【卓球場】野村美月作品エロパロ2冊目【文学少女】at EROPARO
【卓球場】野村美月作品エロパロ2冊目【文学少女】 - 暇つぶし2ch400:ロス・タイム
11/01/05 02:09:04 U5lV5S+9
「もう、らめ……」

遠子先輩はぐるぐる目を回していた。

「トロトロして、暖かくて、透明で、とても甘い。蜂蜜にたっぷり砂糖を加えて煮詰めたような、安心する味。こんな甘いもの食べさせられたら……一生舌に甘味が残って、他のもの食べられなくなる。味がわからなくなってしまうもの」
「じゃあ、一生これだけ食べてください。いくらでもありますから」
「……心葉くんの、いじわる」

すっかり抵抗がなくなって、ぼくの支えがなければ立っていられないようになってしまった遠子先輩にもう一度口付ける。
可愛い唇がもう二度と文句を言えないように塞いでしまおう。今度は舌を突き入れて口内を味わった。
遠子先輩の唾液は高級な葡萄酒のような味がした。きっと光に透かしてみれば美しいすみれ色をしているに違いない。
彼女には世界一甘い蜂蜜のようなラブレターをあげよう。ぼくは紙片をちぎるとくわえて、何度も遠子先輩とキスをかわした。

飽くほどそうしたあと、ぼくはゆっくりと離れた。遠子先輩がうるんだ目でまだキスをねだろうとする。
だけど、遠子先輩のもっと知らない表情を見たかったから、名残惜しくてもぼくは遠ざかった。
そして、ワンピースごしに胸部へと手の平を置いた。

「! やっ……心葉くん……そこはいや」
「どうしてですか?」
「……だって、絶対バカにするもの。小学生の方がもっとマシな胸しているって言うもの!」

本当にそうに違いないと信じている恨みがましい目だった。本気で気にしてたんだなと少しだけ反省する。

「ごめんなさい。もうバカにしませんから」
「……本当に?」
「だって、ぼくは遠子先輩の全部が好きですから。この胸も大好きですよ」
「~~~!」

薄いすみれ色のワンピースのボタンをはずし、遠子先輩をむき出す。
白いブラの上からでも残念なことがまる分かりな胸だったが、手を差し入れると、なだらかなふくらみが存在していた。
手の湾曲をかたどったようにすっぽりと収まる胸は、包み込んでくれるような印象で、遠子先輩にぴったりだった。
恥ずかしそうな遠子先輩の頬と鎖骨にキスの雨を降らせながら、手全体を動かすようにしてやさしく揉む。
ぴくりぴくりと身体を揺らす遠子先輩が可愛い。手の平から伝わる鼓動と、海のような柔らかさが気持ちよくて仕方がなかった。

「遠子先輩、遠子先輩……」
「心葉、くん……心葉くぅん」

うわごとのように彼女の名前を繰り返しつぶやきながら、一心不乱にその行為を繰り返す。
ぼくらは、オーブンで蒸しあげられているように、体温を高めあっていった。
しばらくして、ストンと遠子先輩が腰を抜かしてしまったようにしりもちをついた。

「もう、立っていられない……」

ぼくが彼女を寝かせられそうな手ごろな場所を探そうとした時、ごそと股間がくすぐられた。

401:ロス・タイム
11/01/05 02:09:54 U5lV5S+9
「わたしばかり食べられていて、ずるいわ……」

下を見ると、遠子先輩がズボンの上からでも分かるくらいに張り詰めたぼくの剛直をにぎりしめていた。
しっぽをつかまれた動物のように一瞬で力が抜けていく。

「心葉くんのも、食べさせて」
「と、遠子先輩……」

快感というよりもむしろ冷や汗が流れた。この人にそんなデリケートな部分を扱わせていいものだろうか。
だけど、止めさせようとするまえに、遠子先輩は手際よくジッパーを降ろすと、それをくわえてしまった。
何の技巧もない、つたないおしゃぶりなのに、その行為が遠子先輩によって行われているという事実だけで、
脳髄がしびれるほどの量の快感が身体を駆け巡っていった。思わず膝が抜けそうになるのをぐっとこらえた。

「はむ、はふ、ぴちゃ……ろうかひら、ころはふん?」
「くわえたまま喋っちゃだめです!」

ねっとりとした舌が敏感な部分を這い回る感触に、頭のてっぺんからつま先まで骨抜きにされてしまった。
遠子先輩はそれが面白いのかしばらくその行為を続け、ぼくを手玉にとっていた。
やがて、べとべとになるまで舐め終えると、当然のごとく批評をはじめた。

「……たっぷりお塩をまぶしてこんがり焼いた肉汁あふれるソーセージのようなものかしら。でも、ちょっとシーフード風味? ケチャップがないのが残念だわ」

なんか本当に食べられてしまいそうで、背筋がぞくっとし、萎えそうになった。

「もう、つまみ食いはそこまでにしてください」
「きゃっ」

ぼくは遠子先輩の身体をお姫様だっこでかつぎ上げると、表面がでこぼこのテーブルの端に座らせた。
シャツを脱ぎ捨てると、テーブルの中央に広げ、遠子先輩を寝かせた。

402:ロス・タイム
11/01/05 02:10:19 U5lV5S+9
「遠子先輩のこと、全部、食べますから」
「……うん」

遠子先輩は口元に握りこぶしを当てながら、恥ずかしそうに何度もこちらをうかがったあと、ぽつりと言った。

「残しちゃ……いやよ」

ぼくは遠子先輩のスレンダーな腰に両手をそえると、パンツをおろした。
立ち入ることを許されない神聖な泉のような秘所があらわれ、ごくりと生唾を飲みこんだ。
そこに自身を宛がい、ゆっくりと挿入していく。

「……っ」

遠子先輩が苦痛に顔をゆがめて、ぼくの肩に爪を立てた。
あまりに痛そうなので思わず歩みを止めてしまいそうになるが、
彼女がさっき言っていた言葉を思いだし、思い直す。
ぼくは、ずいぶん長い時間をかけて、自身を彼女の中にうずめた。

「うれしい……うれしいよ、心葉くん」

すんすんと泣いている遠子先輩は痛みで泣いているのか、
嬉しくて泣いているのかわからないほど顔をくしゃくしゃにしていた。
ぼくは、彼女の前髪をはらい、おでこを撫でた。しばらく、そうしていた。

「……動くよ」

やがて押し寄せる射精感にあらがいがたくなり、ぼくは言った。
遠子先輩がこくりと頷くのを確認すると、ゆっくりと抽送を開始した。
やさしく、ていねいに、打ち寄せる波のように、しずかに、何度も。
そのたびに遠子先輩は顔をしかめていたが、やがて、青ざめていた顔が朱色になり、
苦痛とはとれぬ、恍惚とした表情が垣間見え、うれしくてたまらなくなった。
感じて欲しい、遠子先輩にも。ぼくが、遠子先輩を感じているように。もっと。

「はぁ……はぁ! 遠子先輩……遠子先輩! 遠子!」
「あっ……んっ、ひゃう、心葉、くん……心葉くん!」

奥の方から噴水のように何かがこみあげてくる。
ぼくが遠子先輩に抱いてきた複雑な感情が混じりあっていく。
ぎゅっと遠子先輩の背中を抱きしめて、彼女に向かってはきだす。
言葉だけでは伝わらない、文字だけでは伝えられない気持ちの全てを。
ぼくは大量に射精して、遠子先輩と結ばれた。

403:ロス・タイム
11/01/05 02:13:03 U5lV5S+9
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

闇と昼の境目、全ての存在がぼやけてかすみ、幻になってしまうような時間。
窓際のパイプ椅子に座っていたのは、遠子先輩ではなく、ぼくだった。

遠子先輩はテーブルの上ですーすー寝息をたてて眠っている。
あのあと、ぼくは自分のやってしまった行為の恥ずかしさとか恐ろしさとか
色々なことに気づいてしまい結構頭を抱えていた。

けれど、ようやく落ち着いて、こんなふうに夕日に照らしだされた遠子先輩をしずかに眺めている。
その寝顔を見ながら、ぼくは心の中で問いかけた。

『本当は、合格していたんじゃないんですか?』

それは単なる"想像"に過ぎなかったけれど、もしそうだったら、嬉しいような、悲しいような。
胸がきしりと音をたてた。
遠子先輩が目覚めて、こちらを寝ぼけ眼で見つめた。

「……何してるのぉ? 心葉くん?」
「考えごとです」
「何を考えているのぉ? 心葉くぅん?」

だめだこりゃ。まだ夢の世界にいるようだ。眠気覚ましにコーヒーをあげよう。

「部室にそなえる"ベッド"はどんなのがいいかなと思っていたんです。それから、"まくら"に"シーツ"に……」

とたん、遠子先輩が目をむいて覚醒した。

「な、何を言っているの、心葉くん! そんなもの文芸部に必要ないでしょう!」
「"おやつ"を作るのに必要な調理器具ですよ。もちろん作ってくれるのは遠子先輩ですけど」
「~~~~~~~~!」

遠子先輩は恥ずかしいのか、嬉しいのか、よく分からない顔でそっぽを向いてしまった。
少しやりすぎてしまったかもしれない。

けれど、別れは未だ、愛より遠く。
決して神様ではない、誰かが与えてくれたこのかけがえのない奇跡のような時間を、
本に書きつづられた文字を一文字ずつ読み解いていくように、大事に、大事に、過ごして行こう。

終わり

404:名無しさん@ピンキー
11/01/05 02:16:50 U5lV5S+9
以上。外伝と短編集も読んでみたいけど、遠子先輩でないと魅力半減なような気が……ねんどろいど買ってくる

405:名無しさん@ピンキー
11/01/05 17:43:00 aI6wnvti
素晴らしいお年玉をありがとうございます。
明日の仕事始めを心置きなく迎えられそうです。

406:名無しさん@ピンキー
11/01/09 18:22:52 0IL8TfuB
すげぇ…
GJです!

407:名無しさん@ピンキー
11/01/12 17:52:28 NcTnSXL7
ありがたやありがたや

408:名無しさん@ピンキー
11/01/16 00:24:28 LtECwHfs
最高だ

409:名無しさん@ピンキー
11/01/30 11:29:31 bjfybTSa
保守

410:名無しさん@ピンキー
11/02/15 05:39:42 KJVvJzaW
保守

411:名無しさん@ピンキー
11/02/16 17:16:11 0TDy2GTZ
「おい、井上、これやるよ」
いきなりアニメの女の子がプリントしてあるカラフルな下敷きを差し出す。
ほくを取り巻いているのは、普段あまり話をしないアニメ同好会の人達だ。
「”王立ぱすてる小学校”いいよなー。やっぱ一押しは、如月檸檬タンだな」
「だよなー。金髪ツインテール萌え!」
「ツンデレ幼女萌え!」(←注、最後方からの芥川発言)
「......はあ」
檸檬タンって、このミニスカートをはいて髪をふたつ結びにした、吊り目の女の子の
ことだろうか......。
どう見ても、小学校一、二年生くらいの......。
<中略>
そんなぼくらを、女子が引き気味に見ている。
「井上くんってやっぱり......」
「噂は、本当だったのね」
どうにも居心地の悪い思いでいたら、芥川くんが声をかけてくれた。
「井上、ちょっといいか」
「うん、あ、ゴメン。芥川くんが呼んでるから」
救われた気持ちで、芥川くんのほうへ行ってみると、
「気にするな、井上。趣味は人それぞれだ」
真面目な顔で励まされた。

412:名無しさん@ピンキー
11/02/28 07:06:37.44 gKlwiis2
遠子先輩

413:名無しさん@ピンキー
11/03/03 11:21:45.44 Ni2Gm2KP
カワイイ

414:名無しさん@ピンキー
11/03/14 13:06:25.49 GbNWfrPu
保守

415:名無しさん@ピンキー
11/03/15 18:19:12.43 qA4lPf31
朝倉と芥川くんが、急に振ってきた雨に打たれて芥川くんの家に避難して
風呂場に手すりが無いのを心配して「一人で入れるか?」とか聞いてみるけど
「変態、一緒に入る気なの?」とかえされてさすがにうろたえる芥川くんを想像した。

416:名無しさん@ピンキー
11/03/27 18:56:56.63 lsILbuvw
だいぶ長い間書き込みが無いな
誰か「遠子先輩」「嫁」「30分」で三題噺を作ってくれ。


417:名無しさん@ピンキー
11/03/27 22:02:09.31 mSzzjmjg
30分レスがなければ遠子先輩は僕の嫁

418:名無しさん@ピンキー
11/03/31 00:26:16.68 a/GIDaP1
三題噺ってどうしてこう理解されてないんだろう。


419:名無しさん@ピンキー
11/03/31 21:49:34.35 sQA3XBKO
まあアレだし

420:名無しさん@ピンキー
11/04/03 21:08:52.52 b325EatS
文学少女読んでるんだから、三題噺は理解してるんじゃないか?
書けねーって思うからネタ気味に茶化して流したんだろ

421:名無しさん@ピンキー
11/04/06 23:05:28.87 KF7t58hs
いや、お題の方。


422:名無しさん@ピンキー
11/04/07 18:33:03.88 XdbozZsy
今日のお題は
心葉君
薔薇
免許証、よ


423:名無しさん@ピンキー
11/04/07 21:31:23.77 zjVkNepg
うんうん、心葉くんが免許証の更新をしに出かけるのね。
助手席には私を乗せて、終わったら植物園に寄る約束をして……。
え? なんで繁華街の真ん中で降りて、そのまま一人で映画館へ向かうの?
ちょっと待って! なにその上映タイトル「兄貴と俺のトーテムポール」って!
いや~! 薔薇ってそういう意味で使っちゃいや~!
生クリームの代わりに伝説の白ジャムが詰まったシュークリームみたいにイガイガして苦い~!

