WILD ARMS 9ライヴはむっつりスケベat EROPARO
WILD ARMS 9ライヴはむっつりスケベ - 暇つぶし2ch250:アルノー×ラクウェル①
10/10/17 00:56:02 7tx8YJj/
 イルズベイル監獄島から生還を果たした数日後。
 旅立ちの準備を整えるアルノーとラクウェルは、フロンティアハリムから程近いベリーの自
生地を訪れていた。
 彼女の身を蝕む病魔を治す為の旅路。その出立の前準備。
 ハリムの商店にもベリーの類や薬草は売っているが、開拓の地に怪我は日常茶飯事で需要は
大きい。
 その負担を減らすべく渡り鳥である自分達の分は自分達で確保しようとやってきたのだが、
山の天気は変わりやすい、という渡り鳥でなくとも周知の事象を身を持って体感することに
なってしまった。
 必要量のベリーを採取し終えた帰り道、スコールに見舞われた二人は途中に見つけた山小屋
の軒先へと避難することになったのである。

 雨の暗雲と、夕刻過ぎという時間帯のため森は一層暗い影を落としていく。
 アルノーが魔獣の気配を警戒し、術式による一時的な空間遮断―シャットアウトの魔術を
張り巡らせてから、疲れきった様子で背中のドアに身を預けた。
 突然の雨に走ったため二人とも息を切らしているが、殊更にラクウェルの息が荒い。
「……ッァ、ハァッ……大丈夫か、ラクウェル」
 自らも呼吸を整え、水に濡れた前髪を除けながらアルノーは彼女の顔色を伺う。
 元々白い肌がいつもより青白く頼りないものに見えて、焦燥感が増していく。
 アルノーの問いかけに何か言葉を返そうとするが、声にならない様子のラクウェルはただ頷
くのみだった。全く大丈夫ではなさそうだというのに、弱みを人に見せることに慣れていない
彼女は決まってこうである。
 身を竦めながらも彼女の背をさすり、呼吸が整うのを待つ間小屋の様子を伺う。
 かつてはこの山を住処とし、生活していた者が居たのだろうか。
 しかし廃棄されて久しい小屋に住人の姿はなく、試しにドアノブをまわしてみれば、簡単に
ドアは開いた。
「ラッキーだな。雨が止むまで休んでいこうぜ」
 反論などある筈もなく、ラクウェルも頷いて二人は小屋へと入った。

 古ぼけた木の小屋は狭く、今も昔も決まった住人を持たない旅人達の簡易寝床のために作ら
れたものなのかもしれない。身を清める水場などは無かったが、暖炉はあった。有難いことに
薪もセットだ。
 アルノーが術式で火を灯し、二人は並んでその場に腰を落とした。
「ほら、しっかり身体拭いとけ。風邪引いちまう」
 荷物の中からタオルを取り出しラクウェルに手渡す。
「すまないな」
 ようやく呼吸が整った彼女はそんな短い謝罪と供に濡れて重くなったコートを脱ぎ、濡れた
髪から滴り落ちる雨雫を拭き始めた。濡れたリボンを解き、長くくせのある髪が背に落ちる。
幸いにもコートのおかげで彼女自身はそんなに濡れていない。
 そのことに内心安堵しながらアルノーもジャケットを脱ぎ、出来る範囲で身を乾かした。

251:アルノー×ラクウェル②
10/10/17 00:56:48 7tx8YJj/


 静寂が訪れ、パチパチと火の爆ぜる音と、屋根を叩く雨音だけが場を支配する。
 ベリーの絞り汁と乾燥ジンジャーを湯で溶かした飲み物で身を暖めながら、外の様子を伺う。 
 雨音は止むどころか次第に強くなっていき、風も出てきたようだ。この分では一晩缶詰かも
しれない。
「止みそうにねぇな。こりゃ夜明かしも覚悟しておくか」
「皆心配していなければいいのだが」
 ジュードとユウリィには出かける旨を伝えてあるし供に旅をしてきた同士、天候不順による
足止めくらいは想定してくれていると思いたい。
 が、ユウリィはともかくジュードは正真正銘のおこちゃまである。無理して探索に乗り出した
りしなければいいのだが。
「まあユウリィも居るから大丈夫だろ―って、ラクウェル?」
 何気なく見た彼女は平然と涼しい表情を浮かべながらもカップを持つ手を小さく震わせていた。
 雨に濡れ、普段からその身を覆っているコートは剥がれ落ち、その身を包む暗色のワンピース
のみ。宿泊になるとは思ってもみなかったため、シュラフの類は持ってきていない。

「寒いのか?」
「いや……問題ない」
 速攻にして明瞭な否定。あからさまな強がりにアルノーは少々ムッとしながら強引に彼女の肩
を抱き引き寄せる。
「アル、」
「嘘吐け。こんなに冷えてるじゃねぇか」
「……それはお前もだろう」
「そうだよ。だからこうしてた方がいいだろ? それとも嫌か?」
「……」

 今度は否定ではなく沈黙。答えがないのをいいことに肯定と受け取ることにして、肩を抱く手に
力を込める。
 彼女は身を硬くしてされるがままにしていたが、ややあってからそっと頭をこちらの肩に預けて
きた。
「すまないな」
「バーカ。謝ることじゃねぇだろ。つーか俺は役得」
「ふふっ、そうか」
 小さく笑って、彼女はそっとこちらを見つめてきた。普段のような鋭いものではなく、優しい
まなざしで。

「そもそもこんな役回りはお前以外には任せないのだがな、アルノー」


 不意打ちもいいところな台詞に思わず目を見開いてしまった。
 暖炉の火灯りが揺れて、白い肌と蒼い双眸にほのかな橙が差し込む。
 揺らめく炎の照り返しが映えて、まるで涙を携えているかのようにも見えて―。
「―ラクウェル」
 彼女の頬に手を滑らせる。今度ははっきりとわかるくらいにその頬が紅潮した。
 しかし決して彼の手は振り解かれることはなく、どころかそっと彼の胸に手を押し当ててきたり
するものだから。
 頬に触れた手を引き寄せて唇を寄せる。照れた様子ながらも瞼を閉じ、受け入れてくれる彼女の
顔が寸前アルノーの瞳に映った。

252:アルノー×ラクウェル③
10/10/17 00:57:24 7tx8YJj/

「……んっ、あ…」
 合わさった唇の合間から零れる吐息交じりの甘声。
 触れ、離れて、また触れ合う。角度を変えながら何度も、彼女の芯まで蕩かすようなキス。
 彼女を蕩かしながら自身もまた溺れていくかのようなくちづけに、アルノーの中で渇望が沸き
起こる。
 キスの合間にそっとその顔を盗み見てみれば、頬を紅潮させ眦に涙さえ浮かべながらも必死に
こちらに応えてくれる姿。可愛らしくも愛しくて、益々たまらなくなる。
 たっぷりと長い時間をかけたキスの後、互いの唇の端から引く銀糸にも構わず、その細い首筋
に唇を寄せた。
「…ッ!」
 途端、ラクウェルの背にチリチリとしたものが走る。
 触れた先から伝わってくるアルノーの熱と、自分が生み出している熱。ドクドクと脈打つ鼓動。
 壊れ冷え切った体にもまだ熱を生み出すことが出来ることに内心驚きながらも、今はそれ以上
の衝撃に思わず身を捩った。
「ア、アルノー!」
 彼の胸に手をつき、無理やり引き剥がす。
 途端アルノーはハッとしたように目を見開いて、数瞬前まで腕の中にいた恋人へと視線を戻した。
 頬を朱に染めながらも自らを抱きしめるようにして拒絶の意思を示す彼女に「あ…」と情けない
声を上げる。

「わ、悪いッ! やっぱマズイよな。今のはナシだ!」
 彼女の心構えも出来ていない内から突っ走ってしまったかと、アルノーは内心自己嫌悪に陥りな
がらも頭を下げた。
 が、怒り心頭に欲しているのだろうと思っていた彼女からの説教も怒号もなく、怪訝に思って
そろそろと顔を上げてみれば、時間を止めてしまったかのようにぎゅっと自分を抱きしめている
彼女の姿。
 そりゃ暴走しかけたのはコッチだけど、そこまで嫌がらなくても……と内心うな垂れる。
 瞬間、彼女はぽつりと呟いた。
「……アルノー……多分、お前が思っていることとは違う…」
「はい?」
 その頼りなげな声に、思わず彼女の両肩を掴んで向き直らせる。
 普段の剣捌きからは想像も出来ない華奢な肩と腕。本当にきつく抱きしめたら壊れてしまいそ
うなほど。
 目線を上げたラクウェルは涙こそ浮かべていなかったが、本当に哀しそうな目をしていた。

「……私の身体は綺麗なものではない。お前に不快な想いをさせるわけにはいかないだろう」

 そんな頼りなげな声で、何事もないかのように一気にそんな台詞を紡がれて。
 アルノーは自分の中の何かにカッと火がつくのがわかった。
 拒絶の意思を示すかのような腕ごと、強引に彼女を引き寄せ腕の中に閉じ込める。

253:アルノー×ラクウェル④
10/10/17 00:58:03 7tx8YJj/
「アルノー! 聞いていなかったのか! 私は、」
「聞いてたよ。だからこうしてるんだ」
 慌てた様子で身を捩った彼女の背をきつく抱きしめて。
「この、ばか。そんなことで、嫌になるわけねぇだろうが……!」
 彼の震えた手と声に気づき、ラクウェルは暴れるのを止める。
見上げた彼の顔は泣いているような怒っているような、少々頼りないこどものようなものだった。
「だが……」
「あのな、ラクウェル。そりゃお前にオトコの気持ちをわかれって言ったって無理だろうが」
 先ほどと同じように、その頬に手を滑らせて。
 熱っぽい目を真っ直ぐに向けながら。


「好きになった女の身体を嫌うオトコなんか、居るわけねぇんだよ」

 ―などと。
 普通に聞けば誤解を生みそうな。しかしラクウェルには何よりも効果的で意味のある言葉を、
囁いた。



 耳まで真っ赤になりながらも沈黙してしまった彼女の髪をそっと撫でる。
 彼女はその腕から逃れようとはしない。今押し倒してしまってもいいのかもしれない。
 そう思いながらも彼女からの回答を辛抱強く待った。
 さらさらと零れる灰桜色の髪が炎の照り返しに映えていた。
 ベキッと火にくべた薪の一つが折れて小さく火の粉を上げる。屋根を叩く雨音は次第にその
強さを増していくばかり。
 沈黙は周囲の音と色、空気の流れを鋭敏にさせる。否、自分の感覚が研ぎ澄まされているのか。
 更に長い沈黙の後、ラクウェルは俯きながらぽつりと言った。

「…………私で、いいのか?」
「ばーか。お前がいいんだ」
 ラクウェルの腕がそろそろとアルノーの背に回る。顔を見たくて、顎を引き寄せた。
「それより、お前こそいいのか? 身体、きついなら止めるぜ」
「いや、それは特に問題は無い」
 ラクウェルの否定はやはり速攻且つ明瞭である。思わず噴き出しそうになったのを、彼女は
怪訝な目で問うた。
「なんだ?」
「いや、なんでも」
 熱を移すかのように軽く頬に口付けると、ピクリと肩を震わせる仕草。
「きついようなら早めに言えよ? なんつーか…手遅れになる前にさ」
 優しく囁いたつもりだったのだが。ラクウェルは何故か不機嫌そうに眉を寄せた。
「お前こそオンナの気持ちというものがわかっていないぞアルノー。
……その、すき…になった男にこうされるのを、嫌がるオンナなど居ない」
 その一言が始まりの合図。
 先刻と同じように長いキスを交わし、互いの熱に溶けていった。

254:アルノー×ラクウェル⑤
10/10/17 00:58:45 7tx8YJj/


 ぱさり、と衣擦れの音。
 素肌に触れる外気の冷たさに、身を隠すものが取り払われたことを知る。
 とてもじゃないがアルノーの顔など見ていられないので、目を閉じたままじっとしていた。
 暖炉の前、座したままの姿勢。人前で素肌を晒すという初めての体験に、傷痕のことより
何より気恥ずかしさが先に立って、ラクウェルは小さく震えていた。
「怖いか?」
 意外なまでにやさしいアルノーの声が耳元に落とされて、ラクウェルはかぶりを振った。
「怖くはないが。その、お前は満足できるか…?」
「だからさっきも言っただろ。俺は―」
「そうではなく! …その、私の身体は、メリハリが無いから……」
 搾り出すように言ったのに、途端耳にぷっと吹き出した声。
 そのまま身を震わせ笑われて、思わずラクウェルは目を開いてしまった。
「なッ! ひ、人が真剣に言っているのだぞ!」
 涙さえ浮かべて笑っているアルノーに怒る。と、アルノーは目じりに浮かんだ涙を拭いなが
ら頭を下げた。
「いや、可愛いと思って」
「な…ッ……んんっ」
 思わず頭を小突こうとしたラクウェルの手は寸前アルノーに絡めとられた。
 鎖骨に触れたアルノーの唇の感覚に思わず声が上がる。

 猫が毛づくろいをしているかのように、優しく吸い付かれて、くすぐったい。
 さらさらと彼の髪の毛が触れていた。
「あ…はぁ……」
 舌先でやさしい愛撫を続けながら、アルノーの手はそっとラクウェルの胸元の辺りを触れる。
 見ずとも触ればわかる、明らかに地の肌とは違う傷痕。
「これ…痛くないか?」
 こくんと頷く。あまりにも優しく触れてくれるものだから、痛みよりくすぐったさが先行する。
 そうか、よかった、なんて呟いて、アルノーの手と唇がその部分に優しく触れる。
 それは動物的な本能が感じさせる快楽ではなく、ヒトとヒトが触れ合うことで感じる安心感。
 ずっと昔、子供のころ。悪夢を見て母親に甘え抱きしめられたときのような。
 トクントクンと自分の中を叩く心臓の鼓動が聞こえて。不思議と呼吸が落ち着いていく。
 繋いだままの手と手から彼のぬくもりと本当に自分を大切に想ってくれているのだという
想いが伝わってきて、たまらなくなった。目の奥があつい。


255:アルノー×ラクウェル⑥
10/10/17 00:59:11 7tx8YJj/


 綺麗なものじゃない、などととんでもない方便だとアルノーは思った。
 その身に残る傷痕は確かに戦時下の悲劇をそのまま写したモノで、誰の目にも痛々しく映る
ものなのだろう。彼女自身が嫌悪するのもわからないわけではない、けれど。
 傷痕を含めて、アルノーの目にラクウェルの身体はとても美しいものに映った。
 惚れた贔屓目もあるかもしれない。けれども快いものではないという彼女の言葉は否定せざ
るを得ない。
 すべてを失い、これだけの傷を負ってなお再度立ち上がり、歩き出すことを決めた彼女の心
の強さ。刻まれた傷痕のひとつひとつはどれだけ痛かろう辛かっただろうとは思うけど。それ
だけの傷を負ってなお、ラクウェルという人物の心を、中身を守ってくれたことに感謝すら覚
えた。
 これ以上彼女の身を傷つけることが無いようにと、祈りにも似た決意が固まっていく。
 ……だからこそ理性は総動員体勢、全身全霊を込めて優しくしたいと思っていたのに。
 目の前のラクウェルが眦を揺らしていて。見慣れない姿に自分の内側で燻っていた熱が上昇
するのがわかってしまう。

