ライトノベルキャラで抜こう! 7that EROPARO
ライトノベルキャラで抜こう! 7th - 暇つぶし2ch362:名無しさん@ピンキー
10/12/24 22:33:49 kLscJtKS
上で変態王子のエロパロ書いた者です。
小豆で書きたいのにシチュが少なすぎるぜ……!
喧嘩中にアニマル喫茶に行ってにゃんにゃんか、工事現場の人たちに輪姦されるとかしか思い浮かばない。

363:名無しさん@ピンキー
10/12/29 02:09:25 zw0DXgVL
>>362
前者を激しく希望

364:名無しさん@ピンキー
10/12/31 06:20:23 BwVhX+UH
輪姦!輪姦!

365:名無しさん@ピンキー
11/01/01 01:15:53 vNHgVT3L
小豆:ひっどいぺちゃぱいだよね!
月子:意外にあるね。

というわけで、月子よりもぺちゃぱいだと言われた小豆が
「そんなことないわよ、少なくともあの子よりはあるわよ、なら確かめてみなさいよ」
ってな流れでどうか一つ。

366:名無しさん@ピンキー
11/01/11 10:01:29 Bjt5ZowF
これゾンのエロパロがないことに絶望した!

367:名無しさん@ピンキー
11/01/11 23:07:14 SqpeZ1sa
これすてろ~る・ゾンデ☆ヴ~がなんだって?

368:名無しさん@ピンキー
11/01/11 23:30:32 W/IunS82
>>367
なんだそれ。
と思ってグーグル先生に聞いてみた。

「もしかして: コレステロール・ゾンデ☆ヴ~」

……もしかしてもしなくても、どっちにしろ分からんかった。

369:名無しさん@ピンキー
11/01/11 23:38:26 SqpeZ1sa
その昔、ゾンビnaランデ☆ヴー通称ゾンデ☆ヴというお馬鹿ラノベがあってですね…

370:名無しさん@ピンキー
11/01/22 00:50:22 Dy2ipZza
カンピオーネのエロパロ書きたいんだがシチュとカプが思いつかない
誰か要望ある?

371:名無しさん@ピンキー
11/01/22 01:15:34 BvwFUZlh
ストレートに護堂×エリカで作者リリィで

372:名無しさん@ピンキー
11/01/23 15:06:39 PpNURPOh
俺はリリアナがいい

373:名無しさん@ピンキー
11/01/25 01:42:13 598fG0ht
>>371
どういうこと?
リリィ視点での護堂×エリカってことか?

374:名無しさん@ピンキー
11/01/26 00:43:35 p4WQ5NU6
>>362
2巻でぴったしなシチュが出ましたね。

あのシーンで、もし願いのキャンセルが遅れたらって感じでお願いします。

375:名無しさん@ピンキー
11/01/30 21:15:05 72sORN0C
シュガーダークの漫画版を今更買ってみたが流石にデキが良いな
はしょるところ、付け足すところが無難にまとまっている
主人公のスコップへの拘りがはしょられてたのは残念だが仕方ないよね
ラッキースケベシーンが楽しみでならない
生足エロい

……つか巻末の原作者コメント、あんた卓ゲ者かよ
ダイス目とかファンブルとか

376:名無しさん@ピンキー
11/02/02 23:47:47 FY/IxdsL
保守代わりに会話文のみでエロ無し小ネタ。
銀月のソルトレージュ5巻終了後な感じで


「リュカ、念のために確認しておきたいのだが」
「どうしたんだよ改まって」
「君は同性愛者だとか、不能だとかそういった問題があるわけでは無いのだな?」
「いきなり何を言い出すんだよ君は……」
「以前も言ったように君がそういった事をしたいのならば私は受け入れるつもりだが、同じ家に住むようになってから暫く経つというのにその素振りさえ見せないのであれば心配の一つもしたくなるだろう。それに……」
「それに?」
「アリスともそういった行為はまだしていないようだし」
「だからなんで二人でそういう話をしてんだよ!」
「君は私とアリスの共有財産なのだから当然だろう?」
「あーそいやそーでしたねー」
「どちらを先に選んだとしても私達は気にしないぞ。……それともいっその事二人一緒の方がいいだろうか」
「当事者を無視して話を進めないでくれないか……」


続かない。こーゆー気楽な会話文ならなんぼか思いつくんだけどねー。

377:名無しさん@ピンキー
11/02/04 01:29:41 2ZVgQnNS
NTR系のssとか読みたいな

378:名無しさん@ピンキー
11/02/05 08:59:24 w/3eN2aV
元ネタの作品にもよるな。

379:名無しさん@ピンキー
11/02/09 01:01:36 t0UB5Ptd
シャドウテイカーの雛崎葉とか
偽りのドラグーンのクリスとかの
NTRとか読んでみたい

380:名無しさん@ピンキー
11/02/09 01:11:14 tW/FFor+
シャドウテイカーで考えると黒の彼方に裕生ちゃんを寝取られる展開しか浮かばないがよろしいか

381:名無しさん@ピンキー
11/02/09 01:12:26 56ri5L9+
三上作品でNTRなんて勘弁してください
普通に純愛エロでいいじゃんかよぉぅ

382:名無しさん@ピンキー
11/02/09 01:39:47 t0UB5Ptd
じゃあ渡瀬ヒロインで
時継とかウルクとかフィノとか

383:名無しさん@ピンキー
11/02/09 02:01:23 t0UB5Ptd
弓もいいな

384:名無しさん@ピンキー
11/02/09 02:04:26 0BZQ4t9T
空気読まないNTR厨キモいです
そういうのは淫乱属性持ちのキャラでやれよ
三上とか渡瀬とかいい作品ほど変なのがつく

385:名無しさん@ピンキー
11/02/09 02:39:49 XcrPJZ3V
些細なスレ違いで衝動的に他の男に身を任せて、気づいた時には取り返しの付かないことに。
好きだった男に顔向けできず、そのままズルズルと寝取った男のモノになる。

……淫乱属性持ちじゃなくても、OKじゃん。


386:名無しさん@ピンキー
11/02/09 02:43:00 t0UB5Ptd
偽りのドラグーンのクリスとかアルカミレスの日向子とかいいよね

387:名無しさん@ピンキー
11/02/09 03:10:33 t0UB5Ptd
>>385
その過程で心まで堕ちて最後には自分から腰を振って
快楽に喘いでたりするといいよね

388:名無しさん@ピンキー
11/02/09 14:46:28 chnYlSIj
これはゾンビですか?の京子ちゃんがエロ過ぎる
原作読んだことないけど

389:名無しさん@ピンキー
11/02/10 03:18:30 BImx1dzI
人類は衰退しましたのSSは存在しているのでしょうか?

390:名無しさん@ピンキー
11/02/10 19:04:48 dVjHUSr3
泡禍が存在しない世界の「断章のグリム」で、三角関係ラブコメとか。

391:名無しさん@ピンキー
11/02/10 20:05:39 a+edQAIY
「とある飛空士への恋歌」をテーマに一本書いてみました。
カップリングは、カルエル×クレアです。
時系列的には、五巻の後に続く感じです。
あと、所々に作品のネタバレが入っているので、
ネタバレを気にされる方はスルーしてください。

NGは『cantabile』でお願いします。


392:『cantabile』
11/02/10 20:06:20 a+edQAIY

   †††

 十五歳の時。
僕は―カルエル・アルバスは、空飛ぶ島「イスラ」に乗り込み、途方のない旅に出た。

今生の別れが訪れる最後の最後まで僕の行く末を案じてくれた、母との約束。
行く宛のない僕を拾って面倒を見てくれた、養父との約束。
――「飛空士になる」という約束を叶えるため。
そして、「風の革命」を引き起こし、僕から身分、両親、名前…全てを奪い去った革命の旗印、
ニナ・ヴィエントに復讐するため。
いまだ誰も見たことのない「空の果て」を目指して、動かぬ星を目印に。

僕は、空飛ぶ島「イスラ」に乗り込み、途方のない旅に出た。


393:『cantabile』
11/02/10 20:06:41 a+edQAIY




 そこでは、沢山の人達との出会いがあった。
共に飛空士を目指す同級生。指導して下さる先生達。「イスラ」の航海を指揮する人達。
戦空機乗りとして、また人間として今も目標の一人となっている、異国の飛空士。
様々な人との出会い、そして別れが、僕という人間の在り方を少なからず変えてくれた。

そんな中、僕は一人の女の子と出会った。
彼女の名前は、クレア・クルス。
僕と同じ高校の飛空科に通う生徒で、肩で切りそろえた流れるような黒髪と、吸い込まれそうな野葡萄色の瞳を
持つ彼女に対する一番最初の第一印象は、「変な子だなぁ」だった気がする。
オドオドしてて、俯いていて、いかにも人馴れしていなさそうな、気の弱そうな女の子だった。
でも。
反面、彼女は何に対しても一生懸命で、誰に対しても真摯で、だから誰よりも真っ直ぐだった。
僕はそんな彼女と、飛空士の訓練や、他の仲間を交えた触れ合いを通じて、少なくない時間を共有した。
―出会ったばかりの頃、自転車に二人で乗って、雲の中を走り抜けた。
―訓練中のアクシデントで海に不時着した時、満点の星空を眺めながら互いの色んなことを語り合った。
―そして……。
今でも鮮明に思い出すことの出来る、かけがえのない思い出。
そんな中で、僕は一つ一つクレアの魅力を知り得て。

394:『cantabile』
11/02/10 20:07:15 a+edQAIY


気づいたら、僕は四六時中彼女のことを考えるようになっていた。
僕は彼女に夢中になっていた。
クレアのことを考えるだけで、胸が締め付けられるように痛くなった。
クレアの笑顔を見るだけで、まるで自分のことのように幸せな気持ちになった。
クレアのそばにいるだけで、耳鳴りがするほど動悸が激しくなった。

その時は、彼女の正体も知らないまま。

僕は生まれて初めての感情、恋心をクレアに募らせていった。

でも、彼女は。クレアは。
僕がこの世界で最も憎しみを募らせていた相手でもあった。
知ってしまったのだ。
僕が彼女にもっと近づきたいと、自分の正体―カール王子だったことを明かした時に。
クレア・クルスはニナ・ヴィエントだった。

その時の僕の感情は、とても表現しきれない。
ただ、何もかもがどうでもよくなって、誰とも会わず部屋に篭っていたあの時の僕は、生きていなかった。
死んではいなかったけど、生きてもいなかった。
あのままでいたら、僕は今頃本当に死んでいたかも知れない。

でも、義妹のアリエルや、戦友のイグナシオ、何より、「きっかけ」を遺してくれた母上。
色んな人の支えがあって、僕は変わることが出来た。
ニナ・ヴィエントを…いや、ニナ・ヴィエントを憎んでいた僕自身を、許すことが出来た。
そして、たった一言だけど、それをクレアに伝えることが出来た。
やっと、彼女と向き合うことが出来るようになった矢先に。

395:『cantabile』
11/02/10 20:07:41 a+edQAIY


彼女は連れ去られてしまった。

「イスラ」に何度となく攻撃を仕掛けてきた「空の一族」の持つ教典には「風呼びの少女」、
すなわちクレアの存在の出現を予見する件があったらしい。
風呼びの少女を伴い、自らを繁栄させようという目論見の奴らによって、
「イスラ」の航海の安全と引き換えに、クレアは「空の一族」に連れ去られてしまった。
僕は最初、彼女を連れて何もかもを捨てて二人だけで誰も知らない場所へ逃げることさえ考えた。
でも、クレアは進んでこの取引に応じたのだ。
度重なる戦闘で「イスラ」の戦力は底をつき、要求を断れば全てを蹂躙される。
彼女が、誰よりも人を気に掛けることの出来るクレアが、そんなことを望むはずがなかった。
仕方なかったという言葉は使いたくない。でも、その時の僕にはクレアを守る力はなかったのも確かだった。
だからこそ。

僕はクレアに約束した。
必ず戻ってくると。
どれだけかかるか分からないけど、全てが終わったら。
「空の果て」を見つけて、故郷に帰ることが出来たなら。

「きみを奪い返しに、必ず行くから!!」

僕の言葉に、クレアは満面の笑顔をたたえて、こう言ってくれた。

「待ってる!!」

396:『cantabile』
11/02/10 20:08:01 a+edQAIY




 そして、それから四年後。
僕は―いや、僕達は再び、動かぬ星「不動星エティカ」を指針に旅立った。
今度は「空の果て」を見つける旅じゃない。
ニナ・ヴィエントを。クレア・クルスを。
僕の最愛の人を、奪い返しに行くために。


397:『cantabile』
11/02/10 20:08:22 a+edQAIY



   †††

 第二次イスラ艦隊旗艦「サン・アブリール」。その一室。
水素電池のライトが灯す淡いオレンジ色の光をたたえた部屋で。
カルエル・アルバスとクレア・クルスの二人はベッドに腰掛けて寄り添いながら、話に花を咲かせていた。
「―それにしても、ほんとに良かった…無事にクレアを取り戻せて」
「ふふ、カルったら、さっきから何度も同じこと言ってる」
柔らかな笑みを浮かべながらクレアがからかうような口調で指摘すると、カルエルは顔を赤らめて言葉を返した。
「だってさ! ほんとに心配だったんだよ、クレアのこと。もし交渉が決裂してクレアが人質とか、
危険な目に合わされたらとか、色々考えて―」
「うん。でも、良かったね。戦争にならなくて」

バレステロス、斉の国、ベナレス、そしてレヴァームの連合艦隊がニナ・ヴィエントを取り戻すために
「空の一族」の守る「聖泉」へと集結したのが四ヶ月前。
「イスラ」で航海していた時は壊滅的打撃を受けたが、今回の艦隊はその時を圧倒的に上回る戦力を有し、
更に今回は外務長アリシア・セルバンテス曰く「交渉における分厚い手札と何枚もの切り札」を用意していたらしく、
「空の一族」は分が悪いと分かるや、即時交渉の椅子に着くことを決めたのであった。
それからニナ・ヴィエントの引渡しや、「空の一族」に対する四国間との和平協定、
通商協定などの外交の取り決めに一ヶ月ほど掛かり、全てを成し遂げた第二次イスラ艦隊が
バレステロスに針路を向けたのが、ちょうど昨日のことだった。
ちなみに、今回の航海は「カール・ラ・イール王子とニナ・ヴィエントの運命的な恋愛劇を成就させるため」
という名分もあり、また二人のたっての希望もあり、彼らはこの「サン・アブリール」が出航してから今まで、
この部屋で二人きりで過ごし、今までの四年間を埋めるように、尽きぬ言葉を交わし続けているという訳である。

