12/09/01 00:38:50.96 kUl1h6a+
「う~ん! うぅ~ん!!」
「さぁさぁ野乃原先生、こんなことをしていても授業時間を無駄にするだけですから……」
といい加減に邪魔臭くなってきたらしい馬場が大きな手で結を脇にどけようと……
『馬場先生、馬場先生。至急、職員室までお戻りください。繰り返します。馬場先生、馬場先生、
至急職員室までお戻りください』
「……仁科先生?」
まるで見計らったかのようなタイミングの校内放送は、保険医の仁科恭子だ。
「ほら馬場先生、放送で呼んでいるみたいですよ?」
明らかにホッとした様子の結は肩で息をしている。どうやら本気を出していたらしい。
「ええ、分かってますよ。くそっ……!」
一方で未練たらたらの馬場も、この状態で呼び出しを無視することは出来ない。ブツブツと悪態を
つき不満そうに肩を怒らせて校舎へと戻ってゆく。
「いや待てよ、野乃原先生がいるってことは……」やれやれと胸をなで下ろしかけた直樹は遅れば
せながら気がついた「……って保奈美! じゃあ、あれ俺のクラスじゃないか!」
言うまでもなく、後の祭りである。
「ま、いっか……」
体育なら、誰とも打ち解けようとしない直樹がいない方がクラスメイト達も気楽に違いない。そう
自分に言い聞かせ自嘲的な笑みを浮かべながら直樹は再び寝転んだ。
「一人の方が、気楽なんだからな」
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「……あのチビ、新任の癖に俺の邪魔しやがって……!」