武装神姫でエロ妄想をしてみるスレ 第十段at EROPARO
武装神姫でエロ妄想をしてみるスレ 第十段 - 暇つぶし2ch603:名無しさん@ピンキー
13/04/14 10:55:03.18 2pF5mTYz
珍しく賑わってると思ったら

ちくわって・・・新しいな、おい

普通はロールケーキに巻かれてクリーム塗れ~とかだと思うが

604:名無しさん@ピンキー
13/04/14 11:06:05.34 En9UokEO
>>599
前日譚が必要か。ならばショートストーリーをば。


 イーダは目の前に置かれた食材に怯えていた。
「どうしたんだい? いつもの君らしく高飛車に反応しておくれよ、お姫様」
 頭を振ってイーダは声高に叫んだ。
 罵倒、罵り、軽蔑、侮蔑、あらゆる負の感情を込めて自分の主に送った。
「ああ、気持ち良い……! 最高だよイーダ! やはり君は僕のお女神様だっっ!」
 マスターが眼前にそびえ立つ食材を片手にして、イーダに迫る。
「いい加減になさいませ! これは……いくらなんでも、お下品ですわ!」
「いいじゃないか。ここには僕とお前しかいない。二人っきりだよ、イーダ姫様……!」
 主の瞳が不自然に輝いていた。
 イーダは踵を返して逃げようとした。動けなかった。
「ほら。腰が抜けてしまっているよ。どうしてそこまで嫌がるんだい?」
 もがいても身体が言うことを聞かない。イーダの目元に涙が浮かぶ。
「このちくわに君をはめて、しゃぶらせてくれる、それだけで僕は、僕はぁ……」
 息が乱れている。神姫アイで心拍数を確認するまでもなく、己が主の鼓動は荒かった。
「こんなこと、今までだって普通にあったことじゃないか……それなのに、どうして今さらなのさ?」
「先日、ご近所の神姫達と初めて会話をしました」
 主のこめかみに青筋が立った。
「外出禁止と言ったはずだが?」
「ご自分の行いを省みてくださいませ。わたくし、どうしても何かがおかしいと思ったんですのよ」
 イーダの頬に一筋のしずくが流れた。
「それでっ! 初めて会話した神姫達はどう答えたと思います? マスターのことを異常性犯罪者みたく仰いました!」
「否定はしない」
「否定してくださいっ! そして更生してくださいませ! 今までの行いが全て狂気だったのなら、わたくしは、恐くて……!」
 マスターがイーダの胴体を掴む。無言でちくわの穴に挿入した。
「はれんちですわ! ちくわの穴の部分にわたくしを挿入なさるなんて! 何を考えてますの!」
「大丈夫、君だけは、僕を理解してくれるよね、お姫様!」
「ちょ……!?」
 イーダの眼前に我が主の喉仏が映った。
「ほら、気持ちいいだろう? ちくわの感触はさ……?」
 ほとばしる悲鳴が近所に伝わることはない。この部屋の防音対策は完璧だった。
 それでもイーダは主張を続けた。大半は言い分ですらなく、咆哮に近いものであった。
 かろうじて絞り出した最後の言葉はもはや嘆きでも命乞いでもなかった。
「マスター! わたくしをちくわに挿入したまま口元に運んでしゃぶろうとしないで……ぃやあああああああああっ!!」
 イーダ型らしい、高飛車なわがままだった。
<END>

605:名無しさん@ピンキー
13/04/14 11:08:33.55 En9UokEO
>>603
性癖の問題だ。生クリームも悪くないけれど、可愛いばかりでエロスとは、芸術とは微妙に異なるものだと愚考しまする。
……いや、言いわけに過ぎんな。そう、単純明快なことだ。
これは、俺の性癖だ。

606:名無しさん@ピンキー
13/04/14 11:31:13.16 Nrs/G/Gc
やっぱタカビーお嬢様は攻められてる時に輝くよね

607:名無しさん@ピンキー
13/04/14 11:47:20.26 En9UokEO
君はわかってるな。握手。

608:名無しさん@ピンキー
13/04/15 01:33:31.18 c/ur0h1X
私は、お嬢様の要求にはいついかなるときでも「仰せのままに」と応えられる「お兄様」でありたい。

609: ◆PNv45Jllpo
13/04/15 11:11:44.93 GkzflWV6
僕は、お姫様の言うことには必ず斜め上の成果を上げる従者でありたい。

610:名無しさん@ピンキー
13/04/15 20:53:45.12 GkzflWV6
フブキ「了解。この納豆をマスターの股間にすりつければ良いのですね。……マスター、食べ物を粗末にする人間は注文の多い料理店に売り飛ばされるそうです。ちょうどマスターは美味しそうですので。冗談ですよ?」

ストラーフMk2「先日は私の股間に妙な棒を取り付けてマスターの排泄口を突かされた。全く、何がどうなっている?」

アーンヴァルMk2「マスターはただ性感を探求しているだけですよ。心配いりません!」

ストラーフMk2「と、アーンヴァル型はお前を信じきった発言をしているが、実際はどうだ?」

フブキ「マスター。もう一度言います。食べ物を粗末にすれば、注文の多い料理店に売り飛ばします」

アーンヴァルMk2「フブキさんも随分と言うようになりましたね。初めの頃はお人形同然だったのに」

ストラーフMk2「新しい環境に適応したんだろう。良いことだな」

アーンヴァルMk2「そこです! つまり、マスターも現代社会に自分が壊されないように上手く適応した結果、変質者に転生したという……」

フブキ「完全に趣味だと思いますが。……マスター、オクラでも駄目です」

ストラーフMk2「また私がマスターの排泄口を突くか? 痔になりそうだったから控えるようにした? 軟弱者め」

フブキ「あなたはマスターを更生させたいのか堕落させたいのかどっちですか」

ストラーフMk2「悪魔型としては堕落させるのが本懐だろうが……私はこいつを鍛え上げたい。鍛えれば性癖の一個や二個消し飛ぶ」

フブキ「結果としてマスターの性癖が強化されたこと、もう忘れてしまったのですか?」

アーンヴァルMk2「滝に打たれて、胃液吐くまで駆けて、その結果として己の煩悩の深さを知ってしまったマスターはその日、新しく覚醒したのです」

フブキ「故に、ご自分のイチモツに納豆やオクラをなすりつけたがる。それも、神姫の手でなすりつけられたいと感じている次第」

ストラーフMk2「どうする? いい加減限度をわきまえないと人生に果てると思うぞ、この男は」

フブキ「マスターご自身はどうお考えですか? ……本望、ですか。どうすれば改心していただけるのですか」

アーンヴァルMk2「相談所に連絡すれば、むしろ使命感が燃え上がるとか言い出しますものね。そんなマスターがわたしは好きですが」

ストラーフMk2「マスターの男根をちぎり取れば解決なのでは……おい、どうしたマスター。何故泣く。何故遠ざかる」

アーンヴァルMk2「マスターにとってあの悪根は生涯の友なのだそうですよ。そんなマスター大好きです」

フブキ「アンさん、マスターに好意を示すのは神姫の義務ではないですよ。無理なさらないでください」

611:名無しさん@ピンキー
13/04/15 20:54:39.46 GkzflWV6
>>610
アーンヴァルMk2「無理だなんてそんな。危なくなったら無理心中しますから」

ストラーフMk2「マスター。今すぐ私達に詫びて反省しろ。アーンヴァル型の心は純粋さが売りだ。弄んだ罪は落下隕石並みの重さだ」

フブキ「弄んだ覚えはない……言いわけですかマスター」

ストラーフMk2「愛でて慈しんで情を養っていたと、そう言い張る気か。本心だと? 信じられん」

アーンヴァルMk2「わたしは、そんなマスターが……ぐすっ」

フブキ「婦女子を泣かせるとは、マスターは男なのですか? 男の外装を纏ったナニカなのですか?」

アーンヴァルMk2「フブキさん、マスターを悪く言わないであげてください。マスターはきっと人生に疲れているんです。それだけなんですよ」

ストラーフMk2「溜めこむな、アーンヴァル型。また今度二人でジェリカン飲みに行こう。そこで思い切り吐き出そう」

フブキ「お二人でそのような所に……? 何故、その時誘ってくれなかったのですか?」

ストラーフMk2「お前が念仏唱えて震えてたからだ。フブキ型はよほど念仏を唱えるのが好きなのか」

フブキ「あの時はマスターが化生の類だと感じていましたから。どれだけお経を唱えても成仏しないからおかしいと思っていました」

アーンヴァルMk2「一時期はこのお部屋もお線香の匂いが凄かったですよね。……はい、今もですかね。マスターも気に入っているようですので」

フブキ「別にマスターのためにお香を炊いていたわけではなかったのですが。気に入ってもらえてしまいましたか……」

ストラーフMk2「……? ところてんか。これなら普通に使われてもいるから平気、だと?」

フブキ「食べ物を粗末にするとマスターの全身を塩もみしてサラドに盛り付けてしまいますので、ご自重ください」

アーンヴァルMk2「フブキさん、マスターを泣かせちゃいけませんよ。ああ、そうですよね、仕方ないんですよね。仕方ないのですよね」

ストラーフMk2「アーンヴァル型。ここは私達で対応するから、お前は自室に戻って休んでいろ。何も言うな、これは私の我儘だ」

アーンヴァルMk2「ストラーフ……。マスター、わたしはマスターのこと、誰よりも大好きですよ、いつまでも一緒ですからね!」

フブキ「アーンヴァルさんがお部屋に戻りましたね。扉を閉める音がしませんでしたので、わかりにくいですが」

ストラーフMk2「マスター、お前も寝ろ。アーンヴァル型が寝たんだ。お前も寝ろ。その理屈はおかしいとかは言わせないぞ」

フブキ「全裸のままでは寒いので、毛布くらいかけておきましょう。それではお休みなさい、マスター。お休みなさい」


それにしてもどうしてこんなに過疎なんだろう。マイナージャンルだから?

612:名無しさん@ピンキー
13/04/15 21:48:01.79 eWaAtgiE
書くに書けないんだよ。おもにサイズ差の問題で

613:名無しさん@ピンキー
13/04/15 22:26:40.95 GkzflWV6
厳しい現実来たー!
サイズ差がなんなのか知らんけど、システム上の不都合で書くに書けんことは承知したぞ。
……切ないね。

614:名無しさん@ピンキー
13/04/15 22:57:10.38 idrEZtCV
>>288
焦ったアークがその体躯でマスターを誘惑しようと寝床にカチコミしようとするも、当のマスターはメガ素体イーダさんと懇ろに。これは夢だとフラフラとクレイドルへ。
次の日、マスターとイーダさんのお出かけの誘いを断り一日中家で悩むアークさん。
ふと覗いた動画サイトでメガ素体イー姉のエッチ動画を見てしまう。
ハッハと喘ぐ声。こね回される胸。ゆっくりとした抽挿。ビクりと震えるマスター。
(幾ら胸あったってたかだか15cm、メガなイーダにはとてもかなわない。)
そうこう考えてるうちにバッテリー切れ。帰ってきた二人に寝かしつけられてる。
アークは自分が情けなく感じ・・・。

最終的にはヤンデレ化?もうちょっと一ひねりさせたいと思ってたら2年経過してしまった・・・。

615:名無しさん@ピンキー
13/04/16 08:41:53.88 nNwoaEBy
>>614
あるあるwww
書きたくねえなと思っている時ほど書けて、書きたいと思っている時ほど書けないというwwww
プロットを細かいところまできちんと組んで書いてる人は凄いと思うわ。プロット組むのムズくね?

