戦う司書でエロパロat EROPARO
戦う司書でエロパロ - 暇つぶし2ch496:名無しさん@ピンキー
14/04/04 21:45:25.82 eO296DJs
それでもノロティが好きなのです

497:名無しさん@ピンキー
14/07/03 22:30:10.37 0dmTs878
蚊で血を吸うのは雌だけで黒い人を特に好むらしい。
蚊じゃないけどきっとノロティを襲ったあのアリも全員レディなのね。気持ち分かるわ。

498:名無しさん@ピンキー
14/07/03 22:50:44.43 0dmTs878
ノロティちゃん、あなたのその若さと美しさを・・・ あたしにお捧げ!!

499:名無しさん@ピンキー
14/07/22 10:11:07.61 dDebBLwE
ノロティ刺したオカマ許せん!

500:500
14/07/22 12:39:32.52 c6eHp1nE
今、鬼神童子前鬼の (知らない人多いかも世代的に)旅館の女将さん思い出した。

501:名無しさん@ピンキー
14/07/22 15:59:52.17 c6eHp1nE
ノロティの女言葉を 聞いてみたい。 「わ、かしら。」とか「のよ。」とか。

502:名無しさん@ピンキー
14/07/22 19:10:54.72 c6eHp1nE
一度あったわね確実に。 アーキットを安心させようとした時に。 「もう大丈夫よ。何処から来たの?」 今、一番最初に「かしら」をつけたらどんな感じか勝手に想像してみたんだけど。勿論戸松遥の声で

503:名無しさん@ピンキー
14/07/22 19:18:41.80 c6eHp1nE
ノロティがほとんど全部女言葉だったらどんな感じかしら。 カチュアに対して 「信用できないわ。」(信用できないが元)
アーキットに対して 「今から君の手下よ。」(だが元は入る。)「あたしも死にたくないわよ。」 (わが入らない。)

504:名無しさん@ピンキー
14/07/22 19:57:32.03 c6eHp1nE
ノロティちゃんを100万円で買った。 この娘の若さと美貌を吸って10年は若返ったわ。
とても美味しかった。逆に美味しすぎて 癖になるのが怖い。

505:名無しさん@ピンキー
14/07/23 00:11:56.40 4IzCjmQ4
その妄想力で一筆ノロティもの書いてくれよあんた

506:名無しさん@ピンキー
14/07/26 13:30:32.87 gTZvTu2E
女言葉を初期使っていて、後使わなくなったキャラでこち亀のぎぼし纏(名字の漢字わからない)って言うのがいたな。 あれを何というか指標にして色々考えてみたい。

507:名無しさん@ピンキー
14/07/26 13:44:45.00 gTZvTu2E
彼女の場合、見てもらえばわかるけど登場回は100%女言葉。ところどころ男言葉を使ってるけど。チンピラに対して「ふざけるな、何処にいるんだよ。出ていきな」とか)はっきり言って無視して良い範囲。
後期は真逆に女言葉の欠片もない。平気でバカヤロウとか使うし。
ある意味まるで真逆の別人だ。

508:名無しさん@ピンキー
14/07/26 15:20:45.23 gTZvTu2E
ノロティちゃんと戦う司書と全然関係無いアニメとキャラクターの話で悪いけど、たちまちアニメ・・こち亀(いつも思うが長いなこの作品の無略タイトル)のぎぼし纏って言う一女性2次元キャラを参考にして戦う司書のノロティ・マルチェちゃんを考えて行きたい。と思う。

509:名無しさん@ピンキー
14/07/26 16:31:08.06 gTZvTu2E
方言を考えなければ、日本語の場合男言葉・女言葉の差異が存在する。自分をさす一人称も英語や中国語やロシア語などの地球を代表したり幅を聞かせている言語とは違って複数存在し、男と女の区別がある。(さらにその中にそれぞれ男女さを強める為の一人称が複数。)

510:名無しさん@ピンキー
14/07/26 16:32:08.87 Wpz8/dv/
スレチだしつまらない

511:名無しさん@ピンキー
14/07/26 16:56:07.89 gTZvTu2E
その発音した言語が 与えるその人への自己内部意識の男女変化が他者から見た男らしさ女らしさを醸し出すんだと思うが。纏の場合、正直男言葉を使っている時は、フェロモンの出る存在では無いよな。
ノロティちゃんの場合、男言葉女言葉関係無く彼女の醸し出す女性らしさは誰が見ても一目瞭然だと思う。 これはやっぱりその人の持つ、ここではノロティちゃんの自己意識が根底から女性そのものだからだと思う。

512:名無しさん@ピンキー
14/07/26 22:32:02.72 SDQOUeEs
おもしろい
その妄想をSSにするんだ

513:名無しさん@ピンキー
14/07/26 22:33:32.43 SDQOUeEs
おもしろい
その妄想をSSにするんだ

514:名無しさん@ピンキー
14/07/27 22:54:38.13 1cqohZ+Q
ノロティちゃんの場合、内面もピカピカに綺麗で外見も綺麗だったのにそんな人なかなかいないわ。
ダルトムのバカヤロウ。こんな素晴らしい素材を殺しやがって。

515:名無しさん@ピンキー
14/08/02 05:16:31.36 uBc9aLmC
このスレまだあったんすね
とっくに落ちてると思ってたw

516:名無しさん@ピンキー
14/08/02 21:26:51.86 YQ32IeEQ
今こち亀見てるけど、ホント初登場回と後期では纏ちゃん全然違うわ。 初登場回で両さんに食ってかかる場面あるけど、「彼女達は関係無いでしょう。」って叫ぶところなんかまさに 女らしさ丸出しだと思う。

後期であんな書き方ひとつも無いし。 まるきり別人だ。

517:名無しさん@ピンキー
14/08/04 15:39:17.33 tXfzn+Iu
暑いよ毎日暑いよ暑すぎるよ
武装司書って各自いつも同じ服きてるけど、暑い日はたいへんだったろうな
ミレポックの軍服すごく暑そう・・・
ハミュッツ白Yシャツが汗で透けて、ノロティも白いタンクトップだから透けるよね?
二人ともブラつけてるのかな・・・
でも一番キツそうなのはイレイアおばさんだ、だってあれだけ太っ

518:名無しさん@ピンキー
14/08/04 23:25:56.35 lZhSbFR0
ノロティのドレス姿見てみたい。

519:名無しさん@ピンキー
14/08/04 23:51:05.05 tXfzn+Iu
ノロティはあれ(南国踊り子風コス+荒縄)だけだもんね・・・
それに比べてミレポックは優遇されてるなあ、いつもの軍服に加え
純白ドレスやバスローブ姿もあったし
あとユーリの透け好けランジェリーもえろかった・・・

520:名無しさん@ピンキー
14/08/05 19:14:46.77 Vu3DXSob
ノロティの水着姿が見たい。 ハイレグ・ビキニ両方。

521:名無しさん@ピンキー
14/08/05 19:17:00.52 Vu3DXSob
ノロティの白いタンクトップって何だ。 露出丸出しの一種類の服しか書かれなかったと思うが。

522:名無しさん@ピンキー
14/08/05 20:43:29.59 UunsDzCo
ごめん、小説とアニメごっちゃになってた
短いチョッキの下、アニメだとビスチェっぽいけど小説だと肌着(タンクトップ)
だったんだ、露出もややひかえめで
小説は正月に読み返したんだけど、アニメしばらく見てないからイメージが
まざってた、すまない・・・

523:名無しさん@ピンキー
14/08/06 02:06:52.24 mqgBXBSS
小説とアニメでは服の露出だけでなく、 性格も違うな今見たら。 小説の方が色々考えてる。表現できる差が違うからって面もあるけど。

524:名無しさん@ピンキー
14/08/06 02:25:44.51 mqgBXBSS
内面が完全にピカピカなのもアニメ版だけですな。 初登場の本の表紙の冷血漢みたいな表情がそれを物語ってる
「ふざけるなみんなあたしに殺せ殺せと攻め立てる。」なんてセリフアニメじゃ絶対想像つかない。 てか合わない。

525:名無しさん@ピンキー
14/08/06 02:34:43.73 mqgBXBSS
隣の怪物の絵はこの巻では無いけれど、 後々の小説版ノロティの悪の意思を想像した。
話変わるけど、付き合ってみたいのはアニメ版のノロティだな自分は。

526:名無しさん@ピンキー
14/08/06 02:59:18.37 EaOAbBxT
盛り上がってるな
誰かショートでもいいから一本・・・

527:名無しさん@ピンキー
14/08/06 03:09:48.04 mqgBXBSS
この作品の事実上?の主人公は結局3人だろうな。
まずハミュッツ。 次にノロティ・そしてミレポック。

528:名無しさん@ピンキー
14/08/06 03:15:45.58 mqgBXBSS
目立っているのはこの3人。 ノロティは特に目立っている。Wikipediaでは名を連ねる人物の一人として全く目立たぬ真ん中に途中に書かれているだけだけど。
この作品の看板娘である事は疑う余地無い。

529:名無しさん@ピンキー
14/08/06 03:20:13.51 mqgBXBSS
ラストはミレポックの語りで作品完結するから。 ハミュッツメセタとノロティが主人公だったこの作品だが。真の主役はミレポックだったのかもしれない。

530:名無しさん@ピンキー
14/08/06 03:28:09.62 mqgBXBSS
しかしWikipediaを見ててそうするしか無いんだろうけど、ノロティが人物紹介で全然目立たない位置の一人物としてしか書かれていないのは 違和感あるなあ。

531:名無しさん@ピンキー
14/08/06 12:44:55.67 xOCZdDSz
久しぶりに来たら落ちてなくてビックリなんですが、こんなに人がいて またビックリです。
短いのをひとつ書いてみます。517氏のレスに妄想を刺激されたのでw

532:名無しさん@ピンキー
14/08/06 12:45:37.80 xOCZdDSz
「ノロティ=マルチェに水を飲ませる。ノロティ=マルチェに水を飲ませる」
司書見習いの男がふらふらと歩いている。
「ノロティ=マルチェに水を飲ませる。ノロティ=マルチェに水を飲ませる」
男の手には奇妙な形をしたグラスと水差しがひとつ。
「ノロティ=マルチェに水を飲ませる。ノロティ=マルチェに水を飲ませる……ノロティ=マルチェに……水を……飲ませた」
そうつぶやくと、男は図書迷宮に姿を消した。


第六書庫にある武装司書の休憩室はこの日、異様な熱気に包まれていた。
比喩ではない。実際に暑いのだ。冬でもないのに三台ものストーブが置かれ、その上では赤銅色のケトルがコポコポシュッシュッと湯気を噴き上げている。そのため、さして広くもない室内は すでに真夏のような暑さになっていた。
蒸し風呂のようなこの部屋に、十名ほどの男が集まっていた。
エンリケ=ビスハイル、ガモ=ロッソ、ルイーク=ハルトアイン、ビザク=ジーグラス、ヴォルケン=マクマーニ……。一国の戦力にも匹敵する、バントーラが誇る強者たちだ。その彼らが一様に、緊張と興奮に頬をこわばらせている。
「本当なのか、マットアラスト」
話しかけられた男は パイプを片手に不敵に笑った。
「……信じろ。今まで俺が 嘘をついたことがあるか?」
男たちは言葉を失い、互いに顔を見合わせた。

533:名無しさん@ピンキー
14/08/06 12:49:20.75 xOCZdDSz
うだるような猛暑の中、ただじっと男たちは待ち続けていた。
ダラダラと汗が流れ落ち、彼らの足元に小さな水たまりが出来た頃。
ついに そのときは訪れた。
「待たせたわねえ」
休憩室に姿を見せたのは 館長代行ハミュッツ=メセタ、そして武装司書見習いノロティ=マルチェだ。
「そこで会ったから連れてきたわよう。それにしてもすごい暑さねえ」
「申し訳ありません、代行。二時間 我慢してください」
「分かってるわよう」
まるで緊張感のない声で ハミュッツは机上の文書に目を落とす。

話は前日までさかのぼる。
神溺教団の擬人による襲撃があったのは昨日正午過ぎのこと。それは五分にも満たぬ戦闘で殲滅されたのだが、その際 彼らが武器に未知の病原菌を塗布していたことが判明したのだ。
研究部門の夜を徹した分析の結果、その菌は長時間の高温多湿によって死滅することが分かり、戦闘に参加した者は全員 今日ここで滅菌処置を受けることになっていた。

五分が過ぎた。
二人はいつもの格好―ハミュッツは男物の白いワイシャツと紺のズボン、ノロティは白い肌着の上にチョッキを羽織り、下は短いズボン―という軽装だったが、さすがにこの暑さに早くも玉の汗を浮かべていた。
汗を吸った布地が透けていく。
「すげぇ…ッ」
男たちは息を飲んだ。
濡れて透けたワイシャツがみっしりと肌に貼りつき、ハミュッツの身体のラインをあらわにしていた。
下着も透けている。ハーフカップの白いブラに包まれたその双丘は 濡れた布地ごしに圧倒的な存在感を示し、
(H……いやⅠカップか)
(手のひらに収まりきらねえ爆乳……、くそっ、揉みしだきてぇっ)
心の内でそんなことを叫びつつ、彼らは女上司の肢体を凝視しつづけていた。
と そのとき。
「全くひどい暑さですねえ」
マットアラストが切り出した。
「どうです、代行。服を全部脱がれては」



(つづく――後半は明日か明後日にでも)

534:名無しさん@ピンキー
14/08/06 22:46:21.95 5wWq+fRJ
あーやっぱエロい身体してんなあ代行って
おっぱいタプタプしたい

535:名無しさん@ピンキー
14/08/07 02:03:10.24 IjALJ/Rj
ノロティもな

536:名無しさん@ピンキー
14/08/07 02:56:13.06 IjALJ/Rj
格好も常識的な小説版ノロティ。

537:名無しさん@ピンキー
14/08/07 03:15:00.13 +vzdySQe
>>533
GJ
続きも期待してる

538:名無しさん@ピンキー
14/08/07 20:22:35.12 b+EgIF3a
>>533
久方ぶりのSSキター!!
GJ! つづきはよ!!

