進み、肉体の年齢に追いつく頃に徐々にスピードを落としていくらしい。
そう遠くない未来に僕は精神的にも成熟した奈緒に今行っていることが原因で殺されるかもしれない。
それも雅昭の本望なのかもしれないなと思いながら、奈緒の花園に顔を埋める。
芳しい香りの蜜を舐め取ると頭上から奈緒のひぃん、という情けない声が聞こえてくる。
もっと色っぽい声を上げさせようと舌と指による愛撫にも熱が入る。
「んっ……あ、あっ……」
陰核を指で小刻みに刺激し、秘部に舌を出し入れさせると、漸く嬌声らしい嬌声が奈緒の口から漏れ出し、奈緒の太ももががくがくと震える。
「まさあき!やだっこわい、熱いのやだッ……はぁっ、あん、やめてぇッ」
愛液と唾液が混ざり合い、ぐちゃぐちゃと卑猥な音を立て、奈緒の聴覚までもを犯す。
そのまま指と舌とで激しく犯すと、奈緒は弓なりに体を反らし、全身を痙攣させ達した。


奈緒はぐすぐすと泣きじゃくっていたが、もうどんなに奈緒が嫌がっても僕は止める気がなかった。
いきり立った僕の肉棒をあてがい、奈緒の中にゆっくり沈める。
初めて男を受け入れる奈緒の中はきつかったが、前戯に相当な時間をかけていたおかげで充分に潤い、僕を受け入れる。
「やだっ!入ってくるぅ……まさあき、痛いよぉ」
「うん。大丈夫、大丈夫」
奈緒にとっては何も大丈夫なことなどないのだろうが、僕は奈緒の顔にキスの雨を降らし、誤魔化しながら根元まで奈緒の中に自身を埋め込んだ。
「奈緒。全部入ったよ」
年甲斐もなく明るい声で僕が言うと、奈緒は涙を流しながら恨みがましい目で僕を睨んでくる。
こうゆう時だけは女の表情だ。
奈緒に僕にしがみつくように促すと、奈緒は僕の首に腕を絡めて、しっかりとしがみついてくる。
奈緒の膣がきゅうっと締まり、僕を膣全体で握り締めてくる。
かなりキツイが、もう若くない僕にはある意味いい刺激だ。
そういえば久しぶりの女とのセックスだ。
「奈緒、気持ちいいよ」
軽く奈緒を揺すると、「んー」と苦しそうな声が上がる。
ゆっくりとした抽挿から始め、奈緒が慣れてきた頃に徐々にスピードを上げて、奈緒を大きく揺さぶる。
「あんっ、まさあきっ、はっ、あ、あぁん」
奈緒からも甘い声が溢れ出す。
「ほら、気持ちいいな。奈緒」
「まさあき、まさあきぃ」
いつしか僕は激しく奈緒に腰を打ちつけ、奈緒の精神年齢が子供だと言うことも忘れて、奈緒の体と唇を貪っていた。

283:偽者同士
10/10/17 02:31:00 GC6TIEAa
もしかすると僕は初めから、十五年前から、奈緒とこうなることを望んでいたのではないだろうか。
奈緒の子供が、奈緒が欲しかったのは、弟ではなく、本当は僕の方だったのではないだろうか。
「奈緒っ、お父さんとお母さんになろう」
「ああぁっ!何か来るっ……まさあきぃ!」
奈緒が喉を仰け反らして達する。
膣が痙攣し僕を締めつける。
奈緒の最奥まで貫き、奈緒を抱きしめ、僕も奈緒の中で達した。

僕が奈緒の中から萎えたペニスを抜き、奈緒を窺うと、彼女は奈緒は胸を上下させて呆然とした表情で天井を見上げている。
急激に醒めていく頭の中。
あれだけ最中は意地悪なことを言っておきながら、今は彼女にかけるべき言葉が見つからない。
僕が黙り込んで、彼女の秘部から自分の精液が垂れてくるのを眺めていると、ゆっくりと奈緒が体を起こした。
「まさあき、怒ってるの……?」
僕は小さく首を横に振る。
「ほんとうに赤ちゃんできるの?」
「どうだろうね……」
「ふーん」
唇を尖らせる奈緒。
子供っぽい仕草。
僕はそこで改めて気づく。
あの奈緒と、この奈緒は全くの別物であると。
いくら奈緒のクローンであろうと、同じ奈緒になるわけではない。
環境によって性格も仕草も全く異なってくる。
僕が弟と異なる性格、異なる道を選んだように、きっとこの奈緒も、あの奈緒とは違う女性になる。
それでいいかと思う。
その方がいい。
「奈緒」
「ん?」
「偽者同士、末永くよろしく」
奈緒の額に僕の額をぶつけると、奈緒はゆっくり瞼を閉じた。
雅昭の偽者の僕は、奈緒の偽者に、そっと唇を寄せる。

284:名無しさん@ピンキー
10/10/17 02:37:09 GC6TIEAa
以上です
スレチだったらごめんなさい
むしろここから兄のヤンデレライフは始まるのではないかと思います

285:名無しさん@ピンキー
10/10/17 06:38:47 8WGQokJh
>>278-284
おつです!
兄がどうヤンデレていくのかで奈緒たんも変わるだろうなww

286:名無しさん@ピンキー
10/10/17 10:01:01 LKyMM2vd
>>277
最初に書かなくて誤解させてすまん
去年投稿した本人です
こっちに投稿した方がいいと意見があったので

287:名無しさん@ピンキー
10/10/21 23:37:28 Fw5l4qY2
>>284
兄ちゃんの方が双子の片割れより余程ヤンデレだったでござるって話かw
奈緒ちゃん可愛いので良い!!
続きあるなら期待してます

>>286
確かにこのスレ向きの作品かもしれませんね

288:名無しさん@ピンキー
10/10/23 22:29:03 R641j0iP
保守

289:名無しさん@ピンキー
10/10/24 22:19:47 RASBG8FT
書けるかな

290:156
10/10/24 22:24:44 RASBG8FT
おお出来た!!

>>156です。規制の間に繁忙期突入&再度規制で書き込めませんでした。
3ヶ月も放置してしまってすみません。

『ゆうとと加奈』の続編投下します。
長くて全部は投下出来ないので区切りっていきたいと思います。

291:優人と加奈(予兆)
10/10/24 22:41:29 RASBG8FT
※ゆうと平仮名表記→漢字表記へ変更
※一人称形式→三人称形式へ変更
※小6時。二人の境遇や心境の違いに重点を置いてるのでエロ無し、ヤンデレ成分微少、冗長です。苦手な方はスルーお願いします。




「加奈ちゃん。優人くんと仲良くするの、やめたほうが良いと思うよ」
「へ?」

昼休み後の五時限目。
気だるげな空気が教室を支配する中、
教科書から重要箇所を抜き出してノートに写していた加奈は、突然降って来た声に驚いた。
手を止めて、顔を上げる。
前の席に位置する級友の顔が、そこにはあった。

「だから、優人くんと仲良くするのやめなって」

授業中だというのに、級友は体を捻ってこちらに向き直っている。
加奈は、ちらりと教壇の教師を盗み見た。
ホワイトボードに書き殴られた長い日本語の羅列。
日本史の年表を書す教師の指は神経質そうに強ばっていた。
しばらくは、板書に集中していそうだ。
姿勢を低くしてから、加奈は小声で話しかけた。
「何で?」
つられて姿勢を低くした級友がボソボソと答える。
「だって、優人くん変なんだもん」


292:優人と加奈(予兆)②
10/10/24 22:49:11 RASBG8FT
変?
変とは一体どういう事だろう。

「変って何が?」
「変は変なのっ」
「……?」

確かに彼には変わったところがある。
あるが、関係を見直す程のものだっただろうか。
加奈は困惑する。
級友が何故こんな事を言うのか分からない。
それに、記憶違いでなければ確かこの級友は以前、優人の事が気になると自分に告白して来たはずだった。

「絵美ちゃんさ、この前『優人君の事好き』って、かなに言って来なかったっけ?」

指摘してみると、級友は顔を歪めた。

「うん。好きだったよ。でもやめたの」
「やめたって何で? 優人の優しい所、好きって言ってたじゃん」
「言ってたよ。でも、違ったんだもん」
「違ってないよ。優人は優しいよ?」

一瞬、級友は加奈を睨んだ。
だが、すぐに苦笑いしたような顔になり、ため息を吐いて肩を落とした。
「優人くんは優しいよ」
そう認めたあとに、「でも」と語調を強める。
「加奈ちゃんにだけ、ね」

加奈は驚く。
優人の好意を、そんな風に捉えた事は今まで一度もない。
そんな加奈の様子に気付く事なく、級友はまた言葉を続ける。

「私気付いちゃったんだ。優人君、加奈ちゃんしか見てないって」
「へ?」
「今だってそうだよ」

「ほら」と、目線だけで促されて斜め後ろへと視線を動かせば、確かに二列挟んで後方に座る優人がこちらを見ていた。
目が合い、無意識に加奈は笑顔をつくる。
優人も優しくそれに微笑み返し、やがて加奈から視線を外した。
優人の顔をしばらく眺めてから、加奈は級友に向き直った。

「見てたけど……」
「ね?分かった? 優人くん、いつも見てるの加奈ちゃんのこと。怖くない?」
「ただの偶然だと思うけどなぁ」
「偶然じゃないって」
「そうかなぁ……」
「そうだってば絶対!!」

突然教室中に響き渡った声に、教師の怒声が重なる。
注意されてしまった級友は、慌てて座り直して前を向いた。
だが、最後にもう一度だけ振り返り、抑えた声で呟いた。

「優人君、少しおかしいと思う」

加奈は再び優人を見てみた。
振り向いた先の彼は、もう余所見をする事なく、黒板だけをまっすぐに注視している。
優人の様子を確認した後に、加奈もまた授業へと戻った。
ペンを握り、教科書を開く途中ふと思う。
先ほど見た優人の顔。
それがいつもより冷たく感じたのは、気のせいだろうか。

293:優人と加奈(予兆)③
10/10/24 22:59:03 RASBG8FT
「加奈。今日何話してたの」

そう聞いて来た優人は、人のベッドの上で寛いでいた。
頭は濡れて、上半身は裸だ。
風呂上がりの彼が、髪を盛大に濡らしたままTシャツ片手にやって来たのは、10分程前の事だった。
部屋に入れる際に、加奈は怒ってタオルを渡した。
ベッドに上がる前にも、シャツをちゃんと着なさいとそう促した。

だが、当の本人は全く拭く気配を見せず、未だに半裸状態でベッドを占領している。
痩せた肩に滴が垂れ、蛍光灯の下で濡れて輝いていた。

結局、我慢出来なくなった加奈は、優人の手からタオルを奪い取り彼の後ろへと周る。
タオルを叩きつけて、思いっきり頭をこすってやった。
「痛い!」
叫ぶ優人の声は無視する。
質問にだって、答えてやらない。

「何?拭いてくれるの?ありがとね」

そんな加奈に、優人は白々しく礼を言った。
加奈は肩を竦めた。
彼がこうして髪を濡らしたままやって来るのは、実は今回が初めてではない。
優人は度々、風呂上がりに部屋を訪れてはよく加奈を困らせていたのだ。
そして、決まって加奈に拭かせるように仕向けてくる。
最近になって、ようやく気付いた。
彼は全部分かったうえで、こうしている事に。

「ねぇ優しい加奈。髪を拭いてくれるのは嬉しいんだけど、無視しないでよ。今日何話してたのって聞いてるのに」

優人が寂しそうな声を出す。
勿論、これは彼の演技なんだと気付いてはいたが、いつまでも人を無視出来るほど加奈は器用ではない。
冷たい声を出す事ぐらいでしか応戦出来なかった。

「何が?」と、一言だけ口を聞く。
怒っているのだと、せめてもの意思表示。
だが、優人は笑っただけだった。
「怖い声」と、加奈の精一杯の意地を一笑の元に受け流す。
加奈は諦めた。
心理戦で、優人に敵うはずもない。

