ホモエロ小説を書くスレ一ページ目at EROCOMIC
ホモエロ小説を書くスレ一ページ目 - 暇つぶし2ch12:sweet
07/12/25 22:33:57 JkTMj42a
ミスの後も何かとフォローしてくれた。
励ましや慰めや叱咤激励、色々な感情が入り混じった言葉を聞かせてくれた。
その時だった。
俺が奴の香りに気が付いたのは。

13:sweet
07/12/25 22:34:33 JkTMj42a
奴は俺より少し背が高く、髪の毛は黒だ。
丹精な顔立ちで、目は切れ長のいわゆる男前である。
鼻筋が通っていて、俺は特に奴の首筋が綺麗だと思っている。
顎から喉仏のラインがざっくりしているようで流麗だ。
それが俺を励ます時に肩を抱かれた際、目の前にあった。

14:sweet
07/12/25 22:36:45 JkTMj42a
鼻を擽るような、くすぐったいような、甘いような酸っぱいような、
そんな匂いが俺の方へ香っていた。
同じか似た様な香りを嗅いだ時に、俺はいつもその時の事を脳裏に
思い浮かべてしまうようになってしまった。
何時でもその時の映像が鮮烈に目の前に浮かんでしまう。
そして俺は何故か-本当に何故か-勃起してしまうのだ。

15:sweet
07/12/25 22:37:21 JkTMj42a
俺は勃起しないように留意しながらも奴のことを考えた。
俺には恋人が居ないが、奴にも居なかった。
考えてみれば、奴と己のセクシャリティについて深く語り合った事など無かった。
奴がそういう話題を避けるのが上手いのだろうか。
そんな気がする。

16:sweet
07/12/25 22:37:59 JkTMj42a
俺はノーマルだ。
普通に女が好きだし、女の裸を見れば当然立った。
奴は男前なのにどうして女の気配がしないのだろう。
どんな妄想をし、どんなオナニーをして、そしてどんなセックスをするのだろう。
俺は辺りに目を配った。

17:sweet
07/12/25 22:38:32 JkTMj42a
床に散らばっているようなものは何も無かった。
普通男の一人暮らしなら、下着の一枚ぐらい放ってあっても
おかしくは無いのに、まるで生活感がしないほど、床には何一つ落ちていなかった。
きちんと管理された綺麗な部屋だった。
当然だがおかずにしていそうなものも何も無い。
奴は掃除も洗濯も料理も、全て一人でこなしているらしかった。
部屋の内装もシルバーの家具で統一されていて落ち着きがあり、洒落ている。
俺は偶然この部屋に遊びに来る事になった訳で、急いで片付けた雰囲気も無かった。
奴はこの部屋で独り、一体何を考えて生活しているのか。
俺の興味と妄想は膨らむばかりだ。

18:sweet
07/12/25 22:39:03 JkTMj42a
出来たぞ。
突如声を掛けられた俺は思わず肩を跳ね上がらせてしまった。
いつの間にか開けてしまった俺の缶チューハイを見ながら奴は、
ペース早いな、と笑った。
綺麗にカットされたリンゴが出された。
俺はそれを頬張った。

19:sweet
07/12/25 22:39:27 JkTMj42a
こんなもんしかねえけど、と奴は鰯の煮つけを小皿に盛って目の前に差し出した。
中には梅の果肉が入っているのだろうか、覗き込むと微かに梅の香りがする。
奴は一仕事終えたようにコタツの中に入って来た。
冷蔵庫から持って来た缶類をテーブルの上に並べていく。
水滴がこたつのテーブルを濡らした。
手際良く食事の用意がなされた。

20:sweet
07/12/25 22:39:56 JkTMj42a
出された箸-奴も使っているのだろうか-で鰯を突付く。
小皿に少量盛って口に運ぶと、濃い味付けだった。
梅が鰯の臭みを取り除いているのだろう、俺は一口二口と口に運ぶ。
甘しょっぱいとでも言うのだろうか。味付けは濃かったが、
美味い。
酒の進む味だ。
美味いか?と聞かれれば、素直に美味い、と答えてしまう。
奴はまた綺麗な歯並びの白い歯を見せて屈託無く笑った。

21:sweet
07/12/25 22:40:30 JkTMj42a
奴はビールを手に取って、小気味いい音を立てた後、
ぐいっと豪快に飲み干した。
俺の目の前で喉仏が上下に揺れている。
酒を飲む姿が綺麗だ。箸を咥えたまま、俺はそう思った。

22:sweet
07/12/25 22:41:40 JkTMj42a
いつもどんなオナネタで抜いてるんだ?
と俺は小鰯を突付きながら聞いてみた。
そりゃ色々さ、と奴は答えた。
奴は煮付けを多めに奴自身の皿へ運んでいく。
色々って?と俺は更に聞いてみた。
俺はいつも(某有名アイドルの名前)で抜いてるぜ。
すると奴は少し静かになってから、
腹減ってるか?と聞いてきた。

23:sweet
07/12/25 22:42:20 JkTMj42a
減ってるけど、と俺は散漫に答えた。
肉じゃがあるんだが、食うか?
と奴は言った。
俺が無言で頷くと、奴はコタツから出て、肉じゃが二人分と
ご飯二人前をお盆に乗せて戻ってきた。
目の前に並べられている間、俺は美味そうだと思った。

24:sweet
07/12/25 22:42:45 JkTMj42a
俺は素直に出された飯を食った。
奴の肉じゃがは天才的に美味かった。
ダシが聞いているのだがしょっぱ過ぎずくど過ぎず、
且つ材料の自然な甘味が引き出されている。
料理上手で家事上手、おまけに別嬪と来た。
嫁に一人欲しい逸材だ。

25:sweet
07/12/25 22:43:15 JkTMj42a
しかしだからこそ、俺は本来の疑念が益々深まった。
年末にいつもやっているお笑い番組を見ながら
食事と酒を愉しんでいる奴に、
この部屋でセックスするのか?
と聞いてみた。奴は案外すんなりと
偶にな。
と答えた。

26:sweet
07/12/25 22:43:46 JkTMj42a
女としかしないのか?
と俺は三本目の缶チューハイに指を掛けながら問う。
まあな。
一瞬の間があったような気がして、奴は答えた。
俺は何故か納得が行かなかった。

27:sweet
07/12/25 22:44:18 JkTMj42a
奴もいつの間にかビールを三本も開けていた。
調子が良いようだ。
俺は上下黒のジャージだったが、上を脱ぎ捨てた。
暑いのか?と奴がこちらを見やりながら聞いてきた。
少し。
俺は答えた。
そうか。
と奴は言った。

28:sweet
07/12/25 22:45:20 JkTMj42a
コタツの中で、僅かだが足が当たっていた。
奴は気にする風は無かったので、俺もそのままにしておいた。
暫く楽しい時間が流れた。
お笑い番組を見て二人で笑い合ったりネタを物真似したりしながら、
美味い酒と美味い飯を愉しんだ。
足りないものは何も無いような気がした。

29:sweet
07/12/25 22:45:50 JkTMj42a
酒の缶がテーブルの上にいくつも高層ビル群みたいに乱立して、
皿の中身があらかた空になり、テレビも静かになった頃、
奴は満腹と酔いで倒れて寝ていた。
俺も相当酔っていた。
開き気味のシャツから白い綺麗な首元が顕わになっている。
奴は俺の左側に座っていたから、ここから奴の様子が良く見えた。

30:sweet
07/12/25 22:46:20 JkTMj42a
俺は奴の顔を覗き込んでみた。
良く眠っている。無防備な寝顔だ。
切れ長の目が閉じられて、長い睫が瞼の下を覆っている。
真面目に働いていた白くて細長い手が、床に放り投げられていた。
俺は暫く奴の寝顔を鑑賞していた。

31:sweet
07/12/25 22:46:56 JkTMj42a
俺はふと奴を支配したい様な、虐げたいような衝動に駆られた。
完全に己の物にしてしまいたい欲望。
俺は思いのままに奴のシャツのボタンに手を掛けた。
上から一つずつ外していく。
白い胸元が顕わになって行く。
奴の体は良く締まっていた。締まっていると言うより
痩せていると言った方が適切かもしれない。
臍の下の、腰骨の辺りが特に細くなっていて腰骨が浮き出ているのが
何とも言えずフェティッシュだ。

32:sweet
07/12/25 22:47:22 JkTMj42a
しかし俺はこの先をどうしたら良いのかが全く検討が付かなかった。
服を脱がせただけでは奴を己の所有物にすることは出来ない。
次に俺は、奴を知ってしまいたい欲に駆られる。
奴が俺に嘘を吐いている所為だとか、無防備に寝ているからだとか脳内で色々
言い訳をしつつも、俺は奴の寝顔を間近で覗き込んだ。
気持ち良さそうに眠っている。肌が奇妙に生白い。
俺は己の唇を、奴の唇に押し付けてみた。

33:sweet
07/12/25 22:47:51 JkTMj42a
奴を知らなければ、奴を所有する事は出来ないからだと
後から漠然と脳裏に思い浮かべた。
奴の唇は生暖かくて、女のそれとは少し違う。
しかし柔らかい。
この唇で一体何人の女とキスをして、身体を愛撫したんだろう。
奴の正体は知れば知るほど霞掛かって遠く消えていくような気がした。

34:sweet
07/12/25 22:48:23 JkTMj42a
俺は奴の下半身に触ってみたい気がした。
俺が脱がせた所為で、白い体が外気に晒されている。
見るとベルトは止め具が外されていた。
その方が楽な所為だろう。
ズボンの端から少しだけ毛が見えていた。
俺は奴の身体の上を滑らせるように、ズボンの暗がりの中に手を滑り込ませてみた。

35:sweet
07/12/25 22:49:04 JkTMj42a
アンダーの下を弄ってみる。
奴のペニスを指で辿ると、勃起はしていなかった。
呼吸する度に、下腹部が膨張したり、沈んだりしていた。
俺はその腹に口付けてみる。
やはり唇同様に生暖かい。
奴が身動ぎした気がしたが、俺は行為を止めなかった。

36:sweet
07/12/25 22:49:29 JkTMj42a
いやむしろ、俺の中の変態が俺を突き動かしていた。
もう深海から引き上げられた奴の気配は感じていた。
俺は腹を舌を突き出して舐めた。
俺を庇う為に空気を溜めた筈の腹が、
俺と同じ物を入れこなしている筈の腹を俺は舐めている。
茂みの中で奴を少し、触ってみたりする。

37:sweet
07/12/25 22:49:53 JkTMj42a
奴は動かなかった。
動けないのかタイミングを伺っているのか、
良く分からなかったが俺は奴を弄り続けた。
やがて唇が離れて、奴のペニスから手を引いて奴を見ると、
奴と視線がかち合ってしまった。
切れ長の目の奥の黒目が、鋭く俺の脳髄を射抜いている。

38:sweet
07/12/25 22:50:20 JkTMj42a
奴は何事も無かったかのような所作で身体を起こし、
奴自身の、俺の唾液で濡れてひんやりとした下腹部に手をやりながら、
そこに視線を落としていた。
当然シャツの前が肌蹴ているのにも気が付いている。
奴はもう一度、真正面から俺を見た。
俺が視線を反らす事は無かった。
真正面から真っ直ぐに奴の瞳の奥を見つめ返す。

39:名無しさん@ピンキー
07/12/25 22:50:50 7wv7Pau+
面白いしえん

40:sweet
07/12/25 22:50:58 JkTMj42a
奴は俺の肩を軽く抱き寄せてから、唇を重ね合わせてきた。
俺は抵抗しなかった。
さっきと違って、熱い吐息が俺に掛かり、混ざり合った。
奴は俺の首筋に口付けると、シャツの中に手を忍ばせ、
乳首を丁寧に弄んだ。
正直言って、気持ち良かった。

41:sweet
07/12/25 22:51:42 JkTMj42a
奴が俺の上にのしかると、自然と俺は床に押し倒される形になった。
奴に服を剥ぎ取られながら、一体何人の女が、この綺麗な、
何も落ちていない綺麗な床で、こんな風に押し倒され、
奴とセックスしたのだろうと、またあの疑問が脳裏蘇った。

42:sweet
07/12/25 22:52:16 JkTMj42a
奴は俺の陰茎を口に含んでフェラした。
電撃の様な何かが俺の中を駆け巡る。
上手い。
奴はこんな風に女からフェラされた事があるのだろうか。
俺はそんなことを考えながら、恥ずかしげも無く喘いだ。

43:sweet
07/12/25 22:52:43 JkTMj42a
奴の巧みな舌使いと緩急に急かされる様にして俺は射精した。
精液が奴の、綺麗な顔に掛かった。
奴はそれを指と舌で舐め取ると、俺に口付けた。
舌を入れられて、口内では何だか良く分からない味がした。
俺も奴も全裸だった。
奴は勃起した立派な男根に、ゴムを被せる。
俺はそれをただ眺めている。

44:sweet
07/12/25 22:53:18 JkTMj42a
奴が俺のアナルを指で解し始めた。
俺はアナルセックスは初めてだったが、
奴とのそれに、不思議と恐怖心は無かった。
それが信頼か信愛かは分からなかったが、
俺は俺を解き解す奴をただ、見つめている。
長い睫が伏せられて、開いたかと思うと俺を射抜く。
それだけで俺は達してしまいそうだった。
ただ俺の喘ぎ声と、淫猥な響きだけが部屋の中を満たしている。

45:sweet
07/12/25 22:53:48 JkTMj42a
俺はすんなりと奴を受け入れた。
奴は始めはゆっくりと、しかし徐々に激しく腰を振った。
俺の体が前後に揺れている。
奴とのセックスは気持ちが良かった。
奴がヤリチンだったのかもしれない。
俺は喘いだ。
奴も喘いでいる。

46:sweet
07/12/25 22:54:14 JkTMj42a
奴からは汗臭いような、エッチな様な匂いがした。
もう、あの良い香りとは違っていた。
しかしそれが俺の物なのか、奴の物なのかは解らない。
奴は俺の上で腰を振り続けた。
激しいセックスだ。
奴は俺を壊すつもりなのかもしれない。

47:sweet
07/12/25 22:54:54 JkTMj42a
俺と奴は交合に、時に同時に達し合いながら
何度もイキ続けた。
もう何度イッたか解らなくなっていた。
奴はいつもこんな風に激しいのだろうか。
普段の落ち着いた物腰からは想像出来ないが、だから尚更興奮する。
雄同士で求め合いながら、お互いを掻き抱きながら俺たちは朝を迎える。