539:名無しさん@ピンキー
14/08/09 12:48:33.10 91MPI8bL
遅くなりました
532-533のつづきです

540:名無しさん@ピンキー
14/08/09 12:49:19.97 91MPI8bL
「どうです、代行。服を全部脱がれては」
とんでもないことを さらりと口にする。
(…………ッ!!)
武装司書たちは絶句した。
過去神バントーラの代行者にして最強の武装司書、ハミュッツ=メセタにそんなセクハラまがいのことをして、ただで済むはずがない。
たとえマットアラストでも殺される。半殺しか全殺しか。いや この部屋にいる他の者も。まとめて病院送りにされてしまう……。
そんな彼らの心配をよそに、
「汗を吸った服を着ているのは不快ですし、体にもよくない」
平然と自身のスーツを脱いでいく。
「やはりこっちの方が気持ちいい」
「さ、代行も早く脱いだほうが」
「それとも俺が脱ぐの 手伝ってさしあげますか」
重ねて催促するマットアラスト。
困惑しつつ見守る武装司書たち。が、彼らはある事実を思い出す。
(……この野郎、見えてやがるのか!?)
マットアラストは予知魔法使い。常に二秒先の未来を見ながら生きている。その彼がこうも危険な綱渡りをつづけているということは―。

あきれたように彼を見ていたハミュッツだったが、ほどなく
「言われなくてもそうするわよう」
(…………ッ!!)
およそ信じられない返答に 皆がどよめいた。
周囲の熱い視線を浴びながら、彼女は汗でベタついた服をゆっくりと脱いでいく。
ハミュッツの指がシャツのボタンをひとつふたつと外していく。ふぁさり。ごく軽い音をたてて、男物のシャツが床に落ち、それにズボンと下着が続いた。
今 ハミュッツが身に着けているのは、右手首に巻いた投石器と 素足に履いたサンダルだけ。
(マジかよ、信じられねえ…!)
(……暑さでおかしくなったかな、俺)
ある者は我が目を疑い、
「おいどうなってんだよ、マットアラスト!」
ある者は同僚に詰め寄った。
屈強な猛者たちに取り囲まれた男は、だが涼しい顔で
「何だ、濡れ透けだけで満足だったか?」
「お前、一体何を………」
「――虚構抹殺杯アーガックス」
「………ッ!!」
「代行とノロティには先刻あの水を飲ませてある」
不意に告げられた戦機に、武装司書たちは驚愕した。

541:名無しさん@ピンキー
14/08/09 12:50:18.16 91MPI8bL
追憶の戦機のひとつ、虚構抹殺杯アーガックス。
かつて懲罰天使たちの用いたこの戦機で、彼はハミュッツの脳からある情報を消去していた。
それは、羞恥の意識。
女は 異性の前では肌を見せないという恥じらいの心だ。
その心を奪われたいま、ハミュッツは楽園時代の人々と同様、寒ければ服を着、暑ければ裸になる、そんなおおらかな心持ちになっていた。
「ま、せっかくの機会だからな、利用しない手はない」
そう言って彼は キザったらしく片目を閉じてみせた。
「すげぇ、凄すぎるぜ、この野郎!」
「お前はやっぱ天才だよ」
「うむ、わしは昔から知っておったがの」
そう盛り上がる男たちの目の前で。

「ほら、君も早く脱ぎなさいよう」
ハミュッツがノロティの服を剥ぎとりにかかっていた。
「いえ、わたしは南国の出身なもので、このくらいの暑さは平気なんですけども」
「やせ我慢はいいから。見てるこっちが暑くなるのよう」
あざやかな手際で 一枚づつ着衣を剥がされていく格闘少女。
少女の黒褐色の肌のうえを ハミュッツの白い指が這いまわり、
「フフッ、可愛いわねぇ、ノロティ」
「あん……、ダメです……そこっ」
見せつけるように、二つの肢体が絡み合う。
ハミュッツの爆乳に押しつぶされる、ノロティのまだ堅く控えめな胸のふくらみ。しっとりとなめらかな白い肌と こんがり灼けたピチピチの肌。むっちりと熟れた太腿と 引きしまったカモシカのような脚。
そして、山百合の花のように見事に咲いたハミュッツの花弁と まだ固い蕾のままのノロティ……。
極上の美女と可憐な少女のたわむれを、誰もが息をひそめて見守っていた。

542:名無しさん@ピンキー
14/08/09 12:51:19.79 91MPI8bL
「―何をしてるんですか、何をッ!」
甘美なたわむれを破ったのは、アルトの叫びだった。
「執務室に居ないと思ったら、まったく!」
「―こんなところで!」
「―そんなことを!!」
グインベクス帝国軍の軍服をかっちりと着こなしたレモン色の髪の少女が、気がつくと休憩室に入ってきていた。
冷ややかで鋭利な視線が室内を一瞥し、熱にうかれた一同を現実へと引き戻す。
(ゲッ、ミレポ……!)
(怒ってる―)
(マジ、怒ってる、殺される……!)
真面目すぎる三級武装司書の出現に、男たちはちぢこまる。
そして 無駄としりつつ、みっともない言い訳を始めた。
「なあ、ミレポック。これには深い深い事情があるんじゃ」
「……そうそう、話せば分かる」
「詳しい説明は 責任者のマットの方から―」
身振り手振りを交え、大汗に冷汗まで混えながら、男たちは弁明をつづけたのだが。
「………は?」
この思考共有使いの少女には かけらほどの感銘も与えてはいない様子だった。
男たちを無視し、彼女は言った。
「代行!」
「なぁに、ミレポー」
「やめてくださいっ、そんな風に身体を密着させていたら、適切な滅菌が行われません! ほら ノロティ、あなたもっ」
「あ、ごめんなさい、ミレポックさん」
「もう 分かったわよう……ちょっとおふざけしてただけだわよう」

修羅場を覚悟していた男性武装司書たちではあったが、
「……おい、マットよ」
「なんですか、ビザクさん」
「お前もしや、ミレポにも水を?」
ここに至ってようやく、計画首謀者の用意周到さに気づかされていた。

543:名無しさん@ピンキー
14/08/09 12:52:12.81 91MPI8bL
「さあ、より完全な滅菌のためだ。服を脱ごうか、ミレポ」
「そうですね。了解しました、マットアラストさん」
言われるまま疑うことなく、少女は軍服を脱いでいく。
ハミュッツの じらすようにゆっくりと脱いで見せるストリップもよかったが、軍人らしいミレポックの迅速な脱衣も悪くない。
「おおっ」
「おおおぅ!」
「うおおおおーッ」
先輩司書たちのどよめきと雄叫びがあがった。
普段は口うるさく堅苦しすぎる少女の一糸まとわぬ姿の、なんと美しいことか―!
透けるように白い肌とレモン色に揺れる髪。
しっとりと実った乳白色の双丘と 悩ましくくびれた細い腰。
下腹にはレモン色の飾り毛がそよぎ、そのすぐ下にぴったりと閉じ合わされた未通の秘花がたたずんでいる。
「………どうかしたんですか、皆さん?」
不思議そうな表情で男たちを振り返るミレポック。その肌はじんわりと汗ばみ、レモンの芳香が漂ってくる気さえした。
「綺麗だよ、ミレポ……」
そうつぶやくヴォルケンは 鼻と口とを手で押さえている。
その手元からボタボタと赤いものが流れ落ち、ほどなく 少年は自らの血だまりの中でやすらかに気を失った。

544:名無しさん@ピンキー
14/08/09 12:53:12.61 91MPI8bL
「やれやれ、まだオードブルだってのに……」
仲間に抱え起こされる後輩を見下ろしながら、マットアラストはうそぶいた。
「まだ先は長いぜ、みんな」
バントーラ・ストリップ劇場、そのこれからの出演者の名を告げていく。
キャサリロ=トトナ、レナス=フルール、テナ=ターナ、ユーリ=ハムロー……。さらに 見目良い一般司書にも水を飲ませるよう、武装司書見習いのリズリー=カロンに命じてあった。
その言葉に 休憩室内は本日最高の熱気に包まれた。
「な! レナスさん!?」
「ひゃっほう! レナス=フルールも……っ」
「俺、あの女性 すごい好きなんですよ、マットアラストさん」
やはり一番人気は彼女だったか。
まあ無理もない。レナス=フルールと云えば、ミレポックでさえかすむほどの美女。
身体の線の出ないゆったりした服を着ていても 隠し切れない豊満な双丘と、折れそうなほど細い腰。
そのうえ、優しく包みこむような母性そのものの性格に、ときおり見え隠れする大人の女の悩ましげな表情まで加わっては、惚れない男の方がどうかしている……。
そんなことを考えながら、マットアラストは解説をした。
「昨日の戦闘のあと、服を修繕に出した者もいるだろ。そのとき感染したかもってコトで 彼女に連絡してある。
………ん、もう二時半か、そろそろレナスの来る頃だな」
トントン。
遠慮がちに扉をノックする音がした。
喜色満面。皆の熱視線がそちらへ集中した、そのとき。
どさりと音を立てて、マットアラストの長身が床に崩れた。

全武装司書中、最も不意打ちに強いこの男を、人知れず一撃で倒す。そんなことはハミュッツにさえ不可能だろう。これは かつてない異常な事態といえた。
だが その異変も、色欲に浮かれた者たちには気づけない。
そして。
マットアラストが失神してから、きっかり二秒後。
扉がひらき、入ってきたものは―。
肥満した体をのっしのっしと揺らしつつ、おだやかな笑顔で歩いてくる全裸の老女。
しわだらけの肌には無数のしみが浮き、醜くたるんだ腹の肉がたぷたぷぶよんと波を打ち、そしてその下腹には。下腹には…………。


この日 バントーラ図書館は現有戦力の半分を一時的に喪失し、その回復には 実に十日を要したという……。

                               (おわり)

545:名無しさん@ピンキー
14/08/09 22:18:14.76 KrHrpiMJ
ノロティ丸裸? 何着せようか。 ドレス、着物、ハイレグ、ビキニ。チャイナドレス、日常の洋服・・・
ノロティなら何着ても似合うね。当然ですが。

546:名無しさん@ピンキー
14/08/09 22:35:48.09 KrHrpiMJ
今フジテレビの世界名作劇場の七つの海のティコ思い出した。普段はスイマーでラフな格好をしている主人公ヒロインだけど、

547:名無しさん@ピンキー
14/08/09 22:39:31.35 KrHrpiMJ
今フジテレビの世界名作劇場の七つの海のティコ思い出した。普段はスイマーでラフな格好をしている主人公ヒロインだけど、一回ドレスを着て美少女コンテストに出て優勝した事があります。

548:名無しさん@ピンキー
14/08/09 22:42:25.09 EssQSuXR
そうなんだ!
URLリンク(www.high-color.com)

549:武装司書の休日
14/08/09 23:00:36.73 KrHrpiMJ
今日はタイトル通り武装司書の休日。 武装司書にも仕事として会社としての休日が当然存在する。 各武装司書個人個人は単独であるいは集団で各々の休日を楽しんでいた。

550:名無しさん@ピンキー
14/08/09 23:10:32.19 KrHrpiMJ
町中・・・ エンリケは約束した待ち合わせ場所でノロティを待っていたが。 約束した朝8時になっても来ない。
「遅い・・・」
エンリケが一人で呟きながらイライラし始めた時
「エンリケさんごめんなさい。」 「おいノロティ。何してたん・・・。」 そこまでいいかけて エンリケは言葉を止めた。

551:名無しさん@ピンキー
14/08/09 23:18:40.37 KrHrpiMJ
目の前にいるノロティ・マルチェが普段とは全く別人の格好をしていたからだった。 普段の荒縄姿と戦闘用衣装を脱いでそこにいたのはピンクのフリルの着いた女の子らしい服を着ておめかしをした一人の 美少女だった。

552:名無しさん@ピンキー
14/08/09 23:26:31.56 KrHrpiMJ
「エンリケさん、待たせてごめんなさい。身支度に時間かかっちゃって。言い訳ですよね。」 「お、おぅ。」 エンリケは声が出なかった。と言うか出すのを忘れてしまった。普段の服装と異なるのは当然なのだろうが、それにしてもついうっとりしてしまう。

553:名無しさん@ピンキー
14/08/09 23:32:03.19 KrHrpiMJ
「えへへエンリケさん驚きました?この格好。あたしも仕事以外はこんな普通の女の子らしい服装するんですよ。似合ってます?自信あるんだけどなあ。」
眠いから明日以降。

554:名無しさん@ピンキー
14/08/09 23:56:02.77 NGlNSF4l
>>544
口調とか原作に寄せてあってうまいなあ
GJ!