424:名無しさん@ピンキー
11/04/08 21:32:56.60 LlDvgpAk
誰が書いたおやつなんだろう?
心葉くん……自分がそんな映画を観る話は書かないと思う
ななせ……井上がそんな映画を観るという発想はたぶんない
千愛……ありえるかもしれんが、先輩がおやつを頼むかな?
美羽……上に同じ

425:名無しさん@ピンキー
11/04/08 22:15:41.11 fA6T5gWg
>>424
菜乃が有力。けど、腐った菜乃は見たくないw

426:名無しさん@ピンキー
11/04/09 04:51:07.86 gRZLcYbD
姫とか

427:名無しさん@ピンキー
11/04/09 10:49:27.36 7Dc2adej
心葉「 四つん這いになれば免許を返して頂けるんですね!?」

428:名無しさん@ピンキー
11/04/10 20:06:18.75 kYe6rtON
今日のお題は「魔法少女」「奇跡」「希望」よ甘くて美味しい話を書いてね、虚淵君



429:名無しさん@ピンキー
11/04/15 18:11:24.76 JDzqG51c
漫画版道化一巻の表紙の遠子さんがコンドーム咥えてるようにしか見えない。

430:名無しさん@ピンキー
11/04/25 20:43:42.25 qe6lCUBb
保守

431:名無しさん@ピンキー
11/04/29 22:39:08.58 RPCUVt5n
最終巻読んだ。
ああ、終わってしまったんだなぁ。
文中に「悔しいっ、でも感じちゃう」とあったが。
なんか複雑な気分。・先生知っているんだ。
使って欲しくなかったなぁ。

432:名無しさん@ピンキー
11/04/29 23:41:04.75 OqWu3cdZ
最終巻読んだ。
ああ、終わったんだなあと思った。

433:名無しさん@ピンキー
11/04/29 23:57:49.67 WJLopktI
想像と言う名の妄想が止まらない

434:名無しさん@ピンキー
11/04/30 00:14:51.05 HXgnXqHU
というか、アレだけ妄想過多な童貞少年がエロイ妄想をしないわけがない。

435:名無しさん@ピンキー
11/04/30 10:25:58.08 my7yAcKK
明日からネタバレネタ投下OKなんだろか

436:名無しさん@ピンキー
11/05/06 00:22:23.58 tC7hMy7e
おk

437:名無しさん@ピンキー
11/05/13 00:37:55.75 884toKtV
保守

438:名無しさん@ピンキー
11/05/13 22:46:43.20 MP26u4Uq
快斗くんなら、あの「教えてあげる」の一言から続くエロ展開を300レスぐらい一晩で書き上げてくれそうだ。

その十分の一でもいいから妄想文章化能力があれば自給自足するんだが……。

439:名無しさん@ピンキー
11/05/15 09:59:59.59 7TvusBWa
結局完結編には心葉出てこなかったけど、やることはきっちりやってんだな、クソ。

快斗のことを楽しそうに話す遠子になんとなく嫉妬して、思わず押し倒して強引に犯しちゃう心葉が目に浮かぶようだ(それがわかってるから遠子もわざと話すというプレイの一環)。

440:名無しさん@ピンキー
11/05/24 20:50:20.62 wfSIFWRk
保守

441:名無しさん@ピンキー
11/05/29 12:29:37.59 zvG66e4f
保守

442:名無しさん@ピンキー
11/05/29 20:10:20.34 1upFH2Ha
追想画廊2と思い切りネタが被った……美月先生直球できやがったな

443:名無しさん@ピンキー
11/05/31 21:35:32.36 w6jIYU6S
葵の投下もここかな?

444:名無しさん@ピンキー
11/06/04 13:27:29.56 okbOSeUw
保守

445:名無しさん@ピンキー
11/06/04 21:54:35.84 v2Q8m0t9
コミケ落ちちゃった。
文学少女本出そうと思っていたのに……。

446:名無しさん@ピンキー
11/06/05 16:23:29.18 lce/nzRt
ここに何人の巡回者がいるのか、わからないけど

非常に残念といわざるおえない

447:名無しさん@ピンキー
11/06/05 18:09:35.29 aSiI1upD
ここに投下すればいいと思うよ。ノーリターンだけど

448:289
11/06/12 21:30:25.01 VBjiuuva
ノークレーム、ノーリターンでお願いします。
久しぶりの投下なんで、上手くできるかどうかわからないけど。

流人メインで。

449:289
11/06/12 21:30:45.07 VBjiuuva
 お嬢様に呼ばれて音楽ホールを訪れたのは、夕闇を覆う夜の帳が下りた時刻であった。
 入り口で申し訳無さそうな顔をして一礼する高見沢さんに軽く頭を下げ、上階のアトリエに向かう。
 いったい何の用事なんだか。相手が男なら無視するところであるが、女の子の頼みを断る理由は無い。
 それが櫻井流人のポリシーである。
 到着し、扉を開けようとして不審に思った。
 向こう側から声が聞こえてくる。
 資金をふんだんに掛けた造りの扉の防音は完璧で、例えアノ声であろうとも外に筒抜けになるようなことは無い、はずである。
 というか、なんでそんな声がするんだ。どう聞いても男女の営みの声にしか思えないのだが。
 呼びつけておいて、自分はイチャイチャかよ。
 あのお嬢様ならありえなくも無いが。
 それにしても、「あの」お嬢様をこんなにヒィヒィ言わせるなんて、一体相手は誰なんだ?
 扉に耳をあてて中を窺う。
 重厚そうな一枚板の扉がビリビリと震えるくらいの嬌声。
 こんなあられもない叫びを上げさせるなんて、どんな行為をすれば可能なんだ。俄然興味がわいてくる。
 とりあえず相手だけでも確認するか。よければ三人で一戦交えてもよい。そんな軽い気持ちで扉を開けて驚愕した。

450:289
11/06/12 21:31:33.49 VBjiuuva
 空間一杯に喘ぎ声が充満している。
 けっこう広いアトリエなのに。
 それよりも驚くべきことは、言わされているのは麻貴と思っていたら、麻貴が言わせる方だったのだ。
 ベッドの上に学園のセーラー服を乱した黒髪の少女を組み伏せて、それを後ろから絶妙な腰つきで犯しているのが、この部屋の主。姫倉麻貴である。
 胸は大きく、腰はくびれ、尻は豊かな女性らしい体つきで、豪奢なブラウンの髪を振り乱し、驕慢ともいえる笑みを整った容貌に浮かべ、股間に装着した張り型で少女を責めるのに夢中になっていた。
 一方、組み伏せられている彼女は対照的なほど華奢な身体で、胸なんか遠子姉に匹敵するくらいに扁平である。
 だが、特筆すべきなのは声量であった。この細い肉体からどのようにして発声されているのだろうか。
 麻貴の体重を乗せた抽迭が背骨を震わせて、仰け反った白い喉が震える。
 ひときわ高い叫びが伸び、余韻を残して少女が崩れ落ちた。
「あら、来たわね」
 お嬢様は一瞥をくれて立ち上がる。

451:289
11/06/12 21:32:11.78 VBjiuuva

 ぬらりと巨大な模造男根が少女の尻から引き出され、粘液にまみれた淫らな光沢をみせた。
「何? 3Pのお誘い?」
「違うわ。あたしがチンポミルク呑みたくなっただけ」
 さらりと卑語を口にして恥じる様子はない。さすが姫の貫禄だ。
「あんたのは凄く濃いから。臣とは比べ物にならない」
 臣とかいう見知らぬ麻貴の愛人に優越感を抱く。
「ところで、その物騒な逸物はしまわないのか?」
「掘ったげようか?」
 悪戯めいた光りを瞳に宿した麻貴には答えず、失神したようにベッドに倒れている少女を眺めた。呼吸はしているようだが、まったく動いていない。
「気持ちよさそうだったな。凄いのか?」
「ご覧のとおりよ」
 ちょっと機嫌を損ねたようだ。だが尻を狙うことには興味を無くしたようで、作戦成功である。
 姫倉麻貴はちょっと困った性格で、他人の嫌がることはすすんでするくせに、こちらの望むことは貸しだの借りだの難癖つけて一向に叶えてくれないのだ。
 もっとも叶えてくれたところで、どんな代償を支払う羽目になるか考えたくも無いが。
 股間に装着した模造男根をはずすと麻貴はほぼ全裸に近くなった。上はバストのアンダーだけを覆うオープンブラに、下はガーターベルトのみ。ストッキングは履いていないから、完全にファッションである。

452:289
11/06/12 21:32:35.39 VBjiuuva
 彼女のメリハリの利いたボディには恐ろしいまでに似合っていた。
「よし、じゃぁ『流人さまのチンポミルク呑ましてください』といってもらおうじゃないか」
「流人さまのチンポミルク呑ましてください」
 背筋が冷えた。こんな卑語交じりの懇願を、地獄の底から亡者たちが魂を引き摺り下ろそうとする怨讐のように口にするなんて。
 不適な笑みを浮かべたままの麻貴を目の前にして、とんでもないことをしでかしてしまった恐れに櫻井流人は脅えた。
 とはいえ股間のそれは先ほどの痴態を前に大きくテントを張って欲望の存在を主張している。
 お嬢様は跪くと、ベルトを緩めて窮屈な場所から肉棒を引っ張り出すのだ。
 だが性急に喰らい付くような無作法はしない。
 右手で陰茎をしっかり握り締めると、下腹に繁茂する陰毛を掻き分けて押し付ける。怒張が強調されて凶暴な牡蕊そのものだ。
 浅黒く淫水焼けし、血管が浮き出て、先端には雫が光っている。
 それを軽く扱くと同時に、無防備にぶら下がっている睾丸をやわやわと揉みたてるのだ。
 そして、大きく口を開くと、根元まで肉棒を頬張ったのである。
「……ん」
 溜息のような声が喉から漏れる。生殖器が暖かな口腔粘膜に包まれて。
 見下ろすと、麻貴の秀麗な顔が股間に沈み、その可憐な唇の間に、己の醜悪な男根が咥え込まれている。

453:289
11/06/12 21:33:49.61 VBjiuuva
 綺麗なものを汚している背徳感。
 女を奉仕させているという満足感。
 まるで征服し、下僕として仕えさせているみたいである。
 もっとも、他の女ならともかく姫倉麻貴相手では幻想であった。
「バカじゃないの? 急所を握られて、何が奉仕よ」
 睾丸を握る掌に握力がかかる。
「いいよ。そのまま潰してくれていい」
 当然とした表情で流人は応えた。想像するだけでより昂奮は高まる。
「フン」
 硬さを増した肉棒に鼻息をひっかけた。それ以上睾丸には触れずに、荒々しく陰茎をしごく。舌を突き出すと唾液を亀頭にまぶすように舐めまわし、朱唇でエラの下をなぞると笛を吹くように含むのだ。
 流人は過去、沢山の女性たちに性器をしゃぶらせてきた。中にはぜんぜん無理と言い張る娘もいたし、あからさまに嫌な顔をする少女もいた。
 言われたから仕方がないという消極的な嬢もいれば、自分から喜んで口にする積極的な女もいたし、プロ顔負けの技巧にも遭遇したことがある。無論、下手な子の方が圧倒的に多かったが。
 朝倉麻貴はそうした女たちとは決定的に違っていた。

454:289
11/06/12 21:34:17.42 VBjiuuva
 女の子たちには男根に奉仕するという意識があったのだが、麻貴にはそれが欠片たりとも存在しなかったのだ。
 あたかも蛇口をひねれば水が出るように、精液をひねり出すのにちょっと手間がかかる蛇口程度にしか男性器を思っていないのである。
 いうなれば自動行動式張り型。完全にモノ扱いであるが、それはそれで流人には心地よかった。
「そういえば、あの娘はどうなのよ、あの小さい娘」
「ちぃのことか? うん、かわいいよ」
 おしゃぶりの間に他の女の話題とは。
 もっともそれがこの二人の関係にはふさわしい。
「オレのために演技してくれて、凄くかわいい」
「倒錯しているわね」
「いつか演技なんか出来ないくらい本気の声を上げさせてやるさ」
 それに、フェラをさせている最中に見せる光のない瞳。何を考えているかまるで読めない。油断しているとガブリと噛み千切られそうな不穏な気配がするのだ。
 そんな状況を想像するだけで股座がいきり立つ。
「あら、彼女のことを想うだけでこんなになるなんて。嫌だ嫌だ言っても体は正直ね」
「この状況でその台詞か?」
「素直になりなさい」
 含むようにお嬢様は口にする。
「ツンデレの姫様が仰せになると含蓄がありますな」

455:289
11/06/12 21:34:55.94 VBjiuuva
「あたしに言わせれば、男は皆ツンデレなのよね」
 麻貴はそう言い残すと、淫らな行為に口を再び参加させる。
 右手で根元のあたりをしごきながら、カリから上部を唇で咥え、舌先で舐るのだ。
 唾液が隙間から漏れ淫汁のように泡立ち白く濁っている。お行儀の悪い濡れた音も盛大に聞こえてきた。
 そして激しい前後運動。リズミカルに、かつ的確に官能のボルテージを上昇させていく。
「いいっ」
 そう口走りそうになるが、唇を噛み締め堪えた。弱みは見せたくない。もっとも麻貴にはお見通しだとは思うが。
 花弁のような唇に勃起した男根が呑みこまれ泡立つ粘液を垂らしながら抜挿される。まるで性器のようだ。
 次第に限界が近くなっていく。それを察したのか、彼女の動きがより激しくなっていくのだ。
 右手でしごき、左手で睾丸を揉み解し、口でくわえ込み、舌で舐めまわし、喉で吸引する。すべてを使って精液を搾り取ろうと奮闘するのだ。
「……あ、出る……」
 堪え切れなかった。融解するように根元に溜まってきた精魂が収縮を開始し、絶頂を目指して爆発する。
「あ、あ、あぁ、あぁぁ……」
 膝が震え立っていられず麻貴にしがみ付いた。

456:289
11/06/12 21:36:10.79 VBjiuuva
 彼女も脈動し放精する男根を咥え込んで離そうとはしない。
 どれほどの量が流し込まれたのだろうか。尿道に残った精液も一滴残さず吸い取り、萎え始めた亀頭をも舐めまわす。その煩わしさに腰を引くと、唇との間に一筋銀色の糸が引かれた。
「やっぱり濃いわね。これだけ濃いとすぐに孕みそう。隠し子の一人や二人居るんじゃないの?」
「いや、それはない」
 首を大きく振って否定する。
「どうかしらね……」
 意味深な微笑を秀麗な顔に浮かべる麻貴の姿は太古の大地母神のようであった。
 ……なんで母神なんだ。コケティッシュな娼婦でもよかったのに。一瞬の感慨はすぐに記憶の底に沈んだが、後に流人は自分の直感を愕然として思い出すことになる。
「さ、て、と……」
 薄手のカーディガンを羽織ると、スケッチブックを取り出した。
「絡みのデッサンをとるから、協力してもらうわよ」
「それが本題か」
「あんたはベッドに横たわって……臣、目覚めてるでしょ」
 のろのろと起き上がるセーラー服の少女の横に流人は腰を下ろし、そのままベッドに背中を預ける。
 嫌な顔も見せずに彼女は流人のうなだれた股間に顔を寄せると、そこに口付けした。

457:289
11/06/12 21:36:53.54 VBjiuuva
 表情からは内心は見えない。今まで幾多の女性と関係を結んだが、その誰とも異なるタイプだ。臣とかいったが、最近どこかで聞いたような名前である。
 華奢でしなやかそうな身体はまるで少年のようだ。平たい胸が露わになっているが、隠そうともしない。初対面だというのに恥じらいを見せてくれてもいいじゃないか。
 萎えていた肉棒にゆっくりと力が充実していく。技術は感じられないが、男のツボは熟知している。もう少し経験を積めば恐ろしいほどのテクニシャンに成長するだろう。
 二人の抑えた息遣いと、スケッチブックに鉛筆が走る音のみが部屋に響く。
 なぜか違和感。本能が警告を発しているが、欲望はそれを無視させるのだ。
「君も脱ぎなよ」
 すると少女は全力でそれを拒否する。胸は見られても平気なのにスカートの中は秘密なのか。
 ちょっと悪戯心が湧いてきて、こっそり彼女の恥ずかしい場所へ手を伸ばした。
 そして驚愕する。そこにあったのは。馴染み深いともいえる男の生殖器だったのだから。
「お前、男か!?」
「あら、気付いてなかったの」
 おかしそうに麻貴はコロコロと笑った。少女……いや少年はちょっと傷ついたような顔でむくれている。

458:289
11/06/12 21:37:29.57 VBjiuuva
 今までの違和感の正体はこれだったのか。
 流人の睾丸は縮みあがり、見る影も無く陰茎は埋没してしまっている。
「折角だから掘っていきなさいよ」
「お断りだっ」
「そんなこと言えるのかしら」
 しまった。麻貴への対応を間違えた。臍を噛むがもう遅い。朝倉の姫様は敵対者を公開処刑に追い込んだ独裁者のような笑みを浮かべ、実力行使に及ばんとにじり寄って来る。
「じゃ、オレ帰るわ」
 脱兎のごとく逃げ出した。幸いズボンをあげてジッパーを閉めるだけだったので手間もかからない。
 階下で申し訳無さそうな顔をして一礼する高見沢さんに軽く頭を下げて、ホールを後にする。
「やれやれ」
 朝倉麻貴は肩をすくめた。
「臣、そんな顔しないの。あたしがかわいがってあげるから」
 せっかく良い絡みが描けると思ったのになぁ。
 いつか絶対に成し遂げてみせると誓うのであった。



459:289
11/06/12 21:39:41.50 VBjiuuva
――以上。

なんだ忍者で連投制限があると聞いていたが、普通に出来るじゃないか。

次はヒカルで書こうと思ってます。

460:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/13 01:34:15.19 inz8dBIK
いいよいいよー

GJでした!!

461:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/13 01:52:21.09 MpZRIfex
姫×臣の姫→臣だと……

姫コワイ姫コワイ

462:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/13 20:12:35.36 itneY9Ed
臣くんの新しい魅力が

463:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/20 21:33:25.38 CccElEpS
保守

464:名無しさん@自治スレで設定変更議論中
11/06/29 22:27:50.61 ciF8BA27
ほしゅ

465:名無しさん@ピンキー
11/07/06 18:59:39.47 iGF2YtnS
保守

466:名無しさん@ピンキー
11/07/11 23:28:45.85 37mMAbc/
hoshu

467:名無しさん@ピンキー
11/07/12 07:52:23.13 5W0hvoKN
コノハ×遠子・朝×ななせ・昼×美羽・晩、コノハ絶倫浮気修羅場殺人エログロルート。

ある日の放課後。あぁ、天野遠子を前に、ムラムラしないわけがない。
ふぅ、今日もやはりムラムラしてきた。やれやれ、僕は毎日、オカズにしてるよ・・・遠子先輩を。この前なんか、遠子先輩がトイレに行った隙に、遠子先輩のペンケースから消しゴムをくすねて、ぶっかけてしまった。それは勿論ごみ箱に捨てた。

それにこの人、オレが好きなことモロバレ。よく手を握ってくるんだけどそれで家に帰ってまた抜いてしまった。

僕・・・いやオレは、オレの本性はケモノだ。一応オレは、ここでは僕っ子、誠実キャラで通している。いわば、しばしば草食と言われる風采なのだが、本質は野蛮だ。男子高校生がエロくないわけがない。

クラスメートのななせの気持ちにも気づいているし、オレは単に遊んでいるだけだ。恋人以上友達未満が一番愉快だからな! ハーレムハーレム!

468: 【東電 61.3 %】
11/07/17 09:17:17.67 tzwc3ou2
             . . . . . . . . .
         . . : : : : :< : : : : : : : : : .
         /: . . . . . . . : : -、: : : : : : :ヽ
.     . : : : : : : : : /: : : : : : '、: : : : : : :ハ
     / : / : : : :/ /l|: :l!: : : : : ',: : : :',: : : :,
  -=彡: /: : : : /!/ l!!: |!: : :',: : } : : : } : : : ,
.    /イ |: : | |:|_jL  !ヽゝi-:-:< |: : : :|: : : : }
    ´|:!: : レイ__!.      ,≧、 !: : :|: : : '
.     Ⅵ: :Λ 7!:ハ    "{..::::ハ.!: : : :!⌒}/
       ! : : ハ{弋ノ    弋::ノ '!: :|: :l.ノ/
         : : :ハ    ,      j!: , : j:レ'-、
       N: :l: ゝ   、__ ,   / /: :/{:、l: :}
          l :l!: | >、    イ: :/!// ゝVヽ
.        : lヽ! {/} シT   /// { /  乂: :人
      __ xく! ̄ ̄ /l  /´ムイ ̄\ゝ、: ノ、
      Λ  ゝΛム__/   x< ´/フ´ ゝフ ≧ト 、:}、
.      /7\ ` マ__ノ{ /乂_7- ' ̄´/´  \ :!:ノ
    /7:リ    ̄又\/ノ―ァ-一彡´      }|:〉
   ,r-!_;/   / ̄{ ̄「下 ̄ ´  !/      ハ:ヘ
  __{: ノ {  ハ____,クート、ヽ_\○/       /:::V
 {:/ノ /  / /´r-/ ./ゝ=r  {    、  ./::::::ム
{´/リ / ,-/ / ̄フ / | |_  !    /  ./'T:~/:)
-く´ /  / ノ  !´ ∠,― ァ!  ,'      / ノ:V:く
:ノ ./   `Y´___|___|/   ニ二ソ      ,' .ム:リ:ノ
) r ⌒ >=< /// /   r- r'- 、     / ゝV ノ
.〈   // / /⌒ー-≧ー=7'    \   〈  { V:イ

469:名無しさん@ピンキー
11/07/18 19:17:38.65 MloiZtlN
このスレには俺しかいないようだ・・・

菜乃×快斗がみたいんだが・・・

470:名無しさん@ピンキー
11/07/21 23:05:03.67 aS6HFBCF
瞳ちゃん×菜乃の方が

471:名無しさん@ピンキー
11/07/27 22:32:22.22 cboP8LAc
ほしゅ

472:名無しさん@ピンキー
11/08/02 11:47:36.94 K5ZKh++R
次のコミケで官能的な遠子先輩書いてみたい

473:名無しさん@ピンキー
11/08/10 22:44:54.23 pPOFxTnl
ほしゅるぞ。

474:名無しさん@ピンキー
11/08/14 09:53:57.03 n7xkyXUj
はよかけ


475:名無しさん@ピンキー
11/08/20 08:57:48.69 m1ffgt9X
保守



476:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:44:17.34 7GVo1jKk
なんとか続刊が出る前に完成したよ。
エロなしでヒカルいきます。

477:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:45:06.35 7GVo1jKk
 水気をたっぷり含んだ風は今にも振り出しそうな予感。見上げると雲行きが怪しく翳り、天気予報など見なくても容易に降雨を推測することが出来る。
 不快な空気に肩を落とし、植物だけは活力に満ちた通学路をトボトボと歩いた。
 なぜか赤城是光の周囲には人が居ない。朝の通学時間帯だというのに。
 周囲の学生たちは遠巻きにして露骨に表情をしかめ距離を置いているのだ。
 一人を除いて。
「ねぇ、知ってる? 紫陽花の色が変わるのは土壌に含まれている酸性度が要因なんだよ」
 にやついた表情で園芸の講釈をたれる色男。こいつは自分にしか見えない幽霊なのだ。名前をヒカルという。
 傍から見れば、変なドラッグでも決めてハイになっているのか、虚空に向かって独り言を呟いているようにしか解釈できない。そんな危険人物には近づきたくないだろう。例え俺でもな。
「おはよう。赤城」
 ところが校門をくぐった途端に不意打ちの様な挨拶を受けて驚いた。
 それは目つきの悪い不機嫌そうな少女である。

478:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:45:55.87 7GVo1jKk
 名前を式部帆夏といった。
 彼女は視線をそらしつつ唇を尖らせて言い訳するように呟く。
「勘違いしないでよね。たまたま偶然一緒になったクラスメートに挨拶しただけなんだからねっ」
 少女の向こうにニヤニヤするヒカルの顔が気になったが、怒鳴りつけるわけにもいかず、同じように不機嫌そうな様子で「おはよう」と返すだけであった。
 そして足早に立ち去る。もっと元気よく挨拶すべきだったのかと後悔しながら。でも、余り親しそうにすると彼女に迷惑がかかるだろうし。
 そもそも親しくしてしまっていいのだろうか。たしかに一時期世話になったが、自分の思い込みかもしれない。
 ヒカルが何かいいたそうな顔をしていたが、あえて黙殺した。
 下駄箱で靴を履き替えて廊下を見ると、また掲示板の前に人だかりが出来ている。
 なんだ? またヒカルの追悼記事か。月命日というわけでもあるまい。
 視線をやると、壁新聞みたいな紙が貼られていた。見出しには「援交現場激撮!」と特太ゴチックで書かれており、大きく写真が掲載されている。
 中年男性と若い女性が喫茶店らしき場所で歓談している隠し撮りっぽい不明瞭な写真だが、その女性の顔ははっきりと写っていた。
 式部帆夏。写真の中の彼女は幾分緊張した趣で男性と向き合って座っている。

479:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:47:07.93 7GVo1jKk
「なっ!」
 背後から先ほど聞いたばかりの声。
「ち、ちがうの、これはっ!」
 掲示板の前に駆け寄り、背中に隠すように両手を広げる。弁解しようとして言葉が出ないのか、溺れかけの金魚のように口をパクパクと開けて、顔色を紫陽花のように赤から青に変化させているのだ。
 視線は味方を求めてさまようが、誰も目をあわせようとせず、ヒソヒソ囁くばかりである。
 なんだよ。この連中は。
 猛然と腹が立ってくるのを是光は抑えることが出来なかった。
        *
 屋上なら多少は涼しいのかと思ったら、そんなことはなかった。風のないよどんだ湿気でじっとりと汗ばんでくる。
 どんよりとした曇り空で陽射しがないのが幸いだった。
 都合のいいことに、ここは無人でヒカルと会話していても目撃されることはない。
 もっとも、是光の奇行の定位置として他人が避けている結果なのだが、当人に自覚はなかった。

480:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:47:45.77 7GVo1jKk
「カッコよかったよ、是光。まるで姫を守る騎士のようで」
 ニヤニヤしたヒカルは目障りであるが追い払う物理的手段はない。
「でもなぁ……」
 人の気配がしたので、ヒカルへの言葉を飲み込む。
 屋上に姿を現したのは式部帆夏であった。
 登場は予測していたので動揺はしない。是光は沈んだ様子の彼女に声をかけた。
「すまなかったな。返って酷い噂になってしまって」
 いつの間にか赤城是光が式部帆夏を奴隷調教して客を取らせていたという噂になって校内を駆け巡っている。
「なんで謝るのよ。バカ。お礼を言うのはこっち。あんただけ、あんただけが庇ってくれたんだから」
 そして、強張った表情で「ありがと……ね」と続ける。
「あれだけ根も葉もなくエスカレートしてしまうと、かえって嘘っぽくなって、そのうち消えると思うよ」
 ヒカルの台詞に頷き、彼女にも伝える。
「あの写真だって、親戚とか、そんなんだろ?」
「ううん。初めて会った人」

481:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:48:37.58 7GVo1jKk
 それを聞いて固まる是光に慌てて言い訳する。
「あ、違うの。そういうのじゃなくて……えっと。これはまだ外に出しちゃいけない話だけど、商業のお誘いがあって。あの人は出版社の、薫風社。ほら。知っているでしょ」
「知らん」
「嘘だ――」
 帆夏は頭を抱えた。
「何で知らないのよ。井上ミウくらい読んどきなさい」
 だが是光をみるに「馬の耳に念仏」を具現化したような表情だ。
「もうっ、とにかく。ついにこのあたしが商業デビューするかも……アンソロだけど。という話で編集者さんと打ち合わせてしていたのよっ!」
「ほう。それはたいしたものだな」
「でも商業とはいえ所詮はアンソロ作家だし。賞をとったわけでも無いもんだから、自慢するのも気恥ずかしくて……」
 もじもじするが、是光が鼻くそでもほじりそうなほど無関心なことに気付き愕然とする。
「もう、知らないっ」
 背を向けて屋上を後にしようとする。
「よかった。いつもの式部に戻って」
「え!?」
 一瞬振り返った後、耳まで真っ赤になって足音荒く階段を下っていく。

482:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:49:25.07 7GVo1jKk
「なんで、あいつ赤くなってんだ?」
 是光の疑問にヒカルは肩をすくめるばかりで答えようとはしなかった。
         *
「はぁ……最悪」
 帰宅途中、帆夏は溜息をつく。学校来てから、帰るまで碌な出来事が無かった。
 教室では誰もが距離を取って話しかけようともしなかったし。いや、級長だけはオドオドと『なにかあったら言ってね』と声をかけてきただけだったが。
 まともに言葉を交わしたのは赤城是光だけか。
「あのバカ」
 眼差しを思い出すだけで、僅かに表情が緩む。
 だが次の瞬間こわばることになった。
「おねーちゃんが式部帆夏っていうのかぁ」
 進路をふさぐようにガラの悪い連中が立ちふさがっていた。
 いまどき見かけないような奇抜な髪形にジャラジャラしたアクセを身につけ、ダブっとしたズボンを腰穿きしている。そんな若い男たちが数人行く手を阻んできたのだ。
 駅まであと少しという距離なのに。助けを呼ぼうと周囲を見渡したが、通行人は数百メートル手前から集団を目撃すると足早に進路を変えている。
 つまり、周囲はこの連中しか居ないということだ。

483:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:50:05.21 7GVo1jKk
「タダでやらしてくれるんでしょ。男無しじゃいられないヤリマンだって聞いているよ」
 ニヤニヤしながら背の低い半分だけスキンヘッドにした男が一人近づいてくる。
「そんな噂どこから……」
 帆夏は慎重に間合いを計った。前方はふさがれているが、背後には回られていない。この半分ハゲさえ無力化すれば……。
「メールで出回ってるよ。輪姦してくださいってな」
「それはデタラメね。お引取りください」
「なぁに、嫌よ嫌よも好きのうちってね」
 男はあきれるくらい無防備であった。こちらが無力な少女だと思いこんでいるのだろう。股間を膨らませて、鼻息荒く近づいてくる。
 奴め。もうヤったつもりになっているな。では教育してやるか。
 狙いすましたローキックを相手の股間に叩きこんだのだ。
「おうふっ」
 崩れ落ちるその様子を見て後ろの連中は笑い転げた。
「カッコ悪ぅ」
 それを聞いて半分ハゲは激昂する。
「クソッ女! まわして剥いて吊るしてやる!」
 渾身の一撃であったのに、期待したほどの効果が無い。腰穿きズボンが防御効果をもたらしたのか。
 股間を押さえながらも内股で立ち上がり物凄い形相で掴みかかろうとしてくるのだ。
 ならば、短いスカートではあまりやりたくは無かったのだが。

484:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:50:45.79 7GVo1jKk
「真空飛び膝蹴り!」
 高く跳躍してからの膝蹴りである。それを鼻っ柱に叩き込まれてはさすがに昏倒するのだ。
 だがこれは失敗である。いや威力としては申し分ない。完璧に決まっている。だが、これを見たチンピラ集団が本気になってしまったという意味で失敗だったと言うしかないだろう。
 弛緩した表情を引き締め、ゆっくりと迫ってくる男たち。半ハゲを一人無力化しただけにしては高い代償であった。
         *
 ヒカルのマンションの管理人と羊羹をつつきながら、ヒカルの思い出話に花を咲かせているときだった。
 是光の携帯がメールの着信をしらせたのである。
 ちなみに一方的に語り続けているのは管理人さんで、是光は相槌を打つだけ。たまにヒカルの解説を聞いてコメントを寄せる程度であるが、管理人さんは目を潤ませて是光の手を取り大きく頷くのである。
 正直な話おっさん相手に鬱陶しくもあったが、悪気は無いので真面目に応対していたのだ。
 だから携帯の着信は救いの船だったのである。
「ちょっと失礼」
 画面を見て是光は顔色を変えた。

485:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:51:22.70 7GVo1jKk
「すみません。急な用事が出来たもので帰ります」
 返事も聞かずに駆け出す。
         *
 帆夏は荒い息を整えようと壁にもたれた。現在位置は把握できていない。ビルの谷間のような路地裏である。
 全力で駆け続けてたどり着いたのがこの場所であった。
 奴らは巧妙にも交差点などの重要地で待ち伏せし、携帯で連絡を取り合って退路を塞ぐように追跡してくるのである。
 こっちは通学路以外の道は把握できていないというのに。
 反撃しようにも常に複数で行動しており、ましてや警戒されている今は倒すことは不可能であった。
 だから全力で逃げ続けて、逃げ続けてここに追い込まれたのである。
「見つけたよ。帆夏ちゃん」
 倒した半禿の声がした。振り返ると路地の入口に例の男たちが立っており、ニヤニヤと近づいてくる。
 あわてて路地の奥に駈け出して帆夏はすぐに絶望のうめきを上げた。
 その先は行き止まり。袋小路だったのである。
 何とかならないかと見渡しても窓ひとつないコンクリの壁が絶壁のように立ちふさがって飛行能力でもない限り脱出は出来そうもない。
「さぁて、先ほどのお詫びをしてもらおうじゃないか」

486:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:52:21.49 7GVo1jKk
 背後に迫る男たちの気配。
 こいつらを倒して……無理だ。
 最初の一人こそ奇襲で何とかできたとしても、二人、三人と相手にできない。組み伏せられるのはこちらのほうだ。まして警戒されている現状では奇襲は望めない。
 そのうえ先ほどまで全力疾走を続けていて疲労がたまった状態ではどれほどの動きができることやら。
 どう分析しても溜息しか出そうになかった。
 だが、戦うしかない。
 式部帆夏が唇をかみしめたとき。男たちの背後、路地の入口から救いの手が伸びたのである。
「式部! 無事か!」
 そこに立っていたのは赤城是光の姿であった。
「なんだよ、にーちゃん。この女のコレかぁ? 黙って見学してな。そうすればおこぼれくらいわけてやっからよ」
 次の瞬間、不用意に近づいた一人が地面に伏す。
「なっ!?」
 男たちに緊張が走った。
「そういえば聞いたことがある。その面、そのなり、赤城……是光か」
「あの赤城! だがこいつを倒せば……名を売れる」
「この、人数でならっ!」
「ボコるぞ。ごるぁ!」
 だが、威勢がいいのは口だけである。

487:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:52:54.48 7GVo1jKk
 最初の男は拳とその側面で抉るように打たれ昏倒した。
 次の男は革紐のようにしなる腕に締められ気絶する。
 その次の男は弩で撃ち抜かれるように膝がみぞおちに入り悶絶した。
 四番目の男は腰が引けたところを間合いの外から高く躍り上がった脚に撃沈される。
「動きが……見えない?」
 呆然と帆夏は見守るしかなかった。是光の悪名は聞いていたが、実際に彼と接するにつれ何かの間違いじゃないかと感じるようになっていたのだ。
 しかし目の前の光景は伝説の通りだったのである。
「そりゃ、外見が怖いというだけで、あれだけの悪名が広がるわけがないもんな。伴う事実がないと……」
 ヒカルは感心しながら流麗な動作でチンピラ集団をのしていく是光を眺めた。
「書道の筆の動き、無駄のない研ぎ澄まされた運筆は武道に通じるものがあると聞くが、これほどとは」
 是光が合掌し、一礼したときには、立っている男たちは一人もいなかった。ことごとく倒れ呻き声を上げていたのである。
「よかった。無事だったか」
 ほっとした表情をみせる是光に帆夏はどんな表情を見せたらいいかわからなかった。

488:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:53:38.66 7GVo1jKk
「おっそーい! もっと早く来てよね」
 つい、こんな声を上げてしまって後悔してしまう。だから顔を伏せて付け加えた。
「怖かったんだから……ありがと」
 今度は是光がなんていうべきか混乱する番であった。
 だが、台詞を口にする前に新たな人影が現れたのである。
「これは由々しき問題ね」
 周囲を睥睨するように泰然とたたずむ姿は少女というより美女。黒髪で長身、怜悧な刃物を思わせる彼女の名前を斎賀朝衣といった。
「赤城……是光君。このような暴力事件を起こしてただで済むと思っているの?」
「会長! 彼はわたしを……」
「式部さんは黙って。実際に手を下したのは、赤城是光君に間違いないわ」
 巨悪を弾劾するように見据え、是光の眼光にひるむ様子も無い。
「さてはお前が仕組んだことか……?」
「馬鹿も休み休み言いなさい。わたしは生徒が暴力事件に巻き込まれそうだという通報のメールを受けてここに来たのよ」
 そしてスカートの裾を翻して踵を返す。
「必ずや、厳重な処分が下されるでしょう。覚悟しておきなさい」
 この台詞を残して颯爽と立ち去る。
「メール……?」
 ヒカルは首をかしげた。

489:名無しさん@ピンキー
11/08/25 16:54:01.67 7GVo1jKk
「是光。尋ねてみてくれないか。助けを呼ぶメールをいつ送ったか」
 だが帆夏の返事は意外だった。
「送ってない。メールする余裕なんか無かった」
「おい。俺は確かにっ」
「ちょっとみせて……これあたしのメアドじゃないよ。なりすまし!?」
 一同、沈黙する。重い空気が満ちた。
「そういえば、あのチンピラ連中もメールとか言ってた」
 暗鬱な雰囲気を表すような空から滴るように雫が降ってきた。
 限界を迎えた前線から決壊するような驟雨。
 その中、濡れるまま立ち尽くす二人と半分であった。

         *
「ふふ。んふふ。おもしろいですねぇ。こんなちっぽけな携帯から送られた短いメールでみんなあっちへ行ったりこっちに来たりと右往左往するなんて」
 彼女は声を抑えるように笑う。小柄な体つき。それでみてみっしりと脂の乗った艶かしい肉体。だが髪は少年のように短い。
 すばやい指さばきで手に持った携帯に文章を打ち込んでいくのだ。
「さぁ。踊ってもらいますよ。掌の上で」
 声にならない笑い声が虚空に響いた。

       おわり。

490:名無しさん@ピンキー
11/08/25 23:42:02.79 N+kPbCWf
乙乙

491:名無しさん@ピンキー
11/09/05 21:21:44.19 tkNegI6h
保守

492:名無しさん@ピンキー
11/09/06 07:30:58.65 arLJAz7d
保守

493:名無しさん@ピンキー
11/09/09 05:22:18.15 LYfuo0I2
画廊2と設定がちぐはったので、お蔵入りにしていたSSを投下してみる。
心葉×遠子で和姦エロ薄め。いろいろご了承ください。

494:"文学少女"とイタズラ好きな完熟作家
11/09/09 05:26:06.41 LYfuo0I2
「ただいまぁ~」

そんな声がしたので、振り返ってみると、リビングに一匹ウサギが立っていた。
……いやいや、まさか、そんなわけがない。
ふるふると頭を振ったあと、呆れたようにぼくは言った。

「……目、真っ赤ですよ。遠子先輩」
「え、嘘? きゃーほんと! ウサギさんみたい!」

ウサギのように目を真っ赤に充血させた遠子先輩は、鏡を見るなり悲鳴をあげた。
目をごしごしと擦って、パチパチと瞬きして、得意顔でこちらに向き直る。

「治った?」
「治ってないです。むしろそれ絶対に悪化しますから、やめてください」

はぁとため息をついて、とんとテーブルのうえに目薬を置いてやる。

「おかえりなさい。それから、遅くまでお仕事お疲れ様です」

雀が鳴き出すような早朝。ぼくは徹夜明けの遠子先輩に微笑みかけた。

6年越しの再会後、ぼくらは編集部に内緒でこっそり同棲してしまっている。
お互いの呼び方は、相変わらず、遠子先輩と心葉くんで。
もうちょっと色気のある呼び方に変えようかとも思ったけど、結局、ぼくらにとってはそれが一番自然だった。

ソファにちょこんと腰かけた遠子先輩は、そわそわと急かすような瞳でぼくを見上げた。

「心配しなくてもちゃんと用意してますよ、ウサギさん」

五十枚綴りの原稿用紙から、書き綴った分を三枚切り取って手渡すと、遠子先輩は歓声をあげた。

「はぅ~、ありがとぅ~! もう忙しくて昨日の夜から何も食べられなくって、お腹と背中がひっつきそうだったの……いただきまーす」

真っ赤な目で、目を通し、うっとりと恍惚したような表情を浮かべながら、しゃくしゃく紙を食べていく。

「はぁ……あたたかい……疲れた身体にじんわり染み渡っていくホットレモンティみたいね……ありがとう、心葉くん」
「今日も徹夜だって聞いていましたから。量は軽めに、砂糖多めで仕上げてみました」
「うんうん、偉いぞ! 気遣いのできる男性ってとっても素敵よ! さすが、わたしの心葉くん!」

褒めちぎりながら幸せそうに紙をむさぼる遠子先輩を、ぼくは穏やかではない気持ちで眺めていた。
こんな風に朝帰りを迎えたのは、もう何回目になるだろう。
最近の忙しさは、度をこしている。
何人もの作家と向き合い、ともに悩み苦しみ、作品を作り上げているのだから仕方ないことなのだろうけど、さすがに心配になってきていた。

「……最近、無理しすぎなんじゃないですか」
「そんなことないわ。まだ日の目を見ていない物語を世に送りだす"編集者"、いえ、"文学少女"としてはまだ頑張り足りないくらいよ」
「……だから、何でもそれで片付けないでくださいって。"文学少女"だって紙だけ食ってりゃ生きてけるものでもないでしょう。大体、もう少女でも、無理できる歳でも―」
「! だめよ! 心葉くん! その先は言ってはだめ!」

キッとにらみつけられて、ぼくは口をつぐんだ。
……自分でも理解してるなら、言わなければいいのになぁ。

495:"文学少女"とイタズラ好きな完熟作家
11/09/09 05:32:14.55 LYfuo0I2
「とにかく! 本当に無理なんてしてないのよ。それに最近は少し楽にもなったわ。緋砂ちゃんが一つ上のステップに行って、わたしの手を離れてくれたから」
「それでも、負荷は減るどころか、増える一方じゃないですか。実際、もう徹夜二日続いてるのに説得力ないですよ。今日は休んだらどうですか?」
「ううん、だめ。今日は13時から快斗くんと打ち合わせなの。もうすぐ、新シリーズも控えてるし、ちゃんとサポートしてあげないと」
「ああ……例の彼、ですか」

―雀宮快斗。
遠子先輩が特に目をかけている高校生作家。

実は、薫風社のパーティのときに彼のことは一方的に見知っている。
丁度、会場のロビーについたとき、険悪な雰囲気の雀宮くんと早川さんが庭園に出ていくところで、ただならぬ雰囲気を感じたぼくは彼らをこっそりつけた。

そしたら雀宮くんが、遠子先輩と一生添い遂げる! とか恥ずかしいことを叫びだして。
あの日から、のどに魚の小骨が刺さったみたいに、小さなイガイガが心から消えなかった。

「……もぐもぐ……ごちそうさまでした! さ、それじゃ、それまで井上ミウ大先生の次の作品の打ち合わせをしましょうか」

ようやく朝ごはんを食べ終えると、遠子先輩は大きく伸びをした。
冗談だろう! この人まだ仕事するつもりなのか!