48:sweet
07/12/25 22:55:31 JkTMj42a
朝。
疲れてぐったりして眠っていたが、お互いから離れる事は無かった。
俺は目を覚まして、身体を起こし、隣りで寝ている色男を見つめる。
俺は一体何時から奴を想い、行為を受け入れる程に思っていたのだろうか。
考えても答えは闇の中だ。
それかきっと、奴の胸の中に違いない。

49:sweet
07/12/25 22:56:01 JkTMj42a
奴も目を覚ましたようだ。
俺と視線を合わせて、微笑を浮かべる。
また俺を、その広くて白い、綺麗な胸へと抱き寄せた。

50:sweet
07/12/25 22:56:29 JkTMj42a
この後俺たちがどうなったのかは―ご想像にお任せすることにしよう。
何故なら俺たちの今夜の出来事は、俺たちだけの秘密だからだ―。


―了―

51:sweet
07/12/25 22:58:53 JkTMj42a
あーやっと終わった…途中のレス抜かして一応全部で50。
もし全部読んで下さった方居たらありがとうございます
これでクリスマスにこんなエロ小説書いてる俺の身も救われます(半泣)。
まぁ…何と言うか…エロも小説も難しいね。うん。
はい。寝ますおやすみサンタさん。

>>39
面白いかどうかは保証し兼ねますが…暫くお付き合い下さいーー;
実はまだ続きます…この夜のお話の前後で…

52:sweet
07/12/25 23:07:02 JkTMj42a
【作品名】too bitter
【作者名】sweet
【作品の説明】前回と設定を同じくして。前回が24-25の夜に起こった出来事に対して
今回は24日の午前から夕方の出来事です。
せっかくだから恋人居ない同士で遊園地に行く事になって…。

53:sweet
07/12/25 23:17:18 JkTMj42a
今日はクリスマスイヴだ。
しかし俺には彼女が居なかった。
俺のダチも同様だった。
男前なのに女の気配がしない、不思議な奴だ。
そんな訳で俺は今、遊園地前の人通りの多い中、奴を待っている。

54:sweet
07/12/25 23:28:16 JkTMj42a
事の発端はこうだった。
俺と奴は同じ大学に通っていて、奴が別な友人から遊園地の
ペアチケットを譲り受けたのだ。
その別な友人はクリスマス直前に女に振られたらしく、
奴に散々嫌味を言いまくっていたらしい。
当然奴には彼女が居ないからチケットを持て余し、他に譲り渡す相手も居なかった。
そこで俺と、遊園地で女同士で遊びに来てる同じ境遇の女も居るだろ、という話になった。
半ばヤケも入り混じっていた。男二人でクリスマスイヴに遊園地。何て楽しい響きだ。

55:sweet
07/12/25 23:56:08 JkTMj42a
俺は内心で奴の友人に同情した。
何故なら奴はモテるのに彼女が居ないからだ。
事実奴は、男前で頼りがいがあって、且つそれを鼻に掛けない嫌味な奴なのである。
俺は当日、その辺にあったジャケットを適当に引っ掴んで着て来ていた。
下は普通のジーパンだ。しかし向こうからやって来た奴は違った。
グレーのジャケットに黒のVネック、カラーを合わせた灰のストールにスキニー、
靴は黒の革靴だ。腕にもアクセサリーが数点。
…俺は心から奴の友人に同情する。
嫌味の一つも言いたくなるさ。

56:sweet
07/12/26 00:11:46 eJVo1KQg
奴はおまたせのせを抜かして一語一語区切って言った。
待ったかどうかを語尾を延ばして聞いて来た。
俺はそれを無視して奴から遊園地の半券をひったくると、
入口の方へ向かった。午前中、イヴの遊園地は混んでいたが、酷く混んでいる訳では
無かった。今は地方の遊園地はどこもこんな感じなのだろう。
奴は俺が怒っていると思ったのか、様子を伺って来る。
俺は何でも無い、という風に肩を竦めてから、遊園地のパンフレットを広げた。

57:sweet
07/12/26 00:18:27 eJVo1KQg
とりあえずどこに行こうか、と俺は奴に相談した。
半ばヤケの気持ちが入っていたから、どうせなら思いっきり
楽しんでやろうという気持ちだった。
奴は俺の広げたパンフを覗き込みながら考え込むように唸った。
俺が被ったキャップの向こうに、ノンフレームの眼鏡をして
いつもより更に知的に見える奴の顔が見えている。
奴の髪の毛は真っ黒だった。それが肌の白さを引き立てているようだ。

58:sweet
07/12/26 00:29:33 eJVo1KQg
奴はとりあえずどっか座ろうぜ、と言って来た。
奴はパンフレットで園内地図を確認してから、
ベンチのあるだろう場所へ向かった。
俺がぼーっとしていると、俺からパンフレットを受け取って折り畳み、
ゆっくりと歩いて行く。俺は素直に付いて行った。
途中人とぶつかりそうになった俺の肘を引く。
ベンチのあるところに到着すると、奴は俺を座らせて、
ホットの缶コーヒーを買って戻って来た。
俺にそれを手渡して、パンフレットを広げると、
さあ、どこに行くか、と話し掛けて来た。
缶コーヒーの熱で手が温まり、寒さから来る手の震えが納まって
地図が広げ易くなった。公衆電話が壁になって風も来ない。
俺は本当に、奴が居なければ一人では何も出来ないのかもしれない。

59:sweet
07/12/26 00:42:50 eJVo1KQg
奴が俺の近くに座ると、微かにコロンの匂いがした。
女物を付けているのか、奴からは何故か甘ったるくて良い香りがする。
俺がこの匂いに気が付いたのは、バイトでミスった俺を励ます奴に
体が接近した時だった。
ミスった仕事に迅速に対応して、店長に頭を下げ、庇いもしてくれた。
店長に謝った後は、俺に色々な言葉を掛けてくれた。慰めもしてくれた。
どうして俺の為にそこまでするのだろうか。
その時から何故か奴の存在が気になった。
奴の香りが漂う度に、当時の奴の様子を頭に思い浮かべてしまう。
あの時の真剣な横顔は目に焼き付いて離れることが無い。そして奴の声も。
そんな時、俺は自分のペニスを勃起させてしまう。
どうしてかは分からない。

60:sweet
07/12/26 01:03:19 eJVo1KQg
奴がここ行こうぜ、と地図の右上を指差した。
どうやら新しく出来た巨大型お化け屋敷らしい。
某ゾンビゲームとのコラボレーション施設で、
襲い掛かって来るゾンビを倒しながら施設を進む、
この遊園地の目玉アトラクションである。
俺は快諾して施設に向かった。
シューティングなら腕に覚えもある。

61:sweet
07/12/26 01:13:51 eJVo1KQg
奴の後を付いて行く様にしてお化け屋敷の前にたどり着いた。
お化け屋敷というよりも、廃墟と言った方が正しい風貌だ。
それに建物がやたらとでかい。壁面が蔦で覆われていて不気味な雰囲気を醸している。
入口前には行列があった。
二時間待ちの立て看板があったが、奴は話の上手い男だったから、
待ち時間が退屈するという事は無かった。
むしろ楽しめたぐらいだ。
こんな時、奴と二人で良かったと思う自分が居たりする。

62:sweet
07/12/26 01:37:55 eJVo1KQg
やっと俺たちが係員に案内される番になった。
説明を受けてから、ゲーム用のミリタリージャケットを着用して、
いざ施設の中へ―俺は始めからゾンビ共を打ちまくる算段だったが、
始めは武器を与えずに不安を煽る演出らしい。
四角く区切られた施設入口から中へ、自衛隊員風の誘導員に案内され進む。
誘導員は俺たちを怖がらせようと演技たっぷりの説明を加えてくる。
奴の顔をちらりと横目で伺ったが、涼しそうな顔をしている。
俺は胸を張って、ぼんやりとした証明に照らされた廊下を歩む。

63:sweet
07/12/26 01:50:32 eJVo1KQg
防具服に身を包んだ誘導員の後をそろそろと付いていくと、
後ろからドアを蹴破る音と、呻き声が聞こえて来た。
いつの間にか真後ろにゾンビが迫っている。
俺は思わず声を上げてしまう。想いの外緊張しているのだろうか。
目の前には蔦があって、誘導員からこちらが死角になっている。
俺たちはとりあえず、その場から逃げ出す。
突き当たりにドアがあったが、何故か鍵が掛かっている。
誘導員が向こうから何かを叫んでいる。
絶対絶命だ。
暗闇になれた目にも、奴の表情まではっきりとは見て取れない。
しかし張り詰めた緊張に、耳が奴の息遣いを拾っている。
俺はまた勃起しそうだ。

64:sweet
07/12/26 15:54:38 eJVo1KQg
ちょっと一休み。
続きはまた来週~…




いやこれから書くよw

65:sweet
07/12/27 01:05:10 scPKicJM
隣りで奴が動いたかと思うと、暗闇の中で抱き付いて来る。
俺は一瞬訳が分からない。
震えては居ないが、しがみ付いて離さないといった感じだ。
顔を埋めている所為で、こちらからは表情が見えない。
俺は訳が分からないまま奴に抱き締められている。
またあの香りが漂う。
奴を好きな女が居るとしたら、彼女もこの香りに気が付いているのだろうか。
そんな事が一瞬脳裏を過ぎる。
暗闇の中、俺は奴に抱き締められている。
奴の息遣いと、布ずれの音と、体温と、ゾンビとゾンビの呻き声、
そして暗闇と開かない扉とお化け屋敷。
何もかもが奇妙な取り合わせだ。
その時、後ろの扉が開いた。
俺は思わず落ち崩れそうになった。

66:名無しさん@ピンキー
07/12/27 17:01:29 m4i1hOPU
URLリンク(ytteter.so.land.to)

67:sweet
07/12/27 18:40:51 YrV8qjDi
扉を開けた誘導員は目の前に迫っているゾンビを
ゲーセンによく置いてあるような銃で撃つ。
赤のポインターがゾンビの胸に照射されると、
ゾンビの胸が光って倒れる。
どうやらこうやってゾンビを倒すらしい。
俺の体は落ち崩れる事は無かった。
奴が俺の腕を引っ掴んでいたからだった。
俺はしがみ付かれていたのか支えられていたのか、
また訳が分からなくなる。
防護服を身に付けた誘導員が俺たち二人に声を掛ける。
横を見やると奴はまた平然と立っている。

68:sweet
07/12/27 19:02:59 YrV8qjDi
俺たち二人は薄暗闇の中、扉の向こうへ案内された。
扉の向こうは不思議の国ではなく、ある程度広いスペースになっている。
巨大なお化け屋敷の内装は、白いコンクリの壁面が剥き出しになっている。
例えるなら無人の廃墟の様な作りだ。
そんな中を武器も持たずに進むのだから、余計に怖い。
俺がまた奴の様子を伺おうとする前に、隊員に扮した誘導員が緊迫した雰囲気で
武器と施設内の説明を始める。
彼の説明を要約するとこんな感じだ。
ここは元、某傘の組織の研究所で、バイオテクノロジーの研究を行っていた。
しかし研究員の裏切りなどにあい、今は施設全体をゾンビが支配している。
その中を俺たちは進まなければいけないらしい。
説明が終わるとようやく銃を二人分手渡された。
要領はさっきの銃撃を見て覚えた。
俺は自分の銃を握り締める。

69:sweet
07/12/27 22:10:27 YrV8qjDi
小部屋には何故か日が差していて、若干明るい。
それが少し安心感を与えてくれる。
暗闇に慣れた目に少し眩しかったが、辺りの様子が分かる。
奴の方にも日が差している。
髪の毛の一筋一筋が光の束になって自然光を反射している。
奴は手渡された銃器をじっと見下ろしている。
伏せられた瞼から伸びた睫も光を反射していた。
奴はさっきの瞬間、一体何を考えていた。
俺には分からない。
俺は奴に、大丈夫か、と聞いてみた。
大丈夫だぜ、と奴は答えた。
奴は俺の方を見なかった。

70:sweet
07/12/27 23:26:51 YrV8qjDi
怖いのか、と俺は聞いてみた。
何が、と奴は答えた。
それ以上聞いても欲しい答えは得られない気がして質問するのを止めた。
来たくないなら来なければ良いのに。
俺はそう思って銃を構えた。偽者の隊員が次のドアを開く。
コンクリートが剥き出しの通路を隊員を先頭に歩いて行くと
後ろから低い呻き声が聞こえて、後ろを向く。腐敗者が来る。
先程の部屋から出て来たのか、どこからか溢れるようだ。
全身が緑色な様で、ボロボロの服、それから血糊。
顔面や体の一部が酷く損傷している者もいて、それなりにリアルでグロテスクだ。
カクカクした不自然な動きも気味が悪い。
俺は狙いを定め易いように両手で銃を構えてから、引き金を引く。
最初の一発でゾンビの胸が光り、よろめく。
しかし一発では死なないようだ。
地獄の底から聞こえて来るような呻き声を上げ、覚束無い足取りで迫り来るのだが、
だからこそ胸の急所に命中させるのが難しい。
二発目の弾丸、ことポインターを打ち込むため、
銃の切っ先をゾンビの胸に狙い定める。俺は構えた。

71:sweet
07/12/28 03:24:52 yTdFU33b
ポインターはゾンビの胸を射抜く。
急所が光り、ガーとかゴーとかいう効果音が流れる。
しかしゾンビは中々しぶとかった。
それで俺はちょっと焦りを覚える。
打たれて倒れてもゾンビは蘇り、迫って来る。
だが俺は割りと冷静に、三発目の銃弾の照準をゾンビの胸に合わせる。
両手でしっかりと構えれば、数を打たなくても当たるのだ。
三発目で漸くゾンビが死んだ。床に倒れて動かなくなる所はゲームと同じだ。
奴はもう一匹のゾンビに苦戦しているところだった。
俺はもう一匹の方の急所に狙いを定める。程なくゾンビは倒れた。
奴は片手で構えていた。
それでは当たらないから、俺はこうやるんだぜ、と構えを見せた。
ああそう、じゃあお前が撃ってくれ、と少し素っ気無い印象の返事が返って来た。
俺は口元に笑みを浮かべてしまう。
そういえばこいつと二人で、ゲーセンなんて行った事無かったな。
隊員の誘導に従って通路を進む。