555:名無しさん@ピンキー
14/08/10 00:47:51.29 nLP0eeFe
「ノロティ、お前美少女コンテストに出ろ。」町を歩きながらエンリケは言った。「???いきなりなんですか?エンリケさん」
「お前ならトップスリーには確実に入れると思う。(と言うか、直感では優勝だと思うが・・・←心の中でのセリフ)」

556:名無しさん@ピンキー
14/08/10 00:57:40.67 nLP0eeFe
美少女コンテストの日。
エンリケ始め武装司書一同と共に会場へやって来たノロティ は用意されたドレスを着てソワソワしていた。「ウフフフ」 女の子らしい感情を遠慮せず出しながら皆の前で踊るノロティ。それを見てエンリケは再度思った。 「何故か不安は無い。」

557:名無しさん@ピンキー
14/08/10 01:07:56.91 nLP0eeFe
コンテストが開始された。各地から集まった少女達が続々集結する。 全部で30人位いるだろうか。1人1人の顔を見てみると、やはりノロティは間違いなく最後まで勝ち残るだろうと思われる。主催者の説明曰く、1次予選2次予選3次予選の3段階で優勝者を決めるらしい。

558:名無しさん@ピンキー
14/08/10 01:15:02.06 nLP0eeFe
予選通過者の発表が行われた。 1・2次予選を通過して3次予選まで残ったのだった。 そして・・・
「それでは今年の栄えある1位を発表致します。
本年の優勝者は・・・ノロティ・マルチェさんです!!」

559:名無しさん@ピンキー
14/08/10 01:20:33.85 nLP0eeFe
「パチパチパチパチ」武装司書の仲間を始めとする観客と周りの美少女の勝者を称える拍手を浴びながらノロティは顔を赤らめた。 エンリケの直感はあたっていた。やはりノロティの美貌とスタイルは他の少女と比べて郡を抜いていた。

560:名無しさん@ピンキー
14/08/10 23:59:13.30 5jrYsWj7
ふたつもSS投下されるなんざ夢のようだ・・・
面白かったよ、二人ともGJ!

ただせっかくのSSなんだし、ちゃんと投下しようぜ
10レスにも満たないものを数日に分けたり、数行づつで連投したりしないで
ちゃんとまとまってから投下した方がよいよ

561:名無しさん@ピンキー
14/08/14 17:23:22.65 fNLzezwS
1日で書ききるのは難しいし、長すぎるのはエラーになるから な。 次は最後にあの世にいるノロティのエピソードを書こうかと思う。

562:名無しさん@ピンキー
14/08/18 02:22:57.97 uu3hqdtK
ここはあの世。所謂死後の世界です。 あたしの名前はノロティ・マルチェ。花の17歳です。 これからもずっと永遠に。

563:名無しさん@ピンキー
14/08/18 02:38:45.67 uu3hqdtK
あたしはこっちの世界に来る前つまり皆さんが年を重ねる世界、所謂皆さんから見た言い方の「この世」で17歳まで生を重ねました。
私達からすればこっちが「この世」で皆さんが年を重ねる世界が「あの世」なんだけど、一般的な言い方をさせてもらうわね。

564:名無しさん@ピンキー
14/08/18 02:45:00.57 uu3hqdtK
あたしはこの世で武装司書って呼ばれる 権力組織に入った。 そこで戦う戦士として鍛錬を積んで今こっちにいる仲間達や今も向こうにいる仲間達と共に戦ったの。
いろいろあったわね。楽しい事辛い事・・・

565:名無しさん@ピンキー
14/08/18 02:57:51.78 uu3hqdtK
皆さんあたしの女喋りどうですか? こっちの世界に来てから言葉を全部女喋りにする事にしたの。似合うかしら?
えへへ、まだなれないわ。
こっちの世界では苦しい事は何にもありません。欲しい物は簡単に手に入るし。 さっき、立派なドレスを沢山手に入れてきたところです。

566:名無しさん@ピンキー
14/08/18 03:10:12.04 y3NMNO52
キモイ

567:名無しさん@ピンキー
14/08/19 22:13:26.01 0eNRRMcm
キモくてもいいよ別に。約束は果たしたから。

568:名無しさん@ピンキー
14/08/20 02:09:17.31 fjFW+Y3+

俺は良かったと思うで

569:名無しさん@ピンキー
14/08/20 11:11:08.19 5SpRtPHt
うざ

570:名無しさん@ピンキー
14/08/22 23:59:02.38 6dCIPpYU
乙であります!
あの世というか、仮想臓腑内の話にすれば色んなSS書けそうだね
ハミュッツの「本喰われ」も併用すれば、ルルタ内でのコリオとシロンの
イチャラブとかも

571:名無しさん@ピンキー
14/08/23 19:30:08.51 Ii/pgQZM
キモいのは何がキモかったのか言ってくれたらありがたい。

572:名無しさん@ピンキー
14/08/23 21:40:03.54 Ii/pgQZM
ノロティに足りない物を考えたら女の子が着るドレス(に限定はしないが一つの例えね)とかみたいな服装と、女喋り・女言葉だと言う事に気がついた。劇中で、女の子らしいドレスとかは作品の性格上仕方ないとしても、女喋りや女言葉は必要だったと思う。

573:名無しさん@ピンキー
14/08/23 21:46:27.80 Ii/pgQZM
ノロティの場合、言うまでもなく外見も内面も美女キャラだったし。 完璧な外見にさらにプラス要素の女の子らしい服装は前述の通り作品の性格上仕方ないとしても、内面にプラスする女喋りは必要だったと考えた。

574:名無しさん@ピンキー
14/08/25 23:57:43.64 2cH8DO9K
キモイとかウザイとか、あまり殺伐とした空気になるのは いやっすねえ
過疎スレなんですし、まったり行きましょうよ

575:名無しさん@ピンキー
14/08/29 23:53:09.01 t5cujoP/
そんなわけで SSカモーン!

576:名無しさん@ピンキー
14/09/01 21:17:49.06 xktCnxHE
ノロティは俺の嫁。

577:名無しさん@ピンキー
14/09/01 21:27:53.76 Rz3cTwM8
美少女コンテスト云々書いたけど、戦う司書人気投票かなんかでもノロティは1位だったんですよ。

578:名無しさん@ピンキー
14/09/01 21:44:35.25 Rz3cTwM8
2冠達成!! 後何か一つあればノロティちゃんの3冠王達成の可能性です。 まあこの時点で勝ち越しですが後一つが何かにもよるがノロティちゃんなら3冠狙える可能性は高い。

579:名無しさん@ピンキー
14/09/09 23:01:30.19 DNqv7XQ9
久々に来たら盛り上がってて嬉しい!
ところでフィーキーさんがもし水着美女だったら色々ハレンチなこと
になりそうとか変なこと考えてしまった。

580:名無しさん@ピンキー
14/09/11 12:07:53.08 n+FfWh0L
ミレポは原作の罵倒シーンのせいか、実はとてつもないドSのイメージがある。
というわけで、酒に酔ってドS女王になったミレポがヴォルケンのMを開花させる
SSを誰か書いてくれませんか

581:名無しさん@ピンキ-
14/09/11 23:41:38.46 ciLqB/1K
罵倒シーン、、、思い出せん、、、あったっけ、、、

582:名無しさん@ピンキー
14/09/12 06:59:06.94 HkzDMoMY
ごめん、書き方が悪かったね。
追想のヴォルケンとの別れ際のシーンの後アーガックスを飲む前に
周囲がどん引きするほど口汚く罵ったり、DVDの特典小説のミレポックの
趣味でもすごいこと言ってたりしたもんだから。

自分でも書きたいネタはあるんだけど、キャラのイメージは人によって違うから難しいね。

583:名無しさん@ピンキー
14/09/12 11:03:43.59 muJBor3E
原作のあれもそうだし特典小説見てもミレポはSなんだろうねえ

584:名無しさん@ピンキー
14/09/12 14:17:11.24 MNTfi4mz
代行にも小動物いたぶってるとか、美少年さらって監禁してそうとか
言われてたから余計そのイメージが

585:名無しさん@ピンキー
14/09/12 20:14:26.65 HWJRSfx5
いいですねえ、ドSなミレポ
ぜひSS見たいです♪

586:名無しさん@ピンキー
14/09/12 21:11:01.48 ojSDMesT
腐女子ではないけど、何故かヴォルケンのことはすごく虐めたい。
ドS認定されてるミレポも大好きだから、セットで見れたら幸せです

587:名無しさん@ピンキー
14/09/13 14:41:09.04 xu08ldLX
キャラ・シチュ問わないので、書きたいネタのある人はSS投下よろ!

588:名無しさん@ピンキー
14/09/13 20:40:08.39 aHOwO68o
エロでなく無難に学園物考えてるけど、先生にするか生徒にするかで迷うキャラが
多くてなかなか書けない・・・
キャラごとの部活や担当教科のイメージがあったら挙げてもらえると助かります!

589:名無しさん@ピンキー
14/09/13 21:20:03.45 aHOwO68o
今のとこ考えてる設定は、

代行→先生にするなら、超マイペースなクラス担任。だいたい授業以外は刺繍してる
マットさん→英語教師。だいたいサボって代行を口説きに行ってる
イレイアさん→優しい保健室の先生。怒らせると鼓膜破られる。
ミレポ→新しいクラスで皆の役に立とうと学級委員長に。マイペースな担任と濃すぎる同級生に疲れ気味
ノロティ→後輩にするか迷い中。チア部でキャサリロと先輩後輩の関係
エンリケ→転校生で札付きの不良と言われてたけど、ほんとはいい人。帰宅部?
ヴォルケン→真面目な優等生だけど本人は部活命。部活のために家元離れて一人暮らし。養父はフォトナさん。
ルイモン→アメフト部
フィーキー→水泳部の部員か顧問。あだ名はパンツマン
モッカニア→保健室登校で、時々お母さんが学校に来る。
ビザクさん→ベテラン教師。教科は体育とか・・・?
ユキゾナ→気難しい生徒会長。全然悪いことしてないのに何故か野次られる。野次られると咳が止まらない
ユーリ→皆と同じか、一つ下にしてノロティと同じ学年?ブラコンの副会長。
ミンスさん→先生か生徒で迷い中・・・。先生ならスクールカウンセラーとか?

ひとまずこんな感じです

590:名無しさん@ピンキー
14/09/13 21:34:19.14 aHOwO68o
ルイークさん忘れてました。
ルイーク→見た目がゴリラで上老けて見えるけど優しい人。モテたいけど女子が恐くて近寄れない
あと、ルイモンさんはめっちゃいい人でクラスの良心のイメージです。

591:名無しさん@ピンキー
14/09/14 01:05:52.59 D42da9Kq
コーヒー吹いたw
設定見ただけでがぜん楽しみになってきたぞい!

592:名無しさん@ピンキー
14/09/14 07:45:02.98 /MK1cTYf
設定適当に考えてるけど、楽しくなってきちゃったぞ!

神溺教団の人たちだと、
カチュア→理事長。働きたくなくてかくれんぼして周囲を困らせる。影で老害と罵られる。
シガル様→理事長の息子という立場から卒業したくないがために10年留年。ダンスもできちゃうぞ☆
アルメ→軽音楽部のバンドでエレキギターをかき鳴らす。だけど一番好きな楽器は本当はバイオリン。
    シガル様一筋で、シガル様のための歌詞をつくるけど愛が重い。

学年は先輩後輩考えてみたけど、寂しい学年が出てしまうのでもう皆一緒にしようかと
思ってます。ハムローさんちはいっそのこと双子の設定にしようかと

593:名無しさん@ピンキー
14/09/14 08:08:39.33 /MK1cTYf
追加で
キャサリロ→ノロティと同じチア部。楽観的でムードメーカーだけど、時々なんかやらかす。
リズリー→見かけに反し減らず口を叩いて周りを怒らせる。手芸部で乙女な男子というモテ要素があるのに、「キモイ」と言われてしまう。
キャスマ→化学教師。温厚な性格で教師陣の中で多分一番まとも。
ボンボ→1時間目前から放課後まで常に何か食べてる。家は金持ちで、ス〇夫くん的な感じで
    鯨を家で飼育してることを自慢する。クソッタレ。
コリオ君→皆と同じか中学生にするか迷い中・・・。同じ学校でアイドル歌手として活躍するシロンちゃんのファン。
     学校で会えないので、告白できず悶々してる。
シロン→今人気絶頂のアイドル歌手。実は入学式で見かけたコリオ君に一目惚れしてる。
    デビューシングルは「猫色の髪の乙女」。

モッカニアさんが保健室登校になった理由は、動物が好きなために生物部に入ったのに活動内容が解剖実験ばかりで鬱になってしまったからという設定です。
ちなみに生物部の顧問はガンバンゼル。

594:名無しさん@ピンキー
14/09/14 13:44:12.12 9a3IF84F
とりあえず思い浮かんだネタで書いてみます!普通にキャラ崩壊しますがお許しを

