12/10/17 04:43:43.00 vSiUqaQu
予定通り連載を続けます(笑)
俺が聞きたいのは、口にしたかったのは、
俺が奴の恋人なのか否かという事だ。
なのにどうしてこうも奴は、
何も言わせなくする何か、に満ち溢れているのだろう。
それのせいで俺は、何も言う事が出来なくなる。
陳腐に表現すれば、胸の奥が苦しくなるのだ。
だから、ただ黙って奴の後ろを付いて行く事に決めた。
例え奴がこれからどこに行こうとも、俺は付いて行くのだ。
奴が前で、俺が後だ。
数歩分の何かなのだ。
首に巻かれたマフラーに、首を竦めるようにして顔を埋める。
アロマみたいな奴の香りが染み付いている。
どうする事も出来ない香りが、俺を満たしている。
着いたぞ、と奴が言った。
そこはこっちとあっちを繋いでいる橋だ。
河川の幅はそんなに広い訳では無く、
向こう岸とこっちでは大声を出せば会話出来る程度なのだが、
奴が目指していたのはここらしい。
初詣と橋は何の関係も無い。
俺は益々分からなくなった。
この橋に何か特別な意味でもあるのだろうか。
それとも奴にとってはそうなのだろうか。
橋の真ん中辺りに向かって行く奴の後ろを歩いて行きながら考える。
そろそろだな、と奴が言った。