「だめです。ドクターストップです」
「ひゃっ」

ぼくは遠子先輩をひょいと抱えあげると、寝室へ向かった。

「13時までならまだまだ時間があります。休暇をとれとはいいませんが、少しは寝てください」
「でも、心葉くんの原稿だって、もう締切まであんまり時間が―」
「遠子先輩がいないくらいで落とすほど、素人じゃないつもりです。つべこべ言わないで言うこと聞いてください。じゃないともう原稿は二度と見せません」

うっと遠子先輩が瞳を潤ませた。ちょっと心が痛んだが、これくらいしないと、この人はきっと堪えてくれない。

「……ごめんなさい。心配かけてるわよね」

布団で顔を半分覆い隠し、しゅんとして彼女が言う。
心にずしと重石をのせられたみたいに、後ろめたい気分になった。

たしかに、ぼくは彼女を心配している。
けど、それだけの理由で、彼女を休ませようとしているのかというと、多分そうじゃない。

本当は、彼女が仕事に―他の作家に夢中になっているのが気に入らないのだ。
ぼくのため以外に働いているのが、悔しいのだ。
彼女が、またあの時みたいに離れていってしまうのではないのかと、恐れているのだ。

そんな自身の醜い感情を恥じ、上の空になっているうちに、遠子先輩は寝ついてしまったようだった。
……今なら、気づかれないうちに、触れられる。
この心細さを、埋められる。
してはいけないと思いつつも、心が向かうのをとめられない。

ベッドの端にこしかけると、身をかがめて、白く美しいうなじに顔をうずめる。
すぅと息を吸うと、芳しいすみれの花の匂いと、少しだけ酸っぱい汗の匂いが香った。
官能的な気分に満ちていく。

……もうやめよう、遠子先輩が起きてしまう。
そう決心したときにはもう遅く、目を覚ましてしまった。

496:"文学少女"とイタズラ好きな完熟作家
11/09/09 05:33:37.22 LYfuo0I2
「……心葉、くん? どうしたの?」

ぼくがよほど青ざめた顔をしていたのか、遠子先輩は慌てて身を起こした。

「具合、悪いの? もしかして、拾い食いして、お腹壊したとか?」
「……遠子先輩じゃあるまいし、そんなことしません」
「じゃあ、どうしたの?  すごく、悲しそうな、泣きそうな顔をしているわ」

喧嘩に負けた子供を慰める母のように、ぼくの頭を撫でる。
胸にどす黒い感情がたまっていく。
まどろっこしい。
こんな不安、肌を重ねあわせてしまえば、すぐに消せてしまうはずだ。
ぼくは、遠子先輩を押し倒して馬乗りになった。

「……そんなことより、最後にしたのっていつでしたっけ。もう随分とご無沙汰ですよね。実は、たまってるんです」
「たまってるって……えっ」
「させてください」
「えっ、えっ、えっ……えーっ!」

みるみるうちに顔を真っ赤にして、きょろきょろと目を回している。

「わ、わたし、徹夜明けで、つ、疲れてるのよ……」
「さっきまで元気一杯で、打ち合わせしようとしてましたよね」
「それに、心葉くんもドクターストップって言ったのに……」
「ぼく、ドクターじゃないですし。それに疲れてるときは、軽く運動してから寝ると良いんですよ」
「シャワーも、浴びてないから汗くさいし……」
「それはむしろ、ご褒美です」
「こ、こんな真昼間からだめよ。ふしだらだわ、ただれているわ、退廃的よ!」
「確かに、普通の夫婦なら夜に営むものですが、遠子先輩はいつも夜いないんだからしようがないじゃないですか。その代わりです」
「ふ、夫婦じゃないもん! ……ま、まだ」

決して初めてというわけではないのに、毎度毎度身持ちのかたい処女のごとく理由を並べ立てる姿には頭が下がる。
けど、最後には決まって、消え入りそうな声で、ちょっとだけ視線を斜め下に外して、「……うん」と頷いてくれる。
その仕草が、可愛らしくて、好きだった。

ぼくは、その細い顎をつかむと、薄い花弁のような唇に、自分の唇を重ね合わせた。

「んっ……」

きゅっと、遠子先輩がシーツを握ったのがわかった。
触れ合わせていた唇を離すと、彼女の舌が物欲しそうにちろりと覗いているのが見えた。
今度は顔を傾けて、より深いキスをする。
小動物のように小さな彼女の舌を、ぼくの大きな舌で絡めとる。

「ちゅっ……んっ……はっ、ちゅちゅっ……んっ……ちゅるっ……」

何度も組み替えながら、絡み合い、解けあい、唾液が交換される。
彼女の唾液は度数の高い美酒のようで、飲み干すすたびに、血液が燃え上がっていくかのように、身体が熱くなる。
やめどきが、まったくわからない。まるで、麻薬だ。
より大きな快感が先に待ち受けていなければ、きっとぼくらは永遠にこの行為を続けるだろう。

「ちゅ、ちゅぅ、ちゅるっ、ぷはっ……」

苦しくなって息を継いだ彼女は、またすぐにぼくの唇をついばもうとする。
その勢いに圧倒されて、ぼくは少し身を退けた。

497:"文学少女"とイタズラ好きな完熟作家
11/09/09 05:34:53.87 LYfuo0I2
「遠子先輩、キス、好きですよね……」

別に責めたつもりはなかったのだが、彼女は恥ずかしそうにうつむいてしまった。

「……だって、心葉くんとキスするの、気持ちいいんだもの。不思議なの。何を食べても、飲んでも、味なんてしないはずなのに、心葉くんとのキスは美味しくてしょうがないの。わたし……おかしいのかしら?」

両手で赤らむ頬をおさえながら彼女は羞恥をこらえるように言った。

「普通、ですよ」

好きな人のキスが、美味なのは、きっと"文学少女"だって変わらない。
彼女の耳たぶや、首筋にキスしながら、シャツのボタンを一つ一つ外してゆく。

「ひゃっ……んっ……あっん……」

身体を下方へとずらしていき、二つの丘陵の頂に実った桜桃色の果実を摘み上げて、甘噛みしてみる。
幹が風に吹かれたみたいに、きしきしと音を立てて揺れた。

「やっ……あっ……んっ……そこ……気持ちいい……」

腹部の窪みを舌で穿ち、下腹部の茂みにまでたどり着く。

彼女の身体で最も敏感な核に優しく触れてみる。
真珠のように包皮につつまれた真紅の芽を、壊れものでも扱うように丁寧に。
同時に、もう一つの花びらに口づけ、雫になって流れ落ちてくる蜜を、ずるずるとスープでもいただくかのように啜る。

「……ごちそうさまでした」

大事な場所を涎まみれにしたあと、ぼくは口を拭った。
対する遠子先輩はもう意識があるのかすらも怪しいように、両腕で顔を隠して肩で大きく息をしていた。
瞼はもう疲れきったかのように垂れ下がっていて、快感の海を漂っているようだった。

木霊する。静かな部屋に。ぼくと遠子先輩の吐息だけが。

今、この世界には遠子先輩とぼくしかいないような錯覚を覚えた。
だから、聞いてみたくなった。今なら望むべき言葉がもらえるような気がして。

「遠子先輩は……ぼくと快斗くん、いえ、他の作家、どちらが大切ですか?」
「……え?」

遠子先輩はしばらく夢見心地のようだったけれど、段々と瞳の焦点があっていった。
そして、やわらかく微笑んだ。

「……比較することなんてできないわ。みんな、私の、大切で大事な作家だもの」
「……ですよね」

遠子先輩なら、どんな状況だってやっぱりそう言うに決まっている。魔が差した自分の邪念を恥じた。

498:"文学少女"とイタズラ好きな完熟作家
11/09/09 05:36:42.97 LYfuo0I2
「でもね」

遠子先輩は言葉を紡ぎながら、ぼくの頬に手を伸ばした。

「心葉くんは、わたしの作家である以上に、"恋人"だから」

まるで、現実で夢を見ているかのような瞳で。

「一番の幸せを、わたしに与えてくれる人だから」

信じられないくらい綺麗に笑って。

「―大好きなの。特別に、ね」

彼女の言葉が、マナになって、ぼくに降り注ぐ。

「もしかして、それで、不安になってたの?」

ぼくの頭は遠子先輩の腕に導かれて、彼女の胸にすっぽりと収まった。
高校の頃からずっと扁平な胸だけど、実はわずかに女性的なふくらみがあって心地がいい。
それを知ることができるのはきっと世界でぼく一人だけしかいない。

「……まさか。いい加減、子供扱いはやめてくださいよ」
「ふふふ、そういう素直じゃなくて、かわいいところもだぁ~い好きなの」

ぼくたちは裸でバカみたいにじゃれあった。ちょうど、生まれたばかりの子犬の兄弟がそうするみたいに。
しばしインターバルを挟んだというのに、ぼくの剛直はいまだに衰えることを知らず屹立していた。
遠子先輩がおもちゃを弄ぶみたいに裏筋を撫でてきたので、ぞくっとした。

「……それから、ここも、かわいくて、大好きよ」

台詞に似合わず、妖艶な表情で、遠子先輩は言った。
ぼくはすっかりそれにあてられて、誘蛾灯に誘われるように、剛直を秘所にあてがった。

「そんな台詞、すぐに言えないようにしてみせますよ」
「……クス、期待してるわ」

ゆっくりと挿入していく。
そこはもうすっかりぼくの形に馴染んでいて、だというのに締めつけだけは初なときと変わらず、子種を貪欲に搾りだそうとする。
入れた瞬間に吐き出しそうになるのをぐっとこらえるのが、常だった。

「遠子……好きだ」
「うん、わたしも好きよ、心葉」

それからのことはもう、途方のない快感にやられてしまったのか、あまり記憶に残っていない。
ただむちゃくちゃに腰をたたきつけて、ぐちゃぐちゃにとろけ合うように絡みあって、何もかも注ぎこんだ記憶だけがある。
はっとして気づいたときは、ぼくも彼女もすやすやと寝入ってしまったようで、ベッドに寝転んでいた。

ぼくは服を着ると、彼女の好みそうな甘い話をつづりはじめた。

ささいなことで、不安を感じてしまう男が、その原因を恋人に気づかされる、他愛もない話。
原因は、とても単純。
きっと、今がとてつもない程に幸福だから。
嘘みたいに、夢みたいに、幸せだから。
不安はきっと、誇るべき勲章なんだろう。

499:"文学少女"とイタズラ好きな完熟作家
11/09/09 05:37:59.16 LYfuo0I2
一筆書き終えたあと、ベッドの上ですやすや眠る遠子先輩に近づいた。
さらさらと流れる髪を小川の水をすくうように何度も梳いてみる。
ぼくは何となく、彼女の髪を三つに分けて、結び始めた。

少しずつ、少しずつ、彼女の姿が昔に戻ってゆく。
ぼくは、何でこんなことを、始めたのだろう。
過去を懐かしみたかったのか。
未来に思いを馳せたかったのか。
それとも、ただ単にイタズラしたかっただけなのか。

ぼくは途中で三つ編を結ぶのを止めた。
片側だけの三つ編は、乱雑な思索を顕現させたかのように乱れてひどいことになっている。

でも、黙っていよう。なにせ、これから彼女はぼくを置いて他の作家のもとに行くんだから。
これくらいのイタズラは許されてもいいはずだ、うん。
もう心細くなることはなかった。

やがて、彼女がうっすらと目を開いた。

「……心葉、くん」

ぼくの顔を見たあと、ごしごしと目をこすり、置時計に目を向けて、叫び声をあげた。

「!! きゃあーーーっ!! もう13時じゃない!? どうして起こしてくれなかったのぉ!?」
「え、 何かあったんでしたっけ?」と、すっとぼけてみる。
「打ち合わせだって言ったじゃない!! もう、ひどいわ、心葉くん!!」
「そんなことより、昼過ぎですし、お腹減ってませんか。ちょうどいい文章が書けたんですが―」
「いらない!!」

遠子先輩は慌てて部屋を出て行く。
しかし、すぐに戻ってきて、じーっとぼくの原稿を睨みつける。

「どうかしましたか?」
「……うぅ、心葉くんの意地悪。こんなので絶対に許したりしないんだから。帰ってきたらもっと一杯ごはん作ってもらうんだからぁ!」

原稿を奪いとって、また出て行ってしまった。

「ほんとに、相変わらず、食い意地張ってるよなぁ……」

あれでは、食い気と焦りで、とてもぼくのイタズラに気づくことはできないだろう。
雀宮くんの家で気づいて慌てふためく遠子先輩の姿が見物だ。
その様子を想像すると、また愛おしさがこみ上げてきて。
密かに筆を進めている例の物を仕上げるやる気が湧いてきた。

「早めに渡さないとな。それこそ、半熟作家くんに捕られちゃう前に」

机の引き出しから取り出したのは、重厚なジュエルケースと便箋に収まった書きかけの原稿。
ぼくは、彼女に思いを馳せながらペンを握りしめると、したためていった。
ふいに不安が襲っても、今だけは決して焦らない。

なにせ、世界中の女の子が夢見る、一生に一度しかない機会なのだ。
星のようにきらめくダイヤに、最高にロマンチックな甘い文章を添えてみせよう。

そう、あの"文学少女"が、食べるのをためらう位の―求愛の言葉を。

終わり

500:名無しさん@ピンキー
11/09/09 06:19:11.40 iEh9Q9km
Gj!

画廊のと雰囲気そっくりで面白かった。
お蔵入りはもったいなかったんでは?

501:名無しさん@ピンキー
11/09/11 05:25:05.25 x2QGcDQj
おつおつー

502:名無しさん@ピンキー
11/09/14 21:25:27.38 gL7idRYf
 カタカタカタッ カタ・・・
ふぅ、と心葉は天を仰いだ。執筆部屋の天井のがらんとした空気を敏感に
察知した彼は、衝動的な寂しさにみまわれてしまった。
 遠子との再開を果たし、心葉と遠子はそれまでの時間を埋めあうように
出会い続けていた。
 
 心葉は、遠子を思い耽った。そのまま机に顔を突っ伏しながら、
彼女を思い、自慰をした。吐き出した精液は、ぼたりぼたりと床に落ちた。
 まだ、二人は性交はなかった。
しかしそろそろそういた雰囲気が、二人の間に高まっていた。
 それはクリスマスが近いせいだった。
ありきたりのクリスマスデート。
 そしてきっとあるであろう・・・その日のこと。
心葉は待ち遠しくて堪らなかった。

503:名無しさん@ピンキー
11/09/14 21:39:43.30 gL7idRYf
 その日だった。
心葉はそのその日の一連の出会ってからの時間を重く感じた。
そして殆どを忘れた。食べた食事の味さえ忘れてしまうほどに。

 頭の中はぱんぱんに膨れ上がっていたし、
遠子を見たり、触れたりするたびに、彼は股間を固く、苦しく
若干の痛みを伴いながら、窮屈でいた。
 
 やがて、夜は訪れ、夜道で、二人は黙った。
二人の視線は夜の都会で交わった。そして溶け合った。
 彼らはするするとホテルへチェックインした。
 彼らはそれから目を合わせなかった。
無言の重い空気をエレベーターの中で感じた。
 ひとつ、ふたつ、と目的の部屋まであがってゆく。
そして心葉の興奮もそれに伴っていた。
 
 

504:名無しさん@ピンキー
11/09/14 21:43:00.56 gL7idRYf
 そして心葉は、もう抑える必要はないだろう、と
突如遠子の唇を奪った。
 遠子は目をかっ、と開き、すぐに、甘ったるい目になり、
頬を軽く染めた。
 お互い控えめで小さな舌の先端で擦り合わせる。
舌同士でじゃれあいながら、唾液も吸い付いて飲んでゆく。
 遠子の細腕を心葉は掴みエレベーター内の壁に
彼女の身体全体を押し付けてゆく。鼻息と、口と口を
ちゅぱぁ、と離すたびに漏れる吐息の音があった。
 
心葉は、一度間を置いて、彼女の頬を両手で柔かく包んだ。
 遠子の眼は潤み、涙も零れんばかりだった。
エレベーターがチェックした部屋の階にとまると、
彼女の細腕を掴んだまま、部屋にかけこみ、
電気もつけないまま、彼女を押し倒した。
 月明かりのせいで、部屋は明るかった。


505:名無しさん@ピンキー
11/09/14 21:52:01.72 gL7idRYf
 彼女を押し倒すと、彼女はされるがままになった。
心葉は夢中になって彼女の身ぐるみを剥した。
 彼女の身体は真っ白で白光していた。月明かりのせいだ。
ぺったんことおちょくることもなく、そっと、中指で彼女の乳首に触れ、
そのまま薬指で挟み焦らしてゆく。平坦とはいえど、
若干の膨らみのあるその乳房を撫でるようにしたあと、
舌で舐め上げた。

 彼女は左手を手を口に当て、そっぽを向きながら、もう片方の手で
シーツをぎゅっと掴んでいる。
 乳首を舌先でちろちろといじっている間、彼女は頬を染めながら、
ぐっと声を殺している。
 心葉は、そのまま全身を同時に舐めてしまいたい、食べてしまいたい、
という衝動に駆られた。
 