「加奈達、授業中先生に怒られただろ」
飄々と優人は続ける。

「うん」
「それで、何を話してたらあんな大きい声出せるのかなぁって思って」
「大声出したの、かなじゃないよ」
「分かってるよ。でも、知りたい」
「……」

加奈はあの時の会話を思い出してみる。
優人と付き合わないほうが良いと忠告してきた級友の言葉。
全てを話したら、彼は傷つくだろうか。

「優人って、優しくないの?」

結局、曖昧に言葉を崩した。

294:優人と加奈(予兆)④
10/10/24 23:14:04 RASBG8FT
「え、僕?」

当然のように、優人は怪訝な顔をする。

「何で?」
「加奈が聞いてるの! ねぇ、皆に優しくしてないの?」
「さぁ……」

しばらくの思案の末に、突然彼は笑いだした。

「そんなの考えた事もないし、考えたいとも思わないから。どうなんだろ? 自分では分かんないよ。
でも、こんな風に思ってるって事自体、優しくないのかな?」

一気に喋った後に、彼は沈黙した。
加奈を振り向いて見つめたあとに、低い声で彼女に尋ねる。

「で、何?僕の話してたってこと?」

加奈はあえてその質問を無視する事にした。
「でも、優人は加奈に優しいでしょ」
「うん」
「どうして加奈には優しいの?」
「だって加奈は優しいから」

きっぱりと言い切る優人に、加奈は違和感を覚えた。
その言い方が、まるで周りが優しくないと言ってるように聞こえたのだ。

「……じゃあ、優しい人には優しくするの?」
「しないよ。するわけない。加奈が加奈で、加奈が優しいから僕も優しくするんだよ」
「意味分かんない」

優人の言葉はいつだって複雑だ。
本心を喋っているのか、それとも言葉の裏側に何らかの意図を隠し持っているのか。
分からなくなる。
だから加奈はいつだって混乱するのだ。
そして当の本人は、そんな加奈の困惑ぶりを見て楽しんでいる節がある。

「優人の言葉はいつも分かんない」
「加奈が鈍いだけだよ」
「でも、かなをからかって面白がってる時があるでしょ」
「それはさすがに疑い過ぎ」

優人はさらりと言いのける。
納得出来ないのはいつもの事なので、加奈は会話を引きあげる事にした。

髪が乾いてきたので、シャツを着るように彼に指示をする。
バンザイをして来た彼の頭を叩き、自分で着用させた。
それでも懲りずに「もっと頭を触って」と甘えて来るので、とりあえず頭皮を揉みほぐしてみる。
満足したのか、優人はうっとりと目をつぶり、加奈の指先へと頭を預けた。
指を止めると、もっと撫でてと催促する犬のようにぐいぐいと頭を押し付けてくるので、加奈は笑って、しばらくマッサージに興じる事にした。

つむじを眺めてるうちに、ふと、1年前の彼の姿を思い出す。
痩せて、汚れた服を来た男の子。
何に対しても反応が乏しかった少年は、いつも冷めた目で教室を見ていた。


295:優人と加奈(予兆)⑤
10/10/24 23:21:43 RASBG8FT
(……1年もたったんだ)
短くなった優人の髪をかきあげながら加奈は思い返す。

1年前までの優人は、蓬髪の少年だった。
無造作に伸びた髪の毛は肩まで垂れて。
鼻に届かんばかりの前髪の隙間から、いつも外の世界を覗いているような子供だった。
空気のように透明で、希薄な優人。
そんな彼の髪を切ったのは、他でもなく加奈だった。
隣に母を座らせ、慎重に散髪していく過程で、加奈は初めて優人の素顔を知る事となる。
優人は輪郭の美しい子供だった。

後頭部から項にかけての曲線には一切の歪みがなく、そして、額からこめかみ、首、肩へと続くなだらかな傾斜には完成された一種の造型美があった。
加奈は驚きを隠せなかった。
母も側で感嘆の息を漏らした。
刈り取られた髪の間から徐々に出てくる瀟洒な優人の横顔に、加奈は陶然と見惚れたものだった。

(……あの日から変わった)
正確に言えば、彼の周囲が。

当人は、さして自分の容姿に興味を持たず、それどころか視界が眩しいと愚痴をこぼすばかりだったが、とにかく、彼をとりまく環境は一変した。
考えれば、あの頃から優人との仲介を図る申し出が頻発してきたように思える。
加奈はその度に喜んで協力したが、結局、実った恋は一つもなかった。
そして大抵、恋破れた女の子達は、優人は元より加奈からも離れて行き、やがて目も合わせなくなった。
優人と彼女達の間で、どのような交渉があったのかは分からない。
ただ、良い方向に進展出来なかった事は明白だった。

「優人」
「なに?」

夢心地でいたのか、呼びかけられた優人は目を細めて加奈を見上げる。
その頬が優しく緩んでいるのを見、加奈は苦しくなった。
『優人くん、少しおかしいと思う』
気持ちが届かず、最終的には手を引いて行った友人達。
優人は髪を切ろうと切るまいと、変わらず孤独を愛しているようだった。

「優人は好きな人、いないの?」

無意識に出た言葉だった。
舌から滑り落ちるように、予期していなかった言葉だった。
加奈はマズイと思った。
この手の話しは、優人は嫌いなのだ。

案の定、脈絡のない加奈の質問に、優人は眉間に皺を寄せた。
その顔が徐々に怒りで染まっていくのを見て、加奈は狼狽した。

「なに、いきなり」

乱暴に腕を払って、加奈から離れる。

296:優人と加奈(予兆)⑥
10/10/24 23:42:00 RASBG8FT
「なんでいきなりそんな事言ってくるんだよ。興味なんかないくせに、知りたいふりするな!」

当然の如く、爆発した。
加奈はたじろいだ。
近頃の優人は、前触れもなしに激情する事が多い。
そしてその傾向は、大抵、恋の話を持ち出した時に頻出するのだ。

「なんでもないよ!ただ何か聞いてみただけ。ごめんね本当に、気にしないで」

弁解するも、優人は完全に機嫌を損ねている。
底光りする目で加奈を睨みつけ、ベッドの端から動かない。
その表情に、やがて猜疑と絶望の色が浮かんで来た。

「また友達に何か言われたの?」

震える声で聞いてくる。
加奈は慌てて否定した。

「違う!」
「何で?僕、そういうのやめてって言ったよね?女の子の友達なんかいらないって、いつも言ってるよね?」
「違うよ優人!何も言われてないから」
「何で加奈はいつもそんな事するの?僕の嫌がる事して楽しいの?」
「優人違うから、お願いだから聞いて!」

完全に、加奈を疑っていた。
加奈は目に涙を溜めて、「ごめんね」と繰り返しす。

「私本当に何も言われてないよ。信じて」
「……」

硬化していた部屋の空気が、次第に落ち着きを取り戻していく。
だが、漂う静寂はまだ緊張を孕んでいた。
優人の瞳は依然と鋭い光を灯している。
まるで体全体で加奈を非難しているかのようだった。

「変な事聞いてごめんなさい」

謝罪には答えずに、優人は呟く。

「何で、あんな事聞いたの」
「本当に何でもないの……。ただ気になったから聞いてみただけで、何も考えてなかったの……本当にごめんね」
「……」
「優人、ごめん」
「……部屋戻る」

加奈は焦って引き留めた。
このまま、彼を傷つけたままで帰すわけにはいかなかった。

「優人も一緒に寝よう? ね? もう遅い時間だし」

加奈は布団を捲り上げて、自分の隣をポンポンと叩いた。
優人は添い寝が好きだ。
隣に眠らせれば、機嫌が良くなるかも知れない。
そんな加奈の下心を察知したのか、優人は暫くドアの前に立っていた。
警戒心をあらわに逡巡している様にも見える。
普段は穏やかな優人だが、ふと無表情になる事がある。そういう時は大抵頭の中を高速回転させているのだ。
だが結局、彼は加奈の隣へと滑りこんで来た。


297:優人と加奈(予兆)⑦
10/10/24 23:59:27 RASBG8FT
良い兆候だった。
加奈は安堵した。

「ごめんね優人」
「……うん」

辛抱強くこちらの意思を伝えれば、最終的に優人は再び歩み寄ってくれる事を加奈は熟知していた。だが、気付いてはいなかった。
その優人の『歩み寄り』が、彼の狂わんばかりの葛藤の末にもたらされた『妥協』の産物であるという事に。

「電気消すよ」
「うん」

腕を伸ばして加奈は部屋の明かりを消す。
布団に入り、天井を見上げた。
隣に優人の体温を感じる。安心するが、今は彼の沈黙が怖い。

加奈は天井から視線を外し、優人を見た。
彼は黙ってこちらを見つめていた。

「何で見てるの?」
「さあ?」

見つめてくる優人の瞳は、暗くて何を考えているのか分からない。
夜の湖面の、波紋一つさえない静謐さとよく似ている。
『いつも見てるの加奈ちゃんのこと』
級友の声が蘇る。

「優人」
「なに?」
「いつもかなを見ているの?」

優人の口端が吊り上がる。
皮肉げに加奈を見つめる。
近頃よく見る笑い方だ。

「だとしたら何?」
「何でもないけど……」
「嫌?」
「嫌じゃないよ」
「だったら気にするなよ」

そこで問答は終わった。
加奈はため息をついてベッドへと体を沈める。
頭の上に暖かい感触が降りてきたので顔をあげれば、また優人と視線が合った。
だがその瞳はどこか痛切だ。

「加奈は好きな人居ないの」

振り絞るような声で聞いてくる。

「すきなひと?」
「うん」

何故彼はこんなに哀しそうな顔をしているのだろう。

「好きな人居ないよ。居ないけど、もし出来たら両思いがいいなぁ。ずーっと両思いがいい」
「なんで?」
「お父さんとお母さんが、ずーっと両思いだったから」

298:優人と加奈(予兆)⑧
10/10/25 00:12:16 M3VHho7o
この頃加奈は、寝しなに両親の恋物語を優人に聞かせるのがお気に入りだった。
尊敬する二人の、夢のような恋愛譚。
おとぎ話にも似た甘い世界の話に加奈は傾倒していた。

「かなは、お父さんとお母さんが大好きだから二人みたいな恋がしたいな」

慣れっこの優人は、またそれが始まるのだと思い聞く態勢に入った。
迎合して、加奈の頬を撫でて囁く。

「聞きたいな。おじさんとおばさんの話」

加奈は優人の指を取り、握りしめた。
嬉しそうに頷き、そして唇を開いた。

―加奈の母親には二才離れた自閉症の弟が居た。
当時、父親はその弟の通う特別学校の新米教員で、補助係として送迎バスに乗車していた。弟の送り迎えをしていた母親はそこで父親と出会った。
母親は高校に入学したばかりだった。

「お父さんは、お母さんを初めて見た時、可愛い人だなって照れちゃったんだって」

想像も出来ない程若かった頃の二人を、目を閉じて加奈は何度も思い描く。
愛情と、尊敬と。少しばかりの憧憬を込めて。
加奈が楽しそうにクスクス笑うから、つられて優人も笑顔になる。

実際、優人は加奈の両親の話を何度も聞いていた。
台詞なんて暗記しているぐらいだ。
正直辟易する時もある。
だけど加奈が笑うから。
彼は話を遮る事はしない。

「遊園地でしょ、動物園、水族館、山形の温泉と、北海道」

二人の愛の痕跡。交際から結婚に至るまでの甘い道のり。
その軌跡を、森の中に降り注ぐ木漏れ日のように、加奈は淀みなく紡ぎ続ける。

「そして、かなが生まれたの」

優人の瞳を見つめながら加奈は告げる。

「だからかなは幸せなの」

優しく微笑む。
優人は加奈に掴まれたままの指先を引き寄せて、そこに口付けをした。
何故かそうしたいと思った。

「擽ったい」

加奈が笑みを湛えたままで身を捩る。

「そう?」
「うん」
「じゃあやめる」
「かな、指怪我してないよ?」
「分かってるよ」
「じゃあなんで口をつけるの?」
「さぁ? 何となく」

指を離して、自分を見つめる加奈の髪を撫でてみた。
うつ伏せに寝てこちらを見上げる加奈の顔は、ベッドに頬が擦れて変な形に潰れている。

299:優人と加奈(予兆)⑨
10/10/25 00:21:35 M3VHho7o
優人は、その柔らかな肉の膨らみに指を押し付けながら、しばらく無表情で頬の弾性を確かめていた。

「変なゆうと」

頬に圧されて中途半端に開いた加奈の唇は不格好だ。
優人はまたそれに指を押し付ける。
加奈が笑って指に噛みつく。
そこでようやく、手を引っ込めた。

(…加奈は子供だ)
見つめながら、そう思った。
柔らかな気配に包まれた加奈の顔。
その表面に、加奈の幼さを見つける。

(両親のなれ初めに幻想を抱いている。それが悪いとは言わないけれど)
優人の父親は高級クラブの支配人だった。母親はその従業員。性風俗に従事する両親から生まれた優人は、早熟で現実的な子供だった。
彼に自分の人となりを教えたのは祖母で、その淫売さについて得々と教えたのもまた祖母だった。

(加奈は分かっていない)
恋人になり、夫婦となり、親となるまでの間に加奈の両親が営んで来たはずの生臭い過程。
男女の求愛行動がどんなに肉感的なものか、きっと彼女は知らない。

(夢をみてる。錯覚だ)
現実の恋物語は、実際にはもっと汚濁の色が濃い。
男は精を撒き散らし、女はそれを飲み込む。子種を残す事よりも、念頭にあるのは快楽への追従だけだ。
優人はそれを理解していた。
それでも優人が加奈の話に耳を傾けるのは、それを文字通り『眠りの前に聞く夢物語』だと定義付けているからで、話す人間が加奈でなければ、唾棄して圧し伏すような代物だった。