72:sweet
07/12/28 04:00:21 yTdFU33b
その後ゾンビ共は場所変え手段変え俺たちに襲い掛かって来た。
ロッカーから出てくる者も居れば柵の向こうから腕を伸ばす者、
進路を塞ぐ者に上から何かが振って来るドッキリもあった。
俺は楽しかった。というか存分に楽しめた。
何故なら銃撃が得意だからだ。
面白いように弾丸はゾンビの胸を貫いた。
当然お化け屋敷だから、気味の悪い仕掛けや装飾に心臓が跳ね上がった。
突然生首が飛んで来た事もあったが、気持ちの良い緊張感で満たされる。
最後は鍵の掛かった扉の鍵を打ち抜いて俺たちは大部屋に案内される。
奴はというと、ひたすら銃撃が下手糞だった。
中々ゾンビが倒れないので、俺が焦って撃った。
ゾンビが迫って来る焦りがあってそれはそれで楽しかった。

73:sweet
07/12/28 04:18:59 yTdFU33b
誘導員にここが最後の部屋だという主旨の説明を受ける。
メインルームだから、ここを抜ければ出口らしかった。
そしてゾンビが沢山居るから、隊員の合図と共に撃ちまくれという事だった。
銃の射程距離はそれ程長くないから、引き寄せてから撃つ為である。
俺たちは中に入る。中は薄暗い。
けたたましい警報音が鳴り、俺たちは銃を構える。照明がほぼ同時に赤に変わった。
仕切りだった筈のガラスが割れている。その向こうにスペースがあって、
始めは何も無いように見えたが、倒れていたゾンビ共が唸り声と共に身体を起こす。
俺は隊員の合図があると、こちらに向かってくるゾンビを只管撃った。
このゾンビ共は数が沸いてくる割に、容易に倒せる。
奴も撃つ。今度は両手でしっかりと構えている。
楽しめている様子が雰囲気で伝わる。
横移動しながら、俺達に撃たれたゾンビは次々倒れていく。
蘇る残党を掃除したら後は出口へ向かうだけだ。
俺はこの暗闇と緊張感から逃れられる安心で、胸を撫で下ろす。
ここを出たら次は奴と、何処へ行こうかと考える。

74:sweet
07/12/28 04:35:14 yTdFU33b
ゾンビが完全に倒れてから、ここからは通路があるだけで、
走るのに邪魔になるから、と説明する隊員に自分の銃を預ける。
俺達は次の通路へ通じているはずの扉を開く。
しかしそこに光は無かった。暗闇があるだけだ。
俺はガックリしながらも通路を進もうとした。
しかし俺はある事に気が付いた。
誘導員が居ない。
そして良く見ると、奴も居ない。
どういう事だ。
俺は暗闇の中に一人、取り残されてしまったのか。
妙な不安が俺の中を襲う。
生々しい、誰もが一度は経験した事のある厭な焦りだ。

75:sweet
07/12/28 18:21:44 yTdFU33b
俺は右を見る。
左を見る。
右も左も暗闇と壁があるばかりだ。
一番初めの通路よりは横幅が広い。
前にも後ろにも何も無い。暗闇が続いている。
俺は立ち往生するしか無かった。
下手に動いて道に迷ったりしたら戻れなくなるからだ。
それにこの施設は、外観からしてかなり大規模なものだ。
暗闇の中歩き回って出て来られなくなったりしたら―
俺はぞっとする考えを捨てて、その場で待つ事にした。

76:sweet
07/12/28 18:35:43 yTdFU33b
周りが全部暗闇なものだから、上下感覚が奪われていく感じがする。
宇宙空間に一人で取り残されたらこんな感じなんだろうか。
足場が揺れているような気もするし、揺れていない気もする。
俺は小学生の時に科学館で、似た様な体験をしたのを思い出す。
渡り廊下のような短い橋があって、そこを渡る。
四角い部屋に囲まれていて、周囲は全部白っぽい。
橋を渡ると、しっかりと固定されているはずなのに、揺れている様な感覚に襲われる。
とても奇妙な感覚だ。
揺れていないのに揺れているのである。
俺は気持ち悪くなって早々にその橋を渡った。
その橋は、目の錯覚で揺れている様に感じてしまう橋らしかった。
その時の経験に似ているような気もする。

77:sweet
07/12/28 18:45:45 yTdFU33b
じっとりと気持ちの悪い汗が俺の額から滲み出る。気分が悪い。
もう何十時間もここでこうしている気がする。
さっきこの通路に入ったばかりの筈なのに、だ。
俺は壁に手を付いた。
ふと、壁伝いに手を付いて進んで行けば外に出られるんじゃないだろうか。
と俺の脳内に解決方法が思い浮かんだ。
ゆっくりと尺取虫の様に、壁伝いに手を付きながら歩を前に進めて行く。
俺は小学生の頃よりもっと前の、幼少時の時分を思い出していた。
どこか見知らぬ遠い町で、時刻は夜だ。
車が通る大通りの横の歩道を俺は歩いている。
泣きながら歩いている。
何故そんな幼子がそんな所を一人で歩いているのか自分でも分からなかったが、
俺の記憶として残っている映像の断片が目の前に思い浮かぶ。

78:sweet
07/12/29 00:29:20 Ifm3VZsI
俺はゆっくりと、だが確実に前に進んだ。
誰かが急に出て来たとしたら悪い冗談だが、むしろそっちの方がありがたい。
何故なら、お化け屋敷というのは何も無いのが一番怖いからだ。
ふいに後ろからあーとうーの中間の様な呻きが聞こえて来た。
さっきの部屋で倒したはずのゾンビが蘇ったのだろうか。
俺は銃を持っていないから銃撃は無理だ。
というか武器を何も持っていないという状況に益々不安を煽られる。
俺は不安を打ち消そうとしたが無理だった。
あーとうーは数を増して聞こえて来る。
不気味な気配と何かが背後で蠢く音。
思い切って後ろを振り向く。
ゾンビが大勢居た。
大勢のゾンビが俺に襲い掛かろうとする。
俺は逃げようとして思わずけっつまずいてしまう。
通路のひやりとした床に両手を付いた。
どうする事も出来ない。
何かが俺の中から溢れ出て来そうだった。

79:sweet
07/12/29 00:37:18 Ifm3VZsI
俺の手に生暖かい何かが触れた。
自分の手を見る。
人の手だ。
見覚えのある細くて白い手。
その手は俺の手を包む。
俺は立ち上がって、その手の導くままに駆け出した。
目の前には見覚えのある背中。
手はぐいぐいと俺を引っ張って行く。
背後の呻き声が遠ざかる。
俺は咄嗟に叫んだ、奴の名前を。

80:sweet
07/12/29 00:45:20 Ifm3VZsI
目の前が真っ白になった。
俺は目を細める。
目の前に手を翳す。
何が起こったんだ。
俺の右手を誰かがしっかりと握り締めているのは分かる。
とりあえずその手を握り返しながら、翳した手を外してみた。
そこにはあの隊員と、案内の係員が笑顔で立っている。
お疲れ様でした、などと労いの言葉も掛けて来る。
俺は奴に促されながらも身に付けた防護服を外して係員に手渡す。
どうやらここがゴールらしい。
出口を案内する看板が立っている。
目の辺りがチカチカする。
横を見ると奴が居る。

81:sweet
07/12/29 00:55:57 Ifm3VZsI
周囲は明るい。
今は正午ぐらいだろうか、遊園地はまだ客で賑わっている。
俺は徐々に正常な感覚を取り戻していった。
何時の間にか俺の手を守るようにしていた手は離れていた。
俺と奴はでかでかと『出口はこちらです』と書いてある看板に従って
巨大な施設から離れていく。
もう一度奴の方を見た。
俺の視線に気が付いた奴は、事のあらましを説明し始めた。
最後の所で、ゾンビが蘇って群れを成し襲って来る演出らしいが、
どうやら俺と奴と誘導員が何かの調子で逸れてしまったらしい。
奴は誘導員が導くままに一緒にゾンビから走って逃げた。
しかし俺は取り残されてしまった。
それに気が付いた奴は俺を迎えに行った。
やはり、さっき俺の手を握り締めていたのは奴の手らしかった。
奴は俺の方を見て、大丈夫か、と聞いて来た。
妙に晴れやかな笑顔だ。
俺は状況を把握して、体中の血液が顔面に立ち昇ってくるのが分かった。

82:sweet
07/12/29 01:07:45 Ifm3VZsI
奴は俺の頬をぺしぺしと叩く。
少し冷たい指先が俺の頬に当たる。
本当に大丈夫か、と今度は少し真面目な表情で俺の瞳を覗き込んで来る。
俺は奴の目を直視する事が出来ずに、目を反らして頷いた。
穴があったら入りたいような気持ちになった。
奴と歩きながら俺は頭を抱える。
気分でも悪いのか、と奴が聞いてくる。
別に、と俺は簡潔に答えた。
そうか、と奴は答えて前を向く。
遊園地客のざわめきが耳に伝わってくる。
俺は嬉しいような、嬉しくないような気持ちになった。
さっきの手の感触が、まだ掌に残っている。
それを思うと、俺はむず痒い気持ちになる。

83:sweet
07/12/29 02:47:33 Ifm3VZsI
眠い…ので続きは俺の脳内で書いておきます…orz
皆さんおやすみなさい…

84:sweet
07/12/30 18:21:50 INhw8sgA
俺はふらつきながら、奴が飯でも食うか、
と聞いて来たので適当に頷いておいた。
ジャケットのポケットから携帯を取り出して確認すると、
時間は丁度昼飯時だ。
奴は地図で確認しながら歩いて行く。
遊園地の客は午前中よりも増えたようだ。
人ごみを避けつつ奴の後を付いて行く。
奴の左手が空いているのが目に付いた。
俺は複雑な気持ちになった。
つい先程まで、俺の右手を握り締めていた手だ。
歩くのが速い奴の隣りに駆け寄るようにして並び、右手でキャップを被り直した。
目的地に付くまで特に会話は無かった。
ゲーセンとかあんま行かないのな、と俺は話し掛けた。
まあな、と奴は地図を見ながら答えた。
でも俺はそれ以上会話を続ける事をしなかった。
気温は真昼時で、陽が差しているから若干暖かい。
遊園地内を迷い無く歩いていった奴の先には、
お土産屋とレストランが一体になったような施設がある。

85:sweet
07/12/30 18:37:23 INhw8sgA
中に入ると広々とした空間がそこにあった。
お土産屋が右にあり、レストランが左。
仕切りの壁に窓があって、隣りの施設の様子が視界に映る。
広めのログハウスで作りは木造、見ると二階席に繋がる階段がある。
上は吹き抜けになっていてお洒落な内装だ。暖色の照明が店内を明るくしている。
中は込み合っていたが並んでは居なかった。
俺と奴が出入口付近のボードでメニューを確認していると、
アメリカのレストランに居そうなコスプレの店員が声を掛けて来た。
窓際の二名の席に案内されて、俺はジャケットを脱いだ。
テーブルは四角く、こちらも木で出来ている。椅子も悪くない。
奴は脱いだ上着を自分の椅子に掛けているところだ。
こういうところが几帳面だと思う。俺も椅子の背凭れに掛けてから椅子に腰掛ける。
中は暖かく、四角い窓から外を行き来する人々の姿が見えた。

86:sweet
07/12/30 18:57:50 INhw8sgA
俺はそこで、本来の目的を思い出していた。
奴と遊ぶのが楽しくて、すっかり忘却の彼方へ追いやってしまっていた。
女友達同士で来ているのを捕まえて遊びに誘う事だ。
世間一般ではこれをナンパと呼ぶ。
どうしてナンパと呼ぶのかは知らないが、水とお絞りを出してきた店員に、
カルボナーラ、と言った。俺は奴の方を見て、お前は、と聞く。
俺はミートソースで、と奴は店員に直接答えた。
俺達を接客した店員は女でショートヘアの、中々可愛い部類だ。
頭にヘッドドレッサーを付けている。この店の制服なのだろう。
取り出した注文表に何か―俺達の注文の他に無いのだが―を書き付けて、
メニューを確認する。
俺はそれに頷くと、彼女は人込みの中へと消えて行った。

87:sweet
07/12/30 19:16:18 INhw8sgA
どういうのが好みなんだ、と奴に聞いてみた。
奴はお絞りで手を拭きながらのんびりと、そうだな、と答えた。
黒のVネックから白い首が伸びている。
首元には鎖骨が見える。
俺は奴の手元を眺めると、さっきの出来事を脳内に思い浮かべた。
触れた感触が拭われてしまうのが何だか勿体無いような気がする。
俺は少し黙って、冷たい水を一口呷った。
さっきの店員、結構可愛くなかったか、と俺は言ってみた。
奴は店の奥の方に目をやって、彼女、と聞いてきた。
それから店内を見渡して、俺はああいうのが好きだな、と答える。
奴の視線の先を辿ると、少し遠くの席に、黒髪ロングの女性が居た。
顔立ちがきりっとしていて芯が強く、和服が似合いそうな美人だ。
丁度もう一人の女の友達と、食事を愉しんでいる最中である。
俺は、ふうん。と答えた。

88:sweet
07/12/30 23:01:33 INhw8sgA
自分で聞いておきながら何だか複雑な気分だ。
何がどう複雑なんだろう。
心の中で問い掛けてみたが、俺の引き出しの中に答えは見付からなかった。
俺は布巾を広げつつも手は拭かなかった。
そうこうしているうちに、料理が運ばれて来た。
さっきと同じ彼女が、失礼します、と俺と奴の目の前に、
それぞれのスパゲッティーをお盆から静かに置いていく。
彼女は中々のスタイルの良さで、胸が大きい。
もう一度確認を終えると店員は次のお客の案内に掛かる。
ああいうのはどう、と俺は自分の胸の前で、
自分には無い架空の女の胸を持ち上げるような動作をして見せた。
奴は他の客の対応に当たっている彼女の背中に目をやってから、
大きいに越した事は無いな、と答える。
俺は形の良さ重視だな、と返すと奴は、
そう、とだけ言った。