 腋を舐め周し、その道で、彼女の耳たぶを咬んだ。
 もう一度、心葉は彼女の口の中へ舌を入れ、執拗に彼女の口の中を
乱した。思いっきり吸い付き、つるりとした背中を撫で回した。
 彼女は予想以上に華奢過ぎ、細かった。
 
 その身体を彼は思い切り抱きしめて、折らんばかりだった。

506:名無しさん@ピンキー
11/09/14 22:00:59.37 gL7idRYf
 そのまま彼女の髪の毛をたぐりよせ、自分の顔に持ってゆく。
その甘い臭いに顔を埋め、悦に浸る。
 彼の股間はとくんとくんと、すでに先走っていたが、
それでも、まだまだ前戯が足りないくらいだった。
 心葉も下半身を剥し、彼女を抱き起こし、背中から抱きつくようにし、
自分の指を舐め、赤赤とした水溜りのようになっている彼女の陰部を
優しく慰めてゆく、遠子も、そっせんして、するりと股を開く。
 遠子は、口付けをねだるように、後ろに回っている心葉にアピールする。
口つけをしながら、乳首を刺激され、陰部の堅くなっているところを
さすられてゆくうちに、遠子は、もうはやく彼の堅いものが
入ってくるのが待ち遠しくたまらなかった。

 心葉は、遠子と対面座位になって、中に全部出してしまいたった。
彼は、ゆっくりと、彼女の中へ、入っていった。
 きつく感じ、痛みばしりながら、彼女は身体をこわばらせた。
 彼女はやはり処女だった。
血が染み出る陰部が、互いが接合しあうところで、熱くなっている。
 赤赤としている。

 対面のまま、彼女の背中を撫で回し、時間を待つ。
遠子はやがて、腰を上下し始める。
 口つけをしながら、上下の運動を激しくしてゆく。

 このはっ・・・くぅん・・・
 とおこ・・さっ・・・
 

507:名無しさん@ピンキー
11/09/14 22:06:50.15 gL7idRYf
 涙を流し、やっといっしょになれたね、、、
ととぎれとぎれに、彼女は言う、
 彼は彼女の腰の動きだけに夢中になっている。
ひきしめられながらも、びしゃびしゃの水溜りになっている
陰部は柔かく、そして、たびたび、きゅっ、きゅっ、と
 亀頭を引締めてゆく。
痙攣し、彼は、いままでのたまりにたまった総てを、
そそぎこんでやりたいと思った。彼女の子宮に亀頭の先端がついた
ところで、妊娠させてやりたいという、変態的な考えになった。
 
 もう心葉は限界だった。
きゅっうう、っと彼女の身体は、彼の精液をのみこもうという
本能で必死だった。
 快楽の絶頂へ、のぼりつめてゆくなかで、
ふたりは唇を重ね、吸い付き、
 そのまま、熱狂の中で、心葉は、精液を全部吐き出した。

 ふふ・・・このはくんかわいい・・・
と、涎をたらしている惚けている心葉の涎を舐めとった。
 きもちよくなってる顔がもっと見たい、
と言って、そのまま彼女はまた腰を上下しはじめた。

 

508:名無しさん@ピンキー
11/09/15 14:30:34.29 V3Sxkovj
 「きしゅ・・・きひゅしれほしいの・・・」
腰を振り続けながら、からからに喉のかわいたときに
飲む水のように、心葉の口にすいつき、喉をごくごく動かす。
 「このはくん、おいしいよ・・・」

 遠子は、対面の格好から、心葉を押し倒した。
心葉の上で、騎乗になった。
 彼はささやかな彼女の胸のふくらみを、もにゅもにゅと
掴む。
 このはくぅっ・・・・・
んぁ・・・
 上気し、羞恥と快楽をいったりきたりしながら、
天を仰ぎ、頬を高潮させている。
 いくよ・・・いくよ・・・このはくんっ・・・
 とおこさん・・・いっしょに・・・
 うん、・・・・・いっしょに・・・
 
 ぐちゅ、ぐちゅ、と血と精液にまみれながら、
そこはめちゃくちゃになっていた。


 膣がきゅううっと締め付けられ、遠子は同時に彼の手を絡みつかせる。
ああああっ・・・いくわぁっ・・・!
 果てると同時に、天を仰ぎ、ぎゅっ、と心葉の精液をたっぷりと飲み込み、
手を握る力も入り、指は汗ばんでいた。
 二人は白い光に包まれるように、果てた。
 
 はぁ、はぁ・・・と上気したからだをふたりはひとつになりがなら、
おちつけた。

 このはくん・・・すきよ
ぼくもです。
 そうして二人は口つけを軽く交わした。 
 

509:名無しさん@ピンキー
11/09/15 14:33:19.63 V3Sxkovj
 おしまい。
なんか、途中で面倒くさくなった。
 惰性で書いた。以上 でも自分でかいててちんこたったし
むらむらしたからまぁまぁかな 抜けるかは不明
 最後描写が甘くなってた。


510:名無しさん@ピンキー
11/09/17 18:36:16.19 zO2GGQdj
チラ裏乙


511:名無しさん@ピンキー
11/09/17 19:23:17.33 mSv7wte4
こういうことは言いたくないけど本当に駄文
名前変えりゃどのスレにも投下できる二束三文の夢小説

512:名無しさん@ピンキー
11/09/21 20:35:22.06 4qk5hyJQ
保守

513:名無しさん@ピンキー
11/09/23 10:52:35.87 nVHelc/V
妄想できたけどなんかダメ

514:名無しさん@ピンキー
11/09/26 07:34:06.68 ApPpZtV2
保守

515:名無しさん@ピンキー
11/10/04 23:21:45.95 a/Eaqm0B
書き込みが無いな

516:名無しさん@ピンキー
11/10/08 02:46:43.21 qONO2tmE
俺に文章かける能力があればヒカルの方書いたのに・・・


517:名無しさん@ピンキー
11/10/17 21:35:15.89 MN34eGX6
叶子さんのはなしはこれまでないよな?ぜひ読んでみたい。
叶子さんと遠子先輩の母子丼とか。

518:名無しさん@ピンキー
11/10/23 20:57:01.49 tTLuRf0m
ほしゅ

519:告白
11/10/26 03:49:07.59 Y+5N/5z8
「おう、行ってこい」
 雨上がりに、是光が言ったその言葉。
 精一杯の後押しと精一杯の我慢がこめられたその言葉は夕雨にとって幸せな言葉だった。
 だから、夕雨は、その言葉を精一杯の気持ちで受け取る。是光の腕にしがみつき、あふれる涙を隠して。
「ありがとう」
 くぐもった声に彼は気づいてしまったかもしれない。それでも何も言わずにただただ受け止めてくれていたことに夕雨は感謝していた。
「ありがとう」
 もう一度つぶやいたときには、夕雨の髪を是光の手のひらがそっと触れた。ぎこちなく撫でるその手には確かに優しさがあった。
 今だけはその優しさに甘えたまま、そっと目を閉じる。
(……ありがとう)
 
 しばらくして、閉じていた目をそっと開けて是光を見上げる。
 その少しだけ怖そうに釣り上がった瞳と、恥ずかしそうに頬を染める顔がそこにあった。
「もう、大丈夫」
「あ、あぁそうか」
 夕雨の頭を撫でていた手を慌てて離す。
 切なげにその手を見送ったあと、夕雨が微笑んだ。
「な、なんだよ……」
 バツが悪そうに頬を歪める。
「やっぱり、私のほうが年上かなって」
 ふふ、と笑う夕雨はアパートにこもりっきりだったときと違っていた。
 夕雨の自然に笑う姿を見て、是光もつられて笑ってしまう。
「もう元気になったみたいだな」
「うん。赤城くんの、おかげ」
「俺はなんつうか、ただヒカルが見せたかったものを……」
 是光のその言葉に、夕雨はそっと首を振る。
「違うわ。きっかけはヒカルだとしても、私をあそこから連れ出してくれたのは赤城くんだもの」
「……」
「そして私が好きになったのも―」
「夕雨」
 夕雨の言葉は遮られ、是光が夕雨の瞳をじっと見つめる。そして、そっと抱きしめた。
「俺は、何も知らないバカで、失敗して、お前を泣かせて、辛い思いばっかりさせた。これだって決めたら進むしかないと思ってて、躓いて怪我してるやつだっているってことにも気づけないで、本当にバカだった」
夕雨は是光の腕の中でそっと耳を傾ける。
「でも、俺は不器用だからゴールを目指すことしか出来なかったんだ。たとえ辛くても、傷ついてるやつの手を取って、行くぞって。手を引いてやることしか出来なかった。本当にごめんな」
 夕雨の手が是光の背中へとまわる。その手がそっと背中をポンと叩く。
「……ううん、わたしはちゃんと立てたもの。手を引いてもらって、ちゃんとゴール出来て、嬉しかったよ。そして、だからこそ、これからも自分の足で立とうって、ちゃんと歩いていこうって思えたの。だから、大丈夫。赤城くんは間違ってなかったわ」
 震える是光の腕が夕雨をより一層強く抱きしめた。夕雨も是光へと体を預けて是光に応える。
 お互いの体温も吐息も心臓の音も全てを共有して、二人で一つになる。
「俺は、こんなふうに人を抱きしめるなんて初めてだ」
「うん」
「こんなふうに人を想うなんて初めてだ」
「うん」
「今からもう一つ初めてのことをする」
「うん」
 すぅという深呼吸をおいて是光が口を開く。
「夕雨、俺はお前のことが好きだ」
 力強く、優しい声が夕雨の耳元へと届く。
 夕雨は、その言葉をしっかりと抱きしめて、一言だけ返した。
「わたしも……大好き」


ふぅ、言葉があってもいいじゃない!

520:名無しさん@ピンキー
11/11/06 01:40:58.12 bLrGC1zb


521:名無しさん@ピンキー
11/11/07 19:44:18.30 6Txc5lUG
過疎っすなぁ

522:名無しさん@ピンキー
11/11/07 20:52:34.50 FSlz37HQ
俺しかいないんじゃないかと思ってた


523:名無しさん@ピンキー
11/11/08 01:58:43.55 peMvoWWO
一人居たら30人はなんたらかんたら

524:名無しさん@ピンキー
11/11/09 23:42:05.42 ZlXPEJhw
>>519
GJ! 2ヶ月半積ん読してしまった夕雨をようやく読み終えたその足で来てみたら良作が……。
長めのセンテンスで流れるように読める文章が野村美月ちっくで、そこもGJです。
これが”文学少女”シリーズだったら、本編でもこのくらい語ってそう。

525:名無しさん@ピンキー
11/11/16 23:13:27.26 Qd+145N4
保守だな。

526:名無しさん@ピンキー
11/11/22 13:45:40.59 H8fiJGB7
過疎ってんな


527:名無しさん@ピンキー
11/11/24 12:20:46.61 NBGzgM6y
過疎すぎて辛い

528:名無しさん@ピンキー
11/11/29 23:20:45.24 rZftlUQI
スイートパティシエールの登場時のアレやりたい

529:名無しさん@ピンキー
11/12/02 13:44:34.61 TzHe01Si
もう、いいんじゃないかな


530:名無しさん@ピンキー
11/12/05 03:56:02.23 1HwJHw+V
「おはようございます」
「おぅ、おはよう」
 葵のぎこちない挨拶に、声をつまらせながら是光が返事をする。
 最近ではよく見かける光景。
 毎日、というわけではないけれど、葵は是光に合うたびに声をかけていた。

 誕生日の次の日。
 ヒカルのプレゼントを届けてくれた赤城是光。
葵はあんな人に今まで会ったことがなかった。
 男の人に話しかけるのが苦手で、だから、緊張して、うまく声が出せるか不安で、ちょっぴり怖くて。
 それでも勇気を出して声をかけた。
 あのときは一歩、たった一歩だけれど、踏み出せた。
 今は、あの時ほどの緊張はないけどそれでも彼に声をかけるのは胸が張り裂けてしまいそうなくらいどきどきした。そのどきどきをぎゅっと抑えて、あの人の声を聞き、言葉を交わすのは葵にとって嬉しいことだった。
 もっとも出来るのは、短いあいさつを交わすのが、精一杯なのだけれども。
  どうしたら、もっとお話ができるようになれるのかな。
 気づくとそんなことばかり考えている自分に、一人で恥ずかしくなって、小さな頬をさくらんぼのような朱色に染めていた。
「ちょっと落ち着いたほうがいいです」
 言い訳をするようにして教室から出て歩く。
  こういう時はミルクセーキを……。
「ミルクセーキ……」
 そして、あのことを思いだして自動販売機の前でうつむく。葵の頭の中でぐるぐるとあの光景が浮かんでは消え、浮かんでは消えていた。
「なんだか、馬鹿みたいです」
「誰が馬鹿なんだ」
「え」
 ぽつりとこぼれたひとりごとへの唐突な返事。
 葵が振り向くと、そこには是光がいた。
「よう」
「こ、ここ、こんにちわ」
 自分にかけられた声とその声を発した本人を見て、猛獣に見つかった小動物のように身体が縮こまる。
 さっきまで想像していた本人が、目の前で自分を見下ろすように立っていて。言葉を、声を、発しようとしてもそれ以上何も出来ず、口を必死にぱくぱくさせてうろたえていた。
  なんで、どうしてこんなところに赤城くんが……
「そんなに、怖がらなくてもいいだろう……」
 是光は、バツが悪そうに頬をかく。普段は鬼のように怖いといわれがちの是光の顔が困り顔へと変わり、葵を一度見た後にそっぽを向いた。
  ええっ!そうじゃなくて、あの、えっと。
 慌てて声が出るよりも先に、手が動いた。そのことに自分で驚きながらも目の前の是光の腕を掴む。
「……ぁ」
「ん、どうした?」
「ち、違います。少し驚いてしまっただけですから。赤城くんが怖い人じゃないってちゃんとわかってますから!」
 是光を見上げ、突然大きな声を出した葵。
 是光はそのことにびっくりして、目を丸くする。
 互いを見つめる二人の間に少しだけ嫌な沈黙が流れた。
「えと、その……」 
 葵がなにか言う前に、是光がその頭をポンと叩き軽く撫でた。
  え、えぇぇぇ。
 頭の上に手のひらがのっかっていて、その手が撫でていて。
 葵がそのことを理解した途端、沸騰してしまいそうなほどの熱を感じた。
 今、自分の顔は誰が見てもおかしなくらいに紅で染まっている。恥ずかしくて、どこかに隠れてしまいたい。
 載せられた手のひらの大きさと温もりを感じながら、葵は是光から目を逸した。