300:優人と加奈(予兆)⑩
10/10/25 00:26:58 M3VHho7o
加奈は夢を見ていた。
両親の幻影に。優人に。

だから6年生に進級した今でも、彼を同じベッドに入れ、指や唇に触れられても何も感じない。男として見ない。

(加奈は僕を『寂しそうな同級生』と思っている)
あるいは『守るべき相手』として。

愛情を注ぎ、慈しみ、同情ではなく、ただ純粋にそうあるべきだと信じて。
優人はその行為を、『水を欲しがる鳥に水を与える』程度の順当さだと認識していた。
加奈の心には偽善も下心もない。
宗教で言う所の隣人愛。端的に言えば完全なる善だ。
(加奈はいつになったら気付くんだろう)
僕がもう、可哀想な『男の子』じゃないんだってこと。
心も体もやがて成熟していく『男』の子供なんだってことを。

「加奈」

微睡み始めた加奈の耳に優人は語りかける。加奈は気だるげに瞼をこすって優人を見た。その瞳に、優人は優しく微笑みかけた。

「大好きだよ」

加奈はゆっくりと頷いて瞳を閉じる。
やがて優人も、その寝息に耳を澄ませながら瞼を閉じた。
加奈の夢物語。
いつかその幻想の中に、男としての自分が入り込む。
そして、全てを打ち砕くのだろうと確信しながら。



301:156
10/10/25 00:48:46 M3VHho7o
終わり。一応『予兆編』として区切ります。ここから徐々にヤンデレ激化していく優人君。レイーポまではまだ長いけど。

続き待って下さった方、お待たせして本当にすみませんでした。
また続編投下しに来ます。規制されたら泣く

302:名無しさん@ピンキー
10/10/25 02:24:14 wpkcYmee
>>301

優人パネェw
加奈ちゃんはこのまま優人に身を委ねるのですねゴクリ

303:156
10/10/25 07:30:53 M3VHho7o
3ヶ月近くぶりの投下がエロ無し続編長編というのもアレなので、別作品も投下したいと思います。
大量にレス使用してすみません。
少しでも暇つぶしになれば幸いです。

>>302基本受身だけど、実際一番逞しいという加奈クォリティ狙ってますw

304:救済の搭
10/10/25 07:47:40 M3VHho7o
※宗教注意。神様冒涜しまくってます。
※強姦アリ。性行為自体の描写少なめ。
※ハッピーendではありません。
苦手な方はスルーお願いします。



修道院の朝は忙しい。

AM4:00

鶏舎に赴く為に尊(タカシ)は起床した。
鶏、鳩、雉に七面鳥。
騒がしい鳥達に給餌した後は、堆積した白い糞の鍾乳石を蹴飛ばして卵の回収をする。
それを一旦食堂へと運び、次は残飯を片手に家畜小屋へと向かう。
そうした重労働の後に、ようやく見習い修道士は朝食にありつける。

食堂に並ぶ周りの修道士の顔は、白、黒、褐色。様々だ。
だが黄色は一人も居なかった。
尊はこの修道院でただ一人、唯一の日本人だった。

日本から遠く離れたバルカン半島。
ブルガリア東部に位置するこの修道院は山間部に配されながらも、黒海を臨む事が出来た。13世紀初頭に建築された建造物は、建物自体が薄暗く堅牢で、何処となく刑務所を想起させる造りとなっている。

「タカシ、今日は祈りの後に葡萄を収穫するよ。ワインを作るんだ」

胚芽入りの粥を口に運んでいると、鳶色の目をした鷲鼻の男に声をかけられた。
(トビにワシ。ホークじゃなくて、何て言ったっけ)
名前が出てこない。
外国人の顔は特徴的だが、名前と顔を結びつけるのは難しい。
尊は曖昧に笑って頷くだけに留まった。
食器を片付けて、彼の後を追った。


※※※

救済の搭。
尊が寝起きする別棟の傾いた搭は、周りからそう呼ばれていた。
正式なクリスチャンでは無く、何らかの『罪』に追われてこの地に辿りついた流れ者の為の施設。
だから、『救済の搭』。

305:救済の搭②
10/10/25 08:01:38 M3VHho7o
礼拝堂のイコン。
回廊のフレスコ画。
中庭の彫刻。

偉大なる全能の神が創造した完全なるミクロコスモス。
だけど、『興味深い事は全て闇の中で起こる。人間たちの本当の歴史など、誰も知らないのだ』
そう唱えた彼の人は誰であったか。
聖アウグスティヌスの労働論争。
美貌コルンバヌスの異郷遍歴。ペレグリナティオ。
恍惚とした表情で講釈を垂れ流す司祭を尻目に尊は欠伸をした。
そして、精神労働に従事した司祭は満足気に締めくくる。

「感謝と祈りを」

彼らにとって祈りは神への確信であり、己への悛改であり、また讚美でもあった。
生きとし生きるモノへの感謝。
前提として、神が君臨する。
しかし、修道士であるはずの尊はいつもこの瞬間、別の思いに囚われるのだ。
彼が讚美し、信奉するのは神でも無ければ天使でもない。
ただの人間。22才の、ただの女だった。

「親愛なるシスターマーサ」
口の中で呟く。
目を瞑り、指先を組み、彼女の魂に祈る。
意識の底に鎮座する彼女。
その存在を、一度だって忘れた事はない。


※※※

『私の生まれは佐世保なの』
そう呟いた彼女の名前はマーサ。
黒い髪、小さな唇、青い瞳を持った若いシスターだった。彼女の体には、半分異国の血が流れている。
「尊、あなたは随分と熱心ね。日本人じゃないみたい」
あの日、遠い昔まだ日本に居た頃。
尊は協会わきの旧礼拝堂に彼女を呼び出した。
礼拝堂の中は広くて冷たい。
取り外されたパイプオルガン。壁面に取り残されたイエズス像が、妙に生々しかったのをよく覚えている。

「懺悔をしたいという事だったけど、私では力不足だわ。私では聴罪司祭には成りえないの」
尊は首を振った。
彼女でなければ駄目だった。
「俺はあなたに聞いて欲しいんです」
あなたじゃなければ。

「……分かりました」
シスターはため息を吐き、告解室へとゆっくり歩き出す。
そして祈りの言葉を口にする。
「父と子と精霊の御名によりて…」アーメン。
囁く唇を、尊は目がくらむ思いで凝視した。「……に信頼して、あなたの罪を告白して下さい」
祈りを終えて頭を下げる。
本当は格子ごしの彼女の青い瞳を眺めていたかったが、告解中は顔を上げてはならない。
だから、手を組み大人しく告解に勤しむ。

306:救済の搭③
10/10/25 08:07:40 M3VHho7o
「シスター。俺はとある人を犯しました」

シスターマーサが息を飲むのが分かった。

「その人は聖職者でした。シスターです。奉仕活動の一貫として、更生施設に訪れたそのシスターに、俺は一目惚れしてしまったんです」

脳裏に蘇る、初めて彼女を目にした日の事。光の中で笑うシスター。
その笑顔は、いつだって俺を離さない。

「来る日も来る日も彼女の事ばかり考えて、彼女しか見れなくて、施設を出て世俗に戻った後でも、彼女を忘れる事が出来ませんでした」
「苦しかった。死ぬかと思った」
「だから自分の足で協会に通い、彼女を見つける事にしたんです」
「彼女は俺を覚えてくれていました。優しく名前を呼んでくれました。愛しくて嬉しくて、俺は始めて神に感謝しました。彼女はまさしく天使だ。俺を救いに来てくれた永遠の……」
「尊」
シスターマーサが名前を呼んで制止する。
ささやかな声量だったが、震えているのは確認出来た。

「あなたの罪は……」
「彼女をレイプしました」

再びシスターマーサが押し黙る。
その沈黙が、何を意味するのか尊には分からない。

「神に貞操を捧げた彼女を、レイプしました。俺の、この固いので、処女膜を突き破って何度も出し入れして、射精しました。貞節を汚してその体を存分に弄んだんです」

格子の向こう側で、シスターマーサが頭を抱える気配がする。
空気が流動する。
緊張が高まり、告解室の温度がにわかに上昇し出すのを尊は肌に感じた。
彼女はきっと、恐怖に打ち震えているのだろう。羞恥と怒りで顔を赤くしているはずだ。
尊はそれを性行為のようだと思った。
この狭い室内をシスターマーサの膣だとするならば、自分は今、決定的に彼女の精神的貞潔を凌辱する事に成功した冒涜者だ。


307:救済の搭④
10/10/25 08:12:35 M3VHho7o
「……それで、あなたは悔いているのですね」
「……」
尊は答えなかった。
予想していなかった沈黙に、シスターマーサが声を尖らせる。

「尊、答えなさい。あなたは悔いているのですよね?」
「……はあ」
「だからこうして告解室に居るのですね?」
「……」
「何故黙るのです」
「それは多分、俺は後悔していないからです」
「……では何故ここで懺悔しているのですか」
「ただあなたに聞いて欲しかったから」
「……」
「それに、いずれ罪を認めて後悔する日が来るかも知れない。でも、その時はあなたはここに居ないだろうから、今日、俺の罪をあなたに聞いて欲しかったんです」
「……あなたに悔やむ気持ちがあるのであれば、神はその罪を許してくれるでしょう」
「……」
「……天使祝詞を唱えなさい。聖母マリアを讃え、その助力に感謝するのです」

尊は告解室を出た。
祈りを三回唱えている間にどうやらシスターマーサは先に出ていたらしい。
がらんとした礼拝堂の席に、口元を押さえて座っていた。
尊は務めて柔らかく声をかける。

「シスターマーサ」
彼女の肩がぴくりと反応した。
だがこちらを見ない。
その姿がやけに可愛いかった。

「シスターは、処女なんだね」
尊の言葉にシスターマーサは顔をあげた。
瞳が疑心と嫌悪に満ち、憎悪を隠そうともしない。
『罪を憎んで人を憎まず』の精神は一体どこへ。神の意思に抗がうシスターマーサの矛盾は、若さ故のものなのか。

「やめて。今は、少し一人にして」
彼女の紅くなった頬と唇が愛しかった。
青い瞳まで燃え上がってしまいそうなほどの憤怒。
尊はそんな彼女の表情に陶酔し、一歩足を踏み出した。

「シスター」
「なに」
「あなたは俺を許してくれた」
「……」
「有難うございました。俺の言葉を聞いてくれて。俺、一生忘れません。あなたの事」
永遠に。今から何が起こっても。

シスターマーサが眉間に皺を寄せてこちらを見つめてくる。
やがてふとため息を吐くと、宙を見上げた。その仕草までも、途方もなく美しい。

308:救済の搭⑤
10/10/25 08:18:17 M3VHho7o
「……あなたが…傷つけたというその女性…」
吐き出すようにシスターマーサが話し出した。
「その女性は、私も知っている人?」
先程から懸念していたのだろう。
同士に傷ついた者がいる。その考えにシスターマーサは囚われているようだった。
尊は肯定する為に頷いた。
彼女の瞳が僅かに大きくなる。
「私の同士なのね」

尊は言葉を探した。
実際のところ、同士と言っていいのか分からなかった。彼女に別段他の意図があった訳ではないようだが、このシスターマーサの質問は、意外な所で尊の核心を突いていた。
尊には、計画があった。
それは告解を布石として、シスターマーサの発言で効力を発揮する。
誘導して罠に掛けようと思っていた兎が、自ら飛び込んで来たのだ。ある意味、拍子抜けした。

「あの、シスターマーサ」
「ああ何てこと。彼女はきっと今も苦しんでいるんだわ……」
「その事なんですけどシスター。聞いて下さい。同士というか、何というか。あなたに告白しなければならない事がある」
「何なの」
「俺が犯したという女性は、あなたの事なんです。シスター」

最初、シスターマーサは呆然としていた。
だが、やがて覚醒して来たのか、再び瞳が憤懣やる方ないと、怒りの色を宿し始めた。
その形相までも、尊にとっては愛くるしくて罪作りだ。
告解が必要なのはもしかしたら彼女の方なのかも知れないと、場にそぐわない事を考えてしまう。下半身に、血流が集中し出すのを感じた。

「あなた何を言っているの?私をからかっているの?」
「ごめんなさい。実は先程の告解で、俺はあなたに1つ嘘をつきました」

一呼吸置いて、ゆっくりと呟く。

「犯した女性はいないんです。今から犯す女性はいても」

シスターマーサの口が開いた。
徐々に顔から血の気が引いていき、瞳が泳ぎ出した。
聰明なるシスターマーサは、どうやら事の全貌に気付き始めたらしい。いや、予感したのだろうか。
どちらにせよ、尊はシスターマーサのその鋭さを常日頃から敬愛していた。

「何、言ってるの」

シスターマーサが椅子から立ち上がろうとしている。
だが、足が思うように動かないらしい。尻だけで無様に後退している。
どうして彼女はこうも容易く、俺の琴線に触れる事が出来るのだろう。