616: ◆PNv45Jllpo
13/04/16 13:42:46.21 nNwoaEBy
また書くか。一応トリップつける。SS投下時のマナーのようなものらしいね。

タイトルは、【イーダ様が気に食わない】

 イーダが気に食わない。
 マスターであるXXXX(←貴方のお名前)が改めてそう思ったのはつい最近のことである。
「ねえ、イーダ。どうして僕のメイド服を試着してくれないの? 一生懸命作ったんだよ?」
「嫌ですわ。そんなお下品に太ももが露出するような服はメイドの衣装ではありませんわ」
「露出って……君はハナから露出しているようなものじゃないか。塗料でカラーリングされているとはいえ、素肌のままのようなもの……」
 眼前に色えんぴつが飛んできたので、XXXXは首を傾けてのけぞった。
「痛ってぇ!!」
 避けきれず、鋭く削られた先端がXXXXの眉間に赤い点を浮かべる。
「痛い? 当たり前ですわ。わたくしの心の痛みと比べればなんてことないでしょうけど」
 XXXXは眉根にシワを寄せて睨んでくる自分の神姫を見た。
 気品に溢れている容姿だった。綺麗だった。美少女妖精を具現化したかのような存在性だ。
 そして、大人しそうな面立ちで叩きつけるように言葉を投げつけてくる。
 外見と内面の差が激しいイーダ型を見て、XXXXは今度も思った。
 ……見た目に惚れて買ったのが俺の失策の始まりか、と。
「わたくし、そろそろ充電が切れそうですので。マスターはよく反省なさいまし!」
 寝台型充電器に腰掛けるように沈むと、イーダは休息充電モードに移行する。
 寝たのである。充電が終わるまでは目を覚まさないだろう。こちらから起こしでもしない限りは。
「……今のうちに売り飛ばしてやろうか」
 XXXXは口元を震わせて呻いた。
 無防備に脱力するイーダ型神姫にXXXXは手を伸ばす。
 初めて入手した神姫だ。というのにそれほど愛着がない。傍に置いておく理由がないほどに。
「おかしいな。ネットの評判ではお嬢様最高って、かなりの高評価だったのに……ステマだったのかな……」
 何度も伸ばしかけた手を、XXXXは再び引っ込めた。何度も吐いた悪態と共に。
 それでもあるいはと期待し続け半年は経っていた。情が移るには充分な歳月だった。
「キツい……。今日の昼もカップ麺で済ませたいのに、目が覚めたら嗅覚センサーで感知された挙句に説教だろうしな……」
 紳士たるものというイーダ型特有らしき美学をこれまで彼はこれまで痛いほど聞かされていた。
「ネットの同志に相談するも、マゾっ気が足らんとか上から目線で言われるし……。はぁぁ」
 救急箱から絆創膏を取り出して、額に張り付ける。
「僕はただ、彼女はより可愛く美しくしたげたいだけなんだけれどな……」
 XXXXが安上がりな外食をしようと決めて後ろ手に玄関扉を閉めた頃には青かった天気も湿り気を帯びた灰色になっていた。

617: ◆PNv45Jllpo
13/04/16 14:08:25.04 nNwoaEBy
>>616
 昼なのに重苦しい気分だった。
 XXXXは行きつけのチェーン店で軽く食事を済ますと、ふと海に行きたくなった。
「ここが海か。海以外の何者でもない。そして寒い」
 砂浜に着いて、意味もなく呟いた。
 願わくば僕の嘆きを荒波にさらってもらいたいと考えていた。
 ……視界の端に引っ掛かるものがあった。
 顔を向けてみる。
 波打ち際に人魚の人形のような物体が転がっていた。
「ゴミか……? この雄大な自然に対する畏敬の念がないなんて……」
 近づいて手に持ってみると、手触りに心当たりがあった。
「これ、神姫か? どうして神姫がこんなところで……」
 神姫は潮を浴びて錆つき、所々損壊していた。
「そいつはもう治らんよ」
 頭上で声がする。顔を上げると、目の前に人がいた。
 初老の男性である。あごひげをたくわえており、赤い褌だけを着けて、波打つ海面から数センチ浮かんでいる。
「う、うわっ! 誰だお前……!?」
「儂か。儂は神姫仙人と言う者じゃ」
「神姫仙人? へ、変質者が僕の目の前に……!?」
「そのイーアネイラ型の心臓はもう止まってしまっておる。生きてはおらぬよ」
「話聞けよ! どんな手品か知らんが、新興宗教の勧誘ならお断りだ!」
「そんなお主にこいつをくれてやろう」
「本当に話を聞いてくれ!」
 XXXXの手元にはいつの間にか一振りの小瓶が握られていた。
「こ、これは……?」
「ただの小瓶」
「ゴミかよ! いらねえよ!」
「まあ待て。肝心なのは、今から小瓶のなかに注ぐ液体の方じゃ」
 手前に掲げるようにと言われるがまま、XXXXは小瓶を差し出す。
 透き通った色の液体が一滴漏らさず注がれる。
「こ、これは……」
「そう、硫酸じゃ」
「硫酸……」
「これでお前の神姫をおどしつければええ。大人しくなるはずじゃ」
 XXXXが瞬きをした後、神姫仙人はいなくなっていた。
「硫酸……って……。魔法の媚薬とか、そんなのじゃねえのかよ……」
 日々のイーダへのストレスも相まって、口から荒み気味の言葉遣いが出てきた。
「……でも、ちょうど良い。こうなったら僕もやるだけやってやるさ!」
 壊れたイーアネイラ型神姫と硫酸の入った小瓶を握りしめて、XXXXは自宅の方角へと歩き出した。
 勇み足だった。瞳には晴れ模様が映っていた。

618: ◆PNv45Jllpo
13/04/16 14:46:34.00 nNwoaEBy
>>617
 XXXXが帰宅すると、下駄箱の上に仁王立ちしている小人がいた。
「全く! わたくしが眠っている間、わたくしを守り通すのがナイトの役割でしょうに!」
 僕がお前のナイトなのかと言い返そうとしたが、XXXXは歯を噛み締めるだけにした。
「正論過ぎて反論できないようですわね。全く。全く!」
 イーダの視線がXXXXの握られた手元を捉える。
「手土産か何か? わたくしを満足させたいなら相応のものでなくてはいけませんわよ?」
「そうだな……。その話も含めて、ひとまず上がらせてくれ」
「ここは貴方の家です。わたくしに許可を求めないでくださいませ」
 XXXXは内心、癒しの一言もかけてくれないのかと思った。
 だが、黙っていた。イーダは首を傾げてXXXXを見ていた。
「いつもと少しだけ違いますわね。外でなにかあったのかしら?」
 イーダを机の上に置いて、XXXXが椅子に腰かけた際に会話は再び始まる。
「これ、なにかわかる?」
 XXXXは朽ち果てているイーアネイラ型神姫を机の上に置いた。
「ただのスクラップじゃありませんの。見ていてあまり心地良いものではありませんわね」
 イーダがXXXXに突き刺さるような視線を向ける。
 XXXXは軽そうに頭を振った。
「いいや、違う。これはちょっとした見本だよ。君が僕に従わなければいずれこうなるかもしれないっていう、ね」
「力づくで屈服させるおつもり? マスターがそこまで外道だったとは知りませんでしたわ」
 イーダは溜め息を吐いて視線を落とす。
 XXXXは無言で神姫仙人から貰った液体入り小瓶を彼女の前に置いた。
「まあ、随分と綺麗な色ですこと。神姫アイによればこの液体は水ではなくて……。……っ!?」
「そう、硫酸だよ。言うこと聞かないならこれでおしおきするけど、どうする?」
「ひ、ひきょう者! ここまでしないと神姫を従わせられないなんてマスターはマスター失格ですわ!」
「ならお前は神姫失格だ。僕が仲良くしようと無理して笑顔を作っても、お前はあしらってばかりで手を差し出そうともしない」
「それは、それは……っ!」
「僕はずっとお前に手を差し出してきた。でもな、お前が手を伸ばしてくれないとお前の手は握れないんだよ」
 XXXXはイーダの眼前に人差し指を向ける。
「さあ、この指をきちんと握ること、君はできるか?」
「こ、こんな、こんな力づくな方法でわたくしの手に触れようだなんて……破廉恥!」
 じゃあ、おしおき決定だ。
 XXXXは口のなかで呟いた。
「ちょっと、聞いてますの!? そもそも貴方が紳士としてきちんと振舞っていればわたくしとしても素直にエスコートされるのもやぶさかでは―」
「この小瓶の蓋を開けて、と。そして、目の前の半壊した神姫にちょこっとかける」
 物体と化していたイーアネイラ型神姫から細く湯気が立ち上る。
 XXXXは顔をしかめた。臭いとかではなくて、鼻の奥が刺さるように痛いのである。
「マスター……貴方今、最低のことをしてますわ。自覚があって?」
「僕はさ、もう疲れたんだ。だからそろそろ言うこと聞いてほしいんだよ」
 イーダの足元に一滴だけ硫酸を垂らした。イーダの整った面立ちが引きつる。
 XXXXは目を見張った。次いで驚きの声を漏らした。
「なんですの? 神姫が涙目になるのは珍しいとでも言いたげですわね」
 あのイーダが目元に涙を滲ませていた。
 XXXXの胸中に得体の知らぬ何かが湧いてくる。
「今度こそ、僕のメイド服、着てくれるよね?」
 机上の異臭に渋い顔をしながら、XXXXはイーダを見下ろす。
 イーダ型神姫という製品としても、イーダという女子としても、XXXXは認識していた。
「お断りしますわ。顔を洗って出直してきなさい!」
 イーダの返答は、NOだった。
 XXXXのイーダへの認識が一つに固まった瞬間だった。

619: ◆PNv45Jllpo
13/04/16 15:37:41.72 nNwoaEBy
>>618
 イーダは僕の大事な初恋の女の子でした。
 XXXXは結論を出した。
「ごめん、本当にごめん。イーダ、今まで世話見てくれてありがとうな」
 XXXXは土下座した。
 イーダは呆気に取られたように口を開いたり閉じたりしていた。
 しばらくして落ち着くと、イーダは一字一句踏みしめるようにして言った。
「な、なんですのいきなり……わけがわかりませんわ。説明してくださる? というか、あ、ありがとうって、マスター言ってくれたのが初めてで、わたくしとしてはそっちの方が嬉しいわけですけれど、その、説明文を三文字以内でですわ!」
 イーダの顔は真っ赤だった。
 XXXXは胸中に昇ってきていた得体の知れない黒い感覚に心中で別れを告げた。
「硫酸ちらつかされても屈しないなんて、お前って本当に自我を持っているんだな……と」
 自我があるのなら『物』ではなくて『者』として見ても良いだろう。
 XXXXは喉につかえたものが荒波に流されていく心地を体験していた。
「今まで僕がイラついていたのは君を着せ替え人形として見るか、それとも一人の女子として見るかが定まってなかったからなんだ」
「神姫は神姫です。人間ではありませんわ」
 イーダは視線を逸らして、照った横顔を長い髪で隠す。
 XXXXは嬉しくなって、イーダの前に自作の神姫用衣装を広げた。
「じゃあ、僕のメイド服、着るかい?」
「……貴方が、そういうわたくしをより好きと言うのでしたら……着せ替え人形的なものとしてではなくて。おわかりかしら……」
「当然。それに女の子は綺麗な身だしなみじゃないと。だからメイド服も適宜縫い直すけれど……でもね、別にあの露出は、下品さ目的ではないよ?」
「……そういえば聞いてませんでしたわね。それなら、何故、過剰に露出穴が開いた衣服を縫ったのです」
「それはね、惚れた女の子にはエッチな格好をしていてほしいからさ」
「……。この歳で未だマスターが伴侶に恵まれない理由がよくわかりましたわ」
 肩を落として溜め息を吐いたイーダは、矢継ぎ早に話を続けた。
「こんな酔狂な衣服を着こなしてあげられるのはわたくしくらいなものですわね。ほら、さっさと服を寄越しなさいませっ!」
 XXXXが鼻歌混じりにカメラを取り出して構える。
「早口だけどバッチリ聞きとれたよ。流石は僕の初恋だ」
「そこは普通、聞こえないフリをするところでしょうに!」
 イーダは後ずさりしながら「このお馬鹿!」と思い出したように色えんぴつを構える。
 狙う先はXXXXの額に張り付けてある絆創膏ただ一点である。
<おわり>