89:sweet
07/12/30 23:22:40 INhw8sgA
俺はカルボナーラをフォークで小さめに巻いてから、
口に一口運んだ。
遊園地レストランのカルボナーラは、子供向けの濃い味付けだ。
不味い。
俺はそう思った。
クリームのソースが少ししょっぱい様な気がする。
向かいの席に座っている奴の方を見た。
奴はフォークで巻いたスパゲッティーを落さないようにスプーンで
すくいながら巻いて、一口大よりも少なめにすると、口に運ぶ。
ミートソースは軽く絡める程度だ。
奴が俺の視線に気付くと、美味いか、と聞いて来た。
不味いよ、と俺は答える。
俺のは不味く無いぞ、と奴はミートソース・スパゲッティーの皿を
こちらへ差し出した。
奴のをフォークに巻いてから口に運ぶと、美味い。
服汚れるぞ、と奴が注意したので、俺は黙って左手にスプーンを装備する。
俺が差し出したカルボナーラを試食している最中の奴に、
美味いか、と聞いてみると、
微妙だな、と奴は答えた。

90:sweet
07/12/30 23:49:35 INhw8sgA
取り替えても良いぞ、と奴は言ったが、俺はその申し出を断った。
その後俺達は黙々を飯を食った。
特に話し合うようなことも無い。
俺は次の予定だけ相談してみた。
奴も特にこれといった計画は無いようだ。
遊園地のパンフレットを見ながら、例のお化け屋敷と一二を争う
人気のジェットコースターがあるのを見つけて、俺はそれを指差した。
待ち時間もあるだろうから時間も潰せる。
奴はそれ乗ったら観覧車乗って帰るか、と答えた。
何でお前と、と言うと、奴は俺と視線を合わせてから、
夕日が綺麗に見えるから、と答えた。
俺は、いいよ、じゃあそうしよう、と返す。

91:sweet
07/12/31 00:03:09 HfAAvh+c
飯を食い終えると俺たちは店を出た。
何故だか奴が全額奢ってくれた。
俺は断ったが、奴は、俺が遊園地に誘ったから、と言った。
そうだっけ、と思った。
確か奴と遊園地のチケットが余って困っているというような話をしていて、それで…。
考えているうちに奴はレジで会計を済ませ、気が付くと出口に向かうところだった。
俺は後を追いながら、サンキュー。とだけ言っておいた。
忘れもんとか無いよな、と奴が聞いて、
俺は自分の装備を確認してから、無いよ、と答えた。
外は寒い。暖かい店内から外に出た途端、冷たい風が頬を刺す。
俺は肩を竦めて、ジャンパーの前を上まで閉めた。

92:sweet
07/12/31 00:28:18 HfAAvh+c
奴と俺は、ジェットコースターを目指して歩いた。
取り留めの無い話をした。
行列待ちの時間も。
奴との話題は尽きる事が無く、楽しい。
順番が来ると、奴は奥のシートに座った。
俺は手前のシートに座る。
恐怖系は大丈夫なのか、と俺はからかい半分に聞いた。
シートベルト締めろよ、と奴は言った。
奴に指摘されて俺はシートベルトを締め、止め具をしっかりと降ろした。
ジェットコースターは信号音と共に、徐々に上昇を始めた。
かなり上まで引っ張り上げるから、下りに入るまでかなり時間がある。
今か今かという緊張感が、不安と恐怖と期待を煽ってくる。
ようやく頂点に上り詰めてからも妙に時間が掛かる。
そこからは一気に下りだ。
きゃーとかわーとか他の客が叫んでいる。
俺はぐっと力を入れて耐える。奴の様子を見やる暇も無く、
右に曲がれば左に曲がり、上がったり下がったり、とにかく怖い。
俺はひたすら耐える。

93:sweet
07/12/31 00:35:29 HfAAvh+c
ようやくゴール地点が見えて、最後はスッと止まった。
俺と奴は降りて、出口に向かった。
俺は笑っていた。
奴も笑っていた。
お互い笑いながら、お互いを笑い合って、俺達はジェットコースターを後にした。
もう、このままで良いと思った。
俺は奴と二人で居るのが楽しい。
奴も楽しそうだ。
他には何も要らないと思った。
そう思いながら、いつのまにか時間は過ぎて行った。

94:sweet
07/12/31 00:42:53 HfAAvh+c
俺達は観覧車に向かった。
冬だから陽が短いのだろう、暮れが迫って来ている。
人は少し並んでいるくらいで、他に比べれば少ない方だ。
すぐに俺達の番になって、係員に誘われるようにして乗り込んだ。
ガチャンと外から鍵が掛けられた。
俺は右に、奴は左に腰掛けた。
楽しかったな、と俺は興奮気味に言った。
奴も、そうだな、と頷いた。
俺達を乗せたゴンドラが、ゆっくりと高度を上げて行く。

95:sweet
07/12/31 00:55:08 HfAAvh+c
僅かに時間が流れた。
俺と奴は、外の景色を眺めていた。
奴が、今日は付き合ってくれてありがとう、と口にした。
俺の方こそ、と答えた。
楽しかった。と奴は言った。
俺も、と返した。
奴が俺の方を見ていたので、俺も奴を見た。
微笑を浮かべているような、そんな目元だ。
目を合わせると、黒い瞳の中に吸い込まれそうな気がする。
少し黙ってから、ゾンビ屋敷で俺に抱き付いて来ただろ、と聞いた。
奴は案外すんなり、ああ、まあな、と言った。
怖かったのか、と俺は聞いた。
少し、と奴は答えた。
お前は、迷子になっただろ、と奴は言った。
俺は沈黙した。
しかも涙目だった、と更に付け加えられた。
だから、おあいこだろ。
俺は顔が紅潮するのを感じてから、泣いてない、と言った。
いや、泣いてた、と奴は言った。
俺は外の景色に視線を移した。

96:sweet
07/12/31 01:08:40 HfAAvh+c
俺は奴が握った右手の感触を思い出していた。
遠くの方に、例のお化け屋敷が見えている。
人が蟻のように小さくなっていく。
奴が、女見付けられなくて、残念だったな。と言った。
俺は黙っていた。
何だか、口にしなくても、今なら分かるような気がする。
何が分かるんだろう、と俺は考えてみる。
今日の出来事を色々と思い出してみた。
俺は奴と一緒に居てみて、嬉しいような悲しいような、
このままで居たいような居たくないような、両極端の気持ちを感じる。
まるでシーソーだ。
不安定で、どちらかに定まる事が無いのだ。
俺はある事に気が付いて、あ、と口にする。

97:sweet
07/12/31 01:17:22 HfAAvh+c
観覧車は四分の一くらいの高さに来ている。
奴の向こうに、オレンジ色の夕日が見える。
雲の間から、太陽が顔を覗かせている。
奴の黒の髪の毛が、夕日と同じ、黄金色に染まる。
俺の視線に気が付いて、奴は背後を見やった。
どれ、と奴は俺の隣りに席を移す。
少し俺の方に、ゴンドラが傾く。
俺は奴を見る。
奴も俺を見る。
奴の顔の半分が、黄昏色の影を落として輝いている。

98:sweet
07/12/31 01:30:03 HfAAvh+c
奴の左手が俺の右手に重なって、
流れるようにして奴は俺にキスをする。
キャップが床に落ちる。
俺はとりあえず目を閉じる。
触れるような、唇を食むようなキス。
その流れが自然なものかどうか、俺にはよく分からない。
そのままで居たいような居たくないような。
またシーソーだ。
強い日差しを、瞼を通して感じる。
奴の手は冷たくて暖かだ。
唇からも体温が伝わる。
呼吸音が間近で聞こえる。
奴もそんな風に感じているのだろうか。
暗闇と黄昏色との間で、俺は考える。

99:sweet
07/12/31 01:37:35 HfAAvh+c
観覧車というのは案外他の客の様子が見えたりするものだが、
今は上からも下からも、完全に死角になっている。
長い時間そうしていた気がする。
たったの数秒のような気もする。
奴は唇を静かに離してから、前を向く。
夕日の当たる横顔が綺麗だ。
俺も夕日を見る。
観覧車が頂上付近に来て、下りに入り始める頃には、
奴は自分の席に戻っていた。

100:sweet
07/12/31 01:41:34 HfAAvh+c
そこから遊園地を出るまで、俺達は黙っていた。
しかし、息苦しい沈黙では無かった。
何かが俺達の間にはあった。
それでいい。
遊園地を出て、俺は奴の家に遊びに行く約束をして別れた。
奴との何か、は、また今夜の出来事となる。

―了―

101:sweet
07/12/31 01:56:37 HfAAvh+c
ども、sweetです。too bitter終了ー。
ところで、主人公とその相手の友人には名前が無いです。
途中で主人公が、相手の名前を叫ぶシーンがありますが、
sweetの脳内では一応、こんな名前というのはあります(笑)。
主人公は相変わらずの名無しですが…
でも、適当に、好きな名前で脳内補完してあげて下さい。あと、
このお話はまだまだ続きますごめんなさい親父にもぶたれた事無いですから。
我慢して、主人公二人と、sweetに付き合ってあげて下さい。
ではまた次回、お会いしましょう。
PS.誤字脱字とおかしな文法には極力気を付けてますが、
生暖かな目で見守って頂けると嬉しいです。

102:sweet
07/12/31 04:18:21 HfAAvh+c
年明けてからこのスレ開く人の為に…

明けましておめでとうございます(^o^)/

103:sweet
08/01/02 02:54:31 8i/zG0yz
皆さんこんばんわ。sweetです。
sweetの絵はあんまり上手くないのですが(苦笑)、頑張って描いてみました。
こんなざっくばらんな絵でも良ければ、挿絵もいずれ…と思っています。
自分のイメージ守りたい人は見ないで下さいね(>_<;)
一ヶ月の限定公開です。
※bitterの二人では無いですよ。年賀状用の絵です。著作権侵害禁止。
それではドゾー。皆さんが良い新年を迎えられますように。↓
URLリンク(imepita.jp)

104:sweet
08/01/03 00:50:33 bIqtO+Ob
【作品名】sad bitter
【作者名】sweet
【作品の説明】大晦日から元旦の初日の出にかけてのお話。
いつもより短めになる予定。
大晦日に奴の家で過ごしていた主人公。
二人で出かける事になって…。

105:sweet
08/01/03 01:10:33 bIqtO+Ob
大晦日の夜、俺は奴の家で過ごしていた。
例のクリスマスの時の出来事以来、俺は奴の家に居る事が増えていた。
年越し蕎麦を食べながら、俺も奴も酒を飲んでテレビを見ていた。
奴手作りの蕎麦のダシは美味い。
美味い料理を食べていると酒が進む。
某歌合戦の最後の合唱が歌い終わると、画面が大晦日を過ごす
人々の映像に切り替る。
ゴーン、という鐘の音に合わせるように、画面左端の隅に、
午前零時を示す時刻表示が現れた。
明けたな。と奴が言った。
俺は、うん、とだけ答えた。
行くか。
どこに?と、俺は聞いた。

106:sweet
08/01/03 01:24:47 bIqtO+Ob
初詣、と奴が言った。
徒歩で行ける距離に神社なんかねーだろ、と俺は言った。
奴はにやりと微笑んだだけで、何も教えてくれなかった。
その夜、俺たちはセックスをしなかった。
腹が一杯だったのと、酒が回り過ぎていたのが原因だった。
そもそも、奴とヤるのが目的でも無かったし。
新年を奴と一緒に迎えたかった。ただ、それだけだ。
俺はこたつの中に入りながら横になり、眠りについた。
隣りに奴が居るというだけで、幸福な睡眠だった。

107:sweet
08/01/03 01:37:23 bIqtO+Ob
目が覚めた。
というか、奴が俺を揺り起こしていた。
俺はいつのまにか、奴の手を握り締めていた。
いや、奴が握っているのか。
良く分からなかったが、俺はうっすら目を開けた。
奴の顔が、後ろを電灯に、俺の顔を覗き込んでいる。
微かに微笑んでいるようだ。
行くぞ。
…どこに、と俺は少々不機嫌そうに問い返す。
聞いてなかったのか、と奴が俺の頬を数回、軽く叩いた。
初詣、と少し間を空けてから俺は答える。
こんな夜中に初詣。奴は一体何がしたいんだ。
ともかくそうして、俺は心地の良い眠りから強制送還され、
外に出る事になった。

108:sweet
08/01/03 02:02:14 bIqtO+Ob
どこに行くんだよ、と俺は奴の背中に問いを投げた。
奴は俺の質問に答える事無く、淡々と歩みを前に進めている。
俺と奴は、空が白み始めた朝の河川敷を歩いていた。
奴の住処は河の近くで、徒歩でここまで来る事が出来るのである。
しかし、徒歩でお参り出来る神社など、俺には皆目見当も付かない。
土手の上の小道を歩きながら、奴はどこかを目指して歩き続けている。
奴の秘密の場所でもあるのだろうか。
俺は上下黒のジャージ。白いライン入りだ。
奴は白いシャツに、黒のロングコートを着ている。
それから、黒いマフラーだ。
もう少しちゃんとした格好の方が良かったかもしれない。
朝の空気は凍っている。
そう表現して良いくらいに凍て付いている。
白い息を吐きながら、俺は身震いして自分の両腕を摩った。
奴の背中を見る。
こんなクソ寒い中、奴と抱き合ったりしたらどんなに暖かいんだろう。
そんな妄想が俺の脳裏に浮かび上がる程、朝は寒い。

109:sweet
08/01/03 02:15:42 bIqtO+Ob
俺は奴の隣りに駆け寄る。
どうして奴はいつも俺の目の前を歩いているのだろう。
不思議な男だ。
人間が出来ていて生活力があり、かつ容姿端麗で、
女の好みを語りつつ、男の俺を抱く。
そして恋人が居ない。
今は俺が奴の恋人という事になるのだろうか。
良く分からなかった。
俺は確かにこの謎が謎を呼ぶ、俺より僅か身長が上の男に抱かれはしたが、
それと付き合うという事とは別な気もする。
今から考えれば、酒にも酔っていた訳だし。
奴の様子を伺うように、奴の方を見てみた。

110:sweet
08/01/03 03:14:39 bIqtO+Ob
奴は俺の視線に気が付いて、俺を見る。
髪の毛は黒くて、襟足は短い。
黒が奴の白い肌を引き立てるようだが、朝の冷たい空気が、
奴の像をよりくっきりと鮮明にしているみたいだ。
顎に指を添え逡巡し、寒いのか、と聞いて来た。
それから奴自身のマフラーを首から逆に巻いて外し、
俺の首に巻く。
俺はどうするでも無く、されるがままになる。
黒いマフラーは奴自身の体温で暖められて暖かい。
そしてまた歩き出す。
目を点にして奴の背中を見た。
俺はその場に呆然と立ち、己の首に巻かれたマフラーを見る。
暖かい。
確かに暖かいんだが、そうじゃ無いんだ。

