05/07/13 21:11:09 YNXkUcjN
――何故だろうか?少女は悲しそうな笑みを浮かべていた。
それでも男の眉間に照準をあわせられた銃を逸らすことなく、少
女は静寂を保っている。
少女が近づいてくる。3m…2m…1m…距離が縮まっていく。
そして少女は、そのまま男にそっと口づけをした。
男は一瞬の出来事に戸惑いながらも接近してくる少女の唇に目を
瞑ってしまっていた。少女が唇を離した後に目を開くと、そこには
涙をこぼしていた少女の姿があった。
「どうした?何故キミは泣いているんだ?」
男は少女へ問い掛ける。…返事はない。
再び構えられた銃は眉間へと照準をあわせられる。心臓が荒々し
く波打っているのが手をあてずともわかる。死が訪れようとしてい
るから。…ほんとうは口づけのせいなのかもしれない。
何時にもまして忙しそうに体の隅々に運ばれていく血液、それは
終わりの時を刻々と告げるかのようだった…
「パーーーーンッ」