「あなた何言ってるの?だって懺悔を…」
「うん。だからね、『今から犯す』罪の懺悔をしたんです」

309:救済の搭⑥
10/10/25 08:26:41 M3VHho7o
ゆっくりと歩を進める。
閑散とした礼拝堂は、まるで空虚な箱庭だ。シスターマーサの隣に腰を下ろし、その腕を握りしめる。
一度払われたが、また掴んで動きを封じた。ついでに空いた手で彼女の太ももを撫でてみた。

「ね、シスターは俺の告解を聞いた。そうでしょう? そしてこう言いました。『あなたに悔やむ気持があるのであれば、神は受け入れてくれるでしょう』。あなたが神に俺の罪を伝えて、赦しを与えてくれた」
「ねぇ、シスター? 神は俺の『今から犯す』罪を認めて、赦してくれたんでしょう?」
「詭弁です! やめなさい!」

シスターマーサが激しく首をふる。
漆黒の修道服が音を立て、埃の匂いが空中に飛散した。

「どうして? じゃあシスター、こういう事? あなたはありもしない罪を神に認めさせて、いたずらに彼の御心を弄んだって事?」
たたみかければ彼女は健気に否定する。
逃げ道を探し、抵抗をする。
それが何の意味も成さない事に気付きながら。

「存在しない罪を認めさせて、彼を裏切ったっていう事?」
「違う、違う!」
「それって、あなたの『神に対する冒涜』なんじゃないの?」
「違う…やめて……」

哀れなシスター。
神になんか傾倒するからこんな事になるんだ。

「シスター安心して下さい」

彼女の肩にゆっくりと頬を寄せる。
掴んでいた腕を離して背中を抱きしめた。
耳元で、ガチガチと歯のなる音がする。
小刻みに震える振動はまるで歪な揺りかごだ。可愛いらしいが、癒しにはならない。

「これも全てあなたの愛する神がお与えになった試練」

スカートの裾をたぐり寄せ、彼女の足を撫でる。
「やめて」と小さな声が聞こえるが、知らないふりをする。
だって彼女の『神』ですら、今、彼女の救いの言葉を耳にしていない。

「神が許してくれた罪の為にも、」

彼女の信仰を破壊する為に、ゆっくりと呟いた。

「俺があなたを犯さないとね」
「いや!!やめて!」

叫んだ彼女の唇を塞ぎ、椅子の上へと押し倒す。
聖なるイエズス像は、ただ目を閉じ静寂に甘んじ続けていた。

310:救済の搭⑦
10/10/25 08:35:06 M3VHho7o
夕食後、夜の祈りと瞑想を終えて尊は腰を上げた。
同様に今日1日の働きを終えた修道士達もそれぞれの部屋へと戻る支度をする。
祈りと労働を専科としている修道院の生活は、毎日同じ事の繰り返しだが、退屈ではない。
最もそれは、自分が神を崇拝しない、発展性も未来への展望もとうに捨てた人間だからなのかも知れないが。

「タカシ」

振り向くと赤ら顔の神父が立っていた。
講堂から出て来たらしい彼の手には書物が握られている。
名前と顔を覚えるのが苦手な尊ではあったが、この人物の名前だけは忘れた事がなかった。
彼は、流れ者である尊をこの修道院に招き入れた人物その人だった。

「君の顔は良くなった。凄く良くなったよ。これからも神に祈り、日々の恵みを糧に生きなさい」

訛りのある口調でそう言う。
尊は微笑みを持ってその言葉に追従する。
偉大なる神父。尊敬すべき父性。
だが、その手の中に握らせた札束こそが、この異邦人を最大限に救うであろう事を、互いに承知していた。

「タカシ。君に神の御加護があらんことを」
逃亡の末に見つけた避難所は、皮肉にも彼女が崇拝していた神の世界だった。
地球を半周して辿り着いた安息地は、隔絶された羊達の楽園。
他の介入を許さない優しくて頑丈な檻は、犯罪者にもその口を淫らに開ける。

「ありがとうございます、神父」

尊はもう一度微笑し、踵をかえす。
薄暗い救済の搭を音もなく戻って行った。


※※※

部屋の中は薄暗かった。
本棚へと指を這わせ、一連の儀式に取りかかる。
上から二段目、左から五冊めの本。
取り出してすり切れたページを開けば、彼女の体が鮮やかに思い出される。

初めて会った時に彼女は言った。
『神の御加護を』
そう言って渡してくれたのは聖書だった。
『私の宝物です。あなたにあげますわ』
優しく微笑んでくれた唇。甘い声。

「ああ親愛なるシスターマーサ」

今も、この本の中に彼女はいる。
あの日、犯した時の体液を、彼女が一番好きだったページに塗りたくった。
破瓜の血と愛液。
紙は皺だらけになって、今では饐えた匂いもするけれど、それでも満足だ。
彼女を閉じ込めた。
多分、彼女の一番望む形で。

「本望だろうシスター? 聖書の一部になれて」

ベッドへと腰掛け、陰茎を取り出す。
彼女の匂いに当てられて膨らんだ欲望は、際限なく快楽を求める。

311:救済の搭⑧
10/10/25 08:43:20 M3VHho7o
「シスター見てあげる。また見てあげるよ」
裏表紙とカバーの間から数枚の写真を抜き出した。
それはあの日の彼女。
犯されて泣き叫び、神に救いを求めたシスターの顔。腕。胸。そして、精液であふれかえる柔らかな膣の写真。
愛すべき至福の思い出たちだ。

「綺麗だよシスター。ねぇ、気持ち良いよ。あなただって気持ち良かっただろ?」

シスターは泣いていた。
『こんなにグチャグチャにして。恥ずかしいねシスター』
『お願いやめて』
『どうして泣くの?こんなに喜んでいるのに』

そう言って、膣を指でかき回せば彼女の体はとても喜んで。隆起した乳首も、のけぞる喉も酷く美しかった。

『シスターほら見て。あんなに痛いって騒いでたくせに、今はもうほらこんなだよ。俺の飲み込んで離さない』

彼女の膣が窮屈だった。俺を食べようと、肉壁が舌を這わせて涎を垂らしていた。

『ね?イエス様に見せよう。罪を認めてくれてありがとうございますって。おかげでこんなに気持ち良くなってますって』
『嫌ぁ!!離してぇ!』
『ほら、足を開いてあげるね』

イエズス像の前で足を広げさせて、彼女がいつも持ち歩いているロザリオで肉芽を淫らに愛撫した。
蜜を撒き散らして喜色にあふれた彼女の割れ目に陰茎を突き刺せば、また凄く喜んだ。
きゅうきゅうと締め付けて、腰が抜けるんじゃないかと思った。気が狂って、このまま猿にでもなってしまおうかと思えるぐらいに。そして、彼女自身も気が狂ったらしく、何度も何度も男の名前を呼んでいた。
俺じゃない、他の男の名前を。

『お許し下さい…お許し下さい…』
『シスターまだ分からないの?』
『天におられる私たちの父よ…』
『この男があんたに何をしてくれるって言うんだよ』
『喜べ…完全であれ…朗らかで…』
『今まで一度だって、こいつがあんたに何かしてくれた事あったのかよ』

命も時間も貞操も捧げて来たあなたの22年間。その間、こいつは何をした?

『俺なら何だってしてあげるよ。ご飯だってお風呂だってトイレだって』
『そうすれば神はあなた達と共に……』

あなたから奪った膨大な時間。こいつは一体何をしてきた?
今あなたが泣き叫んでいるこの瞬間。こいつは一体何処にいるんだよ。

312:救済の搭⑨
10/10/25 08:47:31 M3VHho7o
『ほら、こんなに気持ち良い事だってしてあげる』
『っあ……!いや!』
『俺に乗り換えなよ』
『いや!もうやめて!』

彼女は最後まで俺を見なかった。
だから罰を下したんだ。

『可哀想なシスター。じゃあ彼の所へ行きなよ。俺の精子を手土産にしてさ』

命の灯火が消える瞬間。過去最高の締め上げが俺を射精へと導いた。
他者を慈しみ愛するシスターは、最後まで俺を先導して喜ばせてくれた。

「死んだ今でもね」

彼女の写真を見下ろし自慰にふける。
陰嚢は右手、竿は左手。
尻を浮かせ、彼女の胎内をイメージする。
暖かくてキツい、楽園の庭。
咲き乱れる花々は白。
それを汚してまた欲情する日々。

「なんて幸せなんだろう」

朝起きて獣どもの世話。
朝食を食べて、畑の手入れ。
昼食を食べた後には礼拝堂。夕食を摂り、祈りを捧げて肉欲にふける。
神様なんてクソ食らえだ。

「誰も俺を邪魔しない。邪魔出来ない」

ねぇシスター。
あなたが最後の最後まで忠誠を誓った神は、今、こんなにも至福の時を俺にもたらしてくれているよ。

「あなたの写真を見て眠る日々。どれだけ幸せな事か」

ねぇシスター。あなたが心酔した世界で、あなたの魂は汚されています。死んでも尚。

「眠る前も、夢の中でも、その後も」

あなたを思いながら吐精する。あなたを汚す。永遠に。

「ねぇシスター」

あなたが愛したはずの偉大なる神。
さて今そこに、果たして彼は居るのでしょうか。

313:名無しさん@ピンキー
10/10/25 09:00:47 M3VHho7o
終わり。聖職者とヤンデレって相性悪くないか?と思って書きました。
お目汚し失礼しました。

今更ながら>>278乙です!
こういうセンス凄く好き。本気で羨ましい。

314:名無しさん@ピンキー
10/10/26 02:18:50 cV2BOk2A
>>313

シスターマーサ(´・ω・`)
まぁ、ヤンデレ男に目を付けられたら結末はこんなものかもしれませんね
こういうのも嫌いじゃない

加奈ちゃんの方は振り回されつつも御す事が出来てるようで何より
上の方のレス的に加奈ちゃんはこのわがままヤンデレに巫女として
その身を捧げて奉り一生を過ごす覚悟なのかしらん?
大変そうだなあw
むしろ加奈ちゃんの方がある意味ヤンデレ……好きだけど

315:名無しさん@ピンキー
10/10/26 15:35:50 Y5ABMGcN
>>313
GJでした
2作連続とは気合い入り過ぎですw
シスターは可哀想……男は愛を貫くのだろうか?

加奈ちゃんのほうは序章って感じですね
初体験編が楽しみ

316:名無しさん@ピンキー
10/10/30 18:29:26 7R34xLwl
超GJ!
シスター逃げてー!でもエロ的には逃げないでー!ってモニター前で頭抱えたぜ

317:名無しさん@ピンキー
10/10/31 21:01:23 tW04BBk0
ヤンデレ男って何故かドSのイメージが強い。相手の事を四六時中考えているって点では充分献身的なはずなんだけど…

ドMなヤンデレ男っているのかな??
攻撃的な奴しか思いつかないや。

318:名無しさん@ピンキー
10/10/31 22:07:42 X7UckNlj
>>317
なんか囮捜査官とかいう二時間ドラマでそんな犯人いたような。
検事だか弁護士だか、偉いその女性の助手で
どんなに叱られたりなじられたりしても離れられなくて
むしろその女性が嫌ってる人間や、
その女性を悩ませる人間を許せなくて殺したっていうの

319:名無しさん@ピンキー
10/11/01 02:45:25 kHLJQfZD
青田買い、浮気の代償に引き続きまたヤンデレ旦那を書いてみました。
だるま(四肢切断)といったグロテスクな表現があります。
相変わらずの最低具合ですが今回は……
前半2レスが旦那の話、後半2レスがおまけでキオが実家に帰る話です

320:人形 1/2
10/11/01 02:47:34 kHLJQfZD
 布団の上に仰向けに寝そべる一回りも二回りも小さくなった妻。
 随分と短くなった手足をぱたぱたと動かす度に余った袖と裾が揺れる。
 顔を歪める妻は「足首が痛い」と私に助けを求めた。
 彼女の足首などはとうの昔に切り落としてしまったのだが、私は本来妻の足首があるべき場所を撫でる。
「ほら。キオ。もう大丈夫だ」
 何も無い場所を、あたかも足首がそこにあるように熱心に撫でてやる。
 ほんの少しばかり顔の表情を和らげた妻の体を抱き上げる。
 元々軽い妻の体は四肢が無くなることで更に軽くなった。
 本当に可愛い。
 だるまのようだと妻を敬遠し世話をしたがらない女中もいるが私にとってはかえって好都合だった。
 妻の食事を、排泄を、風呂を、髪を結うのだって私が何から何まで妻にしてやれる。
 一日中彼女の傍にいることができる。
 彼女に必要とされている。
 以前よりも満たされた毎日に自然と顔の筋肉が緩む。
 赤子を抱くように彼女を抱えると彼女は不思議そうに私を見上げる。
「そんなに嬉しそうな顔をしてどうしたのですか?」
「ああ、今日もキオが可愛いと思って」
 言うと今日一日比較的機嫌が良かった妻の顔が曇り、遂にはわっと大粒の涙を零す。
 ただ一つ私達の生活に問題があるとすれば彼女が以前よりも情緒不安定になったことだ。
 どうしたんだと尋ねると、彼女は唇を震わせて、首を横に振る。
 彼女から零れ落ちる涙がもったいなくて自分の舌で受け止める。
 しょっぱいのに、どこか甘美で病み付きになる味だ。
 彼女は私の舌から逃れようと私から顔を背けてしまう。
「近所の子どもにも笑われて、あなたに惨めな思いをさせて。もう生きていたくありません」
「そんなことは言わないでくれ。キオに死なれたら私はどうしたらいいか。
 愛してるんだ、キオ。君のことだけを愛してる。君がどんな姿になろうとも私は君と過ごせるだけで幸せなんだ。
 キオ、ずっと私と一緒に生きてほしい。それでも君が死にたいのならば死ぬときは私も一緒だ」 
 妻と熱いくちづけを交わしながら、妻の服にそっと手をかけた。
 