 触れるだけの軽いキスを交わし、アルノーの手は胸の中心、桃色の部分にそっと触れた。
「……ぁっ!?」
 ぴくんとラクウェルの身体が跳ねる。問いかけるようにその顔を覗き見れば、恥じらいなが
らもふるふると首を振った。続けていいという合図。もっとも、ここで拒絶されたところで止
められる自信は正直なかったけれど。
「んん…っふ、あっ……」
 普段の彼女からは考えられないくらい甘い響きが耳を打つ。
 仄かに色づく頂きは硬く自己主張を始め、感じていることを如実に伝えていた。
 右のソレを口に含み、吸い付くように甘く噛むと高い声があがる。もう片方は手で転がすよ
うにしながら柔々と揉む。
「あっ、やっ…」
 拒絶ともとれる声。
 けれども紅潮した頬と小さく開いた濡れた唇は否定の意味を為していないと都合よく受け取
って、アルノーは愛撫を続けた。
 自らが言うように凹凸の少ない身体。それでもフニフニと柔らかな胸に手を滑らせていると
幸せな心地になる。
 そう思っているのはアルノーだけではないようで、荒い息の合間で途切れ途切れに自分の名
前を呼ぶ声が頭上から響いた。
「んっ」
 手を休めて、何度目になるかもわからないキス。何度交わしても飽きるということはない。
 噛み付くように唇を合わせ、逃げる舌を絡めとって熱を与えるように映すように繰り返す。
 実際、興奮と感情の激流によって互いの体温は上がっていた。触れ合う吐息すら熱い。

 行為に溺れていくラクウェルの様子を確かめながら、アルノーは彼女を仰向けに横たえた。
 互いの上着とコートを敷物代わりとして、体重をかけないように彼女に乗りかかる。
 今更ながら、明らかに性行為を目的とした体勢を意識したのだろうか。ラクウェルが気恥ず
かしそうに目線を逸らす。
 小さく笑いながら再び首筋と鎖骨に吸い付きながら、全身に手を滑らせて徐々に下へと下ろ
していく。
 先ほども触れた胸から腹、力を入れれば折れそうなほど細い腰へ。

256:アルノー×ラクウェル⑦
10/10/17 00:59:40 7tx8YJj/
 腰から尻、太股にかかるラインを二、三度上下してから、アルノーの手は太股の内側に入り
込む。脚はしっかりと閉じられていたが、手は易々と侵入に成功した。ラクウェルの腰がびくっ
と震える。
「ラクウェル。もう少し脚開いて」
「そ、そんなこと自分からできるわけないだろう!」
 いやいや、今からまさにそういう行為をするというのに。 
「…まあ、そういうのも可愛いけどさ」
 苦笑いを交えつつ、彼にしてはやや強引とも思える仕草で彼女の膝を割る。
 白い脚にも残る幾つもの傷痕の向こう、隠された秘所は柔毛に隠されており、暖炉灯りしか
ない状況も手伝って殆ど視認できなかった。
「ば、ばかっ! あまり見るな!」
「こんだけ暗くちゃ殆ど見えないって」
 だから触るぞ?と目だけで伝えれば、元々朱に染まっていた顔を更に赤くして、それでも許
容の仕草なのか瞼をおろす彼女。

 アルノーの手が動く。 
 柔毛の下へ潜り、ラクウェルの敏感な箇所を探る―までもなく、すぐにそこはクチャリと
粘着質な音と供に汗でも雨でもない液体が指先にまとわりついた。
「……お前のせいだ。さっきから、あんなことばかりするから」
「俺で気持ちよくなってるって言うなら嬉しいな」
 笑いながら、頬にキスをひとつ。
 動きを止めていた指をそっと動かしてみると、クチャクチャと水音が増す。いや、液体の分
泌量が増えている。
「あ……はっ…ぁん……ふぁっ」
 先ほどまで照れ隠しにぶつくさ言っていた口は最早意味を成さない喘ぎ声を漏らすだけ。
 熱に浮かされたように吐息を零すラクウェルの手が、無意識にアルノーの背に回り、シャツ
をぎゅっと掴む。もっとと、ねだるように。
 彼女と、自分自身の求めに応じてより大胆な指使いで翻弄する。


 耳に響く濡れた音と、自分が出しているとは思えない媚びるような声に、ラクウェルは耳を
ふさぎたくて仕方なかった。
 けれどもそれは叶わぬ願い。アルノーの手が、唇が、肌が触れるたびに全身の力が抜けてし
まう。筋肉も思考も、弛緩したように真っ白に塗りつぶされていく。
 元々可愛げがないと自嘲するラクウェルは、身体のこともあって色恋沙汰とは無縁の人生を
おくっていた。男女が愛し合い、子を成す過程について大雑把な知識はあったものの、それが
自分自身の身に起ころうとは考えたこともなかった。ゆえにその行為がこんなにも淫らで、
それでいて気持ちよいモノだなんて知らなかった。
 ――というのに、目の前の男はどうにも慣れた節がある。
「は…っ、ふ…んぁ……あ、アル、ノー……」
「ん?」
 胸に埋めていたアルノーが顔を上げる。

257:アルノー×ラクウェル⑧
10/10/17 01:00:07 7tx8YJj/
「お、お前は…慣れて、いるのか?」
 ぴきっ、と。
 漂っていた甘い空気のようなものが一気に凍りついたのがラクウェルにもわかった。
 つい今さっきまで余裕ぶって自分を翻弄していたとは思えない、怒ったかのように顔を赤く
するアルノーの姿がそこにある。
 否、怒っているわけではない。これは、照れているというべきか。
「あー……ったく、もう…」
 がしがしと前髪をかきあげながら、アルノーはラクウェルの手をとり、自分の胸に押し当て
た。

 手のひらから、シャツ越しでも伝わる彼の体温。それに、早鐘のような鼓動。
 思わず目を見開くと、恥ずかしそうに彼は視線を逸らす。
「……こっちだっていっぱいいっぱいなんだよ」
 緊張、しているのか。
 なのにあんな風に余裕ぶって、こちらが怖がることのないように平静を装って。
 ふ、と口元が笑みの形をつくる。久方ぶりに見たような気がする彼の臆病さと、それ以上の
やさしさ。
 胸につかえていたものがするすると溶けていく。
「すまない」
 詫びて、ラクウェルの手はアルノーの頬に滑る。自分から口付けた。

 軽い、こどもが交わすようなキスだったけれど、滅多にない彼女からのアプローチにアルノー
の心音は更に高鳴る。
 これ以上心拍数が上がったら死んでしまうんじゃないか、なんて疑ってしまいそうな位。
「…ちくしょー。反則だっての」
 嬉しそうにも悔しそうにも聞こえる声。
 怪訝そうに眉を寄せるラクウェルには応えず、アルノーは休めていた愛撫の手を再開した。
「あ…ふぅ……っ」
 本当にやさしくしているから、ラクウェルの口から零れるのは浮かされたような緩い声ばかり。
 けれども、さっきのラクウェルを見て歯止めが利かなくなった。
 脚を大きく開き、身体をより割り込ませて、彼女のそこにちゅ、と口付ける。
「あっ!?」
 びくん、とラクウェルの腰が跳ねた。
 濡れた下の唇の中をアルノーの舌が動き回る。左右にめくるようにして動かすと、トロトロと
溢れる熱い雫。濡れて光る中心を見つけ、指先でそっと剥くようにしながら息を吹きかけた、途端。
「――っ!? ふ、あ、ふあああぁっ!」
 先ほどの、まどろむような空気とは違う。切羽詰った快楽の高波にさらわれるオンナの声。
 指だけを動かしながらそっと顔を盗み見ると、ラクウェルは硬く目を瞑り、頬を紅潮させ、口元
には涎さえ垂らしていた。
 普段からは考えられないほど乱れた姿に、アルノーの熱も次第に集まってくる。下半身が熱い。
 それでもその声がもっと聞きたくて。もっと甘えてほしくて。
 ……もっと、自分を感じてほしくて。

258:アルノー×ラクウェル⑨
10/10/17 01:00:31 7tx8YJj/
 指がクリトリスから下を探り、愛液を生み出している秘裂を見つけ出した。
 十分に濡れ、あふれている。オンナの匂いが酔ってしまいそうなほど強い。いや、酔っているの
に違いはないのだろうが。
 慣らすように人差し指を一本差し込むと、ずぶずぶと案外簡単に埋め込まれていった。
「あ、あぁんっ…」
 ラクウェルの身がかすかに震えた。
「大丈夫か? ラクウェル」
 問いかけに言葉では返してくれなかったけど、目を瞑りながらもこくんと頷いてくれた。ので、
続ける。

 ラクウェルの中は蕩けそうなほど熱い。その上、きつい。
 入り口では異物を拒もうとするかのように圧迫していたのに、入ってしまえば次は逃がさない
とでも言わんばかりに絡み付いてくる。
(うわ……)
 指でこれなら、アレを入れたらどれだけなのだろう。
 優しくしてやりたいという愛情と、快楽に身を任してしまいたいという本能。
 葛藤を壊れそうな理性でなんとか押しとどめながら、入れた指と中の様子を確かめるように何
度か動かす。

 クチュリ……クチャ…
 外の部分を弄っていたときとは比べ物にならないほどの卑猥な音。
 さぞかし恥らうだろうと思いきや、ラクウェルはそれ以上に切羽詰まった様子で喘いでいる。
きっと、今自分がどんな声を出していて、どんなことをされているかなんて理解する余裕もない
のだろう。
「ひゃん、んふ……っ! ん……あああっ、あぁあ」
 涙に濡れた瞳は何も映しておらず、呼吸すらも苦しそうな様子で必死に敷いたコートの端を
掴んでいる。
 それでも止めない。止められない。
 ラクウェルの中が急に圧迫を強め、収縮していく。
 愛液に濡れ、テラテラと光るクリトリスに舌を絡め、吸った。

「ひゃ、あ、あああああぁあぁっ!!」

 びくびくっと、一際激しく腰が揺れる。
 急速な収縮。
 甘い蜜を零しながら、ラクウェルは軽く達していた。


259:アルノー×ラクウェル⑩
10/10/17 01:00:59 7tx8YJj/

「……ル。ラクウェル?」
 ぺちぺち、と頬に触れる手の感触に目を開く。
 目の前には心配そうにこちらを覗き込む翡翠色の瞳。
「アルノー…?」
「大丈夫か?」
「え、何が―」
 問いかけて、固まった。
 ナニをされていたものやらよくわからぬまま、思考と視界が真っ白になって、喉が焼ききれる
ように熱くなった後、何も覚えていない。
 顔面に熱が集まるのを瞬時に察する。
「身体、つらくないか?」
 デリカシーがあるのかないのか、優しいというよりは鈍いのか、それでも本気でこちらを気遣
っていることだけはわかったので目を瞑りながらも頷いた。
「たぶん、大丈夫……だと思う」
「そうか、よかった」

 安堵の息が零れて、素肌に触れる。
 熱情のそれではないのに、くすぐったくて心地よい。
 どうしてこの男はこんなにも―と尋ねそうになって、踏みとどまる。
 アルノーが自分のどこを好きになってくれたのか、ラクウェルにはわからない。
 どれだけ語ってくれたとしてもきっとずっと、わからないのだろう。
 恋に理由なんかない、とは昔聞いた物語のことば。きっとその通りなのだろう。

「んっ」

 ちゅ、と耳元で音。
 耳を甘噛みされ、頬にキス。
 濡れた唇にも軽く触れて離れようとした口付けを、彼の首に腕を絡めて留め、濃厚で長いディー
プキスを味わう。
 面食らったアルノーもすぐに応戦した。互いに舌を絡め、クチュクチュと貪りあうように吸い付
き、噛み付き、欲する。
 相手の奥深く深淵まで全てを暗い尽くすかのような深いキス。
 永遠とさえ思えそうなほど長い時間。
 実際にはほんの数分にも満たなかった時間が過ぎ、息が続かなくなって二人は同時に相手を解放
した。

 ラクウェルの目に映るアルノーは、キスに濡れた唇を軽く舐めながら熱を帯びた瞳で自分を覗き
込んでいて。
 アルノーの目に映るラクウェルは、涙に濡れたひとみを揺らし恥ずかしがりながらも上目遣いに
自分を見つめていた。

260:アルノー×ラクウェル⑪
10/10/17 01:01:26 7tx8YJj/
「ラクウェル」
 先ほどとは違う、昏い陰を映した目と声で名前を呼ばれた。
 直接的な言葉でなくとも、その声が意図するところの意味くらいわかる。
 睫毛を伏せ、小さく頷く。と、アルノーは自分を落ち着かせるためか、片手をぎゅっと握って
きた。
 繋いだ手と手。伝わる互いの鼓動と脈動、体温。
 泣きそうなくらい、幸せだった。

「アルノー…」

 こんなにも嬉しいのだと、伝えたくて。
 今まで一度だって口にしたことのない、自分には許されることもないと思っていたことばを―

『アイシテイル』と――

 小さく小さく、ともすれば聞き逃しそうなほど掠れた声で、ラクウェルは囁いた。





 かああぁっと、顔面に熱が集中するのがわかった。
 小さく掠れた声で、でも確かに今彼女は自分の名前を呼んで、そして。
 ……ずっと彼女の口から聞きたかったコトバを、発したのだ。
 同じモノを返そうと一瞬口をついて、でもそれ以上の渇望が湧き上がった。
 ラクウェルが欲しい。
 いとしくて、触れたくて、ひとつになりたくて、たまらない。

「ラクウェル…ッ!」

 脚を大きく開き、硬くなった自分のモノを取り出して、そこに触れ合わせる。
 達した後の濡れたラクウェルの秘所と、はちきれんばかりになった自分の先端から零れるものが
交じり合って、クチュッと熱い感触。
「あ―」
 熱した鉄のような塊が触れて、ラクウェルが思わず吐息を零す。
「いくぞ?」
「……ん、きて」
 ぎゅっと、繋いだ手に力を込めて。
 アルノーは腰を推し進めた。

261:アルノー×ラクウェル⑫
10/10/17 01:01:51 7tx8YJj/

「ああぁぁっ!!」
「くっ! ぁっ!」
 ぎゅうっと締め付けてくる感覚は、指を入れたときとは比べ物にならないほど。
 熱い粘液がスープのように溶け込むナカの肉壁はアルノーのモノをぎちぎちと咥えこみ、奥へ奥
へと誘う。
 まずい。ほんの入り口でこんななんて。
 半分も収まりきっていない自身が益々そそり立つのがわかる。
 背筋を走る官能に耐え、腕を突っ張って必死に推し進めていく。
 荒い息を吐き、痛みに涙を零しながらもラクウェルの手はアルノーの手と握られたままで、痛み
に耐えながらも自分を受け入れようとしてくれていた。
 彼女がここまで覚悟してくれているのに、止めるのは逆に失礼なのだろう。
 それに、アルノー自身も止められそうになかった。
 きつい締め付けに今にも放ちそうになる快楽に耐え進めると、奥の方で何かにこつんと当たる。
 確認するまでもない、彼女の純潔の証。