神立バントーラ高校のある昼下がり。5月を迎え、2年B組のクラスも新しい環境に慣れ、各々が充実した高校生活を過ごしていた。
社会科教師しか立ち入れない歴史資料室は、2年B組の担任ハミュッツ・メセタが、授業準備を兼ねながら内緒で趣味の刺繍をする場となっていた。(ただし周囲にバレバレである)
普段彼女一人しかいないはずの部屋に、もう一人そこにたむろする人物がいる。2年B組の副担任で、英語教師のマットアラストだ。教え方も上手く、男女問わず人気があり、
そのルックスから保護者のウケもいい人気教師ではあるが、当然彼にも欠点はある。そう、いかんせん遊び好きで、教師も生徒も手を焼くサボり魔なのである。
そして彼が授業をサボるときは大抵ハミュッツを口説いているか、自身が顧問を務める映画同好会で映画を作っているかのどちらかである。
たまに授業にも現れるが、必ず授業終わり頃に自作映画を披露し、体調不良者を続出させている。もうすぐ昼休みも終わり、5限目の英語の授業が始まる頃である。
「ね~え、そろそろ授業行かないと、またイレイアさんに怒られるわよう。あと、針持ってるんだから、あんまりくっつかないでくれない?」
「やれやれ・・・相変わらずつれないぜ、ハミ。大丈夫だ、授業まであと2分もある。」
「あんまりサボってばっかりいると、私まで怒られるんだけどなあ・・・。またミレポにも何か言われるし・・・」
「それよりハミ、新作の映画が昨日完成したんだ。今日授業の最後にみんなに見せるんだが、君も見ないか?」
げんなりするハミュッツの横で、爽やかさ満点のいい笑顔で楽しげに語るマットアラスト。全く人の話を聞かない様子に、針を置き大きなため息を吐く。
そのとき、社会科資料室の扉が勢いよく開かれ、「失礼します!」という大きな声とともに、ハミュッツが噂していた人物が現れた。
2年B組の学級委員長、ミレポック・ファインデルだ。美しいレモン色の髪を真っ直ぐに切りそろえ、スカートの丈をきっちり膝下で着こなした、
いかにも真面目な委員長といった容貌の少女である。彼女がここに現れるのは大体英語の授業が始まる数分前で、
マットアラストが授業から逃げ出す前に捕まえるためである。
「ほらマット、お迎えが来たから早く行きなさいよう。」
「よう、ミレポ。心配せずとも今日はちゃんと授業する予定だったんだぜ。そんな怒った顔するなよ」
「マットアラスト先生!お言葉ですが、教師ともあろう方が授業時間を守らないのは如何なものかと思います!もうチャイムも鳴ったんですから、早く教室に来て下さい!」
「わかった、わかった。悪かったよ。じゃあハミ、後で絶対見に来てくれよ。」
ひらひらと手を振り、先に資料室を出るマットアラストの後を、ミレポックは慌てて追いかける。やけにすんなりと言うことを聞いたことに首をかしげるミレポックであったが、彼が最後に言った台詞を思い出し、ピシッと石のように硬直した。
(「見に来い」・・・?・・・まさか、まさか・・・またアレを・・・?)
新しいクラスになって最初の英語の授業で起こった惨劇を、ミレポックは忘れられない。ミレポックの言う「アレ」とは、マットアラストが授業をサボって作った自作映画なのだが、
恐ろしくつまらない上、見る者全員が不快になることで有名なのである。上映会が行われる日は、必ずクラスの半分以上が保健室行きになり、
次の日は欠席者が何人か現れると言われている。2年B組の最初の授業の時はもっと悲惨で、初めは上映会と聞いて手を叩いて喜んでいた生徒も、その映画を見た後全員が体調を崩し、
次の日は学級閉鎖に陥った。あの惨劇が再び起こることを予感し、委員長の少女は戦慄する。
(嫌な予感しかしない・・・)

595:名無しさん@ピンキー
14/09/14 14:05:31.71 9a3IF84F
続きです。

5限目の英語の授業が開始し、30分が経過した。新出単語や文法を完璧に解説し、教科書の英文訳も流れるように進めていくマットアラスト。
いつものサボり魔とは思えない見事な授業進行に、感動する生徒すらいた。
やっぱり、この人はすごい人なんだ。女好きでサボり魔だけど、本当はすごくいい先生なんだ・・・!
そんな純粋な生徒達の信望は、残り20分を切る頃にはガラガラと崩れ落ちていった。

「よし、今日やることは全部終わった!みんな、頑張ったご褒美に、待望の俺の新作映画の上映会をしてやろう!」
ミレポックの悪い予感は的中してしまった。卒業アルバムにも載せられるような爽やかな授業風景は一転し、死刑執行を受ける直前の囚人が押し込められた牢屋と化す。
マットアラストの言葉を聞いたとたん、教室の後ろでルイークが「ぐおおお!」と叫びながら椅子から転げ落ちた。それまで元気いっぱいだったキャサリロも突然頭痛を訴え始める。
ユキゾナは本当に吐血し、ユーリが保健室へ連れて行ってしまった。阿鼻叫喚の地獄と化した教室から逃げ出そうと、生徒が出口へ殺到していく。
そんな中、タイミングを逃して一歩出遅れたヴォルケンの肩をマットアラストがむんずと掴んだ。
「仕方ないな、みんなさっきまで元気そうだったんだが・・・ヴォルケン、おまえは元気そうだな!さすが、昨年の陸上インターハイで優勝しただけあるな。」
「あ、いや・・・、あ、ありがとう・・・ございます。」
滝のように汗を流し震える哀れな男子生徒を笑顔で見つめるマットアラスト。しかし、その笑顔は決して心からのものではないと一目でわかる。
口元は笑っているが、目は笑っていない。さすがに全員仮病であることに本人も気付いているのだろう。
沸々と沸き上がる怒りがその手に込められ、掴まれている肩はみしみしと嫌な音を立てていた。
逃げようものなら肩の骨が砕かれる・・・しかし、大人しく映画を見れば確実に殺される。
そう直感したヴォルケンは、何とかしてその場を切り抜ける手段を考える。
その頭には、幼い頃から育ててくれた敬愛する養父の声が走馬燈のように駆け巡っていた。

『ヴォルケン、人生を正しく生きるということは決して容易なことではない。だが、簡単に嘘をついたり人を傷つけるようなことは決してするな。どんなに辛くとも、正直に生きることだけは忘れてはならない。』

(すみません、フォトナさん・・・。今一度だけ、あなたの教えに背きます!)
養父の言葉を裏切る行為に涙をこらえながらも、意を決し、少年は叫んだ。
「・・・ぐ、あああああ!腹が・・・!痛い!!」
苦しげに腹を押さえ、その場に蹲るヴォルケン。突然大声で叫び崩れる生徒に、マットアラストは一瞬呆気に取られた。
しかし、彼にとっての迫真の演技は、悲しいことに周囲からは嘘だとバレバレであった。全く腹が痛そうには
見えないほど台詞が棒読みであった。余りにも分かりやすすぎる仮病に、おまえは勇者かと誰もが思った。
教室から逃げ出したミレポックとルイモンは無茶しやがって・・・、と涙を拭きながら友人を見守っていた。
周りの空気が更に凍り付いたことにさすがに気付いたのか、蹲った姿勢のままヴォルケンは固まっていた。
そんなヴォルケンの後ろに無言のマットアラストが立つ光景は、なかなかシュールであった。
「・・・そうか、おまえも腹が痛かったのか。気付かなくて悪かったな。・・・で?腹のどの辺りが痛いんだ?」
「・・・内臓です!」
「ヴォルケン、おまえが嘘が苦手なのはよ~くわかってるが、一つだけ言わせてくれ。おまえ、実は馬鹿だろ」

教室に取り残された二人の何とも言えないやり取りはその後5分ほど続いたが、見回りに来たイレイアがマットアラストを連行したことで、
恐怖の上映会は阻止されたのだった。マットアラストが連れて行かれた方向から、頭蓋骨が砕かれたような嫌な音が聞こえてきたことには、その後誰も触れなかった。

一方、社会科資料室にいたハミュッツは・・・
「よ~し!うさちゃん完成っと!そろそろイレイアさんが行ったと思うし、教室に戻ろっかな~。」

終わり

駄文ですが一応こんな感じで書こうかと思います。

596:ノロティ
14/09/14 14:29:10.20 MSKSQErI
あたしの出番が無いのはどうしてかしら?
人気投票と美少女コンテスト2冠王のこのあたしの出番が無いのは?

597:名無しさん@ピンキー
14/09/14 17:21:16.05 w0hrCdsQ
ノロティちゃん!エンリケ君と一緒に出番あるからもうちょっと待って!

598:名無しさん@ピンキー
14/09/14 17:32:39.07 w0hrCdsQ
制服についても一応考えてるけど、みんな外人さんなので男女ともブレザーの方が
合うかな~と思ってます。
エンリケ君は転校生なのと不良っぽさを出すため、学ラン(着崩し)です。下駄とか履いてそう。
ノロティはスカートをかなり短くしてるけど、流行っていうより単に暑いからという理由です。
今時の女子高生風に可愛いカーディガンとか羽織らせるか迷ってるけど、上はシャツだけとかの
方が彼女らしいかとも思ってます。

599:名無しさん@ピンキー
14/09/16 22:32:36.43 +94CEWWN
オリビア=リットレットさんはいないのですか
いや、レナスさんの方じゃなく

600:名無しさん@ピンキー
14/09/17 12:39:09.88 oUMTWzNp
オリビアさんは昨日考えたよ!
オリビアさんも他校からの転校生で、見た目はスケバンだけど本当は優しい
姉御を予想です。超美人なので、男子からも女子からも大人気
本編では無力だったけど、こっちの世界では強いです

601:名無しさん@ピンキー
14/09/17 12:49:11.86 oUMTWzNp
本編の武装司書たちは全員エリート集団なので、
こっちの世界でも勉強的な意味でのお馬鹿な子はいないけど、
変人もしくはアホの子は多くなると思います。
オリビアさんはその中で一番まともに近い上、頭も良いです。

602:名無しさん@ピンキー
14/09/17 19:15:38.84 UcskeD9o
以前、こち亀と戦う司書比べたけど何の繋がりも関係も無かったと思っていたけどあった。

どっちも集英社の作品でした。

603:名無しさん@ピンキー
14/09/17 23:27:45.79 h3CCPqX+
>>595
わらたw
マットさんの扱い、マジひでえww
キャラはっちゃけてて 学園物もいいな

604:名無しさん@ピンキー
14/09/18 09:18:44.69 Y8u38K7k
かっこいいマットさん好きな人マジですいません。
特典小説で見た映画作りの才能皆無という意外な一面を見たときから、マットさんはこんなイメージしか出てこなかった。

ちなみに部活顧問のイメージは
ハミュッツ→バレー部(ハミの殺人サーブを食らって部員全員が入院し、その後退部)
マットさん→映画同好会。あと吹奏楽部の副顧問もしてるけど、そっちの方が良い仕事してる
イレイア→チア部。たまに誰もいないときに一人鏡の前でユニホームを着てる
フィーキー→水泳部。普段は数学担当だけど、水泳の授業の時は混ざる。あだ名はパry
ガンバンゼル→生物部。生物実験で怪物を造りたくてしょうがない。
ビサク→陸上部。若い頃100m走で世界最速記録を出したことがある。らしい
キャスマ→野球部。ベンチで応援してそうなイメージだけど、部員が思いつかない
 
あとチャコリーちゃんは先生にするか外部の人にするかで迷い中です。
先生じゃなかったら恋愛小説家とかやってそう

605:名無しさん@ピンキー
14/09/18 10:15:15.14 Y8u38K7k
二話目書いてみます!駄文&キャラ崩壊が苦手な方はスルーでお願いします。

荒れ果てた校庭、ペンキの落書きで埋め尽くされた古いコンクリート造りの校舎-
ここは、県内の手のつけられない不良達が集まる、神溺工業高校のグラウンドである。
砂が吹き荒れる曇天の空の下、血を流し倒れるリーゼント集団の中で、学ランに下駄姿の
白髪の男が一人立ち尽くしていた。血だまりの中から、不良集団のリーダー格の男が顔を上げ、
男を睨み付ける。
「くそっ、待ちやがれ・・・!まだてめえとの決着はついてねえ。勝手に転校なんざ・・・許さねえぞ!」
「もう勝負はいいだろう、お前達は俺には勝てない。俺を追うより、もっと違うことに時間を使ったらどうだ」
「くっ、認めねえ・・・。神溺中の頃から負け無しのてめえに勝つためだけに、俺はこの高校に入ったんだ!
 喧嘩しか能のねえてめえが・・・今更何処に行こうってんだ!?」
黒の学帽の下から白髪をなびかせた男は、不良の方ではなく、曇天の彼方を見つめる。不良からは、
男の表情を窺い知ることはできない。不良の問いに男は空を見上げたまま答える。
「・・・神立バントーラ高校」
その名を聞いた瞬間、地面に這いつくばる不良達の顔が一斉に強ばる。無理もない。
県内だけでなく、県外からも文武共に優秀な者たちが集う、エリート高校である。
全国の学力テストでも常に上位に位置すると言われる、超難関校。札付きの不良と言われる
この男が、何故そんなところに行くのか。というか何で入れたのか・・・。愕然とする不良たちに
背を向け、男は歩き出す。吹き荒れる風の音に掻き消され、不良達の耳には聞こえなかったが、
男はこう呟いていた。
「俺は・・・笑いたい。」

続きます。

606:名無しさん@ピンキー
14/09/18 11:37:41.64 Pbs6pIdL
エンリケとかオリビアとかどうみても成人してるのに
無理して制服着てるの想像すると笑える