 妻の体を再び布団に横たえて、妻の裸体を上から拝む。
 私よりもずっと年下の妻の肌は若く瑞々しい。人目を憚り外出もしなくなったために病的なまでに白く透き通っている。
 首などは片手でへし折れそうなほど細く、それでいて乳房は私の片手では余るほどに豊かだ。
 特筆すべきはやはり短い手足だろうか。手足の先は少し肉が歪になっているが神経はちゃんと機能している。
 そのためなのか手足も妻の性感帯の一部となっている。
 私の視姦に妻は恥ずかしそうに顔を背けるがその体を隠すための腕はどこにもない。
 彼女は私に目でもって犯され続ける。
 妻の名前を何度も呼びながら、キオと何度も唇を重ねる。
 涙を止めて彼女は嬉しそうに私に応じ、彼女自ら私の口内に舌を侵入させる。
 舌を絡め、唾液を交し合いながら、妻の乳房を揉み、先端を刺激する。
「んんっ……ユーヒさん」
 手足を失ってから娯楽といえばコレばかりの妻はすっかり熱に浮かされた目でその先を強請る。

321:人形 2/2
10/11/01 02:48:38 kHLJQfZD
 彼女の髪を梳き、額に唇を落としていると、隣室から鈍い音が響いた。
 妻は首だけをそちらに向ける。
「何……何がいるのですか」
 隣室から響く低い唸り声に怯える妻を抱きしめる。
「……人形が棚の上から落ちただけだよ」
 彼女の意識をこちらに戻そうとしても、こちらに向かってくる衣擦れの音に妻の視線は襖に釘付けとなる。
 本当にいつもいつもいつもいつも肝心なところでヤツは邪魔をしてくれる。
 人形にしてやったのにそれでもまだ邪魔をするというのか。
「いやだ……こっちに来てる」
 襖がゆっくりと開き、光が部屋に差し込む。
 四肢を切断し、眼球を抉り取り、すべての歯も抜き取ったはずの人形は―元の姿へと戻っていた。
 少年はその幼い顔に微笑を浮かべると、右手を妻に差し伸べる。
「キオ、迎えに来たよ」
「スオウ?どうして……」
 キオが短い右腕を差し出すとそこから腕が伸び指ができ、元許婚の手を掴む。
「ほら、左腕も両足も戻る。全部元通りだ」
 腕の中からキオの体がするりと抜け出し、少女に戻ったキオは嬉しそうに少年と駆けていく。
 一度も後ろを振り返らずに。

 目の前が真っ暗になり、世界がぐらぐらと揺れる。
 揺れているのは自分の体だと気がつくと、飛び起き、辺りを見渡す。
 布団が二組引かれた寝室。
 私の傍らには驚く婚約者の姿があった。
「随分うなされていましたが、怖い夢でも見ていたのですか?」
 彼女は私を気遣いながら額にかいた汗を拭ってくれる。
 夢、そうか夢だったのか。
 私達はまだ結婚してもいなければ、婚約者の彼女はあんなにも豊満な体はしていない。
 彼女の体を引き寄せ抱きしめる。
 華奢な体からは細くともしっかりとした手足が伸びる。
 彼女も私の服の胸元を握り締めた。
 ああ、やはり腕も、足も、あった方がいい。
「スオウ君は元気かい?」
「えっ……さあ、私はまったく。スオウのことでしたら、トーマさんに訊かれたらどうでしょう?親しいのでしょう?」
「どうだったかな」
 急に彼女の幼馴染のことを尋ねる私に首を傾げる彼女を抱きしめたまま布団の上に倒れる。
 キオの体温を感じながら再び夢の世界へと落ちていった。

322:おまけ 1/2
10/11/01 02:50:03 kHLJQfZD
 この国の他家に嫁いでいった女性は誕生月の最初の休日に実家に顔を出すことになっている。
 誕生月を迎えたキオもその日実家へと一人赴いた。
 使用人に通された部屋で一番上の兄を待っていると、部屋の前を三番目の兄が通りかかる。
 三番目の兄はそのまま部屋を素通りしたかと思うと後ろ足で再び戻ってくる。
「リノかと思ったら、キオだった。どうしたんだ。もしかして婚約破棄されて戻ってきたのか」
「違います!誕生月だから顔を出しに来たのよ」
「お前の誕生月は来月だろ?」
「今月!レン兄様はいっつもこうなんだから」
 そうだったかなと首を傾げながら三番目の兄は部屋を出て行く。
 続けて二番目の兄が部屋の前を通りかかり、三番目の兄同様キオの姿を見て目を丸くする。
「婚約破棄して戻ってきたのか。大丈夫、まだスオウ君にはいい人がいないそうだから寄りを戻せばいい」
「だから違うったら!誕生月だから挨拶に来たのよ」
「キオの誕生月は先月じゃなかったか?」
「もう!セン兄様まで!」
 二番目の兄は肩を竦めて目を吊り上げる妹から走って逃げていく。
 入れ替わるようにして一番上の兄が顔を出しキオの向かいに座る。
「おかえり、キオ。亡き父上も母上も元気にキオが帰ってきてくれて喜んでいることだろう。
 今回のことは気を落とさずに、君もまだ若いんだから。まだまだこれから。スオウ君もまだ一人身だ。
 スオウ君が駄目ならば後輩だけならたくさんいるからいくらでも紹介してあげよう」
「……シン兄様、婚約破棄して戻ってきたわけじゃありませんからね」
「え?だったらどうしてうちに?」
 きょとんとする兄に一言「誕生月」と言うと、兄は真剣な顔をして「再来月だろ?」と問いかけてくる。
 キオは頭を抱えた。
 どうしてうちの兄達はこうも無神経で物覚えが悪いのだろう。
 婚約者の彼は誕生日だろうが、婚約記念日だろうが、キオの両親の命日だろうが何でも覚えていてくれるのに。

323:おまけ 2/2
10/11/01 02:51:12 kHLJQfZD
 完全に機嫌を損ねた妹をシンは一生懸命に宥めるが、なかなか妹は機嫌を直そうとしない。
 元々キオは気が強い上頑固なところがあり、三人いる妹の中では一番手を焼いていた。
 例の後輩と婚約してから少しはおしとやかになったと思っていたのに。
「そうそう。ユーヒは元気かい?仲良くやってるかい?」
「元気ですよ。兄様達とは違って、ユーヒさんは何かと私のことを気遣ってくださいます。でも……最近は何だか私が怒ってばかりいて」
「キオがプンプンしてるのは昔からだから。ユーヒもわかってるさ。変わりないってことか。うん」
「そんなに言われるほどプンプンしてません」
 キオは唇を尖らせる。
 ユーヒにまだまだ子供扱いされていると思っていたが、実家の兄達の方がよっぽど扱いが酷い。
 ユーヒや義母にゆっくり羽を伸ばしてくればいいと送り出されて来たのに、何故だろう、逆に疲れが溜まる気がする。
 いつの間にか出された湯のみに口をつけ、喉を潤す。
 障子が取り払われ、廊下から部屋の中が丸見えだ。
 廊下にまた一人通りかかる。
 その人物と目が合い、キオはぶっと茶を噴き出した。
 キオが手絹で口許を拭っていると、「あれ?何でキオが?」と部屋に入ってくる。
「スオウ君いらっしゃい」
「どうも。シン兄さん。どうしてキオが帰ってきてるんですか?」
 キオの幼馴染兼元許婚は兄に親しげな笑顔を向ける。
「誕生月らしいよ。私はてっきり再来月だと思ってて何も用意してないのに」
「ああ、なるほど。僕はてっきり婚約破棄されて帰って来たかと」
 兄達の悪影響を多大に受ける幼馴染は無邪気に歯を見せて笑った。


「あれ?義姉さん。早かったですね。何泊かしてきても良かったのに」
 結局キオは半日で実家から婚約者の元に戻ってきた。
 偶然玄関で一緒になった婚約者の弟のトーマに疲れた顔で言う。
「本当に私はユーヒさんを選んでよかったと思いました。ええ、本当に」
「それを言ったらスオウ君が可哀想じゃないですか。明るい素直な後輩ですよ、彼は」
 明るくて素直で無神経な元婚約者の顔を思い浮かべて、キオは大きく溜息をついた。
「兄にそっくりな夫を持つなんて私は絶対に嫌です」

324:名無しさん@ピンキー
10/11/01 02:59:05 kHLJQfZD
以上です
前半は旦那ざまあ話でした
後半はやたら登場人物が多いですがシンとユーヒが学生時代の先輩後輩
トーマ・レン・スオウが同世代といった感じです
シンは長女のリノをユーヒに紹介したのにユーヒは次女のキオを気に入って現在に至ります

325:名無しさん@ピンキー
10/11/01 16:29:49 l5J0mRKz
>>319-324
超乙!!!
今回も良かったです
この旦那達磨にしてやりたい願望とかあったのかw
その癖あんな悪夢をみるなんて罰があたったんですねw


そしてキオちゃんは相変わらず可愛いなぁ
でも今回で印象が変わったかも、深窓の令嬢と言うより
明るく健康的な美少女だったんですね、これはこれで凄く良い
ますます旦那の危なさが際立つ気もしますがw

後、元婚約者と兄弟がこんなお気楽な人達だったなんて
旦那は悪い事をしてる自覚があるからしなくても良さそうな警戒をしてるのかw
次回も楽しみにしています。

326:名無しさん@ピンキー
10/11/04 00:21:57 sfQpNveu
>>324
GJ
続き待ってる

327:名無しさん@ピンキー
10/11/07 20:02:34 wM4ho0ip
保守

328:156
10/11/08 17:20:23 7ARCPD3r
>>324 超GJ!!本気ダルマかと思ってビビったw
キオちゃん良いですね!家庭環境まで美味しいとは。お兄ちゃん'Sも幼なじみも良い味出してるし、旦那も何か可愛くて憎めないw前作の『よし、少なくとも子供は5人だ』が強烈過ぎて未だに忘れられませんw続編期待してます!

ちょっと皆さんに伺いたいんですけど、近々>300の続編投下予定なんですが、例によってエロ無し長編なのでその前にまたエロ有作品を投下しようと思ってます。
その際は連投は避けて、1日ぐらい置いてからそれぞれ投下した方が良いですか?それとも2作一気に投下した方が宜しいでしょうか……一人で大量にレス消費するのは非常識な気がしたので^^;

329:名無しさん@ピンキー
10/11/08 18:10:04 woKglWPs
>>328
元々投稿少ないし、その日に確認して投稿する人が居なければ一気に投稿していいんじゃない?

330:名無しさん@ピンキー
10/11/08 19:20:04 7ARCPD3r
>>329 そうですね。では、その日に投稿が無ければ2作まとめて投下したいと思います!


