12/10/16 20:35:55.96 QIPIbKXd
大晦日の夜、俺は奴の家で過ごしていた。
例のクリスマスの時の出来事以来、俺は奴の家に居る事が増えていた。
年越し蕎麦を食べながら、俺も奴も酒を飲んでテレビを見ていた。
奴手作りの蕎麦のダシは美味い。
美味い料理を食べていると酒が進む。
某歌合戦の最後の合唱が歌い終わると、画面が大晦日を過ごす
人々の映像に切り替る。
ゴーン、という鐘の音に合わせるように、画面左端の隅に、
午前零時を示す時刻表示が現れた。
明けたな。と奴が言った。
俺は、うん、とだけ答えた。
行くか。
どこに?と、俺は聞いた。
初詣、と奴が言った。
徒歩で行ける距離に神社なんかねーだろ、と俺は言った。
奴はにやりと微笑んだだけで、何も教えてくれなかった。
その夜、俺たちはセックスをしなかった。
腹が一杯だったのと、酒が回り過ぎていたのが原因だった。
そもそも、奴とヤるのが目的でも無かったし。
新年を奴と一緒に迎えたかった。ただ、それだけだ。
俺はこたつの中に入りながら横になり、眠りについた。
隣りに奴が居るというだけで、幸福な睡眠だった。