620: ◆PNv45Jllpo
13/04/16 15:41:33.77 nNwoaEBy
>>619
書き込みおわりです。
気の赴くままに書いたら結果的にだけど起承転結みたいな感じになったね。
気恥ずかしいけどこういうのを書きこむのって悪くないね。

621:名無しさん@ピンキー
13/04/16 15:45:19.31 amlHWL0T
お疲れさま、すごく癒された
イイハナシダナー

…でもこの後ちくわなんでしょう?

622:名無しさん@ピンキー
13/04/16 17:46:06.28 nNwoaEBy
……ちくわネタが予想以上に利いている、だと……! 一発ネタで投稿したのに、ちくわネタを期待されている……!?
え、なんですか、ちくわネタやらないと駄目っすか……?(上目遣い)

623:名無しさん@ピンキー
13/04/16 17:55:06.83 5vvMJolI
ちくわ大明神!

624:名無しさん@ピンキー
13/04/16 18:04:39.28 nNwoaEBy
やめてっ!? 崇めないでぇ! 印象がちくわで固定されてまうー!(恥じらい)

625:名無しさん@ピンキー
13/04/16 18:41:58.44 nNwoaEBy
と、いう話なので。また、ちくわ攻めでも書こうか。
ちくわ攻めってノーマルでしょうか? それともアブノーマル……? 注意書き入れた方が良いですかね。
バイブ攻めがノーマルの範囲内ならばちくわ攻めも平気な範囲だと思うので、注意書き入れなくてもと思うのですけれど。

626:名無しさん@ピンキー
13/04/16 21:17:51.14 qWgI0Yth
次はアークさんでお願いします。

627:名無しさん@ピンキー
13/04/16 22:02:39.85 nNwoaEBy
アークか。アークには人妻が似合うな。エプロン姿でお帰りあなた、と。
で、このラブラブ空間にちくわを投入、か。……もとい、三題話的な感じになってきたな。
アークと、ちくわ、あとひとつ。どうせなら決めようと思います。あとひとつ、どんな要素がいいです?

628:名無しさん@ピンキー
13/04/16 22:19:32.47 yZ2N2ZNV
お前ら無茶振りすんなよ! 職人さんが困ってるだろうが!
あ、とりあえず耳かきお願いします。使い方はお任せしますんで。

629:名無しさん@ピンキー
13/04/16 22:23:08.67 amlHWL0T
耳かきでどこを掻くんですかねぇ…(ゲス顔

630:名無しさん@ピンキー
13/04/16 23:00:36.30 aLa64sLT
神姫ならでは感は出るがwww

631:名無しさん@ピンキー
13/04/16 23:06:23.95 nNwoaEBy
耳かき……だと……。
……ふ、ふふふっ。面白いじゃないの……! 燃えてきた!
お題は【アーク型】と、【ちくわ】と、【耳かき】で決まりですな。
期待して待っているがいいわ! ……できれば期待しないで待っていてくれるとありがたいけれど、これ心の声だから。内緒話だから。ナイショ。

632:名無しさん@ピンキー
13/04/17 01:10:49.14 6QJE6kqH
ここもすっかり廃れちゃったけど住民が移動したってわけじゃないよね……?
このスレ以外に神姫SSのコミュニティってあるのかな

633:名無しさん@ピンキー
13/04/17 09:52:59.00 5Yiffq/u
あったらそれはそれで嬉しいけれど。
神姫SSを書き込める場を探して流れ着いたのがここだったしな。

634:名無しさん@ピンキー
13/04/17 12:28:49.56 4OIlcMKX
いっそSS速報vipに板を建ててしまうとか

635:名無しさん@ピンキー
13/04/17 12:42:09.01 4OIlcMKX
神姫で脱衣麻雀大会、素体は肌色固定で装備は布服のみ許可

エスパディア「ロン、純正九連宝燈」シベリアンエキスプレス
イーダ様「ロン、緑一色四暗刻四積子」
ランサメント「」
アーク「」

636: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 15:34:47.70 5Yiffq/u
では【アーク型神姫】【ちくわ】【耳かき】の三つを題材としてひとつ書きましょうかな。

タイトルは、『俺のアークがちくわ過ぎてマジ耳かき欲しい』


 バレンタインチョコを貰えなかった。
 彼はその日、絶望していた。
 自分の神姫からさえ、手に入れることができなかった。
 マスターにチョコを渡さない神姫なんていたのか……!?
 彼の常識は崩壊しかけていた。
 死んだ目をして彼はネット掲示板を開く。
 似た境遇の者らが集う板を読みあさっていると、ある書き込みを見つけた。
 彼の脳裏に衝撃が走った。
「これは……! ふ、ふはははははははははっ!!」
 狭い室内に彼の声が響き渡る。
「ねえ、マスター。いくらあたしにチョコを貰えなかったからってそこまでおかしい笑いを出すのはちょっとどうかと思うわよ」
 耳元で声がした。肩に乗せたアーク型神姫の口から出たものだった。
「なあ、アーク。時代はさ、ちくわだよ。ちくわだよ、ちくわだちくわちくわちくわ!」
 嬉しそうな彼の肩に乗ったまま、アークは首を傾げる。
「ちくわ、ですか……? 料理ならやってやれないこともないとは思いますが」
「違うんだよ。貴様がちくわの穴のなかに挿入されるんだよ、アーク!」
 彼の手に握りしめられ、アークはもがく。
「は、離してくださいマスター、一体なんの話ですか!」
 彼は神姫の手触りを愉しみながら、冷蔵庫をあさる。
「へ、変なところ触らないでください……! どうしたんですかマスター!」
「今大事な場面だ。口閉じてろ」
 冷蔵庫の中にはほとんど何もなかった。
「仕方ない……ちくわを買いに行くのも一興、か」
「わけわかんないですって、ちょ、どこ行くんです! 今月は遊びに行けるだけのお金なんて残ってないでしょ!」
 後ろ手に玄関扉を押して、彼は鍵を閉めた。
「どこって……スーパーに行くんだよ!」
 彼の目は血走っていた。
 アークは彼の手から逃れようと暴れる。脱力して溜め息を吐くようになるまで長くなかった。
「ちくわを買うだけの余裕が今のマスターにあるとは思えないんですけれど……」
 彼は焦点の定まらない視線で街中を駆けている。
「マスター? おーい、マスター? ……返事がない、ただの動く屍のようだ」
 近所のスーパーに着くと、彼は足を止めた。
「一度止まって正しいと書く。これで俺は正しいぞ」
「そういう意味じゃないと思いますが……いい加減離していただけると嬉しいんですけど。もうここまで来たし、逃げませんので」
 彼はアークを数ヶ月間散髪していないぼさぼさの長髪の中にしまった。アークはくぐもった声で何事かを言ったが、彼は無視する。
「バレンタインチョコをくれない神姫なんて童貞の敵だ……む?」
「げほっ、ごほっ……ど、どうしたんです、マスター」
 むせながら這い出て、彼の頭頂にしがみついたアークは……目を細めた。
 痺れるような怒鳴り声や罵声が彼の耳を震わせる。
 喧騒はスーパー店内から聞こえてきた。

637: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 15:36:36.00 5Yiffq/u
>>636
「どういうことだ。まだ昼間だぞ。半額シールすら貼られない時間帯のはずだ」
「もしかして、誰かが倒れて救急車を呼ぶようなことに……!? マスター、行きましょう!」
「嫌だ! 俺は他のスーパーに行く! だって、なんか恐いもん!」
「今行かなきゃ、マスターは一生童貞のままです! それでもいいのッ!」
「……っ! そうか、なかで倒れている人は、俺好みの美麗な女子の可能性があるということか……!」
「え、……は、はい。そうですとも! だからとっとと行きましょう!」
「ウィィイイイイイァアアアアアアアアッ!」
 鳥の鳴き声にも似た咆哮を上げて、彼はスーパーの自動ドアに突っ込んでいった。
「む? 救助者はどこだ?」
「入口付近ではないようですね。もっと奥、練りモノ売り場からです!」
 よしきた、と彼は練りモノ売り場目がけて足を早める。
 彼は立ち止まった。
「マスター……! これ一体……!?」
 目の前では多くの冴えない男達が神姫を片手に軟性の柔い棒を奪い合っていた。
「あれは、ちくわ、か……!」
 男達はちくわを狙っていた。神姫を持った手は使わず、互いを平手で張りあっている。
「マスター……、これ、なんですか」
 力の入っていないアークの声は喧騒と雑言ですぐにかき消える。
「なにって、ちくわを奪い合っているのだろうな」
 彼は思い出していた。ネット掲示板での、さる紳士の書き込みを。
「あの方の言葉によれば、ちくわで調教された神姫は童貞をも凌駕する神秘性を獲得するとかなんとか」
「そんな意味不明な言葉に踊らされてマスターはここまで来たんですか!」
「しょうがないだろう! もはや俺らみたいな者は、こういうことにも敏感になるしか己を救えないんだから!」
「わけのわからないことを……。あたしが一緒にいるっていうのに……」
「うるせえ! 戯言言うな! ならどうして俺にチョコをくれなかったんだ!」

