13/04/16 15:37:41.72 nNwoaEBy
>>618
イーダは僕の大事な初恋の女の子でした。
XXXXは結論を出した。
「ごめん、本当にごめん。イーダ、今まで世話見てくれてありがとうな」
XXXXは土下座した。
イーダは呆気に取られたように口を開いたり閉じたりしていた。
しばらくして落ち着くと、イーダは一字一句踏みしめるようにして言った。
「な、なんですのいきなり……わけがわかりませんわ。説明してくださる? というか、あ、ありがとうって、マスター言ってくれたのが初めてで、わたくしとしてはそっちの方が嬉しいわけですけれど、その、説明文を三文字以内でですわ!」
イーダの顔は真っ赤だった。
XXXXは胸中に昇ってきていた得体の知れない黒い感覚に心中で別れを告げた。
「硫酸ちらつかされても屈しないなんて、お前って本当に自我を持っているんだな……と」
自我があるのなら『物』ではなくて『者』として見ても良いだろう。
XXXXは喉につかえたものが荒波に流されていく心地を体験していた。
「今まで僕がイラついていたのは君を着せ替え人形として見るか、それとも一人の女子として見るかが定まってなかったからなんだ」
「神姫は神姫です。人間ではありませんわ」
イーダは視線を逸らして、照った横顔を長い髪で隠す。
XXXXは嬉しくなって、イーダの前に自作の神姫用衣装を広げた。
「じゃあ、僕のメイド服、着るかい?」
「……貴方が、そういうわたくしをより好きと言うのでしたら……着せ替え人形的なものとしてではなくて。おわかりかしら……」
「当然。それに女の子は綺麗な身だしなみじゃないと。だからメイド服も適宜縫い直すけれど……でもね、別にあの露出は、下品さ目的ではないよ?」
「……そういえば聞いてませんでしたわね。それなら、何故、過剰に露出穴が開いた衣服を縫ったのです」
「それはね、惚れた女の子にはエッチな格好をしていてほしいからさ」
「……。この歳で未だマスターが伴侶に恵まれない理由がよくわかりましたわ」
肩を落として溜め息を吐いたイーダは、矢継ぎ早に話を続けた。
「こんな酔狂な衣服を着こなしてあげられるのはわたくしくらいなものですわね。ほら、さっさと服を寄越しなさいませっ!」
XXXXが鼻歌混じりにカメラを取り出して構える。
「早口だけどバッチリ聞きとれたよ。流石は僕の初恋だ」
「そこは普通、聞こえないフリをするところでしょうに!」
イーダは後ずさりしながら「このお馬鹿!」と思い出したように色えんぴつを構える。
狙う先はXXXXの額に張り付けてある絆創膏ただ一点である。
<おわり>