531:名無しさん@ピンキー
11/12/05 03:58:06.66 1HwJHw+V
「ありがとな。冗談でもそんなふうに行ってくれる奴がいてくれて嬉しいぜ」
「別に冗談を言ったわけじゃないです……」
 葵の声が小さくなり、それに気づいた是光が手を慌てて離す。
「あ、わ、悪いな、こんなことして。なんとなくそんな気になっちまって」
「大丈夫です……」
 離れた手に安堵と名残惜しさを感じる。
 葵の心臓は全力疾走の後みたいに脈打っていた。
「はは、まぁお詫びといっちゃなんだけど、ミルクセーキくらいおごってやるよ。それとももう何か買ったのか?」
「いえ、まだなにも」
「それならちょうどいいな。ちょっと待ってろ」
 是光の視線が自販機の方に向くと葵は小さく息をついて自分を落ち着かせる。
 落ち着いて、いつものあいさつのように話しかけようとして、でも話せなかった。
  何を話したら……わからない。そういえば、赤城くんはいつも、自分から話をしてくれた。
  ただの挨拶じゃなくて、自分から話すってことがこんなに大変だなんて。
 考えれば考えるほど、話題が浮かばなくて何も言い出せなくなってしまう。
 そのまま底なし沼にでも足を踏み入れてしまいそうだった。
「ひゃっ」
 頬に熱を感じた。一瞬の出来事で驚いたけれど、何が起きたのかはすぐにわかった。
 是光が葵の頬に自販機から出てきた缶をすっと差し出していた。
「お前は、なんていうか、面白いよな」
「わ、わたしは別におもちゃじゃありません!」
 いたずらされた頬に、熱を感じながらそっと手のひらでさする。その熱が葵を少しだけ冷静にしてくれた。
「見てるとかまいたくなるのさ。斉賀の気持ちが少しだけわかるかもな」
「それって、二人ともわたしをおもちゃみたいにして遊ぶのが楽しいってことですか……?」
 相手してもらう葵としては複雑な心境で。
 もっとも自分を見てもらえるのは嬉しいことなのだけれども。
「心配して、世話を焼きたくなるってことだな」
「ホントにそういう意味なんですか?」
 顔がにやけてる是光を怪訝な顔で見つめると
「そうさ」
 と、いかにも楽しそうに肯定する。
 そんな是光を見て、深く考えるのが馬鹿らしくなってしまった。
「……わたしのなかではそういうことにしておきます」
「まぁ、なんだ。あんまり抱え込むなってことだよ。見てて不安になるからな」
「そんなふうに見えますか?」
「なんか考えすぎてるようにはみえる。たまには、考えずに行動してみるのもいいんじゃないか?って思うだけさ」
 それを聞いて、葵は初対面の時を思い出した。
「赤城くんみたいにいきなり部活におしかけて、話を聞けー!ってやったりとかですか?」
 葵から自然と笑みがこぼれる。
「それは、またなんつーか……」
「今思うとかっこよかったです。堂々としてました」
「ニヤけながら、言われても嬉しくねえよ」
「まぁちょっとだけ、というかだいぶ不審者ではありましたけど」
「それはだな……」
 二人で笑い合う。
 楽しい。そう簡単なことだった。
 出会って些細なことをきっかけに笑い合う。
 それでいいと思った。
 深く考えすぎて、足を止める必要なんてない。
 葵は止まっていた足をもう一度動かすことに決めた。
「赤城くん」
「ん?」
「これからは、是光くんって呼んでもいいですか?」
 また、一歩一歩踏み出せばいい。

hosyu

532:名無しさん@ピンキー
11/12/05 21:29:47.71 aSQXjARK
保守のレベルじゃねー!

また来てくださいお願いします

533: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:30:42.63 30jgff7I
お世話になります。

SS投下します。

・快斗×菜乃
・「半熟~」と「見習い~」と「画廊Ⅱ」のネタバレを含みます。
・原作者曰く、「文学少女」は発刊順に読んでほしい、とのことで、「半熟~」まで読み進めていない方はご注意ください。
・半年以上前に書いたものなのでいろいろ申し訳ない部分があります。

534: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:31:03.28 30jgff7I

 オレはなんて幸せな初恋をしているのだろうと、ぼんやりとしている意識のはじっこで、
そんなことを考える。

「あ……んっ、んっ、んっ……快斗くん……きもちいいよぉ……」

 日坂さんがぎゅうぎゅう、締めつけるせいだ。
 ふだんは、柔らかでふわふわしている髪が、胸の上に流れて貼り付いている。

「日坂さん……!」

 ぐちゅぐちゅといやらしい音をさせながら、日坂さんがオレの上で揺れる。明度を落と
したホテルの一室のベッドの上で、ひとつになっている。

 彼女が身体を浮かして落とすたび、ベッドがきしきしと音を立てる。

 薄暗いので体の細部まではわからない。けれど、やわらかな茶色の髪が身体と一緒に踊
っているのはわかったし、その顔が甘く、淫猥にとろけているのはわかった。

 オレのものが飲み込まれて、また出てきて……その様子が間近に見えるし、もちろん
「感じる」。
 ほんの一月前までは、女の人がこんなに柔らかくて、行為がこんなにも気持ちの良いも
のなんてしらなかった。

「ひ、日坂さん……気持ちよすぎっ……やばいっ!」
「うんっ……快斗君のっ、きもちいいっ! きもちいいよぉ……!」

 日坂さんが腰を動かす度に、先端から根本までをなめ回されているかのような刺激があ
る。何かを責め立ててくるような快楽に頭がしびれる。
 
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ! 快斗くっ、んっ!」
「日坂さんっ!」

 耐えきれずに日坂さんを抱きよせる。小柄な日坂さんはオレの腕にすっぽりとおさまっ
た……!
 耳元できこえる嬌声を聞きながら、オレは日坂さんのそこへ思い切り突きこんだ。

「んっ、ひっ!」

 日坂さんが上になっている分、うごきやすい。下から突き上げる動きのまま、欲望のま
ま、日坂さんに性欲をたたきつけ続ける。先端を日坂さんにこすりつけ、彼女の中を蹂躙
する……。

 可能な限り大きな動きのまま、速度だけを上げていく。日坂さんの中にオレの形を覚え
こませるように、深く刻み込んでいく。
 日坂さんはそれを―まったく、拒まなかった。

「ひぁ……っ、こ、腰うごいちゃうぅ……んぅっ!」

535: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:31:39.33 30jgff7I


 おもわず顔を上げた日坂さんのくちびるを奪う。

「んっ、んくっ……んっ!」

 舌と舌を絡ませ、腰を動かし続ける。脳髄を蕩かすように互いと互いに官能を高めてい
く。じゅく、じゅくとみだらな音がするたびに、快感が頭を満たしていった。

「日坂さんっ……出るよ……!」
「んっ、んっ、んんんっ! わ、わたしも……いっちゃう……っ!」

 日坂さんがそう言った瞬間、ムスコがいままでにないくらい、締めつけられた。
 それがトドメだった。

「うぁ……っ!」

 オレの意志とは無関係にムスコ自体が大きくふるえた。先端がびくびくとうごめいて、
ポンプの要領で精液をぶちまけた。
 亀頭を精液が通過する感覚が心地よくて、気を失うかとおもったほどだ。

「ひ、やああああっ!」

 日坂さんが悲鳴をあげながら、オレの精液を奥底でうけとめてくれる。
 中だしの刺激で絶頂の一線を越えたのか、体中をびくびくと細かく揺らし、悲鳴を続け
る彼女をオレは抱きしめる。

「んっ、んっ……んっ! ま、ま
だでてるよぉ……!あ、あばれないで……っ! やぁ……!ま、またっ……」

 日坂さんが身をすくませる。ひくひくと膣道が痙攣し、それが刺激になって、さらにム
スコが精液を吐きした……。


536: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:32:05.10 30jgff7I

 お互いに息がおさまるのを待って、オレと日坂さんから体をはなした。堅さをうしなっ
たオレのものを抜き出すとき、日坂さんが「んっ」、とかわいらしい声をあげた。

「は、ふぅ……」

 そのまま日坂さんはシーツの上に座り直し、ぼーっとしていた。
 ふにふにとやわらかいほっぺたは、リンゴみたいに真っ赤だし、胸元あたりまで落ちた
髪が汗にはりついて色っぽい。
 息をする度に上下するおなかとか、扁平だけど形のいい胸とか。本当に色っぽい。

 それにいままでの情事の証というか、オレの吐き出した精液が、トロトロと彼女のソコ
からながれ出ていた。

 ああ、日坂さんのあられもない姿をみれるのってオレだけなんだなぁ、などとおもうう
とすこし感慨深い。

 オレの気持ちを知ってか知らずか、日坂さんはふぅ、と長い息をはいて、オレの胸のあ
たりに額をよせた。
 鎖骨のあたりにこつん、と頭があたる。
 そしてすこしだけ拗ねたような声で言う。

「快斗くん激しすぎ……」 
「うん……」

 オレは返事をしながら、日坂さんの明るい栗色の髪をそっと撫でた。

 お互い風邪をひかないように、二人でベットに潜り込む。自宅のベッドとはやっぱり肌
触りが違うシーツに二人で身をつつんで、向かい合う。

「うう……中だしがクセになったらどうしよう……そうなったら快斗くんのせいだよ…
…」
「あ、いや、その。あんまりに気持ちよくて」
「む、うう……」

 快斗くんが喜んでくれるのはいいんだけど……と、つぶやきながら、日坂さんはシーツ
の裾を顔まで引き上げる。
 
「快斗くんのばか……。心葉先輩の結婚式のときのこと、みんなにはなしちゃうよ? 掲
示板に書き込んじゃうよ……?」
「そ、それは勘弁してください……。そんなことされれば、オレの作家人生おわっちゃい
ますよ」
「大混乱だったもんね、快斗くん」

 日坂さんがいたずらっぽく笑う。

 なぜか結婚会場にいた日坂さんの初恋の相手が、遠子さんの旦那になる人で、旦那は井
上ミウで、佐々木さんの言うような人当たりのいい、いわゆる格好いい大人だった。

 混乱に追い打ちをかけるように、その新郎の横にたつ純白のウェディングドレス姿の遠
子さんに見とれて、手にもっていたグラスの中身をこぼしたあげく、隣のテーブルにすわ
っていた美女に大笑いされるという醜態をさらしてしまった。

537: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:32:23.87 30jgff7I


 ちなみにその大笑いしていた美人というのが、会場に入った瞬間に俺を捕まえて、日坂
さんと井上ミウの関係を暴露した人だったりするからタチが悪い。

「日坂さんは・・・井上さんのこと好きだったんですよね」
「うん。いまでもだぁぁぁい好きだよ」

 北風がはだしで逃げ出すような笑みを浮かべる日坂さん

 オレはそれを複雑な思い出見つめた。
 オレとしてはほかの男を「だぁぁい好き」と言われれておもしろくない―でも、その
「だぁぁぁぁい好き」の裏にかくされた感情をオレは知っている。

 オレも日坂さんも、きっとものすごく幸せな失恋をしたもの同士だから。だから、大切
っていうのがどういう気持ちで、大好きっていうのが、どれだけ暖かくて、どれだけ切な
いのか、よく知ってる。

「あ、でもね」

 そんな感情が顔にでてしまったのか、日坂さんは困ったような、照れたような表情で、
オレの耳元にくちびるを寄せながら言った。

「でも……愛してるのは快斗くんだよ」
「……お、オレも」

 顔に血が上るのを感じて、気恥ずかしくなって顔を背けようとしたら、日坂さんの手の
ひらがオレの頬をしっとりと包みこんだ。柔らかい指先が心地いい。

「オレも日坂さんを愛してます。だから、ほかの男のこと言うの、やめてください」
「快斗くんはやきもち焼きだもんね」
「……そうっすよ。やきもちやきなんだから、やきもちなんて、やかせないでください…
…」
「よしよし」

 頬を撫でていた手をはなして、今度はオレの頭を撫でる。おもわずうっとりとしてしま
うほど、心地よい安心感。彼女が図書館でアルバイトをしていた時からかわらない、優し
い手のひらが行ったりきたり、頭を撫でる。あまりの心地よさに眠ってしまいそうだった。

 ぼんやりとしてきた頭で思い出す。
 ―遠子さんの結婚式の後から、日坂さんとオレの距離はぐっと近づいた。

538: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:32:34.29 30jgff7I


 それまではたまに、メールや手紙のやりとりをしていたけど、二人でどこかにいこうと
か、どこかで会おうとかはなかった。ガキのときの印象が強くて、どうしても日坂さんを
「年上の、きれいなお姉さん」としか思えなくて、彼氏と彼女になろうなんて、考え付か
なかった。

 でも―あの、遠子さんの結婚式で。

 泣き出しそうな顔をしながら、幸せそうに微笑む彼女を見て、胸がせつなくなった。ふ
だんの明るい彼女からは想像がつかない、複雑で弱々しい表情の横顔に胸が締めつけられ
た。

 結婚式から一週間くらいたって、オレから日坂さんを食事にさそって、日坂さんはそれ
をことわらなかった。何回かのデートのあと、自然とこういうつきあいになった。

 初めて腕を組んで歩いた時には、幸せでどうにかなりそうだった。

 求めるオレに、目に涙をためながら、なにかを決心した顔でうなずく彼女を心底いとお
しいと思った。
 初めてつながったとき、泣き出した彼女を一晩中抱きしめて、頭を撫で続けた。

 日坂さんの手が優しくオレの髪を撫でてくれる。それはものすごく心地よくて、胸の中
が幸福で満たされていくのを感じた。

 ふ、と。髪をなでてくれている腕の先、シーツの間にみえかくれする乳房に目がいった。
日坂さんの手が動くたびに、形のいい乳房の、その先端が甘く揺れる。

「あ」

 オレの視線を感じたのか、日坂さんは片方の手で胸を隠してしまった。
 でもそのときはもう遅かった。下半身に血が集まっていくのがわかる。
 日坂さんも同じなのか、上目使いでちらちらとオレをのぞきこむ……。
 か、かわいい……。
 その表情をずうっと見ていたいと思うのと、相反して、股間が持ち上がってしまう。

「あの、日坂さん……もう一回、いいかな」
「え……もう大丈夫なの? い、いいけどっ! でもね」

 いったん、そこで口をつぐむ。
 そして、もう一度、オレの頭をなでながら、そしてえへっと、恥ずかしそうにこう言っ
た。

「こ、こんどはゆっくり、甘えても……いいかな」


539: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:33:09.26 30jgff7I
――


 ベット上に日坂さんを仰向けに寝かせた。すこし足を開いてもらう。
 赤ん坊が足を投げ出しているような格好になり、日坂さんは顔を真っ赤にしながらうつ
むいた。

 白地のシーツの上でも生える、血色のいい脚と脚の間に、そこが、男のオレからすれば
薄い、恥毛の奥に、さっきまでオレを飲み込んでいた、その、そこがある。

「ぅぅ……恥ずかしい……」

 うちむいたまま、涙目を浮かべながら、日坂さんがつぶやく。
 しかし、男のオレからしていれば、それは息苦しくなるほど愛しくて、獣欲を刺激する
表情だった。
 
「か、かわいいっすよ……」
「快斗くん、さっきからそればっかりだよ……」
「でも本当にかわいいんで……照れてる日坂さんの顔、もっとみたいです」
「わたしの方がお姉さんだよ……」
「知ってます。オレに本のおもしろさを教えてくれた上に、心配して中学校まで来てくれ
て生き別れのお姉さんになってくれた、文学少女のお姉さんです。でもかわいいのは本当
なんですから、しかたないじゃないですか」
「……」