331:名無しさん@ピンキー
10/11/08 21:38:39 6pNJ61w6
>>328
>>330
まぁ、エロパロスレですから投下してくれる人が最優先ですよ
投下待ってます。

332:名無しさん@ピンキー
10/11/10 20:52:27 QRYoGn/i
投下期待

333:156
10/11/14 05:00:27 ZcxqP0eP
予定狂った。
先にエロ有り作品投下します。短編のつもりが長かった。しかもエロだらけです。

334:秘密
10/11/14 05:05:08 ZcxqP0eP
※江戸物
※ドS男×ドM女(ヤンデレ成分微小?)
※長文&言葉攻め苦手な人はスルーお願いします。






「ほら、しっかり腰をあげなさい」

薄暗い部屋の中で、柔らかな声が単調に響く。

「尻が下がって来ていますよ……あなたはもう少し我慢を覚えないといけませんね」

低いが、女のように柔らかな口調で男がそうたしなめると、暗がりの中から「はい……」という小さな声が続いた。
まだ幼さの残る、か細い声だった。

「でも、七雄さん……」
「口答えは許しません」
「……」
「これは全てあなたの為なんですよ」

淡々と言って、男は女の足の裏に舌を這わせた。
行灯からこぼれる微かな光が、吐息を漏らす女の顔をおぼろ気に照らし出す。

男は布団の上に女をうつ伏せに寝かせ、その体を愛撫していた。
尻を上げるように女に命令して、今は女の足の裏をゆっくりと丹念に嘗めあげている。
指の股から土踏まず、足の踵に至るまでに丁寧に愛撫をし、女の尻を震わせていた。
女は寝着の浴衣の裾を腰まで捲り上げ、込み上げる羞恥を噛み殺していた。
小さくて白い女の足は、力が入って爪先が丸まっている。

「っふ、あ……ななお、さんっ」
「ここが良いんですか?」
「違っ……んっ、何か変、擽ったくて…」
「それは『良い』って言うんですよ」

女が一番反応した土踏まずに、男は舌を押しつける。
強く舐め上げて、窪みに歯を立てて甘噛みをした。

「ひぁ!あ、やっ」
「……足裏で感じるなんて、伊予は本当にスキモノですね」
「やだ!」
「その上、自分を知らないと来てる」

女の非難の声を無視して、男は細く尖らせた舌先で土踏まずをいじくり回す。
喘ぎ声を大きくさせた女の足に、更に舌を這わせて、ふくらはぎへと歩みを進めた。
淡い光に照らされる女の足は、熱を帯びている為に白い皮膚の下から血の色が透けている。
そしてその表面には細い唾液の道が出来、ゆらゆらと輝いていた。

「良い眺めですよ、伊予」

うっとりと、ふくらはぎを見つめながら男はそう呟いた。
強い弾力を示す女の皮膚に唇を押し付けて、揉み込むように上へ上へと按摩する。
膝裏に到達するとまた長い舌を出して、その窪みを舐め攻めた。

335:秘密②
10/11/14 05:10:29 ZcxqP0eP
女は布団に顔を押し付けて、小さな悲鳴を上げた。

「お嬢は本当に変わっていますね」

こんな所がお好みなのか。
そう言って意地悪く笑うと、涙を溜めた瞳がこちらを振り返った。

「お嬢って、呼ばないでください」

熱く湿った吐息を溢しながら女は男に抗議した。
健気に赤く染まった女の唇を見つめながら、男は体を起こす。
首をかしげて女の顔を注意深く観察した。

「嫌ですか」
「だって、私はもう七雄さんの妻なのに…『お嬢』だなんて……寂しい」
「それは失礼しました」

男は柔らかく微笑した。
女性のような、華やかな男の笑みを見て、女は更に赤くなった顔を臥せた。

女は―伊予は、『呉服問屋近江屋』の一人娘だった。
年は数えで17になる。
七雄と呼ばれる青年とは、十ほど年が離れていた。
二人は半年前に祝言をあげたばかりだ。
七雄は近江屋の元手代で、婿入りをして店を継いだ。

「何せ奉公時代からお嬢と呼んでいるもので」
「……」
「でも、『お嬢』と呼ばれるの好きでしょ?こういう時に」

こういう時に。の言葉と共に、七雄は伊予の尻に、ついっと指を滑らせる。
白い柔肌を揉みこみながら、仄暗く笑った。

「ほら」

肉を割り開いて秘裂を晒せば、くちゅり、と湿った音が静寂の中でこだまする。
伊予は歯の間から吐息を漏らして、唇を噛み締めした。

「いや……」
「お嬢。分かりますか?」
「……っ、やめて…下さい」
「やめてと言われましても、ねえ?」

七雄は苦笑した。
人差し指と中指を、秘部の曲線に押し当てる。
薄い下生えの茂みから会陰まで、前後にこすって摩擦すれば、大して力も入れて無いはずなのに大袈裟な音が出た。

「ほらお嬢」
「んぁ、あ、やめて…ななおさん…」
「好きなくせに何を言いますか」

小陰唇、大陰唇、肉厚なヒダの間。
七雄は、熱を吐き出す蜜壺を指の表面で埋め込んで、擽るようにゆっくりとその全体を撫で上げていく。
決して指を膣には挿入せずに、ただ緩慢に伊予を犯す。
秘裂の先端をなぞり、とめどなく溢れ出る愛液の出所を塞げば、指先から蜜がこぼれて、七雄の手首まで伝わって来た。

「全く。私の手まで濡らすとは」

七雄は冷たい声を出した。

336:秘密③
10/11/14 05:15:15 ZcxqP0eP
「ぅう、ごめんなさい……」

布団に顔を押し付けて謝る伊予の頬を、七雄はじっと見つめる。
紅潮した伊予の皮膚は産毛が銀色に光り、まるで桃のようだった。

「……」

七雄は思案した。
黙り込む七雄を不審に思い、伊予は赤い顔で彼の様子を伺う。
七雄は無表情に彼女を見下ろしながら、ポツリと呟いた。

「仕様が無いですね。浴衣を脱ぎなさい」

表情を動かさずに、そう言った。

「え……」
「腰までたくし上げてるとはいえ、この先濡れないとも限りません。呉服屋の娘が浴衣に染みを作って下女に洗わせるなんて、恥でしかないでしょう」
「……でも」
「それとも、下女に洗わせるのもあなたの趣向の一つですか」
「ち、違います!」

伊予は慌てて首を振った。
すると、余波で腰まで揺れて、下腹部に当てられた七雄の指に敏感な肉芽の先が触れた。
「―っ!」
突然走った細やかな刺激に、伊予の喉は熱くなる。
横目で七雄を確認すると、彼は相変わらず澄ました顔で伊予を見つめていた。
七雄は伊予が服を脱ぐまで行為を再開させないつもりだった。
その意地の悪い心づもりを伊予は感じとって、仕方なしに、こくんと頷いた。

「……分かりました」

腕を立てて上体を起こす。
服を脱ごうと、七雄の指から体を逃がした途端、七雄の手のひらが伊予の尻を打った。

「っい」
「誰が起き上がって良いと言いましたか」

七雄が抑揚のない声で伊予を叱る。
赤子のように尻を叩かれた伊予は、痛みも忘れて狼狽した。

「だって七雄さんが浴衣脱ぎなさいって」
「服を脱ぐくらい、片手間でも出来るでしょう。あなたはうつ伏せのまま、私の言う事を聞いていればいいんです」

品の良い七雄の顔は、表情を無くすと、いっそ冷酷とも捉えられる程に冷え冷えと見える事がある。
今も、和紙でろ過された行灯の光に照らされた七雄の顔は、精錬された瓦焼きの人形のように無機質で冷たい。

伊予は怯えながら布団へと体を臥せた。
片手で帯を解いて、手間取りながらも浴衣を脱ぎにかかる。
中々抜けない腕に四苦八苦しながら体を動かす。
すると、七雄が後ろから声をかけて来た。

「私の指が離れないように、注意して動いてくださいね」

337:秘密④
10/11/14 05:18:39 ZcxqP0eP
口調が明らかに笑いを含んでいる。
彼が、服を脱ごうと躍起になっている自分の姿を楽しんでいると分かった。
伊予は羞恥で身を震わせた。
彼の命令を無視して体を起こそうとした瞬間、飄然とした声が伊予の動きを制した。

「指が一寸でも離れたら、今夜はお開きにします」
思いもしなかった七雄の言葉に驚いて、伊予は彼を振り返った。
七雄はただ柔和な笑いを浮かべて、伊予を見つめている。

「まぁ、頑張ってください」



※※※

「伊予、腰が揺れてますよ」

七雄が指を離すなと言ったから、伊予は慎重に慎重に服を脱いだのだ。
だがそれでも、やはり体は多少は動く。自ずと力も入った。
七雄の指から体が浮いてしまいそうな気配を感じると、伊予は慌てて腰を落とした。
その度に、甘い刺激が体をつき抜けた。

(……こんなの、酷い)

普段の七雄は、愛撫に余念のない男だ。
伊予の足を開き、その間に顔を埋め、指あるいは舌で時間をかけて伊予の肉壺を口説き落とす。
そんな、執拗な性癖を持つ男だった。
伊予の体に異常な執着心を持ち、例え伊予が泣いて『止めて』と懇願しても、自分が『ここまで』と決めた回数を達成するまでは、絶対にその手を休めなかった。
快楽攻めと言えばまさしく快楽攻めだった。
祝言を上げてからの2ヶ月間は、店に立つのもままならない状態が続く程だった。

(なのに何で……)
今夜の七雄は違う。
いつもの淫らな手法とは異なり、伊予を焦らす事に腐心している。
うつぶせに寝かせたかと思えば内ももには何の関心も示さず、足裏やふくらはぎを舐めるだけ。
ようやく下腹部に触れてくれたかと思えば、今度は入口に指を当てるだけで緩慢に動く以外には、大した動きを見せてくれない。

(酷い。七雄さんは、酷い人だ)

伊予は物足りなさで、頭が呆っとした。
いつもの、七雄の烈火の如く激しい性技を、心の芯より待ち焦がれて居た。

「何か不満があるのですか?」

伊予の不満を感じとった七雄が、静かに口を開く。
だが伊予は唇を噛んで、布団に頬を押し付けたまま動かなかった。

「伊予」
「……」
「言いたい事があるなら言いなさい」
「……」
「言えないんですか?」

言える訳がなかった。
その長い指で、もっとして。だなんて。
言えるはずがない。

338:秘密⑤
10/11/14 05:25:08 ZcxqP0eP
「……」
「お嬢」

言い淀む伊予の後ろで、七雄は不機嫌に声を落とす。
低くて冷たい声を出しながら、伊予の腰を強く掴んだ。

「入れますよ」
「え、まっ…」

制止する間もなく、七雄が後ろから腰を打ち付けて来た。

「 ――っっ!!」

強烈な痛みが伊予を引き裂く。
何の躊躇いも見せずに、突然に七雄の肉塊は伊予の中身を抉りに来た。
散々お預けをくらっていた秘部は、濡れに濡れてはいたが、結局のところ、七雄は一度もその中に指を入れてはいないのだ。
伊予の秘部は、男の男根を入れるまでの準備が施されていなかった。
膣口だけが熱で潤み、その先の肉壁はまだ固いままだ。
柔軟性の乏しい伊予の体は、男の非情な仕打ちに悲鳴を上げた。

「い、痛いっ、や……七雄さん!」

歯をくいしばって訴えるも、七雄は動きを止めない。
それどころか、嬉々として腰を振っている様子さえ窺える。

「っあ、待っ!……待って、お願い!」
「こういう具合の方が、好きなくせに」
「ひぅっ! 違っ……七雄さ、」
「違う事は無いでしょう」

ぐいっと、伊予の片腕を七雄は引っ張った。
更に侵入が深くなり、ねじれた上体に、伊予の腰と膣が軋んだ。

「ひぁ!」
「ほらね」
「ゃ……んあ!あ、あ、七雄さんっ」
「こうして…キツいぐらいが一番あなたは感じるんだ」

激しく肉がぶつかり、伊予の内股はしぶきを上げる。
淡い光の中に浮かび上がる部屋の壁には、獣染みた二人の影が踊り狂っていた。

「あっ、ぁん!あ、ひぁっ」

七雄の体が伊予の体にのしかかり、厚い胸板と背中がぶつかる。
その衝撃で崩れそうになった伊予の胴を七雄は片腕でしっかりと抱き込み、もう一方の手で伊予の口を塞いだ。

「黙りなさい」

腰を打ち付けながら伊予の耳元で囁く。

「静かにしないと、下で寝てる下男に気付かれますよ」
「っ…」
「まぁ、聞かれても私は構わないんですけどね」

伊予の耳の中に舌を入れる。
吐息を流し込むように抜き差しすれば、手の平が暖かく湿っていくのを感じた。
伊予が、涎を垂らしていた。
伊予の瞳が熱で蕩ける。

(―……本当に可愛い方だ。お嬢は)

339:秘密⑥
10/11/14 05:38:41 ZcxqP0eP
伊予の後ろ暗い性質に七雄は気付いていた。
彼女は、被虐のタチだ。
何時だったか、行為の最中に七雄は伊予を手荒く扱った事があった。
余りにも彼女が愛しくて可愛いくて仕方なかったので、意地悪く、高圧的な態度を取ってしまったのだ。
残忍な言葉を吐き、おぞましい体位で彼女を攻め、痛みを与えた。
余興のつもりだった。
彼女が怒るなら、別にこんな戯れ、何時でも止めて良いと思っていた。
だが、伊予は予想外の反応を示した。
高飛車な男の言葉と仕打ちに心を乱し、瞳に恐怖の色を浮かべながらも、その体を熱くさせて身悶えた。
まるで七雄に支配される事を喜ぶように、眉根を寄せて、男の加虐的な愛情に耐え忍んで、肉棒を飲み込んだ。
その膣の蕩(とろ)け具合と言ったら。
飲み込まれて、そのまま咀嚼されるのではないかと思ったぐらいだ。

