12/10/18 04:58:46.49 bEzAnW1I
予定通り連載を続けます(笑)
俺はただ黙って奴の後ろを歩いた。
手を繋いでいるのだから真横を歩けば良いのだが、
奴が前で、俺は後ろだ。
これは絶対に変えられない距離なのだ。
俺は黙って歩いている奴の背中を、切なげな目で見つめた。
すると、奴は後ろを振り向いた。
まるで俺の気持ちを察したかのように。
俺は奴の手に引き寄せられて、横に並ぶ。
奴は、俺のマフラーの端を、奴の肩に掛けるようにして軽く巻く。
いわゆる、恋人同士がするあれだ。
微笑を浮かべてくる。
俺も微笑んで応える。
会話は無かったが、それでいい。
それでいいんだ。
俺は今、奴の隣りに並び、手を繋ぎながら、
雨の中、川原沿いの土手道を歩いている。
冷たい雨が染みる中、奴と繋いだ手だけが、
たった一つの熱源を持っている。
俺と奴の存在を、証明してくれている。