398:『cantabile』
11/02/10 20:08:44 a+edQAIY


「今回もルイス提督や、アリシア外務長や他の外交役の人達が頑張ったおかげで、ここまでの好条件を
呑ませることが出来たんだよ。僕なんかは肝心な所で役に立てなくって、ちょっと立つ瀬がないって感じ」
「そんなことないよ。だってカルが自分の本当の身分を明かして、みんなに協力をお願いしたから、
『これだけの戦力で望むことが出来た。物理的にも情報的にもね。我々の勝利を不動のものにしたのは
彼の頑張りのおかげさ』って、ルイス提督も仰ってたもの。…それに」
「?」
少しだけ頬を赤らめながら視線をそらして、またカルエルに向き直る。
「カルは私の所に、誰よりも早く駆けつけてくれた、から。その…すごく、嬉しかった、よ?」
「あ、当たり前さ! だって、四年以上も顔を見てなかったんだもの! その、居ても立ってもいられなくて!」
「うん。だから、私はそれだけで充分。…ね?」
「…クレアがそう言ってくれるなら」
気恥ずかしそうに、今度はカルエルがクレアから視線をそらした。クレアはその様子に小さく笑うと、言葉を続ける。
「でも、カルの姿を見た時、驚いちゃった。凄く逞しくなってて、背も伸びて、それに前よりずっと、その…
…かっこよくなってたから」
「あ、ありがとう。クレアもその、昔もそうだったけど、今はもっと…き、綺麗になったよ」
真っ赤になりながらカルエルは同じようにクレアを褒め返すと、クレアはえ、と小さく呟き、
その白く美しい肌を耳まで赤く染めて、
「あ、ありがとう」
カルエルと同じようなイントネーションで、同じようなお礼を述べた。
カルエルの目に映る、クレアの姿。
肩口で切り揃えていた黒髪は腰まで届くまでに伸びて、光が当たるごとに艶やかで落ち着いた光沢を
輝かせている。
四年前はまだ幼さを残していた顔立ちは、ぱっちりとした野葡萄色の瞳はそのままに、大人びたものへと
変わっていた。
綺麗に揃った眉、すっと通った鼻筋、その下にふっくらと実る可憐な唇。
体つきも女性らしい丸みを帯びたものとなり、白のブラウスを押し上げる二つの膨らみ、抱き寄せたらすっぽり
収まってしまいそうなくびれた腰、形の整った下半身、スラっと伸びた脚部。
どれをとっても吸い込まれそうなほど魅力的だった。
レヴァーム皇国のファナ・レヴァーム執政長官も「光芒五里に及ぶ」と称されるほどの美しい女性であるが、
十九歳のクレア・クルスも、彼女に引けと取らないほどの美貌を備えていた。
少なくともカルエルには、そう思えた。

399:『cantabile』
11/02/10 20:09:13 a+edQAIY




 「…クレアと離れ離れになってから、もっと上手に飛べるように必死になって頑張ってきた、つもりだけど」
「うん」
「それでも、まだまだあの人には、全然及ばないんだ」
「あの人?」
「うん、聖泉での戦闘で、敵に襲われてもうダメだと思った時に助けてくれた―」
「ああ、『海猫』さん」
今までの会話の中で、『海猫』の話をしたのはこれが初めてではなかった。また繰り返し同じ話をしている気が
してはいたが、彼の話になると、中々言葉が止まらなくなってしまうカルエルだった。
「そう、僕の憧れの人なんだ。思わず見蕩れちゃうくらい綺麗な操縦で、実際に本人とも話したんだけど、
凄く優しくて、誠実な人で…僕の取り留めのない話も真面目に聞いてくれて…」
「………」

400:『cantabile』
11/02/10 20:10:55 a+edQAIY


クレアが、「空の一族」に連れ去られてから、一年半ほどした後。
「イスラ」のシルクラール湖で『海猫』と偶然会い、話をしたカルエル。
彼から聞いた話は、彼自身のことも、彼の持つ空戦技術のことも。
今では全てがカルエルの力となり、彼の行動指針にも取り込まれていた。
そして、この話はクレアにさえ秘密であるが、カルエルは『海猫』にクレアの話を打ち明けていた。
クレアとの出会いや、彼女への想い、カール王子とニナ・ヴィエントの関係。そして別れ。
全てを聞いて、『海猫』は。
―君は、自分よりクレアのことが大切なんだね。
―だから憎しみを捨てられた。それは素晴らしいことだよ。
と。
言ってくれた。
気休めの同情ではないことは、一目瞭然だった。心の底から共感してくれたのだと分かった。
クレアが去ってから一時も心休まらなかったカルエルだったが、彼との会話はその重くなった心を
幾分かは軽くしてくれたような気がした。
そして今、助けだすことの出来たクレアを前にして、カルエルは思う。
―「聖泉」で助けてくれたことは勿論、彼と出会うことが出来たから、こうしてクレアを取り戻すことが出来た、
と考えるのは行き過ぎだろうか。もしそうだったとしても、彼を目標に追いつき、追い越そうとすることで、
彼が自分にしてくれた心遣いに、少しでも応えたい。例えそれが、独りよがりなものだとしても―

401:『cantabile』
11/02/10 20:11:24 a+edQAIY


「とにかく、僕はあの人みたいな飛空士に―ううん、あの人みたいな大人になりたいと思ってるんだ」
「…すごい人なんだね、『海猫』さんって」
「うん!」
まるで憧れの英雄を夢中で語る子供のようなカルエルに、クレアは母性をくすぐられ、柔らかく微笑む。
同時にクレアに些細な疑問が浮かび、思わずカルエルに訪ねてみた。
「ねぇ、カル。その人って…女の人?」
「え? ううん、男の人だけど…」
「そう、よかった…」
「? どうして?」
「だって、カルがその人のことを話している時って、すごく楽しそうで、目がキラキラしてて…
もしその人が女の人だったら、カルのことを取られちゃうかも知れないって思ったら、恐くなっちゃって」
「そんな! そんなことはないよ! だって、僕は、その、クレアのことしか、考えられないから…」
「カル…」
「クレア…んっ」

402:『cantabile』
11/02/10 20:12:10 a+edQAIY




 気づけば、クレアの唇がカルエルのそれと重なっていた。
音も立たないような、静かな、添えるような口づけ。
数秒もしないうちに、クレアの方から顔を離し、瞼を開ける。
カルエルの瞳に、クレアの切なそうな表情が映る。
「カル…私、私は…カルのことが好き…」
「クレア…」
「一人じゃ何も出来なかった私に、あなたは声を掛けてくれた。
私の持っていないものを沢山持っていたあなたは、私に色んなものを与えてくれた」
仲間。思い出。そして―この想い。
カルエルにとって大切なもの。それは同時にクレアにとっても大切なもの。
「あなたの全てを奪った私なのに、あなたは私に『生きろ』と、そう言ってくれた」
王族という地位を。最愛の母親を。カール・ラ・イールの名前すらも革命によって奪い去った。
殺されても仕方ないとさえ思っていたクレア。自分のことを忘れて欲しいとすら思った。
でも、カルエルは許した。ニナ・ヴィエントを。彼自身を。憎しみを。
クレアが誰よりも大切な、自分よりも大切な人だから。
「私を奪い返しに来るって言ってくれた時、別れの後、涙が止まらなかった。嬉しくて嬉しくて、
いつまでも涙が止まらなかった」
でもカルエルは覚えている。自分の言葉に、笑顔で「待ってる」と言ってくれたことを。
「あなたは、私の全てを変えてくれた。でも、私はあなたに、何もしてあげられなかった」
そんなことはない。カルエルは思う。
彼女と過ごした「イスラ」での日々は、今も宝石のように輝いて、自分の中に眠っている。
「だから、私は…私の全てをあなたにあげたい」
クレアは、カルエルから視線を離さず、真っ直ぐに見つめる。
カルエルも顔を赤らめながら、目尻に涙をたたえた野葡萄色の瞳を見据えている。
「私の想い。私の身体。私の心。私の全てを」
クレアの瞳から零れた水が、涙となって頬を伝っていく。
「カル」
クレアは、精一杯の勇気を振り絞って、目の前の愛しい青年に告げた。

「私を…あなたのものに、してください」

403:『cantabile』
11/02/10 20:12:46 a+edQAIY




 「ん…ふ、ぅん…」
ベッドに腰掛けたまま、カルエルとクレアは口づけを交わす。
互いの唇を軽く擦り付けるようにして、相手の感触を確かめていく。
「…んっ、ぁ…ふ…はぁ…」
(クレア…クレアっ…)
唇を交わす度に、カルエルの中に点った火が激しく燃え上がる。
抱きしめたクレアの柔らかな身体。唇の感触。顔をくすぐる彼女の吐息。爽やかな髪の匂い。
その全てが、カルエルを狂わせていく。
「…ふぁっ、んっ、ちゅっ、はぁっ、ちゅ」
次第に擦り合わせるだけのキスから、互いの唇を吸い合うものに、そして舌を絡めたものに。
二人の気持ちが高ぶるのに合わせて、口づけは激しくなっていく。
「…はぁっ、はぁっ、んっ、ちゅば、カルっ、は、んちゅ、カルっ」
「…ちゅっ、ん、クレア…ふ、んっ…クレア…」
互いの名前を呼び合いながら。
二人は互いを求めていく。
「ちゅぶ、んっ、ふぁ、ん…ちゅっ、ちゅば、はっ…んっ、あっ」
クレアの頭の中を、電気が走ったかのような刺激が起こる。
カルエルが、クレアの胸のふくらみを、下からすくい上げるように触っていた。
「…んっ、やぁ、あ、カル、そこは…んっ」
「クレア…嫌だった?」
「う、ううん…嫌じゃない…んあっ、カルの手が…んんっ、私のを、触ってる…はっ、んあっ」
カルエルが自分に触れている。
その事実が、クレアに与える快感をより強く、より激しいものにしていく。
「…あ、んっ、ふぁ、ん! はぁ、ふぅ、ん…」
服越しにクレアの柔肉を愛撫していくカルエル。
そうしているうちに、クレアの快感に震える声をもっと聴きたい、

404:『cantabile』
11/02/10 20:13:07 a+edQAIY

もっとクレアと触れ合いたいという気持ちから、彼女に告げた。
「クレア、服、脱がすよ」
「…うん」
返事を待ってから、一つ一つブラウスのボタンを外して、紺のロングスカートに手をかけると、
ゆっくりとそれを脱がせていく。
脱がせている間、恥ずかしさからかクレアはぎゅっと目をつぶっていた。
そんな姿も可愛らしく、カルエルはその様子にも心を踊らせた。
やがて、ブラウスとスカートを取り払われ、下着姿のクレアがあらわになった。
カルエルが再びクレアを抱き寄せようと両手を開くが、クレアに制止される。
「…待って」
するとクレアは、震える手でブラとショーツを脱ぎ、今まで座っていたベッドにゆっくり仰向けになった。
「クレア……すごく綺麗だ」
クレアの裸体はまるで、計算されて創られたかのような、芸術的な美しさだった。
自分が彼女を抱くことで、それを壊してしまうのではないか、そう考えてしまうほどに。
「ありがとう…でも、カル…そんなに見つめないで…」
「ご、ごめん!」
カルエルの視線に耐え切れなくなり、思わずそんなことを漏らしてしまうクレア。
「カルも…服、脱いでほしいな…」
「うん、わかった」
言われるままにカルエルも服を脱ぎ、クレアの上に覆いかぶさる。
「そ、それじゃ…触るね」
「うん…いいよ」
カルエルはクレアの身体に密着すると、両手でクレアの乳房をゆっくり、乱暴にならないように
円を描くようにして揉みあげていく。
「んんっ、はぁ、あっ、んっ、ふぁ」
「クレアの胸…すごく柔らかい」
触れると吸いつくように瑞々しくて、軽く力を入れるとゼリーのように形を変え、力を抜くとふるんっと
元の形に戻る、クレアの乳房。
服の上からさわった感触とは全く違うそれに、カルエルは夢中になっていく。
片方の胸に顔を寄せると、白く美しい肌に舌を這わせ、ピンク色の頂きに唇で吸い付いた。
「…あぁっ、んあっ、…んっ、んんっ! カル…あっ、赤ちゃんみたい…は、あんっ」
与えられる快感に震えながらも、夢中になって乳房にしゃぶり付くカルエルの髪を、
クレアは優しく手で梳いていく。
彼に対する愛しさがどんどんと込み上げてくる。

405:『cantabile』
11/02/10 20:13:33 a+edQAIY


―いつか私も、こうやってこどもに自分のおっぱいを与える日が来るんだろうか。
―カルと私のこども。何人でも欲しい。
―それで家族みんなで仲良く暮らせたら、どれだけ幸せだろう。
―そうなれれば、っ、!?

今までより一段強い刺激に、クレアは意識を戻された。
いつの間にかカルエルがクレアの下半身まで移動して、彼女の秘処に舌を這わせていた。
「あんっ、ふ、ああっ、だめ、カルっ、んあっ、そんな、ところ、きたないっ、から、あっ!」
「大丈夫だよ、クレアにきたない所なんてどこにもない。ここだって」
「でもっ、あっ、んやっ、ふああ、そんな、んっああ!」
カルエルの舌が触れる度に、快感が秘処から頭へと一直線に駆け上がってくる。
身体が弛緩して、力が入らない。
やがて、体中が麻痺したかのような感覚と共に、身体がふわふわと浮き上がりそうな感覚も覚え始める。
「はぁ、はぁ、っ、クレア、もっと、気持ちよくなって…」
「ふああっ、んあっ、や、ああ! だめ、んっ、こん、な、は、あんっ!」
どれくらいそうされただろうか。
クレアは幾度となくやってくる刺激に晒されて、ついに。
「んあっ、な、なに、あっ! これ、ふあっ、なにか、なにかきちゃう、はあっ、んあっ」
「いやっ、カル、んああっ、こわい、カルっ、ああっ、んっ、ふあああっ!」
体中を痙攣させて、クレアはついに達してしまった。

406:『cantabile』
11/02/10 20:13:54 a+edQAIY




 「…うっ、ひっ、うう…」
「…ごめん、クレア」
カルエルは後悔していた。
自分の愛撫で彼女が敏感に反応してくれることが嬉しくて、つい歯止めが効かなくなってしまったからだ。
クレアの身体に夢中になって、彼女が恐がっているのを気づいてやれなかった。
女性の「達する」とは、カルエルには理解し得ないものではあったが、純真な彼女のことだ、
きっと今まで、自分を慰めるという行為すら知らなかったであろう。
恐らく、こんな生理現象は初めての経験だったに違いない。
そして、彼女を泣かせてしまった。
「ほんとにごめん。もう絶対、こんな勝手なことはしないから」
「…ひっく、ううん、違うの…」
「え?」
「その…さっきみたいなの、初めてだったから。ちょっとびっくりしちゃっただけ、だから」
「でも…」
「カル、心配してくれてありがとう。でも、もうほんとに大丈夫」
クレアは芯の強い女性だ。その彼女がそう言うのだから、ほんとに大丈夫…なんだろう。
そう考えを纏めると、念を押すかのようにクレアに言った。
「…そっか。でも、嫌なことだったら言ってね。僕はクレアに嫌な思いなんて、絶対させたくないから」
「うん、ありがとう」
いつも見せる穏やかな笑顔をカルエルに向けると、カルエルもようやく心配そうな表情を崩した。
一瞬の沈黙の後。
「クレア…その、いいかな」
「うん…きて」
軽く口づけを交わすと、カルエルは再び彼女に覆いかぶさった。