638: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 15:38:14.57 5Yiffq/u
 彼は頭に乗っていたアークを柔らかく握り直した。男臭さの舞う練り物売り場に乗り込む。
「どけっ! ちくわは……どけぇぇッ! 畜生! どこにある! ちく……っぶはっ! こ、こいつら、血走っている……!」
 彼は血のにじむ口元を裾で拭い、叫んだ。
「アーク! ちくわを取ってこい!」
「別のスーパー行けばいいじゃないですか」
「その手があった……!」
 彼はスーパーを出た。街中を駆ける。
「ちょっと、お待ち」
 道の脇に老婆がいた。占い師を連想させる格好をしていた。
「誰だ。物乞いか?」
「ワタシは童貞を救う者じゃ。今からお前さんに素晴らしいものをくれてやろう」
「なんだ、それは。早くよこせ! 俺は急いでいる!」
 老婆は口元を歪ませて一本の棒状のものを彼に見せた。
「それは……耳かきか?」
「左様。お前さんの野心を満たすため、必ずやお前さんを助けてくれるだろう」
「神姫よりも役に立つのか?」
「これはただの耳かき。生かすも殺すもお前さん次第じゃ」
「貰えるものは貰っておこう。さらばだ!」
 老婆から耳かきを掴み取り、彼は走る。
「マスター! あたしの方が耳かきよりも役に立ちますよ」
「今は耳かきにもすがりたい気分だ。神姫は黙ってろ!」
「なにを言っているのかわかりません、マスター」
 アークは無感情に呟いた。
 一拍置いて、アークは意外そうな声を出す。
「……? マスター、その耳かき、もしかして神姫用の武装では?」
「何を世迷言を。ていうか、アーク貴様、気持ち悪そうだな」
 彼の手の中で上下に揺らされていたアークの顔色は青かった。
「マスターが両腕を懸命に振って走るものですから……げおっ」
「今、お前、美少女として吐いちゃいけない擬音を出さなかったか?」
「も、問題ありません……ぐえぼっ」
 彼は何も言わず、アークを頭上に乗せると不敵に笑む。
「すまん。少し心がヒートしていたようだ……」

639: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 15:39:18.95 5Yiffq/u
>>638
安価入れ忘れ。>>637

640: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 16:32:21.75 5Yiffq/u
>>638
 老婆に手渡された耳かきを彼は静かな眼差しで見つめる。
「……よし、心が落ち着いた。耳かきには興奮を抑える作用もあるんだな」
「耳かき自体にそんな効果はないはずですけど……それよりもマスター、目の前に二件目のスーパーが見えてきましたよ」
 彼は無言だった。彼の耳元には微かに音が届いていたのである。
 スーパーに近づくにつれてアークの手足が硬くなっていく。
「マスター……まさか……」
「どうやら、俺達はちくわ争奪戦からは逃れられない運命のようだぞ」
「まだ二件目ですよ。もう一件回りましょうよ」
「アークよ。あのちくわ挿入の効果はな、今日限定なんだよ。そろそろ夕陽が美しい時間帯にもなってきた」
「……行くんですか?」
「無論だ。……危ないと思うなら、貴様は今すぐ帰宅しても構わん」
「別な意味で危ない人だと常々実感していますけど、はい、あたしはマスターの神姫。どこまでも、ついていきます」
「ライドオン諦めない、私、キミの女神になる……か。謳い文句に違わぬことよ」
「作戦を決めましょう。肉弾戦ではひょろひょろなマスターでは不利でしょうし」
 アークは彼の頭上をつついて言った。
 彼はこのアークの動作が降ろしてほしい意思表示であることを知っていた。
「……降ろしてほしいとは言いましたけど、だからってどうして地面に降ろすんですか……!」
「帰りたいのかと」
「違いますよ! 耳かき! 見せてください!」
「作戦でも思いついたか」
 アークは彼から受け取った耳かきを静かに見つめた。
「マスター……すいません、勘違いでした。これやっぱり単なる耳かきです……」
「だろ? 貴様、神姫のくせになんと無様!」
「嬉々として言っているマスターの方が無様です!」
 アークを拾い上げて、再び頭に乗せる。
「だが、おかげで面白い作戦を思いつけたぞ」
 含み笑いを漏らす彼の頭上から小さな溜め息が降ってきた。
「こうなったらやれるところまでやりましょう。マスター、あたし達ならやれますよ、きっと」
 店内に踏み込んだ彼の眼前には、幾人もの冴えない風貌をした男達が倒れていた。
「ここは……おい一体何があった?」
「気絶しています。会話できる負傷者は……この辺りにはいませんね」
「となると、既に勝敗はついてしまっていたか……?」
 店の前で長々と会話をしているからだと彼は悔いた。
「……ホゥ。まだ生き残りがいたか……」
「……ッ! 誰っ!」
 頭上のアークが声を張る。
「アーク……頭の上で騒がれると、耳に響くぞ……」
「神姫はともかく、マスターは腑抜けと見た。これは楽に勝てそうだな」
 彼の真正面に現れた男は威圧感を纏っていた。
「……う、動けない……! 蛇に睨まれるカエルってこういう気持ちなのかしら」
「む? あの男の後ろに見えるのは……ちくわか!」
 男の背後には一本だけ、ちくわが置かれていた。
「そうとも。この練り物コーナー最後のちくわだ。このちくわはこちらが貰い受ける」
 もっとも、と前置きして男は話を続ける。
「そちらがこちらの神姫に挑んで勝てるのならば、譲ってやってもいいがな!」
「アーク、この方は良い人だ。とても良い人だぞ」
「みたいですね。勝負して勝ったらちくわを譲ってもらえるなんて……燃えてきたぁぁあああ!」
「アーク型は暑苦しくて萌える。……さて、では神姫バトルを始めるとしよう。来い、ネコ娘!」
「ネコ娘……マオチャオ型か。相手にとって不足なし!」
 アークが力強く彼の頭上に仁王立ちする。
「準備はいいですかマスター、これが最終決戦ですよ!」

641: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 17:01:12.99 5Yiffq/u
>>640
「……いや、待て。何か様子がおかしいぞ」
「ん、どうしたネコ娘。いるなら返事をせんか。……手紙? どれ、読んでみるとするか。ぶっ!?」
「どうした、ラスボス風の男よ」
「勇者にはほど遠い風体の男児よ。どうやらこちらには戦力がないみたいだ」
「では不戦勝で」
「仕方あるまい。持っていけ」
 彼は男の脇を抜けてちくわを手にした。
「さ、帰るぞ」
「ま……っ! 待ってぇえええええええ! マオチャオ型がどうしたの? 何か悩みでもあるなら聞いてあげるからバトルを……!」
「事情は聞かない。これは紳士の嗜み故な」
「マスター! わけわかんないこと言わないでよ! ここのとこ全然バトルさせてくれてないじゃない!」
 アークは彼の頭の上で器用に暴れて見せた。
「野良試合だけど、ようやく久々に……と思ったのに!」
「マオチャオ型のことだ。川に泳いでいるにぼしでも捕まえに行ったんだろう」
 後ろに立ちすくんでいる男の肩が震えた。
「川ににぼし……? めだかじゃなくて、にぼし……?」
「そういうマオチャオ型だからこの男はマオチャオ型を愛しているのだろうよ。さ、帰るぞアーク」
 レジで会計を済ませると、彼は公園に向かった。
「殺風景な場所ですね。こんなところで何をするのですか。というかバトル……」
「また連れて行ってやるから、今日は我慢しなさい」
「はい……。それで、その手に持っているちくわで何を? ひゃっ!」
「避けるな。今から貴様をちくわの穴に挿入して、しゃぶり尽くす」
「……マスターが壊れた……」
 アークが腹の底から絞り出した声で言った。
 彼は大きく欠伸をして空を見上げる。
「暗くなってきた。急がねば……!」
 彼はアークを鷲掴みにして、ちくわを慎重に持ち直す。
「ちょ……!? ダメッ! ダメです! これはアーク型の役割じゃありません! アーンヴァル型とかイーダ型とか、そういうにもさせたくないけどどちらかと言えば……!」
「可哀相だから、この耳かきを持っていると良い。心が落ち着くぞ」
 アークは固く目を瞑って、目の前の長い棒状のモノを拒んだ。
「だからこういうのは……! 彼女さんが出来てから……っ」
 彼の顔が強張る。
「お、ぉぉおおおおお……! 貴様、言ってはいかんことを!」
「こんなことしている暇あったら、その汚い髪を綺麗にしなさい!」
「だぁらっしゃい! 毎日洗ってるわ! ふけとかないだろッ!」
「ありませんでした! そこだけは素直に嬉しいですよ!」
「ほら、耳かきあるから、大丈夫だからッ!」
 アークの悲鳴が頭から突っ込まれたちくわの軟性に吸い込まれる。
 念のために彼は耳かきをアークの股の辺りと思しき箇所に差した。
「~~っ! ……! ……ッ!」
 神姫の全身を覆うほどに長いちくわである。
 その上、耳かき棒で股の辺りが抑え込まれていた。
 うごめいていたちくわは、そのうねうねした活動を停止する。
「……こういう世界もあるのか……!」
「もがっ! もごぉぉおおおおおっ!」
 彼はちくわに包まれ耳かきで姿勢を固定されたアークを口元に近づける。
「貴様が……! バレンタインチョコを俺に恵んでさえいれば、こんなことには……ッ」
「ぶ、ぶは! た、助け……ッ!」
「な……ッ!? ちくわを内側から……食い破っただと?」
「な、舐めないでくださいマスター! 二重の意味でねッ」
「こうなれば一刻の猶予も残ってはいないか。やるぞ……!」
 彼はちくわごとアークを口に入れた。串代わりの耳かきは抜いて捨てた。
 しゃぶる。舌を動かして注意深く味わった。
「ペッ! ……ふふ、ふははははははは! やったぞ! 俺は……やったのだ!」

642: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 17:02:39.74 5Yiffq/u
>>641
 ちくわを租借しながら、吐き出したアークを見て。
 ……彼は笑えなくなった。
「マスター。ミクダリハンって知ってます?」
 彼が投げ捨てた耳かきをアークは槍のように構えていた。
「……おかしいぞ。般若がいる」
「般若が神秘的でないと誰が決めたの?」
「アーク。貴様は俺の女神のはずだ……」
「ミクダリハンって知ってるかしら。聞こえないなら何度でも言います」
「今、貴様にはまともな装備がない。トライクモードに変形してスピードに酔いしれることもできない。この意味がわかるか」
「生活費に困って売ってしまったんですよね。で、こんなところで無益な争いをしていればまた無駄にお金が……と」
「そうだ。ひぎぃ!?」
 アークの顔が今まで見たこともない表情になっていた。
「お、鬼……!?」
「チョコはマスターが間違えて寝ぼけてトイレに流しちゃったんでしょうが……!」
「え、そうだったっけ……?」
「レディース舐めんなコラァァァアアアアアアッ!」
 アークの腕が鋭く伸びる。
 その日、彼は自分の神姫に尻の穴をほじくられた。
 耳かきで。抉り出すように。
 公園のど真ん中で、警察が駆けつけるまで。
 ずっと。ずっと。ずっと。ずっと。ずっと。
―FIN―

643: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 17:03:26.37 5Yiffq/u
以上です。お目汚し失礼いたしました。

644:名無しさん@ピンキー
13/04/17 17:44:26.87 5Yiffq/u
>>634
SS速報vipとな……!? そのような場があったのか。
と思って検索してみたら……繋がらないぞ。別に回線が悪いわけでもないのに……なんでだー!

