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棺を担いだ旅人が一人場末の安宿に止まる。
妙な客だと宿の親父は眉を顰めたが、もとよりこんなキタナイ宿に泊まる客の大半は
普通の宿に泊まれるだけの金を持っていないか、訳ありかの二択だと考えた。
しかし、男は意外なほどに金払いが良かった。
そのせいか親父も機嫌が良くなり、ついつい普段はしない軽口を吐いてしまう。
「お客さん、その棺は何なんですかい?」
男は棺をポンと叩き、微笑んだ。
「妻です」
あまりにも平然と答えた男の言葉に、親父は急に背筋が冷たくなった。
ああ、この男は逝かれているんだ。
でなければ、棺を後生大事に背負って旅などする筈が無い。
男は数日程滞在するといった。
親父は始めこそ逝かれた男が何かしでかすのではと興味半分、恐怖半分でいたが、なんてことは無い。
男は棺に対する言動以外は至極まともで、金払いは良い。
ふと、あの棺には人に見られては困るものを入れているのではないか?そう考えた親父は、一人で納得した。
棺ならば気味悪がって空けようとする奴は居ないだろう。
そう思いついてしまうと、今度は是が非でも中が覗いてみたくなった。
上手くいけば、中に詰め込まれている金貨や宝石を一つや二つくすねる事ができるかもしれない。
親父は男が部屋を空けた隙を見て、そっと無人の部屋に忍び込んだ。
棺をそっとあけ、中を見る。
中には、コールタールにも似た液状の物体が。
その液体の中に、半ば液体と溶け合い混ざり合う人の―女性の裸体らしきものが見えた。
突如、ゲル状の女の目が開き親父と目が合った。
しまった、ココはエロパロじゃない、板違いだ!