407:『cantabile』
11/02/10 20:14:15 a+edQAIY


「クレアって、こういうこと、初めてだよね」
「う、うん」
「女の人の初めてって痛いって聞くから、なるべくゆっくりやるつもりだけど、クレアも出来るだけ、力抜いてね」
「うん」
「本当に痛かったら、我慢しないで言ってね」
「カル、お願い」
「? なに?」
「ぎゅって、抱きしめて」
「ん、わかった」
言われたとおり、カルエルはクレアの華奢な身体を抱きしめた。すぐにクレアもカルエルを抱きしめ返してきた。
カルエルは自身に手を添えて、クレアの入り口に先端を当てると、ゆっくりと先へ進んでいく。
「…ひ、うぐっ、んっ…くうっ…」
クレアの苦しそうな声が聞こえてくる。
「クレア、大丈夫?」
「…うん、平気。もっと力を入れてもいいよ…、っ」
「わかった」
それから時間をかけて、少しずつクレアの中に入っていった。そして。
「クレア。多分、最後の壁まで来たと思う」
「…はぁ、はぁ、う、うん…」
長時間、少しずつ痛みを感じてきたクレアは息も絶え絶え、見るからに疲労していた。
「それじゃ、クレア、行くよ…!」
「うん、きて、カル」
クレアの言葉を聞いて、カルエルは今まで少しずつ進めていた腰に力を入れて、一気にクレアの膜を貫いた。

408:『cantabile』
11/02/10 20:15:14 a+edQAIY


プツッ

「くああっ! ひ、うぐっ…はぁ、はぁ…」
カルエルとクレアの繋がった場所から、一筋の血が流れ、シーツに模様を作った。
二人は荒い息を吐きながら、抱き合っていた身体を離し、お互いの顔を見つめた。
「クレア、繋がったよ。僕達…」
「…うんっ、私達、やっと一つになれたんだねっ…」
二人が離れ離れになってから実に四年半近く。
ずっと、夢見てた瞬間だった。
「クレア、まだ痛むだろうから、それが引くまで、こうしてようと思うけど―」
「ううん、大丈夫、カルの好きなようにして、いいよ」
「で、でも」
「…私ね、今感じてるこの痛みも、大切なものだと思ってる。だって、あなたを、私の初めての人として
受け入れることができた証だから」
「クレア…」
痛みは今も続いているはずなのに、クレアは笑顔を崩すことなく、カルエルに語り掛ける。
「痛いのがいいって言うわけじゃなくて、でも、それがあなたから与えられるものだったら、それは
私にとって、とてもかけがえのないものなんだって、そう思う」
その言葉ひとつひとつから、クレアのカルエルに対する健気な気持ちが、伝わってくる。
それを受けて、カルエルは。
「…わかった。それじゃ、動くね」
「うん」
「でも、なるべくクレアが痛みを感じないようにするから。やっぱり、好きな女の子が痛い思いをするなんて、
僕には受け入れられない」
「うん。…きて、カル」
一番奥まで突き入れた自分自身を、ゆっくりと前後に動かし始めた。

409:『cantabile』
11/02/10 20:15:44 a+edQAIY




 「…あっ、んあっ、ふ、ああっ、はあ、ん、あんっ!」
カルエルが動き始めて、少し経った頃。
クレアの声も、表情にも、甘いものが混じり始めていた。
「クレア、痛く、ないの?」
「うんっ、あんっ、ふあっ! ほんとに、んあぁ! きもち、いいっ、んっああぁ!」
二人の結合部から、止めどなく透明な液体が溢れ出てくる。
カルエルが腰を動かすたびに、ぐちょぐちょといやらしい音と、ギシギシとベッドが軋む音が部屋中に響いた。
「んあっ、あっ、んはぁ! あっ、あっ、ふああぁ!」

―クレアがだらしなく開けた口元から涎を垂らし、視線もどこか宙を泳いでいる。
違う角度で彼女の中を突くと、一段高い声を上げて自分の腕の中で艶めかしく躰が踊る。
普段は大人しくて、清楚なクレアが快感に煽られ、女の表情を見せている。この僕だけに―

そう思うと、カルエルは知らず知らずに独占欲と支配欲を刺激され、己の怒張をさらに膨らませる。
その変化にも敏感にクレアは反応した。
さらに、カルエルは色んな角度で腰を動かし、クレアの喜ぶ場所を探していった。

410:『cantabile』
11/02/10 20:16:08 a+edQAIY


「んああぁ! そこ、いいっ、カルっ、きもち、いいよぉ、あ、はぁ!」
「クレア、ここ? ここがいいの?」
「うんっ、うんっ、そこいいっ、ふああっ、んっ、すごいぃ!」
やがて、クレアの弱点を見つけたカルエルはそこを集中的に攻め始めた。
感極まって、一突きされる度に達してしまいそうなクレアは堪らず、カルエルの身体を引き寄せ、唇を奪った。
「…んんっ、ちゅっ、んあっ! は、ぅむっ、ちゅぶぶ、カルっ、すきっ、あっ、すきぃ、ふああっ!」
「はぁ、はぁ、クレアっ、んっ、僕も、好きだ、クレアっ、ちゅ、好きだっ」
愛の言葉を紡ぎ合いながら、二人は行為に没頭していく。
互いの身体を強く抱き寄せ、片手は指を絡ませながら繋いで、上と下の粘膜を重ね合わせながら、
二人は一つになっていく。
何もかもが融け合って、自分と相手の境界が分からなくなっていく。

「クレアっ、僕、もう…」
「あんっ! ふあっ、カルっ、きて、このままっ、んあっ、いっしょに、ひあぁっ!」
カルエルのストロークがどんどん早くなっていく。
体中を密着させて、クレアの中をかき混ぜていく。
クレアの言葉を受けたカルエルは、彼女と一緒に果てることしか考えることが出来なくなった。
そして。
「…うっ、くっ! クレア!」
「んあぁっ、もう、だめっ、ふあぁ! カルっ、あっ、ああぁ! んっ、あああああああっ!」
カルエルは自身をクレアの一番奥に突き入れて。
クレアは脚をカルエルの腰に絡ませて。
二人は一緒に、果てた。

411:『cantabile』
11/02/10 20:16:38 a+edQAIY




 どれくらいまどろんでいたのか。
クレアは意識を取り戻すと、ゆっくりと瞼を開いた。
「おはよう、クレア」
すると、すぐ隣からカルエルが声を掛けた。
「カル…うん、おはよう」
クレアも返事を返しながら、体ごとカルエルの方に向き直る。と、
カルエルは全裸だった。そして、自分も。
「――っ!!」
そのことに気づいた途端、先程までの睦事をはっきりと思い出したのか、クレアは体中を真っ赤に染めて
頭からシーツを被り、ベッドの中に潜ってしまった。
「~~~~~っ」
「クレア、どうしたの?」
カルエルが不思議そうな顔で、シーツの上部を少し捲ると、クレアが鼻先より上を覗かせて、
目線だけをカルエルに向けた。
「カ、カル…私達」
「ん?」
天然なのかワザとなのか、カルエルはクレアが恥ずかしがる様子に、頭の上に疑問符を浮かべるばかりだった。
「その…さっきの」
「あぁ、エッチしたこ―」
「こ、言葉に出して言わないでっ!」
カルエルの言葉を遮ると、自分の胸が見えないように、クレアはシーツから顔を出した。
「その、カルは…私のこと、軽蔑してない?」
「え? なんで?」
「だって、私、あんなに乱れて、大きな声も出しちゃって…はしたない女だと思うでしょう?」
「全然?」
クレアの質問に、なぜそんなことを聞くのかと言いたげな表情でカルエルは返す。
「ほ、本当?」
「うん。むしろ、すごく可愛かった」
「~~~っ! カル、からかわないでっ」
「からかってなんかないよ。ホントのことだもの」
「…カル、何か余裕が出来たみたいでちょっと、くやしい…」
「そうかな、自分ではよく分からないけど」
そんなカルエルの様子を見ながら、クレアの頭の中に一つの不安がよぎる。

412:『cantabile』
11/02/10 20:17:01 a+edQAIY


―英雄色を好むと言うけれど。王族もその範疇に含まれるのだろうか。
女性を手玉に取るカルエル。自分だけではなく、他の女性とも―

クレアはすぐさま首を振って、おかしな考えを振り払った。

―カルエルは自分を取り戻すために、今まで全力を尽くしてくれた。
彼は私を選んでくれたのだ。そのことにもっと、自身を持たなくては―

「そうだ、クレア」
唐突に声をかけられて、クレアの意識はカルエルへの向けられた。
「なに? カル」
「実は、受け取って欲しいものがあるんだ」
「?」
心なしか、先程までの余裕のあるカルエルとは打って変わって、身体が固く、緊張しているように見える。
カルエルは一回大きく深呼吸すると、覚悟を決めたように小さく頷いて、ベッドに付いている小さな引き出しから、
こぶし大の真っ白な立方体型のケースを取り出して、クレアの前に差し出した。
そして、脇についているボタンを押すと、ケースが真ん中から横開きに開いた。
そこには―

413:『cantabile』
11/02/10 20:19:39 a+edQAIY


「カル、これ…」
「うん、空軍のお給金で買ったんだ。新米だからまだ実入りも少なくて、大した物は買えなかったんだけど…」
そこには、よどみのない銀色をたたえた飾り気のない指輪が、ライトの光を受けて、まばゆく輝いていた。
「僕はまだ飛空士としては未熟で、男としてもまだまだ足りないものがいっぱいあると思う。
君に苦労をかけたり、辛い思いをさせてしまうこともあるかも知れない。でも、そうさせないために
僕は今以上にがんばる。飛空士としての腕も磨いて、人間としてももっと成長して、
いつかは養父さんや『海猫』さん以上の男になってみせる。絶対に君を幸せにしてみせる! だから」
練習してきた言葉とはちがうものが、クレアへの想いが、自然と口から流れ出てくる。

―自分の言葉に嘘は一つもない。クレアと約束して。必ず奪い返すと約束して。それを成し遂げたように。
いつか絶対、成し遂げてみせる。そして、もう二度と君を手放したりなんかしない。だから―

「クレア。僕と、結婚してほしい」

「…っ、…カルっ…」
クレアの瞳から、涙が一筋、二筋、いや、どんどんと溢れ出てくる。
「…うんっ…うんっ…!」
出てくる嗚咽を止められない。カルエルに対する感情を、止められない。
「私、もっ…ひっくっ…あなたが…あなたにっ…ひぐっ…」
伝えたいことが中々言葉に出てこない。カルエルは真剣な表情で返事を待っていた。
クレアはゆっくりと深呼吸をして、気持ちを何とか落ち着かせてから、再び口を開いた。
「私も、あなたとずっと一緒にいたい。十年経っても、二十年経っても、…おばあちゃんになっても、
あなたとずっと同じ道を歩いて、同じ空を飛んでいたい。いつも賑やかで、笑顔が耐えなくて、どんな
辛いことでもみんなで乗り切っていける、そんな家族を、カルと一緒に作りたい。だから」

―いつまでもあなたへ、私の歌を…恋の歌を、あなたへ歌い続けたい。だから―

「カル。私と、結婚してください」


414:『cantabile』
11/02/10 20:20:09 a+edQAIY



   †††

 四ヶ月後。
バレステロスへと戻った私達は、沢山の人達に祝福されながら、結婚式を挙げた。
ウェディングドレスを着た私を見て、カルは、綺麗だと目を輝かせながら褒めてくれた。
教会で誓いを立て、リングを交換して、誓いの口づけを交わした。
そして、私達は『家族』になった。
そう。
私の中には、もう、新しい命が宿っている。
カルと初めてを共にした夜。
その時私は、彼の子供を授かっていた。
最初その事実を知った時、私もカルもとても驚いたけど、すぐに抱きしめ合って喜びをかみしめた。

415:『cantabile』
11/02/10 20:20:32 a+edQAIY




―カル。

あなたがいたから、私は生きる喜びを感じることが出来た。

あなたがいたから、私は恋という、素敵な感情を知ることが出来た。

あなたがいたから、新しい命を授かることが出来た。

そして今、あなたが側にいるから、私はこの先も歩いていける。

今まで本当にありがとう。

そしてこれからもよろしくお願いします。

私は。

クレア・アルバスは。

心から、あなたのことを。

カルエル・アルバスのことを、愛しています―

                               Fin

416:名無しさん@ピンキー
11/02/10 20:21:27 a+edQAIY
これで終わりです。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

417:名無しさん@ピンキー
11/02/19 21:35:43.94 aqmAp7KL
GJ!いい話だったよー

418:名無しさん@ピンキー
11/02/20 15:14:49.35 hcdrkRDD
今更だけど>>213の砂糖味の闇夜に萌えたわ、GJ!

ところでドラゴンクライシスのスレってない?
アニメ見て興味持ったんだけど、立ってないのかな

419:名無しさん@ピンキー
11/02/27 13:07:50.30 dTQJZq7I
ステルス解除、浮上!

420:名無しさん@ピンキー
11/02/28 22:40:16.23 MgvIE1Mw
ここで相談することじゃないんだろうけど、
現代魔法スレって落ちた?