111:sweet
08/01/03 03:28:03 bIqtO+Ob
俺が聞きたいのは、口にしたかったのは、
俺が奴の恋人なのか否かという事だ。
なのにどうしてこうも奴は、
何も言わせなくする何か、に満ち溢れているのだろう。
それのせいで俺は、何も言う事が出来なくなる。
陳腐に表現すれば、胸の奥が苦しくなるのだ。
だから、ただ黙って奴の後ろを付いて行く事に決めた。
例え奴がこれからどこに行こうとも、俺は付いて行くのだ。
奴が前で、俺が後だ。
数歩分の何かなのだ。
首に巻かれたマフラーに、首を竦めるようにして顔を埋める。
アロマみたいな奴の香りが染み付いている。
どうする事も出来ない香りが、俺を満たしている。

112:sweet
08/01/03 03:51:30 bIqtO+Ob
着いたぞ、と奴が言った。
そこはこっちとあっちを繋いでいる橋だ。
河川の幅はそんなに広い訳では無く、
向こう岸とこっちでは大声を出せば会話出来る程度なのだが、
奴が目指していたのはここらしい。
初詣と橋は何の関係も無い。
俺は益々分からなくなった。
この橋に何か特別な意味でもあるのだろうか。
それとも奴にとってはそうなのだろうか。
橋の真ん中辺りに向かって行く奴の後ろを歩いて行きながら考える。
そろそろだな、と奴が言った。

113:sweet
08/01/03 04:34:19 ebilruLn
何が、と聞く前に、橋の中腹に辿り付いた俺の横から照らし出すように、
眩しい光が輝いた。
見ると、空が地平線の辺りから赤、紫、黄色、青の順にグラデーションになっている。
そしてオレンジ色の、真っ赤に焼けた太陽が、
地平線の向こうからもったいぶる様に、
ゆらゆらと這い上がってくる。
夜明けのまさにその瞬間。
明けましておめでとう。
右隣に立って夕日を眺めるように、橋の手摺に凭れ掛かっていた奴が、
微笑を浮かべて俺にキスをする。

114:sweet
08/01/03 05:10:41 ebilruLn
咄嗟の事で、俺は目を閉じる事が出来なかった。
だが、奴を目の前に感じながら俺はゆっくりと目を閉じる。
唇と唇が重なり合って数秒、静かに離れる。
俺も手摺に凭れながら、
初詣じゃねーじゃん、と唇を尖らせて見せた。
初日の出も初詣も大して変わらないだろ。
奴の言葉には何故か説得力がある。
隣りで太陽に向かって、頭を下げたり手を叩いたり。
俺はみかんを押し潰したみたいな朝日に向かって、
適当にパンパン、と両手を二度合わせた。
そうじゃないだろ、と奴が俺の後ろに回り、
二度頭を下げるんだよ、ほら。と指示を出した。
仕方なく俺は太陽に向かって二度頭を下げる。
それから奴は、後ろから囲うように俺の手を取り、
二回手を叩かせた。
ニ礼二拍一礼って言うだろ。お前、恥掻くぞ。
真後ろで奴が笑ったのが分かった。
耳に生暖かい息が掛かったので。

115:sweet
08/01/03 05:20:08 ebilruLn
それからこう、と、奴は俺の腹を抱えるようにしながら
身体を前に倒す。
俺は手摺に両手を付いて、体が前に倒れそうになるのを支えつつ、
奴の上半身に押されて自然と頭を下げる格好になる。
わざとやってんのか、この馬鹿。
奴の生暖かな息が俺の耳朶に掛かり、上半身が後ろから抱き寄せられて、
下半身はと言えば、ぴったりと押し付けられている。
俺は自分の中から熱いものが湧き出るような感覚に襲われて、
動けなくなった。
いや、動けない、の間違いだ。
じっとりと、こめかみに脂汗が浮かぶのが分かる。

116:sweet
08/01/03 05:36:47 ebilruLn
やめろ、と俺はようやく口を開いた。
何が、と奴はしれっとして答える。
言葉を発した際の息が俺の耳に掛かる。
離れろ、と漸く言いたい言葉が喉の奥から絞り出される。
二礼二拍一礼、ちゃんと理解したか。
奴の一言一言が、近くにあるせいで、やたら大きく聞こえる。
低い声が耳元で、大音量で響くのはどうにも落ち着かない。
俺は寒さから来る生理現象以外で、体が震えそうになるのを押えながら、
ごく冷静に、分かったから、と伝える。
それで漸く奴は俺から離れた。

117:sweet
08/01/03 06:07:44 ebilruLn
奴が俺から離れると、身体を翻し、奴を睨む。
軽く驚いているような奴に対して、
自分の首に巻かれているマフラーを素早く外し、
奴の首に引っ掛けるようにすると自分の方へ引き寄せる。
ほぼ強制的に唇を重ねる。
してやったりだ。
奴が思わず手摺に両手を付くのが分かる。
いや、やられたのは俺の方か。
囲まれてしまっている。奴の両腕に。

118:sweet
08/01/03 06:33:38 ebilruLn
俺は唇を離した。
それから、お互いどちらからとも無く身体を抱き締め合って、キスする。
こんな朝早い時間だから、誰にも見られてないはずだ。
いやむしろ、外だからこんなに体が熱いのかもしれない。
刺す様な空気の中で、寒空の下、俺は奴の体温だけを感じている。
唇から、吐息から、身体から、腕から、足から、全身で。
さっきの軽い口付けとは違う、濃厚なキス。
熱い。
寒い。
熱くて寒い。
寒さのせいで研ぎ澄まされた感覚が、全神経が奴との行為に集中する。

119:sweet
08/01/03 07:01:08 ebilruLn
奴の右腕が俺を抱き寄せる。
左手は手摺に付いて身体を支えてるらしかった。
中で舌を絡ませる。
時々、卑猥な音が聞こえる。
俺は奴の脇の下から両腕を入れ、抱き締めてキスに夢中になっている。
奴を強く求めている。
奴も俺を求めている。
互いの体温が体の狭間に篭って暖かい。
ずっとこのままでいたい。
このままでいたくない。
気持ちが容赦無く、左右に揺れている。

120:sweet
08/01/03 07:10:51 ebilruLn
俺は自分の求めるままに、盛り上がった股間を奴に押し付ける。
身体を強く抱き締める。
奴も俺の尻を撫でさするようにして股間を押し付けてくる。
俺の腰が壁に当たったせいで、強く押し付けられている。
ヤバイ。
こんなところで逝きたくない。
直ぐにでも逝ってしまいたい。
重なりあった上半身から、どくどくと心臓の鼓動が伝わって来る。
奴にも伝わっているのだろうか。
いや、隠しようが無い。
俺の吐息も、瞳も、唇も、心臓の鼓動も体温も股間も何もかも、
奴から逃れられない。
全部奴に捕らえられてしまっている。

121:sweet
08/01/03 07:44:04 ebilruLn
そのうち、ぽつ、と俺の髪の毛に何かが空から落ちて来たのを感じた。
でも俺は気にしない。
気にする余裕も無いのだ。
それからまたぽつ、と俺の手にひやっとしたものが触れる。
今度は頬に。
流石に奴も気が付いたか、俺の頬を生暖かな舌でねっとりと舐め上げる。
エロい。
どうして奴はこんなにもエロなのか。
普段落ち着いていてセックスは激しいなんて、
益々反則じみた男だ。
まもなくして空から水を並々張った金手洗を引っ繰り返したみたいに、
そろそろと雨が降って来た。

122:sweet
08/01/04 04:53:56 gwwhMTFE
始め細やかだった雨粒は、やがて強さを増し量を増し、
抱き締め合ってキスに夢中になっている俺たちの頭上に降り掛かる。
激しい雨では無く、静かな雨。
寒い日の午後に長く降るような雨だ。
髪の毛に降り掛かった水滴を始めは弾き返していたのだが、
やがて湿り顔を伝ってくる程になる。
奴の首に掛かったままのマフラーも、霧吹きを掛けられたみたいになっていたのが
沁みた水のせいで、徐々に重さを増していくようだ。
コートが、頬が、服が、ズボンが、凍える寒さの中で
冷たさを増していく。

123:sweet
08/01/04 05:02:21 gwwhMTFE
俺たちの重ねられた唇の間にも水滴が滴り落ちてくる。
そのせいで俺は気を取られ、唇を離す。
吐いた息が今朝以上に白い。
どうやら神様は俺たちの関係が憎いらしい。
いや、それとも禁断を犯して快楽を貪ることにお怒りなのか。
顔に付いた邪魔な水滴を上から手の平で拭うと、
ぼやけていた目の前がハッキリして、奴の首元が視界に入る。
あの綺麗な首筋に水滴が滴り、下に着ていたカッターシャツの
襟が今はもう、濃い色に変色してしまっている。
それから胸、腹と雨は沁み、べったり奴の身体に張り付いている。
俺は奴の胸元に手を添えながら、自分の二の腕を摩り、
生理的に身体を震わせた。

124:sweet
08/01/04 05:17:43 gwwhMTFE
奴は俺の様子を見ながら、傘、持ってくれば良かったな、と呟いた。
しかしそれでも俺の震えは治まらない。
見兼ねたのか、奴はコートを脱いで俺の肩に包む様にして掛け、
抱き締めながら、俺のせいだな、ごめん、と謝った。
謝る事なんか、何も無いのに。
奴と一緒に日の出を見られたこと。日の出を見せてくれたこと。
それは何ものにも変え難い、幸福な出来事なのに。
俺はジャージの上着を脱いでそれを奴の頭に掛ける様にする。
多少は水滴を弾いてくれるはずだ。
それから奴を抱き寄せるようにして、
体と体をしっかりと重ね合わせる。
こうしてれば暖かいから、と俺は囁き返す。
暖かい息が言葉と共に外に漏れ出す。
奴も俺の身体を、両腕で包み込むようにして抱き締め返す。
俺は自ら唇を重ね合わせる。
人肌の温もりがそこにある。
いつも以上に奴の体が熱い。

125:sweet
08/01/04 05:36:15 gwwhMTFE
奴のシャツも、俺の白いTシャツもじっとり濡れているのが分かる。
体の外側、末端の方から熱が奪われていく。
凍えるような寒さの中、俺たちの身体が冷えていく。
しかしだからこそ、今目の前にある熱が欲しい。
奴の熱と身体を求めるようにして、きつく身体を抱き締める。
それは奴も同様だ。
やがて奴は腰を動かし出した。
半分ほど勃起した性器が、濡れた布越しに擦り合わされる。
熱い。
外はこんなに寒いのに、身体はこんなに冷たいのに、
どうして熱いのだろう。
俺は思わず、奴の名前を囁きながらも喘いでしまう。
しっかりと上半身を合わせながら、蠢く身体と下半身だけが、
寒さの中に取り残されてしまった、たった二つの熱と熱。
そしてそれらは、今、一つになろうとしているのだ。

126:sweet
08/01/04 05:43:43 gwwhMTFE
俺も自ら腰を動かしながら、暖かな奴自身に、
自分を擦り付ける。
暖めあう身体が熱い。
脳内が熱に浮かされているみたいだ。
身体に張り付いた布越しに、奴の身体が分かる。
ハァ、と白い息を吐き出す。
すると奴の生暖かな息も、俺の耳に掛かる。
どうしてこんな事になってしまったのだろう。

127:sweet
08/01/04 05:57:27 gwwhMTFE
雨の中抱き締め合ってキスをして、
誰かに見られるかもしれない状況の中、
雨に濡れそぼりながら興奮しているのだ。
俺は変態だろうか。
寒さが奴の熱を求めさせる。
快楽と欲望が奴の身体を求める。
どっちがどっちだか分からないが、
どうしようもないのだ。
俺は凍えそうな寒さの中では、奴の熱を求めざるをえない。
こんな風にご丁寧に据え膳まで用意されて、
腰を振られたのでは快楽を求めずにはいられない。
俺は奴を求める運命の中にあるのだ。
そして、それは神でさえも、
俺たちの間に入り込んで邪魔をする隙など無いのである。

128:sweet
08/01/04 06:07:19 gwwhMTFE
やがて、奴は俺から離れる。
髪の毛も顔面も、全部が雨を被り、
シャツも全部濡れて、身体に皺を作りながら張り付いている。
俺を見つめながら、薄ら笑いを浮かべている。
何の笑いだろうか。
雨を予測出来なかった自分、そしてそれを無視して行為に耽る自分への嘲笑か。
それとも、こんな状況でペニスを立たせている俺を笑っているのだろうか。
そんな事を考えつつも、奴の透けたシャツの上に手を置いて、
湿ったシャツの上から乳首を擦る。
すると、奴も俺のを擦る。
ゆっくりと奴は、口を開く。
唇と顎先にも、水滴は滴っている。
帰ろう。俺たちの家に。

129:sweet
08/01/04 06:12:51 gwwhMTFE
俺と奴は、手を繋いで来た道を戻った。
服は俺も奴も、元の通り着直したが、奴のマフラーは俺がしたままだ。
奴がそうさせた。
ゆっくりと止まない雨の中、
俺たちは家路に付いている。
生暖かい息が吐き出される。
塗れた地面が水溜りを作り、ぬかるんでいる。
空は灰色で、さっきの朝日と美しいグラデーションの事など
忘れてしまったみたいだ。

130:sweet
08/01/04 06:21:34 gwwhMTFE
景色を見渡してみた。
河はまだ増水するほどでは無く、
今朝と変わり無く水を湛えている。
雨が地面を叩く、静かで優しい音。
家々の屋根を、水が滑るように流れていく。
さっきまで俺たちが佇んでいた端が、
雨の視界の向こうに、霞んで遠く消えていく。
世界は優しい。
冷たくも優しさに包まれているのだ。
雨は冷たくて、暖かいのだ。
そして俺の左手を、熱を持った、たった一つの奴の手が、握り締めている。
俺の手を、奴の右手がそっと包み込んでいる。