「いく、ぞ…っ!」

 もう応える声も出せない様子で、ラクウェルは握られた手に力を込めた。
 最奥を突き上げる。
 ブチブチッと壁が破れ、一筋の鮮血とそして、


「あああぁぁぁあああぁッ!!!」


 痛みと喜びに詠う彼女の絶叫が、暗く粗末な山小屋に響き渡った。


262:アルノー×ラクウェル⑬
10/10/17 01:02:17 7tx8YJj/
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
 握った手も頼りなく。すがりつくもう片方の腕もがくがくと震わせるラクウェルを落ち着かせる
ため、しばらく動かず彼女の髪を梳く。
 繋がった箇所はアルノーの男の象徴をこれでもかというほど締め付けてきて、今にも突っ走って
しまいそうなのを全身全霊で抑止しながら、ラクウェルの涙を唇でぬぐった。
「だい、じょうぶ…だ……」
 尋ねる前に、ラクウェルは言った。
 痛みに苦しんでいるかのような、それでいて微笑んでいるかのような、不可思議な瞳。
「ごめん、な」
「あやまること…なんか、ない…」
 そう言われても、痛みに耐えているその顔を見ればまるで自分が悪いことをしてしまっているか
のように感じてしまう。
 情けない顔をしたアルノーにくすりと笑って、ラクウェルは繋いだ手を離し、そっとその首へ絡
めた。
「……それなら、キス、してくれ」
 そんなことならお安い御用と言わんばかりに彼女の期待に応えた。
 時に深く、時に浅く。
 触れて離れて、また触れる。その度に下で繋がることとはまた違う満足感が胸に満ちた。



「動いても…いいか?」
 ラクウェルとはまた違った意味で、切羽詰った様子のアルノーの顔がそこにある。
 ちょっとだけ笑いそうになるのを堪えてラクウェルは頷いた。

「んんっ……やっ、あっ、はっ……」
「っく、あっ」
 内側の濡れた壁に撫でられて自身もまた喘ぐような声をこぼしながら、アルノーは腰を動かした。
 ラクウェルのそこは血と熱い粘液が潤滑油代わりとなって推し進めるのはさほど難しくはない。
 けれども引き戻すときの圧迫感、全てを食らい尽くそうとするかのような締め付けはまるで途方
もない快楽で、頭の奥で鳴っていた警報を無視して次第にスピードが上がってしまう。

「ひゃ、あっ! あぁんっ! あ、アル、ノーッ!?」

 ラクウェルの声には未だ少しばかりの苦痛の響きがある。
 悪いとは思いながらも止められなかった。
 強引に脚を大きく開き、片足を抱えあげて自分の肩にかけ、より深く強く打ち付ける。
「ああぁぁあぁっ!」
 彼の体の下で、苦しそうに息を荒げるラクウェル。
 彼女の感じる声と表情を目の当たりにする度に理性というものが塗りつぶされていくかのよう
だった。
 無防備な唇へ手を伸ばし、指を侵入させる。

263:アルノー×ラクウェル⑭
10/10/17 01:02:42 7tx8YJj/
 口に入り込んできた異物をラクウェルは嫌がりもせず―というより、状況把握する余裕がない
のだろうが―繋がっている分身と同じように抜き差しされる人差し指に吸い付いて舌を絡め舐めた。
「うあっ」
 指は性感体のひとつだというがどうやらそれは本当らしい。
 抜き差しする肉棒が熱さを増したような気がして、アルノーがうめく。
 もしかしたら、ナカのラクウェルが熱くなっているのかもしれない。
 思うがまま、アルノーは少女の身体を―上と下の口を浸し、満たす。

 山中、雨の冷えた空気の中。
 暖炉の火にだけ照らされた室内は歳若い二人の情事によって、蒸した空気を生み出しているかのようだ。
 橙の灯りがラクウェルの白い肌と桜銀の髪の中で光の色を変えて、不可思議な光彩を生み出していた。

 いつしかラクウェルから苦痛の色が消え、甘い響きを持った艶のある声がアルノーの耳を打つ。
 ちゅぽんと指を抜く。途端「あ…」と、飴玉をとられた子供のような声があがる。
 涙に濡れた瞳に上気した頬、唾液の線を描きながらも紅く染まったくちびる。
「ラク、ウェル―」
 更に激しく腰を振ると、息も絶え絶えに抱きついてくる。
 充血して赤くなった敏感な部分を指で弄ると腰が震えた。
 ぬらぬらと濡れた肉壁はこれ以上にない位アルノーの硬くなった部分を圧迫し、咥えこみ、蕩かして
くる。 
 熱くてきつい。
 もう駄目だ、これ以上―

 限界を感じ、最後に思い切り奥まで突き上げる。

 ズンッ、と腹の奥まで迫り来るような感覚に、チカチカしていたラクウェルの視界は完全に真っ白
になり、意識が泡のように霧散しそして―


「んあ……っ! ひゃ……っ! あぁん、あああ―!!」


 弾け飛ぶ思考。
 意識を失う寸前、熱い液体が自分の中を灼いたような気がした。

264:アルノー×ラクウェル⑮
10/10/17 01:03:10 7tx8YJj/


 しとしとと静かな雨の音がする。

「ん……」
 ゆっくりと、瞼を開いた。最初に飛び込んできたものはむき出しになっている梁。
 暗色の部屋のなか、暖炉灯りも届かない天井は暗闇と化す直前のような影を落としていた。
「ラクウェル」
 隣から名前を呼ばれて、顔だけを向ける。思ったより間近にあった端正な顔に一瞬驚いた。
「アルノー…」
「具合、どうだ?」
「具合?」
 何を聞かれているのかわからず、同じ言葉を反復する。
 そもそも何故こんなに間近で、よもやシャツを脱いだアルノーが隣にいるのか―と、衝撃
に緩慢になっていた思考がゆっくりと再生される。見れば、自分も素肌を晒したままだ。
「あ……」
 思い出して、ラクウェルの顔が一気に真っ赤になった。それこそ名前の通り熟した林檎のように。
 間近で揺れるアルノーは思いのほか真剣な目をしていて、情事後の恋人たちのそれとは違う心配が
含まれているのだろう。
 けれども今のラクウェルには何を聞かれようとそちらのことにしか頭が働かず、気恥ずかしさ極ま
って彼に背を向けてしまった。
 背後で一瞬だけ呆気にとられたあと、苦笑するような気配。
 ふ、とアルノーの腕がラクウェルに伸びてきて、後ろから抱きしめられる。
 暖かな身体が触れ合って、ラクウェルの緊張感とも羞恥心とも言いがたい感情が少しずつほぐれて
いく。
「……あたたかい」
 素直にそう口に出してみると微笑まれたような気がした。
 アルノーが身じろぎし、耳元に息がふきかかる。背がぞくりとして、耳まで赤くなるのが自分でも
わかる。

「―ご馳走様でした」

 なんて、ふざけたような台詞を囁かれて。
 思わずラクウェルの肘鉄がアルノーの鳩尾にヒットした。


 それがアルノーなりの気遣いだったということを知ったのはもう少し先のこと。
 知ったところで気遣いの方向性とタイミングを間違えていることに違いはなく、ラクウェルは呆れ
るばかりだったのだけど。


265:アルノー×ラクウェル⑯
10/10/17 01:03:37 7tx8YJj/



 台風一過とはよく言ったもので、翌日にはからりと晴れた。
 澄み切った空の下、無事山を降り帰還した二人を出迎えたのは勿論ジュードとユウリィ。

「アルノー! ラクウェル!」
 村の入り口まで来たところで、ユウリィの手を引き駆け出してきたジュードが嬉しそうに飛びついて
くる。
「心配をかけたな」
「僕は探しに行こうと思ったんだけど、ユウリィがきっと大丈夫だからって、一日待ってたんだよ」
「ばーか。こっちがどうだったかは知らねぇが、あんな雨の中何の手がかりもなしに来てみろ。あっと
いう間に遭難しちまうぞ」
「こちらでも降ってましたけど、そこまで酷かったですか」
 ユウリィは心を痛めた様子で眉をしかめる。
 確かにフロンティアハリムの中も道々に水溜りができていたが、木々の豊かな山のふもとであるこの
地域性を考えれば、それはむしろ恵みの雨だったことだろう。

「でもラクウェルさん、出掛けられる前に緊急用に念のためってエクソダスオーブを持っていかれまし
たよね?あの森では効果が無かったのですか?」

「え」
「あ」

 ユウリィの言葉に年長二人は固まった。
 探索開始時の地点まで空間を圧縮させ、引き戻してくれる古代と科学の融合体である貴重品。
 それを使えば一晩山小屋で缶詰になどなることもなく、一瞬にして村まで戻ることが出来たはずだ。
 ラクウェルがエクソダスオーブを持ち出していたことを知らなかったアルノーは思わず彼女の顔を
見た。
 彼女にしては珍しく、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で。
「……すまない。忘れていた」
 と、告げた。
 アルノーは肩を竦め、ユウリィは困ったような笑みを浮かべる。
「ラクウェルでもそんなことがあるんだ」
 ただひとりジュードだけが、変に感心したような顔。

「でも無事帰ってきてくれてよかった。お腹空いたし、みんなでお昼にしようよ! ユウリィが
さっき準備してくれてたんだ!」
 言うが早いか、ジュードはユウリィの手を引いて宿代わりになっている工房へと歩き出した。
 ジュードに手を引かれながら、ユウリィも微笑んで「行きましょう」と促してくる。

 前を行く二人と少しだけ距離を置いて、年長の二人も並んで歩き出した。

266:アルノー×ラクウェル⑰
10/10/17 01:04:04 7tx8YJj/
「……すまなかったな」
 気落ちした様子で呟くラクウェル。
「ジュードじゃねぇけど、お前でもそんなことがあるんだな」
 別に責めるつもりはない。けれどもたった一晩とはいえきちんとしたベッドで眠るのと床に眠るの
とでは体力の回復具合が違う。まあ…今日の体力低下については、それだけが理由でもないのだろう
けど。

「でも、忘れていてよかった、とも思う……」

 ぼそりと。
 小さく囁いた声にアルノーがきょとんと瞬きすると、頬をほんのり染めた恋人の姿がそこにあった。
 思わず脳裏に去来する昨夜の出来事。
 アルノーの顔も赤くなり、同時に抱きしめたいという衝動が湧き上がってくる、が―


「アルノー、ラクウェル! 早く早く!」

 見ればもう大分向こうまで行ってしまったジュードが手を振って促していた。
 大体今時分は真昼間であるのだし。

「……ま、後からにするか」
「え?」
「なんでもない。それより飯食おうぜ。食ったらお前は少し休んどけ」
 行こうぜ、とアルノーもまたジュードと同じように、彼女の手をとった。
 が、パシッと叩かれて振りほどかれる。
「ひでーな」
「そういうのは、人前でするものではない」

 じゃあ人前じゃなければいいのか、と内心学習しておいた。



 雨上がりの村は露草に濡れた陽光を照り返し、キラキラと輝いている。

 乾いた空気を潤した自然の恵みに感謝するかのように、開墾に精を出す人々の姿。
 ところどころに出来た水溜りの中を面白そうに遊ぶこども達。


 やがて七色の光が空というキャンバスに大きなアーチを描き、吸い込まれそうな青の中に溶けて
いった。




267:名無しさん@ピンキー
10/10/17 01:08:30 7tx8YJj/
終わりです
需要あるかどうかわからんけど(というかここ今も人いるのか知らんけど)
お付き合いしてくれた人はありがとうございました

268:名無しさん@ピンキー
10/10/17 01:23:31 SQfUjY3g
うわー!
アルラクGJ!
需要あるよ!

269:名無しさん@ピンキー
10/10/26 00:56:02 gm+Isy9Q
GJ!
むしろこういうのがずっと読みたかったんだ
ありがとう

270:名無しさん@ピンキー
10/10/30 21:41:08 0N5UkKF/
クソッ!投下に気づかなかっただと!?

271:名無しさん@ピンキー
10/11/03 22:54:13 sb9QinUl
>>270
マヌケめw


俺もだけどorz

272:名無しさん@ピンキー
10/11/08 12:03:40 tFnn0BHS
今気づいた

273:名無しさん@ピンキー
10/11/29 01:29:24 2AW/+o6Y
かなり前の妄想をSSにできなくてそのまま垂れ流し
設定とか覚え違いがあるかも

2ndにも2周目があったら……2周目でアクセスすると剣の英雄になるトカ
でもそれだとストーリーがおかしくなるか?ロストガーデンとか核ドラゴン辺り
剣の英雄になると見た目も別人になるならつながるかな?
……いっそ女体化?

アナスタシアに出会ったせいで、アシュレーの中で
何かを守る存在の象徴=剣の聖女という意識が生まれ
変身すると剣の聖女になる(一時的に女体化する)ようになった
しかし女体化したアシュレーをマリナは受け入れられず
(妄想メモはここで途切れている)

274:名無しさん@ピンキー
10/12/05 22:33:51 mR4yMeTr
>>273
さぁどれだ?