421:名無しさん@ピンキー
11/03/01 00:17:37.50 8xH4/wNw
>>416
こんなところでこんな良作に会えるとは。
えちシーンもよかったけどそれ以上に始まる前の会話に萌えまくった。
GJ

422:名無しさん@ピンキー
11/03/07 23:18:51.73 5jSjWMuI
ほしゅ。

423:名無しさん@ピンキー
11/03/10 10:05:30.59 FakjV3HL
変態王子の横寺が筒隠妹と鋼鉄の王を姉妹丼で食するのは難しいか、、、

424:名無しさん@ピンキー
11/03/11 15:47:29.91 X59mBc5e
地震速報

425:416
11/03/16 18:32:21.33 HXeZt7i4
>>392-416の作者です。
保管庫への保管をしてくださった方、ありがとうございました。
ひとつだけお願いしたいことがあるのですが、
SSのページの頭に、「とある飛空士への恋歌」のネタバレが入ってる旨を
乗せて頂きたいと思います。
もしこのレスに気が付きましたら、よろしくお願いします。

426:「繭墨はホワイトチョコレートを飲む」
11/03/24 02:26:35.59 65Lv+hwx
ファミ通文庫のB.A.D.繭墨は今日もチョコレートを食べる~以下のシリーズで書かせて頂きました。
四巻終了後の適当な時期を想定しています。

427:「繭墨はホワイトチョコレートを飲む」
11/03/24 02:27:37.15 65Lv+hwx
「着替えを手伝ってくれないかい」
 繭墨が唐突に言い出した言葉は正気を疑うものだった。
「嫌です」
「君は薄情だね。ボクが困っているのに助けてくれないのかい」
「今まで一人で着替えていたじゃないですか。何で今更助けないといけないんですか」
 いつものややこしいゴシックロリータの服が実際にどういう構造をしているのか僕は知らない。
 繭墨はそれをいつも一人で着替えている。少なくともここにいるようになって、僕が知る限りずっと。
 それなのに今になってそんなことを言い出すのは当然ろくでもない理由に違いないのだった。
「ボクも体型が少し変化してきてね。最近一人で着ようとすると服を破いてしまいそうになるんだよ」
「チョコレートばかり食べているから太ったんでしょう。これを機に節制に努めて下さい」
「君は女性に対してとてつもなく失礼なことを言うね。増加したのは腰回りではなく胸囲だよ」
 当たり前のことであるはずなのに、それはひどく現実味の薄い回答だった。
 ふつうの女性に対する礼儀など気にするまでもないと一笑に付せば良かったのに、そのことの意味を考え込んでしまった。
 繭墨は少女だ。
 十四歳の。
 本当に聞いたとおりの年齢であるのなら、第二次性徴がきても当然おかしくない。来ていないとそろそろおかしい。
 でも普通の人間ならば普通のことであるはずのその事実は、繭墨の場合はひどく異常なことのように思えた。
 出会ったときの繭墨は少女で、これからもずっと少女でいるように錯覚していた。
 飾りの多いゴシックロリータは体型を隠すには優れているが、繭墨の身体にはさしたる起伏があるようにも見えなかった。
 なぜか、ずっとそのままであるように思っていた。
 その思いこみを、あっさりと粉々に破壊された。
「君は今かなり失礼なことを考えているだろう」
「いえそういうわけでは」
 我ながら説得力の皆無な返答だった。
「そんなわけだから小田桐君、手伝ってくれるね」
 後ろめたい返答をした心の隙をすかさず突いた問いかけに、僕は思わず頷いてしまっていた。
 悪魔だ。

 そこで、目の前を唐傘が舞ったような気がした。

 唾を飲み込む音が頭蓋に反響した。
 目の前の光景は退廃的で美しく、いつぞやの夢のように現実感が欠落していた。
 白が黒に映えていた。
 普段全身を黒衣に覆っているためか、繭墨の肌は抜けるように白かった。
 服の下から現れた肩から腕にかけての線はか細く、普段唐傘を自在に操ることが奇跡にように思えた。
 人間の肌というよりは、良くできた白磁を見ているようで、落としたら簡単に壊れそうだった。
 その儚さに、目を背けることができなくなる。
 細い体の線を視線がなぞる。
 自分の意志とは無関係に視線が泳ぐ。
 凝視せずにはいられない。
 繭墨の胸は、少女の膨らみをかすかに匂わせていた。
 これで服が着づらくなるなんて絶対嘘だとわかるほどに淡く、だが確かに。
 血の気のないその膨らみの先だけが、血を吸った桜のように紅かった。
 視線を釘付けにしたその果実がゆらりゆらりと動く。
 揺れるほどの膨らみではないから、繭墨が自分で動いていることはわかるのだけど、他のことが目に入らない。
 ただ耳だけは、これ見よがしな衣擦れの音を捉えていた。
 気がつけば、スカートも下着も靴下も脱ぎ捨てた裸身が目の前にあった。
 胸だけでなく、腕や腿も大人の成熟からはほど遠い細身は、青い果実どころか白い果実というべきだろう。
 だがそれ故に、怪しいまでに、危ういまでに美しかった。
 傷一つ、シミ一つとてない身体は、何かに傷つけられるということが一度でもあったのだろうか。
 以前渡された、ガラス球に入った血は、どこから流れたものなのだろう。
 あらゆる怪異をはね除けるその身体は、物理的な衝撃にはひどく脆いはずなのに。
 その完璧な身体に、二つだけ裂け目があった。
 その一つ、なだらかな腹部の上にある臍は、繭墨が母胎から生まれた人間であるということを申し訳程度に主張していた。
 説得力はまるでない。
 生まれたときから繭墨あざかだったという少女に、母親の乳を吸っていた時代があったということすら信じられない。
 果たして本当に母胎と繋がっていた痕なのかということすら疑わしい。
 そして、もう一つ、臍から下腹部を下った真下、身体の中心に、生々しい裂け目があった。
 繭墨の身体の奥深くへと通じているはずの、折り込まれたような、色の無い唇のようなそれは、血を流していない傷に見えた。
「傷と言えなくもないね。ここから流れた血で君を助けたこともあるんだから」

428:「繭墨はホワイトチョコレートを飲む」
11/03/24 02:28:33.33 65Lv+hwx
 魅入られたように跪き、傷口に手を伸ばそうとしていた僕の心の中など完全に読みきって、面白そうな声が降ってきた。
 見下ろしているのか、見下しているのかわからない視線は、あざ笑うように歪んだ唇と相まって、凄絶な笑顔を形作っていた。
 ただ、咎める色がまったく無い。
「ここ……から」
 あのガラス球の中にあった血は、ここから流れ落ちたものだということか。
 その意味がわからないわけもなかった。
 いくつも作るわけにはいかないというのは、月に一度しか作れないからに他ならない。「どうしたんだい?」
 愉快そうな声は、飼い犬の躾をしているかのように優しかった。
「触りたいんじゃないのかい」
 おあずけをくっていた犬が主人の命令で動き出すときの快感とはこういうものなのだろう。
「は……い……」
 震える手を伸ばし、少女の傷口にそっと触れる。
 余分な体毛など一筋たりともなく、精緻な白磁そのもののような造形は、触ってみると不思議なくらいに柔らかい肉でできていた。
 繭墨の身体が、生きた人間の身体であることを、不意に理解した。
 生きた人間の、女の身体であることを。
 傷口の両側に指を当て、そっと広げると、今にも血が吹き出しそうなくらいに紅い入り口が覗いた。
 今なお不可侵であることを示す襞で狭められたそこは、繭墨の玲瓏な肌表とは正反対の、生々しい花弁のような美しさを漂わせていた。
 いつも繭墨が身に纏っているチョコレートの香りとは明らかに異なる、鈍く甘い匂いがした。
 その重い匂いは、吸い込んだ脳髄の芯から脊髄を貫いて下半身まで痺れるような甘さで染みわたってくる。
 どくり、と鼓動が心臓から下半身の一点に血液を送り込むとともに、腹の中で雨香が楽しそうに蠢いた。
 暗い情念を食って、喜んでいる。
 誰の情念か、考えるまでもない。この場には僕と繭墨しかいないのだ。
 他ならぬ、宿主であるこの僕が、雨香が大喜びするほどの、暗い情念に侵されていた。
 何をすべきか、何をしようとしているのか、今更のように自覚する。
「ここまで背中を押さないと駄目とは、君のトラウマもなかなか深刻だが、ようやくその気になったかい。それじゃあ始めたまえ」
 その言葉は、文字通り背中を押すようなものだった。
 半ば無意識のうちに立ち上がると、にこやかに微笑む繭墨の顔が間近にあった。
 身長の高い僕を見上げているはずなのに、紅い綱玉のように透き通る瞳は、僕を馬鹿にするように見下ろす気配でいっぱいだった。
 息がかかるほどの至近距離で、ここまでまじまじと繭墨の顔を眺めたことは初めてだった。
 わかっていたことだが、あまりにも、余りにも、人間の域から余るほどに、美しい。
 鮮やかな睫毛に彩られた紅い視線だけで人の心を蕩かすには十分すぎて、普段は血の気の薄い唇は誘うような唾液に紅く濡れていて。
 壮麗すぎる容貌に魅入られて、その引力にあらがえずに顔が近づいていく。
 キス同然の距離になっても、繭墨は瞼を閉ざすことなく、僕の顔を、もしかしたら脳を見据えていた。
 近すぎてピントが合わなくなった視界で、繭墨の左右の瞳がブレて、一つの瞳のように立体視される。
 瞳の迷宮に閉じ込められ、世界から隔絶されたような気配を覚えた瞬間、最後の躊躇いが霧散した。
 その紅い唇を食らうように唇を押し当てながら、たやすく折れそうなほどに細い両肩に手を掛けて、繭墨の身体を背後のソファに荒々しく押し倒した。
 肘置きに膝の裏を救われた格好になった繭墨は、ほとんど開いたことが無いはずの両足を合わせきれず、両膝の間に割り込んだ僕の身体を止められなかった。
「か……はっ」
 背中をしたたかに打った繭墨の口から珍しく漏れた苦悶の吐息を、余すところ無く吸い尽くす。
 繭墨の身体の中を巡ってきた大気が、僕の肺から全身を浸していく。
 チョコレートまみれの身体を巡ってきたというのに、その大気は菓子の甘さではなく、花のように甘かった。
 食欲にも似た本能的な衝動に駆られて、唇を貪り、間に舌をねじ入れて、ねぶるように味わった。
 そうしていると、押し込んだ舌に大量の液体が乗せられるように流し込まれ、僕は反射的にそれを飲み込んでいた。
「!?」
 飲み込んでから、考えるまでもなく、それが繭墨の唾液だったと知る。
 繭墨の血は神の血にも近しいと言われていたが、その唾液もれっきとした彼女の体液だ。
 そんなものを嚥下してしまったという事実がどれほど恐ろしいことか、今の僕ならわかっているはずなのに、そのことを考える頭が麻痺して、喉の渇きのようなものに駆られてきた。
 もっと欲しい。
 もっと味わいたい。
 もっと貪りたい。


429:「繭墨はホワイトチョコレートを飲む」
11/03/24 02:29:44.74 65Lv+hwx
 唇から唇を離すと、顔といわず身体と言わず舐め始めた。
 汗をかく機能がほとんど無いと言っていた通り、塩気はほとんど感じられなかった。
 その代わりに、生々しい素肌の感触を舌先で余すことなく味わうことができた。
 首筋から肩にかけての線を、舌でなぞるように舐めても、傷一つ無い肌は滑らかで、すべらかで、もっともっと先へと味わいたくなってくる。
 左肩の丸みをこえて細い二の腕にたどり着くと、肌の下にある肉が堪能できる。
 舌で軽く押すと弾むような感触があり、その細さも、中に骨が入っていることが信じられないほどに柔らかい。
 不思議なほどに繭墨は抵抗一つせずに大人しくされるがままになっていた。
 腕の内側に舌を這わし、右手で左手首を掴んで上にあげさせ、腋の下へと鼻先を押しつける。
 そこだけはわずかに汗をかく機能があるらしく、かすかな塩味が舌をとろかす。
 最上の舌触りに、上品な味付けがされた天上の料理となっていた。
 唾液を飲み、汗を舐め、もっともっと繭墨の身体を味わいたいと渇きに駆られる。
 気がつけば、左手は、繭墨の左胸を押さえていた。
 そこには、極上の飲み物を供するはずのものがあった。
 淡く、小さく、乳房というにはあまりに不足していても、そこは繭墨が、もしかしたら次代の繭墨あざかに与えるべきものが溢れてくるはずの場所だった。
 今でも、それを吸えば出てくるのではないか。
 そう思わせるほどに、先ほどまでは大人しかった桜色の果実は、ほんのわずかに、先を尖らせていた。
 それは、舐めて、舐って、吸うためのものだ。
 境界さえわからない低い丘の膨らみを舐めて確かめながら、腋から口元を動かしていく。
 薄紅色の環のすぐ近くまで来たとき、間近でまじまじと見るために一時だけ口を離した。
 人の身体の造形であることが信じられないほどに、その場所は蠱惑的で、そこに喰いつくという原初の衝動を煽らずにはいられなかった。
 それがどれほど幼く、青いも同然の果実であっても、その衝動を止めることは不可能だった。
 涎を零れ落としながら、舌を思い切り伸ばす。
 本来なら純白の飲み物を溢れさせるはずの先端に何滴も液体がこぼれ落ちて、灯りを反射して目を焼くような光を反射させた。
 限界だ。
 顔から繭墨の胸に押しつけるように、その乳首に、むしゃぶりついた。
 唇で挟み、出るはずのないものを出せとばかりにねだり、思い切り吸い付く。
 欲しい、欲しい、欲しい、欲しいのに、出ない、出ない、出ない。
 吸い方がわからなかった赤子の頃にそうしていたように、何度も咥え直してみるが、当然出るはずもない。
 我慢できなくなって、思わず歯を強く立てた。
「ん……っ!」
 それまでどこを舐めてどういじくっても無反応だった繭墨の唇から、わずかに呻きが漏れた。
 感じたわけではなく単に痛かっただけだろうが、それでも、今弄んでいるのが人形じゃなくて繭墨の身体だと改めて実感する。
 そして、予期せぬことが起きた。
 歯を強く立てすぎたのだろう、桜色の突起の先端から、その桜色よりも遙かに鮮やかな、真紅の乳が滲むように溢れてきた。
 おそるおそる舌を伸ばし、舐める。
 いつぞやに飲まされた狐の血に似ているような気がしたが、その美味さは別次元だった。
 甘美だ。
 チョコレート漬けになっているはずの繭墨の身体から溢れたというのに、その甘さは少しもくどくなく、さわやかで、まろやかで、やわらかく、わずか一滴で舌先から口腔全体に溢れるほどの芳香で、甘く甘く脳髄をとろかした。
 母乳は血から作られると、どこかの雑学で見たような気がする。
 ならばこれは、本当の意味で、原初の乳をすすっているようなものだ。
 我慢できない。
 ルビーにも似た雫が形を整える前に、乳首に吸い付いて、今度こそ、思い切り吸い上げた。
 一滴でも脳をとろかすその血を、飲み込むほどに口にして、もう正気など保てない。
 いや、正気など最初から失っていたのかもしれない。
 赤子に戻ったかのように、貪欲に吸い尽くそうとする。
「ボクは君の母親になったつもりはないのだけどね」
 冷や水を通り越して、液体窒素でもぶっかけるような声が静かに響いた。
 子供返りした僕の痴態を楽しんでいるのか蔑んでいるのか。
 僕に蹂躙されている真っ最中だというのに、その瞳はどこまでも見下すものだった。
「やはり不能の君には赤子のまねごとが関の山というわけかい。それはそれで深刻だが仕方がない。せいぜい赤子のように泣きわめくことだね」
「誰が……不能だ……!」
 赤子返りしていた頭に妙な火が灯る。
 身体が中から燃えるように熱い。