131:sweet
08/01/04 06:25:38 gwwhMTFE
俺はただ黙って奴の後ろを歩いた。
手を繋いでいるのだから真横を歩けば良いのだが、
奴が前で、俺は後ろだ。
これは絶対に変えられない距離なのだ。
俺は黙って歩いている奴の背中を、切なげな目で見つめた。

132:sweet
08/01/04 06:30:27 gwwhMTFE
すると、奴は後ろを振り向いた。
まるで俺の気持ちを察したかのように。
俺は奴の手に引き寄せられて、横に並ぶ。
奴は、俺のマフラーの端を、奴の肩に掛けるようにして軽く巻く。
いわゆる、恋人同士がするあれだ。
微笑を浮かべてくる。
俺も微笑んで応える。
会話は無かったが、それでいい。
それでいいんだ。

133:sweet
08/01/04 06:33:15 gwwhMTFE
俺は今、奴の隣りに並び、手を繋ぎながら、
雨の中、川原沿いの土手道を歩いている。
冷たい雨が染みる中、奴と繋いだ手だけが、
たった一つの熱源を持っている。
俺と奴の存在を、証明してくれている。

134:sweet
08/01/04 06:37:34 gwwhMTFE
それから家に帰った俺たちは、
当然のようにして冷えた身体を温めあった。
雨の中の方が興奮した、なんて、
奴には言えない、俺だけの秘密なのである。




―了―

135:sweet
08/01/04 06:48:45 gwwhMTFE
ども、sweetです。sad bitter終了ー。
正月だから正月ネタ…て、書き始めて後から気が付いたんですが
お正月の過ごし方は凄い個人差が出ますよね…。
で、考えあぐねて適当に誤魔化して書いてしまった。色々とごめん。
今回はエロ強化(エロ小説らしく…)と思ったんですが…
雨ネタとか書きたかったし…しかも色々と書き間違えてるし…
こんな話が最終話でごめんなさい。
そうです。
実は最終回です。最終話っぽいなと自分で書いてて思いました。
テキスポ?とか言うところにログ纏める作業後でするので良ければ読んでくだしあ。
纏めれたらここにリンク張りますんで。
では皆様お元気でー。
バイバイノシ

136:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:24:33 VOdDmRKC


137:sweet
08/01/15 03:44:42 FxbYLxwj
>>136
乙サンクスです。
只今、ログ編集作業中です。
何せ量が量なもので…加筆・修正を加えつつ
体裁を整えるのに思いの外苦戦中です(汗)。
もう少々お待ち下さいませ。

138:Sweet
08/01/29 23:13:15 4nbqfpNb
テキスポにて公開中です。R18カテゴリからどうぞー。
まとめて読むとまた印象が違ってくるかと思います^^
内容の解説や、モリタポ杯から締め切り落ちした(笑)
ショートショートも何気にあるので読んでもらえると嬉しいです。
では。

139:サクラフブキ ◆rMNMPSLh1Y
08/08/11 21:24:41 Rs+f8uv/
もう半年以上も書き込みがないなぁ。(汗
ここなんか一年以上だよ(汗)。→ URLリンク(9109.teacup.com)
なんかカキコせいよw

140:名無しさん@ピンキー
08/08/12 00:57:04 daJSXn7T
「先輩、シックスナインしましょう!」
剣道部の後輩、加納ユウキがいきなり誘ってきた。
ここは俺、笹原シンヤの家。ユウキをわざわざ呼んで、
試験勉強を見てあげている最中だ。
「お前なあ…次ヤバかったら補習で合宿行けなくなるだろうが」
「そうだけど…試験終わるまでおあずけなんて超キビシいよ」
ユウキは制服のズボンとブリーフを脱ぎ捨てると、俺のベッドに
仰向けに寝転んだ。股間のモノは、早くもビンビンに
そそり勃っている。今まで経験してきた中では小ぶりな
方だが、何度も何度も俺の中で暴れ回って乱れさせて
くれた、愛しい『坊や』だ。
「先輩、早くう…」
ユウキが、くいくいと『手招き』する。といっても手なんか
使ってない(わかるよね)。
せっかくオナ禁してたのに…俺も我慢出来ずズボンと
トランクスを脱いで、ユウキの顔を跨ぐ形で上に乗った。
目の前には、俺達の可愛い坊やが待ち構えている。
俺は根元を指でしごきながら、ピンク色の先端を舐めて、
吸ってやった。ユウキの「むふうん」という鼻息が
俺の股間にかかって、俺も俄然奮い勃つ。
「へんふぁい、おおひい…」
ユウキがうめき声を上げる。「先輩、大きい…」とでも
言っているのだろう。「くわえながら喋ると噛んじゃうだろ」
「ごめんなふぁい…」
ユウキは俺のモノから唇を離すと、
「こんな大きいチンポ持ってるのに女なんてもったいないよな」
と、減らず口を叩きながら袋やアナルを舌と指で責めてくる。
「ユウキ、もう、入れていいぞ」
「うん、でも、一回先輩の口に出したい」
愛し合ってる真っ最中、玄関の鍵が開く音がした。妹のカナコが帰って来たのだ。

駄文長文失礼。もう少し書かせて?

141:140
08/08/12 04:24:55 daJSXn7T
ウザかったら削除して下さい。続きです。

「ただい……うわっ!!」
カナコがアイスの袋を持って入って来た。
部活帰りなので、汗まみれの体操着のままだ。
「お兄ちゃん!?加納くん!?」
「笹原さん!?」
「カナコ、今アイス食えないからしまって来い」
「う、うん…」
カナコはぱたぱたと冷蔵庫へ行き、すぐに戻って来た。いや、来るなよ。
「えーと…まあ、続けて。それにしても、加納くんが、ねえ」
どうでもいい事だが、カナコとユウキは同級生だったりする。
「しょうがねえ、見せてやるからフェラチオ勉強しろよ」
「べつに勉強しなくても、みんな上手って言ってくれるもん!」
「…あのー…」
兄妹のアホなやりとりに、ユウキが割って入って来た。
「ごめんなさい先輩、イカせて下さい!」
こんなシチュでも萎えたりしない。剛胆なのか、よほど
たまっているのか。
「悪い悪い」
俺はバカ妹のせいですっかりスネてしまった坊やを
なだめるべく、口一杯に包みこんでやった。ユウキは
中断してた俺へのアナル責めを再開してくれている。
「ユウキ、俺のも舐めて」
カナコは愛し合ってる俺達を、とろんとした目で見ている。
「そろそろだから、ちゃんと飲むんだぞ」
俺の

142:名無しさん@ピンキー
08/08/12 04:51:44 daJSXn7T
「そろそろだから、ちゃんと飲むんだぞ」
俺のモノを口一杯頬張ったユウキは、んふんふと返事する。
やがてユウキの体から、白い間欠泉が噴き上がった。
俺はユウキの子供達を顔中で受け止める。普段は直腸で受け止めるけど、こんなふうに汚されるのも好きだ。
同時に俺も、思いのたけをユウキの口にぶちまける。頭の後ろに、電流が走った。
フルフルしている先端の名残を吸い出してやる。坊やはまだ暴れ足りないらしい。
俺はカナコをベッドへ呼んだ。カナコは駆け寄って来て、犬みたいに俺の顔を舐め回す。
「こいつ、まだこんな元気だぜ」
「ん、もう、しょうがないな」
カナコは短パンとショーツを脱いで、俺達と同じ下半身裸になると、お尻をこちらに向けた。

もう少し続く。ezwebは長文に向いてない。

143:140
08/08/14 00:35:37 PRiNtB6M
ソフトボールで鍛えたカナコの、ちょっと大きめのお尻が
俺とユウキの目の前に突きだされた。太腿の下半分が
日に焼けているので、白さが際立っている。
かなり遊んでいるにも関わらず、割れ目もアナルもきれいなピンク色だ。
俺達には無い女の子特有の、甘い体臭が香って来た。
ユウキは、えええ~!?という表情で凝視している。
男同士のセックスはさんざん経験してきたけど、女の子の裸を
ガチで見るのは初めてらしい。
さっきまで俺の舌の上で躍っていたチンポを握りしめながら、
俺はユウキに、
「ほら、入れてやれよ」
と促してやった。
「え?で、でも…」
俺とする時の強気はどこへやら、想定外の展開に狼狽している。
「笹原さん、君塚と付き合ってるんじゃ…」
「あいつ、ただのセフレだよう」
「ほら、二人とも、いいから!」
ユウキは挿入に意外と手間取った。後背位は慣れてる
はずだけど、アナルとは微妙に角度が違うからだろうか。
「加納くん、は、は、初めて?」
「う、うん、女は、ね」
「変だよね、あんまり、話した事もないのに、いきなり、こんな、事」
「うん、うん」
…なんだか仲間外れになってしまった。二人のセックスを
見ながらオナニーするのもつまらないので、積極的に介入する事にした俺だ。

144:名無しさん@ピンキー
08/08/14 04:10:41 PRiNtB6M
後背位でのセックスの時、ユウキは突きながらチンチンをしごいて
気持ち良くしてくれたけど、今は情けない事にあんまり余裕が
無いみたいだ。俺はユウキの手を取って、カナコのクリトリスに
導いてやった。
「ほら、いつも俺にしてくれるみたいに、さ」
「こ、こう、ですか?」
「そう、そう、オチンチンと違うから、優しくして!」
俺はユウキの背後に回って、チンチンをお尻にあてがった。
「えっ、先輩!?ち、ちょっと…」
「いや、まあ、たまにはこういうのも、な」
ユウキには抱かれてばかりだったけど、今回は久々に抱く側に回る
チャンスだ。そっち側の経験は乏しいけど、直腸触診用の
グリースを塗ったチンチンを、うりゃっと挿入した。
「あっ、あっ、オチンチン大きくなってる!」
ユウキより先に、カナコが嬌声を上げた。
男男女、という感じでつながった俺達。
ユウキのアナルはちょい固めだけど、良い具合に俺のチンチンを
締め付けて来る。
「久々だけど、お前の中気持ちいいぜユウキ」
「俺、俺、前と後ろ両方で気持ちいいです!」
「突いて、加納くん、もっと突いて!」
やばい、俺、決して早濡じゃないのに、もうイってしまう!
「ごめんユウキ、俺もう出そうだ…!」
「ください、先輩、いっぱい!」
「イクイク、イッちゃう!」
イッたのは三人同時なのか玉突き状態だったのか…もうどうでも良かった。

145:名無しさん@ピンキー
08/08/14 05:58:12 PRiNtB6M
sweet先生の足元にも及ばないなあ…全く嫌になる。自己嫌悪。でも続き。

違法かも知れないのであまり詳しく書けないが、男同士のセックスには
医療用の道具が非常に役に立つ。入れる場所が場所なので、
きれいにしておくための浣腸や、裂傷を防ぐための直腸触診用
グリース、あと外科手術用の、洗浄液に浸した使い捨てのガーゼ
ハンカチは、セックスの後始末にちょうどいい。その他にも、
俺もカナコも洗浄液を詰めた携帯用のビデを持ち歩いている。
家が医者なので、こういうモノはわりと楽に手に入るのだ。
まあそれはともかく、俺は自分の後始末をすると、イキまくってはふんはふん言ってる
ユウキとカナコもきれいにしてやった。ユウキが、ごろにゃんと
甘えてくる。その時その時で立場は逆転するのだが、
今回はきゅっと抱きしめてやった。
「お兄ちゃんが責めなんて、珍しいよねえ」
カナコには何回か、セックスを(抱かれているところを)
見られてしまっている。むこうもしょっちゅう男を連れ込んで
ヤリまくっているところを俺に見られているから、おあいこだが。
「…普段は俺が責めてるんだよう」
ユウキが口をとがらせながら言い返す。俺に抱っこされながら
だから、全くもって説得力が無い。
「初体験はよかったか?ユウキ」
こくこくうなづく。
「もう男とするのも卒業かな?」
ふるふる首を振る。可愛いなあ、もう!
たが後日、俺はユウキから手ひどいリベンジを食らう事となる。

あれ?また続いちゃう…

146:140
08/08/18 02:01:52 nPMYP5qm
クラスメイトで部活仲間で、ついでにセフレの牧場ショウゴが、
小遣いをはたいてソープへ行って来たらしい。
「めくるめく快楽のひとときを過ごした感想はどうかね?」
昼休み。校舎の屋上。俺はカナコの作った不っ細工な
オニギリを食いつつ、ショウゴに尋ねた。
「…………」
ナポリタンサンドをもそもそと噛むばかりで、ショウゴは
答えない。よほどろくでもない目にあったのだろうが、
他人のセックスの失敗談は何としても聞き出したいものだ。
それ以前に、俺をはじめセックスの相手に不足していない
ショウゴが、なにゆえ大枚はたいてソープなんぞに行ったのか?
質問の切り口を変えてみた。
「ソープって、どういう事するの?」
「どうって…どうすんだよ、そんな事聞いて」
「いや、まあ、後学のために、ね」
実際、風俗についてはほとんど知識のない俺だった。
「後学…」
「いろいろ覚えとくと、セックスの幅も広がるかなー、とか」
俺は舌をチロッと出して、ショウゴの口のまわりについた
ケチャップを舐め取ってやる。
「教えてよ、俺ん家で、さ」
どうやらそう、嫌な事ばかりでもなかったっぽい。
一体どんな目にあわされたんだ、ショウゴ?

続かせて。

147:140
08/08/18 04:33:02 nPMYP5qm
俺ん家のバスルームに、ショウゴと二人。
いろいろ聞いてはみたけど、今一つ飲み込めない。単純に
『おフロでセックス』というだけではなく、ルールとか作法とか
奥が深い…らしい。
「スケベ椅子ってのがあってな」
椅子が?スケベ?何言ってんだショウゴ?
「こう…座るとこが凹の字になってて」
「ふむ」
「くぼみから手を入れて、タマとかアナルとか刺激してくれるんだ」
「なるほどー!」
ちょっとしたアハ体験だ。だけど今回は用意出来なかった
ので、ヒノキの浴用椅子にギリギリまで浅く座ってもらう
しかない。俺は教わったとおり、大股を広げてふんぞりかえっている
ショウゴの真正面に跪き、三つ指をついて
「それではご奉仕させていただきます」
と挨拶した。次の瞬間、ショウゴの半勃ちのチンチンが
ビクン!と跳ね上がる。まったく現金なヤツだ。
「えーと…フェラチオからでいいの?」
「いや…とりあえず、洗って」
俺はボディソープを手のひらに取って泡立てると、奮い勃ってる
チンチンを包みこむように洗ってやった。ショウゴが、むふ…と
荒い鼻息をつく。
体を起こし、唇を吸ってやる。
「いや、そこまではしてくれなかった」
「いいの、俺がしてあげたいの」
ショウゴが感じてくれているのが、手のひらと舌から
伝わって来る。それがたまらなく嬉しい。

続く。気の済むまで。

148:140
08/08/18 17:34:24 5/sLCcnO
感想はこちらまで。

URLリンク(9109.teacup.com)

149:名無しさん@ピンキー
08/08/18 17:52:58 G3hZI0Yj
人様の掲示板を勝手に晒さないの。

150:140
08/08/18 19:46:53 5/sLCcnO
>>149
>人様の掲示板を勝手に晒さないの。

「人様」じゃなくて「俺様」!
釣られてカキコしてんじゃねーよボケがw

「俺様」の日記(2007年7月から)
URLリンク(www.deai-hp.com)

「俺様」の詳しいプロフィール
URLリンク(pr.cgiboy.com)

「18禁・えっち文庫。」コミュは会員ゼロだから誰も閲覧できないようだ。

わかったか!童貞んこ虫中年!