①ブラッドとアンアン
②エッチなお姉さんとアンアン
③ティムとアンアン
④カノンとアンアン
⑤アナスタシア兄妹と3Pアンアン
⑥トカ・ゲーとアンアン

リルカは俺の嫁だから無しでよろ→

275:名無しさん@ピンキー
10/12/06 22:21:11 fTQx6Kn1
せっかくの女体化なら①③⑥だろうが
文章で読むとアッー!にしか見えないじゃないか

276:名無しさん@ピンキー
10/12/12 16:30:54 x1y81+Tf
⑥はねえよ!そしてなぜマリアベルを抜いたッ!
③か⑤、もしくは⑦のマリアベルでお願いします。

277:名無しさん@ピンキー
11/01/09 16:39:07 wLFCivqn
そろそろスレが危なさそうなので保守

278:名無しさん@ピンキー
11/01/28 21:27:24 vPYNmq0j
このスレまだあったのか 保守

279:カノン1
11/02/16 08:43:20 9Lw4VKbH
身の危険は感じていた
けれど守るべき純血があるとはおもわなかった
おもいたくなかった

その日あえて近道を選んだのは自ら危険を呼び寄せたかったからかもしれない
どこか自分の純血を憎んでいた
数人の男たちに囲まれ口を抑えられたまま廃屋に連れ込まれた
猿轡をかまされ、服を剥ぎ取られ両手を縛られた
あとはやられ放題だ
男たちは自分が恐怖で動けなくなっていると思っていたようだった
けれどまるで他人ごとのようだった
処女も高貴な血筋も女を高く売るためにしか役に立たない
男たちはそれをタダで手に入れたかっただけだろう
両足を持ち上げられ、その間にある女の穴を男の肉棒にこじあけられる
男たちはきそって肉棒をつっこんでいく
商売ならここでよがり声の一つもあげるところだ
精液が高貴な血を汚すというなら、それで生まれた万人が汚いんだ
この男たちも そして自分も
自分の半分は、高貴な女の血でできている
残りの半分は、誰かの汚い精液でできている
自分の母親の半分も、そのまた母親の半分も
ならほとんど全部汚いんじゃないか
ひと通りやり終わった男たちは、両足を二つ折りにして別々に縛った
そして股を開かせると聖なる汚マンコだといって笑いあった
高貴な血と精液でいっぱいの
俺たちの誰かが新しい聖女の父親になるかもしれないぜと笑う
いや、誰かの親父がこいつの父親かもしれないぞと笑う
腹違いの妹か姉かもしれないと笑いながら、また興奮してきたのだろう
男たちはもう一度、血と精液まみれの穴を押し広げることに熱中した

気がつくと男たちの姿は消えていた
そして夜になっているようだった
体中が無感覚で動かなかった
縛られたままであるらしいことだけは理解した

280:カノン2
11/02/16 09:10:27 9Lw4VKbH
男たちはまたやってきた
話からすると何人か入れ替わっているようでもあった
そして汚れたままの穴にかまわず精液をそそいでいく
胸や腹になすりつける者もいる
乳房はいくどもひねりあげられ乳首をかじられた
あえがないと言って殴られた
ずいぶん汚ないと笑われた
男たちは帰っていき、そして戻ってくる

汚い聖女だと笑っていた
ちがう聖女なんかじゃない 
そんな血欲しがったことなんてない
だから汚されたかった
逃れられると思っていた
けれど男たちに汚されるための女の体が欲しかったんじゃない

縛られたまま放置され、気づいたら別の天井を見上げていた
「気づいたかね?」
見知らぬ男の声がした
体は動かないが、ともかく床の上じゃなくベッドの上にいるらしい
自分の体が欲しいのかと問えば、男は面白そうにそうだと言った
「ただ働きはゴメンだからな。払いたくないなら元の場所に返してやろう」

男は闇医者だと名乗った
人の体を切ったりくっつけたりするのだと
「生身を欲しがる者がいるのさ、戦いで失った部分を欲しがるものが」
きつく縛られた躰の一部は、使い物にならなくなっていた
闇医者はそれを切り取り、作り物に置き換えた
使える部分は、誰かにくっつけるのだという
女の部分も壊れたのかと聞く
「大丈夫だ。商売もできるし子も産める」
作り物に置き換わった体を抱きたい男がいるものか
「ゲテモノ好きはおるよ」
ゲテモノか
「今後何をしたい。女を売るなら見てくれのイイヤツをつけてやろう」
汚れを祓いたい
自分から求めた汚れだったのに、その時そう答えていた

281:名無しさん@ピンキー
11/02/21 22:12:34.27 f/4n/JLz
続きは?

282:名無しさん@ピンキー
11/02/28 00:01:30.79 3QywYvMQ
保守

283:名無しさん@ピンキー
11/03/14 21:13:43.87 mAIzGWtw
ヤキソバが食べたい

284: 忍法帖【Lv=1,xxxP】
11/04/19 04:48:35.09 thKtkNeq
保守

285:名無しさん@ピンキー
11/04/21 20:00:32.00 XsI7vGDk
age

286:名無しさん@ピンキー
11/05/06 19:08:24.00 y1/umj8Y
保守

287:名無しさん@ピンキー
11/05/16 21:49:08.46 1yoQSe0g
グレアヴよみたい

288:名無しさん@ピンキー
11/05/26 00:41:11.55 zG7FN7gW
不覚にもカノンに悶え始めたッ!

289:名無しさん@ピンキー
11/05/30 03:26:49.75 N1p2Bo4D
保守!
ヴァージニアに今更ながらハマりだしたわ
相手は誰でもいいんだが

290:名無しさん@ピンキー
11/05/30 17:59:40.15 tvEy1+Pg
カノン×ティムが無いなんて・・・

291:名無しさん@ピンキー
11/05/31 01:30:39.86 XMpq1QEH
>>290
カノンとアシュレー、ブラッドが欲求不満解消な馬鹿っぽいエロなら今書いてるが…
小僧も混ぜるべきか……?

292: 忍法帖【Lv=2,xxxP】
11/05/31 04:34:43.26 exTUr04X
文才と絵の才能がほしい

293:名無しさん@ピンキー
11/05/31 16:26:56.80 6Q3tQVop
>>291
2nd好きだから待ってるよ
前にブラ×カノに小僧が絡むの読んだような…

294:名無しさん@ピンキー
11/05/31 17:08:03.79 8+AjvOsF
正直グレアグのきっかけが掴めない

295:名無しさん@ピンキー
11/06/01 20:17:54.01 uaLrr5QI
>>291
全裸で待ってる

296:名無しさん@ピンキー
11/06/02 23:47:28.16 9QUVKC1b
291だけどできたんで投下。2に再熱したのが久しいので、色々間違ってたらスマソ。

ARMSの男二人がカノンと欲求不満解消とか思いついたんで投下してみる。
注意:キャラクターが壊れ気味(特にアシュレー)
   カノンが処女設定

297:ブラッド・アシュレー×カノン①
11/06/02 23:50:24.95 9QUVKC1b
 「…ハァッ…ハァッ…ん…んん…」
深夜、ヴァレリアシャトーの一室。ARMS本拠地には似つかわしくない女性の官能的な姿が月光に映し出される。
ワンピースが捲り上げられ、下着は脱ぎ散らかされ。あられもない姿で己の指を体に這い回らせるその姿はもはやただの本能に負けた女にすぎない。
それが普段、殺気と戦場が代名詞とも言える人物のものだというのだから、なおさら異様な光景であった。
「……アッ…ふううう……ッ!」
びくびくと体を痺れさせ、あと一歩で意識が飛ぶ。快感と充実感がが彼女を満たしてくれるはずだった。

「随分と派手にしちゃうんだね。カノンって。」

聞きなれた青年の声で、カノンは現実に一気に引き戻された。冷水を浴びせられたように体を跳ねて起こし、もはや意味もないのに体をシーツで必死に隠す。
なぜ彼がここにいるのだ?!いやそれよりも、こんな夜遅くにどうして訪ねてくるのか?!
「……きっ…貴様ッ!なぜここにッ?!」
自分の一番見られたくない姿を目撃されたというショックで、頭の中はいつもと違ってパンクしそうなくらいに冷静さを失った。
彼がなぜここに来たのかはどうでもいいのに。それよりも、今目撃したことを彼がどう思っているか、それを漏洩しないかが重要だというのに。
「え?普通にさ、明日の任務の確認でもしとこうかなと思って。」
「それは就寝前にしたはずだろう!今何時だと……!!」

298:ブラッド・アシュレー×カノン②
11/06/02 23:52:24.89 9QUVKC1b
「だってさ、明日は危険な任務だから。念入りに確認したくてね。ブラッドがさ、カノンなら遅くまで起きてるんじゃないかって。」
けろりと言ってのけるアシュレーの後ろから、さらにカノンのショックを大きくする人物が現れた。アシュレーは一人でここに来たわけではなったのだ。
「……!!そんなことのために二人でどうして来るッ!!」
「お前は元はといえばアシュレーを始末するために仲間になったようなものだからな。念のためだ。アシュレーがここでロードブレイザーにならんとは言いきれんだろう。」
特にお前がそんなことをしていたのを目撃して興奮したらな、と言って余裕たっぷりにニヤッと笑うブラッドが更にカノンの癇に障った。
怒りと羞恥でぶるぶると震え、攻撃態勢に入ろうとするカノンに、アシュレーはさらに追い討ちをかけた。
「打ち合わせってのは嘘だよ。カノンって寝てるときどうしてるのかなって、ブラッドと飲んでたら話題になっちゃってさ。」
それで覗きにきたんだ、とまるで悪戯をした子供のように笑うアシュレーだったが、していることは子供の悪戯では済まないものだ。しかもいい大人二人が。
「そしたらカノンがあんなことしてるだろ。これは見逃すわけにはいかないなって。」
「……何が…望みだ……ッ!」

299:ブラッド・アシュレー×カノン③
11/06/02 23:53:43.27 9QUVKC1b
カノンが食って掛かるのを待っていたかのように、アシュレーとブラッドは顔を見合わせ、カノンに二人で一気に襲い掛かった。
「……くうッ!!」
全身を義体に置き換え、その全身武器ともいえる身体を振るうカノンでも、日々過酷な任務をこなすARMSの仲間の男二人を満足に相手にはできず、即座に自由を奪われた。
しかも、あのような行為に及んでいた後、冷静さを欠いていた彼女ではアシュレーとブラッドの敵ではなかった。
ブラッドがカノンを後ろから羽交い絞めにし、アシュレーはカノンの纏っていたシーツを剥がし、咄嗟に彼女の腕を封じる。
足をばたつかせ抵抗するカノンに、アシュレーはにっこりと笑ってカノンの耳元で囁いた。
「いいのかな、カノン。さっきのこと、みんなに言っちゃうよ。ティムなんてまだ子供だから、どんな顔するかな。」
カノンの足がぴたりと止まる。
「今晩一回だけ付き合ってくれたら、黙っててもいいんだけどなあ。」


300:ブラッド・アシュレー×カノン④
11/06/02 23:55:30.72 9QUVKC1b
普段の熱血漢の青い振る舞いの青年からは想像もつかない言葉の数々にカノンは驚いたが、そこは意地で反論した。
「……ふざけたことをッ!ブラッドはともかく、お前には女が……ッ!」
マリナの存在を指摘されたアシュレーは、頭を掻きながらもじもじとカノンの耳元から顔を離した。
「……だってさ、マリナのやつ…ボクが久々に帰ったってのに、あの日だからって…させてくれなかったんだ。」
こいつら、ウブな顔してやることはやっていたのか…ッ!とカノンは別の意味で憤慨したが、それどころではない。こいつらの性欲処理に使われるなど、たまったものではない。
「だからッ…!すごく溜まっているんだッ!!このまま我慢してたらいつ欲求が爆発してロードブレイザーになってしまうかッ!!ボクは…ボクは怖いッ!!」
「そういうことだ。協力してやってくれカノン。ついでに俺にもサービスということでな。」
「頼むカノンッ!!僕の煩悩を凶祓ってくれッ!!」
「貴様らぁッ!!今すぐ凶祓われて切り刻まれたいかッ!!」
深刻そうでいて実際そうではない台詞を深刻な顔で言いながら、さりげなくワンピースを脱がせ、豊かな胸を掴むアシュレーに、カノンは思い切り頭突きを喰らわせた。
「いたた…なんでボクだけッ?!」
「ふ…ふざけるなッ!!そんなことなら町にでも行って適当に引っ掛けてこいッ!!アタシは性欲処理係などごめんだッ!!……はうんッ!!」

301:ブラッド・アシュレー×カノン⑤
11/06/02 23:57:06.62 9QUVKC1b
怒るカノンに、背後からブラッドがカノンの敏感になっていた乳房を掴み上げ、カノンの言葉を遮った。
「ああ、ずるいってブラッドッ!ボクだって早く触りたかったのにッ!」
アシュレーも負けじとカノンの空いた方の乳房にむしゃぶりつくと、それまで抵抗していたカノンの体は力を失って悶え始めた。
「……あああ……ッ!そんなに…強く揉むなぁッ…ッア……痛いッ……!」
鍛え上げられた筋骨隆々とした手でついさっきまで弄っていたところを強く揉みしだかれ、カノンの体は熱を一気に呼び覚ました。
「カノンって、やっぱりおっぱい大きいんだね。マリナも結構大きいけど、また違った感触でいいよ。太股も…むっちりしてて……」
頬を豊かな乳房に摺り寄せながら、太股をアシュレーが撫で回す。自分の手とは別のごつごつした生身の人間の手が這いずり回る感覚に、カノンは体をぞくりと震わせた。
首筋にブラッドが背後から口付ければ、カノンはひッ!とか細い悲鳴を上げた。硬くなった乳首を太い指でしごかれ、カノンの感度は上昇する一方であった。
自分でするよりも、気持ち…いい…しかし、この感覚を、カノンは認めたくなどなかった。
「……やッ……やめ……ッ…痛……」
「本当か?ならこれは一体何なんだろうな?」
「……ッ!!」
ブラッドが腰支えていた手をカノンの下半身に滑らせ、茂みをかき回すと、卑猥な音がぴちゃぴちゃと響いた。
羞恥にカノンの頬が真っ赤に染まる。違う。これは断じて……
「そ、それはさっきまで自分で弄っていたから……ッ!」
「ほほう。自慰を認めたな。」
「よく見えてなかったけど、そこも弄ってたんだ。いやらしいんだね、カノン。」
そのままスリットに大きな掌を滑らせて中に潜む濡れた芽を擦るブラッド。そして腹に舌を這わせるアシュレーに、カノンはただ情けなく愛嬌を漏らした。

302:ブラッド・アシュレー×カノン⑥
11/06/02 23:59:00.68 9QUVKC1b
自分以外に弄らせたことのない女の部分を男の、しかも逞しい体の持ち主に弄ばれ、さらに体中に他人の舌が這う感覚にカノンは頭がくらくらした。
「……あんッ……い…嫌…嫌…なのにぃッ……」
抵抗する声はよもや男を誘う声でしかない。いつもの女を見せない彼女が音を立てて崩れていく。
くちゅり、と己の体液が敏感な芽の突起に擦り付けられる度、カノンは腰を揺らめかせて悶えた。
「……カノン……いいな……実に…そそられるッ!」
揺らめかせながらも逃げようとするカノンの腰をブラッドは乳房から手を離して押さえつけた。
こりこりと芽を弄ぶ指の動きを早め、濡れそぼった下口に太い指を挿入すると、カノンはいやいやと首を振った。
「そろそろ素直になればいいのに。お互い欲求不満を解消してるだけだろ?」
悪びれもせずしれっとアシュレーが言い、がら空きになった両胸をがっちりと掴んで揉み解す。ハアハアと荒い息をしながらカノンはされるがままだった。
男の指が、異物が侵入し、己の内側を蹂躙しても、カノンにはただ喘ぐ行為しか許されなかった。
(あたし…どうしちまったんだ……ッ)

