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三択老師(さんたくろうし)
九里須磨州(くりすましゅう)の藩主・威武(いぶ)は無類の好色家であり、手篭めにした女性に高価な贈り物を貢ぐために多額の租税を民から搾り取っていた。
これに憤りを覚えたロシアの破戒僧ジャック・ニコラスは義賊を名乗り、
降り積もる雪をものともせずまるで空を飛ぶかのごとく那由他(なゆた)の距離を駆ける名馬・徒那魁(となかい)に跨り、
返り血を浴びればますます切れ味が鋭くなる妖刀・無礼禅刀(ぶれいぜんとう)を巧みに操っては威武の妾の邸宅に押し入り
妾や財物を隠れ里の僧里(そうり)へ持ち去ったといわれる。
この時にニコラスは妾に対して「命を捨てるか、操を捨てて自分の妾になるか、財産を捨てて藩主の元へ帰るかどれか一つだけ選ぶが良い。」と問いただしたという。
もともと妾たちは藩主からの貢物だけが目当てだったのでそのほとんどがニコラスの元に残ったが、
中には密通の確約を取り付けて藩主の元へ戻ってからも藩主からの貢物を密かにニコラスの所へ横流しする剛の者さえいたという。
こうして力を蓄えたニコラスはさらに勢力を強めるために手に入れた財物を貧しい民たちに分け与えた。
民衆はニコラスの厚意に感謝して上記の逸話から取って彼の事を「義賊・三択老師」と呼び、崇め奉った。
ニコラスはその後も義賊としての活動を順調に続け、九里須磨州は国力の低下によりロシアからの移民に制圧されてしまったという。
近頃の世間の話題はクリスマス一色で妙齢の男性が如何にして意中の女性と共に一夜を過ごせるか、
また女性達が男性から如何にして高価なプレゼントをもらえるか等と会話の端々にのぼらせているが、そのような楽しいクリスマスの裏には
現代人が忘れ去った恐ろしい意味が隠されている事を賢明なる読者諸兄は決して忘れてはならない。
民明書房刊 「本当は怖いクリスマスイブの話」 より抜粋