645:名無しさん@ピンキー
13/04/17 18:45:00.92 D7kOZ+jL
あっちは今落ちてるからさ

646:名無しさん@ピンキー
13/04/17 18:47:19.22 5Yiffq/u
まことかよ……。

647:名無しさん@ピンキー
13/04/17 18:57:08.55 VemCSPRt
>>636
乙GJ。最初から最後まで爆笑させてもらいますた。
なんか上のほうに人妻とかエプロンとかラブラブ空間とか
書いてあるように見えるのは多分気のせいですよねw

648:名無しさん@ピンキー
13/04/17 19:08:37.96 5Yiffq/u
>>647
安心してほしい。それは残像だ。

649: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 23:45:05.87 5Yiffq/u
なんか腕前的にもこのまま投下し続けて大丈夫かなぁと少し心配しつつ。また一本、ドキドキしながら書きこむとします。

タイトルは、【ストラーフMk2がおかえりなさいを言うお話】


 ストラーフMk2は己の股間に装着された一物型金棒を見て悲鳴を上げた。
「何かおかしいことでもあったかのような表情だな」
「マスター! おかしいことだらけだ! どうして私のこ、こ、かんに、こんなモノがついている!」
「だってお前、男みたいじゃん。いっそのこと、女装男子という体で生活しても構わないのではないかと」
「私が……男、だと……!」
 鋭さを増したストラーフMk2の眼光がマスターの眉間に突き刺さる。
「ほら、そういうところがだよ。これがアーンヴァル型だったら泣きべそかくところだろ?」
「私は女だぞ……! 今すぐ元に戻してもらおうか」
 ストラーフMk2は足音を荒して己のマスターに詰め寄った。
「そういう台詞はせめて女の子らしくなってから言え」
「……! もういい、私はこの家を出るからな」
 できる限り感情を抑えて静かに吐いた言葉だった。
 背後でマスターの戸惑いの声が聞こえる。構わずストラーフMk2は外に出た。
 遠くからマスターの呼び声が聞こえる。ストラーフMk2はやり過ごすため、草むらに隠れて周囲を見渡す。
「うわっ! 何者だ!」
 真横に神姫がいた。アーク型である。
「あたくし、野良神姫の真似をしている神姫ですわ」
 アーク型にしては珍しい、しとやかな口調だった。
 女らしい。ストラーフMk2は眉根を寄せる。
「おいお前。アークと言えばもっと熱血硬派だろう。どうして淑女みたいな物腰をしている」
「あたくしのマスターは誕生日にお父さんからイーダ型神姫を買ってもらう予定でした」
 アークが語り出す。ストラーフMk2は周囲にマスターがいないか目を動かしながら話に耳を傾けた。
「イーダ型を御所望だったマスターは嬉しそうにお父さんの帰りを待っていたようなのですが……お父さんは間違えてアーク型神姫を購入してきてしまったのです」
「それは……よく間違えられたな」
「はい。二つとも似たようなモチーフだったので同じようなものだろう、ということで」

650: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 23:46:50.59 5Yiffq/u
「お前のマスターは泣いただろうな」
「それはもう、しかし、結局のところはあたくしを初めての神姫とすることを余儀なくされたのですわ」
「お前のその口調はマスターのイーダ型への未練が原因か」
「はい。ところで貴女の股間に突き立っている棒は……」
「マスターの趣味だ。私を女として見たくないようでな」
 口元を歪めて薄く笑うストラーフMk2に、アークは複雑な表情を浮かべる。
「興奮すると大きくなったりは……」
「するか! 貴様、今すぐ切り刻んでやろうか」
「察するに貴女は女性らしくなりたいようですわね」
「ああ。……アーク型がお嬢様口調だと違和感が凄いな……」
「マスターの指示ですので。それで、なんでしたらあたくしが女性らしさの秘訣を伝授して差し上げてもよろしくてよ?」
「ほう。面白い。やれるものならやってみるがいい」
 ストラーフMk2は不敵に笑んだ。マスターが頭を冷やすまでの暇つぶしには最適だと踏んだのだ。
「それでは先ず、己の男っぽさを嘆いてくださいまし」
「私はこれでも女らしいと思っている」
「そこを推してですわ。さ、どうぞ?」
「押しつけがましいところはアーク型のままだな……。むぅ」
 ストラーフMk2はまぶたを閉じて、心の中で女らしくない今の自分をとことん嘆いた。
「……無性に腹が立って、悲しくもなってきた……私はなんて駄目な神姫なんだろうか……」
「ストラーフMk2は戦闘馬鹿ですから、しょーがないことだと思いますわですわ」
「おい、口調が怪しかったぞ」
「気のせい、気のせい。ですわ」
「……それで。次は私に、何をさせたいんだ」
 無愛想な顔で尋ねるストラーフMk2に、アークは微笑みを返して……平手を打った。

651: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 23:48:23.56 5Yiffq/u
「痛ッ! 貴様……ッ」
「ここではお姉さま、と呼びなさい。でなければこの講義は終わりでしてよ?」
「上等だ。一分たりともこんなところにいられるか! 今すぐ―」
 出ていこうとして、踏ん張る。マスターが近くまで戻ってきていた。
「……お姉さま。私はできるだけ静かにこの講義を聞きたい。できるだけ静かに話してもらえないか」
「よろしくてよ。おーっほっほっほ!」
「怪しさ極まりないが、やむをえまい」
 ストラーフMk2とアークは手ごろな石ころを見つけると、地面に敷いて腰掛ける。
「続きを聞かせてもらおう、お姉さま」
「よくできましたわ。では先ず、マスターのことを想ってください。勿論これまでの自分を嘆きながら」
「いいだろう。……だが、これで効果が上がらないようならお前は手痛い授業料を得ることになるぞ」
 低い声音でアークに凄んでからストラーフMk2は己が主のことを考えた。
「いかがですか。何か思い浮かびましたか」
「ああ。マスターは私にやたらとフリフリした衣装を着せたがっていたな。最近はそういうこともなくなったが」
「成程。他には?」
「他は……トイレが爆発した時に真っ先に私を溢れ出た汚水から助けようとしたり……」
「へえ……。他は?」
「全裸で街中を疾走しなくてはならなくなった時に私に他人のフリをしていて構わないと言ってくれたり……」

652: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 23:49:05.35 5Yiffq/u
「ケッ。なんでそんな良いマスターに仕えている神姫がこんなところでクダ巻いてんのよ」
「お嬢様口調はどこにいった」
「……っと。あらあらうふふ。まあまあですわ~♪」
「お前、今までずっとそれでやってきたのか……同情する」
「つ、次の項目は! 女の子らしい仕草を身につけよう! です、わ」
「無理するな。ここには私とお前しかいない」
「そ、そういうわけにも……習慣にしないとふとした時に素が出ちゃう……ますわ」
 ストラーフMk2の目元が滲んだ。自分は恵まれていたことを自覚したのである。
「……次の項目、教えてほしい」
「いいでしょう。教えて差し上げますわ。……っし! ご、ごほん! それで、女の子らしい仕草を、との話ですけれど」
 アークは立ち上がって、ストラーフMk2の足元に駆け寄る。
「なにをする気だ……?」
「お帰りなさいませ、マスター」
 アークはイーダ型に引けを取らない、優雅で穏やかな一礼を見せた。
 柔らかく静かな物腰だった。自分が拍手をしていたことにストラーフMk2が気付いたのは一拍置いた後だった。
「見事だな。日頃の鍛錬の賜物というわけだ」
「でしょ!? でしょっ!? 良かった……! 努力が報われたわ!」
 アークは涙目になって何度も首を振る。気品も何もあったもんじゃなかった。
 ストラーフMk2は少し考えを改めることにした。
「その一礼、私に教えてくれないか?」

653: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 23:50:55.05 5Yiffq/u
「え、……い、いいわよっ! 元からそのつもりでしたわしたし!」
「おい、何言ってるのか知らんがはっきりしゃべれ」
「……すーはー……。うん、よし。……ごほん。じゃあ今日のところはこの一礼を教えて講義を終えるわね」
 もとい、そのくらいしか本当に教えられるものがないのだろうと思ったストラーフMk2であるが、口には出さなかった。
「腰を曲げて一礼。基本はそれ、はい、やってみて」
 ストラーフMk2はぎこちなく腰を曲げて一礼してみせる。
「駄目よ。それじゃまるで軍人みたいじゃないの。そんな一礼はゼルノグラード型にでも任せたらいいのですわ。さ、あたし……あたくしのお手本をもう一度見て」
 ストラーフMk2とアークの一礼特訓は日が暮れるまで続いた。
 日が暮れるまで練習をして「ただいま、マスター」と帰宅した瞬間、ストラーフMk2は金切り声を上げた。
「ごめんね、スーさん。そうだよね、スーさんだけじゃ嫌だもんね。気がつかなくてごめんね」
 マスターが下半身を露出させて、ストラーフMk2を出迎えたのである。
「ば、馬鹿! 誰かに見られたらどうする! さっさと扉を閉めろ!」
 ストラーフMk2は無理矢理に主のくるぶしを押して、マスターが玄関から奥の部屋に移動するよう促す。
「え、なんでそんなこと言うの……!? まさか、やっぱり僕ももう一本股間に取り付けないと不公平だから……?」
「そんなこと私がいつ求めた! それに昼間と態度が変わり過ぎだ一体何があった!」
 騒ぎながらも奥の部屋にマスターを移動させる。
 マスターをベッドに座らせてから、ストラーフMk2は声を大にして言った。
「マスター。貴様は私が男みたいだと言ったな」
「言った。今でもその事実は変わらねえな」
「……先ほどまでの弱気さはどこに……いや、いい。だがマスター。これから私がすることを見て、それでも男みたいだと言えるかな?」
「……面白いじゃん。見せてみな」
 ストラーフMk2は口元を悪そうな笑みに曲げて、アーク直伝の一礼をして見せた。
「……。スーさん、やればできる子だったんだな……」
「その言い方は不名誉な気もするが、今だけは褒め言葉として受け取っておこうか」
「一礼の時だけ、女の子らしかった。というかどこかの令嬢みたいだったな。白いログハウスで静かに紅茶を飲んでいるような」
「これでわかっただろ。私は、女だ」
「ああ、男にはできない一礼だったよ。股間のイチモツ、取らせてもらおう」
「ああ、頼むよ」
 勝ち誇った笑みを浮かべるストラーフMk2だった。
 その笑みは息つく暇もないほどの間に崩れ去る。
「ふあっ!?」
 意図せず漏れた声だった。
 ストラーフMk2は自分の股間に走る感覚に眉をはね上げた。
「そういえば性感スイッチがオンになってたっけ」
「こら、マスター! どういうつもり……あっうぅ……!」
「我慢してくれ。すぐにひっこ抜けるようには出来ているから」
「な、なに、初耳だぞ。それなら私が自分で抜くから……ふあ……!」
「はい、完了っと。これでお前は完全に女の子だ。……どうした、スーさん」
「ぁ、ぁぁ……ぅぅうううう……!」
「……まさか、イった、とか?」
 ストラーフMk2の肩が震えた。
「マスター。私は女の子か……?」