430:「繭墨はホワイトチョコレートを飲む」
11/03/24 02:30:58.11 65Lv+hwx
 以前から繭墨は僕のことを不能呼ばわりしていて、もはや聞き慣れた罵倒のはずだった。
 どこまで本気で言っているのかはわからなかった。
 密室の事務所に男一人女一人の環境にありながらまったく警戒していなかったところを見ると、本気でそう思っていたのかもしれない。
 確かに、不思議なことに、これまで繭墨に欲情したことは一度もなかった。
 心の中身は外道だからといって、常世離れしたその容貌と、艶やかに着飾った容姿に、少しくらいは情欲を抱いてもおかしくないのに。
 いや、そもそもだ。
 僕はいつから、女性に欲情しなくなった。
 勃つことは勃つが、機械的に抜いて処理を済ませるようになってどれくらいになる。
 振り返ってみれば、僕は果たして、静香にさえ欲情したことが一度でもあったか。
 あさとが何かしたのかと真っ先に疑ったが、そうなったのはあさとに会うよりも前のような気がする。
 だとすれば……、僕はもしかして、初めて、女に欲情しているのか。
 組み敷いて、抑え込んで、手の中に収めているこの美しい身体を、自分のものにしたくて仕方がない。
 繭墨が不能だと思うのなら、その間違いを身体で教えてやろう。
 乳を弄ぶのをやめて、その下へと指を這わせていく。
 下へ、下へ行き、たった一つだけ、繭墨の身体に刻まれた傷口のような割け目に、再び両手をかける。
 入れてやる。
 突っ込んでやる。
 引き裂いて、突き込んで、一生消えない傷を刻んでやる。
 ズボンの中では、これ以上ないというくらい堅く大きく膨らんだ肉の塊が、鼓動に合わせてひくついていた。
 その直接的な衝動を味わっているのか、雨香が再び嬉しそうに蠢いた。
 静香と僕の子供である雨香だが、どうやら浮気を咎める気はないらしく、むしろさっさとやれと煽るように腹を蹴った。
 ズボンとトランクスを破り捨てるように脱いで、露わにした肉の杭を右手で掴み、繭墨の傷口に位置を合わせて狙いを定めた。
 押し当ててみると、どう見積もっても、繭墨の割れ目の大きさは僕の膨らみきった亀頭より小さく、本当に入るかどうか疑わしいほどだった。
 しかもお互い、まったく濡れてもいない。
 だがいちいち愛撫などする余裕もなかったし、そんな優しいことをしてやるつもりもなかった。
 僕を不能だと思った繭墨が悪い。
 組み敷いたまま、亀頭の先端を繭墨の割れ目に押し当てたまま、両手で繭墨の両肩を押さえつける。
 逃がさない。
 泣こうがわめこうが、お前の身体は僕のものになる。
 あるいは、ここで繭墨が泣き叫んでいたら、僕は止まったのかも知れない。
 それとも、むしろ驚喜していたかもしれないが。
 どちらにしても、もう止まらないところまで来ていた。
「小田桐くん……」
 繭墨が最後に、感情の読めない声で僕の名前を呼んだ。
 その言葉を合図にしたかのように、僕は思い切り一切の容赦なく、自分の分身を繭墨の中に突き入れた。
「うあああっ……!!」
 紛れもなく、繭墨は堪えきれなかったらしい悲鳴を上げた。
 何か大切なものを無残に引き裂いた感触があった。
 引き裂いた後には小さく狭い感触が続き、そこへ無理矢理に押し込み、押し広げ、蹂躙する感触が続く。
 性交にあるような滑らかさは欠片もなく、刃を肉に突き立てて無理矢理に身体の中に侵入しているのと大差なかった。
 僕の肉にも締め上げるような痛みがたて続くが、それを凌駕するほどに素晴らしい天上のもののような達成感があった。
「あ……ああああああっ!」
 繭墨の身体が二三度跳ねた。
 白い喉がのけぞり、苦痛に染まりながらも美しい悲鳴をあげて、彼女は僕に串刺しにされた。
 そうして、傷口は、本物の傷となった。
 破瓜の血が僕の肉杭を伝って流れ落ちようとするのを、繭墨は悲鳴を上げた唇を食いしばり、上半身を僅かに動かして、手近にあったコップで人ごとのように受けた。
 繭墨あざかの破瓜の鮮血など、異能者にとっては百万の黄金よりも価値があるだろう。
 月のもので僕を助けたように、何かに使うつもりに違いない。
 しかし、そんな彼女の予定調和など、今の僕にはどうでもよかった。
 下半身で串刺しにしたまま、繭墨の両脇から背中に両手を回して抱きかかえた。
 いつも土台代わりに使われて走らされているので、これくらいのことは簡単にできる。
 そうとわかるくらい、何度も繭墨の身体を抱きかかえてきたことに、その時は違和感を覚えなかった。
 美しい早贄は自分の体重でさらに僕の杭を押し込まれ、痛みに耐えかねて背中を美しくのけぞらせる。
 真紅の雫が、突き出された胸の先端で鮮やかな宝石のように輝いていた。


431:「繭墨はホワイトチョコレートを飲む」
11/03/24 02:31:55.25 65Lv+hwx
 そうして、押し込めるだけ押し込んだ。
 この小さい身体の中に、よくあれだけのものが入る。
 自分の肉杭が繭墨の内臓を裂いてしまったのかと思うほどに、不思議な光景だった。
 亀頭の先端に不思議な感触があり、繭墨の子宮の入り口にまで押し当てているのだと直感した。
 子宮。
 そうだった。
 破って入れることはただの過程だ。
 本当にやることは、この女体を孕ませることだった。
 そのために、神のようにさえ崇められる少女の胎内に、僕の精液をありったけ注いでやらなければ。
 細く狭く、まるで濡れていない少女の狭洞だが、破瓜の血で濡れて少しだけ滑りがよくなっていた。
 これなら十分だ。
 繭墨の身体を両脇で支えて、ぐいと一旦身体を持ち上げ、すぐに引き下ろす。
 繭墨の内臓を掻き出すかのように途中まで引き抜かれた杭が、すぐにまた一番奥まで叩き込まれることになる。
 それくらいは楽に出来るくらいに、繭墨の身体は軽い。
 一度、二度、三度と、生きた自慰道具のように繭墨の身体を上下させる。
 やがて、少女の身体は神ではなく人間らしく、最低限の自衛本能を働かせて潤滑液を分泌させ始める。
 並の強姦よりもひどいこの扱いに、快感など覚えてはいないだろう。
 打ち込んで快楽を貪ろうとする僕の動きを受け止めようと、せめてもの慰めで蠢動しようとする。
 そのけなげな精一杯の抵抗が、なおさら僕の快感を煽る。
 いつもならとっくに射精しているほどの状態なのに、繭墨の中が狭すぎて、なかなか解き放つところまでたどり着かない。
 早く到達したくてなお一層繭墨の身体を上下させ、それにカウンターでも撃ち込むように機械的に腰を打ち付ける。
 自分が杭の付属品になったように、がむしゃらに最奥を突く。
 彼女の身体を貪っているつもりだった。
 ほとんど無意識になりつつある寸前で、繭墨の表情に気づいた。
 苦痛にあえいでいるかと思ったのに、まったく違った。
 繭墨はまるで好物のチョコレートを噛み折る直前のような笑顔で僕に突かれていた。
 喰っているのは、繭墨の方なのか。
 咥えているのが上の口ではなく下の口だというだけで、彼女にしてみれば、チョコレートバーを味わっているようなものなのか。
 美味そうに涎を垂らしている下唇だけが、いつもの彼女らしくない。
 突いているのか喰われているのか、
 掻き出しているのか、逃げようとしているのか
 飲み込まれているのは身体の一部なのに、身体全体が繭墨の身体の中に飲み込まれているかのように感じる。
 腰を打ち付けて肉を掻き分けるときに、杭の先を生々しくしごかれる快感が、脊髄から全身を走って頭まで焼き切れそうだ。
 焼き切れてしまいたい。
 焼き切って、身体の中にあるものをありったけ全部繭墨の中に解き放ちたい。
 できることなら、全身を走る快感の通り、身体全部を繭墨の中に入れてしまいたい。
 その願望を満たしたいという灰のような願望が、ますます腰の動きを駆り立てる。
 奥へ、奥へ、もっと奥へ。
 繭墨の身体を犯し足りない。
 こんな狭いところじゃなくて、僕を弄ぶのならもっと広い部屋があるだろう。
 開けろ、開けてくれ。
 僕を、中に入れてくれ。
 突いて、叩いて、こじ開けようとして、この姿勢では足りないとわかって、繭墨の身体を再び背中からソファに押しつけ、彼女の両脚を掴んで持ち上げ、全体重を繭墨の一番奥の入り口に叩きつける。
「く……あ」
 文字通りの暴行にあえいだのか、繭墨の中の口があえぐように蠢動して、僕の全身全てである先端を、とどめのように嬲った。
「で……るっ……!」


432:「繭墨はホワイトチョコレートを飲む」
11/03/24 02:32:50.48 65Lv+hwx
 焼き、切れた。
 溜めに溜めたものが猛烈な勢いで肉筒を駆け上がり、膨れあがった杭の先を爆発させて、繭墨の中にぶちまける。
 あの、繭墨の中に。
 今まで味わったどんな快感も遙かに遠く及ばない、天上まで突き抜けて身体が解放されるような達成感が脳髄と全身を焼いた。
 だがそのとき、吸い込まれたような気がした。
 繭墨の中の口は、好物のホットチョコレートでも飲み干すように僕が吐き出した熱いホワイトチョコレートを、さも好物であるかのように、ごくごくと飲み込み、胎の中へと収めていく。
 その嚥上する動きは、貫いているはずの僕の杭を搾り取るかのように摺動し、蠢動し、ついぞ記憶にないほどの回数長く、延々とした射精の継続を僕に強いていた。
「うあああああああああ!」
 10回か、20回か。
 気持ちいいなんてものを突き抜けた強烈な至幸感が、いったいいつまで続くのか。
 僕の身体からありったけの体液をホワイトチョコレートに変えて飲み込ませているようだった。
 天上まで突き抜けた開放感の果てに、この身全てが繭墨の子宮に飛び込んで跳ね回っている幼稚で原初の幸福感へとたどり着く。
 どれほど大量に注ぎ込んでいるのか、繭墨の細くなだらかだった下腹が、心なしか膨らんで見えるほどだった。
 止めることを許されない射精が続き、やがて視界が真っ白になって気が遠くなる。
 力尽きて、繭墨の身体の上に倒れ込む直前に、満腹までチョコを味わったような繭墨の笑顔が間近に見えた。
「ごちそうさま、小田桐くん。美味しかったよ」





433:「繭墨はホワイトチョコレートを飲む」
11/03/24 02:33:44.88 65Lv+hwx

 目の前に、紅玉があった。
 一旦映像が頭に巡り、意識が再び遠くなってから、もう一度戻ってくる。
 紅玉だと思ったのは、繭墨の美しい両眼だった。
「ようやくお目覚めかい。君が肉布団で寒くはなかったが、さすがに重いよ」
 重い瞳をゆっくりと巡らせてみれば、僕は全裸のままの繭墨の上に倒れ込んでいた。
 肉布団とはよく言ったもので、繭墨の細い身体は手足の先まで僕にのし掛かられていた。
 しかし、慌ててどいて動こうにも、身体の中心が拘束されたように動かない。
 それは、ずいぶん萎えているはずの僕の男性器が、未だに繭墨の下唇にがっちりと銜え込まれていたからだった。
 どれほど狭く細い中を無理矢理にえぐっていたのか。
 入れたというよりも撃ち込んだようなものだ。
「繭さん……」
「なんだい」
……謝ろうかと考えてから、その思考を振り払った。
「いえ、なんでもありません」
 どう考えても、繭墨は最初から僕を嵌める気だった。
 嵌められた結果嵌めたわけだが、それで謝るのは癪だった。
 たとえ、言い逃れできないほど暴力的な少女強姦をやった後だとはいっても。
「そろそろどいてくれるかい。さすがに身体を流したいんだよ」
 汗をほとんどかかない繭墨でも、僕の汗をなすりつけていたようなもので、さぞかし不快なことだろう。
「わかりました……」
 まだぼうっとしている頭を振り回して覚醒させ、ぐっと腰を引いて撃ち込んだ杭の名残を引き抜こうとする。
 既に小さく閉ざされた繭墨の身体の内側を掻き出すかのように、ゆっくりと。
 離れるのが名残惜しい。
 繭墨の中にずっと浸っていたいという子供じみた衝動を振り払うように、力任せに腰を引く。
 絡みついていた繭墨の下唇が、残念そうに僕の下半身をようやく手放し、名残惜しそうな音を立てて抜けた。
 あれほどの暴行を受けたはずの割れ目は生々しく閉じて、処女であった先ほどまでと変わらないようにさえ見える。
 ただ、その上のなだらかな下腹だけは、ありったけ注ぎ込んだ感触が夢で無かったことを物語るように、淫らに膨らんでいた。
 それを証明するかのように、すらりと立ち上がった繭墨の内股を、白と紅が混ざった粘つく液がゆっくりと滴り落ちる。
 繭墨はそれを軽く指で掬って、上の唇にパクリと加えた。
 舌先でしばらく転がしてから、ごくりと喉を鳴らして嚥下する。
「苦いね。上で味わうと美味しくないよ、小田桐君。
 糖尿病患者の精液は甘くなるというから、君、いっそ糖尿病になってくれないか」
「いやです」
 断固としてお断りだ。
 食材になるつもりはない。
 大体、糖尿病になるとしたら僕より圧倒的にアンタの方が先だ。

 繭墨は身体を洗い流すと、水気を拭いただけで服も着ずにソファーに座った。
 精緻な少女体型を淫らに崩すように膨らむ下腹からは、もう白濁液が漏れてはいなかった。
 あの強烈な狭さと締まりで、子宮に飲み込んだ僕の精液をほとんど逃さないでいるらしい。
 さきほど滴り落ちたのは、僕が飲ませ損ねた、あるいは繭墨が飲み損ねたわずかな残りであったらしい。
 裸身で座る繭墨と、その傍で真っ白に燃え尽きて座り込んでいる裸の男……僕だ。
 いつもの事務所の光景が、それだけで異様すぎる。
 脚を優雅に組み、その間から割れ目をかすかに覗かせている様はそれだけで扇情的で、全身全霊を注ぎ込んだはずの僕の杭はまた立ち上がってきたが、それを打ち込むための身体がまともに動いてくれなかった。
「繭さんは……、なんでこんなことをしたんですか?」
 当然と言えば当然の問いは、異様な光景の中で酷く間抜けなものに聞こえた。
「何でとはまた妙なことを聞くね。理由なんて一つだろう」
「そんなに欲求不満だったんですか」
「ひどいね。それじゃあまるでボクが誰の男根でも受け入れるような淫売みたいじゃないか」
 確かに違う。ビッチもあばずれも逃げ出す、腐れ外道だ。
「君の男根ならば受け入れても構わないと思ったけど、他の男根を受け入れる気はさらさら無いよ」
「僕のだから、入れた、ってことですか」
 意外を通り越して疑わしい台詞だった。
 繭墨が僕に恋愛感情など抱くはずもない。
 そんなまともな思考回路が成立するような人間じゃないことはよくわかっている。
「ひどい疑い様だね。これでも君をその気にさせるために僕はかなりの力を使ったんだよ」
 力、というのは繭墨自身の異能の力だろう。
 いつもの自分じゃないとは思っていたが、やはり繭墨は僕を罠にかけたのだ。
「何しろ、君には性欲が無いからね、無いものを植え付けるには苦労したよ」