607:名無しさん@ピンキー
14/09/18 15:43:40.56 TTJN8VLY
605の続きです。カチュアさんがただのスケベじじいなので注意。

バントーラ高校の時計の針は朝の7時45分を指していた。文武共に力を入れている
バントーラ高校では、部活の朝練をしている生徒も少なくない。今は特に春の大会に向けて
練習を盛んに行う部も多い。そんな部の中でも特に朝練に力を入れているのは、バントーラ高校
チアリーディング部である。ユニフォームのデザインが可愛いと評判の上、代々部員の顔のレベルが
高いことで有名である。かけ声を出しながら、体育館で楽しげに練習に励むミニスカの美少女達-
その様子を、体育館の影から一人の老人がのぞき見していた。この学校の理事長、カチュアである。
欲望に忠実で神出鬼没と言われ、よく会議をすっぽかすため、常に教員の誰かしらに追いかけられている。
今も朝の職員会議をサボり、ここでうら若き乙女達の青春を眺めていたのである。
「はぁ~、若い子はええのお・・・。お!今中が見えた!むふふふ・・・理事長の仕事もこういうときだけは
 幸福を感じられるわい。ここは天国じゃのぉ~」
「あら、お幸せそうで何よりですこと。理事長先生」
穏やかな声と裏腹に、ものすごい殺気を放つ存在が老人の後ろに一人。血の気が引くのを感じながら
振り返ると、そこには笑顔のイレイア教員が立っていた。
「い、イレイア先生・・・!ゴホン、な、何かようですかな?」
「今更取り繕ったって無駄ですよ。あなたがむっつりスケベであることは、誰もが知っていることです。」
 目元も口元も笑みの形を浮かべているが、そのこめかみには青筋が立ち、左手はプルプルと震えていた。
完全にお怒りであることは一目瞭然である。
「理事長先生、あなたが会議をサボるのはいつもの事ですけれど、よりにもよってこの私の部をのぞき見していた
 だなんて・・・覚悟は宜しいんでしょうね?」
「お、落ち着きたまえ!これは、あ、あれだ。今日はあの神溺工業から転校生が来ると聞いてね、
 かわいい我が校の生徒の安全のために、私自ら警備をだな・・・」
「その札付きのワルが来たとして、ぎっくり腰のあなたが一人で勝てるんでしょうかね?
 さ、お話は理事長室でゆっくり聞きますわ。先生?」
断末魔の叫びを上げながらイレイアに引きずられていく哀れな老人・・・その姿に気付くことなく、
練習を終えたチア部たちが体育館から更衣室へ向かっていく。
ユニフォームを脱ぎ、制服に着替える少女たちは、ある話題で盛り上がっていた。健康美溢れる褐色の肌に、
夏の海のようにキラキラと輝く青い瞳の少女、ノロティ・マルチェは、同級生の小柄な少女・キャサリロの話に
驚きの声を上げる。
「え~!転校生?」
「そうなんだよ!昨日ハミュッツ先生とミレポが話してるの聞いちゃってさ~!
 ねえねえ、男子と女子、どっちが来ると思う?」
「う~ん、あたしは別にどっちでも良いけど・・・。あ!でも、一緒に部活ができる女の子とか
 が来てくれたら、すっごく楽しくなると思います!」
転校生の話で盛り上がる二人に便乗するように、他の女子生徒たちも次々に想像を膨らませていく。
「え~!女の子もいいけど、かっこいい男子とか来て欲しいなぁ」
「そうそう!背が高くて、顔が良くて~勉強も運動もできたら最高だよね!」
高い理想を好き放題に挙げつづける友人たちに、ノロティはやや苦笑いを浮かべる。
女子が来たら楽しそうだと行ったが、実際ノロティの中では、どんな転校生が来ようと構わなかった。
一緒に学校生活を送る仲間ができることを、純粋に喜んでいた。いつもは支度の遅い女子達も、
転校生見たさに、急いで教室に戻っていった。

608:名無しさん@ピンキー
14/09/18 15:44:12.39 TTJN8VLY
教室に戻ると、委員長のミレポックがクラスメートたちに囲まれ、質問攻めにされていた。
男子か女子か、どこの高校から来たのかなど・・・。次々に来る質問に、ミレポックは完全に困惑している。
「ほら、委員長も困ってるから、席に戻れよ」
大きな心と身体の持ち主のルイモンが周りの生徒達を諭し、いくらか教室は静かになったが、
ホームルームを前に、皆そわそわと落ち着かない様子だった。時計の針が8時10分を少し過ぎた
ところで教室の扉が開き、担任のハミュッツが現れる。目を覆うまん丸の眼鏡に、
ボサボサの黒髪を無造作にリボンで纏めた、いつものスタイルだ。足下は便所サンダルで、
綿のシャツは大きくはだけ、豊満な胸の谷間が丸見えである。このだらしない服装の教師を見て、
転校生は果たしてどう思っているのだろうか・・・。委員長の号令と共にホームルームが始まり、
起立・礼・着席を済ませると、いつもの間延びした口調でハミュッツが話を始める。
「はぁ~い、みんな今日も元気かなあ?何かもう知ってるみたいだけど、今日このクラスに
 転校生が来るわよう。じゃ、早速入ってきてちょうだい」
ハミュッツの合図とともに、扉の外から長身の男子生徒が現れる。しかし、その服装を見た瞬間、
教室が一斉に静まりかえった。膝丈よりも長い黒の学ランに、鍔付きの学帽。バントーラ高校は
服装規程の緩い校風ではあるが、下駄を履いている生徒など見たことがない。学帽の下から流れる
透明な髪も他にない特異な色で、異様さを際立てていた。ノロティのすぐ前の席に座るキャサリロが
後ろを振り向き、こっそりと耳打ちする。
「ねえ・・・あの学ラン、溺高の制服だよね?」
「え?う、うん・・・」
徐々にざわつき始める生徒たちに構うことなく、ハミュッツはマイペースに紹介を始める。
「エンリケ=ビスハイル君よう。今日からクラスの一員だから、みんな仲良くするのよう。
 じゃ、君からも自己紹介してちょうだい。」
クラスにやってきた大柄な転校生はにこりともせず、淡々と話し始める。
「名はエンリケ=ビスハイル。神溺工業高校から来た。・・・今日から頼む」
それだけ言い口を閉じるエンリケに、ハミュッツはポリポリと頭を掻く。
「・・・うーん、転校生が来るときって、もうちょっと楽しそうなイメージだったんだけどなぁ。
 そうねえ、あんたたちからも質問はない?」
よく見ればイケメンであるが、強面で無愛想な転校生、しかも恐らく札付きの不良相手に、なかなか
質問の手が上がらない。基本気の良い連中ばかりであるが、こればかりは皆戸惑いを隠せない。
しかし、気まずい雰囲気の中、互いの顔を見合わせるばかりの生徒達の中から一人、手を挙げた少女がいた。
細く引き締まった腕を真っ直ぐ挙げる少女の方を全員が注目した。漸く手を挙げた生徒をハミュッツは指名する。
ノロティは椅子から立ち上がり、仏頂面の転校生に大きな瞳を向ける。エンリケもノロティの顔を真っ直ぐに見据える。
「あの、あたし、ノロティ=マルチェっていいます!部活はチアリーディングに入ってて、好きな授業は体育です。
 エンリケさんはその・・・前の学校では部活とか入っていましたか?」
快活な少女の質問に、学ランの転校生は律儀に答える。
「前の学校に、部活はなかった。生徒が暴れすぎたせいで・・・全部廃部になった」
「じゃあ、入ってみたい部活ってありますか?うちの学校、部活にも力を入れてるから
 大きい大会に出られるところもたくさんあるんです!」
転校生にもう慣れたのか、屈託ない笑顔で質問をぶつけるノロティに皆驚くが、部活に関しては
皆興味のあるところだった。クラス全員に見つめられ、照れくさそうに俯くエンリケだったが、
しばらくし、ぽつりと呟いた。
「・・・・・・お笑い研究会。」
「え?」
「・・・ずっと、笑ってみたいと思っていた。この学校には、お笑い研究会があると聞いたことがある。
 だから、そこに入るためにこの学校に来た」
衝撃的な答えにびっくりする一同であったが、このやり取りのおかげで、この後少しずつエンリケは
クラスに馴染むことができるようになった。しかし、肝心のお笑い研究会が部員不足と生徒会による
経費削減で昨年廃部になったことは、ハムロー兄弟を除きまだ誰も知らないのだった。

二話目終わり。

609:名無しさん@ピンキー
14/09/18 23:03:54.44 ETF30qN/
おお、早くもつづき来てる
ノロティかわいいな
あとエンリケさん超かっけえええ!!

610:名無しさん@ピンキー
14/09/19 12:46:29.60 lFbXJ9vG
勢いで3話目も行ってみます。608の続き的な感じです

転校生エンリケが来てから早一週間が経つ。ノロティのおかげで、県内一の不良と恐れられた
エンリケもクラスに馴染めるようになり、実はいい人であることが判明してからは
男女ともに親しまれている。相変わらずの無愛想さと仏頂面のため、本人がクラスメートを
どう思っているかははっきりとは分からないが、満更でもなさそうであった。
ある日の放課後。2階の生徒会室の窓からふと、長い黒髪の美少女が外を覗く。生徒会副会長にして、
学校のマドンナであるユーリ・ハムローだ。才色兼備の上実家が豪邸という超お嬢様で、
美貌、才能、経済力の全てを兼ね備える彼女に憧れを抱く者は多い。唯一の欠点は、今現在生徒会室
のソファに横たわり、苦しげに咳き込む双子の兄を溺愛し過ぎている点である。そう、重度のブラコン
なのである。その彼女が窓から見ているのは、転校生のエンリケ=ビスハイルと、クラスのマスコット的存在
のノロティ=マルチェ。彼が転校して以来、普段の学校生活で何かと一緒に居ることの多い二人。
互いに恋愛に疎い性質のため、つきあっているわけでは全くない。しかし、県内一の不良と誰からも愛される
心優しい少女という一見真逆の二人が仲睦まじくしている様子は、素直に可愛らしく思える。今日は部活がないのか、
放課後エンリケと一緒に下校していくノロティの姿が見える。エンリケは一切無表情であるのに、何が楽しいのか、
ノロティの方は無邪気に笑っている。生徒会としても、転校生が学校に馴染めていることは素直に嬉しいのだが、
二人を見つめるユーリの表情は厳しい。窓から二人の姿が見えなくなったところで、ユーリはソファに横たわる兄の方
を振り向く。
「お兄様、咳の方は落ち着きまして?」
「ゲホッ、ゴホッ!・・・はぁ、すまない・・・もう大丈夫だ。」
この病弱な男は、ユーリの双子の兄にして生徒会長のユキゾナ=ハムローである。5月になり、少し汗ばむ気温に
なってきたにもかかわらず、制服の冬服の下にセーターを着用し、顔にはマスクという、見ていて暑苦しい服装である。
生まれつき難病を抱えているため、夏でもこの服装にしなければならないというのである。本来クラスで最も労るべき
生徒なのだが、その気難しさと生真面目さ、そしてちょっと根暗な性格のせいか、本人が真面目に生徒会長の仕事を
すればするほど野次が飛ぶ。根が繊細な性格であるため、野次られると大体ストレスで病状が悪化してしまう。
今寝込んでいるのも、生徒総会で中間考査前の勉強について呼びかけた途端に野次が飛んだせいである。どさくさに紛れて
担任のハミュッツまで混じって叫んでいたため、今日は吐血までしてしまった。
「さ、お兄様。暖かいコーヒーでも飲んで、ゆっくり休んで下さい。」
ようやく落ち着いた兄に、慈愛に満ちあふれた優しい笑みでミルクコーヒーを差し出すユーリ。
「ありがとう、ユーリ。ところで、前に話した転校生の件だが・・・」
「ええ・・・まだ部活の登録はしていないようですわ。」
「そうか・・・。まさかお笑い研究会に入部希望者がいたとは。こんなことになるなら、あと一年
 様子を見るべきだったな。」
二人が抱える問題とは、エンリケの部活の件である。転校初日で彼が入部希望を明かした
お笑い研究会は、昨年生徒会が経費削減のため取りつぶしてしまったのである。十数年前まで
学校が誇る文化系の部活の一つであったが、お笑いブームも廃れている近年では、入部する者も
いなかった。誰も入っていないからと、安易な気持ちで先代の生徒会長が取りつぶしを決定したの
だが、よりによって次の年に入部希望者・・・しかも、中学時代は警察でも手のつけられない不良
だったと噂される男が現れるとは、想定外だった。正直にその部が廃部になったことを告げようか
とも思ったが、そのことで生徒会に報復が来ないとも限らない。本人の様子を見る限り、確かに
それほど悪い男には見えなかったが、念には念を入れなければならない。何とか穏便に事を済ませるための
方法に、兄妹は頭を悩ませる。転校後一週間が経ち、そろそろ部活のことで動き始めるはずだ。

611:名無しさん@ピンキー
14/09/19 12:49:10.19 lFbXJ9vG
「お笑い研究会の件は仕方のないことですわ、お兄様。そもそも廃部にしたのは先輩方の代でしたし、
 お兄様が気に病む必要などありませんわ。」
「だが・・・、あんな昭和の香りを漂わせた不良が、お笑い研究会に入りたいと言ったんだぞ。
 これはもう、『一見怖いけど実は心優しい気の良いヤンキー』というテンプレのパターンではないか。
 本当に申し訳ないことをしてしまった・・・」
「・・・お兄様の口からそんな言葉が出てくるとは思いませんでしたが、どちらにせよ、その部活の事は
 諦めるしかありませんわ。生徒会規則では、一度廃部になった部を再び設立するには最低2人以上の
 入部希望者がいることと、教員全員の承認が条件と書かれています。入部希望者がエンリケさん一人では、
 どうしようもありませんわ。」
「やはり、他の部を推薦するしかないか・・・」
腕を組み考え込む二人だが、そんなとき、廊下をバタバタと走る音が近づき、生徒会室のドアが
勢いよく開かれた。思いも寄らない人物が現れ、双子は目を丸くして驚く。
「はぁ、はぁ・・・し、失礼します!」
「ノロティさん!帰っていたんじゃありませんの?」
彼女は先程エンリケと一緒に帰っていたはずだ。全力で走ってきたのだろう。顔には汗をかき、
膝に手を当てながら荒い息を吐きながら呼吸を整えている。
「ごめんね、ユーリさん・・・!今日借りてた英語のノート、借りっぱなしだったから」
先週公欠した分の授業の記録を見せるため、ノートを貸していたのだ。返し忘れたことに気付いて
慌てて戻ってきたのだろう。
「まあ・・・別に明日でも良かったのに」
「いや、まだ学校からそんなに離れてなかったし、借りっぱなしは良くないから」
「だって、エンリケさんと一緒に帰っていたじゃありませんの。なんだか悪いですわ。」
「ううん!エンリケさん、待っててくれるって言ってたから、気にしないでいいよ。
 あたしこそ、活動中なのにごめんね。」
タイプの違う美少女が二人、友人同士の会話をしている様子を眺めていたユキゾナは、ふと思いついたこと
をノロティに聞いた。