654: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 23:52:41.95 5Yiffq/u
「は……? 当たり前だろ、そんなもん」
「その棒は、私を女にするために着けたものか……?」
「話を誤魔化そうとしているわけか。心配いらねえよ。今のは忘れる」
「そうか。やはり、私のマスターがマスターで良かった」
「それだったらもう一度だけまた、一礼してみてくれないか。今度はちゃんと見たい」
「……恥ずかしいが致し方ない。見せてやろう」
 ストラーフMk2は己が主の手のひらで一回転した後、簡素に腰を折った。
 両サイドに結われた髪が小さく跳ねる。
「おかえりなさいませ、マスター……」
 頬を桜色に染めたストラーフMk2が上目遣いに呟いた。
「……では、これよりちくわに入るとする」
「……は? なにを言って……?」
 ストラーフMk2の身体は己が主に優しく握られ、彼女の眼前に長い軟体の物体が現れた。
 息する間もなかった。ストラーフMk2はちくわの穴へと挿入される。
「な、い、一体なにがどうなって……!」
「スーさん。お前をちくわごとしゃぶらせてもらう」
「馬鹿な!? 一体何が起こって……ぅわあああっ!?」
 ねっとりとした感触がストラーフの頭頂とつま先を撫でまわしていく。
 ちくわに包まれたストラーフMk2はマスターの口内に導かれたのである。
「ちゅばっ。ちゅぼっ」
 静かなひと時だった。マスターのしゃぶり音が心のビートを刻んでいる。
「ぷはぁッ!」
 ようやくマスターの口内から解き放たれたストラーフMk2は呆然としていた。
 マスターがちくわから押し出しても、ストラーフMk2の表情は変わらなかった。
「……マスター。君にどんな性癖があろうと、私は気にしない。気にしない、気にしない、気にし、ない……」
「スーさん、ごめんよ。これはおまじないなんだ。最近ネットで流行ってて……」
「ステマだろう、どうせ、今日は疲れた、おやすみさようならバイバイキン……」
 感情の宿らない声音でストラーフMk2は呟き、倒れこむように寝台型充電器へと伏せて、そのまま動かなくなった。
「今度、攻撃性の高い武器を沢山買ってやろう……魔が差しちまったなぁ……」
 ストラーフMk2が眠りに落ちる最中に聞こえてきた最後の言葉は、マスターの冷静な反省と懺悔だった。
≪おしまい≫

655: ◆PNv45Jllpo
13/04/17 23:55:14.38 5Yiffq/u
以上。連投だから安価つける必要ないよねっ。
……にしても、レスをさかのぼってみると、結構気合いの入ったSSが投下されてるなぁ。
それに比べてワタシのSSのなんと軽い感じがすることか……。場違いだったらとかつい思ってしまった。先駆者さん達は念が凄いね。

656:名無しさん@ピンキー
13/04/18 11:21:33.68 8XeJWKwv
人いねえ……話したいのにな……。

657:名無しさん@ピンキー
13/04/18 12:07:03.37 8XeJWKwv
人妻ストラーフ(初代)、か。マスターを出迎えるボクっ娘の振り返りエプロン姿、か。
浮世絵にしたら流行りそうだ。振り向き神姫。

658:名無しさん@ピンキー
13/04/18 12:27:52.67 kz/v4z/f
うなじ、鎖骨、ハトメ、ネジ穴…

>>655
衝撃のラストに全米がちくわ
軽いノリの作品には読みやすいという利点もあるしいいじゃないの。

659:名無しさん@ピンキー
13/04/18 14:05:25.52 8XeJWKwv
そうか、なら良いんだけど。
書きこむ側としては、相手を不快な気持ちにさせてないかとか心配になるんだよなー。
美味しい食事は幸せの素だけれどさ。
食事っていうのは、もっとこう、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてないとダメなんだ。独りで静かで豊かで……。
……やっぱ独りはなしで。少しばかり淋しいではないか。

660:名無しさん@ピンキー
13/04/18 15:34:48.53 8XeJWKwv
……聞いてくれなくても書いておこうと思う。
俺は先ほどまでフブキ型神姫のSSを書いていたんだ……。
書いてたんだけどさ、不意に指先がキーボードの一角にあるボタンを突いちゃってさ……文章が消滅したんだぜ……。
はは……走れメロス的な内容だったんだがな……。
具体的には、天井に張り付いて身動きがとれない脱糞しかけのマスターを救うためにフブキが接着剤をはがす溶液を店まで買いに行く道中で様々な問題に巻き込まれるというストーリーだったんだけれど……。
虚無感というか、脱力感がやべえ……。もう二度と同じ内容のは書けないだろうからなおのことだぞ……。

661:名無しさん@ピンキー
13/04/18 16:55:29.41 pyaXJmuE
>天井に張り付いて身動きがとれない脱糞しかけのマスター
どうしてそうなったw

662:名無しさん@ピンキー
13/04/18 17:32:25.94 8XeJWKwv
だって……脳裏に浮かんできちゃったんだもん。
そうなったいきさつだって書いていれば自ずと現れてきたはずなのに……ぅぅ……。
フブキ型はフブキ型で忍者スタイルに憧れていて、天井に張り付くマスターを尊敬の眼差しで見つめていたりもしたんだぞ。

663:名無しさん@ピンキー
13/04/18 18:20:55.79 mcy4faDv
これは死んだ

664:名無しさん@ピンキー
13/04/18 18:24:58.01 mcy4faDv
誤爆した

665:名無しさん@ピンキー
13/04/18 20:00:33.17 8XeJWKwv
>>658
そういえば神姫にはネジ穴があるんだった。盲点だったわ。
ネジ穴……ゆるゆるのネジ穴に突っ込まれる太くて固いドライバーが基本か……?

666:名無しさん@ピンキー
13/04/18 20:10:05.09 kz/v4z/f
らめぇ!そんな無理矢理回したら…なめちゃうのぉぉぉ!!
こうですかわかりません

667:名無しさん@ピンキー
13/04/18 20:34:00.65 8XeJWKwv
えっちなのは嫌いです! 警察呼びますよ!(もじもじ)

668:名無しさん@ピンキー
13/04/20 07:41:59.79 ERPf4LiQ
良作が2作も!!GJ!

669:名無しさん@ピンキー
13/04/20 08:46:23.09 lvvyAjJs
本当はあと一本、載るはずだったんだが……。
うん、そろそろ虚脱感からも解放されてきた頃だし、一本載せようか。

せっかくだから、またお題を提供してもらいたいと思います。
神姫に関してはメジャーなのは良いけれど、マイナーなのはあまりキャラクター通りには書けんかも。
マスターとの関係によって神姫の性格は変わるけど、できれば原作準拠な神姫達を読む方としては見たいのではないかと推察して言ったことです。
バトマスの神姫イベント、一部の神姫の分しかクリアしてないのよね。アニメは見たぞ。

では。お題は全部で三つ、三題話的な感じで。書き込みの早い順から採用しますぞ。

670:名無しさん@ピンキー
13/04/20 09:04:35.05 9QKIN5FX
神姫とマスターor神姫同士の
甘々な話が見てみたいな

671:名無しさん@ピンキー
13/04/20 10:04:08.65 lvvyAjJs
先ずは『甘々な話』がひとつ挙がったな。
神姫×マスターとか神姫×神姫ってのは、神姫SSなんだから心配ないぞ。
……あれ待てよ、マスター×マスターってのもアリなのか……とか思ってみたり。

残りふたつ、か。
一人で何個も出さず、一個ずつで頼むぞ。一人で幾つもキーワードあげても良いけれど、採用するのは一個だけ。

672:名無しさん@ピンキー
13/04/20 12:52:26.09 lvvyAjJs
……とかなんとか偉そうなこと書いちゃってなお中々落ちつかない私である……。
落ちつけオレ、別に読みたいと思う人が他にいなかったとして、いざとなれば辞書からてきとーに引いて残りふたつのキーワードを埋めれば良いじゃんか。
そうだよ。うっわぁ、やべえ……落ちつけ! 需要があるのかもわからんのにいきなり三題話的な感じのキーワード募るとか何を焦っているオレぇ……! それにあまり連投して書きこむと他の人達が書き込みにくくなるやもしれんじゃねえか……!
落ちつけ、落ちつけぇ……落ちつけオレ、落ちつけぇぇぇえええええええっ!! オレの心、落ちつけよぉぉお! 手に人書いて飲んでも……少しだけ落ちついたじゃねえか、こんにゃろう。

こういう時には既に出たキーワードについて想像を膨らませてみると良いな。
マスターとの甘々な生活か。毎日あんみつ食べてるような生活かな。それともハート形のクッキーを毎日のように焼いて食わす生活かな。

673:名無しさん@ピンキー
13/04/20 14:48:06.88 UxGP52VE
あまあまな話の中に「NTR」をいれてみよう(ゲス顔

674:名無しさん@ピンキー
13/04/20 15:14:48.51 lvvyAjJs
ぶはっ!? NTR入れるか……! 俺にネトラレを書かせるか……! とはいえ、先着順だと決めたから決定なのである。
これで『甘々な話』『NTR』のふたつ、出てきましたね。残りひとつです。
それにしても、甘々でNTRだと……!? 火サスの幸せだった一時でも書けと……!?

675:名無しさん@ピンキー
13/04/20 20:31:49.13 9Q64tqDC
インセクトアームズ

676:名無しさん@ピンキー
13/04/20 20:48:13.43 Bq3R1i+S
ショタっ子マスターと甘々生活してたカブクワが本物の甲虫、鍬形虫にマスターを取られ、
挙げ句、本物に挑戦状を叩きつけたカブクワが虫姦される話とな!?

677:名無しさん@ピンキー
13/04/20 20:58:51.45 kE00C6Di
NTRが入るなら俺の要望は叶えられたな

寝取られて光りそうなのって誰だろう?
レーネとか?

678:名無しさん@ピンキー
13/04/20 21:09:01.80 lvvyAjJs
>>675
なんの単語かわからなくて調べてみたけど、し……渋い!
昆虫をモチーフにした神姫製作会社の名前っすか……!
つまり、あれですよね。インセクトアームズ社を舞台にしてほしいって、そういうことですよね。むしろ、そうでありますよね……っ?
俺っちバトロン未経験なのですよ。インセクトアームズ社の神姫の性格とかネットに記載されてる一行だけの情報でしか知り得ないのですよ……?
でも……良いでしょう。神姫の名を言うのではなくて、神姫製作会社の名を言ったということは……つまりつまりつまりはそういう捉え方もできる、はずだ!(メラメラ)
というわけで、三題話最後のキーワード『インセクトアームズ』が入りました。
以上でみっつの話の要素が揃ったので、募集締め切ります。ありがとうございます。以下、改めて続きまする。

679:名無しさん@ピンキー
13/04/20 21:14:02.38 9Q64tqDC
カブクワ組と書くべきだったかのう
呵呵呵、それもまた良し

680:NTR注意!!  ◆PNv45Jllpo
13/04/20 21:15:48.31 lvvyAjJs
はい。そういうことで。
『甘々な話』『NTR』『インセクトアームズ社』の三つを三題話の題材として書かせていただきまする。
でも、今日は夜もふけて参りましたのでそれにプリニー2とかやりたいので明日に投下させていただく所存であります。
決して、決して、額に脂汗浮かべてどういう話にしようかとか、唸っているわけじゃないんだからねっ!?
NTR要素入ってますから、念のために名前のとこに注意書き入れときましたけど……そういうのはここでは不要?

681:名無しさん@ピンキー
13/04/20 21:18:05.42 kE00C6Di
本気で嫌がる人もいれば、私みたいに大好物な人もいるので・・・
書いておくに越したかとはないかと

682:名無しさん@ピンキー
13/04/20 22:05:15.22 ZP3uME8I
申し訳ないがNTRはNG

683:NTR注意!!  ◆PNv45Jllpo
13/04/20 23:05:13.38 lvvyAjJs
了解です。ちゃんと名前欄に注意入れといた方が良いようですな。それでは後日改めて。

684:名無しさん@ピンキー
13/04/20 23:29:43.43 +yJUwMRj
こっちにかかられずに直接wikiに乗ってるSSも多いみたいなんだけど何か理由がるの?