151:名無しさん@ピンキー
08/08/18 20:07:19 fFi3Jc5d
★童貞★んこ虫中年ねぇw
そういや「猿でも書ける」だの「特待生」だの、★童貞では書けないだろ★
ってノリの必死の投下のサマが、逆に童貞であることを物語ってるよなw

152:140です
08/08/18 20:38:25 nPMYP5qm
>>148
>>150は僕ではありません。書かれている掲示板のアドレスも、無関係です。
とはいえ、僕の無神経な書き込みのせいで皆さんに不愉快な思いをさせてしまったのは事実です。
まことにすみませんでした。
書き込みについて、無知ゆえに何か重大なルール違反をしてしまっていると認識しております。ご指摘いただけましたら、あらためてお詫び申し上げます。
Sweet様、サクラフブキ様にもご迷惑をおかけしてしまい、まことにすみませんでした。

153:名無しさん@ピンキー
08/08/19 02:15:51 zj09+Yxh
>>152
いいから早く続きを

154:名無しさん@ピンキー
08/08/20 16:01:10 jd2purBR
>>152
別にどこにも迷惑かけてる分けじゃないしどんどん書いたら?
あたしも続き読みたいからガンバレ!(b^ー°)

155:名無しさん@ピンキー
08/08/20 16:57:03 uShSCV47
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

156:140
08/09/02 11:48:35 jRUYtaLP
どういう訳か、今までpinkにも2chにも入れませんでした。
これが『アク禁』ってやつなのでしょうか?
>>153
>>154
ありがとうございます。
遅くなりましたが、続き書かせていただきます。

ボディソープをお湯で溶いて、出来た泡を俺とショウゴ、
二人の体に塗りたくると、俺達はお互いの肌をぴたっと
密着させて、ゆっくり擦り合わせた。本職には足元にも
及ばないだろうが、一応『泡踊り』のつもりだ。
ショウゴが泡で滑る俺の体を、きゅっと抱きしめてきた。
荒い息をつきながら
「…シンヤ、巧すぎるって…!」
と呻きつつ俺の耳に噛みついてくる。俺は生物学的には
男なので、こんな事で誉められてもあまり嬉しくない…
いや、やっぱり、嬉しいかな。
俺はショウゴの、髪を短く刈り込んだ頭をかき抱いて、
面擦れしているこめかみや、鬱血して潰れかかった耳に
お返しのキスをしてやる。
一旦背中に回ってみたけど、すぐに正面に戻った。
やはりお互いの顔を見ながら、胸と胸を合わせる方が
気持ち良い。二本のチンチンが、鍔競り合いのように擦れ合う。
「悪い、シンヤ、俺、もう、ダメ」
俺の手と腹に、感じてくれた証が迸った。

授業中なので、とりあえず今回はここまで。

157:140
08/09/02 16:33:49 L6x42eRZ
感想はこちらまで。

URLリンク(9109.teacup.com)

158:名無しさん@ピンキー
08/09/06 22:16:08 oiS3/npI
ある休日の午後、
俊毅と義長はいつものようにセックスをしていた。
少し前までは普通の同級生でたまたま両親が共に同級生で仲がよかったためむしろそんなに親しくなかった。
だがいつのまにか一線を越える関係になり今日もこうして義長の家でセックスしていた。
義長「いつから俺達こんな関係になったんだろう」
俊毅「典子おばさん(義長母で俊毅母統子の同級生)が死んでからじゃない?」
実は半年ほど前義長の母親の典子は死んだのだった。理由は表向きには40歳の高齢出産のため死んだことになっているが実はある陰謀に巻き込まれ毒殺されたのだった。

159:名無しさん@ピンキー
08/09/13 23:12:01 rERDMSux
続き期待age


160:名無しさん@ピンキー
08/09/17 03:11:04 UPJKQPr2
>続き期待age

       |            `ヽ、      _ .. -―===‐-  .._     、ミ川川川彡
        |              \  , ≠-――- .._    \  -ミ       彡
       , -┴==―-  .. _        〉'´       、   `ヽ     ヽ三   ギ  そ  三
.    //´             、 、 /   、 \     \    ヽ.  三.  ャ  れ  三
    { /   , -‐ァ===‐- .._   ヽ ∨  / 、\ \    \    ヽ 三   グ  は  三
    \/  /   /, {     `ヽ  !   /  }ヽ. ヽ、 ヽ、__ ..二、    三.   で       三
     , '   , '    // ハ   |  ト、 |l   {  /二ヽ `¨?x=-ミ_‐┐  三   言  ひ  三
   /   /_, / //∠=ヽ、 }   lハlハ   イィ::f_} \  ´ vイ} ´ /}   三    っ  ょ  三
    l / { ,ィf´ ノノ 7f_j`ゞV   } |__ハ  {` ゙ー'   `   ̄  ノ,′ /三.   て   っ  三
   j∧ 「{kツ     ゙ー'  /   ,′厂´ \ ヽ、  `      u   /   イ 三   る  と  三
      ヽ{   `    u. ノ   / /    {{爪    -:‐   ー=彡イ /  三  の   し  三
       八   ´`     ー=イ  fl /      {  \      ..:::::::::〈 /   三   か  て  三
      ハ\     ...::::::|  jハ{     { + \__..:::::::::::::::::∨ ┼ 三  !?    三
        \{` ー‐、.:::::::::::| /         { + } / ∧:::::,. -‐/    〃彡      ミ
           `    」::::::/j /\       /{ + } ≠x 〉´  / + 〃r 彡川川川ミ
          /x=く  ´ _f~、      / /Y´‐}  〃}}、 /´ ̄ Y 〃 ノ ハ \ \
         f^ア 〃ノハ ヽ  ノメ~ヽ   / / { ニ} {{ 〃}} {二  | 〃f´ /  }  ヽ ヽ

161:名無しさん@ピンキー
08/09/26 10:45:49 mdm/96oJ
agu

162:名無しさん@ピンキー
08/09/26 21:06:56 trCyLI2v
俊道が目覚めると兄はいなかった。
兄は自分の家に帰ったのかと思い一階に降りると何かシャワーの音がする。
今日は両親も姉たちもいなかった。なので俊道は全裸になって浴室に向かった。
そして兄を驚かせようといきなり俊道は浴室のドアを開けた。

163:名無しさん@ピンキー
08/09/26 23:21:26 w7Elyl2/
俊道は、はっと我に返り自分には兄などいない事に気付いた。
浴室には誰もおらず、ただシャワーの音だけが絶え間なく響き渡るだけであった。
冷静になった俊道はその起り立った欲棒をそっとパンツにしまい、朝食の用意をしようと台所に向かうのであった。

~~~終~~~

164:名無しさん@ピンキー
08/09/28 04:49:03 kIlQaCOB
俊道が浴室のドアを開けると俊毅がシャワーを浴びていた。
14歳年上の俊毅は結婚して家を出ていたが妻が出産のため実家に帰っていたので実家に入り浸りになっていた。
両親はあまりのパラサイトぶりに呆れたが兄が大好きな俊道は喜んだ。
そして俊毅は実家が超豪邸で部屋が何十個も余っているのに八畳しかない俊道の部屋に寝泊まりしていた。
そして二人は幼い頃のように一緒のベッドで寝たのだった。

165:名無しさん@ピンキー
08/09/28 05:10:01 kIlQaCOB
俊道は俊毅の4人続いた妹のあとに生まれ、また14歳も離れていてさらに高齢出産にも関わらず両親から放置気味だったのでかなり俊毅から溺愛されていた。
また俊道も俊毅が大好きだった。
俊毅20歳俊道6歳の時母親がまさかの高齢妊娠をしたがその高齢ゆえに染色体異常の胎児を流産したことがあった。
俊道は表向きには母親の妊娠を喜びまた流産にショックを受けたが、内心は兄の愛が新たな赤ちゃんに向けられることを恐れていて、また流産した時はそれがなくなり密かに安心した。
その一方で両親、特に父親からはそれほど愛されず、さらには父親は跡取りの俊毅を溺愛していて俊毅に父性愛を求めていた一方で嫉妬もしていた。
俊道小5の時俊毅は愛子と結婚した。
愛子は俊道の長姉=俊毅のすぐ下の妹登茂子の同級生だったが何と宮家令嬢だった。

166:名無しさん@ピンキー
08/09/28 14:50:33 kIlQaCOB
俊毅は結婚後海外勤務になり俊道は苦悶していた。
二年後俊毅は帰国した。一方俊道はわずか2年の間に急成長を遂げ両親の背丈を抜き俊毅の身長に迫っていた。
これには俊毅は呆然して俊道に声を掛けられても全く俊道とわからなくなってしまったほどである。
俊毅がその事を友人に言ったら最近の子供は成長が早いとか、今まで子供扱いしすぎていただけだよと言われたり自分が俊道の年齢の時の頃を思い出してごらんと言われたりした。
俊毅は必死に中1の頃を思い出した。
確かに声変わりも精通もあったが俊道ほど顕著じゃなかったし父親はおろか母親よりも身長が低かったし第一中1はもっと子供だ!と思った。
そんな中愛子や俊毅妹の登茂子や冨美子が相次いで妊娠した。
俊道の両親は一気に孫が3人も出来るのでもはや孫以外のことは考えられなくなってしまった。
そして愛子は出産で実家の宮家に帰り登茂子や冨美子も出産で戻ってきて俊毅も実家に入り浸りになったので再び家族8人の暮らしが始まった。

167:名無しさん@ピンキー
08/10/13 18:08:36 X1E/hMFY
保守

168:名無しさん@ピンキー
08/12/01 19:06:23 Rah+3JUp
ある日母親の統子は今度の三連休に女だけの旅行をしようと突然言い出した。
そして三連休前日の金曜の夜になり統子と四人の娘、妹島津伊楚子と娘の恒子(やはり妊娠中)は夜行バスに乗って旅行に出かけた。
ちょうどその日父親の俊博は出張でいなかった。
俊毅は三連休をしっかり休むために夜遅く仕事をしていた。
俊道はわざわざ俊毅のために夕飯まで作ったのにいつまでたっても帰ってこないので苛立っていた。
そしてとうとう土曜日になってしまったが俊道は寝ることもなく待ち続けた。
しかし終電の時間を過ぎても帰ってこない。俊道は俊毅の携帯に電話しようと思ったがまだ仕事が忙しいと思いやめた。
そしてとうとう5時を過ぎてしまった。
俊道は腹が減ったので夜食を食べながら朝の情報番組を食べていると玄関のチャイムが鳴った。
こんな時間に誰?と思ったら何と仕事帰りの俊毅だった。俊毅は始発で帰宅したのだった。

169:名無しさん@ピンキー
08/12/16 01:59:44 d8RpE5gZ
保守

170:真性童貞ヘア解禁@サクラフブキ
09/01/01 11:52:28 o8ZtBOb/
あけおめ。
今年も出来れば透明処理でお願いします。

171:test test
09/01/08 12:28:59 nb5k8MIo
抜けないド三流★ノーマル?な恥辱ものかレイプもの♪★

いよいよかぁ

おっと、釣りネタだったな
はいはい、悪かった
俺の負けだ

172:真性童貞ヘア解禁@んこ虫中年
09/01/08 18:16:48 nb5k8MIo
スレリンク(erocomic板)

   /^w^?:::::::::\~プーン    
  /::::::::: 妄想癖:::::嘘\~プーン     
  |無職 ;;;|_|_|_|_|~プーン..
  |;;;;;;;;;;ノ∪  \,) ,,/ヽ~カタカタカタ  
  |::( 6∪   (゜\iii'/゜ノ ヽ~カタカタカタ    
  |ノ/∵∴  ( o o)∴\  
  | \∵∵    3 ∵/      テスト テスト テスト テスト テスト テスト 
  \        ⌒ ノ______ テスト テスト テスト テスト テスト テスト 
    \_____/ |   | ̄ ̄\ \  テスト テスト テスト テスト テスト テスト 
___/ サクラフブキ.\... | 自演バカ | ̄ ̄|  テスト テスト テスト テスト テスト テスト 
|:::::::/  \___   \| 童貞専用 |__| 
|:::::::| \____|⊃⊂|__|__/ /  
|:::::/      | ̄ ̄ ̄ ̄|  〔 ̄ ̄〕

173:名無しさん@ピンキー
09/01/08 18:56:12 nb5k8MIo
>>172
                   _ , -―-、
              , 'ニニニ、::::(0::::::::::ヽ、
                ̄ ̄ヽ':::::::::::::::  ヾ   みてごらん あれが★自演バカ★だよ
                   ):::  ....   \
                  /    ::::::::::::::::::ヽ
                  /      :::::::::::::::::|
                 /       :::::::::::::::::|
                 /        :::::::::::::::::::|
                /        ::::::::::::::::::::|
                |         :::::::::::::::::::::|
               . |         :::::::::::::::::::::|
          _ , ―-、|         /::::::::::::::/::::|
          \ヲ'⌒ヽ:|         /:::::::::::::::/::::::|
            ト`_ ノ::|        /:::::::::::::/::::::::|
           人;;;;;;;::::;:|        |:::::::::::::/::::::::/
          /γ  `:::::|       |::::::::::::/::::::::/
          / (  ヽ   :::|       |:::::::::/::::::::/   ふーん、なんだか
         {  )  }  ::|       |::::::::{::::::::/    頭悪そうだね、パパ
          | /   〉   ::|       .ヽ::::|:::::::/
          } {  /   ::|       .ヽノ ::::/
          } |  (    :λ         :::|


174:真性童貞ヘア解禁@んこ虫中年
09/01/10 05:40:43 lt7Fev9R
スレリンク(housekeeping板:122番)

      ドッカーン!               
      (⌒⌒⌒)...              
      |||. 

   /^w^?:::::::::\~プーン    
  /::::::::: 妄想癖:::::嘘\~プーン     
  |無職 ;;;|_|_|_|_|~プーン..
  |;;;;;;;;;;ノ∪  \,) ,,/ヽ~カタカタカタ  
  |::( 6∪   (゜\iii'/゜ノ ヽ~カタカタカタ    削除対象アドレス:   
  |ノ/∵∴  ( o o)∴\  
  | \∵∵    3 ∵/ スレリンク(erocomic板:873番)-n
  \    U   ⌒ ノ______ 
    \_____/ |   | ̄ ̄\ \   埋め立て行為ですので、透明削除でお願いします。
___/ サクラフブキ.\... | 自演バカ | ̄ ̄|  なお既に「Over 1000 Thread」に達しています。
|:::::::/  \___   \| 童貞専用 |__|  このままでは24時間でdat落ちしてしまいますので、
|:::::::| \____|⊃⊂|__|__/ /    早急な処理を何卒宜しくお願いします。
|:::::/      | ̄ ̄ ̄ ̄|  〔 ̄ ̄〕

175:名無しさん@ピンキー
09/01/16 01:38:20 O55F4pQq
保守

176:名無しさん@ピンキー
09/01/16 12:18:09 qYwgOxVh
保守サンクスです。

    人
   (__)
   (___) サクラフブキ
  (・∀・  )  
  ⊂    \
   (⌒__)ブリッ
  (_)  人
      (__)
      (___)
     (_____)

177:175
09/01/16 14:10:33 qYwgOxVh
 彡ミミミヽ ノ彡ミミ)))
    ((彡ミミミミ)(彡彡)))彡)
   彡彡゙゙゙゙゙"゙゙" """"ヾ彡彡))
   ミ彡゙ .._    _   ミミ彡
  ミミ彡 '´ ̄ヽ '´/ ̄ ` ,|ミ)))
  ミ彡  ' ゚̄ ̄' 〈 ゚̄ ̄ .|ミミ))
  ((彡|      | | `    |ミ彡
   (彡|    ´-し`)\  |ミミ    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ゞ|      、,!  」  |ソ   <  サクラフブキはわしじゃ、ボケ!
     ヽ '´ ̄ ̄ ̄'ノ /       \_________________
   /⌒ \____/ ⌒\
\ /     ¬         \            / ̄ ̄ヽ
  \            /⌒⌒ヽ         /      \
   \   ・  | \ (   人  )       /        ヽ
     \   /     ゝ    ヽ \   /          |
      \        |;;    |   \/    |       |
        \     l  |;;  ;;;  |\__/      |      |
         \ ̄  ―|;;  ;;;  |-/        |      |
          \   |;;  ;;;  |/         |     |
           \  |;;   | |/          |     |
             | |;   ;; ;;|          /|    |
                ;;            /  |
\          /    ;;          /
            *

178:名無しさん@ピンキー
09/01/29 09:48:02 14eZ/Y57
>>175

スレリンク(erocomic板:289番)

↑いや お前のことだよww


179:名無しさん@ピンキー
09/01/29 15:16:47 14eZ/Y57
         ____
        /_ノ  ヽ、_\
 ミ ミ ミ  o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ
/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\   /⌒)⌒)⌒)
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //
| :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/    もういいぢゃん、全員真紀子で。
|     ノ     | |  |   \  /  )  /    wwwwwだっておwwwwwww
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l  バンバン
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

180:名無しさん@ピンキー
09/02/08 07:34:22 cb/YkKDZ
         ____
        /_ノ  ヽ、_\
 ミ ミ ミ  o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ
/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\   /⌒)⌒)⌒)
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //
| :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/   お前が気にすることじゃねーよ馬鹿
|     ノ     | |  |   \  /  )  /    wwwwwだっておwwwwwww
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l  バンバン
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

181:名無しさん@ピンキー
09/02/08 07:36:37 cb/YkKDZ
         ____
        /_ノ  ヽ、_\
 ミ ミ ミ  o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ
/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\   /⌒)⌒)⌒)
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //
| :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/   お前が気にすることじゃねーよ馬鹿
|     ノ     | |  |   \  /  )  /    wwwwwだっておwwwwwww
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l  バンバン
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

182:名無しさん@ピンキー
09/02/08 12:46:48 cb/YkKDZ
    ☆ チン
 
 ☆ チン  〃 ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ ___\(\・∀・)< 投下まだぁ~>サクラフブキ@自演バカ
      \_/⊂ ⊂_)_ \______________
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
   |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:|  |
   | 浜名湖みかん  .|/

183:佐倉布武吉
09/04/12 23:42:42 f+Fm46a5
時代もの 1

戦国擾乱。足利将軍家の治世も末期に陥っている時代。
尾張を抜け、遠州に向けて旅をするひとりの武士がいた。
長さ一丈を超えるひとすじの槍を携えている。穂先の
刃に加え、半月を模した一対の牙が目を引く、所謂
『薙槍』だ。けら首を朱色に塗っている。余程の手練れ
なのだろう。
武士は道端の清流の旁に腰を落ち着け、渇きを潤すと
懐から握り飯の包みを取り出した。
「おい」
武士は声のする方を振り向いた。奇妙な格好をした
少年が立っている。
女物の着物を羽織り、長い髪を組紐で無造作に束ねて
いる。腰には年齢にそぐわない見事な拵えの太刀と、
なぜか金箔貼りの瓢箪をぶら下げていた。
「凄え槍だな」
少年は笑みを浮かべつつ近づいて来た。目の覚めるような
美しい顔立ちをしている。
「飯の邪魔だ、消えろ」
「冷たいこと云うなよ」
互いの息が触れる近さ。少年の肌からは、女体とは違う
いい匂いが香ってきた。
「飯、恵んでくれよ」
「何を云ってる?」
「『ただ』とは云わねえ。払いは先でいいからさ」
少年は武士の目の前に立つと、獣革の帯を解き着物を
はだけた。白い肌、桜色の乳首。褌のたてみつは、
これから始まることを期待して

184:佐倉布武吉
09/04/20 03:20:17 Wzsczsjy
時代もの 2

清洲城の門を叩いた一益を出迎えたのは、平手政秀と
名乗る初老の男だった。
「当家では、兵を鍛えてくれる武辺の者を募っております」
どこもそうだろう。問題は、いかに『高く』雇ってくれるかだ。
「滝川どのの事は、わが主から聞き及んでおりまして」
…嫌な予感がした。『わが主』とは誰の事だ。自ら兵を
率いて、三河国境まで出張っている、領主信秀公でない。
だと、すれば。
「来たかよ」
乱暴な足音とともに入って来たのは、昨日の少年だった。
平伏する政秀を押し退け、上座で胡座をかく。
「織田信秀が長子、吉法師である」


疲れたので続きは後日。

185:エロいのください
09/05/04 16:55:10 qiPDf/Kg
         /   .ヾi          ',::::::::',   \   i:i::::::::i::::::i i
        .i     /           .',:::::::',    \  i:i::::::::i::::::i i
        ヽ   ./            ',::::::',     ヽ i:i::::::::i::::::i i
         `- "/     ソ        i:::::::',     〕:i::::::::i::::::i i
           ./               ヾ- ヽ    ./::i:::::::i:::::::i i
          /                ヽ  `'' --"-==)-'"""~
         /.                  ',
         ,i.  ヽ                ',
        ,i                    i
        i                    i
        .i.      `、    ./         i
        i       ヽヽ、 /         .i
        .i        `"i'i          i
        i         i.i          i
         i,_      ノ,i          ./
         ヽ, ̄"''''''''''"~ .ヽ、_____,,..,r'"i
         'i  ̄ ̄~"'''''"─--=..,__,,,-==-"i


186:サクラフブキ
09/05/04 16:55:54 qiPDf/Kg
//////////_---―――---_\  ////VVVVVVVVVVVVVVV
// // ///:: <   _,ノ , 、ヽ、_ ノ  ;;;ヽ  /////// //// ///
///// /::::   (y○')`ヽ) ( ´(y○')    ;;|  // ////// // /
// //,|:::     ⌒ /    ヽ⌒      ;|   ///// // ////
/ // |:::         |~ ̄ ̄~.|        ;;;|   //// ////// ////
/// :|::        | |||! i: |||! !| |       ;;;|   ////////// /// 
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////|:::::      | |!!||l ll|| !! !!| |     ;;;;;;|  /// // // // /////
// / ヽ:::::       | ! || | ||!!|     ;;;;;;//////// ///// /// //
// // ゝ:::::::: :  | `ー-----' |__;;;;;;;/////// ///////////

187:サクラフブキ
09/05/04 16:56:22 qiPDf/Kg
シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ
シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ

188:サクラフブキ
09/05/04 16:57:42 qiPDf/Kg
 ________________
 |            ノ        (   |
 |    彡彡⌒⌒⌒ ミ      彡" ⌒⌒⌒ミミ
 |    彡彡ノ.  三  ヽ     / ヽ       ||!
 |   ∥|∥  '。  。` |    |  ||   !  l l| l||
 |   川川∥U  ' ω` ヽ    / U |川川 !! l |l|||ル   疲れたので続きは後日。
 |   川6    ∴)д(∴)  (∴   9川| l| |川 l||l
 |   川川      ~ /    ヽ      川 | lルリ
 |    / ヽ  ___/     \__      ヽ
 |   /        \        /        ヽ
 |   | |  ト     ヽ       /  Y  |      !
 |   / . |  |       ヽ     /    |  |      !
 |   |  |  |       α)   |    |  |       !
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|    |  |       !

189:佐倉布武吉
09/05/10 23:51:37 1cXn8Gax
時代もの・続き

平伏している一益の首筋が狼狽えで熱くなった。背中を
いやな汗が流れる。
城下のあきんどか、武将あたりに飼われた男娼かと思って
いたが、まさか織田家の嫡男を行きずりに抱いてしまったとは。
「長子ではあるが、家督を嗣ぐと決まったわけではないぞ」
一益の心を読んだかのように吉法師は言うと、悪戯っぽく
笑う。
「吉祥丸さまのほうが、出来が良うございますからな」
政秀が苦い顔で、遠慮無く言い放った。
「うるさいぞ、爺。…まあ、家中のことは追々わかるとして、
どうだ、一益。練兵を見てみないか?」
城下の広場に案内された。百人ほどの兵が号令のもと、
槍を振るっている。みな短槍だ。
号令をかけていた武将が一益の長槍を目敏く見つけ、
「ほう、雀が一羽舞い込んできたわ」
と揶揄した。素人の弓でも容易く撃ち落とせる雀は、
その串刺しになった骸の形から、槍遣いを侮辱する言葉
として使われていた。
「吉法師さま。練兵の仕方を間違っておられますぞ」
「そうなのか?一益」
「わたくしにお任せ戴ければ…それには、こ奴が邪魔ですな」
「猟官目当ての浪人風情が、大言を吐くのう」
挑発に乗った武将が、槍の穂先を一益に向けた。


190:名無しさん@ピンキー
09/05/12 04:13:33 ww376jvf
脳内旅行から帰って来ました。成田での脳内検疫はたいへんでした。

【彼女とAV・その1】

「すみませえん、AVとか出てみませんかあ?」
渋谷でエリコとデート中、変な女に声をかけられた。
濃紺のスーツに黒ブチメガネ、髪をアップにした姿は
一見知的ではあるが、口調はバカそのものだった。しかもAVって。出ろって。
「あーちょっと、お話だけでもー」
まあ、絵売りとか手相とかと同じように、適当にあしらえば
いいか。それにしても、男連れてるのにAVのスカウトなんて
何考えてるんだ?
「カレシさんもいっしょでないと、意味ないんデスう」
往来のど真ん中、メガネ女のバカ丸出しの説明が始まった。
「『彼氏のオチンチンはど~れだ?』っていう企画でしてえ」
道行く人々が、ちらちらとこちらを見ているような気がした。
「カノジョさんにはカレシさんとウチの男優さんと交代で
エッチしてもらってえ」
待て待て待て、こんなところでする話じゃねーだろ。
「そうデスねえ。じゃあ場所を変えてえ…カメラさあん」
いつの間にか俺とエリコは撮られていたのだった。すげえ、
パパラッチかよ。違うか。

俺たちは路地に入った雑居ビルの一室に案内された。
部屋にはシーツを敷き詰めたマットレスとソファーしかない。
窓は黒いラシャ紙で塞が


191:名無しさん@ピンキー
09/05/12 04:14:20 ww376jvf
【彼女とAV・その1.5】

書き込みエラーになっちゃってました…。

(雑居ビルの一室)窓は黒いラシャ紙で塞がれている。
「なんか…いかにもAV撮りまーすって感じのトコだね」
俺の腕にしがみついていたエリコが、不安そうに言う。
正直俺も怖えぜ。
「あらためましてえ、説明しまあス。カノジョさんには
(中略)、カレシさんのオチンチンを当ててもらいまあス」
「あの…どうしてもエッチでなくちゃダメなんですか?」
エリコが尋ねる。
「んー、前回はフェラチオだけだったんですけどお、
正解率高過ぎだし作品的にもイマイチだったんデスよねぇ」
前回なんてあるのか…。見てみてえぞ、それ。
「なのでえ、今回はギャラもちゃんと払ってヤることヤって
もらおう、と」
ギャラ、というワードに、エリコは敏感に反応した。
「男優ひとりとからんで10万。人数が増えるほど取り分も
上がるワケでえ」
それって高いのか?安いのか?
「カレシさんにも出マスよ。5万。あと正解された方には
賞品も用意してマス。PS3とかマンダリンのペア宿泊券とか。」
エリコのちょっと吊り気味の瞳が、変な光を帯びてきた。
…あのー、もしかしてヤる気ヤラれる気まんまんなんでスカ、
エリコさん?


…ここまで上げるつもりでした。
次回からは400~600字くらいにまとめて、こまめに
書き込んでいきます。続く。


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