13/04/16 13:42:46.21 nNwoaEBy
また書くか。一応トリップつける。SS投下時のマナーのようなものらしいね。
タイトルは、【イーダ様が気に食わない】
イーダが気に食わない。
マスターであるXXXX(←貴方のお名前)が改めてそう思ったのはつい最近のことである。
「ねえ、イーダ。どうして僕のメイド服を試着してくれないの? 一生懸命作ったんだよ?」
「嫌ですわ。そんなお下品に太ももが露出するような服はメイドの衣装ではありませんわ」
「露出って……君はハナから露出しているようなものじゃないか。塗料でカラーリングされているとはいえ、素肌のままのようなもの……」
眼前に色えんぴつが飛んできたので、XXXXは首を傾けてのけぞった。
「痛ってぇ!!」
避けきれず、鋭く削られた先端がXXXXの眉間に赤い点を浮かべる。
「痛い? 当たり前ですわ。わたくしの心の痛みと比べればなんてことないでしょうけど」
XXXXは眉根にシワを寄せて睨んでくる自分の神姫を見た。
気品に溢れている容姿だった。綺麗だった。美少女妖精を具現化したかのような存在性だ。
そして、大人しそうな面立ちで叩きつけるように言葉を投げつけてくる。
外見と内面の差が激しいイーダ型を見て、XXXXは今度も思った。
……見た目に惚れて買ったのが俺の失策の始まりか、と。
「わたくし、そろそろ充電が切れそうですので。マスターはよく反省なさいまし!」
寝台型充電器に腰掛けるように沈むと、イーダは休息充電モードに移行する。
寝たのである。充電が終わるまでは目を覚まさないだろう。こちらから起こしでもしない限りは。
「……今のうちに売り飛ばしてやろうか」
XXXXは口元を震わせて呻いた。
無防備に脱力するイーダ型神姫にXXXXは手を伸ばす。
初めて入手した神姫だ。というのにそれほど愛着がない。傍に置いておく理由がないほどに。
「おかしいな。ネットの評判ではお嬢様最高って、かなりの高評価だったのに……ステマだったのかな……」
何度も伸ばしかけた手を、XXXXは再び引っ込めた。何度も吐いた悪態と共に。
それでもあるいはと期待し続け半年は経っていた。情が移るには充分な歳月だった。
「キツい……。今日の昼もカップ麺で済ませたいのに、目が覚めたら嗅覚センサーで感知された挙句に説教だろうしな……」
紳士たるものというイーダ型特有らしき美学をこれまで彼はこれまで痛いほど聞かされていた。
「ネットの同志に相談するも、マゾっ気が足らんとか上から目線で言われるし……。はぁぁ」
救急箱から絆創膏を取り出して、額に張り付ける。
「僕はただ、彼女はより可愛く美しくしたげたいだけなんだけれどな……」
XXXXが安上がりな外食をしようと決めて後ろ手に玄関扉を閉めた頃には青かった天気も湿り気を帯びた灰色になっていた。