685:名無しさん@ピンキー
13/04/21 09:04:33.56 wBZRQH/a
>>684
pixivの小説機能からSSまとめに転載してるのも有る

686:NTR注意!!  ◆PNv45Jllpo
13/04/21 15:23:49.68 MgqrQtv0
それでは、投下していきまする。名前欄にある通り、NTR注意ですぞ。

タイトルは、『あけないで!』


 閉ざされた空間にいた。
 インセクトアームズ社の実験室に設けられた研究用の小部屋のなかに少年がいた。
 少年は大きく溜め息を吐いた。
「モニターのバイトって話だけど、いつまでここにいればいいんだ?」
 手元にはランタンの灯りがあった。暗闇のなかを薄く照らしていた。
 少年はその場にうずくまっていた。鍵は外から締められており、内側からは開かない。
「オーナー、インセクトアームズ社を好んでいた」
 少年の胸ポケットから声がした。
 クワガタ型神姫エスパディアである。
「こんな状況でもお前は普段通りにテンション低いな」
「オーナー、夜は昆虫にとって幸せのひととき」
「いま本当は昼なんだけどなっ! 部屋中真っ暗にされて監視カメラでモニターされてるんだけどなっ! 新しい神姫開発のためとかで!」
「ヤーは永遠にオーナーと無理心中したいなりけり」
「今度は時代劇にでもハマったのか? この前は昼ドラだったけどさ」
「オダイカンサマアーレー」
「和服ゴシック装備が売られてたような。帰りに買ってやろう。日給だしな」
「オーナーは優しいから好き」
「良かった。それで……あの、そろそろお話を聞きたいんだけど……」

687:NTR注意!!  ◆PNv45Jllpo
13/04/21 15:25:56.75 MgqrQtv0
>>686
 少年は足元を見下ろした。
 少年の所有物ではない神姫がいた。
「カブト型神姫ランサメントお姉さんよ。お姉さんって呼んでいいわ」
「インセクトアームズ社の雛型神姫の一体だよね。でもごめんね、僕クワガタ派なんだ。縦に一閃したり横に一閃したりが好きで」
「お姉さんショックだわ……けど燃えるじゃないの! さて、そろそろ時間ね」
 言い終わってから、気まずい沈黙と暗闇が続く。
 部屋の電気がついた。
「どっこいしょ……あいたたた……どう?」
 ランサメントは腰を軽く叩いて立ち上がる。
 少年は息を飲んだ。
「どうって、入ってきた時は殺風景だった部屋が、メルフェンな感じになってるぞ……!」
「でしょ? フリフリの装飾に、曲線が美しい机や椅子、腰掛ければ埋もれてしまいそうなソファーに、この道十数年の匠が仕上げた芸術級のお布団」
 ランサメントの笑い声は清々しいものだった。
「あと、床に畳みが敷かれてる……これは良い材質……」
「あら、クワ娘さんはわかってるわね。流石は同じ土で生まれた神姫ね」
「クワ娘じゃない。緑青って呼んで。オーナーのつけてくれた名前だから」
「僕、ずっと座ってたんだけど……畳みとかいつの間に」
 少年は深くは考えないことにした。
 インセクトアームズの 技術って スゲー! と思うようにした。
「この室内で何をしたらいいの」
「良い質問ね緑青ちゃん。今から私は君のオーナーを寝取りますので、緑青ちゃんは全力で防ぎきってくださいな」
 エスパディアの目元がキツく絞られる。
「オーナーを取ると……? オーナーの神姫になるのではなく?」
「その通り。私が悪の怪人役をやるから、緑青ちゃんは遠慮なく私を退けてね」
「武力行使はなし……?」
「なし。実験にならないからね。あくまでも君の魅力で守ってみせてね」
 ランサメントが茶目っ気溢れるウインクをする。
 エスパディアは胸ポケットに収まったまま、頭上の主人に目を向ける。
 少年は突然明るくなった視界に眩しそうに瞬きを繰り返していた。
「ねえ、お姉さん。僕はあまりカブト型は好みじゃないから、実験にならないと思うよ?」
 何気ない風に少年は断言した。

688:NTR注意!!  ◆PNv45Jllpo
13/04/21 15:27:33.52 MgqrQtv0
>>687
「その認識をこれから変えていくの。さ、それじゃあボク、お姉さんと一緒にお布団に入りましょうか」
 少年は呻いた。がむしゃら攻撃後に狙い撃ち攻撃を受けて頭にクリティカルヒットしてしまった気分だった。
「けど、これも仕事か。わかっ―」
「オーナー。言うことを聞く必要はないです」
 少年は痛みに歯を食いしばる。
「わ、わかった、から、胸元をつねらないでくれよ」
「オーナー、和ゴス装備なんていりませんので早く帰りましょう」
「……お前がそう言うのなら、僕としても構わないよ。でも、今日は僕とお前が初めて会った日なんだから、せめてプレゼント代くらいは稼がせてほしかったな」
「ヤーはオーナーと一緒ならそれで満足」
 少年の肩まで上ると、エスパディアは彼の頬に額をつけた。
「オーナーのほっぺ、温かい」
 ランサメントがエスパディアを睨みつける。
「見せつけてくれるじゃないの。けれど、私だって今は怪人なの。悪いけれど、君の好きにはさせないわ」
「ね、お姉さん。このバイトってやっぱり最後までやらないとダメ……だよね?」
「お仕事ですので。当然のことね」
 だってさ、と少年は肩に乗るエスパディアを手のひらに移した。
 真正面から見た彼女の顔は、笑っていなかった。笑ってないのはいつものことだが。
「オーナー、全力でお守りします。主に心を」
「頼むよ。数時間で終わるバイトだから」
 エスパディアは力強く頷くと、少年の手から下りてランサメントの前に仁王立ちした。
「ダーが息子が娶ってきたお嫁さんですって? ……ふーん」
 棒読みだった。
 エスパディアは無表情なまま、視線だけは鋭くなっていた。
「ヤーは息子の母です。この家で勝手な振る舞いをすることはヤーの顔に泥を塗ることになりますので」
 またしても棒読みだった。
「出たな! 悪の怪人め! 息子さんをどうする気なの!?」
 ランサメントは腕を組んで高らかに叫んだ。自分の設定を押し通そうとする意思が見え見えだった。
「あらこのお味噌汁、薄いったらないわ」
「この怪人は超音波を使う……!? このクワガタ怪人め!」
「いいえ、薄いどころではないわ。味がないのね」
「違う、魔術師タイプね! 成敗してくれるわ!」
「成敗……? 武士を愚弄するか、無礼者……!」
 少年は上質な布団にもぐって目を瞑る。
 別に仕事内容に反してはいない。室内で好きにしていればいいだけの簡単なお仕事なのだ。
「武士の皮をかぶって悪事を働く秘密組織の怪人め! 許さないんだからっ!」
「お味噌汁もまともに作れない武士など良妻賢母ではないの」
「そこまで言うなら、貴女はまともなお味噌汁を……って、なんか会話変じゃないかしら。オーナーさんが蚊帳の外……はっ!?」
「ふ。ダーは既にヤーの術中にハマっている。オーナーを寝取らせは、しない!」
 エスパディアは息を荒くして言い放った。
 少年は静かに目を瞑る。
「オーナー。寝てはいけません、仕事内容に反します」

689:NTR注意!!  ◆PNv45Jllpo
13/04/21 15:31:04.47 MgqrQtv0
>>688
「あ、あぶない……! 寝心地が良かったからつい……」
 ランサメントの脇をエスパディアが通る。
「私に道を譲ってくれるのかしら?」
「違う。既に決着はついたから」
「まだ勝負はこれからじゃないの、逃げるつもりでしょうけれどそれは無駄な話!」
「違う。オーナーは既に布団のとりこ」
 エスパディアの指は布団をかぶって穏やかな顔をしている少年に向けられている。
「眠ってはならない。けれど布団から出るのが惜しくて、離れない……オーナーは、布団に寝取られた」
 ランサメントは膝から崩れ落ちる。
「そ、そんな。布団が恋人とでも言うの……!?」
「布団は人間の第二の恋人。昔に誰かが言っていた」
 上質な畳みの上で涙を流すランサメントの肩にエスパディアの手が乗せられた。
「布団には誰も敵わない」
「盲点だったわ……まさか、布団に対象を寝取られるなんて……!」
 少年の元にエスパディアが悠然とした足取りで歩んできた。
「オーナー、お目覚めください」
「痛ッ! ……いくら眠りかけていたからって、まぶたをつねることないのに……っ」
 重く閉じかかっていたまぶたをこすりながら、少年は布団にもぐろうとする。
「オーナー。ヤーと今日出会ったばかりの布団、どちらが大切ですか?」
「この布団、最高なんだ。家のとは比べられないくらいに」
「……カブト型のお姉さん、この人いらないので差し上げます」
「い、いやぁ、こっちも仕事として寝取ってたわけで、本当にこの子が欲しいわけでは……」
「やっぱりオーナー取らないで。さみしいから」
「取らないも何も……あ、そこはオーナーさんも同意なんですね。仲がよろしくて結構なことね」
「ヤーとオーナーはお腹の底で繋がってる。なのに……」
「こういう結果に終わるなんて……子供だから浮気とか考えないのかしら」
「いまはオーナーが布団から出てきてくれない」
「いえ。人選に問題があったのね。カブト型が苦手と聞いていたのに、わざわざカブト型である私を寄越した人達にこそ責任があるの」
「本当に、布団にオーナーを寝取られるなんて……」
 契約時間が消化されるまでの間、少年は布団にもぐって心身を休めていた。
「……職員さんが扉を開けてなかに入ろうとしてきているんですけど……」
「あけないで」
「どうして? もうお仕事が終わったと考えてもいいくらいよ?」
 弱々しいランサメントの視線に、エスパディアは簡潔に答えた。
「日給減らされるから。和ゴス装備欲しい」
 少年の耳にはそれ以降なんの音も入ってはこなかった。 
 少年の心身が完全に布団のものになった瞬間だった。
 少年は寝たのである。
<おわり>

690:NTR注意!!  ◆PNv45Jllpo
13/04/21 15:35:17.81 MgqrQtv0
以上で完結です。
即興話にしては……うん、何も言えないっす。
きちんと書ける人って凄いなぁ。

691:名無しさん@ピンキー
13/04/21 22:12:27.32 wBZRQH/a
布団が寝取った!
斬新だなぁ

692:名無しさん@ピンキー
13/04/21 22:23:29.44 cxVossa6
これはワロタwwww

693:名無しさん@ピンキー
13/04/22 09:49:24.76 Vt9nEdnw
うん。NTRが好物な人でも、NTRが苦手な人でも楽しめるようにしてみたよ。
NTR大好物と、NTR嫌いという両方の書き込みがあったからなっ!(ドヤァァァアアア!!
水面下では甘々なインセクトアームズ社の日給バイト少年のお話でした。
インセクトアームズを投げてきた人の意図としてはインセクトアームズ社の神姫達を登場させてほしいって書き込みがあったので、これもそのように。
ドヤッ! ドヤッ! ドヤァァァァアアアアアッ!!(←後光が差している

694:名無しさん@ピンキー
13/04/22 11:20:30.18 Vt9nEdnw
>>691
布団……それは、人をたらしこむ深淵の癒し……

695:名無しさん@ピンキー
13/04/22 21:14:34.08 bJjzYetM
ここってガチエロ不可なん?

