09/05/02 23:59:46 2TMPxZ84
グシャッ!
なにかがつぶれた感触がティラノの足につたわってくる。
つぎの瞬間ジャイは壁に叩きつけられていた。
顔面では破壊された標準の機械類が放電して火花を散らしている。
火花の下では、醜い顔が真っ赤な血を吹き出していた。
「ワオッ!すっごい!」
ファスアが飛びあがって叫んだ。
「さすが、あたしの婚約者だけあるわ。やるじゃない!」
咳きこみながら、ティラノは立ち上がった。
喉に赤黒くジャイの手形がくいこんだ跡がついている。
と、顔をあげたティラノの視線が空中でとまった。
はだけたままのファスアの胸がそこにある。
「………」
ティラノは目をパチクリさせて唾を飲み込んだ。
「い、いつまでそんなかっこうしてんだよ…」
「えっ?」
ファスアの視線がゆっくりとさがった。そして、ようやく自分があられもない格好を
しているのに気づいた。
「キャッ!」
少女はあわてて胸を隠した。
ファスアが胸を隠しながらキッとティラノの顔を見返すと、
顔を赤く染め、せつなげな表情でファスアを見つめるティラノの顔がある。
「どうしたの?早く逃げないと…」
服を元に戻しながらファスアが言いかけると、
「俺、その…、もう…がまんが…」
とファスアの瞳と胸元を交互に見つめながらティラノはつぶやく。
「バカ!こんなところで何考えてるの?それに私はそんな女じゃありませんからね!」
強い口調で言い返すものの、ファスアを見つめるティラノの瞳は、間違いなく、
幼い頃のティラノの瞳そのものだった。