「淫乱なお嬢」

歌うように呟くと、伊予の肩が動いた。

「元手代に犯されて、良いようにされて。どんな気分です?嬉しいですか?」
「ふぅぅ……」

七雄の指先から伊予の吐息が漏れる。
涙を流しながら伊予は快楽に身を揺らしていた。

「こんなに乱れて、ほんの半年前までは生娘だったのにねぇ。はしたなくて、淫らなお嬢だ」
「んんん!?」

手を開いて、七雄は伊予の口の中へと強引に指を浸入させた。
伊予は目を瞑って、七雄の悪戯に耐える。
舌を引っ張られ、口腔を掻き回される。
だが、涙を流しながらも、伊予は不思議に思っていた。
苦しいだけなはずのこの行為に、先程から何故か膣は潤みっぱなしだ。
自分の性癖に気付かない伊予は、ただただ困惑する。

「でも、私はそんなお嬢が好きなんですよ」
七雄は、伊予の胴に回していた腕に力を込めて、彼女の体を勢い付けて抱き起こした。
小さな伊予の体が、七雄の膝の上に倒れ込んで来る。
自然と、背面座位の形になる。
七雄は伊予の唇から指を引き抜いて、代わりに彼女の片膝を掴んで思いきり開かせた。
自分は態勢を整えて、胡座をかいた。

「動きなさい」

伊予の耳たぶを唇で擽る。

340:秘密⑦
10/11/14 05:43:49 ZcxqP0eP
「お嬢のあなたが、元手代の私を犯すのですよ」

伊予の膣が急速に溶けだす。
肉棒がしとどに濡れて、肉壁が全てを飲み込もうと嚥下を繰り返す。

「ねえ、お嬢」

七雄が胴を強く抱きしめると、伊予は喉をのけぞらせた。七雄の、程よくしなった腕に自分の腕を絡ませて甘い息を吐く。
七雄は伊予の肩に口付けをして、熱っぽい声で囁いた。

「早く私を気持ち良くさせて」

動き出した伊予の背中に額を押し付けて、七雄はゆっくりと口端を歪めていった。



※※※

一陣の熱風は、心地よい汗を七雄に残して通り過ぎていった。
荒々しく乱された布団は綺麗に敷き直され、伊予は今、背を向ける形で七雄に抱かれている。
行為の後、伊予は必ず七雄に背を向ける。
理由は、恥ずかしいから。らしいが、七雄からすれば「何を今更」だ。
だが、恥じらいを持ち続ける伊予の拙さも嫌いではないので、七雄は今のところ彼女の好きにさせている。

「昨日、仙蔵さんを見ました」

腕の中で伊予が呟いた。

「へえ」
七雄は思わず目を見開いた。
懐かしい名前を聞いたと思った。

「珍しい。何処で見たのですか」
「両国橋向こうの……回向院辺りで」
「ふぅん」
「身なりは整っていたんですけど、人相がすっかり変わってしまっていて」
「……」
「別人みたいでした」

仙蔵というのは、4年前まで近江屋で働いていた番頭だ。
三十前の美貌の男で、商売人として抜きんでた才覚を持ち、将来は婿入りして伊予と夫婦になる予定だった。
だが、祝言前に仙蔵は姿を消した。
噂では、女に入れ込んで博打に手を出したという話だった。

「あんな男の事は放っておきなさい」

七雄は冷たく言い放つ。

「もう私達とは関係ない男です」
「でも、私、寂しくて。仙蔵さんが居た頃の近江屋は本当に本当に活気溢れる店だったのに……」

仙蔵が失踪した後、近江屋は凋落の一途を辿った。
伊予の父が精神を病み、手代の一人が店の金を持って逃げた。
額は100両をゆうに越え、更に悪い事に、その金は、伊予の父が問屋仲間から預かった仲買金だった。
近江屋は苛烈な吊るし上げを喰らった。
店が急速に傾き、看板が燃やされる寸前、仲裁役を買って出たのが七雄だった。

「だから、私が来たのでしょう」

341:秘密⑧
10/11/14 05:46:11 ZcxqP0eP
当時の七雄は、近江屋と昵懇の間柄の河内屋の手代だった。
次期番頭を約束され、将来を有望視されていた。
近江屋は呉服屋。絹織物を主に取り扱うのに対し、河内屋は太物屋、木綿や麻を売りにしている。
七雄と近江屋の繋がりは、彼が17の頃半季奉公として僅かの間、近江屋で働かせてもらった事が始まりで、伊予とは挨拶を交わす程度には仲が良かった。

「それは分かってます。近江屋は、七雄さんが居てくれなければ、今頃潰されていましたもの」

七雄は近江屋の窮状を知るや否や、次期番頭の座を捨ててまで彼らの救済に奔走した。
貯めていた金を返済に当て、死に物狂いで店を立て直した。
河内屋時代に培った勘と人脈を生かし、古手物を掲げ、客が居なければ自ら裏店、裏長屋、武家屋敷を周り、直接訪問して品物を売った。
近江屋は大伝馬町にある。
地域の有利性を生かして商売に励み、そうして3年の月日が流れた後に、近江屋は無事に元の大店へと返り咲いた。

「なら、この店を捨てて女に走った男の事など忘れなさい」

背を向けたままの妻に話しかける。

「昔は番頭でも、今は素性の知れない男ですよ」
「でも……」
「恨みこそすれ、あなたが同情を覚える義理はないのです」
「……」
「分かりませんか。私は妬いているんですよ」

女の背を抱いて囁いた。
七雄はいつの間にか熱くなっていた昂りを伊予の腰に押し付けた。
上下に摩擦すれば、彼女の体が徐々に熱を帯びていくのを感じた。

「近江屋を救ったのは私なのに」

うなじを舐めて、そのまま背骨に沿って降下する。
指先で彼女の肌を優しく撫でて、まだ夜は終わってないのだと、愛しい妻の背に教え込む。

「あ……七雄さん」

伊予が身を捩って逃げ出そうとする。
だが七雄は更に強く伊予の体を抱き込む。

「待って、私もう……っん」
「私が何故、近江屋を助けたか分からないんですか?」

伊予の肩に軽く歯を立てる。

「河内屋の番頭の座を捨ててまで、どうして斜陽の呉服屋を救いに来たのだと?」
「ぁ、ふぁっ…ご、ごめんなさい」

七雄は、肩胛骨を舐める舌を休ませずに、手を伊予の恥部へと移動させた。
粘液を吐き出す蜜壺を焦らし、その周辺をまさぐる。

「あなたを愛していたからですよ」
「んっ……あ、や…あ…」
「あなたの為に全てを捨てたのです」



342:秘密⑨
10/11/14 05:53:20 ZcxqP0eP
伊予の閉じた足の間に自分の太ももを差し入れて、大きく開かせる。
空いた空間に誘われるように、そのまま股に指を差し込んだ。
殊更ゆっくり動かせば、それだけで伊予は軽く絶頂を迎えた。

「お嬢、亭主に叱られて喜んでいるんですか?」
「違いますっ……ぁうっ」
「どう見たって喜んでいるでしょう」

背中への愛撫は忘れずに、今度は二本の指の腹で伊予の恥丘の先を転がす。
耳の後ろを舐めて、その下の皮膚を甘噛みする。

「全く。ここまで来るのに私が一体どれだけ苦労したと…」

言いかけて、七雄は口をつぐんだ。
その先は、まだ言ってはいけない事だった。急に息を殺した七雄を不思議に思い、伊予は彼を振り向く。
振り向いた先の七雄は目を細めて静かに笑っていた。

「近江屋を立て直すのに、どれだけ苦労したかと言ったのですよ」

言うと、七雄は突然に伊予を布団へと押し付けた。
うつ伏せに抑えつけて、その背中に歯を立てる。尻たぶを掻き分けて、媚肉の割れ目に指をねじりこんだ。
伊予が小さく声をあげた。
だがその悲鳴は、あくまでも悦楽の悲鳴だ。
(……まだ言うわけにはいかない)
体の下で悶え狂う妻の姿を眺めながら、七雄は自分に言い聞かせた。
(まだ期は熟していない)

「お嬢」
「っひん! あっ……な、何…」
「いつかお嬢に大切な事を教えてあげましょう」

私が何をしたか。何を考えて生きて来たのか。
指を抜き差ししながら耳を舐めると、震えた声で伊予が聞き返して来た。

「ふ……あ…たいせつな…こと?」

七雄は微笑する。

「そうです。大切な事」
「私の…喜ぶこと?」
「はい。その時にはきっと、喜んでくれると思いますよ」

―……何故、近江屋がここまで落ちぶれたのか。
美しく真面目だった仙蔵。彼に博打を仕込んで胴元に紹介したのは誰なのか。女を宛がい、金を持たせてあの男の欲望を牛耳ったのは誰なのか。
(……アレはすぐに気に入られた)

七雄は伊予を犯しながら満足気に笑った。

(見た目も、数字を読む才も人並み外れていた男だ。丁重に扱われているに決まっている)
身なりは整っていたという仙蔵。
その姿が七雄には安易に想像出来た。当たり前だ。
彼が重宝されるのは、至極当然な事なのだ。

343:秘密⑩
10/11/14 06:01:50 ZcxqP0eP
金を盗んだ手代。病に伏した大旦那。

莫大な金があると、手代を唆(そそのか)した人物。愛人関係を表面化させ、大旦那の精神を圧迫させた人物。それらが全て同じ人物の仕業だとしたら、伊予は一体どう思うだろう。
(今はまだ早い。まだ、傷が癒えていない。教えれば、きっと発狂するだろう。だが、時が経てばいずれ伊予は私の言葉を受け入れる様になるはずだ)

寵愛し、快楽を教え、思考を洗脳していく。
そうして何もかも支配した後に、事の委細を告げれば、きっと彼女の体は淫らに喜び狂うはずなのだ。七雄は確信していた。

(全てはあなたを手に入れる為にした事なのだと、そう告白すればきっと、伊予ははしたなくも涎を垂らす)

男の深く暗い愛情を知った時、きっと伊予は恍惚となる。
自分を縛る鎖の存在を知った時、きっと彼女は喜ぶ。それが大切な人々の犠牲の上に仕掛けられた罠だとしても。
既に伊予は食べられる喜びに気付き始めている。支配される事を望むようになっている。
身も心も侵略される事に、快感を覚えていた。

(今は傷つくだけだ。だけど……)
遠くない未来に、きっとその傷口すら淫楽のはけ口となる。
だからその日まで、あまやかな秘密は秘密のままに。

「……不実な妻には、一つ趣向を凝らしたほうがいいかも知れませんね」

冷たく呟いた七雄の声に、伊予は息を止めた。七雄は素早く指を引き抜いて、伊予の体を抱え直す。
動きを封じられた伊予の体は強ばり、肩が僅かに震え始めている。

「お嬢、腕を縛ってみましょうか」

軽やかで丁寧な七雄の声はまさしく呉服屋の若旦那そのものだ。
その女のように優しい声で、七雄は淫らな言葉を臆面もなく吐く。

「亭主以外の男に心を動かした罰です。ね、軽薄な妻には、躾用の縄が必要でしょう?お嬢はそう思いませんか」

暫くの間。部屋を静寂が包んだ。
七雄は伊予の言葉を待った。
やがて、小さく頷いた妻の背を確認して、しっかりと抱きしめた。
肩に顎を乗せて頬擦りをする。

「いい子ですねお嬢。じゃあ、今から店先に降りて、『ある物』を取って来て下さい」

真っ赤に染まった妻の耳朶に息を吹き掛ける。

344:秘密⑪
10/11/14 06:05:30 ZcxqP0eP
「番頭台に、今日買付けした古手物が置かれています。その一番上の腰紐を、取って来てくれませんか?。
あなたを縛ろうと思って私が買っておいた紐です。自分がどんな紐で縛られるのか、その目で確かめて来なさい。そして私に持って来なさい。今から自分を縛り上げる紐を手に持って、ちゃんと私の前まで来て、目を見て言うのですよ。『私を縛って下さい』と」

伊予から離れて七雄は片膝を立てた。
煙草盆からキセルを取って、葉を詰める。
火を付けて、ゆっくりと吸い込んだ。

「くれぐれも下男には見つからないように」
煙を吐いて妻を見た。
布団の上で黙ってうつ向いていた伊予は、やがて一つ熱い吐息を漏らすと頼り気なく立ち上がった。
歩き出した伊予の腰のあたりから、僅かにだが、匂い立つような色香が溢れ出すのを、七雄は見た気がした。
(……半年前までは子供だった)
伊予の幼く節ばった体を愛していた。
だがそれ以上に、彼女の体を『女』として開発していくのも、倒錯的で気持ちが良かった。
(私が伊予を女にする。私だけのものだ)

「伊予」
扉に手をかけた妻の背に、七雄は優しく呼びかける。

「ちゃんと出来たら、『お仕置き』も『ご褒美』もいっぱいしてあげますからね。だから早く戻って来るのですよ」

伊予は振り向かなかった。
だが、小さく「はい」と答えた声を七雄は聞き逃さなかった。
期待で身を震わせながら階下に降りていく妻の背を、七雄は仄暗い笑みを浮かべて見送った。

345:156
10/11/14 06:24:54 ZcxqP0eP
終わり。
前作の尊でドン引きさせたかなぁと思って、今回は少し大人しめのヤンデレ男です。
変態度は変わらないんですが。
この後七雄は伊予に『理非知らず』をキメて楽しんだはず。

ちょっと予定狂ったので優人と加奈続編は少し時間置きます。また投下しに来ます!