434:「繭墨はホワイトチョコレートを飲む」
11/03/24 02:36:19.02 65Lv+hwx
 繭墨はまたとんでもないことを言った。
「バカにしないで下さい。僕が不能でないことは今証明してみせたでしょう」
「不能だよ。精神的には君は不能と言っても過言じゃない」
「繭さんが僕をどういじくったのかは知りませんけど、僕は中学のころから勃起も射精もしています!」
「確かに、君は生理的現象としては勃起していた」
 また何か不穏なことを言われた。
「僕のその……身体のことをよく知っているみたいですね」
「何を言っているんだい。君の男根など見慣れているよ」
「え?」
 何か恐ろしいことを言われたような気がした。
「裂かれた腹を治すときに服を着たままではできないこともあったからね。興奮状態で意識を失ったまま、男根だけが勃起していたこともあったよ」
 嘘ではないだろう。
 そもそもこういうことで嘘をつく繭墨じゃない。
 だがこれはもう、男として泣きたい。
「じゃあ不能じゃないってことはわかったでしょう」
「とんでもない。君は女を犯したいと思ったことが一度でもあるかい」
「犯したい、なんてそんなことは……」
「抱きたいでも入れたいでも孕ませたいでも、言葉上の表現はなんでもいいさ。とにかく、女の身体に欲情したことが無いだろう」
「そんな……」
 ことは、ない。とは、言えなかった。
 人並みに自慰もして、射精もしていたつもりだった。
 だけど、同級生の男子とはどうしても話が合わなかった。
 ヌード写真をやりとりし、付き合っている女との経験を自慢し、学校の女を品定めするような会話にはまったくついて行けなかった。
 だからこそ、そんなどろどろした感情から離れて、あさとと静香と過ごした時間は、僕にとってはかけがえのないものだった、はずだった。
 静香といえば、僕は、静香と交わったことはない。
 静香に欲情した、覚えも、……ない。
「兄上が言ったことの意味をボクなりに解釈してみたんだよ。兄上は、君だけが自分に何も望まなかったと言った。
それは特別なことだったんだよ。余りにも特別なことだった。まともな望みを持った人間なら、あの力の誘惑に耐えられるはずはない。だとすれば答えは自ずと導かれる。
君は、元より何も、望んでいない、欲望というものをまともに持ち合わせていないんだよ」
 愕然となった。
 繭墨と出会って、僕は様々なものを捨てて、それでも生きることを選んだはずだった。
 そうですらなく、僕は最初から、生きていること以外に、何も持っていなかったということか。
「自分で欲望を持っていない。だから人のため、人の望みのために動こうとする。
自分がもたない欲望を他人の欲望で埋めていたようなものだよ。
だからこそ、ここに来てからの君の活躍は縦横無尽になったのだろう」
 なんて、ことだ。
 この地獄に生きていくあの決意はなんだったのか。
 僕は最初から何も捨てていなくて、ここにたどり着いただけだったのか。
 こんな僕をかけがえのない者と思っていたあさとが、今更ながらに哀れに思えた。
 特別でもなんでもない。
 空虚で何も無い僕という影に囚われて、あさとは狂ってしまった。
 笑いたくなった。
 その笑いすら、精液を搾り取られた後の疲労でまともに顔が動かなかった。
「理解してもらえたかい。そんなわけで、僕も目的のためにかなり苦労したんだよ」
「目的?」
「君も頭が悪いね。いや、生物としての本質を最初から持っていないから無理もないのだけど、せめて一般常識として知っておくべきだろうに。性交の目的は詰まるところ、子供を作ることじゃないか」
 何だって。
 つまりそれは、繭墨は、妊娠するために僕と交わったということだ。
 繭墨が本気で計画して動いたのだとすれば、安全日である可能性はゼロだ。
 排卵日きっちり、もしかしたらもう受精して妊娠しているかもしれない。
 いや、繭墨のことだから、排卵さえ自分の思い通りに出来てもおかしくない。
 超一級の美少女を犯して孕ませたという暗い事実に一瞬だが黒い達成感を覚えたが、
その結論はこの歳で二児の父親になるというとんでもない事実だった。
「何を考えているんですか!腹の中の肉に振り回されるのは御免だと言っていたじゃないですか!」
 思わず叫びが口をついて出た。
 先日、本家が女としての機能を期待しているという話があったとき、
繭墨がそう言って全力で拒否していたことをよく覚えている。
「惜しくなったんだよ。君を失うのがね」
 繭墨の口から出たことが信じられない言葉だった。
 繭墨にとって僕の存在は、便利で面白い道具以上のものであるはずがなかったからだ。

435:「繭墨はホワイトチョコレートを飲む」
11/03/24 02:38:16.79 65Lv+hwx
「繭さん、……大丈夫ですか?」
「ずいぶん失礼なもの言いだね。もちろん正気だよ。でなくばここまでお膳立てを整えてことに及んだりはしない」
 それは確かにそうだろう。
「今回僕は自分の死を偽装したけどね、歴代の繭墨あざかは全て殺されてきているという話は覚えているかい」
 忘れられるはずもない。振り返れば繭墨と会ってからの日々がなんと鮮明なことか。
「だからボクも遠からず殺される。そうなると君の腹を治すことができなくなって、君は寿命まで生きられないからね。
ボクの後継を作っておく必要があると判断したんだ」
「後継?」
「繭墨あざかの娘が繭墨あざかであってもおかしくはないんだよ。元より繭墨の一族とはそういうものだ。
少なくともボクの娘ならば、繭墨あざかにはなれなくても、君を治す力くらいは持っているだろう」
 なるほどだが、しかしそれは結果であって目的ではない。ますますわけがわからなくなった。
「繭墨の一族は近親相姦を重ねて血を維持していたように、異能の力は、人から外れるほど発現しやすいからね。
ボクの娘の繭墨あざかが死にそうな歳になる前に、第二次性徴が出たところで、また君はその繭墨あざかを犯して娘を生ませるといい。
その娘が死にそうになったらまた犯して次の繭墨あざかを生ませればいい」
 繭墨は実に淡々と、およそ地上で想像しうる限り最悪中の最悪と呼べる非道にして外道にして鬼畜極まる所行を、僕に推奨した。
 反吐が出るなんて言葉を通り越して、言葉だけで思考が停止しそうだ。
「どうして……?」
 辛うじて口が動いた。
 繭墨が善意でそれを行うなどというたわけた幻想を抱けるほどお人好しではない。
 繭墨が僕に好意を持っているなどとキチガイじみた想像を抱く余地もない。
 繭墨は徹頭徹尾、自分が面白いかどうかを堂々と考える。
 それに対する回答は、明確だった。
「ボクのために生き、ボクのために死ぬようにと約束したはずだよ。
寿命を使い切ることなくさっさと死ぬなんて楽な道を君は選んだわけじゃないだろう。
それは、次にボクが生まれたときも、ということさ。
次も、君が傍にいた方が面白そうだからね。
ボクの娘、ボクの孫娘が子を孕めるようになったら速やかに次を作るようにしていけば、君の寿命が尽きるまでにあと四代か五代は稼げるだろう。
そうしていけば、初代から隔世遺伝でボクが生まれたように、何代か後にまた、真の繭墨あざかが君の前に現れて再会できることもあるだろう」
 紅玉の瞳が、楽しげに笑った。
「そうすれば、ボクは次も君を傍に置ける」
 地獄を抜けても地獄。
 地獄が死してもなお地獄。

 だがそれは、なんと甘美な地獄であることか。



 繭墨の妊娠が知れ渡ることにより、僕の周囲はその地獄もかくやという修羅場になるのだが、それはまた別の話だ。




436:名無しさん@ピンキー
11/03/25 21:21:19.28 Hpe6V0tm
>>426
雰囲気出てるなー
繭さんの動機が思いつかなかったが
そう来ましたか、GJ

437:名無しさん@ピンキー
11/04/18 00:08:52.30 DbYCchXo
GJ部

438:名無しさん@ピンキー
11/05/06 17:26:59.93 2b+f9tsK
原作知らんけど楽しめた。

……しかし、
「あそびにいくヨ!」「魔術師オーフェン」「オオカミさん」
「いちばんうしろの大魔王」「えむえむっ!」と作者の名前が入ってない
アニメ化した単発作品スレが結構あるけど、ああいうスレって
同じ作者の違う作品はこっちとあっちどっちの担当なんだろう?


439:名無しさん@ピンキー
11/05/10 18:33:49.69 xN2lSDwv
同じ作者繋がりの方がまだ読み手がいると思うんだが
速いスレならこっちに書いた方がいいとは思う

440:名無しさん@ピンキー
11/05/11 18:20:11.35 LWj6173k
ほす

441:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 00:58:00.80 tlwt6jRh
稲葉姫子がブラウスの胸元をはだけさすと、白磁のような滑らかな肌を際立たせる黒いブラジャーが覗いた。
文研部部室には八重樫太一が一人いるだけで他の部員たちは姿を見せてはいなかった。
つまり、今この部屋には太一と稲葉の二人きりということになり。
「お、おい稲葉! なな何やってんだよ!?」
そんな制止を気に留めることもなく、焦点の合わない目のままブラウスを肩脱ぐ。
そして腕と腰にブラウスを巻きつけたまま、稲葉は机の上に左膝を突いて身を乗り出してきた。
じっと稲葉が自分を見据えてくる。
目を合わすことができずに視線を外すと、目の前に垂れる二つの膨らみが―。
ってまずい、これは非常にまずいぞ。
机の上に四つん這いになっている稲葉は差し詰め女豹だ。
手を突いているから、必然胸が寄せられることになっていて……谷間が深く強調されていて目のやり場に困る。
ただでさえ稲葉姫子という人間はセックスアピールを感じさせる風貌をしているのだ。
「……お前も早く脱げよ」
予想だにしなかった言葉が発せられて、いよいよ事態が尋常ならざる状況に嵌まり込んだのだと自覚する。
太一があわあわと慌てていると、
「脱がなきゃできないだろ?」
女性にしては少々低めで芯の通った声が、この上なく艶っぽい雰囲気を醸し出した。
どくん、と自分の心臓がこれ以上となく、胸を内側から強くノックした。

442:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 19:59:07.69 tlwt6jRh
「ほら……」
頬を上気させてどこか陶然となっている稲葉が、太一の腕を掴んで自らの胸元に持っていく。
その手が胸に触れるか触れないかの瞬間、太一ははっとなって咄嗟に腕を引いた。
勢い余って太一は椅子ごと床に倒れかかる。
腕を掴んだままの稲葉も、太一に引きずり落とされるように覆いかぶさってくる。
太一は背面をしたたか打ち付け、その上に稲葉が遅れて落ちてきた。
鳩尾のあたりに、柔らかな感触。
衝撃に瞑っていた目を薄く開けると、稲葉がしな垂れかかる様に自分に乗っかっているのが見えた。
いつもは丁寧にくしけずられている黒髪は、僅かにぼさっとなっていて妙に艶めかしい。
上目遣いのまなざし、上気した頬、小さく輪を描いている唇―そして押し付けられている柔らかな感触。
長い睫毛に縁どられた切れ長の目が、月夜の湖面のように揺らめいている。
心臓が、一再ならず痛いくらいに鼓動した。

443:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 22:47:25.03 tlwt6jRh
どくどく、とビートを上げていく。
稲葉が触れている箇所がどんどん熱を持ち、敏感になってより鮮明に感覚が過敏になる。
太一の股間に重なっている稲葉の太ももを、下からぐいぐいと押し上げてしまい。

【――】

その時、太一の頭の中で判然としない音が鳴った。
まだ声になる前の、音。
とたんに太一の意識が紗がかかったように、薄ぼんやりとなった。
確かに意識はあるのに、その意識が体に働きかけてくれない。
なんだ、今のは―?
太一の情況を知りえない稲葉は、ゆったりとした動作で体を起こす。
自分の胸に軽い体重がかかる。
髪が頬に垂れ落ち、嫣然と微笑む稲葉はあだっぽい雰囲気をまとっていた。
「……なんだ、脱げないのか? なら…………アタシが脱がせてやろうか?」
言うや否や、稲葉は乱れた髪や服装を気にする風でもなしに太一のネクタイに手を掛けた。


444:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 22:52:03.40 tlwt6jRh
吃驚するほどいい手つきで、稲葉がネクタイを引き抜いた。
休む間もなく、その手がワイシャツのボタンを一つずつ外しに掛かる。
まずい、今すぐに稲葉を押し退けないと―。
頭の中では強く思うのに、体は意に反してまったく動いてはくれない。
ワイシャツがはだけられると、すうっと稲葉の手が太一の胸板に伸びてくる。
ひんやりとした手の温度に、思わず口から声が漏れる。
どうやらこの程度の自由は利くらしい。
「ふふ…………女みたいな声だな」
愉しむように、稲葉の手がさすってくる。
その分だけ、太一の息が荒くなり鼓動が速まる。
稲葉は太一の体表面を、まるで余す所をなくすように隈なく触れようとする。
もどかしさやこそばゆさが、太一を徐々に昂ぶらせてゆく。
おもむろに、稲葉が頭を傾かせて胸に耳をあてた。
すぐ眼前に稲葉の小さなつむじが見え、熱っぽい息遣いを胸につぶさに感じた。

445:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 22:56:09.85 tlwt6jRh
どうやら心臓の音を聞いているようだが、何のためにそんなことをしているのかは太一には見当もつかない。
稲葉はたっぷり時間を使ってから首をもたげ、吸い付くように太一の胸に口づけをした。
きつく吸われ、時折空気が破裂するように、ぢゅうぅっ、という音が立った。
口が離れると、そこにはいわゆるキスマークがくっきりと赤紫色に付いていた。
「……お前は、アタシのもんだ」
勝ち誇ったような笑い方はいかにも稲葉らしいのに、この時ばかりは背筋に冷たいものを覚えた。
四つ足のまま稲葉は顔を太一の鼻先に近づける。
「一度してるんなら、二度だって同じこと、だよな」
答える間もなく、唇が合わさった。
稲葉の唇が自分のものを挟み、甘く食まれている。
やがて、ねっとりとしたものが唇を濡らしていく。
稲葉の舌が唇を舐め回し、掻き分け、歯を割っては口腔に侵入してくる。

446:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:00:30.25 tlwt6jRh
生ぬるく肉厚な感触が、自分の持つものと触れ合った。
その先から、稲葉の舌が激しく動いて太一を絡め取っていく。
舐められ、吸われ、甘く噛まれ―。
太一は肯定も否定もできず、ただ人形のようにされるがままに横たわっていた。
自分を遥か上空から俯瞰しているような、それでいて意識だけは緊密にリンクしているような不思議な感覚だった。
長い長い、深い深い接吻が終わると、稲葉は唾液を糸のように引かせながら、勿体つけるように口を離した。
太一の口元は、稲葉の唾液でかすかに濡れていた。
すっとさっきまでの熱さが潮のように引いて、冷たい波が寄ってくる。
「……そんなに緊張するなよ。アタシが、きちんと手取り足取り教えてやるから」
のろのろとした動作で稲葉が後ずさる。
自分の胸を水平線に見ると、稲葉の頭がほとんど沈んでいく。

447:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:04:28.93 tlwt6jRh
自分の胸を水平線に見ると、稲葉の頭がほとんど沈んでいく。
カチャカチャとベルトの金具を外す音が聞こえて、太一は声を大にして制止の言葉を叫びたい衝動に駆られた。
だのに、衝動が喉に到達する前に、霞のように手触りがなくなって散り散りになって消え去る。
やめろ……稲葉…………やめろ。
心の声はむなしく、果然、稲葉には届かない。
ベルトが外されると、稲葉はぎこちない手つきでスラックスのボタンを外してチャックを下げ、カクカクとした動作で脱がしていく。
外気に太一のボクサーパンツが晒され、得も言われぬ羞恥心と稲葉に対する猜疑心が渦を巻いた。
一体、何を……?
―いや、心の奥では分かっているんだろう?
なん……。
―期待すらしているんだろう?
そ、んな……こと。
【声】は頓に明瞭になり、耳障りの悪い調子で太一にささやきかける。

448:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:06:56.74 tlwt6jRh
だしぬけに、股間に何かが当たる感触に襲われ、僅かな意識がすべてそちらに向いてしまう。
男の性……。
「……触れてもいないのに、もうこんなになってるのか」
どこか冷やかしからかうような口調が、普段の稲葉っぽくて倒錯的だ。
稲葉の手が太一のそそり立つモノを触診するように動く。
太一はと言えば、見えない分、余計に鋭敏になっているので、触れられただけでとっけもない劣情に身が震える。
「アタシが、腰砕けになっちまうくらいに、お前を惚れこませてやるよ……」
挑発するような言葉選びと言葉遣い。
常よりも湿ったような声に、否応なしに太一の体がそれを、無意識に待っている―。
稲葉がボクサーパンツの淵を掴み、一気に膝までずり下げた。
自分のモノが、恥ずかしいくらいに屹立し、天を向いているのがわかる。
遣る場のない羞恥が、太一を身悶えさせる。

449:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:09:47.61 tlwt6jRh
「……知識としては知ってはいるが…………こんなにとは、な」
さしもの稲葉も、初めて見る男性器にはいささかの戸惑いが隠せないらしい。
が、そんなことも束の間、稲葉はぎゅっと太一の剛直を握ってきた。
ほのひんやりとした稲葉に握られ、どうしようもなく反応してしまう。
びく、びく、と何度か脈打ってしまうほどに。
「……なにか、出てきたな」
稲葉がそれを凝視しているのが、手に取るように感じられる。
手が、一物を、上下にしごき始めた。
リズミカルに上下する手のひらに、太一はうめき声を上げることもできずにただ耐えるばかりだ。
先走りが多量に吐き出されて、稲葉の手が液汁を巻き込んで卑猥な音を立てる。
「気持ち、いいか…………?」
太一は何も答えられない。
「…………これじゃ、ダメなのか………………」

450:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:11:55.26 tlwt6jRh
消え入りそうな声で稲葉が言うと、一物の先端が一瞬、ぬるりとしたものに襲われた。
おそらく、太一は今までで一番顕著な反応を見せてしまったに違いなかった。
見えない行為は脳内で補完され、ときにその一歩先を妄想してしまう。
稲葉は弱点を見つけた獣のように、獲物の弱い部分を重点的に責め立てる。
濡れっぽい稲葉の息遣いが、敏感な部分で感じ取れる。
舌は先端や裏筋を丹念に舐め上げ、唇で挟まれたりしながら慰撫される。
稲葉の口唇奉仕に、太一の中で激甚な欲が逆巻いて【声】となって降りかかってくる―。

【やってしまえ】

決して抗えないような、強い、酷い、思い【声】―。
意識の中に漂っていた霧が晴れ、フェードインするように見当識がクリアーになってゆく。

451:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:14:43.69 tlwt6jRh
そうやって太一の中でむくむくと膨れ上がっていくのは、あまりにも原始的な欲求だった。
お預けを喰らった獣が、よしの合図とともに駆け出して獲物に食らいつくような、衝動的で動物的な命令だった。
太一はやりたくないと思っているのに、今度は体だけが意に反して動き出す。
上半身を起こし、目線を下げる。
股座では、稲葉が犬のような恰好で自分のモノを舐めていた。
こちらに視線を上げた稲葉と、ばっちり目があった。
黒目勝ちの眼が潤み、懸命に舌を伸ばして動かしている。
そんな稲葉姫子の従順で健気な行為を目の当たりにして―太一の自恃の砦が決壊する。
太一は稲葉を床に押し付けて、その胸に顔をうずめた。
自分ではBと言っていた稲葉の胸は、とても下から二番目の大きさとは思えない大きさと柔らかさを兼ね備えていた。

452:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:17:27.69 tlwt6jRh
稲葉は少し吃驚した様子だったが、暴れるでも拒絶するでもなく、太一の頭をぎゅっと胸に抱え込んだ。
稲葉は慈愛をベースとしたふるまいを見せているのに対し、太一のは原始的で烈しい独占欲を滾らせていた。
滅茶苦茶にしてやりたい……。
そんな非道な思考が、今や太一のすべてを支配していた。
ホックを外そうともせず、太一は稲葉の黒いブラジャーを引っ張る様に押し上げた。
形のいい膨らみが、速く上下していることに太一は言及することもない。
太一は先端を口に含み、空いた方の手でもう一方の乳房を弄ぶ。
舌で転がし、唇で吸い付き、歯で甘噛みする。
手で円を描くように揉み、乳首を抓んでは捻り、指先で突く。
汗の中にかすかな甘さを感じ、ますます太一は高まっていく。
逆にされるがままになった稲葉は、感じたことのない刺激に目を瞑って眉間にしわを寄せていた。

453:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:20:18.83 tlwt6jRh
ひとしきり胸を堪能したのち、太一はすかさずに稲葉のスカートに手を掛け、無理矢理に引き摺り下ろした。
上と同じ、シンプルで飾り気はあまり見られない、しかしだからこそ映える黒いパンツがまぶしいコントラストを醸し出していた。
稲葉は紅潮した顔を隠すように手で蔽った。
太一は稲葉の太ももを割り、秘部に顔を近づけた。
「…………太一」
切なげに、稲葉が声を漏らした。
それが呼び水になったのか、太一の行動がより激しいものになっていく。
まず、太一は下着の上から噛むようにして稲葉を刺激する。
つんと鼻を衝く濃密で凝縮された稲葉の香りが、太一をくらませる。
稲葉の股間と太ももの内側は、はっきりとわかるくらいに熱を持っていた。
太一は離れるのももどかしいといった様子で、顔を外さずにそのまま下着を力任せに脱がしにかかる。
尻から抜け、右足を下着から抜く。

454:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:23:45.12 tlwt6jRh
左の太ももと膝の中間あたりに、捩じれて丸まったパンツが引っかかっている。
むわっというほどに、稲葉の恥部は湿っていた。
恐る恐る太一が指先で触れると、濡れ光る糸になってたゆんだ。
ピチャピチャと淫らな水音に、稲葉の顔にもみじが散る。
いやいやと首を振っているのに気付かない太一は、さっき稲葉がしたように舌で茂みを掻き分けた。
「―ッ!!」
稲葉の悲鳴にならない悲鳴が、太一を余計に煽る。
舌はぷっくりと膨らんだ、乳首のような箇所を的確に捉えた。
執拗にそこを責めると、稲葉が面白いくらいに反応を見せる。
足先から震えがのぼり、太もも、腰、そして全身に伝播する。
稲葉は指を噛んだり、エビ反りになったり丸まったりと体勢を変えながら必死に堪える。
太一は膨らみの下―液体が滴っている割れ目に唇を当て、思い切り吸った。

455:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:26:33.66 tlwt6jRh
じゅるじゅるという音が響き、稲葉の太ももが反射的に閉じようとする。
太一は頭を両側から挟まれながらも、割れ目を舌で舐めていく。
たっぷりと舌で刺激し、顔を離して稲葉を見れば、ぐったりとした様子で大きく喘いでいた。
その姿を見て、太一はもっともっとしてやりたい衝動に駆られる。
太一は濡れそぼった部分に指をあてると、ゆっくりと中に入れていった。
「……ッあ!」
一本指が入っただけで、稲葉はじっと体を横たえて打ち震えている。
中に入った指を折り曲げると、怖いくらいに稲葉の体がびくんと動いた。
その反応を見て、太一はもう止まることを放棄した。
二本目の指を入れると、なけなしの息を吐き切ったかのように、稲葉が喘いだ。
声にならない声が喉からひゅうひゅうと伸び出して、浅い呼吸を何度も繰り返す。
太一は欲望の赴くままに指で稲葉を蹂躙した。

456:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:28:47.58 tlwt6jRh
深くまで指を突っ込み、そこで折り曲げると絶大な反応が返ってくることがわかると、太一は馬鹿の一つ覚えのようにそこばかりを刺激した。
ゴム風船を指で押しているような感じが、稲葉を見たことのない世界に導く。
「ぁっ……ああっ、んっうううっぁ」
普段の怜悧でいなせな稲葉の態度からは考えられない、甘く性的な声が響き渡る。
ひとしお強く指で中を押し上げると、
「――ッッッ!!」
大きく痙攣し、長く尾を引いて稲葉を胴震いさせた。
太一は指を引き抜くと、濡れに濡れた指を口に含んで味わった。
欲望はとどまるところを知らない。
優しさや相手のことを慮ることよりも、ただただ本能に任せて稲葉姫子という女を嬲りたかった。
太一は立ち上がると、横たわっている稲葉を膝立ちにさせた。
稲葉の眼前は、先走りを垂らして濡れている性器が突きつけられる。

457:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:30:52.40 tlwt6jRh
一瞬、こちらを見上げて、稲葉は意を得たというように舌を伸ばして先走りを舐めとった。
一物全体を隈なく、稲葉の舌が這っていく。
伏せられた目が、ちろちろと動く舌が、荒い息遣いが、太一を惑わしていく―。
太一は稲葉の頭を掴むと、小さく空いた口に自らのモノを捩じ込んだ。
「―ん、むうっ!?」
そしてそのまま、稲葉のことなどお構いなしに腰を打ち付ける。
「んっ、んぶっ、んむうううっ!!」
稲葉が太一の太ももを強く掴む。
息を求めて喘ぐ。
懇願するように首を振る。
それでも―八重樫太一の欲望は収まらない。
何回か腰を動かした後、太一が腰を引くと稲葉が盛大に噎せ返った。
「ごほっげほっ―ッおえっごほッ!」
嚥下できなかった唾液が、稲葉の口元や首元をべとべとに塗っている。
閉まりなく開けられた口で、浅く早く呼吸している。

458:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:35:10.26 tlwt6jRh
太一は稲葉の髪を手で梳きながら、またしても性器を近づける。
稲葉は目を伏せて、舌を伸ばして太一を慰撫する。
自発的に一物を咥え込み、稲葉は舌と唇を使って全体を刺激する。
頭が前後に動いて、快感が昇りつめてくる。
太一は稲葉の頭の後頭部に手を添え、ゆるやかに頭を寄せる。
深く咥え込まれる感覚に、太一の膝がガクガクと震える。
強く、速く、深く太一は突き入れる。
そのたびに稲葉は噎せ、涎を垂らし、決死の形相で耐え忍ぶ。
一物を引き抜くと、稲葉はその場にくずおれてげほげほと急き込んだ。
床には大量の唾液が落ち、二目とない様相を呈していた。
太一は稲葉の背後にまわり、その細っこい腰を掴んだ。
稲葉がのろのろと肩越しにこちらを振り返る。
眉尻が下がり、困惑を隠せないでいる。
太一は有無を言わさず、稲葉の膣に一物を宛がい、ゆっくりと沈めていった。

459:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:37:27.94 tlwt6jRh
稲葉は砂をかむように、床に顔をくっつけたまま身を震わせた。
声にならない悲鳴が、振動になって太一に伝わる。
腕と腰で着ているブラウスが、左足に引っかかっている下着が、あられもなさを際立たせていた。
全て入ると、稲葉は大きく痙攣した。
太一はそろそろと腰を引き、ゆったりと打ち付ける。
「―ああッ!!」
稲葉は休む間もなく、喉を酷使している。
太一がリズムに乗ってきたとばかりに、腰をテンポよく動かしていく。
そのたびに、形を変えて稲葉は声を上げ、身を捩り、反射的に太一から逃れようとする。
太一はそれを力で押さえつけて、犯すように稲葉と重なっている。
稲葉の腕を掴んで、状態を仰け反らせる。
すると、今まで当たってないところに当たったのか、稲葉の震顫の質が変わったように思えた。

460:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:40:34.95 tlwt6jRh
さっきまでは平行に突いていた腰を、僅かに上向かせ、天を衝くように突き上げてみる。
案の定、明らかに反応が異なっていた。
太一は胡坐をかくように地面に座り、稲葉の体ごと揺すって一物を刺激させる。
稲葉は首が据わっていないように、頭をふらふらと、太一の動くままに任せていた。
深く抱き込むように稲葉の肩に体重をかけてみると、大きく太ももが震えて口から声が漏れた。
絶頂に達したようだ。
太一は稲葉をこちらに向かせた。
稲葉の顔は涙に濡れていた。
火照った顔がみだりがわしくて、太一は口づけをした。
稲葉が太一に抱きつくように手を首に回し、脚はぐっと腰を捕らえた。
二人はそのまま絡み合うように体をゆすり、快感を貪っていく。
太一の欲望が背中から走り抜け、胴震いを起こさせる。
無意識のもっと奥で―抜かなければという強い自制が働く。

461:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:42:36.45 tlwt6jRh
絶頂に達する寸前で、太一は突き飛ばすように稲葉から離れた。
そうでもしなければ、足と手で抱きつく稲葉から抜け出せなかったのだ。
床に放り出された稲葉に、獣の欲望が否応なく降り注がれる。
太一から迸った精液は、尋常な量ではなかった。
それは稲葉を顔から腹まで、夥しいほどに凄惨に汚していった。
己の欲望を吐き出しても、まだ太一は止まらない。
太一は震える脚を鼓舞しながら、稲葉の唇に汚れた一物を持っていく。
稲葉は半ば放心状態で、それを口に含む。
最初に比べると洗練された舌遣いで、僅かに垂れる精液をも掬い取っていく。

もう、戻れない。
二人は非日常と非現実の網にからめ捕られ、ばらばらに壊れていく。
稲葉が、口に僅かに入り込んだ太一の欲望を、嫌な顔せずごくりと嚥下した。

462:ココロコネクト 八重樫太一×稲葉姫子
11/05/17 23:44:37.79 tlwt6jRh
長くなってしまってすいません。
以上です。

463:名無しさん@ピンキー
11/06/09 06:22:04.15 SV8okmy0
下がりすぎ上げ

464: ◆NQZjSYFixA
11/06/10 01:50:41.50 DsxYn1q+
忍法帳が不安だけど投下。

だから僕は、Hが出来ない。
良介×キュール

465: ◆NQZjSYFixA
11/06/10 01:51:12.87 DsxYn1q+
「んっ?」
 良介がなかなか帰ってこずにイライラしていると、リサラが開いたノートに文字が
浮かび上がってきた。初歩の初歩の術だ。
「『もう時間も無いので邪魔の入らない家で良介さんと初体験を済ませます
  探さないでください』って、キュール……!」
 バン! と机に手を突いて立ち上がり、リサラは走り出した。
 あまりにも単純なひっかけだった。

「良介さん……お願いします」
「キュ、キュール」
 キュールのまだまだあどけない顔と、紅いグロスのかもし出す大人の雰囲気の
コントラストに感動した良介は、いつの間にか頭をかいていた手をキュールの
背中に回し、自分から抱き寄せていった。
「あっ……」
 声ともいえないような、か細い吐息。
 キュールの目には涙がたまっている。しかし良介はそれを見ても、さっきまで
のように心が痛んだりはしない。
 美菜を助けたいという気持ち。そして、将来望まぬ相手とする位なら、という
条件付ではあるが、良介を始めての相手に選んでくれた嬉しさ。
 良介には、今のキュールはすべてが美しく見えた。唇が触れる一歩手前まで
近づいて見ると、また違ったよさがある。紅潮したきめの細かい肌、可愛らしい
鼻の形、伏せられた目蓋から零れ落ちる涙、戸惑うように震える、紅い唇。
(キュールってこんなに可愛かったのか)
 すべての女の子は宝だと公言してはばからない良介だが、女の子の顔だけを見て、
こんなにも感動したのは初めてだった。
 吸い寄せられるように、キュールと唇を重ねる。
 むにゅ、と柔らかく受け止められた唇と唇が、確かな温かみを伝えてきた。
「んっ……」
 キュールは身体をこわばらせ、しかし身じろぎもせずに唇を押し付けてくる。
 その瞬間、黒く冷たい手が良介の中に伸びてくる感触があった。

 ―邪魔するな。

 殺意とでも言うべきか、魂の奥底から湧き上がる力をその手にぶつけると、確かな
手ごたえとともに嫌な気配は遠のいていった。
(キュールとファーストキスできてめちゃくちゃうれしい。嬉しいけど……キュール

が緊張したままじゃ、心から楽しめないよな)
 しおらしいキュールもそれはそれで非常に良い、とは思いつつ、無性にいつもの
ような憎まれ口をたたくキュールが恋しくなった。
 背に回していた手に力を込めて、キュールを抱き寄せる。四つんばいでキスして
いたキュールが、バランスを崩して体重を良介にかける姿勢になった。
「ん、ちょっと、良介さ、んむっ」
 突然の行動に驚いたキュールが、唇を離して上目遣いに良介の表情をうかがう。
良介の腰、まさに今膨らんでいるところにキュールがぺたんと女の子座りをした。
 昨夜の夜這いの姿勢の再現だ。今日のキュールは白のレースの下着に、なんと
ガーターベルトをしている。
「絶景……」
「もう、馬鹿なこと言わないでくださいまし」
 寝そべって再び感想を述べる良介に、顔を真っ赤にして目をそらしながらキュール
がつぶやいた。

466: ◆NQZjSYFixA
11/06/10 01:51:46.71 DsxYn1q+
 良介は身体を起こし、優しく、卵が割れないくらいにふんわりと、目の前の女の子
を抱き寄せる。
「あ、こういうの対面座位って言うんだよな」
「な、何のことだか、キュールにはさっぱりですわ」
 今度は自分から前に進んで、キュールと身体を密着させた。
 ふにゅん。
 と、唇とは別種の柔らかさをもった、制服越しのおっぱいの感触が返ってきた。
「あんっ」
「うおおおおっ……!」
 ほんの少しの力で、おっぱいが形を変える、その瞬間。キュールがあげたなまめか

しい声に、良介は震え上がった。
「キュ、キュール、今の声すっごい良かった。も、もう一回聞かせてくれないか?」
 言われたキュールは、さっき自分がどんな声を上げたかを自覚させられ、ついに
両手で覆って顔を伏せてしまった。
「ダ、ダメ……恥ずかしい……」
 普段の元気のよさが信じられないほどに、可憐な少女の仕草。
「か……かわいい……」
 今度は良介が涙を流す番だった。感動の涙を。
 顔を隠してしまったからキスは出来ないが、そんなことは些細な事だと思える。
 こんなに可愛い女の子が、自分の腕の中に居る。それだけで胸がいっぱいになる
程に、良介は幸せだった。
「キュール」
 精一杯の愛を込めて、名前を呼んでみる。ぴくりと肩が震えた。俯いたままのキュ

ールは、実はとても無防備でもある。何せ両手で自分の視界をさえぎっているから、
言ってみればソフト目隠しプレイ状態だ。
 顔と同様真っ赤になった可愛らしい耳に、良介はついばむようなキスをした。
「ひゃっ!?」
 驚いたキュールが手をどけて、顔を上げる。
「美少女の小さくて可愛い耳にキスできる日が来るなんて……感動だ……」
「きゃっ、んっ、くすぐった……」
 むずがるように良介の唇から逃れようとするキュールだが、その抵抗も形ばかり
だった。普段だったら死神の力を使うまでも無く突き飛ばされているだろう。
 つまり、今の良介は形だけ嫌がる女の子とじゃれ付く権利を得ているのだ。
「はは、ごめんごめん」
 堪能したのでいたずらはここまでにしておく。
「もう、良介さんはこんな時くらい真面目になれませんの?」
 グロスを引いた大人な唇を尖らせて文句を言うキュールは、先ほどよりはいつもの
調子を取り戻せているように見えた。
「真面目だって。しおらしいキュールも最高に可愛いけど、やっぱ俺はいつもの
キュールと初体験したいからな」
「…………」
 ハッと目を見開いた後、キュールが無言で抱きついてくる。良介は何か言うべきか

迷ったが、やっぱり何も考え付かなかったので深く抱きしめあってキュールの髪の
匂いをかぐことにした。
 当たり前だがリサラと同じシャンプーのにおいがする。そしてなんだか甘い匂い。
こういうのをミルクのような、と言うのだろうか。
(別に牛乳っぽくはないけど。でもなんか落ち着くいい匂いだ……)
 キュールの緊張もほぐれてきたことだし、良介はついに制服の上着のすそから
そろそろと手を侵入させた。

467: ◆NQZjSYFixA
11/06/10 01:52:16.87 DsxYn1q+
 ぴくりと震えたが、キュールは良介の首に回した腕だけを残して、上半身を離す。
一応抱き合ってはいるがその気になれば胸も揉める体勢だ。
(キュ、キュールのOKサイン……! って口に出したら雰囲気壊れそうだな)
 さすがに良介も緊張してきて、手が震えないようにするので精一杯だった。すでに
下着がすべて取り払われているキュールの上半身は、全く頼りないほどに良介の手を
素通りさせていく。あと1センチで下乳に触れると言うところで、良介は確かにおっ

ぱいの放つ体温を感じた。
 これが、人生で初めてHなことをする合意の下に触れるおっぱいだ。
 感動とともに感触を脳裏に刻もうと、精密機械もかくやの滑らかな微速前進を開始
した。
 ふるん、という至高の感触。
 たゆん、までは行かない大きさ。
 ぷるん、とは行かない若さゆえの硬さ。
 しっとりと汗をかき、良介の両手に吸い付くように納まった二つの宝玉は、奇跡の
弾力でしっかりと存在を主張していた。ほんの少しずつ両手を上下させて感触を堪能
する。
「んっ……」
 思わずもれてしまった、というようなか細いキュールの声。
「大丈夫か? 俺、痛くしちゃってないか?」
「え、ええ……むしろ、優しすぎて、変な感じが……はぁん……」
 少しずつ、少しずつ、両手の振幅を大きくしていくと、キュールの口から悩ましげ
なため息が漏れた。表情からも力が抜けて、寝ぼけているようなとろんとした目をし
ている。ついに色っぽいを通り越してエロいの領域に入ってきたキュールの表情を、
良介はまじまじと見つめてしまった。
 もっともっと、キュールをとろけさせたい。
 《グラム》が乗り移ったかと思う位に強いその衝動が、表面に力となって現れない

ように必死に押さえ込む。キュールに痛い思いをさせることだけは絶対に嫌だった。
 下から胸を持ち上げたり下ろしたりしている両手の親指の位置をそろそろとずらし
キュールのおっぱいの頂点を目指す。はりのあるおっぱいから不意に柔らかい部分に
触れ、ついに乳輪に指がかかったことを知る。さすがの良介といえど、そこで一瞬
指を止めてしまった。といっても臆したとかではなく、
(つ、ついに……女の子の、ち、ちく……に!)
 脳の血管が切れるかと思うような興奮とともに親指を5ミリずらすと、指先にくり

くりと気持ち良い感触が返ってきた。
「あっ、あああんっ!」
 胸全体を揺さぶるのをやめて、乳首に集中する。既に充血して硬くなっているのが
はっきりと分かった。痛くしないよう細心の注意を払って、いじると言うよりは表面
をなでるようにキュールの乳首をもてあそんでいく。
 リサラの乳首をいじった時の自分は配慮に欠けていたな、と良介がちらりと思った
その時。
 ギリ、と首筋に痛みが走った。何事かと思ったら、キュールが首に回した手で、
良介に爪を立てたらしい。
「他の人のこと、考えないでくださいまし……今は、キュールのことだけを……」
 乳首を弄られて気持ちよくなっているキュールの顔に、嫉妬と、すがるような好意
の色が混じる。良介は一瞬で頭の中からリサラを追い払うことに成功した。
「分かった。キュールのことだけ考える。キュールだけを見る」
 恥ずかしさのあまり、ぎゅ、ときつく目をつむったキュールに再度キスをする。
同時に今度こそ制服の上を脱がせて、上半身を裸にした。さっきまで良介の手でもん

でいたキュールの胸が目に飛び込んできた。

468: ◆NQZjSYFixA
11/06/10 01:52:49.68 DsxYn1q+
「ん……キュールの乳首、ぴんって立ってるな」
 ムードを大事にしようとしても所詮は良介、「感じている女の子の胸」を間近で
始めてみるこのシチュエーションに、どうしても目が吸い寄せられてしまった。
「だ、だって……良介さんの触り方が、やらしいからですわ」
 顔を真っ赤にしながらも、キュールは胸を隠そうとはしない。良介の首の後ろで両
手を握り、隠そうとするのに耐えていた。エッチな心に応えようとしてくれていた。
 何度目になるか分からない感激をかみ締めつつ、ならばと遠慮なく口を胸に持って

いく。キュールは良介の意図に気づいてびくんと大きく震えたが、上のほうを向いて
耐えることにしたようだった。
(っていうか、この体勢、む、胸が……視界いっぱいに広がってっ!)
 エッチなDVDでおなじみの乳首を吸うという行為が、いかに至福のものであるかを
行為の前から思い知る。満足してしまいそうな自分を奮い立たせて、震えるその胸に
むしゃぶりついた。
「あっ、ああああんっ!」
 れろれろと舌で乳首をこねくり回すと、今までとはまるで違う、熱くとろけた声を
出してキュールがのけぞった。
 良介の中の何かが切れた音がして、辛抱たまらんとばかりに吸っていないほうの
胸をもみしだく。手のひらの中心で乳首を転がしてやりながら、今度はきつく吸って
やった。
「ひぃんっ! りょ、りょうぅぁあああっ! ひゃぁああんっ!」
 舌でビンタするように乳首をはじきながら、もう一方でダイヤルを回すかのように
乳首を親指と人差し指の間でくりくりと転がす。
 柔らかい胸に顔をうずめているという幸せもさることながら、良介は今までに感じ

たことの無い種類の喜びを感じ始めていた。
(キュールが、俺の舌と指でこんなに乱れてくれてるなんて……)
 女の子を悦ばせる、という喜び。
 上下の歯の間に置いた乳首を、舌で優しくはじいて歯にぶつける。
「こんなっ、だめ、ひゃめえぇぇ!」
 一際大きい反応とともに、ぎゅっときつく抱きしめられたかと思ったらくたりと
キュールの身体から力が抜けてしまった。
 ちゅぽん、と名残惜しくも乳首から口を離すと、キュールは眠るように、夢見る
ように浅く目を開き、口からはよだれが一筋垂れている。
 これはどう見ても、
「イッ、ちゃった?」
 さっきから股間がむずむずしてしょうがない。キュールの痴態を鑑賞しただけで
発射してしまうというのはさすがに情けないので、気を張ってこらえる。
「はぁ……はぁ……」
 垂れたよだれにも気づかず、うっとりと遠くを見るキュールをもう少し眺めていた

かったが、よだれのがあごにかかりそうだったのでまずは舐め取った。
「きゃっ、あ、え? 良介さん、何を……」
「キュールのよだれ、ご馳走様でした」
 にらみながら、ドンと胸をたたかれる。普段ならともかく、イッた直後の女の子に
される仕打ちとしてはむしろご褒美だった。
(キュールの胸ってこんなに敏感だったのか)
 厳密にはまだ初体験ではないが、もうこれからはキュールのことを以前のようには
見れないだろうな、と良介は思った。しばらくは顔をあわせただけで前かがみになっ

てしまいそうだ。
 前かがみどころか外気に触れる前に暴発しそうなエクスかリバーを、キュールの
勝負下着にあてがう。生々しい女の子の体重を感じて、限界を超えていきり立ち
始めたそれを、ついにジッパーをおろしてゴソゴソと取り出した。


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