11/07/17 19:16:09.97
ドーン!! と。
何か、物理法則のベクトルを突破した何者かが激突してきた。
ぶつかってきたものは何か、と確認する前に上条の体がノーバウンドでT字路突き当たりの壁に斜めから直撃していた。
まるでダルマ落としのように、抱えていた本だけが綺麗に空中に取り残されている。さらにノーバウンドのまま上条は壁を
跳ね、ノーバウンドのまま『く』の字の軌道で反対側の壁へ激突する。反対側とは窓際だった。窓と窓の間の支柱っぽい部分に
激突した上条はようやく廊下に落ちる。それでも勢いを殺せずにゴロゴロと転がっていく。もはや『く』の字軌道どころではない、
『何か電撃文庫のマークっぽい』軌道だった。かつて地下街でエリスにぶん殴られた風斬ピンボールよりも派手な吹っ飛びぷりである。
ゴロゴロといつまでも廊下を転がり続ける上条は、ぐるぐる回る視界の中で一方通行が尻餅をついているのが見えた。
学園都市最強の超能力者が。
かつて操車場で激突した絶対能力進化候補が。
夏服っぽい半袖のセーラー服で。
ミニスカートで。
あいたたたー、という感じで舌をぺろっと出して。
落っことしたカバンからはノートやら教科書やらが散らばり、そこには『鈴科百合子』という名前が書かれている。
(う――)
回転する上条の体がようやく止まって、
「――嬉しくねえ! 嬉しい要素ゼロ!! 正直に言おうか、吐きます!
確かに出会いとしては順当な運びでお約束っつーか定番ではあるけどさ!
この後何がどう運ばればまともに話が進んでいくのか全く想像つかねえよ!!
っつか何だその鈴科百合子とかいうあからさまな偽名は!? どこで手に入れたそのセーラー!?
サービスショット気味に足を開くな! 人を馬鹿にしてんのかテメェは!!」
彼の絶叫をよそに、学園都市最強の超能力者は尻餅をついたまま、
「俺はよォ。何の前触れもなく唐突に現れるキャラらしいんだからよォ」
「むしろ突然見舞われる不幸の擬人化だろテメェは」
「あとなンか色々ヤルけどちょっぴり憎めねェキャラらしいンだわ」
「んな訳ねえだろ!! お前はさんざん傍若無人に主人公を振り回した末に最後の最後で手編みのセーターを手渡してくれるちょい不良気味の素直になれない女の子か!?」