303:ブラッド・アシュレー×カノン⑦
11/06/03 00:00:42.49 9QUVKC1b
それでもカノンの心は完全に解きほぐされてはいなかった。とどめなく愛液が蜜壷から溢れ、尻に伝って入り口が解されていったとしても。
(嫌だ…ッ!こんな…アタシはこんなことをするために……)
こいつらの仲間になったんじゃない、と繰り返し叫ぼうとするが、それらはすべて甘い吐息変わってしまっていた。
「やはり…いいな。以前から、こうしてお前がどう抱かれるのかを見てみたかった。」
ブラッドの言葉に、目を大きく見開くカノン。以前から?以前からそんな目であたしを見ていた?!
いけすかないやつだったが、同じく戦場に身の安らぎを求めている者同士、多少なりとも頼りにしていたこの男がそんなことを?!
「……お前の格好は戦闘では過激すぎるんだ。特にこのあたりがな。」
ゆっくりねっとりと指を引き抜き、愛液でぬるりとした手でカノンの内股を摺る。むっちりとした太股に指が食い込み、カノンは引き抜かれた例の箇所がひくひとひくつくのを感じた。
「……ぁッ…はぁぁ……ハァ…ハァ……」
「カノン…ソコ、随分ともの欲しそうだけど、大丈夫なのかな?」
いつの間にか胸の感触を楽しんでいたアシュレーがカノンの下半身をまじまじと見ていた。カノンの顔に一気に血が集まる。見られているッ!見られているッ!!自分の恥ずかしいところをッ!!
この、いつか始末してやると心に決めていた小僧にッ!!
カノンの憤る心とは反対に、ソコからはとどめなく、見つめられれば見つめられるほど蜜が溢れ出ていた。
「すごいなあ。マリナよりずっといやらしい……」
「う、うるさいッ!!そんなにあの女がいいならあの女に存分にしてもらえッ!!」
何かと自分の彼女と比べるアシュレーに、カノンは怒った。ただでさえ作り物の体なのだ。普通の女性とは違うことなど嫌というほどわかっている。
「…あ、いや違うんだよ、カノン。カノンも綺麗だなってその……」

304:ブラッド・アシュレー×カノン⑧
11/06/03 00:01:56.76 9QUVKC1b
「アシュレー、女を抱くときは他の女の名は出すな。相手の機嫌が悪くなるし萎える。」
焦るアシュレーにさりげなくレクチャーをしているブラッドに、カノンはさらに機嫌が悪くなる。こいつら一体、あたしを何だと思ってるッ!!
「ふん、ろくに女を抱くマナーも知らないやつがあたしを脅迫して欲求不満解消か。笑わせるな。」
心に余裕ができたカノンは、髪の毛を掻き揚げ挑発するように腕を組み、胸をたくし上げた。アシュレーはたいしたことない。問題は…ブラッドだ。
経験はおそらくアシュレーよりかは豊富…な上に自分のよく感じるツボを的確に攻めてくる。こいつは強敵だ……貞操を奪われる前に何とか隙を見て逃げたいが、無謀に思えてくる。
自分が経験豊富に見せ、言い負かして相手の気を削いでしまえばやる気も起こらなくなるのでは…と考えてはみたが、甘かった。
「じゃあ言うけどカノン、君はその…経験豊富なのかい?」
ぼそりと恨みがましい目でアシュレーが呟く。
「ハァッ?!そんなもの決まってッ……!!」
ここで言い負かそうとカノンが虚勢を張ろうとしたとき、その戦法はたやすく打ち砕かれた。
「嘘だな。」
またもやここで奴に邪魔されたッ!カノンは、アシュレーが一人でやって来なかった理由をここまできて嫌というほど思い知った。
性的知識にまだまだ不安のあるアシュレーは、おそらく自分一人ではカノンを言いくるめる自信も、襲う自信もなかったのだ。そこでもう一人、強力な助っ人を連れてきたのだ。
「……なッ!貴様に何がわかるッ!!」
「経験豊富なやつが自慰を見られただけであそこまで恥ずかしがりはしないと思うが。」

305:ブラッド・アシュレー×カノン⑨
11/06/03 00:04:02.70 E+4gugPY
「~~~~~~ッ!!!」
墓穴を掘るばかりの自分に、カノンはぎりぎりと奥歯をかみ締める。今日はの自分はおかしい。いや、欲情が溜まって自慰を行っていた時点でおかしかったのだろうか?
「えーッ!カノン、君もしかして処…」
「言うなあああああッ!!だから何だッ!!わかったらこの馬鹿げた行為を今すぐ中止しろッ!!このケダモノ共めッ!!」
足をぴったりと閉じ、顔を真っ赤にさせて叫ぶカノンの姿は、普段の落ち着いた、大人の女性を思わせる風貌とはかけ離れていた。
そう、まるでこれから汚されるであろう無垢な少女のような。
男など今まで必要なかった。だから欲さなかっただけだ。だから交わらずに一人で事足りていただけだ。それをこいつらは……ッ!!
「そうか……それならば仕方がない。」
腰を拘束していたブラッドの腕が緩むのを感じ、ほっとそのまますり抜けてやろうとしたその時。
「もしものときは必ず責任を取る。いいなカノン。」
「……なッ!!……なななッ!!!」
緩めた腕はがっちりと太股をつかみ、貝のように閉じていた足を意図も容易くこじ開けた。ぬらりと糸を引いて開かれた花弁は、赤く色づき、本人の意思とは正反対に男を欲していた。
「なぜそうなるッ!!」
「……カノンって鈍いなあ。そこいらのゴロツキやモンスターにカノンの処女を奪われることがある可能性があるなら、僕らが奪いたい……そういうことさ。」
言っている言葉は恐ろしいのに、アシュレーの顔は穏やかで慈愛に満ちていた。仲間を慈しむ時の、あの顔だ。
「馬鹿かッ!!そんなヘマ、あたしがするかと……ッ!!」
言っていることが無茶苦茶だッ!と暴れるカノンを、ブラッドが押さえつける。
「現にヘマをしでかしてこういうことになっているが?」

306:ブラッド・アシュレー×カノン⑩
11/06/03 00:05:12.70 E+4gugPY
もはや反論する気力も沸いてこない。そこまでして、ヤりたいか…ッ!ああ、こいつら最低だッ!仲間だなんて、一瞬でも信じていた自分が馬鹿だったッ!
「あのさ…で、どっちがカノンの初めてを?さすがにいっぺんは無理だよね。」
またもやさらっと恐ろしいことを言うアシュレー。一体どうやったら二ついっぺんになどと、そういう発想が生まれるのか。
「……アシュレー、まさか無理でなかったら入れるつもりか。」
「ちっ、違うッ!それぐらいわかるってッ!…その……ボクってほら、マリナの初めて貰っちゃったわけだし……」
マリナに責任を取らなきゃいけないから、いざというときに、責任取れない…かも…などと言いながら顔を赤らめノロケるアシュレー。先ほどの台詞はどこへいったのやら。
「だから、頼むよブラッド。痛くしないでやってくれよ?」
「……承知した。」
まるで大事な任務を遂行する前のような顔で頷くブラッド。痛くしないなど、この男の体格を見れば不可能だろう。
カノンはみるみる顔が引きつっていくのを感じた。よりによって、この男とは…この義体は…そういった方面ではどうなのだろう。
初物でも、痛むのだろうか。それが原因で、不具合を起こしたりはしないのだろうか?
肉体を切り離したこの体では処女を失うということは問題になどならない。問題は、カノンのプライドだった。
返り血に汚れた自分には、愛する男とどうこう、という幻想など抱くことはない。しかし……
心を通わせていない男に体を提供するのは御免だった。男に体を提供する、という自分が下手になってしまう状況が許せなかった。そして怖かった。

307:ブラッド・アシュレー×カノン⑪
11/06/03 00:06:57.64 E+4gugPY
男を知ってしまったら、自分は一体どうなってしまうのだろうかと。
「……カノン、一応念入りには解しておいたが、傷つけてしまうかもしれん。先に謝っておく。」
カノンの体を背後から引き寄せ、アシュレーに見えるかのようにカノンの足を開いたまま持ち上げる。
「……よせッ!……もう嫌だッ!こんな…こと……ッ!」
ぴちゃ、と男性器をあてがわれたカノンは弱々しく抵抗した。脈打つ熱い熱が伝わる。視線は上を向いたまま。
おそらく規格よりも上回っているであろうそれを、カノンは直視することなどできなかった。
「……どうして、こんな……ッ!」
弱々しくも元凶の二人の男を睨みつける。なぜあたしなのだろう。こうして、手篭めにしておけば気軽にできるから?それともどうしても我慢ができないからか?
どとらにせよ、くだらない理由だ。
「それはね、カノン。」
睨みつけるカノンに、アシュレーは笑顔で返した。
「カノンのことが大事な仲間で、もっと僕らを信じてほしいからだよ。」
していることとは間逆とも言える言葉に、カノンは驚愕する。そして、同時にカノンの腰に杭が下ろされ、カノンの純潔を貫いた。
「ッアッ―――アアアアッ!!」
思った以上に凄まじい質量を伴って、それは彼女の膣に侵入した。はしたない叫び声を上げるカノンに、外に聞こえるぞ、とブラッドが口を掌で塞いだ。
「…ッ!ふぅッ……かはッ!」
すべてが収まりきると、奥に当たってカノンは身悶えた。子を成す力はもはや備わってはいないそこに、痺れを感じる。

308:ブラッド・アシュレー×カノン⑫
11/06/03 00:08:01.91 9QUVKC1b
「あ……お…奥に……ッ!」
あれだけのものを収めても、義体は痛みを感じなかった。むしろ、カノンは繋がるそこから甘美な痺れすら感じていた。生身の体であったのだったら、どうなっていただろう。
少女のように、痛みにもだえ苦しんだだろうか?
カノンの表情は痺れに陶酔しきっていた。
「あう……ひぃ……ッ!」
カノンが痛みを感じていないことを悟ると、上下にスイングを開始する。
じゅる、という厭らしい音と共にカノンの体と花弁がかき混ぜられ、だらしなく口を空け、そこからは女のそれが紡ぎ出されていた。
ぐちゅぐちゅとしどけなく滴る蜜。とろんと陶酔した瞳。張り付いた髪の毛。普段凛と人形のように澄ましている彼女が嘘のようだ。
「あっ…あっ……すごいッ!……駄目ッ!」
奥に到達するたびにエクスタシーが体内を支配する。一人では決して得られない喜び。
カノンは全てをさらけ出してしまっていた。本能のままに。
「……ッ…ふああッんッ……あん……」
「やっと、そういう顔してくれたね、カノン。」
「……え……?」
「その顔が、見たかったんだ。」
再び奥に強く打ち付けられた楔に身を震わせながら、カノンはぼんやりと反応した。
「カノンってさ、いっつも気が張ってるというか…その、嬉しいときもこういう嬉しいじゃなくて、戦う狂喜みたいなものがあってさ、こういう顔、してくれないなって思ってて。」
当たり前だ。誰がこんな顔など、してやるものか。
「僕らのこと、そこまで信頼してくれないのかなってね。」
「……どう…いう……」

309:ブラッド・アシュレー×カノン⑬
11/06/03 00:09:37.84 E+4gugPY
……どう…いう……」
「寝ている顔を覗きにきたのも、カノンが気を許しているときがどんな顔か気になったからなんだ。」
「身が繋がれば心もおそらく…わかるな?」
言葉が素直に染み込んだのは、この麻薬のような快楽のせいだろうか。
「カノン、僕らで気持ちよくなっていいんだよ、もっと……」
カノンの目の前でアシュレーのズボンが下ろされる。上を衝く象徴は、限界まで膨らんでいた。
力のない瞳で困惑するカノンに、アシュレーはそれを緩んだ唇を押して捻じ込んだ。
「ふぐッ……」
口を塞がれ、カノンが涙目になる。
「んッ…んんん……むぐう……!」
「カノン、歯を立てちゃ駄目だよ。舌使ってしゃぶって……」
カノンの顎に手を添えながら、アシュレーはカノンの口を蹂躙する。戸惑い、されるがままのカノン。下半身にはブラッドが繋がったまま。
アシュレーの言うとおりに舌を這わせてやると、アシュレーはぴくりと反応した。
「……ぷぱ…気持ち…いい…のか…?」
一度口を離し、カノンが尋ねると、アシュレーは顔を赤らめて頷いた。余裕があるのかそうでないのか全く掴めない。
だが、この男が喜んでいるのも事実なようで。カノンの内に、何かが芽生えるのを感じた。
相手が喜ぶことを、自分がしている。戦闘以外で。
再びイチモツを咥えてしゃぶってやると、アシュレーは困ったような、それでいながらも続けてほしそうな悩ましい顔をした。
カノンはそれに応えてやることにした。いいだろう。あたしが満足させてやらんでもないぞ。
「ん…ふむ…」

310:ブラッド・アシュレー×カノン⑭
11/06/03 00:11:37.87 E+4gugPY
ちゅっと時々吸ってやると、それはびくんと跳ねて反応する。カノンの口からはいつしかはしたなく涎が伝い始めていた。
カノンが咥えしゃぶることに夢中になっているのをしばらく様子見していたブラッドだったが、面白くないといわんばかりにカノンの腰を掴んで運動を再開させた。
「ふぶッ!ぷふァッ!」
思わず口を大きく開けてアシュレーのモノを離しそうになるカノン。だが双方とも容赦はしなかった。
「俺に酔ってもらうのはかまわんが、アシュレーのも気持ちよくしてやるんだ、カノン。」
「あっ駄目じゃないかカノン、ブラッドのがいくらボクより大きくて魅力的だからって……」
上も下もひとつしかない体を攻められ、カノンは自身がどろどろに溶かされていく感覚に陥った。
ああ、このまま溶けてしまいたい。一人ですることよりも、繋がることがこれ程までにいいなんて……
「ん……ふあッ……ひもひ…ぃ……」
自ら腰を動かし、吸い付く様はもはやプライドも何もなかった。ただ、お互いを感じたい、その感覚だけがカノンを支配していた。
「満足か。ならばよかった。」
「…ハアハア…舌がざらざらですッごくやわらかくて…程よく摺れてッ…ああッ…もう我慢できないよカノンッ!」
アシュレーの限界が近づき、カノンの口の中で膨張しきったモノが圧迫する。
「んんん……」
苦しく、悩ましげな表情で呻くカノン。

311:ブラッド・アシュレー×カノン⑮
11/06/03 00:13:25.77 E+4gugPY
「……お前に欲情するなど…俺がおかしいのかと思ったが……そうではなかったのだな。」
「……ふんむう……ッ!」
ブラッドがカノンの乳房を後ろから掴み抱え、優しくマッサージしてやると、カノンのソコがきゅっと締まる。
「……カノン……綺麗……だぞ……」
後ろから抱きかかえられたままで熱く囁かれ、耳たぶを甘く噛まれ、カノンの理性は一気に吹き飛んだ。
(もっと…もっと、して……)
彼女の中の女が完全に姿を現す。己を汚す存在に体に腕を回し、撫でさする。
「カノン…ね、もう……」
アシュレーが苦しそうにカノンの頭をつかみ、ブラッドが尻を鷲づかみにし、固定する。カノンは驚いたが、ぐずぐずに溶けた体では、もうどすうることもできなかった。
「……出す……ぞ……」
「――ッ!!!!」
頭が真っ白にはじけ飛び、双方の異物を締め上げる。
カノンの眼帯から本物の涙が雫のように流れ落ち、同時に欲情が双方に打ち出され、カノンは果てた。
ベッドに崩れ落ち、ひくひくと体を痙攣させ、秘唇と口からどろりと欲情が伝う様は、妙に色っぽかった。
「ちょっと…やりすぎた……かな?」
「いや。まだまだだ。あと数回ぐらいは……」
「貴様、何をふざけたことを言っている。」
先ほどまで倒れこんでいたかと思っていたカノンが、起き上がりながら汚れをシーツで拭っていた。もう既に、いつもの表情に戻っている。
「……残念だなあ、せっかく可愛い顔してたのに。」
「馬鹿を言うなッ!貴様らッ!覚えておくんだなッ!この仮は……」
「何だ?三倍にしてか?夜伽なら俺は嬉しく頂戴するが。」