612:名無しさん@ピンキー
14/09/19 13:07:55.03 lFbXJ9vG
「そういえばノロティ。エンリケはまだ何部に入るか決めていないのか?」
「え?ああ・・・やっぱり、お笑い研究会には入りたいみたいでしたよ。明日部活見学したいって言ってました」
「・・・やっぱりそうか。」
予想した通りの回答に、ユキゾナは頭を抱えため息をつく。
「え!?な、何か問題なんですか?」
「そうね・・・ノロティさんになら言っておいてもいいかしら。・・・実はね、エンリケさんが入りたがっている
 お笑い研究会は、昨年廃部になりましたの。」
「ええ~!?」
ブルーの瞳をまん丸にしてノロティは驚く。確かに聞いたことのない部活だとはノロティも思っていた。
しかし、活動内容不明の部や、マニアックな同好会は他にも腐るほどあるため、
大して気に留めてはいなかった。だが、転校をしてまで入りたがっていた部活がタイミングのずれ
で廃部になっていたとエンリケが知ったらどうなることか・・・。
「そ、それって・・・もう一度部活を復活させるとかはできないんですか?」
「無理だ。一度廃部になった部を立て直すには、二人以上の部員と先生方全員の承認が必要になる。
 碌に活動実績のなかったお笑い研究会に、先生方全員が承認するとは思えん。」
「そんな・・・。じゃあ、他の部活にするしかないってこと?」
「今のところは申し訳ないが、そうしてもらう以外にない。ノロティ、生徒会の中には溺高から来たあいつを
 警戒する者もいる。正直、俺も今回の件のことがあいつに知られたらどうなるか不安なところがある。
 これは俺からの頼みなのだが、お笑い研究会が廃部になったことはあいつには告げずに、他の部を薦めてみてはもらえないだろうか」
「う~ん。でも、そこはやっぱり正直に言った方が・・・」
「私からもお願いですわ、ノロティさん。エンリケさんのことを全く信用していないわけではないけれど、
 万が一お兄様・・・いえ!生徒会に危害が加えられることがあってはなりませんの!どうか、協力して下さらないかしら」
ここまで懸命に頼み込まれては、さすがにノロティも嫌とは言えなかった。エンリケの意気込みを知る立場としては
彼の望みを叶えてやりたいが、規則で禁止されている以上どうしようもないことだ。それに、まだ他の部のことも知らないはずだから、
もしかしたら心変わりするかもしれない。
「・・・わかりました。明日エンリケさんに他の部のことも話してみます」
「ありがとう、頼みますわ。」

次の日の朝、教室でエンリケに会ったノロティは早速他の部の見学を薦めることにしてみた。

613:名無しさん@ピンキー
14/09/20 12:14:50.92 Zi+n+sWE
続きです。

「何?他の部活の見学?」
「はい!せっかく色んな部があるんですし、色々見て回ってから決めるのもいいんじゃないかと思って」
「しかし・・・俺はもうお笑い研究会に入ると決めている。そのためにこの高校に来た。」
エンリケは怪訝そうな顔でノロティを見つめる。何とか上手く説得できないかと、前の夜に必死に考えた言い訳を試してみる。
「あ、でも!エンリケさんの話では、笑いたいからお笑い研究会に入りたいんですよね?あたし、考えたんですけど、笑うといっても色んな笑いがあると思うんです!
 あたしが入ってるチア部だって、皆と練習してると楽しくて自然に笑顔になりますし、他の部活の子もそうだと思います。こう~、青春を謳歌するというか・・・。
 と、とにかく!心から楽しい、好きだっていう部活に入ることが一番大事なんじゃないかと思います!」
ノロティの言葉を聞き、何か感じるところがあったのか顎に手を当てエンリケは考え込む。ノロティは我ながら良いことを言えたんじゃないかと、心の中で
ガッツポーズをする。しばし考えた後、エンリケが口を開く。
「お前が本当に部活が好きなんだということは、この一週間でよくわかった。そのお前が言うなら、間違いないんだろう。」
「エンリケさん・・・!じゃあ、他の部も見てくれますか?」
「具体的にどこを見るかは決めていないが、とりあえずお前がいいと思ったところがあるなら見てみようと思う。」
「う~ん、良いと思う部活かぁ・・・。実績があるところはたくさんあるけど、難しいなあ。エンリケさんは、スポーツとかは
 興味ないんですか?」
「身体を鍛えることは嫌いじゃない。・・・が、誰かと勝敗を争うことはあまり好きじゃない。」
少し意外には思ったが、好戦的でむやみに人を傷つけたりするような人間でないことは、この一週間でわかったことだ。
「そっか。でも勝敗が関わらないスポーツなんてないしなあ・・・。あ!なんだったら、クラスの人に部活のこと聞いてみましょう!
 皆の話を聞いたら気も変わるかもしれませんし、クラスの子と一緒なら、エンリケさんも楽しめると思います!とりあえず、昼休みに
 なったら、皆の所に話を聞いてみましょう。」
「ああ、わかった」

朝のホームルームを知らせるチャイムが鳴り、朝練のあった生徒も続々と教室に戻ってくる。そんな生徒たちに
席に着くよう促しながら、いつもと変わらないスタイルのハミュッツが教室に入ってくる。出席の確認と簡単な事務連絡をしてホームルーム
は終わり、1限目からハミュッツの地獄の世界史の授業が始まる。一睡でもすれば殺人チョークが飛び、テストで赤点を取ろうものなら
殺人サーブで地球儀を顔面にぶつけられると噂されている。恐怖の1限目を無事やり遂げた後は、フィーキーによる数学の授業が始まる。
こちらの授業は、クラスの半数が寝るか、今日のフィーキーのパンツを予想するのがお決まりとなっている。そんな午前のスケジュールを終え、
ノロティたちは無事昼休みを迎えた。

614:名無しさん@ピンキー
14/09/20 14:25:12.63 Zi+n+sWE
「あ!エンリケさん、こっちです!お弁当持ってきましたか?」
「ああ。大丈夫だから、あまり大声で叫ぶな」
皆が昼食を摂っている教室のど真ん中で大きく手を振りながらノロティがエンリケを呼んでいる。いくら色恋沙汰に疎いエンリケでも、
クラスメート全員がこちらを見てヒソヒソと噂しているのを見れば、流石に気恥ずかしい。というより、この娘に羞恥心とかそういう
ものはあるのだろうか。
「エンリケさん!皆とお昼食べながら、部活のこと聞いてみましょう」
ノロティが向かう方には、同じ部のキャサリロとミレポックが座る席があり、その周りにルイ-クやルイモン、ヴォルケンたち男子の
集団の席がある。男女両方の話を聞けるよう配慮してくれたのはありがたいが、大勢で昼食を食べることに慣れていないエンリケは
少しだけ抵抗感を覚えた。そんなエンリケとは対照に、腕を引っ張るノロティはとても楽しそうだった。
「お!な~に?ノロティ、腕なんか組んで!エンリケ君ともうつきあってるわけ?」
「キャサリロさん、エンリケさんが困ってるでしょう!ごめんなさい、エンリケさん。騒がしいと思うけど、あまり緊張しないでね。」
小柄で小動物を思わせる活発な少女、キャサリロがノロティをからかい、品行方正な優等生のミレポックがそれを制す。このクラスは
性格が全くバラバラの生徒が多いのに、よく仲良くできているものだとエンリケは不思議に思った。その様子を後ろで見ていた男子の集団も
そこに混ざってくる。「なんだよエンリケ、モテモテだなあ!」とルイモンが豪快に笑いながらエンリケの背中を叩く。それを見て困惑しながら
やめろよ、と声をかけるヴォルケンを見て、ますます疑問は大きくなった。その横でルイ-クが何故かいじけていることには誰も気付いていない。
それぞれ持ってきた昼食を食べながら、エンリケの部活の件について話をする。

615:名無しさん@ピンキー
14/09/20 14:34:25.55 Zi+n+sWE
「部活か~。迷ってるんだったら、一度俺んとこのアメフト見に来いよ。高校から始めるやつも多いから、初心者大歓迎だぜ!」
どんと来いと言わんばかりに豪快に胸を叩くルイモン。
「あ、でも、エンリケさんはあまり勝敗を競うことは好きじゃないそうなんです。スポーツ系だと、やっぱりそういう部はないのかなぁ」
「いや・・・そういうのが絶対に嫌だというわけではない。ただ、あまり大人数でやる競技に少し抵抗があるだけだ」
ノロティの言葉に少し訂正を加えて話すエンリケに、静かに話を聞いていたヴォルケンが口を開く。
「それだったら、うちの陸上部はどうかな。個人競技だし、人によって練習のペースやメニューも違うから比較的やりやすいと思うぞ。」
「個人競技か・・・たしかに悪くはないな。」
「ただ、基本的に土日も練習や大会があるから、入るならそこは覚悟した方がいいな」
なるほど、個人種目かとノロティも納得する。エンリケの性格的にも、自己記録を伸ばすことに重きを置いた競技の方が向いているとは思った。
エンリケも少し興味を持っているように見えたが・・・。
「そうか。ところで、その部活ではその・・・笑うことはできるんだろうか?」
いささか唐突で、それまでの流れとあまり関係のない質問がエンリケの口から出たので、その場にいる全員が一瞬固まった。
やっぱりそこに一番こだわるのか、とノロティは思った。
「え?ああ、そうだな・・・。練習は確かに厳しいけど、記録が伸びたときは嬉しい・・・かな。」
困惑しながらも、至って真面目な顔で質問するエンリケに、ヴォルケンは律儀に返す。話しを聞いていたキャサリロが
頭に手をあてながらそういえば、と話を切り出した。
「あんた確か、転校した初日にお笑い研究会に入りたいとか言ってなかったっけ?」
お笑い研究会の真実を知るノロティはビクンと心臓が飛び跳ねるのを感じた。
「ああ~、あれか。実は俺、その部活聞いたことねえんだよな」とルイ-クが首を捻る。
「1年の頃、張り紙を見た気がしないでもないが・・・」
他の生徒もその存在には前から疑問を感じていたようだ。実際、ノロティもエンリケがその名を出すまで存在すら知らなかったのだから無理もないが。
「文化系の部なら他にも結構面白そうなのあるんだけどね。そういえばミレポ、あんた何か部活入ってなかったっけ?」
突然話を振られ、ミレポックは動揺する。ほんの少し、彼女の白いほおが赤く染まったようにノロティには見えた。
「え!?わ、私?え、え~と、一応地学部、だけど・・・(どうしよう・・・、部員が私一人で、鉄錆を落としながら愚痴を言って
 ストレス発散しているなんて、とてもじゃないけど言えない・・・)」
「地学か~、地味な部活に入ってんなあ。」
「でも、なんかそういうの似合うよね~ミレポ」
「な!ちゃんと真面目に研究もしてるわよ!」
「『も』って・・・。」
部活を馬鹿にされ怒るミレポックを周りがなだめる横で、ノロティはエンリケの顔をちらっと見た。皆がお笑い研究会の
存在を知らないと答えたことに、彼はどう思っているのだろうかと少し不安になった。暴走しかけるミレポックを鎮めるため、ヴォルケンが話を元に戻す。
「お笑い研究会のことはよく知らないんだが、新歓や文化祭の時はどの部でも皆ふざけるし、笑いをとる機会もあると思うぞ」
「おう!俺も去年柔道部で女装したんだぜ」とルイ-クもその話題に乗る。その絵面を想像し、エンリケは少し吐き気を催した。
「まあ、どの部活もそれぞれ面白いところがあるって話よ。まだ一週間しか経ってないんだし、ゆっくり考えてみたら?」

それぞれの部活の話を一通り聞いたところで昼休み終了のチャイムが鳴り、皆次の授業の準備に取りかかっていった。ノロティも準備をしようとしたところで、
エンリケが後ろから呼び止めた。
「放課後少し話がある。帰りに教室に残ってくれないか」
ノロティはそれが部活のことだと何となくわかった。やはり皆の反応を聞いて多少違和感を覚えたのだろう。ユキゾナとユーリには悪いが、
やはりこのままエンリケに嘘をつくわけにはいかないと判断し、ノロティは「わかりました」と答えた。

