12/06/30 23:24:44.98 IJE8vXUn
androidのアプリ本?にこんなのあった
悪逆の限りをつくした赤き雌竜は、大弓 でわき腹を貫かれた。
雌竜は気力を絞って 身を隠せる、原生林の斜面へ回転しながら 落下していく。
「亡骸を飾りなどにされて、なるもの か!」 ここで人間の臭いがした。
斜面の上には 戦士ではなく、白い布切れ姿の若い痩せた オスの人間が立っていた。
横向きで手足を 伸ばす雌竜は、わずかに動かせる口を目一 杯に開いた。
最期の晩餐にできるかもしれ ない。
ほうら、こちらに来い。転べ。倒れ ろ。 途端、雌竜の意識が途切れた。
まぶしい。光だ。まだ死なず、倒れたま まか。
人間の臭いが鼻をつくも、雌竜は驚 かされた。若くやせた人間は、私を治療し ている。
血みどろの患部は洗浄され、薬草 が乗せられていた。
雌竜はにぶくうなっ た。 「殺せ」 「聖なる森での殺生は禁止だよ。水、飲む かい」
笑んだオスが高く丸みのある声をだす。 この人間は竜との戦乱を知らないのか。