312:ブラッド・アシュレー×カノン⑯
11/06/03 00:15:04.62 E+4gugPY
「……ブラッドッ!貴様ぁッ!」
怒るカノンに、でも気持ちよかったんだろ?俺も三倍気持ちよくしてもらわんとな。と、不敵に笑うブラッド。図星を指摘され、カノンはむくれあがる。
「だっ黙れッ!誰がお前なんかので気持ちよくなるかッ!!」
「あ、でもカノン、初めてがブラッドのだったら、他の人のじゃ満足できなくなるんじゃな…ってうわあああ!」
「望みどおり貴様らの煩悩を凶祓ってやるッ!!覚悟しろッ!!」
いつのまにか拘束を解いたカノンの異形の左腕が伸び、アシュレーを捉える。
「わーッ!ちょっと!!ちょっとカノン?!どうするつも…ぎゃあああッ!!」
ワイヤーで拘束され、アシュレーは仰向けに転がされる。カノンの瞳はギラギラと燃え盛っていた。まるで獲物を仕留める狼の如し。
「喜べ。お前で満足してやる。あたしの信頼を勝ち取りたければあたしが満足するまで相手しろ。いいな?」
「えッ…ちょッ!」
今度はアシュレーが困惑する番であった。ああ、ワイヤーなんか巻きつけられて…マリナに会うときまでに跡が取れないと、言い訳が大変なことに……ッ!
もし今日のことがバレたら……終わりだッ!!拒絶されるッ!!ロードブレイザーになったとき以上に拒絶されるッ!!
「……義体というのは疲れがないのか?」
「ふっ、どうだろうな。お前も試してみるか?ん?」
やれやれ、と首を振りながらもカノンに誘われるまま、ブラッドはカノンの体に手を伸ばした。


 結局カノンがへたり込むまで楽しんでしまったために、翌朝は三人ともどこか眠そうだった。特にアシュレーはげっそりしており、リルカにしきりに
「アシュレーどうしたの?」
と聞かれていたが、言えるわけもなくただ話を逸らすしかなかった。あれだけ搾り取られたのだ。今日の彼はピンチになっても恐らくアクセスッ!できるか怪しい。

313:ブラッド・アシュレー×カノン⑰
11/06/03 00:16:46.43 E+4gugPY
「あの…大丈夫ですか?なんだか三人とも元気が……任務に障るんじゃ……」
癒しの呪文でもかけます?と空気を読めず聞いたティムに、アシュレーはげんなりとしながら頼む、とつぶやいて机に突っ伏した。
そんなアシュレーをカノンはちらりと一瞥すると、ブラッドの方に歩み寄り、こっそりと囁いた。
「アシュレーのやつ、意外とだらしなかったな。今度からは抜きだな。」
「お前…意外とハードな趣味だったんだな。ついさっきまで処女とは思えんかったぞ、昨夜は。」
むっと顔を赤らめながら、カノンはそういうお前も楽しんでいたくせに、と鼻を鳴らした。
「じゃああたしを最後まで満足させたお前は何なんだ?化け物か?」
「……かもな。」
次溜まったらまたよろしく頼む、と意味ありげに目配せしてからカノンは立ち去った。
子供コンビに囲まれて心配されているアシュレーを見ながら、まあたまにはあいつもつまんでやってもいいか、などどいう不埒な考えもこっそりと抱いて。

 そして、ヴァレリアシャトーの一室で、主のアーヴィングがせっせと映像ディスクにラベルを貼って箱につめる姿があった。
「お兄様、お食事の用意ができましたの。…お仕事中、ですか?」
「ああ。ARMSの重要な資金源をな。」
「まあ、お仕事頑張ってくださいね。」
妹ににこやかに微笑を返すと、アーヴィングはまたせっせと作業に取り掛かった。
だがそのラベルに『悩殺!女渡り鳥~ヘタレ純情新人調教編~』
などと書かれていたのをアシュレーをはじめカノンも知ることになるのはずっと後のことだ。



おわり


314:名無しさん@ピンキー
11/06/03 00:18:24.01 E+4gugPY
投下しようとしたら忍法帖で字数制限くらったんでぶつ切りになってレス大量消費してしまったがスマソ。

カノンがアーヴィングにこの後セフレで呼ばれちゃったり、ティムがコレットちゃんとの恋愛のお勉強に大人の夜伽を除きにいってしまったりするのはまた別のネタでw

315:名無しさん@ピンキー
11/06/03 00:19:33.10 bSwgSmt9
リアルタイムキタ━(゚∀゚)━!
GJGJGJ!!!
ごちでした!

316:名無しさん@ピンキー
11/06/03 01:25:28.26 DPUycwVG
>>296
おれ おまえ すき

317:名無しさん@ピンキー
11/06/03 20:40:45.22 dw5b4OVV
GJ!2好きだから嬉しいよ!
別のネタもいつか頼む

318:名無しさん@ピンキー
11/06/03 23:58:36.49 fsmivY5t
待てアーヴィング
なぜ撮れたww
しかも売る気か

319:名無しさん@ピンキー
11/06/04 00:56:26.98 pGnASNxE
>>318
そりゃだって自分のお城だから何でも仕掛け放題ですよw
たぶんカノンだと最終的にソナー使ってバレてアーヴィングが半殺しにされそうだがw

320:296
11/06/05 23:07:57.67 ToRNhCZG
別ネタだけど、半分ぐらい出来た。ティムとリルカが大人二人を覗き勉強な方で。
(前の続きだからカノンとブラッドがセフレ関係みたいな感じ)
ここあんま投下頻繁じゃなさそうだから連続で同じヤツが同じシリーズの投下すんのアレかなと思うんだがどうなのかな。
べつにそういうのはおk?

321:名無しさん@ピンキー
11/06/06 00:13:37.29 ZsYpo7QQ
>>320
豊作大歓迎
ここんとこSS枯渇してたから嬉しい

322:名無しさん@ピンキー
11/06/06 00:17:45.89 1DGumOqG
歓迎

323:296
11/06/07 02:17:33.52 UhdCKb8t
出来たので早速投下。

ティムとリルカがブラッドとカノンのセフレ現場覗きな話

324:大人のお勉強①
11/06/07 02:18:28.50 UhdCKb8t
 「なあティム、お前コレットとはどこまでいったんだよ?」
「えっ?!」
ニヤニヤとしながら肘でティムの脇を突くトニーに、ティムはきょとんとした顔で応じた。
「どこまでって…えっと、この前二人でお花畑に行って……」
「ふんふん。」
「それから、コレットが作ってきてくれたお弁当、二人で食べたよ。とっても美味しかった!」
「で?!」
「それから…しばらく二人で話をして……気づいたら天気がよかったからお昼寝して……」
「だーッ!お前!!それだけかよッ!!」
「えっと、帰りは二人で…手を繋いだよ……コレットの手、あったかかったなあ……」
そんなことでも照れながら嬉しそうに語るティムに、トニーは地団太を踏んだ。聞きたいのはそういうことではないッ!
「お前らッ!チューとかしねえのかよッ!!チューとかァッ!!」
「えええッ!!!」
トニーのませた発言に、ティムが顔を真っ赤にする。コレットのことは大好きで、いつか大人になったらきっと……とは思っているが。
そんなこと、一切考えられなかった。それほどまでに、まだ双方幼く拙い恋なのだ。
「そ、そんなの考えたことないよ……」
「へっ、まだまだガキだなあ、ティムは。」
恥ずかしくなって俯いたティムを見て、トニーはゲタゲタと笑った。
「何だよッ!じゃ、じゃあトニー君はどうなのさ…マリアベルさんに、自分の気持ち言ったの?」

325:大人のお勉強②
11/06/07 02:19:17.02 UhdCKb8t
さすがにムッとしてティムが言い返すと、トニーはばつ悪そうに、しかしながら顔を真っ赤に火照らせた。
「ちっ…ちげーよッ!アイツは別にそんなんじゃねーんだかんなッ!!」
「でもトニー君、顔真っ赤だけど?」
「うっ…うっせえッ!!じゃーな!!!次までにはコレットとチューぐらいしとけよなッ!!!」
自分のことは棚に上げて、トニーは捨て台詞を吐いて走って行ってしまった。
「もう…素直じゃないんだから……」
いつになれば素直になるのやら、あーあ、とため息をついたティムだったが、そのため息は別の意味も含まれていた。
(子供……かあ。)

 確かに、コレットとはまだキスをしたことはない。彼女といると、もうそれだけで楽しくて、一緒にいるだけでよくなってしまう。
「そこが、子供ってことなのかなあ。」
戦闘でも常に一生懸命なティム。それとは反対に、アシュレーやブラッド…特に後者は年長者の貫禄か、戦闘でも余裕を見せることもある。
恋愛でも、きっと余裕なんだろうな…ともやもやと考え始めてしまう。天才と呼ばれたこの少年でも、やはり子供は子供なのだ。
(でも!きっと……アシュレーさん達だって、女の人と……そうだよ、ブラッドさんはともかくアシュレーさんはマリナさんとはきっとまだ……)
なかなか素直になれず、やっと打ち解け思いを伝え合った仲なのだ。そう進展することもあるまい。
だがそのティムの思考は甘かった。彼はすぐに現実を思い知ることになる。
「……マリナ……いいだろう?」
「……だ…駄目よアシュレーッ…まだお昼だもの……」
パン屋の裏口で、そのアシュレーとマリナが抱き合って口付け合っていた。なにやら怪しい台詞も聞こえてきていて。
アシュレーの手はマリナの尻の辺りを撫でており、明らかに怪しい素行だ。かといってマリナは嫌がる風でもない。

326:大人のお勉強③
11/06/07 02:20:08.18 UhdCKb8t
アシュレーがぼそぼそ、とマリナの耳元で囁くと、マリナは
「しょうがないわね、アシュレーったら。」
と言って、困ってはいるがまんざらでもない顔でアシュレーから離れ、パン屋の店番に戻っていった。
恐らく、「じゃあ夜ならいいかい?」などと囁いていたのだろう。アシュレーも口元が綻び、若干照れていた。
(アシュレーさん……マリナさん……なんて…大胆な……)
普通は恋人ならこれぐらいは日常茶飯事だろうが、初心なティムには大胆不敵な行為に見えた。しかもあのつい最近まで女ッ気のなかったアシュレーが、である。
(ううう…そんな…じゃあもしかして僕だけッ?!)
別に彼はまだ子供なのだから、そこまで進んでいれば逆にませすぎで恐ろしいのだが、トニーにからかわれたこともあり、ひどく真剣に悩んでしまっていた。
(もっと大人に…勉強、しなきゃッ!…ハッ!勉強ッ?!)
ときに恋愛とは、人を行動的にさせる。いつもはおとなしい少年が、大胆な行動に出ようと胸に闘志の炎を一人点していた。

 夜。ティムはこっそりとアシュレーとマリナの様子を覗くべく、パン屋に身を潜めた。
(大丈夫。きっと見つからないさ……!)
プーカは置いてきた。騒がれて見つかったら困る。
唯一明かりのともった部屋。そこを目指し、ティムはこっそり忍び足で歩み寄る…はずであった。
「あら?ティム君。こんな遅くに何か御用?」
ハッと振り返ると、そこにはマリナの姿があった。顔は女神のように微笑んでいるが、なにやら恐ろしいオーラが出ている。
「えっ…えっと、あの……」
「ごめんなさいね、パンなら今日は余りがないの。もしかしてアシュレーに大事な用かしら?」
「…ははは……えっと、その……」
「てっきり空き巣かと思ったのよ?用事があるなら遠慮せずにちゃんと玄関から来てくれていいのに。」

327:大人のお勉強④
11/06/07 02:20:57.64 UhdCKb8t
マリナの手に握られたおたまが、これほどに怖いとはティムは思わなかった。
「……ごっ…ごめんなさいいいいいいッ!!!」
マリナから殺気を感じたティムは一目散に逃げ出した。いつもはにこやかな女性の笑顔が、あれほどまでに恐ろしいとはッ!
「あれ?マリナ。さっきティムの声が……」
「用事があったみたいだけど、明日にしますって、帰っちゃったわ。」
「そう……?……じゃあマリナ……早速……」
とびきりの笑顔を向け、マリナは愛しい人の胸に飛び込んだ。甘ったるく、また卑猥な空気が部屋を包む。
静かに灯った明かりが消えるのを、ティムは情けなく見ているしかなかった。
(失敗……かあ。)
マリナさんがあそこまで感がいいなんて……と、半ば感心しながらティムは帰ってから眠りについた。
だが、これしきで諦めるティムではない。
(絶対、見返してやるんだ……!)
言い出したら聞かない、決心したら曲げない。これが彼の信念でありプライドなのであった。

 次の日。ティムは新たに標的を定めなおした。マリナとアシュレーはもはや不可能だ。昨夜のことで絶対に警戒しているに違いない。(特にマリナ)
だとしたら、身近でそういった深く関係を結んでいる人は……!
ティムが廊下でウロウロしていたのが幸いだったのか、それはすぐに見つけることができた。
「……またか?最近随分と頻繁じゃないか?」
「仕方ないだろうッ!……溜まるものは溜まるんだ…それに……」
もじもじと、カノンが目線を下に落とす。

328:大人のお勉強⑤
11/06/07 02:21:58.88 UhdCKb8t
「……やれやれ、光栄だな。お前専用の係とは。」
「バッ…馬鹿言うなッ!あたしについてこれるのがおまえぐらいだからッ!」
ああわかってるよ、ブラッドはカノンの顎に軽く手を添えると、じゃあ今晩な、と言って行ってしまった。
ブラッドとカノン。意外な二人だったが、そのやり取りには、「大人の何か」をティムは感じ取った。
(……ブラッドさんとカノンさんがそんな関係だったなんて……でも、これだ……!)
ガッツポーズをし、ティムはふふふ、と不敵な笑みを浮かべた。
が、そのティムの計画は思わぬ同行者を招くことになる。
「ティム、何してんの?」
「うわああああッ!!」
後ろから急に声がしたので驚いてティムはしりもちをついた。声の主は自称魔女っ子…リルカだった。
「ガッツポーズしてたけど。まさか……何か企んでんの?」
「な、ななな何でもないよッ!」
じと~と、疑いのまなざしのリルカに、ティムは困惑しつつも取り繕う。しかしそんな下手なものが通用するわけもなく。
「嘘ッ!!白状しなさいッ!!じゃないと、コレットちゃんにティムがこの前……」
「うわあああああ!!!やめてええええッ!!!」
かくして、ティムの密かな研究活動は、リルカをも巻き込むことになった。
「ど、どうしてリルカさんも興味が……?」
「大有りよ!…それにしても知らなかったな~♪カノンが、ブラッドとデキてたなんて☆キャッ♪」
恋話を聞いてはやし立てるおばさんのように、リルカは頬に手を当てて妄想モードに入っていた。
ティムが思うに、あの二人はそういういわゆる甘い恋人という感じではないような気がしたのだが……