 オレはゆっくりと日坂さんに覆い被さる。片手を頬によせて、それから手触りのいい髪
の毛を撫でた。
 日坂さんは瞼を閉じてオレのするがままに、ゆだねてくれている。
 日坂さんの健康的なピンク色のくちびるに口をつけ、その中に舌をはわせる。おずおず
と差し出される舌に舌を絡めて、深いキスを交わした。

「んっ……んちゅちゅ……んっ……」

 お互いの舌が舌をたたいて、卑猥な水音をたてた。その音によっぱらう。いつの間にか
オレは日坂さんの頭を両手で抱いて、キスに夢中になっていた。

「あ、んっ……んぁ……ん……」

 すこし息苦しくなったのか、日坂さんがくちびるをはなして、キスは終わった。

「すごいエッチなキス……だね……」
「そうっすね……」
「もう、いっかい……いいかな」

 今度は日坂さんからキスが始まる。何度かくちびるをつけたり、はなしたりしてお互い
気が済むまでむさぼった。


540: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:33:49.01 30jgff7I

「あ、う……」

 すこし惚けた日坂さんの首筋にくちびるを落としながら、徐々にそこへ向かっていく。
 先端が強調された、控えめな乳房にくちびるでふれる。

「んんんっ!?」

 とたんに日坂さんがふるえる。

「ふぁ……!? や、やら、快斗くんっ! くすぐったい……」
「くすぐったいだけですか……?」
「んっ……舐めながらちゃだめぇ……」
「気持ちよくは?」
「うう……気持ちいい」

 ぷっくりと立ち上がった乳首を指とくちびるで刺激し続ける。くちびるが届かないもう
一方の胸は、片手で、包み込む。指と指の間に乳首を挟みながら、円を描くように刺激を
くわえる。
 
 汗でしっとりと塗れているせいか、手のひらにぴったりと乳房がおさまる。柔らかくて、
崩れないのが不思議なくらいの不思議な弾力だった。

「快斗君……んっ、さわり方が……やらしい……く、くすぐったい……」
「やさしくって言ったのは日坂さんですよ」
「そうだけど……。やさしいとやらしいは違うよぉ……」
「一文字違うだけっす。それに日坂さんの顔のほうが―やらしいっすよ」
「ううう……」

 改めて身体を動かす。乳房を撫で続けた。最初こそ恥ずかしそうに身体を揺らしていた
日坂さんだったけれど、

「んっ……あっ……やぁ……」

 と、艶やかな吐息を漏らすようになっていた。
 その吐息がまた、オレを興奮させる。顔から首筋、首筋から胸へ往復しながら、日坂さ
んを味わっていく。

「か、いと……くん……」

 日坂さんに切なそうにいわれて、オレは顔を上げた。

「う……」

 頬を紅潮させ、目を潤ませた日坂さんがいた。 
 オレは日坂さんにうなずいた後、身体をずらして、日坂さんの両脚を両手で抱えあげる。

 赤ん坊のおむつを換える時のような格好に、日坂さん首を背ける。

 そんな仕草でさえ、オレをかき立てる。首筋にかみついて、おもいきり日坂さんを犯し
尽くしたくなる。

541: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:34:14.58 30jgff7I


 さすがにそれは我慢して―。

 目線を下に落とした。指先を日坂さんのソコにさしむける。

「ま、まって……あうっ……」

 日坂さんの静止とは反対に、指は抵抗なく、彼女の中にのみこまれた。身体がびくりと
ふるえる。

「あ、やあ……」

 ちゅる。ちゅる、ちゅる。
 なかはもう十分に潤っていた。たぶんさっきぶちまけたオレの精子も、ぬめりに一役買
っているに違いない。

 大丈夫……だよな。

 オレの人差し指を日坂さんが……締め付けてくる。

 一度顔を上げて日坂さんを見つめた。どこか不安げな表情のほかに、何かを期待するか
のようなみだらな目で、オレを見つめている。

「じゃあ……いただきます」
「……はい」

 脚と脚の間の、艶っぽく塗れたそこにムスコの先端をあてがう。

 ちゅくぅ

 日坂さんの愛液と、オレの先走りの液体が音を立てる。
 そのまま、日坂さんを抱きしめるようにして、ムスコをつき入れる。

「んんんんんっ―!」

 何の抵抗もなく、ムスコは日坂さんを貫いた。つきだした腰の勢いそのまま、先端がは
日坂さんの中にわけ入って、一番奥をつついて止まった。

 ムスコを優しく包み込みつつ、内側のヒダがムスコを舐めまわすように刺激する。

「あ、うう……」

 日坂さんは、甘い吐息をはきながらも、オレを受け止めてくれている。目尻にたまった
涙が色っぽい。

「動きますよ」

 一応許可をとってから、腰を動かしはじめる。やさしく、のオーダー通りにゆっくりと
抜いて、ゆっくりと挿入する。

542: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:34:45.27 30jgff7I


「ふ、ああ……」

 日坂さんから甘い吐息が漏れる。

「ん……気持ちいいっすか?」
「うん……やさしい……。快斗君が行ったりきたりしてる……。快斗君は?」
「めちゃめちゃ気持ちいいっす」
「じゃあ……しばらくこのまま……」

 日坂さんの指がオレの指をからめる。
 至近距離で、本当に恋人くらいにしか許されないような間近で見つめあいながら、ゆっ
くりと腰を動かした。

「んっ……んっ……んっ……」

 吐息がふれる距離で、じれったくなるくらいの注挿を繰り返す。たまに、キスをしなが
ら、うっすらと汗をかいた首筋に唇をはわせながら、日坂さんを味わっていく。
 なにをしても反応してくれる日坂さんがかわいくて、もっともっといじめてしまいたく
なる。
 走行しているうちに、いままでされるがままにになっていた日坂さんが、身じろぎしは
じめる。

「ひ、日坂さん?」
「んっ……んっ、んっ、んっ……」

 オレの抜き差しのタイミングに会わせるように、日坂さんが腰を動かす。

「ゆっくりって言ったのは日坂さんですよ……」
「だ、だって……き、きもいい、んっ、んっ……」

 そういいながらも、腰の動きは止まらない。
 でも、その動きはあまりにもいじらしかった。
 体勢が体勢で、日坂さんは満足に動けない。
 そして、そろろそろ、オレの方も限界だった。

「じゃ……そろそろ、動きますね」
「……うん。おもいっきり……しても、いいよ? んんっ?」

543: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:34:58.74 30jgff7I

「はい……」


「日坂さんっ!」

 息絶え絶えに彼女の名前を叫ぶ。叫びながら、彼女が壊れてしまうのではないかと心配
になるほど―奥まで入れて、抜いて、入れて、抜いてを繰り返す。

「やぁぁぁ! 快斗くんっ! 快斗くんっ! 快斗くんっ!」

 愛しい人に名前を呼ばれ、求められる快感に身をゆだねながら、彼女を思い切り抱きし
める。
 オレは射精感に身をゆだねた。

 頭がソレをする事以外、考えられなくなっていく。柔らかな身体を抱きしめ、身体と身
体をすりつけるように、皮膚の上の、汗のぬめりを交換するかのように。

「い、いくっ! いっちゃうよぉ……」

 
 ただそれだけを繰り返す。
 普段運動していないせいで息苦しい。でも身体は日坂さんを求めて動き続ける。

「日坂さん! いくよっ!?」
「うんっ! いいよっ……きて、快斗くんっ!」
 
 ぎゅうっと、日坂さんがオレの後ろに回していた腕に力を込める。
 そのまま、オレは彼女のもっとも深いところで……性を吐き出した。


544: ◆T.om8vwXYU
11/12/07 08:35:19.90 30jgff7I
以上です。

連投失礼しました。

よろしくお願いいたします。

545:名無しさん@ピンキー
11/12/07 22:22:21.22 iyreINdb
すばらしい!

だが……快斗爆発しろ!

546:名無しさん@ピンキー
11/12/08 03:33:58.33 ltei4fPI
>>530
>>533
しばらくぶりに来たら・・・素晴らしい

547:名無しさん@ピンキー
11/12/09 12:05:25.53 7MYwjAF7
ぐ、グッジョブだ……

548:名無しさん@ピンキー
11/12/10 01:00:45.52 yD1vx6wt
誤字おおすぎ


549:名無しさん@ピンキー
11/12/14 23:46:18.15 Gqsw8BxD
保守は必要なのでしょうか

550:名無しさん@ピンキー
11/12/26 18:15:01.06 CiReKI3+
新刊でてるのに誰もいないよー

551:名無しさん@ピンキー
11/12/27 02:44:28.03 2dmv/Jwx
「コノハ」
 ソファに腰掛けたまま甘えたい心と心葉をからかいたい心。二つの想いを込めた声で、コノハを呼ぶ。
「美羽?どうしたの」
「どうしたいと思う?」
 瞳を見つめて、小首をかしげながら問い返す。
 もし今の自分の姿を鏡で見たら恥ずかしくて、きっと目も向けられない。
 でも、そんなあたしを見て、コノハはその瞳に戸惑いを宿し、その綺麗な頬を朱色に染める。
 そういうコノハを見るのは、好きで好きでたまらない。
「コノハって、正直者ね」
「純粋って言って欲しいな」
「そんな純粋なコノハはもういないんだと思ってた」
「少しは、純粋なところも残ってるよ」
「そうかしら」
 少しだけ思い出して、クスリと笑いが漏れてしまう。
知ってる。でも認めてあげない。
「たぶん、ね」
 見つめ続けるあたしにコノハが自信なさそうに答えた。
 うん。それでこそコノハだ。
 「ねぇ、コノハ。座って」
 自分の隣を指して、コノハに座らせる。
 腰を下ろしたコノハにそっと寄りかかると反対の肩に感じたのは、優しい手のひらだった。
 優しくも力強くあたしを引き寄せるそれに、すっと力が抜けた。
「どうしたの美羽」
「別に。少し疲れただけ」
「そう?」
「うん」
 何も言わないあたしをコノハは抱きしめる。
 コノハの体温。包みこむようなその温もりはとても優しくて心が癒された。
「ねぇコノハ。コノハは、あたしのこと好き?」
 漏れたつぶやきは、コノハにそんな問いかけをしてしまう。
 答えの代わりに帰ってきたのはコノハの手だった。
 あたしの髪を優しく撫でる。
 あの頃では絶対に無かったことような返答。あたしはそれを甘んじて受け入れる。
 でもちょっぴり恥ずかしくて
「あたしのことは、子供扱い?」
 なんて、憎まれ口をきいてしまう。
「愛情表現だよ」
「本当に?」
「うん」
「なら許してあげるわ」
 くすぐったくて、恥ずかしくて、蕩けそうだった。
 目を瞑って精一杯コノハを感じる。温もりも匂いもその鼓動の音も。
 頬がゆるんでしまうのを、どうしようもなく止められない。
 あたしは幸せだ。
「ねぇ、コノハ」
 髪を撫でていたコノハの手を両手で取って、その手を頬で感じる。
「暖かい」
 女の子みたいにさらさらで綺麗なこの手はあたしので、あたしだけを見てくれているコノハが大好きで、ただこうしてるのがよかった。
「ミウ」
 小さく耳元で囁かれて、ぼんやりとしてた意識が少し目覚める。
 呼ばれた方に向かって顔を向けると、その時にはもう間近にコノハの顔が―
「ん……」
 吐息が漏れる。
 唇と唇が触れ合う。
 ただ、お互いのことを確かめ合うかのような軽いキス。
 不意打ちで行われたそれに精一杯応えようとしてもダメだ。
 応えるのに遅れて、自分のペースにも持っていけずにコノハにただされるがままだった。
 もうどうすることも出来ずあたしはそれを受け入れる。

552:名無しさん@ピンキー
11/12/27 02:45:51.76 2dmv/Jwx
 唇が離れると、コノハはあたしを見て、嬉しそうに微笑んでいて。
 その微笑みの理由はすぐ分かった。
 あたしの顔は、きっと紅い。
 言い訳できないくらい、今までよりずっと。
 もう隠せない程に。
「な、何見てるのよ……」
「こういうのもいいかなって」
「ば、バカじゃないの。これは、その、ちょっと驚いただけよ」
 コノハがあたしの頬に指先で触れる。
「……なによ」
 あたしは唇を結んでコノハを見返した。
 そんなあたしにコノハは「なんでもないよ」といって、ただ笑いながらあたしの頬を撫でるだけ。
「なにか、いいなさいよ……」
 こんなの、恥ずかしさに耐えられない。
「かわいいと思うよ」
「あのねぇ―」
 あたしがもう一度口を開こうとすると、今度はコノハの両腕に抱きしめられた。
 声はコノハの胸の中に消えてしまう。
 不満を抱きながらもコノハの抱擁を、あたしは受け入れた。
 おずおずと背中に手を回してコノハの体を掴む。
 さっきと違って、変な隙見せたりなんてしてあげない。
 顔を見られるのは恥ずかしいから絶対このまま離さないけど。
「ホント、バカじゃないの……」
 コノハのくせに。
 コノハのくせに、こんなの……。
「ミウは、こんなふうにされるの、イヤ?」
 その言葉に心臓が跳ねる。
 卑怯。そう卑怯だ
 ここで、そんなふうに問いかけるなんて。
「ミウ。ミウは、僕のこと嫌い?」
 馬鹿、いじわる、最低。
 そんな言葉がいくつも心の奥底から恥ずかしさと共に込み上げてきた。
 いつのまにか、コノハにいいようにされてしまっている。
 それに気づいてもあたしはコノハに逆らえない。
「……嫌い、じゃないわ」
「え?」
 小さなさえずりのような声はコノハには届かない。
 だから―
「す、好きよ、好き……コレで満足?」
 コノハの胸におでこを当てて、答える。
 顔なんて絶対に見てやらない。どうせ楽しそうに笑ってるに決まってる。
 あたしを抱きしめる腕にもっと力が込められる。
 もう一度撫でられた。
「僕も、ミウのこと大好きだよ」
 知ってるわ、そんなこと。
 コノハのことだもの。
 心のなかでつぶやいて、もう一度コノハのことを感じるために目を瞑る。
 落ち着くとあたしだけ、あたふたしているのが馬鹿みたいに思えた。
「ねぇコノハ、もっと抱きしめて」
 思っていたより弱々しい声が出た。
 でも、もういい。
 精一杯あたしを抱きしめて、コノハもあたしを感じたらいい。
 恥ずかしいのが、あたしだけなんて絶対に許せないんだから。
「コノハ、今日は寝るまでずっと一緒だからね」
「うん」 

ミウかわいいよミウ
葵ちゃんもしーこもかわいいけど


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch