11/12/13 01:36:55.04 +whCtwUR
驚いた様子で少年がぽかんと口を開けた。
「どうしてボクがパパと喧嘩したの知ってるの?」
「おじさんは何でも知っているんだ。さぁママがおいしいうなぎパイを焼いてるよ。冷めない内に帰るんだ。」
「ほんと!?やった!うなぎパイ大好物なんだ!ありがとおじさん!ボク帰るね!」
少年は満面の笑みをたたえ、駆け足で去っていった。
「これで・・・良かったんだよな・・・俺、人生を取り戻せたんだよな・・・がんばれよ、俺・・・」
夕暮れの公園に一際強い風が吹いた。
冷えた遊具が風に押されて静かに鳴き、夜の訪れを奏でていた。
先ほどまで少年がいたその公園の一角に、忽然と消えてしまったかのように大人の足跡だけが
ひっそりと残っていた。
fin