329:大人のお勉強⑥
11/06/07 02:22:57.16 UhdCKb8t
「大人の恋の駆け引きッ!絶対見とかなきゃ……やっぱ、こう、オトナなのかなッ!うふふふ~……」
言っていることが「大人」しかないのだが、ティムはもはや突っ込まないことにした。
「リルカさん…別について来る事に関しては何も言わないけど…見つかるのだけはよしてくださいね?」
「わかってるわかってるッ!へいきッ!へっちゃらッ!ついでにコレットちゃんへのアプローチの仕方もあたしが教えちゃうんだからッ!」
そうしてティムは、この後リルカの自論を延々と聞かされる羽目になったのだった……

 いよいよ作戦決行の夜。ティムとリルカは密かに天井に忍んでいた。覗くのに丁度いい隙間があったのだ。
「リルカさん、本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫よッ!こーゆーときのために、気配を消す魔法を密かに一人で勉強してたんだからッ!」
「……そういうのはすぐ覚えるんだ……」
「なによッ!……ティムまでテリィみたいなこと言って……」
呆れたティムの態度にムスッとむくれるリルカ。テリィも散々だ。リルカにちょっかいをかけてしまうのは、彼女が好きだからなのに。
「でもどうしてリルカさんが?」
「……あたしも、オトナになりたいんだもん。」
リルカはアシュレーのことで失恋している。それをまだ引きずっているのも……
「リルカさん、もしかして……」
「そーよッ!まだ吹っ切れてないのッ!…しょーがないでしょッ!……だから、オトナになって吹っ切るのッ!」
リルカもリルカなりに前進しようとしているらしい。
「アシュレーなんかよりずーーーーーッと、カッコイイ彼氏作って見返してやるんだもんッ!」
「……あの、リルカさん……」
「ん?なに?」
先ほどからもやもやしていたティムは、思い切って聞いてみた。

330:大人のお勉強⑦
11/06/07 02:24:27.72 UhdCKb8t
「テリィ君のことは……どう思ってるの?」
「はああああ?!あんなの、ただのお子ちゃまじゃないッ!ハンチューガイよ、ハンチューガイ!あたしに意地悪しかしないし。」
あっさり切り返すリルカに、はああ、とティムはため息をついた。なぜ自分の周りはこうも素直にならない男が多いのか……
「リルカさん……テリィ君は……」
「シッ!来たわッ!!」
扉が開き、カノンがまず入ってきた。それもそのはず、ここはカノンの部屋だ。任務を終えたばかりのようで、服が乱れ、少し疲れているかのように見える。
汚れを流すのか、そのまま彼女は浴室へ消えた。
「……なんだ、まだだったみたいですね。」
「ふ~む、まずはお風呂に入って、と。」
拍子抜けするティムと反対に、几帳面にメモを取るリルカ。なぜこの力が勉強に生かされないのか……
恐らくテリィが見ていればまた小言を言っただろう。そして、照れ隠しの愛の言葉の羅列もおまけに。
「あ、ブラッドさんだ。」
続いて、ブラッドが部屋に入ってきた。特に何も持っておらず、グローブも外しており楽な格好だった。
「ふ~ん、部屋で待ち合わせね。男の部屋に女が行くんじゃないのね。」
ドカっとベッドに腰を下ろすと、ブラッドはタバコをふかしていた。なんというか、あまりロマンチックな空気ではない。
「……うっ…なんか、ちょっとイメージと違ったってゆーか……」
「リルカさんが期待しすぎなんですよ……」
「もう!うるさい!」
ひそひそと小突きあう子供二人。リルカのとっておきの魔法がなければ、即座に見つかっているだろう。果たして、うまくいくのか……

 カノンに部屋に呼びつけられ、タバコをふかして彼女の入浴が終わるのを待つブラッド。これから女性の相手をするにしては、機嫌はあまりいいとはいえなかった。
結局、いつもの「あれ」なのだ。あの一件以来、カノンは自分の欲求が溜まるとすぐに彼を誘うようになった。片棒を担いだアシュレーはマリナに通うのに忙しい。

331:大人のお勉強⑧
11/06/07 02:25:18.70 UhdCKb8t
初めてが自分だったので癖になっているのかもしれないが、結局カノンの並外れた体力についていけるタフガイは彼ぐらいだというもので。
「……俺を何だと思ってるんだ、あいつは……」
恋人でもない、ただの情夫のようなこの状態。しかも最初はこちらが優位だと思っていたカノンに振り回されている、この現状。
どうもなんだか癪に障る。しかしひそかにそれを楽しんでしまっている自分もいるわけで。
カノンのシャワーを浴びる音が止まり、浴室のドアが開閉される音が響くと、カノンはすぐさま彼の目の前に姿を現した。
一糸纏わぬ姿のまま。風呂上りそのままの姿でカノンはつかつかと歩いてくる。だがそこに色気はあまり存在しない。
義務的というか、ただ自分の欲を開放する作業を行うだけというか。
「……脱がせる楽しみぐらい、残しておいてくれないのか?」
「どうせ脱ぐ。それに皺になるのは嫌だ。」
それでも眼帯だけは外していない。そこだけは妙にエロティックなのだが、彼女が壁を作っていることには間違いない。
「今日は疲れているから、少し優しくしてくれ。」
自分から呼びつけておいてこの態度。こいつ…本当に人のことを何だと思っていやがる……仏頂面でブラッドはカノンの体を抱きかかえた。
いつもならそこから激しい交わりに突入するはずであったが、今日は違った。
カノンをベッドに横たえたきり、ブラッドは一切手を出さず、じいっとカノンの姿を眺めるままであった。

 「うわ~カノンって大胆ねッ!素っ裸で恥ずかしげもなく…う~ん…あのプロポーションうらやましいわ~……」
「カッ…カノンさんの…ッはッはだッ……」
「こんなことぐらいでビビッてどーすんのよッ!もうッ!ホントに子供なんだからッ!」
あわわ、と慌てふためくカノンを抑え、リルカはメモを取りながら観察していく。どうしてさっさとはじめないのかしら…?もしかして、間とか……?
いや、もしかしたら準備するのかも……


332:大人のお勉強⑨
11/06/07 02:26:09.52 UhdCKb8t
 「……」
ベッドに横たえられたまま、何もしないブラッドにカノンは苛立ち始めていた。頬杖をついてただぼんやりと見てくる男。いつもならすぐに済ませてくれるのに。
「どうした?早くしないのか?」
眉をひそめたカノンに、ブラッドはこれといって反応せず、無表情を装った。
「……俺はお前の情夫じゃないんだ。なぜお前の言うことを聞く義務があるんだ?」
「……ッ!」
予想外の答えに、カノンはたじろぐ。昼間、廊下で誘ったときはやる気だったのに……ッ?!一体、どういった風の吹き回しだろう。
もしや、誘いすぎたか…?頻繁だから飽きたかもしくはする元気がないのか……?
もはやこの欲求不満の解消という流れ慣れきってしまっていたカノンは、重要なことが見えていなかった。
「……お前の相手をするのも楽じゃないんだ。」
この男にも、そういった類の、いわゆる人の温もりを求める心があったことを。
「この際、そろそろはっきりしないか?こういった関係をお前が望むなら、お前もどこかで男でも買うといい。」
お前ほどに腕があるならナメられんだろうし、と付け足してブラッドはベッドから起き上がった。
「バッ…馬鹿言うなッ…そんなことをするぐらいなら自分で……」
「じゃあ今から自分で慰めるんだな。俺は帰らせてもらう。」
完全にベッドから離れ、今も帰ろうとドアノブに手を掛けるブラッドに、カノンは複雑な思いを抱いた。
この男も、自分も、人と同じような幸せを望める人間ではない。アシュレーのように、帰る故郷があるかというと、無いに等しい。
ブラッドには帰る場所は存在するが、それは自分への戒めや義務にとらわれている部分が大きい。
カノンもブラッドも、背負っているものが重過ぎる。特にカノンは、身体面で普通の幸せを望むことは出来ない。
渡り鳥として、器が朽ちるまで各地を凶祓いしてさ迷うのが永遠の定め。自分で決めたことだ。

333:大人のお勉強⑩
11/06/07 02:27:03.69 UhdCKb8t
だから、お互いのこの関係は理にかなっていて、充実しているのだと考えていた。
(……帰ってほしくない……)
彼の言うように、自分一人で慰めればいいものを、どうして彼を渇望するのか。関係を終わらせるのは簡単だが、それはもう体を重ねるうちに、戻れないほどになってしまっていた。
(……抱いて…欲しい……あの男の体が、欲しい……)
気がつけば、ベッドから這い出て奴の背中に自らの裸身を押し付けていた。

 (キャ~ッ!!焦らして誘うのも、大人のテクニックなのねッ!!……迂闊だったわッ!ブラッドがテクニシャンだったなんてッ!パワータイプと思ってたのにッ!)
(うわあ…なんだか、違った意味でオトナっぽい……というかカノンさんのハダカ……ふう…コレットも大人になったらああなるのかな……ゴクリ……)
部屋でまさしく大人の駆け引きが行われている最中で、天井では子供二人がそれぞれ子供の反応をし合っていた。同じ部屋でも、天井の下と上では空気が大違いだ。
「やだっ…この前見た、スパイ映画のワンシーンみたいッ!出て行くボスに、愛人の人が行かないで~ってするやつッ!」
「……リルカさん、それとこれは全然違うと思うんですけど……なんかブラッドさん表情的に不穏なこと言ってた雰囲気が……」
リルカの気配を消す魔法の副作用で、こちらの声も聞こえない代わりに、カノン達の声も聞こえづらくなっていた。
よって、二人とも行動やしぐさでなんとなく判断するしかなかったのである。
「……さ、どうするのかしら……いやんッ!やっぱり愛の言葉でも囁くのかなあ~……」
勉強どころか、まるで恋愛映画を見に来たようなリルカに、ティムはゲンナリした。
(やっぱり…リルカさんについてきて欲しくなかったな……)

 「……で、これはどういう答えなんだ?」
背後から抱きつきしなだれかかるカノンに、ブラッドはあえて冷たく言い放った。これ中途半端な以上続けると、お互いに駄目になるだけだ。
何がと言うと、カノンにとってがよくない。彼女には普通の生き方が、女の幸せが望めないことはわかっている。

334:大人のお勉強⑪
11/06/07 02:27:56.24 UhdCKb8t
だとすれば、この中途半端な関係を継続していくことが一番よくないのだ。
彼女が自分を本当に必要としているならば、女を目覚めさせてしまった自分が最後まで責任を取るつもりだ。
だが、彼女がそこまで思っていないのであれば…戯れ程度であるならば…早めに突き放したほうがいい。長引くと嫌でも情が芽生えて彼女の傷が深くなる。
「……」
「黙っていたら、わからないだろう?」
「帰って、欲しくない。」
「だったら?」
「欲しい。お前が欲しくて、たまらないんだ。お前じゃないと……」
カノンがぐい、と顔を引き寄せ、口付けを行うまで、そう時間はかからなかった。口内に、カノンのざらついた舌が侵入するのも。獲物を貪るのも。
それも偽者だ。だが精巧に作られたまがい物は、本物以上に熱を持っていた。
「ん……」
カノンが腕を回し、ドアノブに引っ掛けられた手を剥ぎ取る。細い指が絡む。生身であれば傷だらけでがさつくはずのその手は、シェルエットアームであるために滑らかであった。
カノンが口付けを自ら行ってきたことで、ブラッドの中で彼女に対する責任は固まった。カノンは今まで口付けだけは拒んだ。
アシュレーと襲ってみたときも、そういえば口付けはしなかった。男のイチモツは許すというのに、こっけいな話だ。
一度してみようか行為の最中に試みたことはあるが、拒否された。「妙な気分になるから嫌だ。」ということらしい。
「ふう…れろ……」
より激しさを増してきた口付けに乗じて、カノンの体を抱きかかえて床に押し倒す。カーペットの感触が肌にちくりと刺さった。
「ぷは……ハア…ハア…」
ようやくカノンが口を開放すると、いやらしく糸が引いた。そのままカノンは絡めていた指で逞しい腕を掴み、豊かな膨らみへと誘導した。
「……好きにしろ……優しくなんかしなくていいからな……」
ぷっくりとした乳輪に太い指が強く食い込み、カノンは体を震わせた。


335:大人のお勉強⑫
11/06/07 02:28:42.93 UhdCKb8t
 「はッ…始まっちゃったッ……!」
「床の上で……カノンさん痛くないのかな……」
ブラッドに押し倒されて悶え喘ぐカノンの姿に、さすがに子供二人は顔を赤らめ凝視してしまう。
丸太ほどあるかと思われる、日焼けした逞しい腕がカノンの胸を力強く掴み上げ、捏ね回す情景など、リルカはお世辞にも豊かではない胸を思わず押さえてしまっていた。
カノンの首筋に赤い花がみるみるうちに植えつけられ、カノンの腰が跳ね上がってそのまま持ち上げられ、股を割られる光景は、さらに刺激が強かった。
(うっ…うわあああ……)
いつもは厳しい表情で、優しいところはあるものの、無愛想で強くも脆い、刃のような女性がはしたない姿で、仲間の男性に踊らされている……
この落差はリルカとティムをひどく扇情した。
(……やッ…やだ、あたし、なんか変な気分……カノン、すっごくいやらしいよう……)
(あれが大人の……綺麗で…それでいてなんだか…すごくエッチだ……)
じっと眺めるのに夢中で、双方とも股間に熱を持っていることなど、気づけなかった。

「ひい……んくうッ……」
いつもよりもずっと激しく膣をかき回され、カノンは身を捩った。おまけに上半身も常に攻撃を受けている状態だ。
とめどなく、甘噛みと掌の愛撫が作り物の滑らかな肌を攻め立てる。
「ああ…少し、休ませッ……ひうんッ……」
「優しくしなくていいんだったな?」
ぐちゅッ!と奥まで指を突き立てられ、た上に敏感な部分を一緒に爪で引っ掻かれ、カノンはひいいッ!と艶のある悲鳴を上げた。
「あっ…それは…そうだが…これじゃ……」
「おかしくなりそうか?なればいいだろう?」