696:名無しさん@ピンキー
13/04/22 22:05:10.99 zJ9kykrd
別にそんな事はないだろ
ガチじゃなくても普通に受け入れられるってだけで

697:名無しさん@ピンキー
13/04/22 23:03:14.59 bJjzYetM
そうなのか
じゃあ何か書こうかな

698:名無しさん@ピンキー
13/04/23 09:30:38.73 xo5BOnvP
これはwktk……! 期待、期待、更に期待……っ!

699:名無しさん@ピンキー
13/04/23 16:56:36.68 c9S1/O+m
ここはインセクトアームズ社のメンテナンス室。
ハンガーには右肩がギプスで固定された、修理中のエスパディア型神姫が眠っている。
そこに歩み寄るランサメント型神姫。

「ヤー(私)を起こしたのは、キミなの?」
「貴女のバトル、見てたよ。あんな無茶な事して壊れてたら無意味じゃないの」
「でも勝利がマスターの望み。マスターの望みはヤーの望み。マスターの悦びはヤーの悦び」
「闘って勝つだけが神姫の全てじゃないよ」
そう言ってエスパディアの唇に軽くキスをする
「!!な、何を・・・むぐ」
反応を見て今度はより強く、貪るように舌をねじ込んでいく
・・・
「神姫は操り人形とは違う。マスターの愛情を受けてどこまでも強くなれる存在」
「ヤーも、もっと強くなれる?」
「マスターとこんな風に愛し合えれば」
もう一度キスをしながら指で胸に円を描くように撫でる。
ぐるぐると登りつめ、頂点のポッチをちょんと弾く。

その直後エスパディアが軽く痙攣のような動きの後、だらんと力が抜ける。
「あれ?イっちゃった?ココからがお楽しみなのに・・・残念」
ランサメントが名残惜しそうにその場を後にする。
バトル漬けのエスパディアが女性として目覚めて行く・・・

もしよければ続き書きます。

700:名無しさん@ピンキー
13/04/27 02:03:45.90 DHOhGZNs
初々しさがあふれる文章だな
今後に期待だ

701:名無しさん@ピンキー
13/04/27 21:07:29.44 WFZG1ahu
SSは‘書いちゃうもの’であり、‘書いちゃったもの’なんだぜ。
書くとか書かないとかじゃない、書いちゃうものなんだぜ。
書きたいとか書きたくないとかじゃない、書いちゃったものなんだぜ。
あれだ、守るのがナイトなのではない、守ってしまうのがナイトだ的な。
書くというよりも、書いちゃうものなんよ。書いちゃったってあり様なんよ。
SSだけじゃなくて、普通の小説にも当てはまるかもしれん。
気付いたら書いちゃっていて、書き上げちゃった、という具合だね。
書く書かないではなくて、書いちゃった、だ。そういう思考で書くのなら楽しいもんだぜ。

702:名無しさん@ピンキー
13/04/29 15:30:09.18 QuKBiIhF
ラプティアス(エアドミ仕様)が新しくマスターにお迎えされて
自分の他神姫のお姉ちゃんポジ&「マスターの嫁」の座まで脅かされたヴェルヴィエッタの空回り意地っ張り奮闘記

703:名無しさん@ピンキー
13/04/30 23:44:00.98 2/EZ9jt4
>>699
ここはインセクトアームズ社のメンテナンス室。
ハンガーには左肩がギプスで固定された、修理中のエスパディア型神姫が眠っている。
そこに歩み寄るランサメント型神姫。
「今度は左肩?その様子だとマスターとは進展してないっぽい?」
「こうするとキミに会えると思ったから」
「えーっと、それってもしかして私に会いたくてわざと怪我してきたのかな?」
・・・
エスパディアが頬を赤く染めながらコクリと頷く。
「うわぁそんな反応されたらもうたまんないなー」
ハンガーごとエスパディアをグッと引き寄せて唇を重ねる。長い、長いキス。
互いの口の中で舌がまるで別の生き物のように暴れている
ランサメントがキスの対象を胸からお腹、ヘソを通って下腹部に移動
その一挙一動に反応して甘い声を漏らすエスパディア
「あぁもう我慢できない」
そう言って立ち上がり、自分の腰から何か取り出すような仕草を見せるランサメント
その矢印の先が不自然に盛り上がっている
「あ…これって…まさか」
「興奮したら出てきちゃうのよね。だってツノの有るカブトは…オスなんだよ」
そう。その膨らみは本来神姫にはない筈のモノ。
ランサメントはハンガーをぐるりと回転させてそれをエスパディアの顔の前に突き出す
「ねぇお願い。これを…」
逆さまのエスパディアはそれをじっと見つめて、先端にキスをする
そして舌で持ち上げるようにして舐めまわす。
「あ、それイイ、すごく上手。もうダメ」
ランサメントがいきり立つソレをエスパディアの口に押し込んでそのまま中で果てる
「ん!…むぐ…んむ…んっ」
ようやく解放されたエスパディアが咳き込んで辺りに白濁した液体をまき散らす
「それじゃメインイベントと行きますか」
ハンガーを元の体制に戻し、今度はエスパディアの腰に手を回す。
たった今盛大に出したばかりなのに衰えることもなくビンビンのソレを押し当てる
その時、突然ドアが開く音。誰かが部屋に入ってきたのだ。
「わ、やばっ」
ランサメントは白濁したグリスまみれのエスパディアを残して慌ててその場を去った。

704:名無しさん@ピンキー
13/05/01 22:57:06.87 JzrAQG7j
フブキ「マスターのお稲荷さん」

705:名無しさん@ピンキー
13/05/02 00:23:13.02 By/NK8Ih
>>704
>>514

706:名無しさん@ピンキー
13/05/10 10:08:22.83 JGmJHIKW
これはちくわじゃねぇ、ちくわぶだ

707:名無しさん@ピンキー
13/05/11 14:54:42.79 YvU+fEz4
ちくわフォーエバー!

708:名無しさん@ピンキー
13/05/12 17:07:17.14 obiU25za
ちくわぶじゃねぇ、ちくわ部だ

709:名無しさん@ピンキー
13/05/14 12:48:19.09 Najgu620
竹輪に迅速に神姫を詰め、即座にくわえ込み―舐める!




そんな部活です

710:名無しさん@ピンキー
13/07/30 NY:AN:NY.AN /yE64m63
そう言えば7月も終りだね
夏休みと言えば旅行と来てストーリーを組み立てれたらいいな
海→水着とか考えたりするが

711:名無しさん@ピンキー
13/08/05 NY:AN:NY.AN t3qvF5vA
ああ、男性マスターの海パンが波に流されて、神姫が海に潜って海パンを探しに行く途中、潜水状態で盗撮を行う全裸の男に出会う、というストーリーか。中々に良いな

712:名無しさん@ピンキー
13/08/08 NY:AN:NY.AN 2cfZsWc+
全裸盗撮魔がマスターの下半身を撮りに来るのか?
海の中だと誰だろう
イー姉シリーズ、弗子、マリー・セレスか
神姫と全裸男が戦うのだろうか?

713:名無しさん@ピンキー
13/08/09 NY:AN:NY.AN cW3uuziW
盗撮男にも神姫がいて、その神姫はマスターである盗撮男の手助けをしていて……って展開だとおもしろそう
マスターのために盗撮行為を守る神姫と、マスターのために盗撮行為を阻止する神姫とで

714:名無しさん@ピンキー
13/08/10 NY:AN:NY.AN yLrac2cv
全裸盗撮魔がいるからと言って、マスターの危機と考える理由が無い
神姫は神姫でバトルできて面白がってそうだ

715:名無しさん@ピンキー
13/08/11 NY:AN:NY.AN 9qiMQ9iF
そこはほら、マスター大好きな神姫の想いということで……と思ってた
思ってたけど、言う通り理由としては強くないのよね。マオチャオ型とかだとなおさらだ
……じゃあ、全裸盗撮魔が指名手配されてる人物だったとしたらどうだ……?
国と国をまたぐほどに有名な大怪盗ならぬ、大盗撮魔だったという設定を追加して動機の補強を計る
神姫はバトル大好きってのはその通りだしな
その欲求を上回るだけのものと言えば、マスターへのLOVEレベルくらいなもの
マスターに本格的な危機があれば神姫は動くと思うんだよ、でも危機レベルを上げるほどシリアスになる

716:名無しさん@ピンキー
13/08/12 NY:AN:NY.AN jDlJBZcP
>>715
まず、全裸盗撮魔により発生する危機を詳しく

717:名無しさん@ピンキー
13/08/12 NY:AN:NY.AN uP9a5iev
>全裸盗撮魔が指名手配されてる人物だったとしたらどうだ……?
国と国をまたぐほどに有名な大怪盗ならぬ、大盗撮魔だったという設定を追加して動機の補強を計る

その時点でギャグだ
そもそも海パンが流されるなんて事有るの?
ここはつっこんではいけない所か?

議論するのが楽しいネタだな

718:名無しさん@ピンキー
13/08/19 NY:AN:NY.AN eAibU82v
海パンが脱げて流されるのは自分の所の神姫のイタズラのせいかもしれない
?「マスター、代わりにこの極小Tバックをどうぞ」

719:名無しさん@ピンキー
13/09/16 10:10:18.56 ITwaCWMU
夏の海ネタもつづきが来ないな。
最近、連想で壇蜜な紗羅檀ってのが浮かんだ
有りかな?

720:名無しさん@ピンキー
14/01/07 15:17:32.75 bTEG0G1J
武装神姫バトルマスターズ Mk3
~なぎさのマスター争奪戦!ポロリも有るよ~
【きわどい水着素体セット】

2014年夏発売!しないかなぁと ふと思ったり…

721:名無しさん@ピンキー
14/01/07 19:05:55.37 iPiLnDPG
神姫でパーツがポロリとかなにそれ怖い

722:名無しさん@ピンキー
14/01/07 19:40:08.13 hWGnYZjo
13号かな?

723:名無しさん@ピンキー
14/01/08 02:25:21.70 O56BVHcW
CSCが見えちゃうんですね分かります

724:名無しさん@ピンキー
14/03/30 20:56:07.62 dvMTXKcE
もうこのスレも終わりかな

725:名無しさん@ピンキー
14/03/30 23:04:52.99 yejq2QT8
>>724
それはどうかな

726:名無しさん@ピンキー
14/03/31 03:34:49.97 bExwOIfh
嫁自慢等で鳴らした俺達紳士オーナーは、KONAMIの沈黙によりコンテンツ自体終了したが最後の販売会に参加し地下に潜った。
しかし、地下でくすぶっている様な俺たちじゃあない。神姫さえいれば妄想次第で何でもやってのけるアグネス知らず。
不可能を可能にし、巨大なエロを創造する俺達、武装紳士Eチーム!
俺達は、(サイズ的に)エロが通じないという常識にあえて挑戦する、頼りになる神出鬼没の武装紳士Eチーム!
オカズが欲しい時は、いつでも言ってくれ!

727:名無しさん@ピンキー
14/04/02 19:19:48.85 39PfYI38
でも アテナ だけは勘弁な

728:名無しさん@ピンキー
14/04/02 23:21:14.61 XDC+noHn
サバが混雑だとかでwikiiが見れなくて悲しい……


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