14/06/09 08:43:19.12 7+y+rMFl
551 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/28(木) 17:48:36 ID:ekOxo5ed
>>548
私は、おはようのキスがしたくて―その欲求が抑えきれずに―彼の口枷を外そうと手を伸ばした。
もう4日目。ロランだって、私がどんなにロランのことを思っているか理解してくれたはず。
無闇に声を上げたりはしないと思う。
口枷に手が掛かる。なぜか彼の顔は怯えているように見えた。そんなわけないのに。
口枷が外れて、
「ロラン―」
「このキチガイッ! 近寄るな、触るんじゃない!縄をほどいて僕を自由にしろよっ!」
彼は絶叫した。
「キチガイ?」
無意識に、平手で殴っていた。無意識なのだから、加減なんかできるはずもない。
パンッ、という甲高い音が七、八回もしただろうか。気が付くと、両の頬を真っ赤に腫らした彼が倒れていた。
酷いことをしてしまったと思う。
今のロランはあの女の影響を受けているから、私を受け入れてくれるに時間がかかるのは仕方がないのに。
私は謝ろうと口を開いて、
「ごめん―」
けれどそれは、彼のさっき以上の大音量の叫び声にかき消されてしまう。
「助けて! 助けてくれっ! ファティマーっ!」
一瞬、目の前が白くなったような気がした。