13/06/10 21:36:31.59 UK2P3+jE
>>756
それは不思議な質問であった。
若い女の、生の真っ只中にあって乳房や腰回りの肉付きには新たな命を宿す準備が完全に整っているにも関わらず、この若い二人の女は、死ぬ、のである。
責任者「生きたまま首を切断しても、数秒は意識があると言われています。
恭子さん、奈美さんの意識はその後急速に薄れていきます。」
恭子が口を開いた。
恭子「お願いがあるのですが」
責任者「なんです?」
恭子「私は私が人間であることを確認したいのです。
よろしければ、内蔵、それも子宮をこの目でみたいのです」
責任者「みなさんはどうですか?」
他の監督員はうなづいた。
自分が人間であること、いや、人間であったことを確信したいのはヒトの根源的な欲求なのだ。
自身の死を間近に控えた恭子は、死をむしろ歓迎しているかのように思えた。
(続く)