07/12/30 18:21:50 INhw8sgA
俺はふらつきながら、奴が飯でも食うか、
と聞いて来たので適当に頷いておいた。
ジャケットのポケットから携帯を取り出して確認すると、
時間は丁度昼飯時だ。
奴は地図で確認しながら歩いて行く。
遊園地の客は午前中よりも増えたようだ。
人ごみを避けつつ奴の後を付いて行く。
奴の左手が空いているのが目に付いた。
俺は複雑な気持ちになった。
つい先程まで、俺の右手を握り締めていた手だ。
歩くのが速い奴の隣りに駆け寄るようにして並び、右手でキャップを被り直した。
目的地に付くまで特に会話は無かった。
ゲーセンとかあんま行かないのな、と俺は話し掛けた。
まあな、と奴は地図を見ながら答えた。
でも俺はそれ以上会話を続ける事をしなかった。
気温は真昼時で、陽が差しているから若干暖かい。
遊園地内を迷い無く歩いていった奴の先には、
お土産屋とレストランが一体になったような施設がある。