08/12/08 00:53:34 WWfJtUep
……そう思ったとき。
「!!」
覆いかぶさっていた影が急に私から離れた。
「な、何…?」
上体を起こし、シーツを手繰り寄せて自分の上半身を隠してそいつを見る。
「おと、なしくして……いろッ!千里!!……ぐああああ!!」
しばらく何かに悶え苦しんでいたようだが急にピタリと大人しくなり、俯いた。
中々顔をあげようとしない。
その時間は精々30秒くらいのものだったと思うが、永遠のように感じられた。
「……支葵?」
そう名前を呼んでみる。
すると俯いていた顔をあげ、その瞳で私を見据えた。
それは赤と青のオッドアイではなく私の知る支葵の瞳だった。
「……ごめん」
と、短く言ってフワリと私を抱きしめた。
柔らかく、どこまでも優しく……
「本当に、ごめん……」
その声は泣くのを堪えるように聞こえた。
(いつもの、支葵だ)
そして私も彼を抱きしめかえした。
「大丈夫。支葵は何も、悪くないから……」
月が雲に隠れるころ、その影もまた姿を隠した……