13/05/10 14:54:58.35 cDUS7HJu
54.
「なぁ、どう?」
杉浦の淡々とした調子の声が続く。
「……なにが?」
「自宅でする気分ってさ」
「…」
その間も、杉浦の手は母さんの尻や脚を自由に滑り、撫で、愛撫している。
「学校でやるのと、どっちが感じる?それとも、こないだみたいなSMホテルのが三津子の好みか」
「瑞月」
母さんが遮るように、杉浦の名を呼んだ。
─SMホテル。そんな場所へ、母さんが行っているというのだろうか。
もちろん、俺は実際にそんなホテルの内部を見たことはない。
しかし、知識では知っているそういう行為─男女の、変態的な性行為。
その数々を、母さんは杉浦に施されている。そういうことなのか。
まるで俺の心の内を読んだように、杉浦は口を開いた。
「そうそう。やっぱいつもの雰囲気が大事だよな」
そんなことを言うと立ち上がり、母さんの衣装箪笥へと歩く。
一番下の抽斗を無造作に開け、奥をごそごそと掻きまわす。やがて立ち上がった杉浦の手。
そこに、真っ赤な革製らしき、首輪が握られていた。
杉浦は得意げな微笑を浮かべて、それを持ち上げ、母さんに示してみせる。
母さんは無言で、そんな杉浦を見つめる。杉浦が母さんに近づく。
「ほら」
ペットを扱うように促された母さんは、のろのろと両手をあげ、自らの髪を掻き上げた。
白いうなじが露出される。
無言のままではあったが、母さんは杉浦が行為をしやすいように協力したのだ。
花婿が花嫁のレースをあげるような仕草で、杉浦は母さんのうなじに首輪を廻していった。
母さんはこの変態的な行為を受け容れている。これが当然なのだと受け止めている。
これは二人にとって、すっかり慣れた性の儀式なのだ。
「やっぱ似合うわ」
杉浦はまるで自分の作品でも見るように、母さんの全身を矯めつ眇めつする。
黒のブラジャー。黒のショーツ。黒のガーターベルト。そして首に、赤い首輪。
そんな姿で、母さんは立ち尽くしていた。