346:名無しさん@ピンキー
10/11/14 13:24:38 RAyWYqLp
GJ!!!!えろーい!甘ーい!良い夫婦だ。

347:名無しさん@ピンキー
10/11/15 19:11:41 EP/Nee1I
>>345
伊予たんが可愛い過ぎるw
真性の淫乱ドMなのですね、エロいです

七雄は鬼畜だなぁ、続きを期待したいw

348:名無しさん@ピンキー
10/11/19 00:34:05 R1mA6efC
>>345
すげえええGJ!!
なんでこんなうまいの書けるんだ
続編全裸待機して待ってます

349:名無しさん@ピンキー
10/11/19 01:00:07 Z7pPohxI
>>345
すごいなぁ、自分にはこんなの書けない…羨ましい

350:名無しさん@ピンキー
10/11/20 21:38:47 nuktMI7E
優人と加奈の続きも待ってる

351:名無しさん@ピンキー
10/11/21 03:46:14 llA80+Cm
自分も優人と加奈待ってる


352:名無しさん@ピンキー
10/11/21 20:10:13 QF2/a+8M
キオたんも待ってる

353:名無しさん@ピンキー
10/11/26 20:52:07 P78KuSoE
出だしですが投下します。弟ヤンデレですが、最初の頃は病んでません。
途中までで申し訳ないのですが、投下しないとモチベーションが上がらなくて…。
嫌な方はスルーでお願いします。

「ただいま」
そう言うと、バイトから帰ってきた姉はそのまま部屋に入り、着替えてから風呂に行く。
大学の帰りにバイト、そして帰宅。そんな毎日が数年続いている。バイト以外で帰りが遅くなる事はなかった。


それも仕方ない事なのかもしれない。何しろ姉は不細工だ。今時、染めた事もない黒髪。
一応化粧はしているが、メガネブスで服装も大きめサイズのTシャツにGパンばかり。
昔からこんな感じで同級生にもブスと陰口を叩かれていたようだった。
反対に俺は中の上位の顔で生まれてこれたおかげで、割と人気はあったようだ。
共学の高校に入ってからは、何人か彼女もできた程度にはモテている。
こうも違うのは、俺海堂瞬と姉片桐湊の親が連れ子同士の再婚だったからだと思う。
父を早くに亡くし、片親だった母は俺が10才の頃、今の父親と再婚したのだ。当時姉は12才だった。
当時は俺と比べられては姉は不細工だとイジメられていたらしかった。
そのせいか姉は学校から帰ると、よくベッドで泣いていた。イジメに合いだしてからは俺と距離を取り出し、
中学に入る頃には家以外では、あまり会話をする事もなかった。
自分も友人に「不細工な姉さんだな」と言われるのが嫌だったので、自然な事だったと思う。
両親も「思春期だから仕方ない」で済ませてくれたし、有り難かったな。
だから、この毎日が変わる事はないと思っていた。あの日までは…




354:名無しさん@ピンキー
10/11/26 20:55:32 P78KuSoE
「あの…瞬…変じゃない?」
学校から帰って自室に戻ると、姉が部屋にやって来た。
「いきなり開けるなって…はぁ!?」
ノックもせず、いきなり部屋に入って来た姉に俺は素っ頓狂な声を上げてしまった。
「な…どうしたんだよ…それ…」
思わずどもってしまう程、姉が変わっていた。ストレートで真っ黒だった髪は巻いて茶色くなり
服も今まで見た事ないような丈の短めの可愛いワンピース姿だった。
何より一番驚いたのはメガネ姿ではなかった事だ。メガネのない彼女を見るのは何年ぶりだろう。
「その…今日…バイト先の人と食べに行くから…少しはお洒落しないと…って思って」
マジマジと見つめる俺に、居心地悪そうに視線を下にそらせ呟く。
「…」
姉のその言葉に、一瞬息を飲む。「お洒落しないと」って事は相手は男…だよな。「男出来たんだ…良かったじゃん」
「別に…食べに行こうって言われただけだし…」
俺の言葉に下を向きながら言い返す。食事に誘われただけって割に気合い入りすぎじゃん。
と、口を開こうとしたが我慢した。何となく言ってはいけない台詞まで言ってしまいそうだったのだ。
「今までの格好よりはいいじゃん」
「そっか…」
そう言って姉は部屋から出て行った。ドアが閉まるのを確認すると、俺はベッドに腰掛ける。
『ブスが髪染めても似合わない』
『スカートとかマジ無理』
イライラして、思ってもいない言葉が口から出そうになった。
胸がムカムカして、胃のあたりがモヤモヤする。なんでこんな気持ちになるのか…。
何もする気が起こらず制服を脱いでTシャツとGパンに着替えると、 そのままベッドに横になった。



355:名無しさん@ピンキー
10/11/26 20:58:05 P78KuSoE
以上です。ペースは遅いかもしれませんが、また投下する時はお願いします。
弟は今後病んでいく予定です。

356:名無しさん@ピンキー
10/11/26 23:24:02 m6UyaPUC
>>355
投下乙!
姉ちゃんが可愛くなってくのと同時に病んでくのか…?w

続き楽しみに待ってるよー

357:名無しさん@ピンキー
10/11/27 02:55:43 Qj5SqzdH
>>355

乙です!続きが気になる………w

ここじゃ不味いかな?今やってるドラマの「秘密」って奴主人公がだんだんヤンデレ化してきてちょっと萌えたw 荒れたらごめんね

358:名無しさん@ピンキー
10/11/27 21:57:16 R9KoXuiG
>>355
乙!すごい好みなシチュだなぁ
続きも楽しみにしてるw

359:名無しさん@ピンキー
10/11/28 00:47:16 9dH2zW3g
>>357
あれは佐●木さんがホラー過ぎて逆に笑えるドラマw

でも歳の差を気にして、だんだんヤンデレ化する男(おっさん)はいいかも
若い恋人の交友関係が気になって、鞄に盗聴器を…

360:名無しさん@ピンキー
10/11/28 13:59:07 NeTHmww6
>>357
「秘密」はあらすじとラストを知ってしまうと
胸糞悪すぎて見れないw
ヤンデレとしても中途半端

361:名無しさん@ピンキー
10/11/28 18:31:57 5C5nDpQn
>>355
まぁ、ヤンデレでも面食いなのは当然だよね、男だものw
可愛いけど野暮ったい女の子って大好きだから期待してますw

362:名無しさん@ピンキー
10/11/29 20:55:47 t1AbZsma
>>361
面食いとかそういう事ではない気が
少なくとも可愛くなったから好きになったって事ではないと思う
今まで自覚が無かっただけでこれがきっかけになったって感じがする
偉そうに語ったけど、作者さん違ったらごめんなさい

363:名無しさん@ピンキー
10/11/29 21:10:24 el/klPui
面食いっていうか
お姉ちゃんがお洒落してる=男の影=複雑
が、歪んだ方に行っちゃったのかもしれないじゃないか

364:名無しさん@ピンキー
10/11/29 23:17:51 YT150WN7
瞬と湊の続き投下します今回も短いですスミマセン


『あれ瞬のお姉さん?』
学校からの帰り道、友人に言われて家の方を見ると玄関から中に入って行く姉が見えた。
『へ~瞬の姉さん?結構可愛くね?』
別の友人が姉が去った後に目をやり、ニヤニヤしていた。胸がモヤモヤして俺は思ってもいない言葉を吐く。
『不細工だよ…あんなのが姉なんて最悪だよ』
『そっか?』
『そうだよ…貞子みたいだろ』
『まぁ確かに…髪も真っ黒で暗い感じだった』
俺の言葉に友人達が頷いて、そのまま別れた。
それから何週間としない内に姉は周りからブスと噂されるようになった。
『貞子みたい』の一言から、色々な話が出来上がっていったようだった。その噂を聞いていた俺は…。


目を開けると、暗い自室だった。ベッドに横になって色々考えている内に寝てしまっていたようだった。
「あの夢…昔の…」
自分でも忘れていた過去の記憶。あれがきっかけで姉は「貞子」「根暗ブス」とイジメに合うようになったのだ。
あの噂を聞いた時、自分はどんな顔気持ちだったのだろうか?それを思い出す事なく目を覚ましてしまった。
「ただいま」
玄関の方から姉の声がする。電気を点けて時計を見ると夜の10時を回っていた。
5時間も寝てたのか自分は…。てか、母さんも起こしてくれたらいいのに。
そう思いながら台所に向かうと、廊下で姉に出くわした。彼女はここ最近見た事もない笑顔で
「瞬ありがとう!この服良いって言ってもらえたよ」
そう言うと自分の部屋に戻って行った。馬鹿だな…服じゃなくて姉さんを褒めたんだよ…。
「…っ」
あんな笑顔、ここ数年見た事なかった。あの人、あんな風に笑えたんだな…。胸がジリジリする。
家で家族と話す時でも笑う時は口に手をあてて顔を隠すようにしていた。それなのにさっきは、普通に笑っていた。
「なんだよ…それ…」
廊下に座り込み、一人ごちる。アンタは他人の前で笑わなくてもいいんだよ。貞子なんだから…。

365:名無しさん@ピンキー
10/11/29 23:23:16 YT150WN7
あれから三ヶ月程経つが、姉は今もたまに俺に服や髪型について聞いてくる。
一度「何で俺に聞くの?」って言ったら「瞬…モテるし…彼女さん沢山居るし…」って答えられたが、沢山も居ないからな。
姉とは反対に俺は苛つく事が多くなった。


「瞬君…瞬君!やぁ…!あ…ん…後ろばかり嫌ぁ…」
彼女をラブホのベッドに四つん這いにさせて、後ろから腰を振る。
最近イライラする事が増えた俺は、それを解消したくてセックスをする回数が増えていた。
乱暴に服を脱がし、胸にしゃぶりつき膣に指を入れ、何度も抽挿する。女が腰を揺らしてきたら
一気に自身を挿入し、ひたすら腰を打ち付ける。女がアンアン言ってイク時に自分も達する。
「し…瞬君最近スゴい…何かあったの?」
事後に聞かれて自己嫌悪に陥った。
「ごめん…優しくしないで」
「いいの…私も気持ち良かったし…強引なのも好きかも」
そう言って彼女は疲れたのか寝入ってしまった。違う…そうじゃない…。俺がバックでやっていたのは…。
後ろから犯していた相手は…。脳内で犯していた相手は…。


『瞬!!瞬!!やぁ…止めてぇ…後ろは嫌ぁ』


睡魔に身を委ねる直前、あの人の叫び声を聞いた気がした。

366:名無しさん@ピンキー
10/11/29 23:27:13 YT150WN7
以上です。

367:名無しさん@ピンキー
10/11/29 23:37:57 ncI5WR7G
乙。
歪みだした弟くんイイ!

368:名無しさん@ピンキー
10/11/30 22:50:44 7CrB02uK
こんなスレあったのか
狂愛はここですか?
好きになるうちに相手を監禁、とか 他の誰にも見せたくない みたいな

369:名無しさん@ピンキー
10/12/01 01:16:58 j+egS/ht
>>366
GJ!!
弟の歪みっぷりに期待

>>362-363
いやまぁ、顔は好みの見た目のが良いよねって意味合いでw

>>368
ここで良いんでね?

370:名無しさん@ピンキー
10/12/03 13:09:42 REtImfD+
なんか某R18乙女ゲーに設定そっくりな気がする
主人公の名前も…
いろいろ勘ぐってしまう

371:名無しさん@ピンキー
10/12/03 13:32:35 f6vlnbpv
えっそうなの?

372:名無しさん@ピンキー
10/12/03 15:55:06 REtImfD+
ゲームの主人公の名前が片桐奏だった
全然関係ないなら作者さんには申し訳ないけどここまでソックリだと…

373:名無しさん@ピンキー
10/12/03 16:37:40 J34OsNW/
>>372申し訳ありません。作品は知っていますが似せたつもりはありませんでした
読み返してみると似てますね…名前も美奈子にしようと思ったのですが某ゲームと被るので湊にしました
ゲームはプレイする予定はありませんが、このままこちらのスレに投下するのは荒れる原因となってしまいますね
浅はかに投下してすみませんでした

374:名無しさん@ピンキー
10/12/03 16:43:01 f6vlnbpv
いや、パクリじゃないなら荒れないと思うんだ!
全くどこの作品にも似てないものってたぶんないしね!

375:名無しさん@ピンキー
10/12/03 18:15:26 yVfJEYFI
>>373
いや知ってるだけでプレイしてないならパクろうにも勝手に解離がデカくなるだろうし
パクリじゃないと言うなら別にこのまま投下しても良いでしょ
むしろ投下して下さい……


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