336:大人のお勉強⑬
11/06/07 02:29:31.87 UhdCKb8t
指で一番感じるところを幾度も激しく擦られ、カノンは目を剥いてあーッ!と喘ぎながら一度果てた。
「……はッ……はッ……」
激しく息をしてぐったりと床に体を預けるも、休むことはゆるされず、仰向けに体をひっくり返されたかと思うと、四つんばいにさせられる。
腰を大きく持ち上げられると、ずぶずぶと緩やかなスピードでいつものアレが体内を分け入ってくるのが感じられた。
(……やッ…こんな……ケダモノみたいな……ッ!)
上から圧し掛かられ、カノンの乳房が押し広けられる。貫かれるたびに乳房が床と擦れて、カノンは吐息をひたすら漏らし続けた。
潤滑液が、太股を伝うのがわかる。繋がった部分が蕩けていきそうなのも。
「ふ…ああ…ん!ひああッ!!」
涙と涎が垂れてこぼれ、床に染みが広がっていく。カノンにはそれを眺める余裕も無かった。

 「……わあ……」
「……ごく……」
激しさを増していく行為に、リルカとティムは呆気にとられていた。ティムは先ほどから生唾を幾度も飲み、リルカは手をぎゅっと握り締めている。
お互い、息が荒くなっているのは同じで。
「……は、激しいんだ…やっぱり……」
「あ、あんなことして、痛く…ない……のかな……」
「そ、そんなの知るわけ…ってキャァッ!!」
リルカがティムのズボンを見て悲鳴を上げた。何かと思って確認すると、ティムのズボンにはこんもりと、山ができてしまっていた。
「……あっこれはっ…そのっ……!!」
「キャアアアッ!ティムのえっちッ!!」

337:大人のお勉強⑭
11/06/07 02:30:19.68 UhdCKb8t
男なのだから当然といえば当然なのだが、見たこともないリルカからすればパニックになる。
「リ、リルカさんっ!ちょっとやめッ……」
リルカが暴れたせいで、ティムの服が擦れて彼の男を刺激してしまっていることに、リルカは全く気がつかなかった。

 「はあッ…はあッ…ああ…もう、許して……ッ!!」
涙にまみれた顔でカノンが懇願するも、行為は激しさを増していく一方だ。がくがくと腰を痙攣させ、カノンは失神寸前にまで攻め立てられていた。
「……くっ…好きにしていいと言ったのは……ッ!お前だッ!」
パンパンと肉がぶつかる度、カノンは床を掻き毟った。涙で眼帯が滑り落ちそうになる。抑えようと手を伸ばすと、男の手がそれを遮り、眼帯が床にぺたりと落ちた。
「……アッ……」
露になるカノンの本物の目と泣きぼくろ。彼女が唯一残した、かつてアイシャであったころのしるし。
深く突き上げられてから、ぐるんと体が回されてブラッドの腕の中にカノンは納まった。
不覚にも抱きつく格好になりながらも、カノンはその絡めた足を離せはしなかった。
「……んむ…ちゅ……」
最初に自分が行った口づけの応酬といわんばかりに、男の舌がカノンの口内を犯す。うつろになりそうな意識の中で、カノンは相手の首筋に腕を伸ばした。
青く埋め込まれた、玉に指が当たる。首に埋め込まれた爆弾、ギアス。いつ爆発するかわからない、死ぬかわからない危険な体。
「……不安定なのは、お前の体だけじゃないんだ……」
囁かれ、カノンはどうしてこの男にこうも惹かれてしまうのかわかってしまった。お互い、不安定なのだ。いつ朽ちても、おかしくない体。幸せを、望めない体。
「あ……ッ…も、もう…本当…に……」
カノンの腕が震え、ひくひくと舌が震えるのを感じてブラッドはカノンの中心に楔を打ち込む。
「……は…ッき、きてぇッ!……ブラッドぉッ……!」

338:大人のお勉強⑮
11/06/07 02:31:06.37 UhdCKb8t
「……ビリーだ……」
ぽつりと呟かれた言葉を確かめる暇も無く、カノンは無意識に彼の本名をただ、鸚鵡のように返して叫んで意識を手放した。
きゅうう、と締め付けが自身を襲う。ビクン、と呼応するのを確認すると、ブラッドはカノンを抱きしめ、彼女の奥底に精を注ぎ込んだ。
「やっと、見せてくれたな…アイシャ……」
彼もまた、彼女の本名を呟きながら。

 「……わッ…わああああッ!!」
そして、例の天井では、もう一人の男…もとい少年が不覚にも精を放ってしまっていた。
じんわりとズボンが湿る感覚に思わず顔を顰め、リルカから背を向ける。恥ずかしい。すごく恥ずかしい。いっそ、死にたい。
大人の行為を見るだけでこうなってしまうなんて…お笑いだッ!男として失格だッ!コレットに今度どんな顔で会えばいいんだッ!!
バスカーの人柱として死ぬのを拒否した少年は、今まさに死を心から望みそうになっていた。
「テ…ティム…まさか…それ…それってッ……」
「もうッ!ほっていてくださいッ!!それもこれも、リルカさんが付いてくるなんて言うからッ!!」
「なっ…ななな何よッ!!あたしがいなかったら隠れることも無理だったんだからあッ!!そうなったのはティムの責任でしょッ!!」
「もうッ!知りませんッ!!」
「何よッ!いい年してオモラシなんかしてッ!!肝心のいいとこあんたのせいで見逃しちゃったじゃないッ!!」
「オモラシなんかじゃじゃありませんッ!!」
「じゃあ何よッ!!」
「言えませんッ!!リルカさんの馬鹿ァッ!!」
滅多に癇癪など起こさないティムが、半べそをかいてリルカに当たる。当然かとも思えるが、やはりリルカには理解できないらしく。

339:大人のお勉強⑯
11/06/07 02:31:54.44 UhdCKb8t
いつしか取っ組み合いの喧嘩になってしまっていた。
「馬鹿じゃないもんッ!」
「馬鹿ですッ!テリィくんのことだってッ!全然気づいてないくせにッ!」
「どーしてあいつが出てくるのッ!!」
「だから馬鹿なんですッ!!」
ぽかぽかと殴るリルカに、ティムがマントを引っ張る。
その拍子に、リルカの持っていた手帳とペンが、天井の隙間から部屋に落ちてしまった。
「あッ!!」

 こつん、と頭に何か振ってきたのをブラッドは感じた。おまけになにか少し鋭いものが当たったような。
視線を移すと、カノンがその物体を捕まえており、まじまじとページをめくっていた。女の子らしい、可愛いピンクの手帳と星がついたペン。
「……待ち合わせは女の部屋で…焦らして誘って押し倒すべし……あとは野獣のように……」
読むうちにカノンの顔が引きつっていく。ブラッドの顔も同様だ。カノンがソナーを発動させて熱源を特定すると、彼女の体に仕込んだアームが火を噴いた。
「きゃああああああッ!」
「うわああああああッ!」
蜂の巣になって脆くなった天井が崩れ、リルカとティムは部屋に放り出されてしりもちをついた。
おまけにワイヤーが飛んできて、二人まとめて雁字搦めにされる。 
「……あ。」
仲良く縛られた二人の前に、大の大人二人が仁王立ちで立ちふさがる。二人とも高身長が余計に威圧感を与えていた。

340:大人のお勉強⑰
11/06/07 02:32:42.82 UhdCKb8t
眼帯が外れたはずのカノンはもうすでに眼帯を手早く装着しており、激しい怒りの炎を点した義眼が二人を見下ろしていた。
一方のブラッドは怒りの表情はなかったが、呆れと後悔の表情が見て取れた。頭に手を当て、やっちまった…といわんばかりだ。
「……お前達…これは、どういうことだ……?」
目の前で手帳を放り出され、リルカは目を泳がせて冷や汗をだらだらと流した。
「え、えーっとぉ、そのぉー……こ、これはお勉強というか……実地見学……?あは、あはははは……」
「ふうん。実に刺激的な実地見学だな。」
「でしょ?!も~カノンとブラッドったら、あんなに熱くなっちゃって…ねえ?」
「黙れッ!!!」
「ひいいいいいッ!!!」
カノンのブレードがシャキン、とせり出され、リルカは縮み上がった。
「……リルカ、頼むからもうこれ以上何も言わないほうが身のためだ。カノンを刺激するな。」
打ち捨てられた手帳を拾って中身をパラパラめくり、さらに頭を痛めるブラッドに、リルカの発言が追い討ちをかけてしまうッ!
「…で?なぜティムがいる?リルカはともかくお前も実地見学か?」
カノンの低い声に、黙っていたティムがびく、と身を震わせた。まずい。リルカさんにしゃべられたら……!
「ティ、ティムがッ!最初にカノン達のこと覗こうとしてたんだからねッ!!あたしはついてきただけだもんッ!!」
「---------ッ!!!!」
売った。仲間を、売った。一度ならず幾度も命をかけて守り信じた仲間を、リルカはそそくさと売った。
「ティム…お前まで……」
ブラッドの呆れた視線が痛い。そしてカノンの驚いた目がもっと痛い。
「……それは…本当……なのか?」

341:大人のお勉強⑱
11/06/07 02:33:38.29 UhdCKb8t
信じられん、と素っ裸で身構えるカノンはどうも官能的というよりはシュールな光景であった。
ティムは洗いざらい吐いてしまうことにした。ここで取り繕っても仕方が無い。
「みんな僕のこと、子供だって馬鹿にするから……コレットとキスもできないって……だから……」
うつむいてうなだれるティムに、カノンは少しこの少年が不憫であり、また微笑ましく思えてきた。そうまでして、背伸びがしたいのだろうか。
今のままでもう十分だというのに。
「だ、だからといってッ!人の情事を覗くのはよくないぞッ!!」
「はい…ごめん…なさい……もう絶対にしませんッ…」
「そ、それにだな、こいうのは、もっと大人になってするもので……」
「……まさかとは思うが……全部、やりとりを聞いていた……か?」
リルカの魔法の効果のことを伝えると、ブラッドとカノンは少しホッとした様子であった。
(二人とも、やっぱり喧嘩でも、してたの……?)
ティムは首をかしげていたが。あのやりとりはこの子供達に見せるべきやりとりではない。彼らにはまっすぐ育って欲しい。
特にコレットという野に咲く花のような少女と、慎ましい愛を育んでいるティムには。
「いいか?!今日見たことは誰にもいうんじゃないッ!…言ったらどうなるか…わかっているだろうな……?」
カノンの義手がくるくる回転しながらソナーが光る光景に、ティムとリルカは竦み上がった。頼まれても、言うものか。
「それと、ティム。」
こほん、と咳払いをしてカノンはティムに耳打ちした。
「……コレットとは…焦る必要はない……お前達にはまだ…時間がたくさんあるだろう?」
「…え…は、はい……」

342:大人のお勉強⑲
11/06/07 02:41:41.41 UhdCKb8t
スッと目を細めて優しい顔を向けたカノンに、ティムは不覚にもどきりとした。
思わず、裸身にも目がいってしまう。そういえば、彼女は今一糸も纏っていない状態なわけで……
「~~~~~~~~~ッ!」
ティムの顔がみるみる赤くなり、ズボンを必死で抑える。
「……おや?どうしたんだティム?お前ズボンが濡れ…」
「おっ…おやすみなさいッ!!!今日は本当にごめんなさいッ!!!」
顔から湯気を出しながら、ティムは足早に駆けて行ってしまった。途中ずっこけた音が聞こえたが、また慌しい音と共に彼の足音は遠くなっていったのだった。
「……さて、と。」
くるり、とカノンが残されたリルカに向き直る。
「えっ…ちょ、ちょっとッ!張本人のティムは無罪放免で何であたしは違うのッ!!」
リルカの手帳とペンをブラッドから掠め、カノンはメリッ!という音と共にリルカの手帳とペンを粉々に潰した。
「あーッ!……あたしの…手帳……」
「当たり前だろッ!……子供はさっさと寝ろッ!!」
「子供じゃないもんッ!!」
女の意地をかけた押し問答が始まり、きりがなさそうだと判断したブラッドはこっそり抜け出して帰っていった。
そして彼はしばらくはカノンやリルカの険悪な仲に辟易することになる。

余談だが、ティムがコレットから頬にキスを受けたのは、その次の日、ティムが昼寝に眠り込んでいる最中だった。


343:名無しさん@ピンキー
11/06/07 02:43:24.38 UhdCKb8t
終わり。
まだネタはちょいちょいあるけどこういのどう?とかあったらよろ。
個人的にアンテノーラとヴィンスのオッサンの関係が気になるが難しくて手が出ないw

344:名無しさん@ピンキー
11/06/07 03:14:50.05 jLtl6QnP
キテター!!!!
GJ過ぎる。

345:名無しさん@ピンキー
11/06/07 04:05:49.17 YKzojFgd
GJ!!
長らくありがとう!

346:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/11 11:14:06.51 G1wpvTFi
いやっふー!

347:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/14 13:28:51.15 LiVsV82I
ほっしゅ

348:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/20 23:28:15.45 q+r7qWcI
保守ッ!

349:名無しさん@ピンキー
11/06/26 12:12:58.77 PRmV2vHb
>343

カノンの裸が忘れられないティムを
カノンが優しく筆下ろしするも、青い性に味を占めて
逆にはまってしまうとかは?

350:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/27 01:38:14.08 PbQZ2bqP
>>349
その手もあったか。また悶々と練ってみるわ。
同じキャラばっかだから活性化のためにも他ネタも考えてみたいんだがね。

351:名無しさん@ピンキー
11/07/06 03:49:34.74 V2jwfDMK
保守ッ!!

352:名無しさん@ピンキー
11/07/16 14:54:47.12 LnwiJGgq
保守

353:名無しさん@ピンキー
11/07/30 14:58:16.98 CxQp3V15
保守

354:名無しさん@ピンキー
11/09/01 18:56:30.01 P5uSvolh
保守ッ!!

355:名無しさん@ピンキー
11/10/05 02:01:26.09 GeUj1DeY
「げげっげーげっげげーげげ」
「保守、と言っている」
「短っ!」

356:名無しさん@ピンキー
11/10/15 11:04:27.05 HXvEZ7+a
アシュリル好きな奴っていないのか?
一つもエロパロ無いじゃん

357:名無しさん@ピンキー
11/10/15 12:19:59.92 +/IH/mFZ
お前が書けよ

358:名無しさん@ピンキー
11/10/17 18:53:11.04 WtpFlefa
好きな人はいる
でも書ける人はいない

359:名無しさん@ピンキー
11/10/20 20:00:33.62 OV2LPE4d
正直アシュリル書くならマリナ死ぬしかないのがね……

浮気なんてリルカの押しがよっぽど強くないと、とてもとても……

360:名無しさん@ピンキー
11/10/20 22:36:55.78 YiNYLtcS
上のカノンSSみたいな
壊れアシュレーならできるな
性欲処理に使われ無残に初恋を穢され泣くリルカたん…ハァハァ…

361:名無しさん@ピンキー
11/10/28 02:32:39.27 VAdEWwu9


362:名無しさん@ピンキー
11/11/01 17:36:49.28 z4rTIptU



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