10/05/23 20:02:34 kDxeyOL+
(1)
何が間違いだったのか。
ヴォルカノントラップの探索行。伝説のガーディアンブレードの噂を尋ねてセシリアたちはその地を訪れた。
話を持ちかけてきたジェーンとその執事、マクダレンと共に遺跡を探ることとなり―2つに別れた道のうち、セシリアたちは入って左側、ジェーンらは右側を進むこととなった。
奥まで進んでも、不可思議な装置以外は何もなし。戻ってしばし待つも戻らぬジェーンたちを追って右の道を進んだ先に―巨躯が待ち受けていた。
アーデルハイドを焼き落とし、霊峰ゼノム山でも一行を蹴散らした終末の四騎士の黒、ベルセルクが。
「よう、待ちかねたぜぇ」
その手に携えた鉄球は、赤く染まっていた。周囲のマグマの朱色ではなく、血の色の赤に。それが誰の血かなど、問うまでもなかった。そして鉄球は、少しの間にまた別の血で染め上げられた。
「グハハハハハ!こんなもんかよ、守護獣の戦士さんよぉ!」
頭を片手で締め上げられながら、セシリアには弱弱しくベルセルクを睨み返すしかできない。ベルセルクの力は、これまでと比較しても圧倒的だった。
剣もARMも魔法も碌に通じず、逆に鉄球の一撃でザックもロディも打ち倒された。前衛を支える戦士がいなくなれば、セシリアは虎に追い込まれたねずみに等しい。拳で打たれた、それだけでセシリアはもう身動きも取れなくなってしまった。
「まあ、手前らを確実に潰すために策も使ったがな。さすがはアルハザードだ。装置を通してオレ様に送られる力、すさまじいぜ!」
「くぅっ……」
あの怪しげな装置の意味を今更理解しても、もはや後の祭り。『怪しいから壊しておくか』と言ったザックを嗜めたのはセシリア自身だ。
「グハハ!なんだ、睨んでるにしても力のねえ眼だ。さっきのガキの方がまだいい眼をしてたぜぇ?!」
セシリアたちの後方にわずかに視線を向けてそう言うと、ベルセルクは突然セシリアの胸元をもう片方の手でギュゥと摘んだ。セシリアのバストは人の手ならば掌に余る大きさだが、ベルセルクにとっては指先で摘むサイズになってしまう。
「フン、さっきのガキよりは大きいか?」
「な、なにを……っ!」
グニグニと胸を弄ぶベルセルクに抗議するが、当然聞く耳持たない。力の入らない両手でその動きを制しようとするが、これも相手の腕をさする程度だ。
「なにをってか?オレ様はニンゲンをぶっ壊すのがなにより大好きでな」
動きを止めもせず、ベルセルクは言葉を続ける。
「男は全力で戦ってぶっ殺すのが一番だが、女には別の壊し方って物があってな」
突然セシリアの胸元を掴むと、その腕を一気に下に引き下ろす。当然、セシリアの着ていた服も、引き裂かれる音を立ててただの布切れへと化けた。
「ひ、キャアァァァ!」
タイツを残してほぼ半裸にされ、疲労も負傷も忘れて悲鳴を上げる。咄嗟に腕で胸元を隠して、急に頭が自由になる。手足を丸めようとしたところに、ベルセルクの拳がとんだ。
メキィッ!ダ、ダン!ズシャァ……
腕の骨が軋む音、床に叩きつけられ、勢いを殺しきれず石畳を滑る音が続き、セシリアの意識が一瞬白く染まる。だが、その聴覚はベルセルクの声を聞いていた。
「滅茶苦茶になるまで犯して、心をぶち壊して、それから止めを刺すって方法さ。女1人の状態は珍しいから機会はねえが―今日はついてるぜぇ!ソイツみたいにしてやるよ!守護獣の巫女!」