616:名無しさん@ピンキー
14/09/21 23:26:51.35 KZ8KvE89
放課後、部活に遅れる旨をキャサリロに伝えたノロティは、約束通り教室に残った。
二人以外に教室には誰も残っていない。
「エンリケさん、お話って何ですか?」
「・・・ノロティ、お前、何故部活のことを俺に隠す?」
「・・・やっぱり、気付いてたんですね。」
予想していた通り、エンリケはノロティが隠していた真実に気付いてしまっていたようだ。
「この学校に来てから部活の張り紙を見て回っていたが、お笑い研究会だけはどんなに探しても見つからなかった。
 それに・・・今日のお前の様子は、どこか変だった。」
自分でも人に嘘をつくことは苦手だと自覚していたが、案の定、エンリケには今日の自分が不自然に映ったようだ。
頼まれたこととはいえ、隠し事をしてしまった申し訳なさに胸が締め付けられそうになり、ノロティは頭を深く下げた。
「エンリケさん・・・ごめんなさい!実は、エンリケさんが探してた部活、事情があって廃部になってしまっていたんです。
 エンリケさんがそこに入るためだけに転校してきたって聞いて、その・・・、落ち込んでほしくなくて・・・本当に、ごめんなさい。」
「いや、別にいい。とにかく、顔を上げてくれ。・・・俺まで辛くなる」
その言葉で顔を上げると、いつもの仏頂面ではなく、狼狽した表情を浮かべたエンリケがいた。彼が転校してきてから初めて見せる表情だった。
「す、すみません。」
「だから、謝るな。それに、どうせお前一人の意志で隠していたわけではないんだろう。」
「え!?な、なんでそこまで・・・?」
ノロティが生徒会から頼まれていたことまでは、いくらなんでもエンリケは知らないはずである。心の奥底まで見透かされているようで、
ノロティは驚くと同時に、少し怖くなった。
「お前が嘘をついているのはすぐにわかったが、まるで誰かに言わされているような感じだった。俺に廃部のことを知られて、困る連中がいるのか?」
その問いに、ノロティはどうしても答えることができなかった。学校の中にまだエンリケのことを信頼していない者がいるなどと伝えれば、
エンリケはきっと傷付くだろう。長い沈黙の後、エンリケが先に口を開いた。
「・・・話せないのならそれでいい。どうせ、廃部が知られれば俺が暴れるとでも考えたんだろう」
どうして何も話していないのにそこまで分かるのか。そんな目でノロティはエンリケの顔を見ていた。顔に思っていることが全部書いてあるなどと、
本人は全く気付いていないのだろう。ノロティは何とかして、エンリケを元気づけようとしていた。
「エンリケさん!皆がエンリケさんのことをそんな風に思っているわけじゃないんです。きっと、エンリケさんのことをよく知らないから、怖がってるんだと思います。
 だから・・・この学校のこと、嫌いにならないでくださいね」
「安心しろ。別に気にしてなんかいない。人から恐がられるのには慣れている」
学帽の鍔を摘み、顔を隠すようにエンリケは帽子を下げた。エンリケが過去どのように日々を過ごしていたのかはノロティは知らないが、
色々と辛いことがあっただろうことは想像がついた。ノロティはふと、気になっていたことを聞いてみた。

617:名無しさん@ピンキー
14/09/22 01:01:04.18 PBy2nK7v
「エンリケさんは、その、お笑いとか見るのが好きなんですか?転校してきてからずっと笑いたいって言ってましたけど、それって・・・?」
エンリケはとにかく笑うことにこだわりを持っているようだが、ほぼ万年仏頂面であろうこの男が、夕方のお茶の間で笑点などを見て
笑ったりしているのだろうか。何となく、単にお笑いが好きだという理由ではなさそうだとは思っていた。案の定エンリケは「いや、見ない」と即答していた。
ノロティの質問に、エンリケは学帽で顔を隠したまま、恥ずかしそうに俯いた。やはり聞いてはいけないことだっただろうかと身構えたが、やがてエンリケは小さい声で語り出した。
「小さい頃に医者に言われたのだが、どうも俺は、顔の表情筋が尋常でなく固いらしい。今まで訳も分からぬまま街の不良に絡まれ続けてきたが、ここ数年になって自分の顔に愛想が
 なさすぎるのが原因だと気付いた。笑えるようにならなければ、俺はきっと一生不良に絡まれ続けるだろう。それに、『笑う門には福来たる』という言葉を最近知ったんだが・・・このままでは
 一生幸せになることができないんじゃないかと思ってな・・・」
「エンリケさん・・・!それで必死にお笑い研究会を探してたんですね」
「ああ。だが、無い以上はもうどうしようもない。諦めて他の部を探すしかないだろう。時間をとらせてすまなかった。もう部活に行っていい」
そう言ってエンリケは少ない荷物をまとめて教室出口へ歩いて行く。そのとき、ふとある考えが頭に浮かびノロティはエンリケを呼び止めた。
「あ、待って下さい!ひとつだけ、お笑い研究会を復活させる方法があるんです!」
ノロティの言葉に、下駄の音がぴたりと止まる。
「部活を復活させる・・・?そんなことが可能なのか?」
「要求が通るかは分かりませんが、不可能じゃないと思います。」
その方法は、以前ユキゾナたちから聞いたものだ。エンリケ以外のもう一人の部員を探し、生徒会を通し先生方全員の承認を得ることだった。
条件をエンリケに説明するノロティだが、対してエンリケは腕を組み深く考え込む。
「しかし、俺以外にこの部に入りたがるやつがいるとは思えない。それに・・・俺はてっきり部活の指導者がいるものだと思っていた。
 仮にもう一人部員が増えたとしても、そいつと二人だけでやっていけるとは思えん。」
不安を口にするエンリケだが、なぜかノロティの表情は自信満々であった。何か策があるのだろうか。
「大丈夫ですエンリケさん!あたし、絶対に引き受けてくれる人たちを知ってます。任せて下さい!」
「『人たち』・・・?まさか、部員の他に顧問まで見当がついているのか?」
「はい!今からその人たちに話をつけてきます。絶対に楽しい部活をつくってみせますから、安心して下さいね!」
言うや否や、困惑するエンリケを置いたまま少女はバタバタと廊下を走っていってしまった。果たして本当に大丈夫なのだろうかというエンリケの不安は、
次の日物の見事に的中する事になる。

「・・・どうしてこうなった。」
翌日の昼休み、顔合わせがあるからと生徒会室に呼び出されたのだが、その部屋にはノロティの他はエンリケとユキゾナしかいなかった。
「おい、ノロティ・・・まさかとは思うが、こいつが入るんじゃないだろうな?」
「何言ってるんですか、エンリケさん!昨日事情を話したら、快く引き受けてくれましたよ。」
「・・・全く快く引き受けたように見えないんだが。」
生徒会室のソファでは、顔を両手で覆い静かに涙を流しているユキゾナが横たわっている。廃部の件で責任を感じていたのと、
クラス一心の優しい少女の頼みを断り切れなかったことが入部を引き受けてしまった原因だろう。そのことに恐らくノロティは気付いていない。
天真爛漫な笑顔を浮かべるノロティは、そんな二人に更なる恐ろしい宣告をするのだった。
「あと、マットアラスト先生に事情を説明したら、すぐに演技指導を引き受けてくれました!3人で楽しい部活を作ろうって、言ってましたよ。」
恐らくきっと、「楽しい部活」ではなく「楽しい映画」の間違いだろう。ソファから吐血する声が聞こえるとともに、エンリケは窓の外の晴れ渡る青い空を見つめた。
「空が、綺麗だ。」


長くなってしまいましたが、これで終わります。ぐだぐだで申し訳ないです。

618:名無しさん@ピンキー
14/09/22 22:27:22.86 2ogfn0xX
完結、乙です!
やっぱノロティ可愛いよノロティ

>ハミュッツ先生の殺人チョーク
これ、比喩じゃなくて本当に殺しちゃうよね
マジ喰らいたくねーw

619:名無しさん@ピンキー
14/09/22 23:57:29.83 RW7PK+cE
毎回オチに使われるマットさんかわいそう…

620:名無しさん@ピンキー
14/09/23 01:11:08.41 mbPfZhzO
>>618
シリーズ完結みたいな締め方しちゃったけど、今後も思いついたときに投下していく予定です!
ハミュッツ先生の馬鹿力はこっちの世界でも健在です。手加減はしてるけど本気でやったら死人が出るでしょうねw

学パロは妄想ばっかり浮かんできて辛楽しい・・・というわけでまた妄想してしまった
本編はジャズやクラシックしか出てこないけど、学パロでは普通に色んな音楽があるので、それぞれ聞いてそうな音楽想像してみた

ハミュッツ→ミッ〇ィーのテーマがお気に入りで、よく鼻唄を歌う。カラオケの十八番はキューティーハニー
マットさん→クラシックからロックまで幅広く。一番好きなのはジャズで自分でも弾けちゃうモテ男。カラオケでは女子ウケのいい曲を完全マスター
ミレポック→音楽を全く聞かない派。クラスでカラオケ行くことになってから慌てて練習する。音痴だと可愛いです///
ノロティ→恋愛にはすごく疎いのにラブソング聞いて泣いちゃう子。aikoとかmoumoonみたいな女性シンガーの曲聞いてるの希望
エンリケ→尾崎豊の15の夜は名曲。歌わないけど演歌も好き。
ヴォルケン→音楽聞かなさそうに見えるけど実は聞いてる。純粋な子なのでスピッツとかスキマスイッチとかのイメージです。
モッカニア→レナスさんが好きな曲は何でも好き。女性ボーカルの曲をよく聞いてたけど、病んだ勢いでロキノン系にのめり込む。
ルイモン→ロックとかラップとかアメリカン?なイメージ。(ルイモンさんニューヨークにいそう)
ルイーク→モテない現実逃避でアイドルの追っかけになる。AKBのライブには必ず行く
キャサリロ→男性女性問わず、アイドル系の曲とかとにかくノリのいい曲が好き。カラオケでは振り付けも完全マスターしてる。
オリビアさん→見た目恐そうだけど、実はしっとり系のバラードが好き。美声で中島美嘉とか歌う。
テナちゃん→テクノ系やボカロ、アニソンとか聞いてそう。電波系天然って司書の中では結構特異なキャラだと思う
ハムローさんち→主にユーリさんが兄と歌いたいがために、わざわざデュエット曲をチョイスする。ユーリ個人はディ〇ニー映画の曲が大好き。
アルメ→ヘヴィメタやらヤンデレソングやら聞くけど、実はクラシックの造詣が深いといいです。
シガル→河村隆一。以上

621:ノロティ
14/09/23 21:04:38.55 BqE1O/al
あたしのよさがなかなか良く出てて気分は良いわね。

よし100点よ。

622:名無しさん@ピンキー
14/09/25 15:26:31.78 l325Y1w0
キャラの設定、よく考えてあって面白いです
司書は殺伐とした話が多かったから、日常SSも大歓迎!です

>>619
マットさん、カッコよくて強くて金持ちでオシャレですからね、
「イケメンの醜態ほど笑えるもんはなかね」みたいなw

623:ノロティ
14/09/25 15:52:51.08 /4U0U7p8
世界はあたしのも

624:名無しさん@ピンキー
14/09/25 18:20:48.13 D6GpcTeo
>>619
いやな思いしちゃってたら本当にごめんね!
これでもマットさんは大好きですよ!

真面目な話を書こうとすると、本編思い出して悲しい話しか書けなくなっちゃうもんで・・・
設定はアニメ原作とDVD特典小説の描写をもとに考えてるけど、書いてるうちにふざけるのでキャラは普通に崩れると思うorz
読み返したら本当にマットさんの残念なとこしか書いてなかったんで、ちゃんとしたところも書きます(書けるといいな・・・)

625:名無しさん@ピンキー
14/09/25 19:21:52.16 D6GpcTeo
学パロ4話目です。マットさんとハミの出会いで、ちょいシリアスです。


その日、マットアラストは夢を見た。十年以上前から定期的に見る、あの夢だ。

あれは悪夢というのだろうか。夢の中の自分は血を流している。
辺りは雪のように真っ白に染まっており、そこに自分のスーツの黒と点々と滴る血の赤だけが存在する。
何もない景色の中を、何故か自分は必死に歩いている。血を流しているというのに痛みはなく、
雪の冷たさも感じない。感じるのは焦燥と、今まで生きてきた中で感じたこともないとてつもない
恐怖だった。自分は誰かを探しているのだ。あの人のところへ行かなければならない。その人のところへ
行き、何かを成し遂げなくてはならない。時間の概念すら存在するか怪しい、空虚な空間に突如終わりは来る。
目の前に巨大な物体が突如現れ、マットアラストの歩みはそこで妨げられる。
―それは黒い、巨大な針だ。
夢の中の自分がその針の頂を見てはならないと叫ぶのに、その先を見ずにはいられない。空を見上げ、そこでようやく
自分のいた空間がただの虚空でないことに気がつく。天には雲があり、そこから真っ白な雪が舞い落ちてくる。
いつも見上げるあの空であることに変わりは無い。どうしようもなく虚しく、クソみたいにつまらない現実と同じ空だ。
しかし、そのひどく現実的な空に映る光景を、自分は受け止めることができない。見上げた針の先から、自分の身体から流れ出ていた
ものと同じ色が滴り落ちてくる。真っ白な雪と、毒々しいまでの赤とのコントラストが視界に飛び込んでくる。

そして、現実と虚空の狭間にある針の先に目を懲らそうとしたところで、この夢は終わる―。


「・・・おい、起きろ。」
無愛想な声とともに、マットアラストは目を覚ました。まだ夢から覚醒しきれていない頭は、
ここが現実であるかどうかをすぐには判断できず、数秒ほど辺りを見渡した。そこは学校の敷地内にある土手だった。
そうだ。空きコマの時間に煙草を吸いに外へ出て、あまりに良い天気だったのでその土手に寝転んでみたのだった。
まさか生徒に起こされるまでそこで爆睡してしまうとは思わなかったが。
「ん・・・ああ、エンリケ君か。起こしてもらって悪いね、今何時間目だ?」
名前を呼ばれた白銀の髪の生徒は小さく息を吐き、昼休みがもうすぐ終わりになることを告げた。
「まいったな・・・。3限目はB組の英語じゃないか」
「だから、さっさと教室に来いと言っている。委員長が怒っていたぞ」
「やれやれ、わかったよ。支度したらすぐ行くから、それまで各自自習しておくように伝えてくれ」
いつもの飄々とした態度ではあったが、どことなく普段と違うものを感じ、エンリケは眉を顰めた。
「なんだい、エンリケ君。俺の顔に何か付いてるのか?」
「・・・いや」
相手のちょっとした表情の変化にすぐに気付くその鋭さは相変わらずで、エンリケは気のせいだったかと思い直す。が、その後すぐに
やはり気のせいではないと確信する。
「・・・髪に、テントウムシが付いてるぞ。」

626:名無しさん@ピンキー
14/09/25 22:34:08.68 D6GpcTeo
放課後になり、マットアラストは何とは無しに、社会科資料室の扉を開ける。
そこには、いつものように鼻唄を歌いながら呑気に刺繍しているハミュッツの姿があった。だらしなく開いた胸元も、
碌に化粧を施さないそばかすだらけの顔も相変わらずだったが、一つだけいつもと違う箇所があることに気付く。
「あら、授業終わったのう?お疲れ~マット」
「・・・なあ、今日髪どうしたんだ?」
「ん~?ああ、これ?」
いつも黒のリボンで無造作に纏められた髪型ではなく、十数年ぶりに見る姿だった。豊かな黒髪を後ろでざっくりと編み上げ
背中に垂らした髪型だった。なぜか唐突に昼間見た夢のことを思い出した。
「懐かしいでしょう?まだあんたと付き合ってたときはこの髪型だったもんね~」
まるでこちらの夢のことを見透かされているような心地になり、微かに心臓が跳ねるのを感じた。
「ああ、そうだったな。でも、何でまた急に・・・」
「別に~。何となく懐かしくなっただけよう。」
それだけ答え、ハミュッツはまた黙々と針を動かし始める。出会って十数年になるというのに、変わらず作り続ける
謎のウサギの胸を針が貫いたのを見たとき、ひどく嫌な気持ちになった。
「どうしたの?何か、顔色悪いわよう。」
「・・・夢を見た」
「前からよく見るやつ?」
「ああ。しばらく見てなかったんだが、こう久々に見るとどうにも落ち着かなくてな。」
「授業サボってばっかりいるから、罰があたったのよう。・・・にしても、ほんと不思議よねえ。まさかあんたと二人で母校で教鞭を振るうなんて。
 正直、あんたが教師なんて想像すらつかなかったわよう」
「おい、あの時の話はしない約束だぞ、ハミ」
昔を思い出したハミュッツは、こちらの顔を見てクスクスと笑う。思い出したくない記憶を掘り返され、マットアラストは思わず顔をしかめた。

二人はこのバントーラ高校を十数年前に卒業した生徒で、しかも元同級生だった。
しかし、当時は今の仲の良さが嘘のように、互いに互いを嫌悪していた。二人とも優秀な生徒だったが、マットアラストは家庭環境が冷え切っていたせいか、
教師も手をつけられない不良であった。方やハミュッツは、規則にルーズで破天荒な性格、おまけに容姿に無頓着な野暮ったい風貌で、
クラスでも浮いた存在だった。同じくクラスの輪から外れた二人であったが、そこで連帯意識が生まれるようなことはなかった。むしろ、そんな調子の
ハミュッツをマットアラストがふざけ半分でからかい、そんな子供染みた彼の痛いところをハミュッツが的確に突いたことで、仲は最悪になった。
ことある毎に殴り合い、いや、殺し合いというにふさわしい派手な喧嘩を二人は三年も続けたのだった。
何故その関係から今に至ったのか。正直なところ、マットアラストは自分でも分かりかねる部分がいくつもあった。ただ、はっきりとその関係が変化したと
感じたのは、二人が学校を卒業した日だった。せっかくの高校生活を、こんな奴にほとんど費やすことになるとは。そんな気持ちで、最後に一言何か言って
やろうとハミュッツに近寄ったのがきっかけだった。
「ねえ。」
先に話しかけてきたのは向こうが先だった。こちらから言ってやろうと思っていたのを邪魔され、気分は最悪になる。最後に挨拶くらいは交わしてやろうと思っていたが
そんな気分も台無しになった。
「あ?なんだよ」
「あんたさ、大学出たら何になるの?」
思いもよらぬことを唐突に聞かれ、胸にこみ上げていた怒りは完全にかき消えてしまった。そして、丸い銀縁眼鏡の奥の瞳が決してからかいで聞いているわけでは
ないことを伝えていた。完全に調子を狂わされたマットアラストは、困ったように首の後ろを掻いた。
「・・・何って、親の会社の後を継ぐよ。昔から、俺のことなんざ単なる跡継ぎの道具としか思っちゃいない連中なんでね。今更刃向かったところで、俺に何か見返りがあるわけ
 でもなし。このまま合理的に生きていくさ」
関係の冷え切った家族の話は、マットアラストが最も話したくない話題の一つだった。その話題が、まさか自分の口から飛び出るとは思わず、そのとき既に何かが変だとは
感じていた。一方のハミュッツは、自分から聞いたくせに、三つ編みの先を弄りながらつまらなさそうに聞いていた。
「ふ~ん。意外と従順なんだ、そういうところ。」
「そういうお前は何になるつもりだよ」
むっとした口調で聞き返すマットアラストだったが、その問いの答えを聞いたあと、驚愕のあまり思わず目の前の少女の正気を疑ってしまった。

627:名無しさん@ピンキー
14/09/25 22:36:33.97 D6GpcTeo
「・・・お前それ、冗談じゃないだろうな?」
「何言ってんのよう。最後に嘘吐くわけないでしょう?本気よう。あたし、この学校で先生やるの」
校則はおろか、社会の常識そのものを覆さんばかりの無茶苦茶なこの女が、人を指導する立場になれるのかと思った。
「何でまた教師なんかになろうと思ったんだ?・・・お前、教師どころか、学校自体大嫌いだろう。」
「・・・やだ、何でそんなこと分かるの?」
隠していたつもりだったのか、ハミュッツは本気で驚いていた。しかも、大の学校嫌いであることについても一切否定はしなかった。
「お前、そんなんで本当に教員になるつもりか?まさか、楽だからなろうなんて考えてるんじゃないだろうな」
「楽だし、お給料も安定してるから。決まってるでしょ?」
呆れるほど平然とそう答えるハミュッツに対し初めは驚き、しかし段々と怒りが湧いてくるのを感じた。ふざけるな。お前も自分の都合で子供を振り回すのかと。
心のどこかで、とうの昔に失ったと思っていた正義感が叫びを上げているのを感じていた。同時に、何故自分はそんな綺麗事を、一番嫌いなはずの相手に求めているのだろうか
と頭の片隅で考えていた。
「・・・お前、いくら何でも世の中舐めすぎだぞ。他人の子供の命預かって、その未来まで考えて導くのが教師の仕事だろう。お前なんかに教師の仕事が務まるとは思えない。」
らしくない説教までしてしまったことに、言った後で後悔した。しかし、マットアラストをからかうでもなく、ハミュッツは「そうかもね」とあっさり認めた。
簡単に開き直るその態度に余計腹が立ち、更に一言言おうとしたところで、ハミュッツは言った。
「でも、あんたとおんなじでしょ?合理的に生きる。ただそれだけよ」

卒業した後も、大学を出て社会人となった今も、その言葉は忘れられなかった。その言葉を言われたとき、内心では「違う」と否定したかったが、結局何も言い返すことが
できなかった。ただ周りの状況を諦めて、心の中で望んでいた信条も平然と捨てて生きてきた。結果的に周りにも迷惑をかけず、自分の利益に害をなさなければそれでいいと、
「合理的」であることを言い訳に、流されてきたことに気付かされたのだ。そのことに気付かされた時には、自分は望みもしない親の金融会社に入り、理不尽のはびこる世界の中で生きていた。
例の夢を初めて見たのが、ハミュッツのその言葉を聞いた日の夜だった。夢には自分一人しか出てこないはずなのに、巨大な針が出てくる度に何故かあの嫌いだった女の
顔を思い出すのが、初めはどうしようもなく胸糞が悪かった。
出世していく度、以前からクソ食らえと思っていた親の会社の、更なる悪の面が見えてくる度、何度も何度も同じ夢を見た。他人の利益の為に財産をむしり取られ泣く家族、
会社内の競争で、汚い手で貶められていく同僚。そんな姿を見る度、自分は何度もあの不気味な針に遭遇するのだ。
あの針の先にいるのは、誰なのだろうか?一つ確信を持てるのは、あれは、自分が救うはずだったとても大切な何かのはずだったということだ。その姿はいつも見ることができないが、
代わりとして、決まって彼女のあの言葉が目覚めの後に木霊する。あの針の夢を恐れると同時に、マットアラストは夢の女の声に救いを求めていたのだと理解するようになった。
その頃になりようやく、マットアラストはハミュッツに抱いていた本当の想いに気がついたのだった。
会社の経営が傾いたところで、マットアラストはそれまでの地位も、家族との縁も全て絶ち切り、金融会社を退職した。
関連企業や取引先企業との繋がりも全て断ち切られ、マットアラストは完全にその世界から隔絶された。全く、仕事はできない癖にこういうことには用意周到だと鼻で笑ってやったが。
退職後、今まで貯めてきた莫大な財産で大学を入り直し、マットアラストは教師の道を歩むことにした。
全くの自分の信念でその道を選んだのかと聞かれれば疑問は残るが、それでも、前の職に比べれば遥かにマシな仕事だと思えた。働かない理事長に、学校一恐れられる
存在のイレイア・・・自分がいた頃と何も変わらない学校が、そのとき初めて愛おしいものに感じられたのだった。

628:名無しさん@ピンキー
14/09/25 23:06:41.74 D6GpcTeo
着任式当日、以前学校に送った荷物が社会科資料室にあると言われ、マットアラストはその部屋の扉を開いた。そこで見たのは、高校卒業時と変わらない、あの野暮ったい女の姿だった。
マットアラストの方は、彼女が絶対にここにいると確信していたが、ハミュッツの方は全くの想定外だったようで、眼鏡の奥の瞳がまん丸に見開かれていた。
「・・・嘘、でしょ・・・?何で、あんたがここにいるのよ」
「よう。ちゃんと働いてるみたいだな。ハミュッツ先生?」
久々に再会した同級生は、高校時代のあの不良とは思えない、品のある大人の男性に成長していた。その姿を見つめるハミュッツの表情に、微かに女の色が浮かんだ
のをマットアラストは見逃さなかった。卒業した後の長い時間、あの不気味な夢だけでつながっていた女性がちゃんと目の前にいるかどうか確かめたくなり、ハミュッツの
了解を得ることなくその身体を抱きしめた。突然抱きつかれたハミュッツは完全に動揺し、手足をばたつかせて暴れていたが、そんなことには構わず、ただその身体の温もり
を確かめた。彼女をこうして抱いたのは初めてであるのに、不意に懐かしさが胸をこみ上げるのを感じた。


―数年の時を経て二人は完全に和解した。その時から、付き合ったり別れたりを繰り返す奇妙な間柄となっている。あの不思議な夢はその後見る回数は少なくなっていったが、
たまに見たときは、なぜかとてつもなく不安な気持ちに苛まれた。最初に夢のことを打ち明けたときには、腹を抱えてハミュッツは笑っていたが、マットアラストがその後口を
聞いてくれなくなったので、今ではちゃんと話を聞くようにしている。
「ふ~ん。ここしばらく見てなかったのに、珍しいわねえ。ま、そんなに気にする事じゃないわよう、きっと」
「・・・だといいんだがな」
「マットって、意外とロマンチストっていうか、結構そういう夢とか迷信とかなんだかんだで気にするわよねえ。昔から」
「馬鹿言え、男は皆ロマンチストだよ。」
「はいはい。でも、仕事サボった罰っていうのは当たってる気がするのよねえ。ちょっと初心に返ってみたら?」
言われてみれば、この夢を見た最初の頃、自分の求める信条やら生きていく上での合理性やらで、様々な葛藤に苦しんでいたのを思い出した。周囲の流れに乗るまま、
様々な悪事に手を染めなければならなかったあの頃が特に夢見が悪かった。あの夢は、自分が無意識のうちに心の中で飼っていた警告のようなものなのだろうか。
明日から気をつけるよ、と返したマットアラストは、ふと気になったことを聞いた。
「なあ。君はどうして、教師になろうと思ったんだ?あのときと同じ答えだったら、君はとっくにこんな仕事辞めてると俺は思うよ」
自分の歩む人生まで大きく変えたこの女の答えを、ずっと知りたいと思っていた。彼女は何を思い、何を目的に生きているのか、それはどんなに考えても分からなかった。
完成したアップリケを机に置き、ハミュッツは大きく伸びをする。そして、少し考え込むように頭を掻いた後、一言だけ答えた。
「う~ん・・・忘れちゃった」

4話目はこれで終わりです。相変わらずの駄文ですが、マットさんとハミの関係を書けて満足です


最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch